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JP3900652B2 - フォークリフトのフード開閉機構 - Google Patents

フォークリフトのフード開閉機構 Download PDF

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JP3900652B2
JP3900652B2 JP02988298A JP2988298A JP3900652B2 JP 3900652 B2 JP3900652 B2 JP 3900652B2 JP 02988298 A JP02988298 A JP 02988298A JP 2988298 A JP2988298 A JP 2988298A JP 3900652 B2 JP3900652 B2 JP 3900652B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフトのフード開閉機構に係り、詳しくはバッテリフォークリフトのバッテリ収容部あるいはエンジンフォークリフトのエンジン収容部の上方を覆うとともに、上面に座席を有するフードの開閉機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にフォークリフトにおいては、運転者が着座する座席が、バッテリ収容部あるいはエンジン収容部の上方を覆うフードの上面に設けられている。また、フォークに荷を載せたときの安定性及びフォークリフトの走行安定性を保つため、フォークリフトの車体の後側には、カウンタウェイトが設けられている。
【0003】
バッテリフォークリフトにおいては、車体の後部寄りでカウンタウェイトの前方にバッテリ収容部が設けられ、このバッテリ収容部に複数のバッテリセルを収容したバッテリケースからなるバッテリが収容される。そして、バッテリ交換時にはフードが全開された状態で、バッテリがバッテリ収容部から取り出され、新しいバッテリあるいは充電された状態のバッテリがバッテリ収容部に収容される。バッテリの取り出しは、バッテリフードを開放位置に配置した後、バッテリケースの掛止孔に掛止されたワイヤを介してバッテリをクレーン等で吊り上げた後、車体の幅方向に移動させることにより行われる。
【0004】
この種のフード開閉機構としては、図5に示すように、車体フレーム(支柱)51にブラケット52を介して回動可能に支持されたヒンジ53を備え、その先端側にフード54が固定された構成のものが一般的である。
【0005】
また、実開昭58−188270号公報には図6に示すように、車体フレーム51の前後2点において可動リンク55,56を取り付け、エンジンフード57を可動リンク55,56の先端に回動可能に連結し、エンジンフード57の全開時にエンジンフード57をカウンタウエイト58の上に平行移動させるものが開示されている。また、同公報には、エンジンフード57を支持する可動リンク55,56の位置を変更して、エンジンフード57の全開時にエンジンフード57が閉鎖位置の上方に平行移動される構成のものも開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
運転席の前方に装備されたステアリングホイール(ハンドル)59及び荷役操作用の荷役レバー60(1本のみ図示)は、運転者が操作し易い位置に配設されており、その位置はフード先端の上方に近くなる。従って、フード54をその後側に回動中心を有するヒンジ53を使用して支持する従来の構成では、フード54の回動中心を上側に位置させるのが難しい。また、フード54の最大開放角度はフード54の上面に装備された座席(シート)61がカウンタウエイト58と当接する角度に規制される。従って、フードの全開状態において、フード54の基端がバッテリ収容部又はエンジン収容部の上方の比較的低い位置に配置された状態となる。その結果、特にバッテリフォークリフトにおいてバッテリの交換作業時にフード54がバッテリケースと干渉して、作業性が低下するという問題がある。
【0007】
この問題はフードの側壁54aの高さが高くなると、より顕著になる。なぜならば、側壁54aが高くなるほどフード54の回動軌跡の最大半径Rmax が大きくなるとともに、開放位置において前側に突出する側壁54aの長さが長くなり、バッテリケースと干渉し易くなる。従って、バッテリフォークリフトの場合はフードとして側壁の低いものを使用して、バッテリケースとフードとの干渉を回避するようにしていた。そのため、従来はバッテリフォークリフトのフードと、エンジンフォークリフトのフードとを共通にすることはできず、それぞれ専用のフードが必要となり、製造コストが高くなっていた。
【0008】
フード54の開閉途中にフード54とハンドル59の干渉をさけるため、ハンドル59を支持するコラムを前方に傾動可能に構成したものもある。しかし、ハンドルを傾動できる角度には種々の規制要因があり、必ずしも全てのフードとの干渉を回避できる位置まで傾動させることは難しく、機構も複雑になる。
【0009】
一方、図6に示すフード開閉機構では、全開状態においてエンジンフード57がカウンタウエイト58の上に位置するため、エンジン収容部の上方は完全に開放される。しかし、バッテリフォークリフトではバッテリケースの幅はカウンタウエイト58の左右両側に位置する支柱の間隔より広く、フードの幅も支柱の間隔より広いため、前記の構成をバッテリフォークリフトに適用するのは難しい。バッテリケースの幅より支柱の間隔を広くすると、フードの取付けのためにフォークリフトの車幅が大きくなるという問題がある。また、エンジンフード57を閉鎖位置の上方に平行移動させる構成は、バッテリ交換時にバッテリケースをクレーンで吊り上げる作業ができなくなり、バッテリフォークリフトに適用することはできない。
【0010】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は開放位置に配置されたフードを、エンジンフォークリフトにおけるエンジンのメンテナンス作業、あるいはバッテリフォークリフトにおけるバッテリの点検及びバッテリ収容部からのバッテリケースの取り出し及び収容のための作業の作業性を損なわない状態に保持でき、しかも開閉途中にフードがステアリングホイール(ハンドル)や荷役レバーに干渉するのを回避できるフォークリフトのフード開閉機構を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、フォークリフトのバッテリ収容部又はエンジン収容部を覆うとともにその上面に座席が装備されるフードの開閉機構であって、前記フードの後方に回動中心を有し、基端側においてフォークリフトの車体に対して車体の幅方向と直交する面内で回動可能に支持され、先端側に前記フードが閉鎖位置に配置された状態において前後方向に延びるガイド部を備えた支持レバーと、前記支持レバーに対してフードの閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバーに対して相対回転不能に支持されるとともに、前記ガイド部に沿って移動可能かつ前記ガイド部に対して相対回動不能な支持部材が設けられたフードと、前記車体と前記フードとの間に設けられ、フードが前記閉鎖位置と該閉鎖位置から所定角度開放側へ回動された臨界位置との間に位置する状態ではフードを前記支持レバーの回動中心側へ付勢し、フードが前記臨界位置より開放側へ回動された状態ではフードを前記支持レバーの回動中心から離れる側へ付勢する付勢手段とを備え、前記フードは前記ガイド部と前記支持部材との係合により支持レバーに対して相対回動不能に支持され、前記付勢手段は、前記フードが前記閉鎖位置から前記臨界位置に達するまでは前記支持部材を前記ガイド部に対して相対移動不能に付勢するとともに、前記フードが前記臨界位置より開放側に回動された状態では前記支持部材を前記ガイド部に対して相対移動可能に付勢する
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記付勢手段は、車体側に回動可能に連結されている第1端部と、前記第1端部より車体の後側において前記支持部材に回動可能に連結されている第2端部とを設け、前記フードが閉鎖位置に配置されている状態で、前記付勢手段は前記支持部材を前記支持レバーの回動中心側へ付勢するとともに、前記支持レバーの回動中心は前記第1端部と前記第2端部とを通る直線より上側に位置している
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ガイド部は長孔で構成され、前記支持部材は前記長孔と係合する状態で水平に延びるようにフードに固定された2本のピンで構成され、前記付勢手段はその一端が前記2本のピンのいずれか一方に回動可能に連結されている。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記付勢手段はシリンダ及び該シリンダに対して出没可能かつ突出側に付勢されたロッドを備え、第1端部が車体側に回動可能に連結されるとともに、第2端部が第1端部より車体の後側においてフード側に回動可能に連結されている。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記フードはバッテリフォークリフトのバッテリ収容部を覆うフードであり、前記付勢手段は前記フードの片側に設けられている。
【0016】
従って、請求項1に記載の発明では、フードはフォークリフトの車体に対して車体の幅方向と直交する面内で回動可能に支持された支持レバーの回動にともなって、閉鎖位置と開放位置との間で移動される。フードは支持レバーに対してフードの閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能であり、閉鎖位置に配置された状態では付勢手段により後側に付勢された状態に保持され、フードの先端と支持レバーの回動中心との距離が最小の状態となる。閉鎖位置からフードが全開位置へ回動されるとき、フードが閉鎖位置から所定角度開放側へ回動された臨界位置に達するまでは、付勢手段の作用によりフードはその先端と支持レバーの回動中心との距離が最小の状態に保持される。フードが臨界位置より全開側へ回動されると、付勢手段の作用によってフードは支持レバーの回動中心から離れる側へ移動される。そして、フードが全開位置に配置された状態においては、フードの下端の位置はフードが前後方向に移動不能な場合に比較して前記所定の移動範囲の距離分だけ上方に移動される。
【0017】
また、フードに設けられた支持部材が、前記支持レバーの先端側に設けられたガイド部に沿って移動することにより、フードの先端と支持レバーの回動中心との距離が変化する。また、支持部材はガイド部に対して相対回動不能に構成され、フードは支持レバーの回動に伴って一体的に回動する。
【0018】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ガイド部は長孔で構成され、フードは長孔と係合する状態で水平に延びるようにフードに固定された2本のピンにより支持レバーに支持される。付勢手段は一方のピンに回動可能に連結されているため、フードの回動によってフードの延びる方向と付勢手段の延びる方向とのなす角度が変化しても、その付勢力が確実に作用する。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記付勢手段は直線状に伸縮され、フードが閉鎖位置から臨界位置まで回動される間はロッドが没入位置に保持される。そして、臨界位置より開放側に、回動されるとロッドが突出側に移動してフードが支持レバーの回動中心から離れる方向に移動される。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記フードはバッテリフォークリフトのバッテリ収容部を覆う状態で使用される。付勢手段はフードの開放状態において、フードの基端より前側下方から斜め後方に延びる状態となる。そして、付勢手段が配設された側はバッテリ交換時にバッテリケースと干渉し易くなる。しかし、付勢手段がフードの片側に設けられているため、バッテリケースの取り出し時の横方向への移動を付勢手段が配設されていない側とすることにより、支障なく作業が行われる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明をバッテリフォークリフト(以下、単にフォークリフトという)1に具体化した第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図2に示すように、バッテリフォークリフト(以下単にフォークリフトという)1の車体を構成する機台フレーム1aの前側にはマスト2が装備されている。マスト2にはフォーク(図示せず)が昇降可能に装備されている。車体の後側には、カウンタウェイト3が設けられている。機台フレーム1aには4本の支柱4が立設され、これらの支柱4及びヘッドガード4aによって囲まれた空間により運転室5が構成されている。
【0022】
運転室5の後側下方にはバッテリ収容部6が設けられ、バッテリ収容部6内にはバッテリケース7に多数のバッテリセル(図示せず)を収容したバッテリが収容されるようになっている。バッテリケース7には、バッテリケース7を吊り上げるためのワイヤ(図示せず)が掛止される掛止孔(図示せず)が形成されている。
【0023】
バッテリ収容部6の上方にはフードとしてのバッテリフード8が回動(開閉)可能に配設され、その上壁8aの上面に座席9(図2にのみ図示)が装備されている。バッテリフード8はその幅が後側の一対の支柱4の間隔より広く形成され、座席9の幅は支柱4の間隔より狭く形成されている。
【0024】
車体の一部を構成する左右一対の支柱4にはそれぞれブラケット10が固定され、ブラケット10に固定された支軸11に対して支持レバー12が車体の幅方向と直交する面内(図1及び図2の紙面と平行な面内)で回動可能に支持されている。支持レバー12は基端側において支軸11に回動可能に支持されるとともに、先端側にガイド部としての長孔13を備えている。バッテリフード8は支持レバー12に対してその閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバー12に対して相対回転不能に支持されている。
【0025】
支持レバー12はバッテリフード8が閉鎖位置に配置された状態において、長孔13が支軸11より下方において前後方向に延びるように形成可能な形状に形成されている。この実施の形態では支持レバー12は中間部で屈曲し、バッテリフード8が閉鎖位置に配置された状態で先端側が水平に延び、基端側が支軸11から斜下方に向かって延びる形状に形成されている。
【0026】
バッテリフード8の上壁8aの下面の左右両側には各支持レバー12より内側に、それぞれブラケット14(図3に片側のみ図示)が突設され、各ブラケット14には支持部材を構成する2本のピン15,16が長孔13と係合する状態で水平に延びるように突設されている。この実施の形態では両ピン15,16は長孔を貫通する長さに形成されている。従って、バッテリフード8は長孔13とピン15,16との係合により支持レバー12に対して相対回動不能に支持されている。また、ピン15,16が長孔13に沿って相対移動することにより、支持レバー12に対して所定範囲内で移動可能に支持されている。この実施の形態では所定範囲は長孔13の第1端部にピン15が当接する位置と、長孔13の第2端部にピン16が当接する位置との間となる。
【0027】
機台フレーム1aにはバッテリフード8の片側(この実施の形態では左側)でその外側に付勢手段としての所謂ダンパー17が配設されている。ダンパー17はシリンダ18及び該シリンダ18に対して出没可能かつ突出側に付勢されたロッド18aを備えている。そして、ダンパー17はロッド18a側の端部(第1端部)が支持レバー12の先端より車体の前側において、機台フレーム1aに固定されたブラケット19に軸19aを介して回動可能に連結されるとともに、シリンダ18側の端部(第2端部)がピン16の端部に回動可能に連結されている。即ち、ダンパー17は第1端部が車体側(機台フレーム1a)に回動可能に連結されるとともに、第2端部が第1端部より車体の後側においてバッテリフード8側に回動可能に連結されている
バッテリフード8の基端寄りに突設されたピン16のうち、ダンパー17が配設される側のピン16は、バッテリフード8の側壁8bに形成された孔20を貫通して先端がバッテリフード8の外側まで達している。そして、ピン16の突出端にダンパー17のシリンダ18側が回動に連結されている。
【0028】
ダンパー17とバッテリフード8との位置関係は、バッテリフード8が閉鎖位置と閉鎖位置から所定角度開放側へ回動された臨界位置との間に位置する状態ではバッテリフード8を支持レバー12の回動中心側(支軸11)へ付勢する。また、バッテリフード8が前記臨界位置より開放側へ回動された状態ではバッテリフード8を支持レバー12の回動中心から離れる側へ付勢するように設定されている。前記臨界位置はダンパー17の中心軸が長孔13と直交する状態となる位置であり、この実施の形態では臨界位置において、バッテリフード8の先端がバッテリフード8の開放作業時におけるハンドル21及び荷役レバー22より上方に位置するように設定されている。
【0029】
この実施の形態ではハンドル21は公知の構成によって前後方向に傾動可能に構成されている。また、バッテリフード8の内側先端寄りには係止部23(図1にのみ図示)が固定されており、機台フレーム1a側にはバッテリフード8が閉鎖位置に配置された状態において、係止部23と係止可能にフック24(図1にのみ図示)が設けられている。フック24は運転室5に配設されたレバーとワイヤケーブル(いずれも図示せず)を介して連結され、前記レバーの操作により係止部23との係止状態を解除可能な公知の機構(図示せず)を備えている。そして、この実施の形態では前記レバーがハンドル21と連動され、ハンドル21が前傾位置に配置されたとき、フック24が係止解除位置に配置されるようになっている。
【0030】
次に、前記のように構成されたフード開閉機構の作用を説明する。
バッテリフード8はバッテリ交換時あるいは点検時以外は、図1及び図2にA位置として示す閉鎖状態に保持される。バッテリフード8が閉鎖位置に配置された状態では、ダンパー17の付勢力はピン16をフォークリフト1の後側(図2の右側)へ押圧するように作用し、ピン16が長孔13の第2端部に当接する位置に保持される。
【0031】
バッテリ交換のためバッテリ収容部6からバッテリケース7を取り出すときには、まず、ハンドル21を前傾位置に配置する。この操作により、フック24と係止部23との係止状態が解除され、バッテリフード8が開放可能な状態となる。この状態で作業者がバッテリフード8の先端を手で持って、上方へ回動させる。バッテリフード8は支持レバー12に相対回動不能に支持されているため、バッテリフード8と支持レバー12とが支軸11を回動中心として一体的に上方へ回動される。
【0032】
回動初期においては、ダンパー17の軸19aとピン16とを通る直線より上側に支持レバー12の回動中心(支軸11)が位置するため、ダンパー17はバッテリフード8の開放を助勢する役割は果たさない。しかし、支軸11が前記直線より下方に位置する状態までバッテリフード8が回動された後は、ダンパー17の付勢力がバッテリフード8を開放側に付勢する状態となる。
【0033】
また、ピン16とダンパー17の軸19aとを通る直線と、長孔13とのなす角度θが鈍角になるまで、即ちバッテリフード8が開放側への回動途中において臨界位置(図1にBで示す位置)を過ぎるまでは、ダンパー17の付勢力によってバッテリフード8はピン16が長孔13の第2端部に当接する状態に保持される。従って、バッテリフード8の先端の回動軌跡の半径は最小の状態に保持される。そして、バッテリフード8はその先端がハンドル21や荷役レバー22と干渉せずに回動される。
【0034】
バッテリフード8が臨界位置より上側まで回動された後は、ダンパー17の付勢力はピン16を長孔13の第1端部側に向かって押圧する状態になる。従って、バッテリフード8は支持レバー12とともに回動しつつ、長孔13に沿って上側に移動する。そして、ピン15が長孔13の第1端部と当接し、ダンパー17のロッド18aがストロークエンドに達した状態がバッテリフード8の全開位置となる。この実施の形態では図1及び図2にCで示すように、バッテリフード8がほぼ真上に向かって延びる位置に配置された状態となり、バッテリフード8はダンパー17の作用により全開位置に保持される。そして、バッテリフード8の全開状態では、単純なヒンジを使用した場合よりバッテリフード8の位置が高くなる。
【0035】
この状態で従来と同様に、バッテリケース7の掛止孔にワイヤのフックを掛止して、クレーンによりワイヤを介してバッテリケース7をバッテリ収容部6内から吊り上げる。そして、バッテリケース7の下端がバッテリ収容部6の上端より高くなるまで上昇させた後、ダンパー17の配設側と反対側へ車体の幅方向に移動させて図示しないバッテリ運搬車上に載せる。
【0036】
次に新しいバッテリセル又は既に充電されているバッテリセルが収容されたバッテリケース7を、取り出し作業と逆の順序でバッテリ収容部6に収容する。そして、バッテリフード8を閉鎖位置まで回動させた後、ハンドル21を元の位置に戻すと、フック24が係止部23に係止する係止位置に配置されて、バッテリ交換作業が終了する。
【0037】
バッテリフード8を閉鎖位置まで回動させる際には、バッテリフード8の先端を持ってバッテリフード8を押し下げる。ダンパー17の付勢力はさほど大きくないため、バッテリフード8は長孔13に沿って移動しながら支持レバー12とともに回動される。そして、ピン16が長孔13に当接する位置にバッテリフード8を保持した状態で、ハンドル21と対応する位置を通過させる。
【0038】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 全開位置におけるバッテリフード8の基端と回動中心との距離が、全閉位置の場合より大きいため、全開時におけるバッテリフード8の下端とバッテリ収容部6との距離が大きくなる。従って、バッテリの点検及びバッテリ収容部6からのバッテリケース7の取り出し及び収容のための作業の作業性が向上する。
【0039】
(2) バッテリフード8が臨界位置より閉鎖側を移動する際は、バッテリフード8の先端の回動軌跡の半径が小さくなり、開閉途中にバッテリフード8がハンドル21や荷役レバー22に干渉するのを回避できる。
【0040】
(3) 支持レバー12に設けられたガイド部(長孔13)に沿って移動可能、かつガイド部に対して相対回動不能な支持部材(ピン15,16)を介してバッテリフード8が支持レバー12に支持されている。従って、バッテリフード8を支持レバー12に対してバッテリフード8の閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバー12に対して相対回転不能に支持する構成が簡単になる。
【0041】
(4) 支持レバー12に設けられたガイド部が長孔13で構成され、支持部材がバッテリフード8にブラケット14を介して固定された2個のピン15,16で形成されている。従って、支持部材を長孔13に対して回動不能かつ摺動可能に係合する板材等で形成した場合に比較して、長孔13に沿って移動する際の摩擦抵抗が小さくなる。
【0042】
(5) 付勢手段が所謂ダンパー17で構成されているため、市販品をそのまま使用できて構造も簡単になる。
(6) 付勢手段(ダンパー17)をバッテリフード8側に連結する構成として、前記支持部材を構成するピン16に回動可能に連結する構成が使用されている。従って、他の部分においてバッテリフード8に対して回動可能に連結する場合に比較して、付勢手段をバッテリフード8に回動可能に連結する構成が簡単になる。
【0043】
(7) 付勢手段(ダンパー17)を2本のピン15,16のうちバッテリフード8の後側(基端側)寄りのピン16に連結したため、前側のピン15に連結した場合に比較して全開位置におけるダンパー17の必要長さが短くなり、ダンパー17として小型のものを使用できる。
【0044】
(8) 付勢手段(ダンパー17)はバッテリフード8の開放状態において、バッテリフード8の基端より前側下方から斜め後方に延びる状態となり、バッテリ交換時にバッテリケースと干渉し易くなる。しかし、付勢手段(ダンパー17)がバッテリフード8の片側に配設されているため、バッテリケース7の取り出し時の横方向への移動を付勢手段が配設されていない側とすることにより、支障なく作業が行われる。
【0045】
(9) 全開位置においてバッテリフード8の基端の位置が従来より上側に移動されるため、バッテリフード8上に装備された座席9がカウンタウエイト3と干渉することによって開放角が規制されることを回避できる。
【0046】
(10) 全開位置におけるバッテリフード8の基端の高さは、長孔13の長さとダンパー17のストロークにより設定できるため、機種に応じてバッテリフード8の全開位置を適正な位置に設定するのが簡単になる。
【0047】
(11) バッテリフード8の側壁8bを高くすることが可能となり、バッテリフード8をエンジンフォークリフトのエンジンフードと共通の形状にすることができ、フードの製造コストを低減できる。
【0048】
(12) 従来のバッテリフードに比較して、バッテリフード8の側壁8bの高さが高くなるため、バッテリフード8の内容積が大きくなる。従って、バッテリフード8の内側に電装部品や補機を配設することも可能になる。
【0049】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図4に従って説明する。この実施の形態は付勢手段の構成が前記実施の形態と異なり、その他の構成は前記実施の形態と同じである。同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0050】
この実施の形態では付勢手段として引っ張りばね25が使用されるとともに、付勢手段がバッテリフード8の左右両側に配設されている。また、引っ張りばね25はバッテリフード8の内側に配設されている。両支柱4にはバッテリフード8が全開位置に配置された状態におけるピン16の位置より高い位置にブラケット26が固定され、ブラケット26に係止ピン27が突設されている。引っ張りばね25は第1端部が係止ピン26に回動可能に係止され、第2端部がピン16に回動可能に係止されている。
【0051】
引っ張りばね25とバッテリフード8との位置関係は、バッテリフード8が閉鎖位置と閉鎖位置から所定角度開放側へ回動された臨界位置との間に位置する状態ではバッテリフード8を支持レバー12の回動中心側(支軸11)へ付勢し、バッテリフード8が前記臨界位置より開放側へ回動された状態ではバッテリフード8を支持レバー12の回動中心から離れる側へ付勢するように設定されている。この実施の形態では引っ張りばね25と長孔13とのなす角度が直角となる位置において、バッテリフード8の先端がバッテリフード8の開放作業時におけるハンドル21及び荷役レバー22より上方に位置するように設定されている。
【0052】
この実施の形態では引っ張りばね25と長孔13とのなす角度が鈍角の間は、引っ張りばね25はピン16を長孔13の第2端部側へ、即ちバッテリフード8を支軸11に近付ける側に付勢する。そして、引っ張りばね25と長孔13とのなす角度が鋭角になると、引っ張りばね25はピン16を長孔13の第1端部側へ、即ちバッテリフード8を支軸11から遠ざける側に付勢する。
【0053】
引っ張りばね25が支軸11とピン16とを通る直線より下側に位置するときは、引っ張りばね25の引っ張り力は支持レバー12のバッテリフード8の閉鎖側への回動を助勢する力となる。また、引っ張りばね25が支軸11とピン16とを通る直線より上側に位置するときは、引っ張りばね25の引っ張り力は支持レバー12のバッテリフード8の開放側への回動を助勢する力となる。
【0054】
この実施の形態では前記実施の形態の(1)〜(4)、(6)及び(9)〜(12)の効果の他に次の効果を有する。
(13) 付勢手段(引っ張りばね25)がバッテリフード8の両側に設けられているため、付勢手段による付勢力がバッテリフード8にバランス良く作用し、バッテリフード8の開閉動作が円滑に行われ易くなる。
【0055】
(14) 付勢手段(引っ張りばね25)がバッテリフード8の内側においてピン16に連結されているため、前記実施の形態と異なり、付勢手段がバッテリフード8の側壁8bより外側に突出しないため、走行中に付勢手段が障害物と接触することを防止できる。また、バッテリフード8の側壁8bにピン16の通過を許容する孔20を形成する手間が不要になる。
【0056】
(15) 前記実施の形態と異なりバッテリフード8の開放状態において、付勢手段(引っ張りばね25)がバッテリフード8の基端より前側下方に位置することがないため、バッテリ交換時に引っ張りばね25がバッテリケースと干渉しなくなる。従って、バッテリケース7の取り出し時の横方向への移動を左右どちら側へでも行うことができ、作業性が向上する。
【0057】
(16) 引っ張りばね25の位置がバッテリフード8が僅かに開放側に回動された状態から、支軸11とピン16とを通る直線より上側になるため、引っ張りばね25の引っ張り力がバッテリフード8の開放側への回動を助勢する力となり、前記実施の形態より開放時に作業者が必要とする操作力が小さくてよくなる。
【0058】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 前記両実施の形態において付勢手段(ダンパー17、引っ張りばね25)のバッテリフード8側の連結位置をピン16に代えてピン15としてもよい。第1の実施の形態ではピン15をバッテリフード8の外側に突出するように長く形成し、ピン16を短くする。この場合でもそれぞれ前記各実施の形態とほぼ同様な効果を奏する。
【0059】
○ 付勢手段をピン15,16に連結せずに、他の位置においてバッテリフード8に回動可能に連結してもよい。
○ ピン15,16をブラケット14に突設する代わりに、バッテリフード8の側壁8bに突設してもよい。この場合はブラケット14が不要となる。
【0060】
○ 支持部材として2本のピン15,16を使用する代わりに、3本以上のピンを使用したり、長孔13に沿って摺動可能なブロック又は板材を使用してもよい。支持部材としてピン15,16を使用する場合、ピンに長孔13と係合して移動可能なローラを固定してもよい。この場合はピンが長孔13に沿って移動するときの摩擦抵抗がより少なくなる。
【0061】
○ ガイド部を長孔13に代えてガイド溝としてもよい。例えば、支持レバー12のガイド部と対応する部分を厚く形成するとともに当該部分に溝を形成したり、支持レバー12に断面コ字状で所定長さの部材を固定する。この場合、ピン15,16は溝と係合した状態で移動する。
【0062】
○ ガイド部はバッテリフード8が閉鎖位置に配置された状態においてほぼ水平に延びる形状に限らず、多少傾斜した状態で延びるように形成してもよい。
○ ガイド部を所定長さを有する凸部としたり、所定間隔をおいて突設した複数本(例えば2本)のピンとし、バッテリフード8側に前記凸部又はピンと係合可能な所定長さの溝あるいは長孔を設ける。この構成でも支持レバー12に対してバッテリフード8をその閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバー12に対して相対回転不能に支持することができる。
【0063】
○ 付勢手段としてダンパー17を使用する場合、バッテリフード8の幅をバッテリ収容部とバッテリフード8の側壁8bとの間にダンパー17を配設可能なスペースを設けることが可能な幅とし、ダンパー17をバッテリフード8の内側に配設してもよい。この場合は、走行中にダンパー17が障害物に衝突するのを回避できる。
【0064】
○ バッテリフード8を閉鎖位置に保持する保持手段はハンドル21の傾動と連動する構成に限らず、係止部及びフックがバッテリフード8及び機台フレーム1aの外側に配設されて手で操作する構成のものでもよい。また、係止部及びフックの組み合わせに限らず、係止穴あるいは係止孔と係止ピンの組み合わせ等を使用してもよい。
【0065】
○ 前記各実施の形態の構成をエンジンフォークリフトのエンジンフードに適用してもよい。エンジンフードに適用した場合も、前記各実施の形態に対応した効果のうちバッテリフォークリフトに特有な効果を除いた効果が得られる。エンジンフォークリフトではバッテリ交換が不要なため、付勢手段としてダンパー17を使用する構成においても、ダンパー17をエンジンフードの左右両側に配設しても支障がない。
【0066】
前記各実施の形態から把握できる技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
前記付勢手段は前記第2端部が前記2本のピンのうち前記フードに対して後側に位置するピンに対して回動可能に連結されている。この場合、前側のピンに連結した場合に比較して全開位置における付勢手段の必要長さが短くなり、付勢手段として小型のものを使用できる。
【0067】
前記付勢手段は第1端部が前記支持レバーの回動中心より後側で車体側に回動可能に連結され、第2端部が前記支持レバーの回動中心より前側でフード側に回動可能に連結され、かつ第1端部の位置がフードが全開位置に配置された状態において第2端部より高い位置となるように張設された引っ張りばねである。この場合、フードの開放状態において、付勢手段がフードの基端より前側下方に位置することがない。従って、バッテリフードに適用すると、バッテリ交換時に付勢手段がバッテリケースと干渉し難くなり、バッテリケースの取り出し時の横方向への移動を左右どちら側へでも行うことができ、作業性が向上する。
【0068】
付勢手段はフードの左右両側に配設されている。この場合、付勢手段による付勢力がフードにバランス良く作用し、フードの開閉動作が円滑に行われ易くなる。
【0069】
○ 前記フード開閉機構を備えたフォークリフト。この場合、エンジンフォークリフトにおけるエンジンのメンテナンス作業、あるいはバッテリフォークリフトにおけるバッテリの点検及びバッテリ交換作業の作業性を損なわない状態でフードを開放位置に保持でき、しかも開閉途中にフードがハンドルや荷役レバーに干渉するのを回避できる。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項に記載の発明によれば、エンジンフォークリフトにおけるエンジンのメンテナンス作業、あるいはバッテリフォークリフトにおけるバッテリの点検及びバッテリ交換作業の作業性を損なわない状態でフードを開放位置に保持でき、しかも開閉途中にフードがハンドルや荷役レバーに干渉するのを回避できる。
【0071】
請求項2に記載の発明によれば、フードを支持レバーに対してフードの閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバーに対して相対回転不能に支持する構成が簡単になる。
【0072】
請求項3に記載の発明によれば、支持部材を長孔に対して回動不能かつ摺動可能に係合する板材等で形成した場合に比較して、長孔に沿って移動する際の摩擦抵抗が小さくなる。
【0073】
請求項4に記載の発明によれば、付勢手段を所謂ダンパーで構成することができ、付勢手段に市販品をそのまま使用することが可能で構造も簡単になる。
請求項5に記載の発明によれば、バッテリフォークリフトにおけるバッテリの点検及びバッテリ交換作業の作業性を損なわない状態でフードを開放位置に保持でき、しかも開閉途中にフードがハンドルや荷役レバーに干渉するのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のフード開閉機構の概略側面図。
【図2】 フォークリフトの概略側面図。
【図3】 フード開閉機構の部分概略平断面図。
【図4】 第2の実施の形態のフード開閉機構の概略側面図。
【図5】 従来のフード開閉機構を示す概略側面図。
【図6】 従来の別のフード開閉機構を示す概略側面図。
【符号の説明】
1…フォークリフト、1a…車体を構成する機台フレーム、6…バッテリ収容部、8…フードとしてのバッテリフード、9…座席、11…支軸、12…支持レバー、13…ガイド部としての長孔、15,16…支持部材を構成するピン、17…付勢手段としてのダンパー、18…シリンダ、18a…ロッド、25…付勢手段としての引っ張りばね。

Claims (5)

  1. フォークリフトのバッテリ収容部又はエンジン収容部を覆うとともにその上面に座席が装備されるフードの開閉機構であって、
    前記フードの後方に回動中心を有し、基端側においてフォークリフトの車体に対して車体の幅方向と直交する面内で回動可能に支持され、先端側に前記フードが閉鎖位置に配置された状態において前後方向に延びるガイド部を備えた支持レバーと、
    前記支持レバーに対してフードの閉鎖状態での前後方向へ所定範囲内で移動可能、かつ支持レバーに対して相対回転不能に支持されるとともに、前記ガイド部に沿って移動可能かつ前記ガイド部に対して相対回動不能な支持部材が設けられたフードと、
    前記車体と前記フードとの間に設けられ、フードが前記閉鎖位置と該閉鎖位置から所定角度開放側へ回動された臨界位置との間に位置する状態ではフードを前記支持レバーの回動中心側へ付勢し、フードが前記臨界位置より開放側へ回動された状態ではフードを前記支持レバーの回動中心から離れる側へ付勢する付勢手段とを備え
    前記フードは前記ガイド部と前記支持部材との係合により支持レバーに対して相対回動不能に支持され、
    前記付勢手段は、前記フードが前記閉鎖位置から前記臨界位置に達するまでは前記支持部材を前記ガイド部に対して相対移動不能に付勢するとともに、前記フードが前記臨界位置より開放側に回動された状態では前記支持部材を前記ガイド部に対して相対移動可能に付勢するフォークリフトのフード開閉機構。
  2. 前記付勢手段は、車体側に回動可能に連結されている第1端部と、前記第1端部より車体の後側において前記支持部材に回動可能に連結されている第2端部とを設け、
    前記フードが閉鎖位置に配置されている状態で、前記付勢手段は前記支持部材を前記支持レバーの回動中心側へ付勢するとともに、前記支持レバーの回動中心は前記第1端部と前記第2端部とを通る直線より上側に位置している請求項1に記載のフォークリフトのフード開閉機構。
  3. 前記ガイド部は長孔で構成され、前記支持部材は前記長孔と係合する状態で水平に延びるようにフードに固定された2本のピンで構成され、前記付勢手段はその一端が前記2本のピンのいずれか一方に回動可能に連結されている請求項1又は請求項2に記載のフォークリフトのフード開閉機構。
  4. 前記付勢手段はシリンダ及び該シリンダに対して出没可能かつ突出側に付勢されたロッドを備え、第1端部が車体側に回動可能に連結されるとともに、第2端部が第1端部より車体の後側においてフード側に回動可能に連結されている請求項1に記載のフォークリフトのフード開閉機構。
  5. 前記フードはバッテリフォークリフトのバッテリ収容部を覆うフードであり、前記付勢手段は前記フードの片側に設けられている請求項4に記載のフォークリフトのフード開閉機構。
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