JP3912619B2 - 接着シート、金属積層シートおよびプリント配線板 - Google Patents
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Description
近年、電子機器の高機能化、高性能化、小軽化が進んでおり、それらに伴って用いられる電子部品に対する小型化、軽量化が求められている。そのため、多層プリント配線板や半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線材料又は配線部品も、より高密度、高機能かつ高性能なものが求められるようになっている。半導体パッケージ、COLおよびLOCパッケージ、MCMなどの高密度実装材料や多層フレキシブルプリント配線板等のFPC材料として好適に用いることのできる、耐熱性、電気信頼性、接着性、絶縁性に優れた材料が求められている。
プリント配線板などにおいて絶縁層を形成し、かつその絶縁層を形成した結果軽少(軽薄)化を達成するためにするため種々の提案がなされている。
前記課題を解決せんとして、シリコーン共重合ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂からの樹脂を接着剤層厚みが50μmで仮支持体に設けた接着性フィルムが提案されている(特許文献1参照)。この方法においても、回路(導体)間への浸透性において優れてはいるが、前記の課題が全面的に解決しうるものではなく、絶縁層の一定厚み保障が得られるものではなく、特性インピーダンスの厳密保障が必要な高周波回路基盤などの絶縁層形成には課題を有する。
また、熱可塑性ポリイミド樹脂を使用することも提案されている(特許文献2、3、4参照)。
さらに、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドと熱硬化性樹脂とからなる接着剤層を設けたフィルムも提案されている(特許文献5参照)。
さらに、ポリイミド長尺フィルム表裏の配向の比を所定値以下にすることで25℃におけるカールの少ないポリイミド長尺フィルムも提案されている(特許文献6参照)。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
1.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層が形成されてなることを特徴とする接着シート。
2.フィルムの300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする上記1に記載の接着シート。
3.上記1〜2のいずれかに記載の接着シートの熱硬化性接着剤層側に金属箔が積層されてなることを特徴とする金属積層シート。
4.上記3に記載の金属積層シートの金属箔を一部除去してなることを特徴とするプリント配線板。
5.上記4に記載のプリント配線板を複数枚積層してなることを特徴とする多層プリント配線板。
6.上記4又は5いずれかに記載のプリント配線板に半導体チップが実装されてなることを特徴とするプリント配線板。
7.芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層が形成されてなることを特徴とする接着シートロール。
8.300℃熱処理後のカール度が8%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとすることを特徴とする上記7記載の接着シートロール。
9.幅238〜516mm、長さ5〜1020mであることを特徴とする上記7又は8記載の接着シートロール。
10.上記7〜9のいずれかに記載の接着シートの熱硬化性接着剤層側に金属箔が積層されてなることを特徴とする金属積層シートロール。
11.上記10に記載の金属積層シートの金属箔を一部除去してなることを特徴とするプリント配線板用ロール。
12.上記11に記載のプリント配線板を複数枚積層してなることを特徴とする多層プリント配線板用ロール。
13.上記11又は12に記載のプリント配線板に半導体チップが実装されてなることを特徴とするプリント配線板用ロール。
14.少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてのビフェニルテトラカルボン酸残基と芳香族ジアミン類の残基としてのフェニレンジアミン残基と溶媒とからなる溶液を支持体上に塗膜形成し、次いで支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥し、次いで熱処理を経てポリイミドフィルムとなし、当該ポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層を形成することを特徴とする接着シートの製造方法。
この金属箔層積層時における熱処理などが基材フィルムに影響し、この各種処理時にポリイミドフィルムの表裏面の物性差、特にフィルムの300℃熱処理後のカール度が一定以下である場合には、特に高温処理に対してポリイミドフィルムが反りや歪みを殆ど生じなく、その結果、得られたプリント配線板などの品質が向上し、歩留まりも向上し、その後これらプリント配線板などが受けるアニール処理や半田処理などの高温処理に対しても平面性を維持し得て、結果これらの製品歩留まりが向上する。
この様に耐熱性フィルムとしてのポリイミドフィルムは熱に曝される場合が多く、その熱に対するフィルムの300℃熱処理後におけるカール度の低さが工業製品の基材などに使用される際に極めて重要な品質となる。
本発明の特定ポリイミドフィルムを使用した接着シート、金属積層シートおよびプリント配線板は、高温に曝される電子部品などとして使用され、その製造時に該基材の反りや歪みが発生し難く、高品質の電子部品製造や歩留まり向上が実現でき産業上極めて有意義である。
試料片は、ポリイミドフィルムに対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点としてn=10の計10点をサンプリングし(取れないときは最大n点をもってサンプリングし)、測定値は10点(又はn)の平均値とする。
具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
本発明における基材フィルムとして使用するポリイミ度フィルムの300℃熱処理後のカール度は、より好ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下である。
以下本発明においては、他芳香族テトラカルボン酸残基、他芳香族ジアミン残基とも、同様の意味を表すものである。
上述の「反応」は、まず、溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを開環重付加反応などに供して芳香族ポリアミド酸溶液を得て、次いで、この芳香族ポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に高温熱処理もしくは脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
溶媒の使用量は芳香族ポリアミド酸溶液の75〜90質量%の範囲にあることが好ましい、この濃度範囲は最適の分子量を与えるからである。芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミン成分は絶対的に等モル量で用いる必要はない。分子量を調整するために、芳香族テトラカルボン酸:芳香族ジアミンのモル比は0.90〜1.10の範囲にある。
上述したようにして製造した芳香族ポリアミド酸溶液は5〜40質量%好ましくは10〜25質量%のポリアミド酸重合体を含有する。
好ましい態様としてこれらのフェニレンジアミンに加えて他の芳香族ジアミン類好ましく使用できる。さらにこれらの芳香族ジアミン類に加えてジアミンを適宜選択使用してもよい。
好ましい態様としてビフェニルテトラカルボン酸に加えて他の芳香族テトラカルボン酸類好ましくはピロメリット酸類が使用できる。さらにこれらの芳香族テトラカルボン酸類に加えて他の芳香族テトラカルボン酸類を適宜選択使用してもよい。
本発明において、フェニレンジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して50〜100モル%、他の芳香族ジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜50モル%、前2者以外の他のジアミン類は全芳香族ジアミン類に対して0〜50モル%使用することが好ましい。これらのモル%比がこの範囲を超える場合、可撓性、剛直性、強度、弾性率吸水率性、吸湿膨脹係数、伸度などの耐熱性ポリイミドフィルムとしてのバランスが崩れ好ましくない。
前記の芳香族ジアミン類、芳香族テトラカルボン酸類以外に使用できるものは特に限定されないが、例えば以下に示すものである。
5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
式1; |IMA−IMB|≦5
本発明において、グリーンフィルムのイミド化率の測定は下記による。
<イミド化率の測定方法>
測定対象フィルムを2cm×2cmの大きさに採取し、測定対象面をATR結晶と密着させてIR測定装置にセットして下記特定波長吸光度を測定して下記の式によって、測定フィルム対象面のイミド化率を得る。
イミド特定波長として1778cm-1(付近)を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1778とし、基準として芳香族環特定波長1478cm-1付近を採用しその波長における測定面の吸光度をλ1478とする。
装置 ;FT−IR FTS60A/896 (株式会社デジラボジャパン)
測定条件;1回反射ATRアタッチメント(SILVER GATE)
ATR結晶 Ge
入射角 45°
検出器 DTGS
分解能 4cm-1
積算回数 128回
式2 ; IM={Iλ/I(450)}×100
式2において、Iλ=(λ1778/λ1478)であり、I(450)は同一組成のポリイミド前駆体フィルムを450℃で15分間熱閉環イミド化したフィルムを同様にして測定した(λ1778/λ1478)の値である。
A面のイミド化率IMをIMAとしてB面のイミド化率IMをIMBとして式2からこれらの値を測定し得る。IMAとIMBとの差は、絶対値を持って示すものである。
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
グリーンフィルムを自己支持性が出る程度にまで乾燥する際に、溶媒の揮発する方向が空気に接する面に限られるためにグリーンフィルムの空気に接している面のイミド化率が、支持体に接する面のイミド化率より小さくなる傾向にあるが、フィルム表裏の吸収比の差が0.35以下であるポリイミド長尺フィルムを得るためには、表裏面におけるイミド化率とその差が所定範囲にあるグリーンフィルムを得ることが重要であり、そのために、例えば、ポリアミド酸溶液を支持体上にコーティングし、乾燥して自己支持性となったグリーンフィルムを得る際の乾燥条件を制御する方法があり、この制御によって、グリーンフィルム表裏面のイミド化率とその差が所定範囲にあるグリーンフィルムを得ることができる。
これらのグリーンフィルムにおける表裏面のイミド化率の差は、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3以下である、さらにこれらのイミド化率が表裏共に1〜15の範囲に制御することがこのましい。
グリーンフィルム表裏面のイミド化率の差が5を超えるときは、潜在的に存在するフィルム内部の歪が残存し、300℃に熱処理した後にカールが発生し、製品化に不向きなポリイミド長尺フィルムとなる。
このような条件を達成するためには熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などの乾燥装置を使用することができるが、乾燥条件として以下の温度制御が要求される。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲およびその差を所定範囲にするためには、定率乾燥条件を長くし、塗膜全体から均一に溶剤が揮発するように操作することが好ましい。定率乾燥とは塗膜表面が自由液面からなり溶剤の揮発が、外界の物質移動で支配される乾燥領域である。塗膜表面が乾燥固化し、塗膜内での溶剤拡散が律速となる乾燥条件では、表裏の物性差が出やすくなる。かかる好ましい乾燥状態は、支持体の種類や厚みによっても異なってくるが、温度設定、風量設定、通常支持体上の塗膜(グリーンフィルム)の上側(塗膜面側)の雰囲気温度よりも前記反対側(塗膜面側の反対側)の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥する。雰囲気温度の説明においては、塗膜から支持体へ向う方向を下方向、その逆を上方向として方向を定義する。このような上下方向の記載は着目すべき領域の位置を簡潔に表現するためになされるものであり、実際の製造における塗膜の絶対的な方向を特定するためのものではない。
「反対側の雰囲気温度」とは、塗膜の直下(支持体部分)から塗膜の下方30mmに至る領域(支持体および支持体の下方の部分を含むことが多い)の温度であり、塗膜から下方向に5〜30mm離れた位置の温度を熱電対などで計測することで、反対側の雰囲気温度を求めることができる。
乾燥時間は、トータルで10〜90分、望ましくは15〜45分である。
オフラインを採用する場合はグリーンフィルムを一旦巻取るが、その際、グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして管状物に巻き取ることによりカールの軽減を図ることができる。
いずれの場合も曲率半径が30mm以下とならないように搬送、ないし巻き取りを行うことが好ましい。
その具体的なイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミド長尺フィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下のポリイミド長尺フィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
具体的には、フィルムをピンテンターに供する直前に、フィルム両端部をブラシで押さえ、ピンが均一にフィルムに突き刺さるような工夫を挙げることができる。ブラシは、剛直で耐熱性のある繊維状のものが望ましく、高強度高弾性率モノフィラメントを採用することができる。
上述したイミド化処理の条件(温度、時間、張力)を満たすことにより、フィルム内部(表裏や平面方向)の配向歪の発生を抑制することができる。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
ポリイミド長尺フィルムの厚さは特に限定されないが、後述するプリント配線基板用ベース基板に用いることを考慮すると、通常1〜150μm、好ましくは3〜50μmである。この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
本発明の製造方法によって得られるポリイミド長尺フィルムは、好ましくは吸収比がB面より大きい傾向にあるA面を巻内にして管状物に巻き取ることで、更にカール度の小さいポリイミド長尺フィルムを得ることができる。
更に、巻き張力は100N以上、好ましくは150N以上500N以下とすることが望ましい。
また、巻き芯の直径は75mm以上であることが望ましい。75mm未満であると、カール改善を阻害する要因となる。好ましくは75〜350mm、更に好ましくは80〜180mmである。ここに巻き芯直径は外径である。巻き芯直径がこの範囲を超えると取り扱い性が困難となる。また巻き芯直径がこの範囲を下回ると、フィルムに加わる曲げ応力が大きくなり反り、ねじれなどの平面性低下の原因となる。なおさらにこの範囲を下回った巻き芯では保管時におけるフィルムが温度湿度変化で伸縮した場合にシワが入りやすくなり、平面性ならびに品位に劣る物となりやすい。
なお、グリーンフィルムのイミド化をオフラインで行う場合には、当該グリーンフィルムが内側(支持体が外側)となるようにして巻き取る方法が採用できる。
吸収比=(Kx+Ky)/2×Kz
測定値は、フィルムの任意の箇所における幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)とし、測定値は2点の平均値とする。
そして、本発明におけるA面とは吸収比が大きいほうの面を、B面とは吸収比が小さい方の面をいう。
そこで、本発明では、乾燥機内における雰囲気温度の幅方向のムラを中心温度±5℃以内、好ましくは±3℃以内、さらに好ましくは±2℃以内に制御することが望ましい。
ここに雰囲気温度とは、支持体の表面から5mm〜30mmの等距離だけ離れた位置において、熱電対、サーモラベルなどで測定した温度をいう。また本発明では幅方向に温度検出端を8ないし64ポイント設けることが好ましい。
特に幅方向の検出端と検出端の間隔は5cm〜10cm程度にすることが好ましい。検出端としては、公知のアルメルクロメル等の熱伝対を用いれば良い。
本発明においては、塗布面側の雰囲気温度に対し、反対側の雰囲気温度を5〜55℃高く設定することができる。この場合も、支持体の各々の側での温度の中心温度から±5℃の範囲とすることが肝要である。中心温度は各検出端にて測定された摂氏温度の算術平均値であり、支持体の走行する方向と直交する幅方向における各検出端にて測定された温度が±5℃の範囲であることは、該中心値の数値に基づいて算定された範囲となる。
このような条件で製造されたポリイミド長尺フィルムは、前記の条件で測定したカール度が10%以下の極めて高温における平面性に優れたものとなる。
さらに本発明の接着シートは、プリント配線板間の絶縁体層形成などのためにも使用できるものである。
さらに本発明の接着シートは、プリント配線板間の絶縁体層形成などのためにも使用できるものである。
本発明の接着シートは幅238〜516mm、長さ5〜1020mのものが採用できる。接着シートの好ましくは幅256mm〜508mmであり、さらに好ましい幅は256〜460mm、なお好ましい幅は268〜386mmである。
接着シートの好ましい長さは8m〜770mであり、更に好ましくは8m〜620mであり、更に好ましくは24m〜480m、なおさらに好ましくは48m〜360mである。
接着シートの幅が所定の範囲を超えるとコーティング膜厚の均一性が得られにくくなる。また接着シートの幅が所定の範囲に満たないとコーティングが困難である。
接着シートの長さが所定の範囲を超えると、接着剤シートロールが自重により変形する可能性がある。また接着剤シートの長さが所定の範囲に満たないと、ロール化することによる連続操業性を発揮することができない。
また、本発明において、フィルム、接着シートを巻き上げる巻芯は一般に3インチ管、6インチ管と呼ばれる巻芯を用いればよい。クリーンルーム内にて扱う事を鑑みると、紙製巻芯ではなく樹脂製巻芯が好適である。本発明では内径が6インチので肉厚が5mm以上、好ましくは8mm以上のプラスチック管を用いることが好ましい。巻芯径が3インチ未満となると、フィルムに永久歪みが生じ、後工程での矯正が困難となる場合がある。
熱硬化性接着剤の引張弾性率が基材フィルムのそれより高いと線膨張係数の離れた基材フィルムと金属箔の応力歪みを接着剤層で緩和吸収することが出来なくなり、結果として半導体と金属箔層との接続信頼性が発現されなくなるので好ましくない。
本発明に用いられる熱硬化性接着剤としてはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、イミド系、ポリアミドイミド系等を用いることができ、またさらに詳しくは、例えば、主としてポリアミド樹脂等のフレキシブルな樹脂とフェノール等の硬質の材料とを主成分として、エポキシ樹脂、イミダゾール類等を含むものが例示される。さらに具体的には、ダイマー酸ベースのポリアミドイミド樹脂、常温固体のフェノール、常温液状のエポキシ等を適度に混合したもの等を例示できる、適度な軟らかさ、硬さ、接着性等を有し、半硬化状態を容易にコントロールできる。また、ポリアミドイミド樹脂としては重量平均分子量が5000〜100000のものが好適である。さらに、ポリアミドイミド樹脂原料のカルボン酸とアミンとによりアミドイミド樹脂の凝集力も変化するため、適宜フェノールやエポキシ樹脂の分子量、軟化点等を選択することが好ましい。また、ポリアミドイミド樹脂の代わりにポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等が使用できる。さらにこれらのシリコーン変性された材料などはフレキシビリティも発現するのでより好ましい。
本発明の熱硬化性接着剤は硬化状態を半硬化状態にコントロールされるが、硬化状態をコントロールする方法としては、例えば、接着剤を基材上に塗布、乾燥させる際の温風による加熱、遠/近赤外線による加熱、電子線の照射などが挙げられる。加熱によるコントロールでは、100〜200℃で、1〜60分加熱することが好ましく、130〜160℃で、5〜10分加熱することがさらに好ましい。また、TAB用テープをロール状に巻回した状態で、例えば40〜90℃程度の比較的低温で数時間〜数百時間熱処理することにより硬化状態をコントロールすることもできる。なお、硬化状態をコントロールする際の条件は、接着剤の組成や硬化機構、硬化速度を考慮して決定することが好ましい。このようにして、硬化状態をコントロールすることにより、半硬化状態の接着剤を得ることが可能となる。 本発明の熱硬化性接着剤は、いったん半硬化状態とされた状態で用いられる。
ここで、半硬化状態とは、加熱することにより軟化又は溶融し、最終的に硬化することが可能な固相状態のことである。本発明の熱硬化性接着剤には、半硬化状態を維持できるように、基本的にはフレキシビリティを与える成分と耐熱性を付与する成分とが含まれている。
プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、基材フィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると基材フィルム表面の平滑性が低下するおそれがある。
このようにして得られた接着剤層付きのポリイミドフィルムは、それ自身、ダイボンディングテープやリードオンチップ用フィルムとして利用することができる。
金属箔の積層は、プラズマ処理を施すか又は施さないポリイミドフィルム面に形成された熱硬化性接着剤層に金属箔を重ね圧力、熱などを使用して積層したものである。
本発明の金属箔としての金属は、銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロム、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等の単独又はそれらの合金が用いられるが、銅を用いるのが性能と経済性のバランスにおいて好ましい実施態様である。金属箔層を回路用(導電性)とする場合には、その金属層の厚さは好ましくは1〜175μmであり、より好ましくは3〜50μmである。金属箔層を貼合わせたポリイミドフィルムを放熱基板として用いる場合には、金属層の厚さは、好ましくは50〜3000μmである。
本発明においては、上記方法で得られたポリイミドフィルムと金属箔との複合体である金属積層シートを、さらに200〜350℃で熱処理することが好ましい態様である。この熱処理は、220〜330℃が好ましく、240〜310℃がより好ましい。該熱処理により基材フィルムの有している歪や金属化ポリイミドフィルムの製造過程で生ずる歪が緩和され、本発明の効果をより一層効果的に発現することができ、前記した半導体パッケージなどの耐久性や信頼性を向上することができる。200℃未満では歪を緩和する効果が小さくなり、逆に350℃を超えた場合は、基材のポリイミドフィルムの劣化が起こるので好ましくない。
また本発明にて、フライングリードを有する、所謂TABテープを製作する場合においては、あらかじめ接着剤を塗布した接着シートをプレパンチすることによりデバイスホールを確保し、その後に銅箔とラミネートして、以下定法に従ってフライングリードを含む導体パターン形成を行うことができる。
本発明で使用する金属(箔)層又は必要に応じてその上に形成される後付けの厚膜金属層側の表面には、金属単体や金属酸化物などといった無機物の塗膜を形成してもよい。また金属箔層又は必要に応じてその上に形成される後付けの厚膜金属層の表面を、カップリング剤(アミノシラン、エポキシシランなど)による処理、サンドプラスト処理、ホ−リング処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などに供してもよい。
1.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(登録商標)1245D)を用いて測定した。
2.各種シートの反り度(見かけ上の反り度)
図1(C)に示すように、50mm×50mmの各種シートの試験片を平面上に凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対する反り量の百分率(%)で表される値である。
具体的には、次式によって算出される。
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
反り度(%)=100×(反り量)/35.36
試料片のサンプリングは、各種シートの幅方向、長さ方向共に2点(幅長の1/3と2/3の点からを原則にし、取れない場合はできるだけ中央部からの点から取る)計4点としその平均値をもって表すものとする。
P−PDA:パラフェニレンジアミン
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMF:ジメチルホルムアミド
DMAC:ジメチルアセトアミド
AA:無水酢酸
IQ:イソキノリン
また、略称GFはポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を、略称IFはポリイミドフィルムを示す。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これを厚さ188ミクロン、幅800mmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4100(東洋紡績株式会社製))の滑剤を含まない面に幅740mmとなるようにコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、
4つの乾燥ゾーンを有する連続式乾燥炉に通して乾燥した。各ゾーンはフィルムを挟んで上下に各3列のスリット状吹き出し口を有し、各吹き出し口間の熱風温度はプラスマイナス1.5℃、風量差はプラスマイナス3%の範囲で制御できるよう設定されている。また幅方向についてはフィルム有効幅の1.2倍に相当する幅までの間、プラスマイナス1℃以内となるように制御がなされている。
乾燥炉の設定は以下の通りである。
〔乾燥条件A〕
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 上側温度 105℃、下側温度 105℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 上側温度 100℃、下側温度 100℃
風量 上下とも30〜35立方m/分
第3ゾーン 上側温度 95℃、下側温度 100℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 上側温度 90℃、下側温度 100℃
上側風量 15立方m/分、下側風量 20立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は18分である。
また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計であり、実−1、実−2、実−3で上記範囲内で変更したものである。
かかる乾燥条件において、第3ゾーンまでは塗膜表面が指触乾燥状態には至らず、ほぼ定率乾燥条件となっていることが確認されている。
塗膜表面は第4ゾーンに入ってまもなく指触乾燥に至り以後は減率乾燥的に乾燥が進行している。この際に下側の温度、風量を上側より多めに設定し、塗膜内の溶媒の拡散を促進している。
なお、各ゾーン中央の吹き出し口の真下に当たる部分でフィルム上10mmの位置に支持された熱電対により、10cm間隔でモニターがなされプラスマイナス1.5℃以内であることが確認されている。
得られた各GF(グリーンフィルム)を、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各ポリイミドフィルム(IF)、F実−1、F実−2、F実−3を得た。
なお、GFを熱処理する際に、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにした。
得られた各IF(ポリイミドフィルム)の厚み、カール度は、F実−1で15μmと2.6%、F実−2で15.1μmと3.9%、F実−3で15μmと7.3%であった。
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、450μm)、製造例;実−1〜実−3と同様の方法で乾燥した。乾燥後に自己支持性となったGFをステンレスベルトから剥離して各GF、実−4、実−5、実−6を得た。
乾燥後に自己支持性となったGF(ポリアミド酸フィルム)をポリエステルフィルムから剥離して、各GF、実−1、実−2、実−3を得た、この各GFの|IMA−IMB|の値はそれぞれ1.1、1.5、4.2であった。
得られたGFを、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で2分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する厚さ25μmの各IF、F実−4、F実−5、F実−6を得た。
なお、GFを熱処理する際に、芳香族ポリアミド製モノフィラメントストランドからなるブラシをフィルム両端部に接するように設け、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにした。
得られた各IFの厚み、カール度は、F実−4で15μmと4.3%、F実−5で15.1μmと5.5%、F実−6で15μmと8.3%であった。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液100質量部に対してAAを15質量部、IQを3質量部の割合で混合し、これをステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、430μm)、と製造例;実−1〜実−3と同様の乾燥装置にて乾燥を行った、なお乾燥条件(温度は乾燥炉の設定温度)は以下の通りである。
レベリングゾーン 温度25℃、風量なし
第1ゾーン 温度 上下とも110℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第2ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第3ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
第4ゾーン 温度 上下とも120℃
風量 上下とも20〜25立方m/分
各ゾーンの長さは同じであり、総乾燥時間は9分である。
また風量は各ゾーンの吹き出し口からの風量の総計であり、比−1、比−2、比−3で上記範囲内で変更したものである。
かかる乾燥条件においては、第2ゾーン中央で塗膜表面が指触乾燥状態に至り、以後は減率乾燥的な乾燥が行われている物と推察できる。
この各GFの|IMA−IMB|の値はそれぞれ5.3、7.5、11.2であった。
得られた各GFを、ピンテンターにて両端を把持した状態で窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として400℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する各IF、F比−1、F比−2、F比−3を得た。
得られた各IFの厚み、カール度は、F比−1で15μmと10.5%、F比−2で15.1μmと14.1%、F比−3で15μmと18.5%であった。
<接着シートの製造>
製造例で得られた各ポリイミドフィルムを使用して、以下に従い接着シート得た。
有機極性溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド、ジアミン化合物として1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルとをモル比で9:1、エステルテトラカルボン酸として3,3’,4,4’−エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物を使用してポリアミド酸重合体の溶液を得た。このポリアミド酸重合体溶液を減圧加熱し、熱可塑性ポリイミドを得た。
この熱可塑性ポリイミドを80質量部、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)としてのエピコート1032H60を100質量部、硬化剤としての4,4’−ジアミノジフェニルエーテル30質量部を、有機溶媒としてのジオキソラン910質量部に添加し、攪拌して溶解させた。これにより、接着剤溶液を得た。
得られた接着剤溶液を、片面に離形層を形成した12.5μm厚さの離形性ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に流延し、60℃で2分間乾燥し厚さ2.5μmの接着剤層を形成した。
この得られたフィルム2枚を接着剤層と、前記で得られたポリイミドフィルムの両面とを重ね合わせ積層して、各ポリイミドフィルムからの各接着シート(RYS実−1〜RYS実−6およびRYS比−1〜RYS比−3)を得た。得られた接着シートのポリイミドフィルムと接着剤層との総厚みは20μmであった。
得られた各接着シートの反り度の平均値をもって判定した。各シートにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、3〜7%を○、3%未満のものを◎とした。
その結果、KTS実−1、KTS実−2、KTS実−4が全て◎、KTS実−3、KTS実−5が○、KTS実−6が△、KTS比−1、KTS比−2、KTS比−3は全て×であった。
RYS実−1、RYS実−2、RYS実−3、RYS実−4、RYS実−5が全て◎、RYS実−6が○、RYS比−1が△、RYS比−2、RYS比−3は×であった。
製造例で得られた各フィルムを使用した。各ポリイミドフィルムをまず幅508mmにスリットし、コロナ処理を行った次いで各ポリイミドフィルムの表面に接着剤として、東洋紡績(株)製RV50を塗布厚み18μmとなるように塗布し、80℃のドライオーブンにて15分間乾燥させ、各ポリイミドフィルムからの各接着シートを得た。次いで、ジャパンエナジー製圧延銅箔、BHY−22−T(18μm)の接着処理面と前記接着シートの接着剤塗布面とを合わせ、シリコンゴムローラ式のラミネータにてロール温度120℃、送り速度60cm/分にてラミネートし、巻き取り後、真空乾燥器内にて150℃5時間処理して接着剤を硬化させ、各ポリイミドフィルムからの各金属積層シート(KTM実−1〜KTM実−6およびKTM比−1〜KTM比−3)を得た。
得られた各金属積層シートの反り度の平均値をもって判定した。各金属積層シートにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、3〜7%を○、3%未満のものを◎とした。
その結果、KTM実−1、KTM実−2、KTS実−3、KTM実−4、KTM−5が全て◎、KTM実−6が○、KTM比−1が△、KTM比−2、KTM比−3は×であった。
上記で得られた各金属積層シート(銅張り積層フィルム)を105mm幅にスリットし、両端に搬送用のスプロケット孔および位置合わせ用の孔をパンチングし、COF加工用の連続加工機にセットした、以下は通常の片面回路の加工プロセスに従い、圧延銅箔の表面にフォトレジストを塗布し、所定のパターンを露光して現像を行なった後、パターニングしたレジストをマスクとし、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング処理を施した。パッド部を残して液状レジスト型のソルダーレジストを塗布・乾燥、マスク露光、現像し、パッド部分には、厚さ1.5μmの錫めっきを施し、各ポリイミドフィルムからのプリント配線板(COF用フィルム基板)を得た。得られた各COF用フィルム基板の最も線幅の細い回路部分は線幅/線間=60/60μmである。
得られたCOF用フィルム基板に半導体チップを搭載し、フリップチップボンディングを用いてボンディング処理を施した後、ポッティング法による樹脂封止を行なって各半導体パッケージ(SCJ実−1〜SCJ実−6、SCJ比−1〜SCJ比−3)を製作した。得られた各半導体パッケージのチップ/基板間の接点数は256である。当該パッケージをエタック(R)温度サイクル試験装置(楠本化成(株)製)に装填して加熱冷却試験を実施した。試験は、−50℃の低温と150℃の高温との間を30分ごとに繰り返して加熱冷却させることによって行なった。試験時間は3000時間とした。試験後に導通検査を行い、接続点の不良率を求めた。
接続点の不良率が10ppm未満を◎、10〜30ppmを○、30ppmを超えるものを×として評価した。
その評価結果は、SCJ実−1、SCJ実−2、SCJ実−3、SCJ実−4、SCJ実−5が全て◎、SCJ実−6○、SCJ比−1、SCJ比−2、SCJ比−3は全て×であった。
<金属積層シートの製造>
製造例で得られた各フィルムを使用した。各ポリイミドフィルムをまず幅508mmにスリットし、コロナ処理を行った次いで各ポリイミドフィルムの表面に接着剤として、東洋紡績(株)製RV50を塗布厚み18μmとなるように両面塗布し、80℃のドライオーブンにて15分間乾燥させ、各ポリイミドフィルムからの各接着シートを得た。次いで、電解銅箔(12μm)の接着処理面と前記接着シートの接着剤塗布面とを合わせ、シリコンゴムローラ式のラミネータにてロール温度120℃、送り速度60cm/分にてラミネートし、巻き取り後、真空乾燥器内にて150℃5時間処理して接着剤を硬化させ、各ポリイミドフィルムからの各両面金属積層シート(RYM実−1〜RYM実−6およびRYM比−1〜RYM比−3)を得た。
得られた各金属積層シートの反り度の平均値をもって判定した。各金属積層シートにおける反り度平均値が10%を超えるものを×、反り度が7%を超え〜10%までのものを△、3〜7%を○、3%未満のものを◎とした。
その結果、RYM実−1、RYM実−2、RYS実−3、RYM実−4、RYM実−5が全て◎、RYM実−6が○、RYM比−1が△、RYM比−2、RYM比−3は×であった。
上記で作製した各両面金属積層シートの片面に液状レジストを用いて膜厚6μmのネガレジストを形成し、エッチングで銅層を除去し、線間/線幅が17μm/13μmの微細線を含むLCDドライバ搭載用を想定した4.8cm×4.8cmのテスト用回路パターンを形成した。裏面には同様にして、4mm角の正方形パターンをパターン間0.5mmで格子状に形成し、各ポリイミドフィルムからの各テスト用回路基板(TPR実−1〜TPR実−6およびTPR比−1〜TPR比−3)を同様にして多数作製した。パターンの面積密度は表裏とも50%である
作製した各テスト用回路基板を3枚用意し、各各テスト用回路基板間に実施例1〜6、比較例1〜3での各接着シート(RYS実−1〜RYS実−6およびRYS比−1〜RYS比−3)と、各テスト用回路基板の最上と最下に実施例1〜6、比較例1〜3での各片面接着シート(KTS実−1〜KTS実−6およびKTS比−1〜KTS比−3)を、各同一ポリイミドフィルムからのものとなるように配し、150℃のホットプレスにて積層を施し多層の各テスト用多層基板を作製した。得られた多層基板を260℃の錫−銀系半田浴に15秒浸けた後にパターンの異常の有無を観察評価した。
また、断面観察のために各テスト用多層基板を微細線パターンの幅方向の断面が出る方向に切断し、樹脂にて包埋し端面研磨した後に顕微鏡で拡大観察し、図2下段の積層後に示したような接着シートの変形が無いかを評価した、F実−1〜F実−6のポリイミドフィルムからの各テスト用多層基板においては、全て接着シートの変形のないものであったが、F比−1〜F比−3のポリイミドフィルムからの各テスト用多層基板においては、接着シートの変形が見られた。
(長尺ポリイミドフィルムの製造)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器を窒素置換した後、P−PDAを入れた。次いで、DMACを加えて完全に溶解させてから、BPDAを加えて、モノマーとしてのP−PDAとBPDAとが1/1のモル比でDMAC中重合し、モノマー仕込濃度が、15質量%となるようにし、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液が得られた。
得られたポリアミド酸溶液をドープとし、脱泡した後、エンドレスステンレスベルト上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、400μm)、製造例;実−1と同様の方法で乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離して、厚さ49.5μmの幅700mm、長さ1500mのGF:実−8を得た、この各GFの|IMA−IMB|の値は1.3であった
得られたGFを、製造例4と同様の、窒素置換された連続式の熱処理炉に通し、第1段が180℃で4分、昇温速度3℃/秒で昇温して第2段として480℃で3分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、両側の把持に用いた部分をそれぞれ50mmスリットにて落とし、6インチプラスチックコア(外径168mm)に巻き付け、幅600mm、長さ2000mのIF(ポリイミドフィルム)、F実−8を得た。
(長尺接着シート)
有機極性溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド、ジアミン化合物として1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルとをモル比で9:1、エステルテトラカルボン酸として3,3’,4,4’−エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物を使用してポリアミド酸重合体の溶液を得た。このポリアミド酸重合体溶液を減圧加熱し、熱可塑性ポリイミドを得た。
この熱可塑性ポリイミドを80質量部、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)としてのエピコート1032H60を100質量部、硬化剤としての4,4’−ジアミノジフェニルエーテル30質量部を、有機溶媒としてのジオキソラン910質量部に添加し、攪拌して溶解させた。これにより、接着剤溶液を得た。
得られた接着剤溶液を、片面に離形層を形成した12.5μm厚さの離形性ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面上に流延し、60℃で2分間乾燥し6インチプラスチックコアに巻き付け、幅600mm、有効長さ2000m、厚さ2.5μmの接着剤層を形成した接着材層形成ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
前記で得られたポリイミドフィルムF実−8を、巻き出し/巻き取り装置を具備したロールトゥロール方式の大気圧プラズマ装置にセットし、
電極間距離 2mm
電極幅 560mm
ガス流量 窒素 15リットル/分、 酸素 1リットル/分
電力条件 400ワット(150ボルト、2.67アンペア) 30kHz
処理時間 15秒
なる条件にて表面処理を行った。次いで処理後のポリイミドフィルムと、先に得られた接着材層形成ポリエチレンテレフタレートフィルムの接着剤層とを重ね合わせ積層して、所定の幅にスリット後、所定の長さに裁断して各片面接着シート(KTS実−8、KTS実−9、KTS比−5およびKTS比−6、KTS比−7)を得た。得られた接着シートのポリイミドフィルムと接着剤層との総厚みはいずれも17.5μmであった。
KTS実−8 幅250mm、長さ 1000m プラ管巻径168mm
KTS実−9 幅508mm、長さ 1000m プラ管巻径168mm
KTS比−5 幅508mm、長さ 1000m プラ管巻径 60mm
KTS比−6 幅580mm、長さ 1000m プラ管巻径168mm
KTS比−7 幅508mm、長さ 1600m プラ管巻径168mm
得られた接着シートのポリイミドフィルムと接着剤層との総厚みはいずれも17.5μmであった。得られた接着シートの反り度を250mごとに評価した結果を表1.に示す。なお反り度は250mごとの地点からさらに5m加えた地点までを一つの被測定範囲単位として扱った。
また多層化した際にも均質な積層加工が行われるため、反り、変形の小さい、特に高密度な微細配線が要求されるディスプレイドライバー、高速の演算装置、グラフィックコントローラ、高容量のメモリー素子などに使用される基板として有用である。特にこれらが高温に曝されることの多いディスプレイドライバー、高速の演算装置、グラフィックコントローラ、高容量のメモリー素子などのプリント基板として有用である。
Claims (14)
- 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層が形成されてなることを特徴とする接着シート。
- フィルムの300℃熱処理後のカール度が8%以下であることを特徴とする請求項1に記載の接着シート。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の接着シートの熱硬化性接着剤層側に金属箔が積層されてなることを特徴とする金属積層シート。
- 請求項3に記載の金属積層シートの金属箔を一部除去してなることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項4に記載のプリント配線板を複数枚積層してなることを特徴とする多層プリント配線板。
- 請求項4又は5いずれかに記載のプリント配線板に半導体チップが実装されてなることを特徴とするプリント配線板。
- 芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであって、ポリイミドが少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてビフェニルテトラカルボン酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてフェニレンジアミン残基を有し、乾燥工程で支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥することによって得られるフィルムの300℃熱処理後のカール度が10%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層が形成されてなることを特徴とする接着シートロール。
- 300℃熱処理後のカール度が8%以下であるポリイミドフィルムを基材フィルムとすることを特徴とする請求項7記載の接着シートロール。
- 幅238〜516mm、長さ5〜1020mであることを特徴とする請求項7又は8記載の接着シートロール。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の接着シートの熱硬化性接着剤層側に金属箔が積層されてなることを特徴とする金属積層シートロール。
- 請求項10に記載の金属積層シートの金属箔を一部除去してなることを特徴とするプリント配線板用ロール。
- 請求項11に記載のプリント配線板を複数枚積層してなることを特徴とする多層プリント配線板用ロール。
- 請求項11又は12に記載のプリント配線板に半導体チップが実装されてなることを特徴とするプリント配線板用ロール。
- 少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてのビフェニルテトラカルボン酸残基と芳香族ジアミン類の残基としてのフェニレンジアミン残基と溶媒とからなる溶液を支持体上に塗膜形成し、次いで支持体上の塗膜の上側の雰囲気温度よりも前記反対側の雰囲気温度が1〜55℃高い条件下で塗膜を乾燥し、次いで熱処理を経てポリイミドフィルムとなし、当該ポリイミドフィルムを基材フィルムとし、当該基材フィルムの少なくとも片面に熱硬化性接着剤層を形成することを特徴とする接着シートの製造方法。
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