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JP4046521B2 - 積層鉄心及びこれを用いた固定子の製造方法 - Google Patents

積層鉄心及びこれを用いた固定子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの固定子に使用する積層鉄心及びこれを用いた固定子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータに使用される鉄心は、珪素鋼板等の薄板材料から鉄心片を打ち抜き後、積層することによって製造される。そして、固定子用の鉄心については、通常内側に磁極部を備えて環状に形成されるが、環状に形成した状態で巻線を行うと、鉄心を固定した状態で銅線(巻線を構成する)の方を回さざるをえず、使用する銅線に捩れが発生し、集中巻が難しいという問題が生じる。そこで、近年では固定子のコアを分割して形成し(分割積層コアとなる)、各分割積層コア毎に巻線を行った後、これらの分割積層コアを連結して環状に形成することが行われている。
ここで、各分割積層コアの結合において、例えば、各分割積層コアを溶接によって接合すると、各鉄心片が固着結合されてしまうので、各鉄心片間の絶縁性が悪くなり、更には歪みも発生する。そこで、各鉄心片に予め連結孔を形成すると共に、組合わさった隣り合う分割積層コアが、前記連結孔の部分で噛合するように構成し、上下に貫通する前記連結孔にピンを挿入することによって、複数の分割積層コアを連結することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のピンはステンレス鋼等のように、鉄心の製造に用いられる磁性材料とは異なる材料が使用され、更には、一体物であったので、鉄損(特に、渦電流損)が発生するという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、巻線が容易でしかも鉄損が減少し、モータの効率を向上することが可能な積層鉄心及びこれを用いた固定子の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心は、複数の鉄心片を積層させて、両側に隣り合う分割積層コアを連結する噛合部が形成された複数の分割積層コアを形成し、これらの分割積層コアを結合して環状に形成する積層鉄心において、
前記各分割積層コアは、両側に隣り合う該分割積層コアの噛合部と噛合部を噛み合わせて、該噛み合った噛合部の連結孔の軸心を直線状とし、薄板磁性材料を平面視して円形の半抜き突起によってかしめ結合して形成され、その外径が前記連結孔の内径と一致する積層軸を前記連結孔に圧入して結合されている。これによって、隣り合う分割積層コアを連結できると共に、積層軸は磁性体であるので磁気特性が劣化しない。
更には、積層鉄心の本体と同じく表面処理されて各層の薄板磁性材料が絶縁状態を保持しているものを積層軸に使用することによって、渦電流損も減少する。
特に、第2の発明に係る積層鉄心は、第1の発明に係る積層鉄心において、前記薄板磁性材料には前記鉄心片と、同材質で同板厚の薄板磁性材料が使用されている。これによって、材料及び処理工程の節約ができる。
【0005】
また、第3の発明に係る固定子の製造方法は、薄板磁性材料から複数の鉄心片をプレス加工し、これを積層させて、両側に隣り合う分割積層コアを連結する噛合部が形成された複数の分割積層コアを作り、これらの分割積層コアの各磁極部に巻線を施した後、環状に形成する固定子の製造方法であって、
薄板磁性材料を平面視して円形の半抜き突起によってかしめ結合して形成された積層軸を用意し、隣り合う前記分割積層コアの噛合部と噛合部を噛み合わせて、各噛合部にある連結孔の軸心が直線状になるようにし、該直線状になった連結孔に、その外径が該連結孔の内径と一致する前記積層軸を圧入して前記分割積層コアの連結を行っている。これによって、分割積層コアの連結部分の磁気的特性の劣化を防止できる。
そして、第4の発明に係る固定子の製造方法は、第3の発明に係る固定子の製造方法において、前記薄板磁性材料の前記鉄心片の形成領域以外の領域から前記積層軸の軸片が形成されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)は本発明の第1の実施の形態に係る固定子の一部を構成する積層鉄心の一部省略断面図、(B)はこの積層鉄心に使用する積層軸の断面図、図2は同固定子の斜視図、図3は同固定子の製造方法の説明図、図4は同固定子の製造方法の説明図、図5は本発明の第2の実施の形態に係る固定子を一部を構成する積層鉄心の平面図、図6は本発明の第3の実施の形態に係る固定子の一部を構成する積層鉄心の説明図である。
【0007】
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る固定子10は、積層鉄心11とこの積層鉄心11の各磁極部12に巻回されたコイル13とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。
積層鉄心11は複数枚の鉄心片を積層させて、それぞれ磁極部12を有する複数の分割積層コア15を形成し、隣り合う分割積層コア15を積層軸(即ち、連結ピン)16によって連結して環状に構成されている。
図3に示すように、分割積層コア15は薄板磁性材料の一例である珪素鋼板17をプレス加工して順次形成されている。即ち、図3に示すように、最初の(A)工程で、積層軸16の軸片18のかしめ突起19と、鉄心片20、21のかしめ突起22〜24とを打ち抜く。かしめ突起19は平面視して円形の半抜き突起によって構成され、かしめ突起22〜24は側部に切り込みが入った山形状突起によって構成されている。
【0008】
そして、(B)工程でそれぞれの鉄心片20、21の片側に設けられている連結孔25、26を打ち抜く。鉄心片20、21の中央部分は全く同一で、鉄心片20においては図3において左側に連結板部27が設けられ、鉄心片21においては右側に連結板部28が設けられている。連結孔25、26はそれぞれ連結板部27、28に設けられている。
次の(C)工程で、これらの鉄心片20、21の外形抜きを行い、下部金型の中で順次積層する。なお、最下部から2枚目の鉄心片を鉄心片21とすると、最下部の鉄心片29(図1(A)参照)は、鉄心片20と同一の外形を有し、かしめ突起22〜24に対応する部分がかしめ孔となって、2枚目の鉄心片21のかしめ突起22〜24の下部突出部がそれぞれ密着嵌入するようになっている。
従って、最初に鉄心片29を打ち抜き、次に鉄心片21と鉄心片20を交互に打ち抜いて所定枚数積層すると、図2に示すような分割積層コア15が形成される。
【0009】
一方、積層軸16の最下部の軸片30(図1参照)は、上部の軸片18のかしめ突起19が嵌入するかしめ孔31が形成されている。従って、鉄心片29、21、20の打ち抜きと同時に軸片30及び所定枚数の軸片18を打ち抜いて積層すると、図1(A)、(B)に示すような積層軸16が形成される。なお、積層軸16の外径は連結孔25、26の内径に実質的に一致し、積層軸16が連結孔25、26に圧入されている。なお、(D)工程及び(E)工程は、鉄心片20、21が打ち抜かれた後の状態を示す。また、32はパイロット孔を示す。これによって、図4に示すような分割積層コア15が製造される。両側に隣合う分割積層コア15を連結する噛合部33、34が形成される。
【0010】
次に、それぞれの分割積層コア15に必要な絶縁シートを被せた後に磁極部12に所定のコイル13を巻く。これは磁極部12を磁化するためのものである。
そして、8個の分割積層コア15を用意しこれを隣り合わせて、各分割積層コア15の噛合部33と噛合部34を噛み合わせ、噛合部33、34にある各鉄心片20(29)、21の連結孔25、26の軸心が直線状になるようにして、予め製造されている積層軸16を直線状となった連結孔25、26に入れ込み、全体の組み立てが完了する。
これによって、積層鉄心11の全体が鉄心片によって構成されるので、磁気的特性が均一になり、更には、渦電流損(鉄損)が減少する。
【0011】
次に、図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る固定子に使用する積層鉄心35について説明するが、前記実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
この実施の形態においては、一つの分割積層コア36に2つの磁極部37、38を有し、それぞれの磁極部37、38を構成する鉄心片についてかしめ突起22〜24が設けられている。なお、最下部の鉄心片にその上に重なる鉄心片のかしめ突起22〜24が嵌入するかしめ孔が設けられている。これによって分割積層コアの数が減少するという利点がある。
【0012】
次に、図6に示す本発明の第3の実施の形態に係る固定子に使用する積層鉄心の分割積層コア39を示すが、隣り合う分割積層コア39の噛合部40、41が個々の鉄心片ごとではなく、複数枚の鉄心片が重なった状態で構成されている。この場合も、噛合部40、41の連結孔42、43は噛合部40、41を結合させた場合には、同一直線上にあって、先に述べた積層軸16を連結孔42、43に通して隣り合う分割積層コア39を連結する。これによって、分割積層コア39の組み立てが容易であるという利点がある。
【0013】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での改良、変更が含まれる。例えば、前記実施の形態においては、積層軸16の軸片18、30は、薄板磁性材料の鉄心片の形成位置とは異なる位置に形成したが、各鉄心片の連結孔からできる抜き屑を利用して積層軸を構成することもできる。この場合、抜き屑の直径が少し小さくなる場合には、最終段階で全体を長さ方向に加圧して拡径することができる。
また、図1に示す例では、各鉄心片20、21、29の境界面と、積層軸16の各軸片18、30の境界面を一致させているが、積層軸16の境界面を各鉄心片20、21の厚さ方向中間位置に配置してもよい。これによって、各鉄心片20、21の連結が更に強まる。
また、前記実施の形態においては、鉄心片20、21、29を製造した珪素鋼板と同一の珪素鋼板によって積層軸を製造しているが、異なる薄板磁性材料によって構成してもよい。
【0014】
【発明の効果】
請求項1、2記載の積層鉄心、及び請求項3、4記載の固定子の製造方法においては、各分割積層コアは、薄板磁性材料をかしめ結合した積層軸によって結合されている。これによって、積層軸がピンとして働き、隣り合う分割積層コアを連結できると共に、積層軸は磁性体であるので磁気特性が劣化しない。
更には、積層鉄心の本体と同じく表面処理されて各層の薄板磁性材料が絶縁状態を保持しているものを積層軸に使用することによって、渦電流損(鉄損)も減少し、モータの効率を向上する。
特に、請求項2記載の積層鉄心、及び請求項4記載の固定子の製造方法は、積層軸の薄板磁性材料には鉄心片と、同材質で同板厚の薄板磁性材料が使用されている。これによって、材料及び処理工程の節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る固定子の一部を構成する積層鉄心の一部省略断面図、(B)はこの積層鉄心に使用する積層軸の断面図である。
【図2】同固定子の斜視図である。
【図3】同固定子の製造方法の説明図である。
【図4】同固定子の製造方法の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る固定子を一部を構成する積層鉄心の平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る固定子の一部を構成する積層鉄心の説明図である。
【符号の説明】
10:固定子、11:積層鉄心、12:磁極部、13:コイル、15:分割積層コア、16:積層軸、17:珪素鋼板、18:軸片、19:かしめ突起、20、21:鉄心片、22〜24:かしめ突起、25、26:連結孔、27、28:連結板部、29:鉄心片、30:軸片、31:かしめ孔、32:パイロット孔、33、34:噛合部、35:積層鉄心、36:分割積層コア、37、38:磁極部、39:分割積層コア、40、41:噛合部、42、43:連結孔

Claims (4)

  1. 複数の鉄心片を積層させて、両側に隣り合う分割積層コアを連結する噛合部が形成された複数の分割積層コアを形成し、これらの分割積層コアを結合して環状に形成する積層鉄心において、
    前記各分割積層コアは、両側に隣り合う該分割積層コアの噛合部と噛合部を噛み合わせて、該噛み合った噛合部の連結孔の軸心を直線状とし、薄板磁性材料を平面視して円形の半抜き突起によってかしめ結合して形成され、その外径が前記連結孔の内径と一致する積層軸を前記連結孔に圧入して結合されていることを特徴とする積層鉄心。
  2. 請求項1記載の積層鉄心において、前記薄板磁性材料には前記鉄心片と、同材質で同板厚の薄板磁性材料が使用されていることを特徴とする積層鉄心。
  3. 薄板磁性材料から複数の鉄心片をプレス加工し、これを積層させて、両側に隣り合う分割積層コアを連結する噛合部が形成された複数の分割積層コアを作り、これらの分割積層コアの各磁極部に巻線を施した後、環状に形成する固定子の製造方法であって、
    薄板磁性材料を平面視して円形の半抜き突起によってかしめ結合して形成された積層軸を用意し、隣り合う前記分割積層コアの噛合部と噛合部を噛み合わせて、各噛合部にある連結孔の軸心が直線状になるようにし、該直線状になった連結孔に、その外径が該連結孔の内径と一致する前記積層軸を圧入して前記分割積層コアの連結を行うことを特徴とする積層鉄心を用いた固定子の製造方法。
  4. 請求項3の固定子の製造方法において、前記薄板磁性材料の前記鉄心片の形成領域以外の領域から前記積層軸の軸片が形成されていることを特徴とする積層鉄心を用いた固定子の製造方法。
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