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JP3939502B2 - 自動車用モール - Google Patents

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JP3939502B2
JP3939502B2 JP2001073241A JP2001073241A JP3939502B2 JP 3939502 B2 JP3939502 B2 JP 3939502B2 JP 2001073241 A JP2001073241 A JP 2001073241A JP 2001073241 A JP2001073241 A JP 2001073241A JP 3939502 B2 JP3939502 B2 JP 3939502B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の外装材として用いられるモールの構造に関し、特に車体のルーフサイド部の溝部に沿って配設されるルーフサイドモール部と、フロントピラーおよびリアピラーのうち少なくともいずれか一方のピラー部に沿って配設されるウインドシールドサイドモール部とが、互いに連続するように長尺一体のものとして押出成形されたタイプの自動車用モールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動車用モールとして特開平9−24778号公報および特開平10−86766号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
特開平9−24778号公報に記載の技術では、フロント側のウインドシールドガラスとフロントピラーとの間の隙間を隠蔽するべくそのフロントピラーに沿って配設されるフロント側のウインドシールドサイドモール部と、ルーフサイド部において車体パネル同士の接合部を形成することになる溝部に沿って配設されるルーフサイドモール部とを、それぞれの要求断面形状が互いに異なることを容認しつつも長尺一体のものとして公知の可変断面押出工法により一体成形したものである。
【0004】
また、特開平10−86766号公報に記載の技術では、上記フロント側のウインドシールドサイドモール部とルーフサイドモール部に加えて、リア側のウインドシールドガラスとリアピラーとの間の隙間を隠蔽するべくそのリアピラーに沿って配設されるリア側のウインドシールドサイドモール部までも一体化したものである。
【0005】
そして、例えば特開平9−24778号公報では、図9,10に示すようにルーフサイド部の溝部101に配設されることになるルーフサイドモール部100Aについてはそのモール本体102の両側部にリップ103,104を設定して、溝部101に対するルーフサイドモール部100Aの嵌合時にその双方のリップ103,104を溝部101の内側面に圧接させる一方、フロントピラー105に沿うことになるフロント側のウインドシールドサイドモール部100Bでは、フロントピラー105の側面に圧接することになるリップ103についてはルーフサイドモール部100A側のものと連続した共通形状のものとするも、ルーフサイドモール部100A側のリップ104と連続することになるもう一方のリップ106についてはこれを極小のものとした上でフロント側のウインドシールドガラス107に圧接させるようにしてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の自動車用モールにあっては、それぞれの部位での断面形状を変化させながら長手方向では一体のものとして押出成形するものであるから、フロント側のウインドシールドサイドモール部100Bとルーフサイドモール部100Aとの間、およびルーフサイドモール部100Aと図示しないリア側のウインドシールドサイドモール部との間には、車体そのものの造型の上では必ずしも必要でないにもかかわらず、一方の断面形状から他方の断面形状へとその断面形状が連続的に変化する徐変部たる断面変化形状部の発生が不可避であり、一般的には、この断面変化形状部はフロントピラーとルーフ部とのなすコーナー部およびルーフ部とリアピラーとのなすコーナー部にそれぞれ設定される。
【0007】
そして、上記断面変化形状部の長さとしては極力短いこと(すなわち、その断面変化形状部にて一方の断面形状から他方の断面形状に急激に形状変化させること)が望ましいにもかかわらず、工法の特殊性としてその長さをある程度長くならざるを得ないことから、結果として車体パネル側の形状にモールの形状が忠実に追従しない部位ができ、例えば車両装着時にモールの部分的な浮き上がりやねじれが生じやすくなり、いわゆるモールとしての車両適合性が悪くなる。
【0008】
また、上記断面変化形状部の長さを極端に短くすると、押出成形されるモールの断面形状が押出機側の口金の形状変化に追従できずにその形状安定性が極端に悪くなり、例えばモール外表面に変形や波打ち現象が生じてモールそのものの外観品質が大幅に低下することとなって好ましくない。
【0009】
特に図9,10の例では、フロント側のウインドシールドサイドモール部100Bからルーフサイドモール部100Aへと変化する断面変化形状部では、モール本体102そのものの断面形状が図10の大きさから図9の大きさのものへと漸次変化するのと同時に、リップ106についても図9の大きさのリップ104へと成長するべくその断面形状が漸次変化することになり、溝部101の開始位置すなわち溝部101の最前端位置ではリップ106からリップ104への断面変化区間(徐変区間)が終わっていてリップ104が図12の大きさのものとなっているのが理想であるにもかかわらず、そのような構造は採用し得ない。何故ならば、溝部101の最前端位置でリップ106からリップ104への断面変化区間が終わるようにするためには、ウインドシールドサイドモール部100Bの一部として機能するリップ106を早い時期からもう一方のリップ104へと断面変化させなければならず、リップ106本来の機能が阻害されてしまうからである。
【0010】
したがって、上記のようにリップ106からリップ104への断面変化区間(徐変区間)が終わる位置は溝部101の最前端位置よりもある程度奧部(後部)側に入った位置とならざるを得ず、その区間では溝部101の内側面に圧接すべきリップ104の形状が不完全なものとなり、結果としてリップ104ひいてはルーフサイドモール部100A本来の嵌合保持力が低下することなり、車体に対するモールの適合性が悪くなる。
【0011】
本発明は、以上のような課題に着目してなされたもので、互いに断面形状が異なるルーフサイドモール部やフロント側のウインドシールドサイドモール部もしくはリア側のウインドシールドサイドモール部が長手方向で連続したモールであることを前提としつつも、特に車両適合性を改善した自動車用モールを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車体のルーフサイド部の溝部に沿って配設されるルーフサイドモール部と、フロントピラーおよびリアピラーのうち少なくともいずれか一方のピラー部に沿って配設されて前記ルーフサイドモール部とは断面形状が異なるウインドシールドサイドモール部とが、互いに長手方向で連続するように一体のものとして押出成形された自動車用モールであることを前提としている。
【0013】
その上で、上記ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部におけるモール本体の車外側の側面に、上記溝部の車外側の内側面もしくはウインドシールドガラスの端面と対向するピラー面に圧接することになる均一断面形状のアウタリップを相互に連続するように形成するとともに、上記ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部におけるモール本体の車内側の側面には、相互に連続することになる均一断面形状の凹部を長手方向に沿って形成する。そして、この凹部のうちルーフサイドモール部に相当する部分には、上記溝部の車内側の内側面に圧接することになるインナリップを嵌合固定したことを特徴としている。
【0014】
この請求項1に記載の発明が対象とする自動車用モールには、ルーフサイドモール部とフロント側のウインドシールドサイドモール部およびリア側のウインドシールドサイドモール部の三者が一体化されたタイプのもののほか、ルーフサイドモール部とフロント側のウインドシールドサイドモール部もしくはリア側のウインドシールドサイドモール部とが一体に形成されたタイプのものが含まれるものとし、上記ルーフサイドモール部やフロント側のウインドシールドサイドモール部およびリア側のウインドシールドサイドモール部については、それ自体の長手方向で断面形状が連続的に変化するタイプのものでもよい。
【0015】
したがって、この請求項1に記載の発明では、ルーフサイドモール部からウインドシールドサイドモール部にまたがる部分である程度の長さにわたって発生するモール本体の徐変部たる断面変化形状部を容認しつつ、アウタリップおよび凹部についてはルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部の双方に共通形状のものとしてそのモール本体に形成する。同時に、インナリップについては相手側となる溝部の大きさ等に応じた所定のリップ長を有し且つその溝部の長さに適合するように予め別体のものとして均一断面形状に形成しておく。そして、モールが所定長さのものとして押出成形された後に、モール本体の長手方向に沿って形成された凹部のうちルーフサイド部の溝部に相当する長さ部分のみに別体のインナリップを挿入,固定する。
【0016】
こうすることにより、ルーフサイドモール部はそのルーフサイドの溝部に相当する部分の全長領域において正規形状で且つ完全形状のインナリップを備えていることになり、その溝部に対するインナリップひいてはルーフサイドモール部の適合性がきわめて良好なものとなる。また、凹部のうちウインドシールドサイドモール部に相当する部分ではインナリップが挿入されることはなく、凹部そのものがウインドシールドガラスから車両側方への雨水等の回り込みを防止するための雨水捕集用のいわゆるドリップ溝として機能することになる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明を前提とした上で、上記ルーフサイドモール部とウインドシールドモール部との間であって且つ車体のルーフ部とピラー部とのなすコーナー部に相当する部分に、一方の断面形状から他方の断面形状へと連続的に変化する断面変化形状部が一体に形成されているとともに、この断面変化形状部が局部的に切除されることにより切欠部が形成されていて、この切欠部には、上記コーナー部の形状に忠実に追従するコーナーピース部が二次成形により一体に成形されていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明を前提として、上記コーナーピース部には該コーナーピース部をルーフ部に固定するための固定手段が設けられていることを特徴としている。
【0019】
上記の断面変化形状部の長さとしては、外観品質が低下しない範囲内で極力短い長さに設定する。ただし、上記切欠部に相当する部分に成形上の不具合が多少発生することは容認される。何故ならば、上記切欠部の相当する部分ではその材料が事後的に切除されてしまうためにモールの品質上問題となることはないからである。
【0020】
さらに請求項3に記載の発明にいうところの固定手段には、樹脂あるいは金属製のクリップのほか両面接着テープ等が含まれる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明を前提とした上で、上記コーナーピース部には、ルーフ部の前縁もしくは後縁に沿って配設されることになるウインドシールドアッパーモールの端末部を受容するための受容溝部が形成されていることを特徴としている。
【0022】
したがって、これら請求項2〜4に記載の発明では、上記のようにルーフサイドモール部からウインドシールドサイドモール部にまたがる部分である程度の長さにわたって発生する断面変化形状部を積極的に容認し、モールそのものの押出成形後に断面変化形状部を部分的に切除して切欠部を形成し、代わってその部分にルーフ部等の車体パネル側の造型に合わせてコーナーピース部を射出成形法等により成形することで、上記断面変化形状部の車体そのものへの適合性が良くなる。
【0023】
同時に、そのコーナーピース部にクリップあるいは両面接着テープ等の固定手段を設けることにより、上記断面変化形状部ひいてはモールそのものが一段と確実に車体に位置決め固定され、モールの浮き上がり等を防止する上でより効果的なものとなる。
【0024】
そして、請求項4に記載の発明のように、上記コーナーピース部に、ルーフ部の前縁もしくは後縁に沿って配設されることになるウインドシールドアッパーモールの端末部を受容するための受容溝部が形成されていると、そのウインドシールドアッパーモールとの接続も良好なものとなる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部のそれぞれにアウタリップおよび凹部を共通形状のものとして形成する一方、凹部のうちルーフサイドモール部に相当する部分すなわちルーフサイド部の溝部に相当する部分のみに別体のインナリップを嵌合固定するようにしたものであるから、そのルーフサイド部の溝部に相当する部分に従来のようなインナリップの徐変部が位置することがなく、ルーフサイド部の溝部全長にわたって正規形状で且つ完全形状のインナリップが圧接することから、そのリップ反力によるルーフサイドモール部の嵌合保持力に優れ、モールの取付剛性が高くなるとともに、車両適合性が大幅に向上する効果がある。
【0026】
また、ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部のそれぞれについてアウタリップおよび凹部を共通形状のものとして形成していることから、モールの押出成形の際に一方向にのみ断面形状変化を与えるだけで所期の形状のモールを得ることができ、成形性に優れるとともに押出機の構造も簡素化できる利点がある。
【0027】
その上、上記凹部を共通形状としてインナリップの大きさや形状を変えることにより、ルーフサイド部の溝部の形状や大きさが異なる場合であっても容易に対応できる利点がある。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、押出成形された断面変化形状部を部分的に切除して切欠部を形成した上で、代わってその切欠部に車体側コーナー部形状に忠実に追従するコーナーピース部を成形したものであるから、断面変化形状部を車体側コーナー部形状に忠実に追従させることができるようになって車両適合性が一段と向上し、特にモールの部分的な浮き上がりやねじれ等の発生を防止して車両外観品質の向上に大きく貢献できる効果がある。
【0029】
特に、請求項3に記載の発明のようにコーナーピース部にクリップあるいは両面接着テープ等の固定手段が設けられていると、モールの固定保持力が大幅に向上して車両適合性がなお一層向上する効果がある。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、上記コーナーピース部にウインドシールドアッパーモールの端末部を受容するための受容溝部を形成したものであるから、ルーフサイド部からフロントピラー部もしくはリアピラー部にまたがって配設されることになるモールとウインドシールドアッパーモールとの接続部での外観的な見栄えも良好なものとなる効果がある。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1〜8は本発明に係る自動車用モールの好ましい実施の形態を示す図である。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態が対象としている樹脂製の自動車用モール(以下、単にモールという)1は、車体のフロントピラー2からルーフ3のルーフサイド部にまたがる部分のほぼ全長にわたり一本の連続したものとして配設されるタイプのものであって、図2,3に示すように長手方向でその断面形状が互いに異なるフロント側のウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bとを含んでいる。
【0033】
より詳しくは、モール1は、図2,3のほか図4に示すように、接着タイプのフロントガラス(フロントウインドシールドガラス)4の側縁部とフロントピラー(フロントピラーアウターパネル)2の縦壁部2aとの間の隙間を埋めるべくそのフロントピラー2に沿って配設される均一断面形状のフロント側のウインドシールドサイドモール部1Aと、ルーフ3のうちそのルーフサイド部におけるルーフサイド溝(溝部)5に嵌合するように配設される同じく均一断面形状のルーフサイドモール部1Bとを有していて、上記フロントピラー2の上端部からルーフ3へと屈曲変化する部分すなわちウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bとの中間部分には、図4に示すようにウインドシールドサイドモール部1Aおよびルーフサイドモール部1Bのうち一方の断面形状から他方の断面形状へと連続的に変化するいわゆる徐変部としての断面変化形状部1Cが設けられている。
【0034】
なお、上記ウインドシールドサイドモール部1Aおよびルーフサイドモール部1Bは必ずしも均一断面形状のものに限らず、例えばそのウインドシールドサイドモール部1Aの上端部から下端部に向かって漸次高さが大きくなるタイプのものであってもよい。また、上記ルーフサイド溝5は多くの場合に図9のような車体パネル同士の接合部位に設定される。
【0035】
そして、後述するようにフロントガラス4の上縁部とルーフ3の前縁との間には別のウインドシールドアッパーモール7が配設されるようになっており(図8参照)、このウインドシールドアッパーモール7の端末部は上記断面変化形状部1Cにおいてそのモール1と突き合わされて接続されることになる。
【0036】
上記ウインドシールドサイドモール部1Aは、図2,4に示すように、比較的フラットな頭部8が一体に成形されたモール本体9のほか、単一のアウタリップ10および略二股状の脚部11等を備えていて、フロントピラー2側へはファスナー12および接着剤15を介して装着されることにより正規組付状態となる一方、この正規組付状態ではモール本体9のあご部13がフロントガラス4に圧接するとともに、アウタリップ10が車体パネルであるフロントピラー2の縦壁面(内側面)2aに圧接するようになっている。同時に、モール本体9の車内側の側面には奧部側が幅広の凹部としてのT溝14が長手方向に沿って形成されていて、このT溝14はフロントガラス4側から車体側方側への雨水等の回り込みを防止するため雨水捕集用のいわゆるドリップ溝として機能するようになっている。
【0037】
一方、ルーフサイドモール部1Bでは、図3,4に示すように、頭部8を含むモール本体9のほかアウタリップ10および凹部としてのT溝14等の形状がウインドシールドサイドモール部1A側と共通であるものの、モール本体9の下半部である脚部11が実質的に切除されている点でウインドシールドサイドモール部1A側と異なっている。同時に、T溝14にはスペーサとして機能することになる樹脂製のインナリップ16がその全長にわたり嵌合固定されている。そして、ルーフサイドモール部1Bは、同図に示すように、ルーフサイド溝5に圧入されることによりアウタリップ10およびインナリップ16がルーフサイド溝5の内側面に圧接することで位置決めされ、これをもってルーフサイド溝5を閉塞するようになっている。
【0038】
このように互いに断面形状が異なるウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bとが上記断面変化形状部1Cを介して相互に接続されており、したがって断面変化形状部1Cではそのモール本体9の下半部の形状がウインドシールドサイドモール部1Aおよびルーフサイドモール部1Bのうちいずれか一方側から他方側に向かって漸次変化していることになる。
【0039】
なお、上記ウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bおよび断面変化形状部1Cの全長を通してその内部には金属製もしくは樹脂製の芯材17が埋設されているとともに、あご部13はそれ以外の部分よりも軟質の樹脂にて形成されている。
【0040】
上記断面変化形状部1Cのほかウインドシールドサイドモール部1Aおよびルーフサイドモール部1Bを含んでなるモール1は、公知の可変断面押出工法により図5の(A)に示すように長手方向でその断面形状が変化する一本の連続した紐状の中間成形体Wとして押出成形されるものの、上記ウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bとの間に位置することになる断面変化形状部1Cの一部は同図(B)に示すように押出成形後に局部的に切除されて(同図(A)ではその切除される部分にハッチングQを施してある)切欠部18が形成された後に、代わって図6に示すようにその切欠部18を埋めるかの如くコーナーピース部19が射出成形法等の二次加工により一体に成形される。そして、成形後のコーナーピース部19には固定手段として例えば両面接着テープ20が貼着される。さらに、上記コーナーピース部19の成形の際には、図8に示すように先に述べたウインドシールドアッパーモール7の端末部を受容するための受容溝部21が同時成形される。
【0041】
さらにまた、上記のようなモール1そのものの押出成形とは別に所定の樹脂材料にて成形されたインナリップ16が用意されており、図4および図7に示すようにルーフサイドモール部1Bおよび断面変化形状部1Cにまたがるように所定の治具を用いてT溝14に挿入,固定される。これにより、図2に示すようにウインドシールドサイドモール部1Aでは上記インナリップ16が挿入されないT溝14が雨水捕集用のドリップ溝として機能する一方、図3に示すルーフサイドモール部1Bおよび断面変化形状部1Cの一部ではアウタリップ10とは別に均一断面形状のインナリップ16を有していることになる。
【0042】
ここで、上記コーナーピース部19を別成形するようにしているのは、このコーナーピース部19はフロントピラー2の上端部からルーフ3にまたがる屈曲部分に対応することになるものの、先に述べたように押出成形しただけの断面変化形状部1Cはそれだけでは相手側のルーフパネル形状に追従することができないことから、その断面変化形状部1Cに対しルーフパネル形状に忠実に追従できる形状を付加するためにコーナーピース部19を別成形するようにしているものである。
【0043】
このコーナーピース部19の成形は、上記切欠部18が形成されたモール1の中間成形体Wを例えば射出成形用の金型にセットした上で、コーナーピース部19となるべき所定の樹脂材料を充填することで成形されるものであるから、望ましくは、図6に示すように上記断面変化形状部1Cが所定曲率の湾曲形状なるように拘束した状態で成形作業を行い、モール1全体が角度θをもって略くの字状に屈曲した状態を自己保持できるようにくせ付けする曲折作業までも同時に行う。こうすることにより、成形後のモール1の車両への適合性が一段と良好なものとなるとともに、モール1装着時にそのモール1を積極的に折り曲げる必要がなくなって、モール装着時の作業性をも改善できることになる。
【0044】
同時に、コーナーピース部19に両面接着テープ20を貼着するようにしているのは、ルーフパネル側形状に追従して屈曲することになる断面変化形状部1Cを確実にルーフパネルに固定するためである。
【0045】
したがって、このように構成されたモール構造によれば、図2,3のほか図8に示すように、フロント側のウインドシールドサイドモール部1Aは、モール本体9のあご部13がフロントガラス4に、アウタリップ10がフロントピラー2にそれぞれ圧接して、そのフロントガラス4の側縁部とフロントピラー2の縦壁部2aとの間の隙間を隠蔽する。他方、ルーフサイドモール部1Bは、アウタリップ10およびインナリップ16がそれぞれルーフサイド溝5の内側面に圧接することでそのルーフサイド溝5に係合して、その係合状態を自己保持しつつ頭部8およびインナリップ16にてルーフサイド溝5を隠蔽する。また、上記ウインドシールドサイドモール部1Aとルーフサイドモール部1Bとの中間部に位置することになる断面変化形状部1Cは、ルーフ3からフロントピラー2の上端にまたがる屈曲部に対応することになることから、そのコーナーピース部19が上記屈曲形状に忠実に追従するとともに、コーナーピース部19側の両面接着テープ20が図8に示すルーフ3側の段状部22に貼着されることで堅固に固定されることになる。
【0046】
ここで、上記ルーフサイドモール部1Bおよび断面変化形状部1Cの一部では、図3,4および図8に示すように長手方向で断面形状が変化することのない均一断面形状のインナリップ16が挿入,固定されていることから、その長手方向全域においてインナリップ16が一定の撓み代をもってルーフサイド溝5の両内側面に確実に圧接することから、その嵌合保持力が良好なものとなってルーフサイド部におけるモール1の姿勢が安定化するとともに、モール1自体の取付剛性も高いものとなる。
【0047】
その一方、上記モール1のうち断面変化形状部1Cには、図8に示すようにフロントガラス4の上縁部に配設されることになる別のウインドシールドアッパーモール7が突き合わされる。そして、断面変化形状部1Cのコーナーピース部19には上記ウインドシールドアッパーモール7を受容するための受容溝部21が予め形成されていることから、この受容溝部21にウインドシールドアッパーモール7の端末部を差し込んでこれをコーナーピース部19が受容することにより、断面変化形状部1Cとウインドシールドアッパーモール7との接続部の見栄えも良好なものとなる。
【0048】
このように本実施の形態によれば、モール1の長手方向においてモール本体9の断面形状は変化することになるものの、ルーフサイドモール部1Bおよび断面変化形状部1Cに事後的に挿入,固定されることになるインナリップ16はアウタリップ10とともにその断面形状が変化せずに均一断面形状のものとなっているため、特にルーフサイド部1Bにおけるモール1の保持力を高めることができるほか、例えばインナリップ16の形状もしくは大きさのみを変えることにより他のルーフサイド溝用のモールにも対応できるようになる。その上、図2,3から明らかなようにモール1はその高さ方向でのみ断面形状が変化するものであるから、可変断面押出工法に用いられる口金構造も簡素化できる利点がある。
【0049】
なお、図4に示すように上記コーナーピース部19には固定手段として事後的に両面接着テープ20を貼着するようにしているが、これに代えて、例えば樹脂製のクリップを固定手段として用意しておき、コーナーピース部19の成形の際にそのクリップをインサートとしてコーナーピース部19に埋設固定し、このクリップをルーフ3側の段状部22に形成される穴に係合させるようにしても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用モールが適用される自動車の前斜視図。
【図2】本発明に係る自動車用モールの好ましい実施の形態を示す図で、図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同じく図1のB−B線に沿う断面図。
【図4】図2,3に示す自動車用モールの展開状態を示す説明図。
【図5】図4に示す自動車用モールの製造手順を示す工程説明図。
【図6】図5以降の製造手順を示す工程説明図。
【図7】ルールサイドモール部に対するインナリップの組付状態を示す説明図。
【図8】図4に示す自動車用モールと車体との関係を示す要部分解斜視図。
【図9】従来の自動車用モールにおけるルーフサイドモール部の断面図。
【図10】同じく従来の自動車用モールにおけるフロント側のウインドシールドサイドモール部の断面図。
【符号の説明】
1…自動車用モール
1A…ウインドシールドサイドモール部
1B…ルーフサイドモール部
1C…断面変化形状部
2…フロントピラー
3…ルーフ
4…フロントガラス(フロントウインドシールドガラス)
5…ルーフサイド溝(溝部)
7…ウインドシールドアッパーモール
9…モール本体
10…アウタリップ
14…T溝(凹部)
16…インナリップ
18…切欠部
19…コーナーピース部
20…両面接着テープ(固定手段)
21…受容溝部

Claims (4)

  1. 車体のルーフサイド部の溝部に沿って配設されるルーフサイドモール部と、フロントピラーおよびリアピラーのうち少なくともいずれか一方のピラー部に沿って配設されて前記ルーフサイドモール部とは断面形状が異なるウインドシールドサイドモール部とが、互いに長手方向で連続するように一体のものとして押出成形された自動車用モールであって、
    上記ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部におけるモール本体の車外側の側面に、上記溝部の車外側の内側面もしくはウインドシールドガラスの端面と対向するピラー面に圧接することになる均一断面形状のアウタリップを相互に連続するように形成するとともに、
    上記ルーフサイドモール部およびウインドシールドサイドモール部におけるモール本体の車内側の側面には、相互に連続することになる均一断面形状の凹部を長手方向に沿って形成し、
    この凹部のうちルーフサイドモール部に相当する部分には、上記溝部の車内側の内側面に圧接することになるインナリップを嵌合固定したことを特徴とする自動車用モール。
  2. 上記ルーフサイドモール部とウインドシールドモール部との間であって且つ車体のルーフ部とピラー部とのなすコーナー部に相当する部分に、一方の断面形状から他方の断面形状へと連続的に変化する断面変化形状部が一体に形成されているとともに、この断面変化形状部が局部的に切除されることにより切欠部が形成されていて、
    この切欠部には、上記コーナー部の形状に忠実に追従するコーナーピース部が二次成形により一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用モール。
  3. 上記コーナーピース部には該コーナーピース部をルーフ部に固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用モール。
  4. 上記コーナーピース部には、ルーフ部の前縁もしくは後縁に沿って配設されることになるウインドシールドアッパーモールの端末部を受容するための受容溝部が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の自動車用モール。
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