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JP4062988B2 - 冷凍サイクル装置に用いる弁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房時には圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器側をバイパスして蒸発器に直接導入することにより、蒸発器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガスヒータ機能を持った冷凍サイクル装置に用いる弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−223357号公報等において、ホットガスバイパスにより暖房機能を発揮できる冷凍サイクル装置が提案されている。この従来装置では、圧縮機の吐出側を凝縮器等をバイパスして蒸発器の入口側に直接接続するホットガスバイパス通路を設けるとともに、このホットガスバイパス通路に暖房用減圧装置を設け、さらに、凝縮器入口側への冷媒通路およびホットガスバイパス通路を開閉する冷房用電磁弁と暖房用電磁弁を設けている。
【0004】
車室内の空調ユニット内には、蒸発器の下流側に温水式の暖房用ヒータコアが配置されており、そして、冬期暖房時において、暖房用ヒータコアに循環する温水温度が所定温度より低いとき(エンジンの始動暖機時等)には、冷房用電磁弁を閉じて暖房用電磁弁を開くことにより、圧縮機の高温吐出ガス冷媒(ホットガス)をホットガスバイパス通路に流入させる。
【0005】
そして、このホットガスをホットガスバイパス通路の暖房用減圧装置にて減圧した後に蒸発器に直接導入することにより、蒸発器でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、暖房機能を発揮できるようにしている。
【0006】
上記従来技術によると、冷房モードと暖房モードの冷媒流路を切り替えるために、冷房用と暖房用の2つの電磁弁を用いており、更に、暖房モード時にホットガスバイパス通路の冷媒が凝縮器側へ流入することを防止する逆止弁を冷房用、暖房用電磁弁とは別途独立に構成している。
【0007】
従って、冷房モードのみを実施する通常の車両用冷凍サイクル装置に対して、2つの電磁弁および逆止弁を追加設置する必要があり、部品点数の増加によるコストアップを招く。
【0008】
そこで、本出願人においては、先に、特願2001−156033号の特許出願において、ホットガスヒータ機能を持った車両用冷凍サイクル装置の弁装置部を簡素化するための構成を提案している。
【0009】
図13は上記先願の弁装置14部分の概略断面図であり、弁装置14の1つのハウジング部材140の内部に冷房用電磁弁15、暖房用差圧弁16、暖房用減圧装置17、逆止弁21等の要素を一体に構成して、弁装置部の簡素化を図っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本発明者らの実験検討によると、弁装置部の一体化に伴うホットガスバイパス通路構成の制約から冷媒通過音が増大することが判明した。これを図13に基づいて具体的に説明すると、図13は暖房モード時の冷媒流れ状態を示しており、冷房用電磁弁15が閉弁することにより、圧縮機10の吐出側と凝縮器19の入口側との間の高圧通路45を遮断している。
【0011】
これにより、暖房用差圧弁16の弁体16a前後の第1室60と第2室61との間に圧力差が発生し、この圧力差により弁体16aがばね16cのばね力に抗して図13の開弁位置に変位して、暖房用減圧装置17の通路を開口している。
【0012】
ここで、暖房用減圧装置17はホットガスバイパス通路18の入口部に位置する絞り通路(固定絞り)により構成されており、そして、暖房用減圧装置17の絞り通路に対してホットガスバイパス通路18は直角方向に配置している。
【0013】
この直角状の通路配置は、暖房用差圧弁16の弁体作動方向を冷房用電磁弁15および逆止弁21の弁体作動方向と同一方向(図13の上下方向)に統一し、且つ、弁装置14における外部冷媒通路との接続部(第1〜第4通路41〜44)の通路方向を弁体作動方向と直角方向に統一するために採用している。
【0014】
上記の直角状の通路配置によると、暖房用減圧装置17の絞り通路で急激に減圧されて絞り通路から高速度で噴出するガス噴出流が、その噴出直後にホットガスバイパス通路18の対向壁面18aに高速度で衝突する。また、暖房用減圧装置17の絞り通路からホットガスバイパス通路18への直角流れにより、冷媒流れの乱流(渦流)が生じる。
【0015】
本発明者らの実験検討によると、上記衝突エネルギーと上記乱流が原因となって、暖房モード時の冷媒通過音が増大することが判明した。
【0016】
本発明は上記点に鑑みて案出されたもので、圧縮吐出側のガス冷媒を暖房用減圧装置により減圧するとともにこの減圧後のガス冷媒をホットガスバイパス通路により蒸発器に直接導入して放熱させる暖房モードと、蒸発器にて低圧冷媒が蒸発して空気を冷却する冷房モードとを切り替える冷凍サイクル装置の弁装置において、暖房モード時に暖房用減圧装置から高速度で噴出するガス噴出流に起因する冷媒通過音を低減することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項に記載の発明では、冷房用減圧装置(20)にて減圧された低圧冷媒が蒸発器(28)で蒸発して空気を冷却する冷房モードと、圧縮機(10)吐出側のガス冷媒を蒸発器(28)に直接導入して蒸発器(28)で放熱させる暖房モードとを切り替える冷凍サイクル装置に用いる弁装置において、
ハウジング部材(140)と、ハウジング部材(140)に設けられ、冷房モードと暖房モードとの冷媒流れを切り替える弁手段(15、16)と、ハウジング部材(140)に設けられ、暖房モード時に圧縮機(10)吐出側のガス冷媒が蒸発器(28)の入口側に向かって流れるホットガスバイパス通路(18)と、ハウジング部材(140)に設けられ、ホットガスバイパス通路(18)を通過するガス冷媒を減圧する暖房用減圧装置(17)とを備え、
ホットガスバイパス通路(18)に、暖房用減圧装置(17)の絞り通路入口側に位置してガス冷媒の流れを曲げる曲げ通路形状からなる第1通路部(18b)と、暖房用減圧装置(17)の絞り通路出口側に位置して絞り通路の方向と略直線状に連通する第2通路部(18c)とを設け、
第1通路部(18b)の入口側端面に弁座部(17a)が形成され、
弁手段として、第1通路部(18b)を開閉する暖房用弁手段(16)を有し、
暖房用弁手段(16)は、第1通路部(18b)の入口側空間内に位置する弁体(16a)を具備しており、
弁体(16a)が前記入口側空間内で弁座部(17a)に対して圧着、開離する方向に作動することにより、第1通路部(18b)を開閉するようになっており、
第1通路部(18b)は、弁体(16a)の作動方向と一致する冷媒流れを暖房用減圧装置(17)の絞り通路入口側に向けて直角に曲げる形状になっており、
第2通路部(18c)の径は暖房用減圧装置(17)の絞り通路の径よりも大きくなっており、
さらに、ハウジング部材(140)には、第2通路部(18c)の出口側が連通する低圧通路(70)、及び蒸発器(28)の入口側への接続部をなす接続通路(43)が設けられ、
第2通路部(18c)の出口側は低圧通路(70)により接続通路(43)に連通し、
低圧通路(70)及び接続通路(43)は、第2通路部(18c)の径よりも大きい径寸法でもって絞り通路及び第2通路部(18c)の方向と同一方向に形成されていることを特徴とする。
【0025】
これによると、暖房用減圧装置(17)の絞り通路の入口側に位置する第1通路部(18b)に冷媒流れを直角に曲げる曲げ通路形状を形成するから、減圧前の、流速が上昇していない高圧冷媒が曲げ通路部を通過することになる。そのため、第1通路部(18b)にて冷媒流れの曲がりに伴う衝突が発生しても、その衝突速度および乱流エネルギーをともに小さい状態に抑制できる。
【0026】
しかも、暖房用減圧装置(17)の絞り通路の出口側に、この絞り通路よりも径寸法が大きい第2通路部(18c)を略直線状に連通しているから、第2通路部(18c)の壁面が暖房用減圧装置(17)の絞り通路の出口端に対向することがない。
これに加え、第2通路部(18c)の出口側が連通する低圧通路(70)及び蒸発器(28)の入口側への接続部をなす接続通路(43)が、第2通路部(18c)の径よりも大きい径寸法でもって絞り通路及び第2通路部(18c)の方向と同一方向に形成されているから、低圧通路(70)及び接続通路(43)の壁面が暖房用減圧装置(17)の絞り通路の出口端に対向することもない。
その結果、暖房用減圧装置(17)から高速度で噴出するガス噴出流が第2通路部(18c)、低圧通路(70)及び接続通路(43)の壁面に衝突するという現象が発生しない。
【0027】
以上により、ホットガスバイパス通路18に曲げ通路部が形成されていても、冷媒流れの曲げに伴う冷媒通過音を効果的に低減できる。
【0030】
請求項に記載の発明では、請求項において、第2通路部(18c)の少なくとも入口部を冷媒流れの下流に向かって通路面積が拡大するテーパ形状に形成したことを特徴とする。
【0031】
これにより、暖房用減圧装置(17)の絞り通路の出口側に位置する第2通路部(18c)の通路面積がテーパ形状により緩やかに増大するから、絞り通路出口における冷媒圧力の急低下を緩和することができる。その結果、暖房用減圧装置(17)の絞り通路直後における冷媒圧力急低下に伴う冷媒流速の急上昇を抑制できる。同時に、冷媒流速の急上昇に伴う乱流の増大も抑制できる。
【0032】
従って、請求項によると、絞り通路直後の冷媒流速の急上昇を抑制して暖房モード時の冷媒通過音をより一層低減できる。
【0033】
請求項に記載の発明では、請求項において、暖房用減圧装置(17)の絞り通路を並列に開口する複数の微小穴(170)により構成したことを特徴とする。
【0034】
これによると、複数の微小穴(170)を第2通路部(18c)の通路断面上に均一に配置することにより、減圧後の冷媒流れを第2通路部(18c)の通路断面上に均一に形成できる。
【0035】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両空調用冷凍サイクル装置を示すものであり、圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して車両エンジン12により駆動される。圧縮機10の吐出配管13には弁装置14が設けられている。
【0037】
この弁装置14は、冷房用通路を開閉する電磁弁15と、暖房用通路を開閉する差圧弁16と、暖房用減圧装置17と、逆止弁21とを共通のハウジング部材140により1つの部品として一体化したもので、その詳細は図2により後述する。弁装置14の内部にホットガスバイパス通路18が形成され、このホットガスバイパス通路18に暖房用差圧弁16と暖房用減圧装置17が設けられる。なお、電磁弁15は冷房用弁手段を構成し、差圧弁16は暖房用弁手段を構成する。
【0038】
圧縮機10の吐出配管13は弁装置14の冷房用電磁弁15を介して凝縮器19の冷媒入口側に接続される。そして、凝縮器19の冷媒出口側には冷房用減圧装置20が接続されている。この冷房用減圧装置20は本例では固定絞りにて構成されており、固定絞りとして具体的には細径(例えば、φ1.2〜1.3mm程度)の管を所定長さとすることにより圧損を発生するキャピラリチューブを用いている。凝縮器19は電動冷却ファン19aにより送風される外気冷却風により冷却される。
【0039】
なお、弁装置14は、図示しない適宜の取付ブラケットを介して凝縮器19の適宜の部位(例えば、上部サイドプレート等)に取り付け固定することができ、これにより、凝縮器19と弁装置14を車両搭載前に予め一体化しておくことができる。
【0040】
逆止弁21は上記したホットガスバイパス通路18の暖房用減圧装置17の出口側と冷房用減圧装置20の出口側との間に接続されて、暖房モード時にホットガスバイパス通路18から凝縮器19側へ冷媒が逆流するのを防止する逆流防止手段である。ホットガスバイパス通路18は、弁装置14の内部において、暖房用差圧弁16の入口部から暖房用減圧装置17の出口部に至る極めて短い通路となる。
【0041】
そして、ホットガスバイパス通路18の出口部と逆止弁21の出口部とを合流させて、この合流部を1本の入口側低圧配管22に結合し、この1本の低圧配管22をダッシュボード23の穴を貫通して車室内25へ配管する。ここで、ダッシュボード23は車両のエンジンルーム24と車室内25とを仕切るものである。
【0042】
車室内25の前方部の計器盤(図示せず)下方部には空調ユニット26が配置され、この空調ユニット26内において、空調用電動送風機27の空気下流側に蒸発器28が配置され、この蒸発器28の更に下流側に温水式の暖房用ヒータコア29が配置されている。
【0043】
上記低圧配管22は蒸発器28の冷媒入口部に結合され、この蒸発器28の冷媒出口部には出口側低圧配管30が接続され、この出口側低圧配管30はダッシュボード23を貫通してエンジンルーム24側へ配管され、エンジンルーム24内のアキュームレータ31の入口に接続され、アキュームレータ31の出口は吸入配管32を通して圧縮機10の吸入口に接続される。
【0044】
アキュームレータ31は周知のごとく蒸発器28の出口側低圧配管30から流入する冷媒の気液を分離して液冷媒を貯留するものであって、ガス冷媒を圧縮機10に吸入させるとともに、潤滑オイルを圧縮機10に戻すために、アキュームレータタンク底部付近の液冷媒の一部を圧縮機10に吸入させるものである。
【0045】
なお、前記した空調ユニット26において、蒸発器28は空調用送風機27により送風される空気(車室内空気または外気)を冷房モード時(あるいは除湿必要時)には冷媒蒸発潜熱の吸熱により冷却し、また、冬期暖房モード時には、蒸発器28はホットガスバイパス通路18からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0046】
また、暖房用ヒータコア29には、車両エンジン12の温水(冷却水)がエンジン駆動の温水ポンプ(図示せず)により循環することにより、温水を熱源として蒸発器通過後の空気を加熱する。そして、暖房用ヒータコア29の下流側に設けられた吹出口(図示せず)から車室内25へ空調空気を吹き出すようになっている。
【0047】
また、冷房用電磁弁15は空調用電子制御装置33からの制御信号により通電が断続されて、開閉する。また、冷房用電磁弁15の他に、電磁クラッチ11、凝縮器用電動冷却ファン19a、空調用電動送風機27等の電気機器の作動も空調用電子制御装置33の制御信号により制御される。なお、空調用電子制御装置33には、周知のように車両環境条件を検出するセンサ群33aの検出信号、空調操作パネル33bの操作部材33cの操作信号等が入力される。
【0048】
次に、弁装置14の具体的構成を図2により説明する。弁装置14のハウジング部材140は、アルミニュウム、真鍮等の金属材により直方体状等の形状に形成され、ハウジング部材140の一端側(図2の右側)に第1、第2通路41、42を開口し、他端側(図2の左側)に第3、第4通路43、44を開口している。
【0049】
第1通路41は圧縮機10の吐出側に接続され、第2通路42は凝縮器19の入口側に接続される。また、第3通路43は蒸発器28の入口側に接続され、第4通路44は冷房用減圧装置20を介して凝縮器19の出口側に接続される。なお、これらの第1〜第4通路41〜44は図1の対応部位にも黒丸の点にて図示してある。
【0050】
電磁弁15は、上記第1通路41(圧縮機10吐出側)と上記第2通路42(凝縮器19入口側)との間の高圧通路45を開閉する弁体15a、この弁体15aにばね力を作用させるばね15b、このばね15bのばね力に抗して弁体15aを変位させる電磁力を発生する電磁コイル15c等を備えている。
【0051】
なお、図2では図示の簡略化のため、電磁弁15を直動式として図示しているが、弁体15aは高圧通路45を開閉するために大きな駆動力を必要とするので、実際には、電磁コイル47の電磁力により駆動される副弁体(パイロット弁)と、この副弁体の変位に伴って変位して高圧通路45を開閉する主弁体(弁体15aに対応)とを有するパイロット式電磁弁により電磁弁15を構成している。
【0052】
図2は電磁弁15の閉弁時を示しており、閉弁時には電磁コイル15cが通電され、電磁コイル15cの電磁力によって弁体15aが高圧通路45の弁座部45aに圧着して高圧通路45を閉塞する。これに対して、電磁コイル15cへの通電が遮断されると、ばね15bのばね力により弁体15aが図2の上方へ移動して高圧通路45の弁座部45aから開離し高圧通路45を開口状態とする。
【0053】
次に、差圧弁16について説明する。差圧弁16は、電磁弁15の閉弁時(図2)に開弁し、電磁弁15の開弁時に閉弁するようになっており、このため、次のように構成されている。
【0054】
差圧弁16はその上方側及び下方側に位置する第1室60、第2室61を有しており、上方側の第1室60は、連通穴62及び電磁弁15の弁体15a周囲の空間を介して第1通路41に連通し、圧縮機吐出側の冷媒圧力が導入される。また、下方側の第2室61は、連通穴63、高圧通路45を介して第2通路42に連通し、凝縮器19入口側の冷媒圧力が導入される。
【0055】
また、第1室60内には差圧弁16の円柱状の弁体16aが上下方向に摺動可能に配置されている。弁体16aの大径部16bによって第1室60と第2室61との間を気密的に仕切るようになっている。第2室61には、弁体16aを暖房用減圧装置17の弁座部17a側に押圧するためのばね力を発生するばね16cが配置されている。暖房用減圧装置17は、小径の絞り通路からなる固定絞りにより構成されている。暖房用減圧装置17の絞り通路径d(図3)は具体的には例えば、φ2.4mm程度である。
【0056】
ここで、差圧弁16の動作について説明すると、電磁弁15が閉弁状態にある時(図2)は、圧縮機10吐出側の冷媒圧力が第1通路41、連通穴62を介して差圧弁16の第1室60に導入される。しかし、電磁弁15の閉弁により弁体15a下流側の高圧通路45は冷凍サイクル高圧側から遮断されるので、高圧通路45の圧力、すなわち、第2室61の圧力は圧縮機10吐出側の冷媒圧力より大幅に低い圧力まで低下する。
【0057】
その結果、差圧弁16の第1室60と第2室61との圧力差が圧縮コイルばね16cのばね力により設定される設定圧(例えば、0.49MPa)以上となるので、差圧弁16の弁体16aが上記圧力差により下方へ移動して暖房用減圧装置17の弁座部17aを開口し、差圧弁16が開弁状態となる。
【0058】
これに対し、電磁弁15が開弁状態になると、差圧弁16の第2室61には、電磁弁15下流側の高圧通路45の圧力が連通穴63を介して導入される。これと同時に、差圧弁16の第1室60には圧縮機10吐出側の冷媒圧力が第1通路41、連通穴62を介して導入される。
【0059】
このとき、高圧通路45の圧力は弁座部45aでの絞りにより第1通路41の圧力より所定値だけ低くなっているが、この圧力差による弁体16aの開弁方向(下方向)の力よりも、ばね16cのばね力による弁体16aの閉弁方向(上方向)の力が大きくなるように、ばね16cのばね力が設定してある。このため、電磁弁15の開弁時には、ばね16cのばね力により差圧弁16の弁体16aが暖房用減圧装置17の弁座部17aに圧着して閉弁状態となる。
【0060】
次に、ホットガスバイパス通路18について説明すると、ホットガスバイパス通路18は暖房用減圧装置17の絞り通路直後において絞り通路の方向(図2の上下方向)に対して直角方向(図2の左右方向)に向くように配置されている。この直角状の通路配置によりホットガスバイパス通路18には暖房用減圧装置17の絞り通路出口端に対向する対向壁面18aが形成される。
【0061】
ここで、ホットガスバイパス通路18の通路径D(図3)を暖房用減圧装置17の絞り通路径dに対して2倍以上、すなわち、D≧2dとなるよう設定している。従って、ホットガスバイパス通路18の対向壁面18aと暖房用減圧装置17の絞り通路の出口端との距離L(図3)も、暖房用減圧装置17の絞り通路径dに対して2倍以上、すなわち、L≧2dとなる関係に設定される。
【0062】
従って、暖房用減圧装置17の絞り通路径dを前述のように例えば、φ2.4mmとすれば、ホットガスバイパス通路18の通路径Dおよび距離Lは4.8mm以上となる。
【0063】
上記した直角状の通路配置は、1つのハウジング部材140内において各弁15、16、21の弁体作動方向を同一方向(図2の上下方向)に統一し、且つ、弁装置14(ハウジング部材140)における外部冷媒通路との接続部をなす第1〜第4通路41〜44の通路方向を弁体作動方向と直角方向(図2の左右方向)に統一するために採用している。
【0064】
ホットガスバイパス通路18の出口側は第3通路43に連通している。一方、第4通路44は低圧通路70を介してホットガスバイパス通路18の下流部と合流して第3通路43と連通するようになっている。そして、この低圧通路70に逆止弁21を設けて、ホットガスバイパス通路18の冷媒が第4通路44側へ流れることを防止するようになっている。
【0065】
この逆止弁21は、円板状の弁体21aと、この弁体21aに一端部が結合された軸部21bと、この軸部21bの他端部に結合されたストッパー部21cとを有する構成になっている。軸部21bは低圧通路70の弁座部70aの通路穴に対して摺動自在に嵌合している。
【0066】
図2は逆止弁21の閉弁状態を示しており、暖房用差圧弁16の開弁時には低圧通路70の入口圧力(第4通路44側圧力)<低圧通路70の出口圧力(第3通路43側圧力)という逆方向の圧力状態が生じるので、弁体21aが図2に示すように低圧通路70の弁座部70aに圧着して、逆止弁21が閉弁状態となる。
【0067】
これに反し、暖房用差圧弁16の閉弁時には低圧通路70の入口圧力(第4通路44側圧力)>低圧通路70の出口圧力(第3通路43側圧力)という順方向の圧力状態が生じるので、弁体21aが低圧通路70の弁座部70aから開離して図2の上方へ移動する。これにより、逆止弁21が開弁状態となる。そして、開弁状態ではストッパー部21cが弁座部70aの壁部に係止されることにより、逆止弁21の開弁位置が所定位置に規定され、保持される。
【0068】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。今、空調操作パネル33bの操作部材33cにより冷房モードが選択されると、電磁クラッチ11に通電されて電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動される。また、冷房モードが選択されたときは空調用電子制御装置33の制御信号により電磁弁15の電磁コイル15cが非通電の状態となる。
【0069】
これにより、電磁弁15ではばね15bのばね力により弁体15aが図2の位置から上方へ移動して高圧通路45を開口し、電磁弁15が開弁状態となる。この結果、差圧弁16においては第1室60と第2室61との圧力差が小となり、ばね16cのばね力により差圧弁16の弁体16aが暖房用減圧装置17の弁座部17aに圧着して、差圧弁16が閉弁状態を維持する。
【0070】
すると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は、弁装置14の第1通路41から高圧通路45を通過して第2通路42から弁装置14の外部へ流出して凝縮器19に流入する。凝縮器19では、冷却ファン19aにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。
【0071】
そして、凝縮器通過後の凝縮冷媒は固定絞りにて構成された冷房用減圧装置20で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。次に、この低圧冷媒は、第4通路44から再び弁装置14の内部に流入する。このとき、低圧通路70の逆止弁21に順方向の圧力が作用して逆止弁21が開弁する。従って、低圧冷媒は低圧通路70を通過して第3通路43から弁装置14の外部へ流出し、更に、低圧配管22を通過して蒸発器28内に流入する。
【0072】
この蒸発器28にて低圧冷媒は送風機27の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器28で冷却された空調空気は車室内25へ吹き出して車室内25を冷房する。蒸発器28で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ31内にてガス冷媒と液冷媒がその密度差により分離され、ガス冷媒が圧縮機10に吸入される。また、同時に、アキュームレータ31内の下側に溜まった液冷媒が潤滑オイルとともに若干量圧縮機10に吸入される。
【0073】
一方、冬期にホットガスヒータの暖房モードが選択されると、空調用電子制御装置33の制御信号により電磁クラッチ11に通電されて圧縮機10が車両エンジン12にて駆動される。また、暖房モードが選択されたときは空調用電子制御装置33の制御信号により電磁弁15の電磁コイル15cに通電される。
【0074】
これにより、電磁弁15の弁体15aが図2のように高圧通路45の弁座部45aに圧着して高圧通路45を閉塞し、電磁弁15が閉弁状態となる。この結果、差圧弁16においては第1室60の圧力>第2室61の圧力という圧力差が急激に増大し、この圧力差が設定圧以上になると、差圧弁16の弁体16aがばね16cのばね力に抗して下方へ移動し、暖房用減圧装置17の弁座部17aから開離する。これにより、差圧弁16が図2のように開弁状態となり、暖房用減圧装置17を構成する絞り通路が開口するので、ホットガスバイパス通路18が開通する。
【0075】
従って、圧縮機10の高温高圧の吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が弁装置14の第1通路41、連通穴62、及び第1室60を経て暖房用減圧装置17の絞り通路を通過する。これにより、圧縮機10の吐出ガス冷媒が暖房用減圧装置17にて所定の圧力まで減圧される。
【0076】
この後、減圧後のガス冷媒がホットガスバイパス通路18を通過して第3通路43から弁装置14の外部へ流出し、更に、低圧配管22を通過して蒸発器28内に流入する。この蒸発器28で高温ガス冷媒が送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。蒸発器28で加熱された空気はヒータコア29で温水熱源により再度加熱された後に車室内へ吹き出す。
【0077】
一方、蒸発器28で放熱したガス冷媒はアキュームレータ31を通過した後に圧縮機10に吸入され、再度圧縮される。そして、暖房モード時にはホットガスバイパス通路18の圧力>第4通路44の圧力という関係にあるため、逆止弁21の弁体21aが開弁位置から下方へ移動して図2のように低圧通路70の弁座部70aに圧着する。これにより、逆止弁21が閉弁状態となる。従って、ホットガスバイパス通路18の高温ガス冷媒が低圧通路70、冷房用減圧装置20を経て凝縮器19側へ逆流して、凝縮器19内に冷媒が滞留すること(寝込み現象)を抑制できる。
【0078】
ところで、暖房モード時には、圧縮機吐出ガス冷媒が暖房用減圧装置17の絞り通路で急激に減圧されて絞り通路から高速度で噴出する。その際、暖房用減圧装置17の絞り通路に対してホットガスバイパス通路18が直角方向に配置されているので、高速度のガス噴出流がホットガスバイパス通路18の対向壁面18aに衝突するという現象が発生する。
【0079】
そこで、本実施形態では、ホットガスバイパス通路18の通路径D(図3)を暖房用減圧装置17の絞り通路径dに対して2倍以上(D≧2d)となるよう設定して、ホットガスバイパス通路18の対向壁面18aと暖房用減圧装置17の絞り通路の出口端との距離Lが、暖房用減圧装置17の絞り通路径dに対して2倍以上(L≧2d)となるようにしている。
【0080】
これによると、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口端に対して対向壁面18aを遠ざけて、ガス噴出流の対向壁面18aに対する衝突速度を低下できる。この衝突速度の低下によって、ガス噴出流の直角流れに起因する乱流(渦流)も同時に抑制できる。このようにガス噴出流の衝突速度の低下と乱流の抑制を同時に達成することにより冷媒通過音を効果的に低減できる。
【0081】
次に、本実施形態による冷媒通過音の低減効果を図4により具体的に説明する。図4は暖房用減圧装置17の絞り通路径dをφ2.4mmに固定し、それに対し、ホットガスバイパス通路18の径Dをφ3.2mm、φ3.7mm、φ4.0mm、φ5.0mm、φ7.0mmに変化させた場合に、D=φ3.2mm(通路径の比D/d=1.33)の騒音レベルを基準とし、これに対する冷媒通過音の低減効果をまとめたものである。
【0082】
図4から理解されるように、D=φ3.2mm(D/d=1.33)の基準比較例に対して、D=φ5.0mm(D/d=2.08)、およびD=φ7.0mm(D/d=2.92)とした本実施形態の場合には衝突速度の低下と乱流エネルギーの抑制とによって、冷媒通過音を約5dB低減できることを確認できた。これに反し、D=φ4.0mm(D/d=1.67)程度では、冷媒通過音の低減効果がほとんど得られないことを確認できた。
【0083】
なお、図4において、冷媒通過音の低減効果は、6〜10kHzの周波数域の冷媒通過音の実測値に基づくものであって、基準比較例との音圧レベル差(dB差)で表している。
【0084】
これに対し、衝突速度および乱流エネルギーはコンピュータシミュレーションによる流れ解析結果に基づくものであり、乱流エネルギー(m2/s2)は、平均速度まわりで変動する各変動速度成分の分散の和の1/2であり、単位体積当たりの変動速度成分の運動エネルギーを流体密度で除したものである。
【0085】
そして、図5は通路径の比D/dと乱流エネルギーとの関係を示し、また、図6は通路径の比D/dと衝突速度との関係を示す。図5、図6から分かるように、通路径の比D/dが2倍以上になると、乱流エネルギーの抑制効果および衝突速度の低下効果をともに効果的に発揮できる。
【0086】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、暖房用減圧装置17の絞り通路出口側にホットガスバイパス通路18を直角方向に配置する通路構成を採用しているが、第2実施形態では図7に示すように、ホットガスバイパス通路18に暖房用減圧装置17の絞り通路の入口側に位置する第1通路部18bと、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口側に位置する第2通路部18cとを備え、第1通路部18bを冷媒流れが直角に曲がる曲げ通路形状に形成している。
【0087】
第1通路部18bの入口部は差圧弁16により開閉されるようになっているので、第1通路部18bの入口部の通路方向は冷媒差圧弁16の弁体作動方向(図7の上下方向)と同じである。従って、第1通路部18bは冷媒差圧弁16の弁体作動方向と一致する冷媒流れを直角に曲げるように構成されている。これに対し、第2通路部18cは暖房用減圧装置17の絞り通路方向(図7の左右方向)と直線状に連通するように配置されている。
【0088】
第2実施形態によると、暖房用減圧装置17の絞り通路の入口側に位置する第1通路部18bに直角の曲げ通路部を形成するから、減圧前の、流速が上昇していない高圧冷媒が直角の曲げ通路部を通過することになる。そのため、第1通路部18bにて冷媒の直角流れに伴う衝突が発生しても、その衝突速度および乱流エネルギーをともに小さい状態に抑制できる。
【0089】
しかも、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口側に第2通路部18cを直線状に連通しているから、第2通路部18cの壁面が暖房用減圧装置17の絞り通路の出口端に対向することがない。その結果、暖房用減圧装置17から高速度で噴出するガス噴出流が第2通路部18cの壁面に衝突するという現象が発生しない。以上により、ホットガスバイパス通路18の一部(第1通路部18b)に直角の曲げ通路部が形成されていても、冷媒の直角流れに伴う冷媒通過音を効果的に低減できる。
【0090】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口側に直線状に連通する第2通路部18cを通路面積が一定に維持される円管状の通路形状にしているが、第3実施形態では図8、図9に示すように、第2通路部18cを冷媒流れの下流に向かって通路面積が拡大するテーパ形状にしている。
【0091】
図9は第3実施形態の具体的寸法例を示すものであり、ホットガスバイパス通路18の第1通路部18bの径=φ3.2mm、暖房用減圧装置17の絞り通路径=φ2.4mm、暖房用減圧装置17の絞り通路長さ=3.5mm、第2通路部18cの長さ=6.5mm、テーパ角=20°である。
【0092】
第3実施形態によると、上記第2実施形態と同一の作用効果を発揮できる。それに加えて、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口側に位置する第2通路部18cの通路面積をテーパ形状により緩やかに増大するから、絞り通路出口における冷媒圧力の急低下を緩和することができる。その結果、暖房用減圧装置17の絞り通路直後における冷媒圧力急低下に伴う冷媒流速の急上昇を抑制できる。同時に、冷媒流速の急上昇に伴う乱流の増大も抑制できる。これにより、第3実施形態では暖房モード時の冷媒通過音を第2実施形態よりも一層低減できる。
【0093】
(第4実施形態)
前述の第2実施形態では、暖房用減圧装置17の絞り通路を単一の円形状の通路穴により形成しているが、第4実施形態では図10、図11に示すように、暖房用減圧装置17の絞り通路を並列に開口する複数の微小穴170により形成している。
【0094】
図11(b)は暖房用減圧装置17の絞り通路を構成する複数の微小穴170の平面配置形状を示しており、図示の例では、中央部の1個の微小穴170の周りに、4個の微小穴170を等間隔にて配置した構成になっている。
【0095】
図11は第4実施形態の具体的寸法例を示すものであり、ホットガスバイパス通路18の第1通路部18bの径=φ3.2mm、第2通路部18cの径=φ6mmである。そして、暖房用減圧装置17の5個の微小穴170の合計通路面積が、第2実施形態の単一穴による絞り通路の場合と同一の通路面積となるように微小穴170の径が設定してある。具体的には、単一穴による絞り通路の径=φ2.4mmである場合は、5個の微小穴170の径=φ1mmとする。
【0096】
第4実施形態によると、前述の第2実施形態と同一の作用効果を発揮できる。それに加えて、暖房用減圧装置17の絞り通路を並列に開口する複数の微小穴170により形成しているから、第1通路部18bからの冷媒が複数の各微小穴170にそれぞれ分岐して流れることにより減圧され、第2通路部18cへと流れる。
【0097】
従って、複数の微小穴170を図11(b)のように第2通路部18cの通路断面上に均一に配置することにより、減圧後の冷媒流れを第2通路部18cの通路断面上に均一に形成できる。
【0098】
図12は、第3、第4実施形態による衝突速度の低減効果を比較例と対比して示す。ここで、比較例は図4の最上段のD/d=1.33の比較例と同じものであり、第3実施形態は図9の具体的寸法にて設計したものであり、第4実施形態は図11の具体的寸法にて設計したものである。
【0099】
第3、第4実施形態による衝突速度は、第1通路部18bでの直角流れによる衝突速度であり、比較例に比較して大幅に低減できる。また、第3、第4実施形態による衝突速度は第1実施形による衝突速度(図4)より更に低減できる。
【0100】
(他の実施形態)
なお、上記の第1〜第4実施形態では、暖房用減圧装置17の絞り通路の前後における冷媒通路の曲げ形状を直角の曲げ形状としているが、この冷媒通路の曲げ形状を直角より曲げ角度が大きい鈍角状の曲げ形状としたり、あるいは直角より曲げ角度が小さい鋭角状の曲げ形状としても、本発明を同様に適用できる。
【0101】
また、第2〜第4実施形態では、暖房用減圧装置17の絞り通路の出口側に位置する第2通路部18cを、暖房用減圧装置17の絞り通路の方向に対して直線状に連通させているが、第2通路部18cを暖房用減圧装置17の絞り通路の方向に対して微小角度傾斜して連通させてもよい。
【0102】
つまり、第2通路部18cの直線状の連通とは、完全な一直線状の連通のみに限定されず、微小な傾斜による連通をも包含する意味である。
【0103】
また、上記の第1〜第4実施形態では、冷房用減圧装置20を弁装置14と別体で構成しているが、冷房用減圧装置20をオリフィス、ノズルのような通路長さの短い固定絞りで構成して、弁装置14のハウジング部材140の内部に一体的に冷房用減圧装置20を構成することもできる。すなわち、ハウジング部材140の第4通路44部分に冷房用減圧装置20を構成する固定絞りを配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による車両空調用冷凍サイクル装置の全体システム図である。
【図2】第1実施形態による弁装置の断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】第1実施形態による冷媒通過音の低減効果を示す図表である。
【図5】第1実施形態による乱流エネルギーの解析結果を示すグラフである。
【図6】第1実施形態による衝突速度の解析結果を示すグラフである。
【図7】第2実施形態による弁装置の断面図である。
【図8】第3実施形態による弁装置の断面図である。
【図9】図8の要部拡大図である。
【図10】第4実施形態による弁装置の断面図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【図12】第3、第4実施形態による衝突速度の低減効果を示す図表である。
【図13】先願発明による弁装置の断面図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、15…電磁弁(冷房用弁手段)、
16…差圧弁(暖房用弁手段)、17…暖房用減圧装置、
18…ホットガスバイパス通路、18a…対向壁面、18b…第1通路部、
18c…第2通路部、19…凝縮器、20…冷房用減圧装置、21…逆止弁、
28…蒸発器、45…高圧通路、70…低圧通路、140…ハウジング部材。

Claims (3)

  1. 冷房用減圧装置(20)にて減圧された低圧冷媒が蒸発器(28)で蒸発して空気を冷却する冷房モードと、圧縮機(10)吐出側のガス冷媒を前記蒸発器(28)に直接導入して前記蒸発器(28)で放熱させる暖房モードとを切り替える冷凍サイクル装置に用いる弁装置において、
    ハウジング部材(140)と、
    前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記冷房モードと前記暖房モードとの冷媒流れを切り替える弁手段(15、16)と、
    前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記暖房モード時に前記圧縮機(10)吐出側のガス冷媒が前記蒸発器(28)の入口側に向かって流れるホットガスバイパス通路(18)と、
    前記ハウジング部材(140)に設けられ、前記ホットガスバイパス通路(18)を通過する前記ガス冷媒を減圧する暖房用減圧装置(17)とを備え、
    前記ホットガスバイパス通路(18)に、前記暖房用減圧装置(17)の絞り通路入口側に位置して前記ガス冷媒の流れを曲げる曲げ通路形状からなる第1通路部(18b)と、前記暖房用減圧装置(17)の絞り通路出口側に位置して前記絞り通路の方向と略直線状に連通する第2通路部(18c)とを設け、
    前記第1通路部(18b)の入口側端面に弁座部(17a)が形成され、
    前記弁手段として、前記第1通路部(18b)を開閉する暖房用弁手段(16)を有し、
    前記暖房用弁手段(16)は、前記第1通路部(18b)の入口側空間内に位置する弁体(16a)を具備しており、
    前記弁体(16a)が前記入口側空間内で前記弁座部(17a)に対して圧着、開離する方向に作動することにより、前記第1通路部(18b)を開閉するようになっており、
    前記第1通路部(18b)は、前記弁体(16a)の作動方向と一致する冷媒流れを前記暖房用減圧装置(17)の絞り通路入口側に向けて直角に曲げる形状になっており、
    前記第2通路部(18c)の径は前記暖房用減圧装置(17)の絞り通路の径よりも大きくなっており、
    さらに、前記ハウジング部材(140)には、前記第2通路部(18c)の出口側が連通する低圧通路(70)、及び前記蒸発器(28)の入口側への接続部をなす接続通路(43)が設けられ、
    前記第2通路部(18c)の出口側は前記低圧通路(70)により前記接続通路(43)に連通し、
    前記低圧通路(70)及び前記接続通路(43)は、前記第2通路部(18c)の径よりも大きい径寸法でもって前記絞り通路及び前記第2通路部(18c)の方向と同一方向に形成されていることを特徴とする冷凍サイクル装置に用いる弁装置。
  2. 前記第2通路部(18c)の少なくとも入口部を冷媒流れの下流に向かって通路面積が拡大するテーパ形状に形成したことを特徴とする請求項に記載の冷凍サイクル装置に用いる弁装置。
  3. 前記暖房用減圧装置(17)の絞り通路を並列に開口する複数の微小穴(170)により構成したことを特徴とする請求項に記載の冷凍サイクル装置に用いる弁装置。
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