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JP3906708B2 - 非接触電力伝達装置 - Google Patents

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JP3906708B2
JP3906708B2 JP2002048785A JP2002048785A JP3906708B2 JP 3906708 B2 JP3906708 B2 JP 3906708B2 JP 2002048785 A JP2002048785 A JP 2002048785A JP 2002048785 A JP2002048785 A JP 2002048785A JP 3906708 B2 JP3906708 B2 JP 3906708B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触電力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用電子機器や電気自動車、産業機器等への非接触電力伝達技術の採用が広がっている。特に電動歯ブラシや電気シェーバ等の水まわりで使う商品には、この技術が重宝される。電力供給側(給電側)と負荷側(受電側)とを着脱して用いる非接触電力伝達装置において、電力供給側から負荷側に電磁誘導により電力を供給する場合、負荷側が外されているときには電力供給側インバータ回路で用いる発振用のスイッチング素子の発振を停止、または発振強度の低減を行う必要がある。この理由は、負荷がない場合に発振を継続させると、電力供給側の電力損失によりエネルギーの無駄使いになってしまうからであり、また、正しい負荷以外の例えば金属異物が置かれれば、誘導加熱作用により、金属の異常過熱を生じ危険であるからである。さらに、負荷が2次電池等の場合、2次電池がフル充電された時点で充電制御を施す必要がある。
【0003】
すなわち非接触電力伝達には「電力供給側が単独の場合での、省エネ制御や金属異物過熱対策のための発振停止または抑制制御」と「正しい負荷が装着された場合での連続給電制御」と「負荷側からの要求に基づく電力伝達制御」の3つの制御が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記3つの制御を全部あるいは一部満たす従来例が、いくつか提案されている。たとえば特開平6−311658号公報で開示された技術がある。これは独立した1対の信号用コイルを、電力供給側と負荷側との1対の電力用コイルとは別途に設け、負荷が装着されると1対の電力用コイルの誘導により負荷に電力が伝達される。そして、この電力を用いて負荷側の制御回路を駆動し、1対の信号用コイルによって制御信号を負荷側から電力供給側に戻して、電力供給側はこの制御信号に基づいて発振動作を制御するものである。
【0005】
ところが、この構成は負荷検出および発振制御のための回路が別途必要であり、さらに信号周波数を電力送受のための周波数に対して識別しやすくするために、信号周波数を高くとる必要が生じて信号発生回路が複雑になり、またそれによるノイズ対策強化等でサイズアップやコストアップをもたらすという欠点がある。
【0006】
また、特開平11−178249号公報は自励発振の特性を生かし、正帰還ループを電力供給側内部から、一旦負荷側へ出し、再び電力供給側へ戻して、その帰還ループを負荷情報に利用するという極めてシンプルな回路で負荷の検出を行うことができ、省電力化および金属異物過熱防止を行うことができる回路である。さらに、電力周波数と信号周波数とが同一の周波数が使えるためにシンプルな構成で非接触電力伝達を行うことができる。しかし、制御信号が電力用周波数とおなじ周波数の正帰還フイードバック信号であるため、その信号振幅の増幅制御ができず、ノイズマージンが取りにくいという欠点がある。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、給電状況を識別して電力供給制御を行うことができ、シンプルな構造を有し、低ノイズである非接触電力伝達装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、給電状況を検出するために第1のコイルの近傍に配置した第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路、及び前記コイルの差動接続回路の出力を増幅するために第3のコイル及び第4のコイルに接続した共振コンデンサからなる差動共振回路とを備えて、前記差動共振回路が出力する検出信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、
第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、第3のコイルと第4のコイルとは互いに疎結合になるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2において、第1のコイルと、第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方のコイルとは互いに疎結合になるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記差動共振回路は、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくとも一方のコイル電流により発生する磁束または磁場の変化を検出することで、給電状況の検出を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4において、前記非接触受電装置は、自機の状況を与える磁束信号を発生する少なくとも1つの第5のコイルを、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の近傍に備え、前記差動共振回路は、第5のコイルが発生する磁束信号を検出することで給電状況の検出を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5において、前記非接触受電装置は、第5のコイルに並列接続した共振コンデンサを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項5において、前記非接触受電装置は、前記負荷の状態に応じて第5のコイルの励磁制御を行う2次側制御回路を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項5乃至7いずれかにおいて、第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方は、第1のコイルが発生する電力伝送のための磁束に対して疎結合となる配置、形状を設定され、第3のコイルと第4のコイルとの各巻数は、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の両端電圧が所定の電圧となるように設定されて、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置との磁気結合状況、あるいは第5のコイルが発生する磁束信号によって前記所定の電圧に対して増減し、前記インバータ制御回路は、前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8において、前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の値以下になって、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、
第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置が有するエネルギー源または前記高周波インバータ回路の間欠発振動作による第1のコイルからの給電により、前記非接触受電装置に設けた2次側制御回路が第5のコイルを励磁して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合の検出信号よりも大きい電圧値を有し、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御し、
前記非接触給電装置からの連続給電を停止する場合は、前記差動共振回路の検出信号は、前記2次側制御回路が第5のコイルの励磁を停止する、または励磁を弱める、または間欠励磁する、または励磁周波数を変更して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記高周波インバータ回路が連続発振を行っている場合の検出信号よりも小さい電圧値となり、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御することを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9において、前記インバータ制御回路は、前記高周波インバータ回路の発振を一定時間毎に開始させる定期発振開始手段と、発振を開始してから一定時間後に発振を停止させる発振強制停止手段と、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記発振強制停止手段の継続と解除とを制御することで、前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項10において、前記発振強制停止手段は、前記第1のコイルに発生する電圧を利用して、前記定期発振開始手段により前記高周波インバータ回路の発振が立ち上がってから定常発振へと移行する過程において発振が開始したことを検知する手段を有することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項10または11において、第1のコイルに発生する電圧の振幅は、前記高周波インバータ回路の発振停止時より発振開始後のほうが大きく、前記発振強制停止手段は、第1のコイルに発生する電圧によって充電される積分回路と、発振開始後に前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えたことを検出して前記高周波インバータ回路の発振を停止させる手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項13の発明は、請求項12において、前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段は、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記積分回路を構成するコンデンサの電荷を引き抜く手段を備えて、前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えないようにすることで、前記発振強制停止手段の動作を阻止することを特徴とする。
【0021】
請求項14の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする。
【0022】
請求項15の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3、第4のコイルは第1のコイルを軸方向に挟んで、第1のコアの両突部間に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする。
【0023】
請求項16の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコイルとは軸方向に分離して第1のコアの両突部間に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする。
【0024】
請求項17の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部間の凹部に配置され、第4のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間の凹部に第3のコイルに対向して配置されることを特徴とする。
【0025】
請求項18の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする。
【0026】
請求項19の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち一方に巻回され、第4のコイルは第1のコアの両端の突部のうち他方に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする。
【0027】
請求項20の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、円筒状のポット型のコアを軸方向に対して略対象に分割した一方である第1のコアと、他方である第2のコアとを備え、第1,第2のコアは軸方向の略中央の内面に突部を各々設けており、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルの半径方向に第2のコイルに重ねて同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする。
【0028】
請求項21の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの側面に巻回した第1のコイルと、第2のコアの側面に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする。
【0029】
請求項22の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくともいずれか一方が円板上または円筒状の磁性体からなるコアに巻回して、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコイルに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする。
【0030】
請求項23の発明は、請求項1において、前記高周波インバータ回路は自励発振を行うものであって、前記差動共振回路の検出信号は第1のコイルの電流による磁束を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の電圧値より大きい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触給電装置が単独であるときの第1のコイルが発生する磁束に対して分布、強度、方向が変化した磁束を検出した所定の電圧値より小さい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御することを特徴とする。
【0031】
請求項24の発明は、請求項23において、前記自励発振を行う高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の発振を起動させるための起動回路と、第1のコイルに磁気結合した帰還コイルと、第1のコイルまたは発振用スイッチング素子に並列接続したコンデンサと、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備える電圧共振型のインバータ回路であり、発振用スイッチング素子は前記帰還コイルの誘起電圧と前記起動回路の出力とによってオンし、オンしてから一定時間後に自励制御用スイッチング素子がオンして発振用スイッチング素子をオフさせることを特徴とする。
【0032】
請求項25の発明は、請求項24において、前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路と、前記整流平滑回路の出力を制御端に接続し、前記自励制御用スイッチング素子に並列に接続した発振制御用スイッチング素子とを備えることを特徴とする。
【0033】
請求項26の発明は、請求項24において、前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路を備え、前記整流平滑回路の出力を前記自励制御用スイッチング素子の制御端に接続したことを特徴とする。
【0034】
請求項27の発明は、請求項23乃至26いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したことを特徴とする。
【0035】
請求項28の発明は、請求項23乃至26いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、前記コアの側面に第1のコイルとは軸方向に分離して巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したことを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
(実施形態1)
本実施形態の非接触電力伝達装置のブロック構成図を図1に示す。非接触電力伝達装置は、電力供給を行う非接触給電装置1と、電力を供給される負荷を含む非接触受電装置2とからなり、非接触給電装置1は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路11と、高周波インバータ回路11を制御するインバータ制御回路13と、高周波インバータ回路11から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルL1と、第1のコイルL1の近傍に配置され、互いに極性を反対にして直列に差動接続した第3のコイルL3、第4のコイルL4と、第3のコイルL3、第4のコイルL4の差動接続回路の出力を増幅するために差動接続回路の両端間に接続した共振コンデンサC4とを備え、第3のコイルL3、第4のコイルL4、及び共振コンデンサC4は差動共振回路12を構成している。
【0038】
非接触受電装置2は、負荷30を有しており、第1のコイルL1に対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルL2と、第2のコイルL2の出力を負荷30へ供給するのに適した出力に変換するための電力変換回路21と、差動共振回路12のコイルに対向配置された第5のコイルL5と、第5のコイルL5の両端間に接続した共振コンデンサC8と、共振コンデンサC5の両端間に接続したスイッチS2と、負荷30の状態に応じてスイッチS2のオン・オフを制御する信号を出力する2次側制御回路23とを備える。
【0039】
上記のような非接触電力伝達装置は、高周波インバータ回路11から高周波電力を供給された第1のコイルL1が発生する磁束によって、第2のコイルL2には誘起電圧を発生させ、その誘起電圧を電力変換回路21で所定の形態に変換して負荷30に出力している。そして、負荷30の状態によって2次側制御回路23は、スイッチS2をオン・オフさせることで第5のコイルL5の励磁状態を変化させている。差動共振回路12は、コイルL5の励磁状態または非接触受電装置2の有無によって、給電状況を検出して検出信号を出力し、インバータ制御回路13はこの検出信号に基づいて高周波インバータ回路11の発振を制御している。
【0040】
次に図2に示す具体的な回路構成を用いて、各部の構成について詳細に説明する。まず、非接触給電装置1の高周波インバータ回路11は、自励発振回路であり、直流電源E1とスイッチS1との直列回路に並列接続した抵抗R2とコンデンサC1との直列回路と、共振コンデンサC2と発振用のスイッチング素子FET1と抵抗R1との直列回路と備えており、コンデンサC2には第1のコイルL1が並列接続している。抵抗R2とコンデンサC1との接続中点−スイッチング素子FET1のゲート間には、第1のコイルと図示の極性で密結合している帰還コイルL6が接続している。帰還コイルL6を介してコンデンサC1に並列に接続している自励発振制御用のスイッチング素子Tr1は、スイッチング素子FET1の発振を制御する素子である。また、スイッチング素子FET1のソース−スイッチング素子Tr1のベース間には抵抗R3が接続し、スイッチング素子Tr1のベース−エミッタ間にはコンデンサC3が接続している。
【0041】
差動共振回路12の構成は図1と同様であり、一方の出力端は、高周波インバータ回路のグランド(直流電源E1の低電圧出力側)に接続している。
【0042】
インバータ制御回路13は、高周波インバータ回路11の自励発振制御用のスイッチング素子Tr1をオン・オフして、高周波インバータ回路11の発振を連続発振と間欠発振との2通りに制御している回路で、差動共振回路12の他方の出力端に一端を接続したダイオードD3とツェナダイオードZD1と抵抗R7との直列回路の他端はスイッチング素子Tr2のベースに接続している。差動共振回路12の出力端間にはダイオードD3を介してコンデンサC5が接続し、スイッチング素子Tr2のベース−エミッタ間には抵抗R8が接続している。スイッチング素子FET1のドレインは、抵抗R4,R5の直列回路を介してグランドレベルに接続しており、コンデンサC6はダイオードD2を介して抵抗R5に並列接続している。ダイオードD2とコンデンサC6との接続中点は、ダイオードD1と抵抗R3とを介して自励発振制御用のスイッチング素子Tr1のベースに接続しており、さらに抵抗R6を介してトランジスタTr2のコレクタに接続している。
【0043】
非接触受電装置2の2次側回路21は、第2のコイルL2の出力端間に接続したコンデンサC7と、第2のコイルL2の一方の出力端に直列接続した整流用のダイオードD4とを備えて、第2のコイルL2の誘起電圧を半波整流した出力を負荷である2次電池22に供給しており、2次電池22の両端は2次側制御回路23に接続している。
【0044】
第5のコイルL5の両端間には、共振コンデンサC8と、ダイオードD5及びスイッチング素子Tr3の直列回路とを接続し、スイッチング素子Tr3のベースは2次側制御回路23に接続している。
【0045】
次に、スイッチS1がオンになった時点からの発振開始から連続発振に至る過程を、図3に示す波形図を用いて説明する。まず、スイッチS1がオンすると、電圧Ve1を発生する直流電源E1は抵抗R2を介してコンデンサC1を充電する。このとき第1のコイルL1と密結合している帰還コイルL6には、誘起電圧が発生していないため、スイッチング素子FET1のゲート電圧VgはコンデンサC1の電圧Vc1に等しい。ゲート電圧Vgが次第に上昇し、スイッチング素子FET1をオンできる電圧Vgonに達するとスイッチング素子FET1はオンになり、ドレイン電圧Vdは、ほぼゼロ電位になる。この時、第1のコイルL1と並列接続された共振コンデンサC2の両端の共振電圧Vc2は直流電源E1の電源電圧Ve1でチャージされて、第1のコイルL1には、ほぼ単調に増加するコイル電流IL1が流れ始める。
【0046】
コイル電流IL1が流れ始めると、第2のコイルL2にはトランスの作用によって誘起電圧が発生する。同様に第1のコイルL1と密結合している帰還コイルL6にも誘起電圧Vf1が発生する。すると、グランドレベルからみたゲート電圧Vgは、Vc1+Vf1となり、急速にスイッチング素子FET1は安定したオン状態となる。
【0047】
またコイル電流IL1は、スイッチング素子FET1を通じて抵抗R1に流れるドレイン電流Idとほぼ等しく、時間とともに抵抗R1の電圧Vtr1が増加する。電圧Vtr1が、スイッチング素子Tr1のオンが可能な電圧に達すると、スイッチング素子Tr1はオンし始める。スイッチング素子Tr1がオンし始めると、スイッチング素子FET1のゲート入力容量、及び帰還コイルL6を介したコンデンサC1の容量に蓄積されていた電荷を引き抜きはじめ、電圧Vc1、ゲート電圧Vgは低下し始める。ゲート電圧Vgの低下が進むと、スイッチング素子FET1はオフ状態への移行を開始し、オン抵抗が増加してドレイン電圧Vdは次第に増加していく。
【0048】
ドレイン電圧Vdの増加に応じて、共振電圧Vc2も減少し始め、そして帰還コイルL6の誘起電圧Vf1も減少し始めるためゲート電圧Vgはさらに加速して低下する。この結果、急速にスイッチング素子FET1はオフ状態に移行し、電圧Vtr1も減少してスイッチング素子Tr1は再びオフになる。
【0049】
また共振電圧Vc2は、コンデンサC2と第1のコイルL1との共振作用により正弦波状の電圧となり、コイル電流IL1も正弦波状になる。この間、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1への充電電流は常に流れており、電圧Vc1を再び増加させる。
【0050】
共振電圧Vc2が1サイクルの終了間近になると、ドレイン電圧Vdはグランドレベルに近づき、そのときの帰還コイルL6の起電力Vf1と電圧Vc1との和のゲート電圧Vgが、再びスイッチング素子FET1をオンさせる。以降は、前記動作の繰り返しにより発振が縦続する。
【0051】
しかし、非接触受電装置2が非接触給電装置1に対向配置されてない状態、すなわち非接触給電装置1が単独の場合には、省エネルギーや金属異物の過熱保護のために高周波インバータ回路11の発振を停止または抑制する必要がある。本実施形態では高周波インバータ回路11の発振を間欠発振とすることでこの役割を果たしている。
【0052】
以下、図4に示す各部の波形図により間欠発振動作の制御について説明する。まず、スイッチS1を投入して連続発振が開始するまでは、前記図3での説明と同様である。図2のインバータ制御回路13は、ドレイン電圧Vdを抵抗R4,R5で抵抗分圧し、ダイオードD2を介してコンデンサC6に電荷を蓄積していく積分回路を有している。コンデンサC6の電圧はダイオードD1を介してトランジスタTr1のベース抵抗R3に接続しており、コンデンサC6の電圧が、スイッチング素子Tr1をオンさせることができる入力電圧値とダイオードD1、抵抗R3の各電圧降下との和を超えると、スイッチング素子Tr1がオ
ン状態になる。
【0053】
スイッチング素子Tr1がオン状態になると、スイッチング素子FET1のゲート入力容量、及び帰還コイルL6を介したコンデンサC1の容量に蓄積されていた電荷を引き抜く。この時スイッチング素子Tr1のオン時間が長く保持されると、電圧Vc1が、定常発振状態での電圧よりもさらに低下し、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1へ流れる充電電流による電圧回復が定常状態の電圧まで達せず、スイッチング素子FET1はオフ状態を継続することになる。
【0054】
したがって、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1へ流れる充電電流のみによる電圧Vc1がスイッチング素子FET1をオンできる入力電圧に達するまで次の発振起動は行われない。すなわちこの動作の繰り返しで安定した間欠発振となる。
【0055】
この間欠発振をさせるために重要なことは、まず、高周波インバータ回路11を発振させてから、時間遅延をさせて停止する機能を持っていなければならないことである。理由は高周波インバータ回路11が発振する前にスイッチング素子Tr1がオンになったとすると、永久に発振が停止した状態になるからである。図2の回路での発振停止状態は、ドレイン電圧Vdの電位が電源電圧Ve1になるため、抵抗R4,R5の分圧比を、この発振停止状態ではスイッチング素子Tr1がオンしない値にしておく必要がある。そして発振が開始してからスイッチング素子Tr1がオンできるレベルに達するようにするには、発振によってドレイン電圧Vdが電源電圧Ve1よりも大きくなったときの電圧を利用して、コンデンサC6を徐々に充電していき、適当な時間経過の後、スイッチング素子Tr1がオンできるように抵抗R4,R5の分圧比を設定しておけばよい。上記のように構成することで、図2に示す高周波インバータ回路11とインバータ制御回路13は、非接触給電装置1が単独の場合には、間欠発振を行うことができる。
【0056】
ところで、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されて電力伝達を行わせる必要がある場合には、この間欠発振を確実に停止させる機能が必要となる。間欠発振を確実に停止させる、すなわち連続発振をさせる機能を果たすために非接触給電装置1のインバータ制御回路13には本実施形態の差動共振回路12が必要となる。また、差動共振回路12に対向する非接触受電装置2の第5のコイルL5も重要な役割を持っている、以下、この動作について説明する。
【0057】
共振コンデンサC4によって増幅された第4,第5のコイルの差動回路の出力は、ダイオードD3で整流されて、コンデンサC5に充電される。そして、コンデンサC5の充電電圧が、スイッチング素子Tr2をオンさせることができる入力電圧値とツェナダイオードZD1のツェナ電圧と抵抗R7の電圧降下との和を超えると、スイッチング素子Tr2がオン状態になり、抵抗R6を介して接続しているコンデンサC6の電荷を引き抜く。すると、コンデンサC6の積分動作でトランジスタTr1をオンにすることはできず、スイッチング素子FET1の間欠発振を停止して、連続発振にすることができる。
【0058】
したがって、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されて電力伝達を行わせる必要がある場合には、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されたことにより発生する磁束分布等の変化状態を差動共振回路12が検知することで得られる検出信号(差動共振出力)や、また非接触受電装置2の第5のコイルL5からの信号にもとづいて得られる差動共振回路12の検出信号出力を、それまでのスイッチング素子Tr2がオフの状態を保つ電圧からオンの状態を保つ電圧にまで変化させなければならない。具体的には非接触受電装置2が配置されてない場合には、差動共振回路12の検出信号の電圧を低くして、スイッチング素子Tr2がオンできないようにしておく。また非接触受電装置2が概略、対向配置された場合には差動共振回路12の検出信号の電圧を大きくしてスイッチング素子Tr2がオンできるようにしておく。
【0059】
また、図2に示すように非接触受電装置2の負荷が電池の場合ならば、過充電になる前に電力供給を停止する必要性がある。そのためには非接触給電装置1の差動共振回路12の検出信号の電圧が、それまでのスイッチング素子Tr2がオンを保つ電圧からオフの状態を保つ電圧にまで変化できるように、第5のコイルL5から信号を出力すればよい。具体的には非接触受電装置2が概略、対向配置された状態において、非接触給電装置1の差動共振回路12の出力電圧が低くなるように、非接触受電装置2の第5のコイルL5を励磁または励磁停止させて、スイッチング素子Tr2がオフできるようにしておけばよい。
【0060】
次に、図5は、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された構造の側面断面図を示しており、分離着脱自在なトランス構造をなしている。この分離着脱式トランスは、磁気抵抗を小さくするために断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコア14,25を備えており、第1のコイルL1は第1のコア14の両端に設けた突部14a,14b間に巻回され、第3のコイルL3は突部14aに巻回され、第4のコイルL4は第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に巻回され、帰還コイルL6は突部14a,14b間の第1のコイルL1とは軸方向に分離した突部14b側に巻回されており、第2のコイルL2は第2のコア25の両端に設けた突部25a,25b間に巻回され、第5のコイルL5は突部14aに対向する突部25aに第3のコイルL3に対向して巻回されている。
【0061】
非接触給電装置1においては、第1のコイルL1と第4のコイルL4とは、磁気的に比較的密結合になっており、第1のコイルL1と第3のコイルL3、及び第3のコイルL3と第4のコイルL4とは磁気的に疎結合になっている。また、第3のコイルL3と第4のコイルL4との直列回路には並列に共振コンデンサC4が接続されている。そして、非接触給電装置1が単独の場合には、高周波インバータ回路11が間欠発振の動作中の発振している期間に、第1のコイルL1のコイル電流IL1が作る磁束による差動共振回路12の出力電圧が、スイッチング素子Tr2をオンさせないような小さい電圧となるように、第3,第4のコイルL3,L4の巻数が設定されている。
【0062】
非接触受電装置2においては、第2のコイルL2と第5のコイルL5とは磁気的に疎結合になっており、第5のコイルL5に並列に共振コンデンサC8が接続されている。非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されると、最初、高周波インバータ回路11が間欠発振の動作中の発振している期間では、第5のコイルに第1のコイルL1からの磁束が錯交し、第5のコイルL5に誘起電圧が生じる。第5のコイルL5は、並列に共振コンデンサC8が接続されているために共振電流が流れる。また共振コンデンサC5がなく、第5のコイルL1の端子がスイッチング素子Tr3で短絡されている場合には短絡電流が流れる。
【0063】
これら第5のコイルL5に流れる電流は、第5のコイルL5に新たな磁束を鎖交させ、第1のコイルL1のコイル電流IL1による磁束の変化を妨げようとし、新たに発生した磁束は第3のコイルL3にも影響を与える。すなわち複数のコイル間による相互誘導と自己誘導との作用により、第3のコイルL3にはそれまで生じていた誘起電圧に対し、振幅や波形の変化またその変化の遅れが生じ、このため、第3のコイルL3の誘起電圧の変化は大きくなる。
【0064】
しかし第4のコイルL4の誘起電圧の変化は小さいため、第3,第4のコイルL3,L4の誘起電圧バランスが崩れて差動電圧が発生し、差動共振回路12がこの周波数に共振するようにコンデンサC4を設定しておけば、さらに大きな信号差動共振出力、すなわち検出信号を得ることができる。したがって、図2におけるトランジスタTr2をオンにするので、高周波インバータ回路11は連続発振となる。
【0065】
次に非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された場合で、給電停止の必要性がある場合には、第5のコイルL5の励磁をゼロにする、または小さくすることで、第3,第4のコイルL3,L4の誘起電圧バランスを回復させて、差動共振回路の検出信号をゼロまたは小さくすることができ、図2におけるトランジスタTr2がオフとなり高周波インバータ回路11は間欠発振を行う。
【0066】
第5のコイルL5の励磁をゼロまたは小さくする方法は、その回路を全体または部分的に短絡したり開放することで可能になる。また、このことは時間的に連続的でも周期的でもよい。図2では第5のコイルL5とコンデンサC8との共振回路全体をダイオードD5を介してトランジスタTr3で一方向に短絡することで、差動共振回路12の出力制御を行っている。
【0067】
上記説明では、第5のコイルL5を高周波インバータ回路11の発振周波数と同じ周波数で励磁する構成を例にとったが、その構成はいろいろ考えられ、例えば図示してない補助コイルを使って受電した電圧をそのまま使って第5のコイルL5に加えたりすればいい。また第2のコイルL2や図示してない補助コイルから得たエネルギーや非接触受電装置2が既に有しているエネルギー源を使って、電力伝送のための高周波インバータ回路11の発振周波数とは異なるが、それに近い周波数の信号を発生させて第5のコイルL5に加えることもできる。
【0068】
本発明の重要なポイントは第3のコイルL3と第4のコイルL4に発生する誘起電圧の絶対値ではなく、バランスである。すなわち、非接触給電装置1単体ではバランスが保たれ、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された状態で、給電が必要な場合にはこのバランスを崩し、さらに非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された状態で、給電の停止が必要な場合にはこのバランスを取り戻すようにしておけばよい。
【0069】
このように図2の高周波インバータ回路11とインバータ制御回路13との各動作は、非接触給電装置1が単独でも、非接触受電装置2が概略、対向配置された場合でも間欠発振を制御できる機能を有しており、「非接触給電装置1が単独の場合の発振停止または抑制」、「非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略対向配置された場合の発振継続」、及び「非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略対向配置された場合の給電制御」の3状態においても、「間欠発振の継続や停止」の制御ができる。
【0070】
従来の方式においては、前記3つの状態を満たすために、例えば電力伝達周波数と信号伝達周波数を別々に設けたが、そのためにサイズ、及びコストの増大化を招いた。また別の方法では、電力伝達と信号伝達の周波数は同一化したが信号の変化が小さく、前記3つの状態の識別が難かしくなる等の問題点を有していた。
【0071】
しかし本実施形態では、上記の動作説明から分かるように、電力伝達と信号伝達の周波数は同一または近い値としているものの、非接触給電装置1の入力信号部に差動共振回路12を設けたことで、この信号の小さい変化を大きな変化として簡易に取り出せるようにり、極めてシンプルなシステムを実現することができた。
【0072】
ところで、本実施形態の差動共振回路12の役割は、差動接続された第3のコイルL3と第4のコイルL4の両端に生じる電圧の差を増幅する差動増幅の役割と、その差の電圧をさらに共振によって強調する共振増幅の役割との両方を組み合わせたものと考えることができる。ただし、ここでいう共振とは単独容量と自己インダクタンスとの閉回路のみで決まる単純な並列あるいは直列共振のみを対象にしているわけではない。実際のシステムにおいて、容量Cは独立した部品容量のみならず系内の寄生容量、配線容量を含めたものになっていると考えられ、またインダクタンスLは自己インタクタンスの他に相互インダクタンスがあって他のコイルと相互誘導を行い、またエネルギー消費においては、負荷と各部との損失が混同していると考えられる。従って実際のシステムで利用する共振現象とは、こういう複合系での共振を利用したものである。上記差動共振の説明では、便宜上、コイルやコンデンサ等を明確に指定しているが、本実施形態の差動共振利用の意味するところは、実用において複数のインダクタンスやコンデンサや損失分などが相互的に関わる複合系において、結果的に強調された周波数成分をもつ電圧や電流の増幅効果及び強調効果を利用することである。
【0073】
さて、図5では、差動増幅と共振とによる総合効果を発揮させる分離着脱式トランスの第1の構造例を示したが、以下、図5以外の具体的構造例、仕組みを示す。
【0074】
まず図6に側面断面図を示す第2の構造例は、分離着脱自在なトランスの非接触給電装置1側、つまりトランスの1次側を示しており、断面コの字型の磁性体からなる第1のコア14を備えて、第1のコイルL1は第1のコア14の両端に設けた突部14a,14b間に巻回され、第3、第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1を軸方向に挟んで(第1のコイルL1の半径方向に対称に)、突部14a,14b間に巻回されている。
【0075】
ここで、第1のコイルL1のコイル電流IL1による磁束の分布のイメージは磁束分布100のようになり、第3のコイルL3と第4のコイルL4とに各々鎖交する磁束数は同じであるため差動共振回路12の差動共振出力は略ゼロとなる。すなわち第3,第4のコイルL3,L4がこのような配置では、図2の回路のトランジスタTr2がオフのままであるから間欠発振を継続する。
【0076】
次に図7の側面断面図は、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置した場合、すなわち図6の電力伝達用の第1のコイルL1に対向して第2のコイルL2を配置したものであり、トランスの2次側は、断面コの字型の磁性体からなる第2のコア25を備えて、第2のコイルL2は第2のコア25の両端に設けた突部25a,25b間に巻回されている。
【0077】
ここで、第1のコイルL1のコイル電流IL1による磁束の分布のイメージは磁束分布101のようになり、第3,第4のコイルL3,L4に錯交する磁束数は第1のコイルL1単独のときと同じように、磁束数は同じであり、差動共振回路12の差動共振出力は略ゼロとなる。
【0078】
しかし、非接触受電装置2が置かれた場合には連続発振に移行しなければならないため、図8の側面断面図に示すように、突部25a,25b間の第3のコイルL3に対向する箇所に第2のコイルL2とは軸方向に分離して信号伝送用の第5のコイルL5を巻回し、第2のコイルL2からの誘起電圧や図示してない補助コイルを使った誘起電圧を励磁電源として第5のコイルL5に印加し、この第5のコイルL5の発生磁束を第3のコイルL3に多く鎖交するようにしておけばよい。図8には、コイル電流IL1による磁束分布102だけでなく、励磁電源により第5のコイルL5のみを励磁した場合の磁束分布103も示している。
【0079】
このように第3のコイルL3には磁束が多く錯交するが、第4のコイルL4の錯交数が少ないため、電圧バランスを崩すことができる。
【0080】
次に第3の構造例の側面断面図を図9に示す。これは図8に示す第2の構造例の第4のコイルL4を、第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に巻回したものである。
【0081】
図10に側面断面図を示す第4の構造例は、第1〜第3の構造例と同様に、両端に突部14a,14bを設けた断面コの字型の磁性体からなる第1のコア14と、両端に突部25a,25bを設けた断面コの字型の磁性体からなる第2のコア25とを備えて分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第1のコイルL1は第1のコア14の突部14a,14bに巻回され、第3のコイルL3は突部14a,14b間の凹部に、第1のコイルL1の軸方向に第1のコイルL1に重ねて配置され、第4のコイルL4は突部14aに、第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて巻回されており、第2のコイルL2は第2のコア25の突部25a,25bに巻回され、第5のコイルL5は突部25a,25b間の凹部に、第2のコイルL2の軸方向に第2のコイルL2に重ねて、第3のコイルL3に対向して配置される。
【0082】
図11に側面断面図を示す第5の構造例は、断面E型の磁性体からなる第1,第2のコア15,26を備えて分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第1のコア15は両端に突部15a,15bを設け、中央に突部15cを設けて、第2のコア26は両端に突部26a,26bを設け、中央に突部26cを設けている。第1のコイルL1は第1のコア15の中央の突部15cに巻回され、第3のコイルL3は突部15aに巻回され、第4のコイルL4は第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に巻回されており、第2のコイルL2は中央の突部26cに巻回され、第5のコイルL5は突部15aに対向する突部26aに第3のコイルL3に対向して巻回される
図12に側面断面図を示す第6の構造例は、図11に示す第5の構造例の第4のコイルL4を、第1のコア15の突部15bに巻回したものである。
【0083】
図13に側面断面図を示す第7の構造例は、円筒状のポット型のコアを軸方向に対して略対象に分割した一方である第1のコア16と、他方である第2のコア27とを備え、第1のコア16は軸方向の略中央の内面に突部16aを設けて、分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第2のコア27は軸方向の略中央の内面に突部27aを設けている。第1のコイルL1は第1のコア16の中央の突部16aに巻回され、第3,第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に、且つ第3のコイルL3は第2のコア27に近くなるように第4のコイルL4とは軸方向に分離して巻回され、第2のコイルL2は第2のコア27の中央の突部27aに巻回され、第5のコイルL5は第2のコイルL2の半径方向に第2のコイルL2に重ねて同軸に、第3のコイルL3に対向して巻回される。
【0084】
図14に側面断面図を示す第8の構造例は、円板状または円筒状の磁性体からなる第1,第2のコア17,28を備えて分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第1のコイルL1は第1のコア17の側面に巻回され、第3,第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に、且つ第3のコイルL3は第1のコア17の第2のコア28に近い一方の端部に巻回され、第4のコイルL4は第1のコア17の他方の端部に巻回されており、第2のコイルL2は第2のコアの側面に巻回され、第5のコイルL5は第2のコイルL2の半径方向に第2のコイルL2に重ねて同軸に、且つ第2のコア28の第1のコア17に近い一方の端部に第3のコイルL3に対向して巻回される。
【0085】
図15に側面断面図を示す第9の構造例は、図14に示す第8の構造例の第3,第4のコイルL3,L4を、第1のコイルL1を軸方向に挟んで第1のコイルL1の軸方向に分離したもので、第3のコイルL3は第1のコア17の第2のコア28に近い一方の端部に巻回され、第4のコイルL4は第1のコア17の他方の端部に巻回される。
【0086】
図16に側面断面図を示す第10の構造例は、図14に示す第8の構造例の第3のコイルL3を、第1のコア17の第2のコア28に近い一方の端面上に配置し、第4のコイルL4を、第1のコア17の他方の端面上に配置して、第5のコイルL5を、第2のコア28の第1のコア17に近い一方の端面上に配置したものである。
【0087】
また、本発明は、以上述べてきた分離着脱自在なトランスにおける第3,第4のコイルL3,L4で構成される差動接続コイルと、第5のコイルL5との配置は、磁性体のコアの有無によらず、異なる実施例の組み合わせも含まれる。
【0088】
さらに、第5のコイルL5を必要としない場合(すなわち、「非接触給電装置1が単独の場合の発振停止または抑制」と、「非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略対向配置された場合の発振継続」のみを対象にする場合)にも適用できる。
【0089】
(実施形態2)
本実施形態では、「非接触給電装置1が単独の場合の発振停止または抑制」と、「非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略対向配置された場合の発振継続」のみを対象にする場合について、ブロック構成図を図17に示し、極めてシンプルなシステムで構成できる具体的な回路構成を図18に示す。本実施形態は、図1,2の第5のコイルL5、共振コンデンサC8、及びその周辺素子を省略したものであり、インバータ制御回路13を極めて簡素な回路で実現できるものである。基本的な構成は実施形態1の図1,図2と略同様であり、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0090】
本実施形態のインバータ制御回路13は、差動共振回路12の検出信号を半波整流するダイオードD6と、整流出力を平滑するコンデンサC9と、コンデンサC9の並列に接続した抵抗R9と、検出信号を整流、平滑した出力をベースに接続して、自励発振制御用のトランジスタTr1に並列に接続した発振制御用のトランジスタTr4とから構成される。
【0091】
高周波インバータ回路11は実施形態1同様に、起動から連続発振を自動的に行う自励発振回路であるが、制御回路13の発振制御用のトランジスタTr4をオンにすると高周波インバータ回路11は発振を停止して間欠発振を行い、オフにすると高周波インバータ回路11は連続発振を行う。
【0092】
そこで、第3と第4のコイルL3,L4で構成される差動共振接続コイルの出力を、非接触受電装置2がない場合に出力電圧が所定の値よりも大きく出るようにし、非接触受電装置2が概略、対向配置されると出力電圧が所定の値よりも小さくなるように調整しておけば、非接触給電装置が単独の場合は差動共振回路12の出力電圧が大きくなって、トランジスタTr4をオンして間欠発振を行い、非接触受電装置2が対向配置されると差動共振回路12の出力電圧が小さくなって、トランジスタTr4をオフして連続発振とすることができる。
【0093】
したがって、「非接触給電装置1が単独の場合の発振停止または抑制」と、「非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略対向配置された場合の発振継続」のみの利用においては、本実施形態を電動歯ブラシや電気シェーバ等の常時充電に適用することができる。すなわち、従来の技術では非接触受電装置2側が外された状態でも非接触給電装置1が連続発振しており、無駄なエネルギー消費となっていたが、本実施形態では極めて少ない部品の追加で非接触給電装置1が単独の場合の発振停止、抑制を行うことができ、省エネルギーに貢献することができる。
【0094】
次に、本実施形態の分離着脱自在なトランスの非接触給電装置1側、つまりトランスの1次側の構成は、円板状または円筒状の磁性体からなる第1のコア17を備えて、第1のコイルL1は第1のコア17の側面に巻回され、第3,第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に、且つ第3のコイルL3は第1のコア17の第2のコイルL2に近い一方の端部に巻回され、第4のコイルL4は第1のコア17の他方の端部に巻回されており、トランスの2次側の構成は、磁性体のコアは備えす、第2のコイルL2が巻回されている。
【0095】
そして、非接触受電装置2は電動歯ブラシであり、第2のコイルL2の出力を2次側回路21で整流し、この整流出力で2次電池22を充電して、本体回路29を動作させるもので、2次電池22と本体回路29とで負荷回路30を構成している。
【0096】
また、図19に示す回路構成では、インバータ制御回路13を、差動共振回路12の出力を半波整流するダイオードD7のみで構成しており、この整流出力を自励発振制御用のトランジスタTr1のベースに接続し、トランジスタTr1のオン・オフを制御して、高周波インバータ回路11の間欠発振、連続発振を切替えている。他の構成は図18に示す回路と同様なので説明は省略する。
【0097】
さらに、図18,19に示す分離着脱式トランスの他の構造例を図20,21に示す。図20のトランスの1次側の構成は、図18,19に示す第3のコイルを第1のコイルL1の半径方向に第1のコイルL1に重ねて同軸に巻回し、第4のコイルを第3のコイルL3の半径方向に第3のコイルL3に重ねて同軸に巻回したものであり、図21のトランスの1次側の構成は、図18,19に示す第3,第4のコイルL3,L4を、第1のコイルL1を軸方向に挟んで第1のコイルL1の軸方向に分離したもので、第3のコイルL3は第1のコア17の第2のコイルL2に近い一方の端部に巻回され、第4のコイルL4は第1のコア17の他方の端部に巻回されたものである。
【0098】
【発明の効果】
請求項1の発明は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、給電状況を検出するために第1のコイルの近傍に配置した第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路、及び前記コイルの差動接続回路の出力を増幅するために第3のコイル及び第4のコイルに接続した共振コンデンサからなる差動共振回路とを備えて、前記差動共振回路が出力する検出信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、
第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成されるので、電力と信号との周波数を同一または近い値として給電状況を識別して電力供給制御を行ってノイズ対策部品の増大を防ぎ、また回路構成やトランス構造がシンプルになって、全体のシステムのサイズの小型化とコストダウンを図ることができ、したがってシンプルな構造を有して、低ノイズである非接触電力伝達装置を提供することができるという効果がある。
【0099】
請求項2の発明は、請求項1において、第3のコイルと第4のコイルとは互いに疎結合になるように配置されているので、コイルの差動回路を用いて給電状況を検出することができるという効果が有る。
【0100】
請求項3の発明は、請求項1または2において、第1のコイルと、第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方のコイルとは互いに疎結合になるように配置されているので、請求項2と同様の効果を奏する。
【0101】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記差動共振回路は、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくとも一方のコイル電流により発生する磁束または磁場の変化を検出することで、給電状況の検出を行うので、請求項2と同様の効果を奏する。
【0102】
請求項5の発明は、請求項4において、前記非接触受電装置は、自機の状況を与える磁束信号を発生する少なくとも1つの第5のコイルを、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の近傍に備え、前記差動共振回路は、第5のコイルが発生する磁束信号を検出することで給電状況の検出を行うので、非接触給電装置に、負荷側の状況を伝達することができ、この負荷側の状況に応じた給電制御を行うことができるという効果がある。
【0103】
請求項6の発明は、請求項5において、前記非接触受電装置は、第5のコイルに並列接続した共振コンデンサを備えるので、第5のコイルが発生する磁束を増幅することができるという効果がある。
【0104】
請求項7の発明は、請求項5において、前記非接触受電装置は、前記負荷の状態に応じて第5のコイルの励磁制御を行う2次側制御回路を備えるので、第5のコイルは、負荷の状況に応じた磁束を発生することができるという効果がある。
【0105】
請求項8の発明は、請求項5乃至7いずれかにおいて、第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方は、第1のコイルが発生する電力伝送のための磁束に対して疎結合となる配置、形状を設定され、第3のコイルと第4のコイルとの各巻数は、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の両端電圧が所定の電圧となるように設定されて、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置との磁気結合状況、あるいは第5のコイルが発生する磁束信号によって前記所定の電圧に対して増減し、前記インバータ制御回路は、前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を制御するので、非接触給電装置と非接触受電装置との結合状態、及び負荷の状況に応じた給電制御を行うことができるという効果がある。
【0106】
請求項9の発明は、請求項8において、前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の値以下になって、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、
第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置が有するエネルギー源または前記高周波インバータ回路の間欠発振動作による第1のコイルからの給電により、前記非接触受電装置に設けた2次側制御回路が第5のコイルを励磁して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合の検出信号よりも大きい電圧値を有し、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御し、
前記非接触給電装置からの連続給電を停止する場合は、前記差動共振回路の検出信号は、前記2次側制御回路が第5のコイルの励磁を停止する、または励磁を弱める、または間欠励磁する、または励磁周波数を変更して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記高周波インバータ回路が連続発振を行っている場合の検出信号よりも小さい電圧値となり、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御するので、請求項8と同様の効果を奏する。
【0107】
請求項10の発明は、請求項9において、前記インバータ制御回路は、前記高周波インバータ回路の発振を一定時間毎に開始させる定期発振開始手段と、発振を開始してから一定時間後に発振を停止させる発振強制停止手段と、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記発振強制停止手段の継続と解除とを制御することで、前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段とを備えるので、非接触給電装置と非接触受電装置との結合状態、及び負荷の状況に応じて間欠発振、または連続発振を行うことができるという効果がある。
【0108】
請求項11の発明は、請求項10において、前記発振強制停止手段は、前記第1のコイルに発生する電圧を利用して、前記定期発振開始手段により前記高周波インバータ回路の発振が立ち上がってから定常発振へと移行する過程において発振が開始したことを検知する手段を有するので、間欠発振を行うことができるという効果が有る。
【0109】
請求項12の発明は、請求項10または11において、第1のコイルに発生する電圧の振幅は、前記高周波インバータ回路の発振停止時より発振開始後のほうが大きく、前記発振強制停止手段は、第1のコイルに発生する電圧によって充電される積分回路と、発振開始後に前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えたことを検出して前記高周波インバータ回路の発振を停止させる手段とを備えるので、発振強制停止手段の具体回路を構成することができるという効果がある。
【0110】
請求項13の発明は、請求項12において、前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段は、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記積分回路を構成するコンデンサの電荷を引き抜く手段を備えて、前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えないようにすることで、前記発振強制停止手段の動作を阻止するので、間欠発振と連続発振とを切換えることができるという効果がある。
【0111】
請求項14の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されるので、断面コの字型のコアを用いて、非接触給電装置と非接触受電装置とで分離着脱自在なトランス構造を構成することができるという効果がある。
【0112】
請求項15の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3、第4のコイルは第1のコイルを軸方向に挟んで、第1のコアの両突部間に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されるので、請求項14と同様の効果を奏する。
【0113】
請求項16の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコイルとは軸方向に分離して第1のコアの両突部間に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されるので、請求項14と同様の効果を奏する。
【0114】
請求項17の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部間の凹部に配置され、第4のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間の凹部に第3のコイルに対向して配置されるので、請求項14と同様の効果を奏する。
【0115】
請求項18の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されるので、断面E型のコアを用いて請求項14と同様の効果を奏する。
【0116】
請求項19の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち一方に巻回され、第4のコイルは第1のコアの両端の突部のうち他方に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されるので、請求項18と同様の効果を奏する。
【0117】
請求項20の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、円筒状のポット型のコアを軸方向に対して略対象に分割した一方である第1のコアと、他方である第2のコアとを備え、第1,第2のコアは軸方向の略中央の内面に突部を各々設けており、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルの半径方向に第2のコイルに重ねて同軸に、第3のコイルに対向して巻回されるので、円筒状のポット型のコアを用いて請求項14と同様の効果を奏する。
【0118】
請求項21の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの側面に巻回した第1のコイルと、第2のコアの側面に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されるので、円板状または円筒状のコアを用いて請求項14と同様の効果を奏する。
【0119】
請求項22の発明は、請求項5乃至13いずれかにおいて、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくともいずれか一方が円板上または円筒状の磁性体からなるコアに巻回して、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコイルに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されるので、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくともいずれか一方に円板上または円筒状のコアを用いて、請求項14と同様の効果を奏する。
【0120】
請求項23の発明は、請求項1において、前記高周波インバータ回路は自励発振を行うものであって、前記差動共振回路の検出信号は第1のコイルの電流による磁束を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の電圧値より大きい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触給電装置が単独であるときの第1のコイルが発生する磁束に対して分布、強度、方向が変化した磁束を検出した所定の電圧値より小さい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御するので、非接触給電装置が単独の場合の発振停止、抑制を行うことができ、省エネルギーに貢献することができるという効果がある。
【0121】
請求項24の発明は、請求項23において、前記自励発振を行う高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の発振を起動させるための起動回路と、第1のコイルに磁気結合した帰還コイルと、第1のコイルまたは発振用スイッチング素子に並列接続したコンデンサと、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備える電圧共振型のインバータ回路であり、発振用スイッチング素子は前記帰還コイルの誘起電圧と前記起動回路の出力とによってオンし、オンしてから一定時間後に自励制御用スイッチング素子がオンして発振用スイッチング素子をオフさせるので、自励発振を行って請求項23と同様の効果を奏する。
【0122】
請求項25の発明は、請求項24において、前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路と、前記整流平滑回路の出力を制御端に接続し、前記自励制御用スイッチング素子に並列に接続した発振制御用スイッチング素子とを備えるので、差動共振回路の検出信号で発振制御用スイッチング素子をオン・オフすることで、間欠発振と連続発振とを切換えることができ、極めて少ない部品の追加で請求項23と同様の効果を奏する。
【0123】
請求項26の発明は、請求項24において、前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路を備え、前記整流平滑回路の出力を前記自励制御用スイッチング素子の制御端に接続したので、差動共振回路の検出信号で自励制御用スイッチング素子をオン・オフすることで、請求項25と同様の効果を奏する。
【0124】
請求項27の発明は、請求項23乃至26いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したので、円板状または円筒状の磁性体からなるコアを用いて請求項14と同様の効果を奏する。
【0125】
請求項28の発明は、請求項23乃至26いずれかにおいて、円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、前記コアの側面に第1のコイルとは軸方向に分離して巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したので、請求項27と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のブロック構成を示す図である。
【図2】同上の具体的な回路構成を示す図である。
【図3】同上の発振から連続発振に至る各部の波形を示す図である。
【図4】同上の発振から間欠発振に至る各部の波形を示す図である。
【図5】同上の分離着脱式トランスの第1の構造例を示す側面断面図である。
【図6】同上の分離着脱式トランスの第2の構造例の1次側を示す側面断面図である。
【図7】同上の分離着脱式トランスの第2の構造例の1次側と2次側とを示す側面断面図である。
【図8】同上の分離着脱式トランスの第2の構造例の全体を示す側面断面図である。
【図9】同上の分離着脱式トランスの第3の構造例を示す側面断面図である。
【図10】同上の分離着脱式トランスの第4の構造例を示す側面断面図である。
【図11】同上の分離着脱式トランスの第5の構造例を示す側面断面図である。
【図12】同上の分離着脱式トランスの第6の構造例を示す側面断面図である。
【図13】同上の分離着脱式トランスの第7の構造例を示す側面断面図である。
【図14】同上の分離着脱式トランスの第8の構造例を示す側面断面図である。
【図15】同上の分離着脱式トランスの第9の構造例を示す側面断面図である。
【図16】同上の分離着脱式トランスの第10の構造例を示す側面断面図である。
【図17】本発明の実施形態2のブロック構成を示す図である。
【図18】同上の具体的な回路構成を示す図である。
【図19】同上の別の回路構成を示す図である。
【図20】同上の分離着脱式トランスの構造例を示す側面断面図である。
【図21】同上の分離着脱式トランスの別の構造例を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 非接触給電装置
2 非接触受電装置
11 高周波インバータ回路
12 差動共振回路
13 インバータ制御回路
21 電力変換回路
22 2次電池
23 2次側制御回路
L1〜L5 第1〜第5のコイル
C4,C8 共振コンデンサ

Claims (28)

  1. 高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、給電状況を検出するために第1のコイルの近傍に配置した第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路、及び前記コイルの差動接続回路の出力を増幅するために第3のコイル及び第4のコイルに接続した共振コンデンサからなる差動共振回路とを備えて、前記差動共振回路が出力する検出信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、
    第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成されることを特徴とする非接触電力伝達装置。
  2. 第3のコイルと第4のコイルとは互いに疎結合になるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝達装置。
  3. 第1のコイルと、第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方のコイルとは互いに疎結合になるように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の非接触電力伝達装置。
  4. 前記差動共振回路は、第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくとも一方のコイル電流により発生する磁束または磁場の変化を検出することで、給電状況の検出を行うことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  5. 前記非接触受電装置は、自機の状況を与える磁束信号を発生する少なくとも1つの第5のコイルを、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の近傍に備え、前記差動共振回路は、第5のコイルが発生する磁束信号を検出することで給電状況の検出を行うことを特徴とする請求項4記載の非接触電力伝達装置。
  6. 前記非接触受電装置は、第5のコイルに並列接続した共振コンデンサを備えることを特徴とする請求項5記載の非接触電力伝達装置。
  7. 前記非接触受電装置は、前記負荷の状態に応じて第5のコイルの励磁制御を行う2次側制御回路を備えることを特徴とする請求項5記載の非接触電力伝達装置。
  8. 第3のコイルと第4のコイルとのうち少なくとも一方は、第1のコイルが発生する電力伝送のための磁束に対して疎結合となる配置、形状を設定され、第3のコイルと第4のコイルとの各巻数は、第3のコイルと第4のコイルとの差動接続回路の両端電圧が所定の電圧となるように設定されて、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置との磁気結合状況、あるいは第5のコイルが発生する磁束信号によって前記所定の電圧に対して増減し、前記インバータ制御回路は、前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を制御することを特徴とする請求項5乃至7いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  9. 前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の値以下になって、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、
    第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触受電装置が有するエネルギー源または前記高周波インバータ回路の間欠発振動作による第1のコイルからの給電により、前記非接触受電装置に設けた2次側制御回路が第5のコイルを励磁して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合の検出信号よりも大きい電圧値を有し、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御し、
    前記非接触給電装置からの連続給電を停止する場合は、前記差動共振回路の検出信号は、前記2次側制御回路が第5のコイルの励磁を停止する、または励磁を弱める、または間欠励磁する、または励磁周波数を変更して発生させた磁束信号を検出した信号であり、前記高周波インバータ回路が連続発振を行っている場合の検出信号よりも小さい電圧値となり、前記インバータ制御回路は前記検出信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御することを特徴とする請求項8記載の非接触電力伝達装置。
  10. 前記インバータ制御回路は、前記高周波インバータ回路の発振を一定時間毎に開始させる定期発振開始手段と、発振を開始してから一定時間後に発振を停止させる発振強制停止手段と、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記発振強制停止手段の継続と解除とを制御することで、前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段とを備えることを特徴とする請求項9記載の非接触電力伝達装置。
  11. 前記発振強制停止手段は、前記第1のコイルに発生する電圧を利用して、前記定期発振開始手段により前記高周波インバータ回路の発振が立ち上がってから定常発振へと移行する過程において発振が開始したことを検知する手段を有することを特徴とする請求項10記載の非接触電力伝達装置。
  12. 第1のコイルに発生する電圧の振幅は、前記高周波インバータ回路の発振停止時より発振開始後のほうが大きく、前記発振強制停止手段は、第1のコイルに発生する電圧によって充電される積分回路と、発振開始後に前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えたことを検出して前記高周波インバータ回路の発振を停止させる手段とを備えることを特徴とする請求項10または11記載の非接触電力伝達装置。
  13. 前記高周波インバータ回路の間欠発振と連続発振とを制御する手段は、前記差動共振回路の検出信号に応じて、前記積分回路を構成するコンデンサの電荷を引き抜く手段を備えて、前記積分回路に充電された電圧が所定の値を超えないようにすることで、前記発振強制停止手段の動作を阻止することを特徴とする請求項12記載の非接触電力伝達装置。
  14. 両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  15. 両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3、第4のコイルは第1のコイルを軸方向に挟んで、第1のコアの両突部間に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  16. 両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部間に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部間に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコイルとは軸方向に分離して第1のコアの両突部間に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間に第2のコイルとは軸方向に分離して第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  17. 両端に突部を設けた断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの両突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの両突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両突部間の凹部に配置され、第4のコイルは第1のコアの両突部のうち少なくとも一方に巻回され、第5のコイルは第2のコアの両突部間の凹部に第3のコイルに対向して配置されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  18. 両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち少なくとも一方に巻回され、第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  19. 両端及び中央に突部を設けた断面E型の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3のコイルは第1のコアの両端の突部のうち一方に巻回され、第4のコイルは第1のコアの両端の突部のうち他方に巻回され、第5のコイルは第3のコイルに対向する第2のコアの突部に巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  20. 円筒状のポット型のコアを軸方向に対して略対象に分割した一方である第1のコアと、他方である第2のコアとを備え、第1,第2のコアは軸方向の略中央の内面に突部を各々設けており、第1のコアの中央の突部に巻回した第1のコイルと、第2のコアの中央の突部に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルの半径方向に第2のコイルに重ねて同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  21. 円板状または円筒状の磁性体からなる第1,第2のコアを備え、第1のコアの側面に巻回した第1のコイルと、第2のコアの側面に巻回した第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコアに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  22. 第1のコイルと第2のコイルとのうち少なくともいずれか一方が円板上または円筒状の磁性体からなるコアに巻回して、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を構成しており、第3,第4のコイルは第1のコイルと同軸に、且つ第3のコイルは第2のコイルに近くなるように第4のコイルとは軸方向に分離して巻回され、第5のコイルは第2のコイルと同軸に、第3のコイルに対向して巻回されることを特徴とする請求項5乃至13いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  23. 前記高周波インバータ回路は自励発振を行うものであって、前記差動共振回路の検出信号は第1のコイルの電流による磁束を検出した信号であり、前記非接触給電装置が単独である場合、前記差動共振回路の検出信号は所定の電圧値より大きい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を間欠発振に制御し、第1のコイルと第2のコイルとが互いに略対向配置となる場合、前記差動共振回路の検出信号は、前記非接触給電装置が単独であるときの第1のコイルが発生する磁束に対して分布、強度、方向が変化した磁束を検出した所定の電圧値より小さい信号であり、前記インバータ制御回路は前記検出信号を平滑した信号に基づいて前記高周波インバータ回路の発振を連続発振に制御することを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝達装置。
  24. 前記自励発振を行う高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の発振を起動させるための起動回路と、第1のコイルに磁気結合した帰還コイルと、第1のコイルまたは発振用スイッチング素子に並列接続したコンデンサと、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備える電圧共振型のインバータ回路であり、発振用スイッチング素子は前記帰還コイルの誘起電圧と前記起動回路の出力とによってオンし、オンしてから一定時間後に自励制御用スイッチング素子がオンして発振用スイッチング素子をオフさせることを特徴とする請求項23記載の非接触電力伝達装置。
  25. 前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路と、前記整流平滑回路の出力を制御端に接続し、前記自励制御用スイッチング素子に並列に接続した発振制御用スイッチング素子とを備えることを特徴とする請求項24記載の非接触電力伝達装置。
  26. 前記インバータ制御回路は、前記差動共振回路の検出信号を整流、平滑する回路を備え、前記整流平滑回路の出力を前記自励制御用スイッチング素子の制御端に接続したことを特徴とする請求項24記載の非接触電力伝達装置。
  27. 円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、第1のコイルの半径方向に第1のコイルに重ねて同軸に巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したことを特徴とする請求項23乃至26いずれか記載の非接触電力伝達装置。
  28. 円板状または円筒状の磁性体からなるコアを備えて、第1のコイルは前記コアの側面に巻回され、第3,第4のコイルは、前記コアの側面に第1のコイルとは軸方向に分離して巻回されて、第2のコイルは第1のコイルの軸方向に対向配置したことを特徴とする請求項23乃至26いずれか記載の非接触電力伝達装置。
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