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JP3995211B2 - 転写抑制遺伝子及びペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド又はタンパク質、該ペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子、該ペプチド又はタンパク質と転写因子とが連結したキメラタンパク質、該ペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子と転写因子をコードする遺伝子とが連結したキメラ遺伝子、該キメラ遺伝子を有する組み換えベクター、及び該組み換えベクターを含む形質転換体に関する。
これまで生体遺伝子のmRNAへの転写を抑制又は該遺伝子の発現を抑制する手段として、アンチセンス法又はリボザイム法が知られており、これらは、例えば、発癌遺伝子等疾病の原因となる遺伝子の発現の抑制又は植物の改良等への利用に関して研究が進められている。アンチセンス法では、転写を抑制しようとする標的遺伝子又はこれを転写したmRNA等の特定部位と相補的なアンチセンスDNA又はRNAが用いられるが、調製されたアンチセンスDNA又はRNAは該標的遺伝子以外の遺伝子の発現抑制には使用できず、他の標的遺伝子に対してはその配列に合わせて新たにアンチセンスDNA又はRNAを調製する必要がある。一方、リボザイム法では、標的DNA又はmRNAをリボザイムにより切断するには、該標的DNA又はmRNAと結合するための相補的な配列を有し、かつ所定位置で切断可能なようにリボザイムを設計する必要がある。また、標的遺伝子を切断するように設計されたリボザイムであっても、例えば、これを、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター等のプロモーター及び転写終結配列に連結して導入ベクターを構築し、実際に植物細胞中に導入すると、転写されたリボザイムに余分な配列が付加されてリボザイム活性が失われる場合がある。また、これらの従来技術においては、当然のことながら標的遺伝子の特定、塩基配列の決定が不可欠となっていた。このほか、遺伝子ノックアウト法により遺伝子の発現を抑える方法もあるが、この方法によっては例えば複2倍体植物においては適用ができなかった。
一方、上記従来技術とは全く別のアプローチとして、本発明者等は、シロイヌナズナ由来のAtERF3、AtERF4、AtERF7、及びAtERF8タンパク質を転写因子に結合させたタンパク質が遺伝子の転写を顕著に抑制するとの知見を得た。そこで、上記タンパク質をそれぞれコードする遺伝子及びこれから切り出したDNAを含むエフェクタープラスミドを構築し、これを植物細胞に導入することにより、実際に遺伝子の転写を抑制することに成功した(特許文献1〜4を参照のこと)。さらに、本発明者等は、Class II ERF(ethylene responsive element binding factor )遺伝子群の一つであるタバコERF3(特許文献5を参照のこと)、イネOsERF3タンパク質をコードする遺伝子(特許文献6を参照のこと)、及びZnフィンガータンパク(Zinc Finger Protein)の遺伝子群の一つであるシロイヌナズナZAT10、同ZAT11をコードする遺伝子についてもまた、上記と同様な試験を行ったところ、遺伝子の転写を抑制することを見い出している。そして、これらの遺伝子の塩基配列はまちまちではあるが、これらの遺伝子がコードするタンパク質又はペプチドには、(L/F)DLN(L/F)(X)Pなる共通のモチーフ(但し、Xは、任意のアミノ酸残基を表す。)が存在することを明らかにした(非特許文献1を参照のこと)。
特開2001−269177号公報(平成13年10月2日公開) 特開2001−269178号公報(平成13年10月2日公開) 特開2001−292776号公報(平成13年10月23日公開) 特開2001−292777号公報(平成13年10月23日公開) 特開2001−269176号公報(平成13年10月2日公開) 特開2001−269179号公報(平成13年10月2日公開) The Plant Cell, Vol.13,1959-1968, August, 2001
従って、本発明の課題は、従来のアンチセンス法又はリボザイム法のように標的遺伝子の塩基配列に合わせてその都度DNA又はRNAの設計を行う必要がなく、簡便でかつ広く適用可能な遺伝子の転写抑制手段を提供することにある。また、本発明のもう一つの課題は、上記転写抑制タンパク質に関する研究をさらに進めて、遺伝子の転写抑制を行う場合において実際に必要となる最も基本的なアミノ酸配列部分を確定し、遺伝子の転写抑制をさらに簡便に行うためのペプチド及びその遺伝子を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、上記の共通のモチーフを有するタンパク質について鋭意研究の結果、遺伝子の転写を抑制するタンパク質は極めて単純な構造のペプチドであってもよく、これら単純な構造を有するペプチドが、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するという驚くべき発見をした。本発明者等はまた、シロイヌナズナSUPERMAN(以下、SUPという場合がある。)タンパク質は、上記の共通のモチーフと一致しないモチーフを有するが、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有すること、また該SUPERMANタンパク質をコードする遺伝子を、転写因子をコードする遺伝子に結合させたキメラ遺伝子は、強力な転写抑制能を有するタンパク質を産生することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)下記式(I)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド。
(式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、X2はAsn又はGluを表し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
(2)下記式(II)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド。
(式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、Y2はPhe又はIleを表し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
(3)下記式(III)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド。
(式中、Z1はLeu又はAsp−Leu又はLeu−Asp−Leuを表し、Z2はGlu又はGln又はAspを表し、Z3は0から10個のアミノ酸残基を表す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leuで表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド。
(式中、Z4はGlu又はGln又はAspを表す。)
(5)以下の(a)から(d)のいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するタンパク質
(a)配列番号31に示すアミノ酸配列
(b)配列番号31に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号61に示すアミノ酸配列
(d)配列番号61に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
(6)下記式(I)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドをコードする遺伝子。
X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3・・・(I)
(式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、X2はAsn又はGluを表し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
(7)下記式(II)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドをコードする遺伝子。
Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3・・・(II)
(式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、Y2はPhe又はIleを表し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
(8)下記式(III)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドをコードする遺伝子。
Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3・・(III)
(式中、Z1はLeu又はAsp−Leu又はLeu−Asp−Leuを表し、Z2はGlu又はGln又はAspを表し、Z3は0から10個のアミノ酸残基を表す。)
(9)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leuで表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドをコードする遺伝子。
(式中、Z4はGlu又はGln又はAspを表す。)
(10)以下の(a)から(d)のいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号31に示すアミノ酸配列
(b)配列番号31に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号61に示すアミノ酸配列
(d)配列番号61に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
(11)上記(1)から(5)のいずれかのペプチド又はタンパク質をコードする部分を含み、その両端部に制限酵素部位を有する二本鎖DNA。
(12)上記(1)から(5)のいずれかのペプチド又はタンパク質と転写因子とを連結したキメラタンパク質。
(13)上記(6)から(10)のいずれかの遺伝子と転写因子をコードする遺伝子とを連結したキメラ遺伝子。
(14)上記(13)のキメラ遺伝子を有する組み換えベクター。
(15)上記(14)の組み換えベクターを含む形質転換体。
(16)上記(14)の組み換えベクターを含む植物。
本発明の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドは、極めて短いサイズであるため、その合成は極めて簡単であり、しかも、効果的に遺伝子の転写を抑制できる。
本発明の遺伝子は、特定の標的遺伝子に結合する転写因子のDNA結合ドメインをコードする遺伝子と融合させることにより、特定の遺伝子のみを標的にした転写抑制を行うことができる。また、この抑制は優性形質として現れ、この転写因子の転写に重複して関与する他の転写因子の機能をも抑制する。したがって、一遺伝子のノックアウト法では明らかにされなかった転写機能解析に非常に有効であり、また、小麦等のように複2倍体ゲノムを持つ植物にも適用できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、下記式(I)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドが提供される。
(式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、X2はAsn又はGluを表し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
上記式(I)中、X1についてアミノ酸残基の数は0〜10個であればよいが、使用するペプチドの合成のし易さからみれば、短い方がよく、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下である。
また、X3のアミノ酸残基の数は重要であるが、驚くべきことに最低6個あれば上記機能を示すことが見いだされた。さらに、これらX1及びX3においてはアミノ酸の種類はどのようなものであってもよく、例えば、X3については、上記従来技術に示したペプチドの共通モチーフ(L/F)DLN(L/F)(X)PのうちP(プロリン)は必要なく、単にアラニンを並べたものであってもよい。
これに対して、LDLNL(Leu-Asp-Leu-Asn-Leu)、又はLDLN(Leu-Asp-Leu-Asn)のみの配列では上記機能を示さず、また、X2については5個又は6個のアミノ酸残基を有するよう設計したものは、極めて顕著な上記機能を示すのに対して3個のアミノ酸残基を有するように設計したものは上記機能を示さない。
本発明においてはまた、下記式(II)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドが提供される。
(式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を表し、Y2はPhe又はIleを表し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表す。)
上記式(II)中、Y1についてアミノ酸残基の数は0〜10個であればよいが、使用するペプチドの合成のし易さからみれば、短い方がよく、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下である。
また、Y3のアミノ酸残基の数も、最低6個あれば上記機能を示すことが見いだされた。さらに、これらY1及びY3においてはアミノ酸の種類はどのようなものであってもよい。
本発明においてはさらに、下記式(III)で表されるアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドが提供される。
(式中、Z1はLeu又はAsp−Leu又はLeu−Asp−Leuを表し、Z2はGlu又はGln又はAspを表し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を表す。)
上記式(III)中、Z3についてアミノ酸残基の数は0〜10個であればよいが、使用するペプチドの合成のし易さからみれば、短い方がよく、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下である。Z3の具体例としては、例えばG、GFF、GFA、GYY、AAA等が挙げられるが、これらに限定はされない。
上記(III)で表されるペプチドは、従来技術に示したペプチドの共通モチーフ(L/F)DLN(L/F)(X)Pとは異なるDLELRLなるモチーフを有し、これはSUPタンパク質の196〜201番目のアミノ酸配列(Asp-Leu−Glu−Leu−Arg−Leu)に相当する。全ペプチド数はペプチド合成のし易さからみれば、多くても合計で20アミノ酸以下のものが望ましい。例えば下記の各ペプチドが例示される。
さらに、本発明の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチドとしては、Asp-Leu−Glu−Leu−Arg−Leuなる最小配列を有するペプチドであってもよい。
上記のペプチドにおいて、最小配列部分のグルタミン酸(E)はグルタミン(Q)又はアスパラギン酸(D)に置き換えたものでもよく、例えば 、Leu−Asp−Leu−Gln−Leu−Arg−Leu−Gly-Tyr-Tyr、Asp−Leu−Asp−Leu−Arg−Leuなるペプチドの転写抑制効果も極めて優れている。これに対して、Leu−Glu−Leu−Arg−Leuなる配列では転写抑制機能がない。
以上のことから、上記式(I)から(III)で表されるペプチドにおいて、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を発揮するために必要な最小限のぺプチドのアミノ酸残基の数は、わずか5から6個にすぎない。
さらに、本発明においては、以下の(a)から(d)のいずれかのアミノ酸配列を有し、かつ転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するタンパク質が提供される。
(a)配列番号31に示すアミノ酸配列
(b)配列番号31に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号61に示すアミノ酸配列
(d)配列番号61に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
上記の「配列番号31(又は配列番号61)に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
上記アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記タンパク質をコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異が導入される。
配列番号31に示されるアミノ酸配列を有するSUPタンパク質及びそれをコードする遺伝子はそれ自体公知である。該アミノ酸配列の195〜199番目の配列(塩基配列の583〜597に相当)は、ロイシン(L)−アスパラギン酸(D)−ロイシン(L)−グルタミン酸(E)−ロイシン(L)であり、また、この配列の3末端下流側にはプロリン残基を含まず、上記従来技術に示した(L/F)DLN(L/F)(X)Pなるモチーフとは異なるアミノ酸配列を有する。
また、本発明において転写因子を転写抑制因子に変換するために使用されるタンパク質は、配列番号31に示されるアミノ酸配列の全長配列を有するタンパク質に限られず、その部分配列を有するタンパク質又はペプチドであってもよい。
その部分配列を有するタンパク質としては、例えば、配列番号61に示されるアミノ酸配列(SUPタンパク質の175〜204番目のアミノ酸配列)を有するタンパク質が挙げられ、その部分配列を有するペプチドとしては、上記(III)で表されるペプチドが挙げられる。
本発明によればまた、上記のいずれかのペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子が提供される。
本発明においては、上記のいずれかのペプチド又はタンパク質と転写因子とが連結したキメラタンパク質;上記のいずれかのペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子と転写因子をコードする遺伝子とが連結したキメラ遺伝子も提供される。このキメラ遺伝子を含む組み換えベクターを用いて形質転換した形質転換体においては、該キメラ遺伝子に対応するキメラタンパク質が生成される。このキメラタンパク質における転写因子由来のDNA結合領域は標的遺伝子と結合するが、この場合、転写因子の機能は、転写抑制機能に変換され、該標的遺伝子の転写が抑制され、標的遺伝子の発現は起こらない。
本発明のキメラタンパク質による転写抑制機能は遺伝子の種類を問わず作用する。本発明のキメラタンパク質の転写抑制機能は標的遺伝子との結合が必要であるから、上記のペプチド又はタンパク質コードする遺伝子(以下、本発明の遺伝子という場合がある)は、特定の標的遺伝子に結合する転写因子のDNA結合ドメインをコードする遺伝子と融合させてキメラ遺伝子とし、特定の遺伝子のみを標的にした転写抑制を行うことができる。
すなわち、本発明のキメラ遺伝子は、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有するペプチド又はタンパク質と転写因子とが連結したキメラタンパク質を発現し、該キメラタンパク質における転写因子由来のDNA結合ドメインが結合する遺伝子の転写を特異的に抑制する。したがって、ある特定の遺伝子の転写抑制を行う場合、該遺伝子の転写を支配している転写因子を選び、該転写因子をコードする遺伝子の末端又はDNA結合ドメインに本発明の遺伝子を連結させてキメラ遺伝子を構築し、該遺伝子を適当なベクターに連結して、上記特定の遺伝子の転写を抑制したい生体部位に導入して、上記特定の遺伝子の転写を抑制すればよい。
さらに、本発明の上記キメラ遺伝子により生ずるキメラタンパク質は、その転写因子のDNA結合ドメインが結合する遺伝子の転写を特異的に抑制し、この抑制は優性形質として現れる。すなわち、この遺伝子の転写に重複して関与する他の転写因子の機能をも抑制する。
この点については、CUP-SHAPEDCOTYLEDON1(CUC1)転写因子を用いた(Plant Cell, 9, 841, 1997)場合を例にしてさらに詳細に説明する。
CUC1は、同じNACドメインを持つCUC2と共に、芽生えの頂芽の形成を制御する転写因子であり、CUC1とCUC2遺伝子の両方に変異を持つ場合にのみ、その植物体の子葉がカップ状の形態(cup-sahped cotyledon)を示し、かつ頂芽の分裂組織の形成が行われないことが明らかになっている。一方、CUC1又はCUC2の一方だけに変異が入っているものは正常であることから、CUC1とCUC2は、機能的に重複した(redundant)因子であることが知られている(Development, 126, 1563, 1999; Development, 128, 1127, 2000)。 これら重複した機能を持つCUC1とCUC2転写因子の遺伝子のうち、一方の遺伝子、例えばCUC1遺伝子に、本発明のペプチドをコードする遺伝子を結合させたキメラ遺伝子を植物体で発現させた場合、発現したキメラタンパク質は、CUC1転写因子ばかりでなく、機能的に重複したCUC2転写因子の転写活性をも抑制し、CUC1転写因子が制御する遺伝子の発現を抑制することができる。この場合、その植物体の子葉はcuc1/cuc2の二重変異体の形質であるカップ状(cup-shaped cotyledon)の形状になり、また、頂芽分裂組織は形成されない。後記実施例5では、本発明のペプチドDLDLELRLGFA(該ペプチドをSRDと称する)をコードする遺伝子とCUC1遺伝子とを融合させたキメラ遺伝子を構築し(図14)、キメラ遺伝子でシロイヌナズナ植物を形質転換した結果、cuc1/cuc2の二重欠損株である特徴を示すカップ状(cup-shaped cotyledon)の形質(図15:右)を示すこと、及びCUC1転写因子によって制御されている頂芽分裂細胞の形成を制御するSTM遺伝子の欠損株と同様に、頂芽分裂組織の形成がみられないことが確認された。このことは、転写活性化機能を有するCUC1転写因子が、本発明の上記ペプチドDLDLELRLGFAとの融合により、転写抑制因子に機能変換したことを示し、さらにCUC1転写因子ばかりでなく、機能的に重複するCUC2転写因子の活性をも優先的に抑制し、下流の遺伝子の発現を抑制していることを示す。
以上のことから理解されるように、本発明のペプチド及びそれをコードする遺伝子は、任意の転写因子を転写抑制因子に変換できる能力を有し、さらに機能的に重複(リダンダント)する他の転写因子の活性も抑制する能力を有する。
一方、植物の転写因子は、多くの場合、CUCで示されたように、機能的に重複した複数の転写因子を持つ場合が多く、本発明により機能変換した転写抑制因子は、優性形質(ドミナント)で作用することから、本発明によれば、これまで一遺伝子のノックアウトでは明らかにされなかった転写因子の機能解析が可能となり、また、コムギなどの複二倍体ゲノムを持つ植物にも有効に作用できる等の点で、極めて有用な手段である。
上記したように、本発明のキメラ遺伝子は、該遺伝子に対応するキメラタンパク質を生成させ、このキメラタンパク質が標的遺伝子と結合することにより、該標的遺伝子の転写を抑制するものであるから、このキメラタンパク質を別途合成し、これを直接標的遺伝子が存在する生体部位に導入してもよい。
このキメラタンパク質の合成には、通常の遺伝子工学的手法を用いて行えばよく、例えば、上記キメラ遺伝子を適当なベクターに組み込み、これを用いて形質転換させた微生物を培養することにより、上記キメラタンパク質を多量に合成することができる。
本発明の遺伝子の転写因子に対する結合位置は、該転写因子中のDNA結合ドメインをコードする領域の下流側である。本発明の遺伝子を転写因子をコードする遺伝子に挿入しようとする場合、転写因子をコードする遺伝子の切断、本発明の遺伝子の連結、再結合等の面倒な操作を伴うので、単に該転写因子のタンパク質コード領域の下流側末端に、本発明の遺伝子を結合するのが簡便である。この点は本発明の利点の一つでもある。
なお、本発明の遺伝子は、上記式(I)から(III)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、あるいは配列番号31又は61に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするものであれば塩基配列はどのようなものであってもよい。また、本発明の遺伝子は、転写因子をコードする遺伝子と連結するための連結部位を設けてもよく、また本発明の遺伝子のアミノ酸読み枠と転写因子をコードする遺伝子読み枠が一致しない場合には、一致するように遺伝子を設計する。したがってそのための付加的な塩基配列を有していてもよい。
本発明において遺伝子の転写を抑制するには、上記キメラタンパク質を、直接生体に導入してもよいが、例えば植物の品種改良等を行う場合、恒常的に特定遺伝子の転写を抑制し、該遺伝子の発現を抑制する必要があり、上記キメラタンパク質をコードする遺伝子を適当なベクターに連結させ、この組換えベクターを用いて植物等を形質転換するのがより効果的である。これにより、キメラタンパク質をコードする遺伝子は植物体内で恒常的に発現し、生成されたキメラタンパク質は、遺伝子の転写を抑制し続ける。
さらに、この転写抑制について、転写因子としてシロイヌナズナETHLEN-INSESITIVE3遺伝子(以下、EIN3遺伝子という。)を用いた場合を例にとり、具体的に説明する。なお、このEIN3遺伝子及びその産生タンパクの配列を配列番号52に示す。
EIN3遺伝子産物であるEIN3タンパク質因子は、転写因子として機能し、植物ホルモンであるエチレンによって誘導される生理作用である黄化芽生えの形態変化(トリプルレスポンス)、伸長阻害、エチレン応答性遺伝子の発現などを媒体するエチレンシグナル伝達因子である。
このEIN3遺伝子のDNA結合ドメインをコードする領域に、本発明の上記ペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子断片を連結してキメラ遺伝子とし、これを、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを有する植物形質転換用ベクターに連結し、この組み換えベクターを用いてシロイヌナズナを形質転換する。シロイヌナズナ野生株が、エチレン又はその前駆体である1−アミノシクロプロパン−D−カルボン酸の存在下、黄化芽生えの形態変化(トリプルレスポンス)、伸長阻害を示すのに対して、上記形質転換されたシロイヌナズナは、これらのエチレン応答性の生理作用が著しく抑制される。従って、本発明の遺伝子は、FIN3の転写活性化機能を抑制機能に変換する。
本発明において、転写抑制因子に変換される転写因子及びその遺伝子は、上記EIN3とその遺伝子、酵母GAL4、ERF4、CBF1、ERF2、EREB1,CUC1、CUC2等のタンパク質又はその遺伝子等が挙げられるが、本発明は特にこれらに限定されるものではなく、広く動植物、微生物の転写因子及びその遺伝子が利用可能である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は特にこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1においては、(i)酵母のGAL4転写因子のDNA結合ドメインをコードしている領域を結合させた種々の合成遺伝子断片を、植物細胞で機能するカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流につないでエフェクタープラスミドを構築するとともに、(ii)カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターのエンハンサー領域とGAL4タンパク質結合DNA配列とカリフラワーモザイクウイルスの35SプロモーターのTATA領域をプロモーター領域に結合したルシフェラーゼ遺伝子からなるリポーター遺伝子を構築した。これらのエフェクタープラスミドとリポーター遺伝子とを同時にシロイヌナズナ葉にパーティクルガンを用いて導入し、リポーター遺伝子であるルシフェラーゼ遺伝子の活性を測定することによって合成した遺伝子断片の転写抑制能を調べたものである。
実施例2は、SUPの全アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子、SUPの175-204アミノ酸配列を有するSUP部分タンパク質をコードする遺伝子の転写抑制能をリポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性の測定により調べたものである。
実施例3は、SUPの175-204アミノ酸配列を有するSUP部分タンパク質をコードする遺伝子によるEIN3の転写機能の抑制を植物体において調べたものである。
実施例4は、ERF3の191-225のアミノ酸配列を有するERF3部分タンパク質をコードする遺伝子によるEIN3の転写機能の抑制を植物体において調べたものである。
実施例5は実際の植物における転写因子であるCUC1遺伝子にDLDLELRLGFA(SRD;SUPERMANリプレッションドメイン194-204)をコードする遺伝子断片を結合させ、これをカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流につないで形質転換プラスミドを構築し、該プラスミドによりシロイヌナズナ植物体を形質転換させ、その発芽後の子葉の形態を観察することにより、CUC1遺伝子及び該遺伝子と機能的に重複するCUC2遺伝子に対する上記遺伝子断片の転写機能抑制効果を調べたものである。
実施例6はLDLELRLGFA(SRD1;SUPERMANリプレッションドメイン195-204)、及びLDLNLAPPMEF(RD1;ERF3リプレッションドメイン215-225)をコードする遺伝子を植物における転写因子であるEIN3遺伝子に結合し、同様にしてシロイヌナズナ植物体を形質転換させ、エチレン存在下における植物の形態を観察することにより、EIN3遺伝子に対する上記遺伝子断片の転写機能抑制効果を調べたものである。
実施例7は、PRODUCTION-OF-ANTHOCYANIN-PIGMENT1 (PAP1) [Borevitz J.O., Xia Y., Blount J., Dixon R.A. & Lamb C., Activation tagging identifies a conserved MYB regulator of phenylpropanoid biosynthesis. Plant Cell 12, 2383 (2000)]のカルボキシル末端にLDLDLELRLGFAのアミノ酸配列で示される12アミノ酸からなるペプチド(SRDX)を付与したキメラリプレッサー(35S::PAP1SRDX)をシロイヌナズナ植物体に導入して、形質転換体植物を作製し、該植物におけるアントシアニン合成系遺伝子の転写抑制効果を調べたものである。
実施例8は、AtMYB23転写因子[Kirik V., Schnittger A., Radchuk V., Adler K., Hulskamp M. & Baumlein H., Ectopic expression of the Arabidopsis AtMYB23 gene induces differentiation of trichome cells. Dev Biol. 235, 366 (2001); a conserved MYB regulator of phenylpropanoid biosynthesis. Plant Cell 12, 2383 (2000) ]のカルボキシル末端にLDLDLELRLGFAのアミノ酸配列で示される12アミノ酸からなるペプチド(SRDX)を付与したキメラリプレッサー(35S::AtMYB23SRDX)をシロイヌナズナ植物体に導入することによって形質転換体植物を作製し、トリコームの発生を制御する遺伝子の転写抑制効果を調べたものである。
実施例9は、タバコ葉およびペチュニアにおいて転写抑制実験を行ったものである。
〔実施例1:リプレッションドメインとして機能するペプチドの同定〕〕
(1)エフェクタープラスミドpGAL4DB-RDの構築(図1)
クローンテック社製(Clontech社, USA)のプラスミドpBI221を制限酵素XhoIとSacIで切断し、T4ポリメラーゼで平滑末端処理した後、アガロースゲル電気泳動でGUS遺伝子を除き、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(以下CaMV 35Sという)とノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域(Nosターミネーター、以下Nos-terという)を含む35S-Nosプラスミド断片DNAを得た。
クローンテック社製のpAS2-1ベクターを制限酵素HindIIIで消化し、酵母 GAL4 タンパク質のDNA 結合領域 ( 1-147 アミノ酸残基) をコードする 748 bp の DNA 断片(以下GAL4DBDという)をアガロースゲル電気泳動によって単離した後、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理をした。このGAL4DBDコード領域を含むDNA断片を、先ほどの35S-NosのDNAの35SプロモーターとNosターミネーター間の平滑末端にした部位に挿入し、35Sプロモーターに対して酵母 GAL4 タンパク質のDNA結合領域の ORF が順方向に並んでいるものを選抜してp35S-GAL4DBD ベクターを構築した。
GAL4DBDのアミノ酸読み枠(フレーム)と読み枠が一致するように設計した調査するペプチドをコードする両鎖DNAを合成した。以下に合成したDNAの塩基配列と、それらがコードしているアミノ酸配列を示す。
これらのペプチドをコードするDNA断片を、制限酵素SmaIとSalIで予め消化しておいたp35S-GAL4DBDプラスミドに組み込み、エフェクタープラスミドpGAL4DB-RDを構築した。
(2)レポーター遺伝子の構築
(2−1) pGAL4-LUCリポーター遺伝子の構築(図2)
プラスミドpUC18 を制限酵素EcoRIとSstI で消化した。pBI221 プラスミド(クローンテック社)を 制限酵素EcoRIと SstIで消化し、Nos-ter (nopaline synthase terminator) 領域を含む270bpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって単離した。得られた断片を制限酵素EcoRIとSstI で消化しておいたプラスミドpUC18 のEcoRI-SstI部位に挿入した。カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターTATAボックスを含む相補鎖の
を合成した。
合成したDNAを90℃2分加熱した後、60℃で1時間加熱し、その後室温(25℃)で2時間静置してアニーリングさせ2本鎖を形成させた。Nos-terを持つpUC18プラスミドを制限酵素 HindIIIと BamHI で消化した。合成した2本鎖DNAをpUC18のHindIII-BamHI部位に挿入し、TATA-boxとNos-terを含むプラスミドを構築した。
このプラスミドを制限酵素SstIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。
ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子(LUC)をもつプラスミドベクター PGV-CS2 (東洋インキ社製)を 制限酵素XbaI とNcoIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、アガロースゲル電気泳動によって、ルシフェラーゼ遺伝子を含む 1.65 kb の DNA 断片を単離精製した。このDNA断片を上記のTATAボックスとNosターミネーターを含むプラスミドに挿入し、pTATA-LUC リポーター遺伝子を構築した。
酵母の GAL4 タンパク質のDNA結合配列を5コピー持つプラスミド pG5CAT
(Clontech社製) を 制限酵素SmaIと XbaIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、5コピーの GAL4 タンパク質のDNA結合配列含む DNA 断片をアガロースゲル電気泳動で精製した。TATA-LUC ベクターを制限酵素BglIIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。この部位に平滑末端化した5コピーの GAL4 タンパク質のDNA結合配列含む DNA 断片を挿入し、得られたプラスミドのうち GAL4 タンパク質のDNA結合配列が順方向に向いているものを選抜し、リポーター遺伝子pGAL4-LUC を構築した(図2参照)。
(2−2) p35S-GAL4-LUCの構築(図3)
プラスミドpBI121を鋳型として、
を用いてPCRを行い、CaMV 35Sプロモーター−800〜−46領域を含むDNA断片を得た。制限酵素HindIIIで消化した後、CaMV 35Sプロモーター−800〜−46領域含む760bpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって単離した。このHindIII断片を、あらかじめ制限酵素HindIIIで消化しておいたリポーター遺伝子pGAL4-LUCに挿入し、CaMV 35SプロモーターDANが順方向に向いているものを選抜し、p35S-GAL4-LUCリポーター遺伝子を構築した(図3参照)。
(3) レファレンス遺伝子の構築
ウミシイタケ由来のルシフェラーゼ遺伝子をもつプロメガ社製カセットベクタ
ー pRL-null を制限酵素NheIと XbaI 制限酵素で切断し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、アガロースゲル電気泳動で ウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子を含む 948 bp の DNA 断片を精製した。この DNA 断片をエフェクタープラスミドの構築の際に用いたGUS遺伝子を除いたpBI221ベクターのGUS遺伝子があった領域に挿入した。得られたプラスミドのうち、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子が順方向に向いているものを選抜した(pPTRL の構築)。
(4) レポーター遺伝子の活性測定法
シロイヌナズナ植物にリポーター遺伝子とエフェクタープラスミドをパーティクルガン法を用いて導入し、エフェクターの効果をリポーター遺伝子の活性を測定することによって調べた。
(5) パーティクルガンによる遺伝子導入
上記で作成したp35S-GAL4-LUCリポーター遺伝子とエフェクタープラスミドpGAL4DB-RDのDNAを各1.2mgと、リファレンス遺伝子プラスミド0.32mgを直径1mmの金粒(BioRad社製)510mgにコーティングした。生育期間21日目のシロイヌナズナ葉7枚を、水で湿らせた濾紙をおいた9cmシャーレにならべ、Bio-Rad社製PDS-1000/Heボンバートメント機を用いてDNAを打ち込んだ。22℃で6時間明所で静置した後、レポーター遺伝子の活性を測定した。
(6) ルシフェラーゼ活性測定
6時間静置したシロイヌナズナ葉を、液体窒素中で粉砕し、Dual-Luciferase TM Reporter Assay System (Promega 社製) に添付されている Passive Lysis Buffer 200μl に懸濁した後、遠心して上清を回収した。この細胞抽出液 20μlをDual-LuciferaseTM Reporter Assay System (Promega 社製)に添付されている測定バッファー100μlに混合し、ルミノメーター(TD20/20, Turener Design社製)を用いてルシフェラーゼ活性測定を行った。ホタル・ルシフェラーゼ及びウミシイタケ・ルシフェラーゼ活性の測定を測定キットの説明書に従って 10 秒間の発光を積分モードでカウントした。リファレンス遺伝子の活性値をリポーター遺伝子の活性値で割り、その相対値であるRelative lucifarase activityを測定値として求めた。実験は、エフェクタープラスミドの種類ごと3回個別にトランジェントアッセイ実験を行い、平均値と標準偏差を求めた。エフェクターを入れない場合のp35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子の活性の相対値を100として、エフェクタープラスミドを同時に細胞に導入したときにリポーター遺伝子の活性値の変動によってエフェクターの効果を調査した。すなわち、p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子と各ペプチド配列をコードするDNAを組み込んだエフェクタープラスミドpGAL4DB-RDを導入したとき、リポーターの活性値が減少すれば、そのペプチドは、レポーター遺伝子の活性を抑制する効果(リプレッサー機能)があることを示している。以下、リポーターの活性値を測定して、p35S-GAL4-LUCリポーターの相対活性値が100以下になる場合に、導入したエフェクターにはリプレッサー機能が存在すると判断した。
(7) リプレッサードメインの同定
図4Aに、リポーター遺伝子とエフェクタープラスミドの構造を示す。図4B及び下記表1にリポーター遺伝子の活性の測定結果を示す。
上記結果に示されるように、LDL(N/E)L又はFDLN(F/I)を含み、C-末端側に少なくとも6個のアミノ酸を持つペプチド、あるいはDL(E/Q/D)LRLを含むペプチドは、リポーター遺伝子の活性をエフェクターを導入しないリポーター遺伝子のみの場合(コントロール)に比べ85%〜98%減少させたことから、これらのペプチドは転写抑制能を持つ機能ペプチドとして機能することが証明された。
対照実験として行ったペプチド配列を含まないp35S-GAL4DBDは、リポーター遺伝子の活性を低下させなかった。このことは、GAL4DNA結合ドメインに結合した上記ペプチドが、転写を抑制するリプレッサーとして機能していることを示している。
〔実施例2:SUP遺伝子含有エフェクタープラスミドによる転写抑制〕
(1) SUP遺伝子の単離
SUP遺伝子の塩基配列は、すでに報告されている。シロイヌナズナSUP遺伝子のタンパク質コード領域の5'側と3'側に相当する配列をもつオリゴヌクレオチドをそれぞれ合成し、これらをプライマーとして、SUP遺伝子を含むTACライブラリーK14B15クローン(かずさDNA研究所より譲渡)を鋳型として、PCRを行い、SUP遺伝子のタンパク質コード領域を含むDNA断片を単離した。全塩基配列を決定し、すでに報告されているSUP遺伝子のタンパク質コード領域であることを確認した。なお上記PCR反応の条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして25サイクル行った。
(2) エフェクタープラスミドの構築
(2−1) SUP遺伝子の全タンパク質コード領域を含むエフェクタープラスミドpGAL4DB-SUPの構築(図5)
クローンテック社製(Clontech社, USA)のプラスミドpBI221を制限酵素XhoIとSacIで切断し、T4ポリメラーゼで平滑末端処理した後、アガロースゲル電気泳動でGUS遺伝子を除き、CaMV 35SとNos-terを含む35S-Nosプラスミド断片DNAを得た。
クローンテック社製のpAS2-1ベクターを制限酵素HindIIIで消化し、酵母における転写活性化因子である GAL4DBDをアガロースゲル電気泳動によって単離した後、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理をした。このGAL4DBDコード領域を含むDNA断片を、先ほどの35S-NosのDNAの35SプロモーターとNosターミネーター間の平滑末端にした部位に挿入し、35Sプロモーターに対して酵母 GAL4 タンパク質のDNA 結合領域の ORF が順方向に並んでいるものを選抜してp35S-GAL4DBD ベクターを構築した。
GAL4DBDの読み枠(フレーム)が一致するように設計したSUP遺伝子の
を用いてSUP遺伝子の全タンパク質コード領域(配列番号31:アミノ酸配列1-204 )をPCR法によって増幅し、DNA断片を得た。PCR反応の条件は、変性反応94℃1分、アニール反応℃47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして25サイクル行った。以下全てのPCR反応は同じ条件で行った。得られたDNA断片を制限酵素SalIで消化した後、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離した。このSUPをコードするDNA断片を、制限酵素SmaIとSalIで予め消化しておいたp35S-GAL4DBDプラスミドに組み込み、エフェクタープラスミドpGAL4DB-SUPを構築した。
(2−2) SUPのアミノ酸配列175-204を含むエフェクタープラスミドpGAL4DB-175/204SUPの構築
GAL4DBDをコードするフレームと読み枠が一致するように設計した
を用いてSUPのアミノ酸配列175-204コード領域に該当する塩基配列523-612の領域を含むDNA断片をPCR法によって得た。このDNA断片を制限酵素SalIで消化し、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離し、塩基配列を決定した。このSUPのアミノ酸配列175-204をコードするDNA断片(DNA領域523-612)を、制限酵素SmaIとSalIで予め消化しておいた35S-GAL4DBDプラスミドに組み込み、エフェクタープラスミドpGAL4DB-175/204SUPを構築した。
(2−3) 比較対照エフェクタープラスミドの構築(図6)
シロイヌナズナAtERF5cDNAを含むクローンpAtERF5を鋳型として、
を用いてAtERF5全タンパク質コード領域をPCR法によって増幅した。このDNA断片を、上記に示した平滑末端にした35S-Nosプラスミド断片に組み込み、エフェクタープラスミドp35S-AtERF5を構築した。
また、これとは別に,SUP遺伝子及び175/204SUPを用いない他は上記手段と同様にしてエフェクタープラスミドpGAL4DBを構築した。
(3)レポーター遺伝子の構築
リポーター遺伝子として、以下の手法により、p35S-GAL4-LUC及びpGAL4-GCC-LUCの2種を構築した。
(3−1) p35S-GAL4-LUCの構築(図2及び図3)
(a)pGAL4-LUCの構築 (図2)
プラスミドpUC18 を制限酵素EcoRIとSstI で消化した。一方、pBI221 プラスミド(クローンテック社)を 制限酵素EcoRIと SstIで消化し、Nos-ter (nopaline synthase terminator) 領域を含む270bpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって単離した。得られた断片を制限酵素EcoRIとSstI で消化しておいたプラスミドpUC18 のEcoRI-SstI部位に挿入した。次いで、カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターTATAボックスを含む相補鎖の
を合成した。合成したDNAを90℃2分加熱した後、60℃で1時間加熱し、その後室温(25℃)で2時間静置してアニーリングさせ2本鎖を形成させた。Nosを持つpUC18プラスミドを制限酵素 HindIIIと BamHI で消化した。合成した2本鎖DNAをpUC18のHindIII-BamHI部位に挿入し、TATA-boxとNos-terを含むプラスミドを構築した。
このプラスミドを制限酵素SstIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理した。
一方、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子(LUC)をもつプラスミドベクター PGV-CS2 (東洋インキ社製)を 制限酵素XbaI とNcoIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、アガロースゲル電気泳動によって、ルシフェラーゼ遺伝子を含む 1.65 kb の DNA 断片を単離精製した。このDNA断片を上記のTATAボックスとNosターミネーターを含むプラスミドに挿入しpTATA-LUC リポーター遺伝子を構築した。
さらに、酵母の GAL4 タンパク質のDNA結合配列を5コピー持つプラスミド pG5CAT (Clontech社製) を 制限酵素SmaIと XbaIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、5コピーの GAL4 タンパク質のDNA結合配列含む DNA 断片をアガロースゲル電気泳動で精製した。TATA-LUC ベクターを制限酵素BglIIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。この部位に平滑末端化した5コピーの GAL4 タンパク質のDNA結合配列含む DNA 断片を挿入し、得られたプラスミドのうち GAL4 タンパク質のDNA結合配列が順方向に 向いているものを選抜し、リポーター遺伝子pGAL4-LUC を構築した(図2参照)。
(b)p35S-GAL4-LUCの構築(図3)
プラスミドpBI121を鋳型として、
を用いてPCRを行い、CaMV 35Sプロモーター-800〜-46領域を含むDNA断片を得た。制限酵素HindIIIで消化した後、CaMV 35Sプロモーター-800〜-46領域含む760bpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって単離した。このHindIII断片を、あらかじめ制限酵素HindIIIで消化しておいたリポーター遺伝子pGAL4-LUCに挿入し、CaMV 35SプロモーターDNAが順方向に向いているものを選抜し、p35S-GAL4-LUCリポーター遺伝子を構築した(図3参照)。
(3−2) pGAL4-GCC-LUCの構築(図7及び図8)
4個のGCC box配列(AGCCGCC)を含む45bpDNAの相補鎖(下記)を合成し、70℃で15分間加熱した後、室温で60分放置し、アニールさせ、2本鎖DNAとした。
この45bpのDNA断片を、制限酵素BglIIで予め消化しておいた上記のTATA-LUC ベクターと1:1のモル数になるように混合し、T4リガーゼを用いてライゲーションを行い、GCC boxを含むDNA断片が順方向に入っているものを選択し、プラスミドpGCC-LUCを構築した。 このプラスミドを制限酵素BglIIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った(図7参照)。
一方、酵母の GAL4 タンパク質のDNA結合配列を5コピー持つプラスミド pG5CAT (Clontech社製) を 制限酵素SmaIと XbaIで消化し、T4 DNA ポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、5コピーの GAL4タンパク質のDNA結合配列含む DNA 断片をアガロースゲル電気泳動で精製した。このDNA断片を、平滑末端処理をした、pGCC-LUCプラスミドに挿入し、GAL4配列が順方向に入っているものを選択し、pGAL4-GCC-LUCリポーター遺伝子を構築した(図8参照)。
(4) パーティクルガンによる遺伝子導入
pGAL4-LUCレポーター遺伝子1.6μg、エフェクタープラスミド としてpGAL4DB-SUP、又はそのデレーションであるpGAL4DB-175/204SUPのDNA1.2μg、比較対照プラスミドp35S-AtERF5又はpGAL4DB1.2μg、及び リファレンス遺伝子プラスミド0.32μgを直径1mmの金粒(BioRad社製)510μgにコーティングした。生育期間21日目のシロイヌナズナ葉7枚を、水でしめらせた濾紙をおいた9cmシャーレにならべ、Bio-Rad社製PDS-1000/Heボンバートメント機をもちいてDNAを打ち込んだ。次いで、22℃で6時間明所で静置した後、レポーター遺伝子の活性を測定した。
(5) ルシフェラーゼ活性測定
6時間静置したシロイヌナズナ葉を、液体窒素中で粉砕し、Dual-LuciferaseTM Reporter Assay System (Promega 社製) に添付されている Passive Lysis Buffer200μlに懸濁した後、遠心して上清を回収した。この細胞抽出液 20μlをDual-LuciferaseTM Reporter Assay System (Promega 社製)に添付されている測定バッファー100μlに混合し、ルミノメーター(TD20/20, Turener Design社製)を用いてルシフェラーゼ活性測定を行った。ホタル・ルシフェラーゼ及びウミシイタケ・ルシフェラーゼ活性の測定を測定キットの説明書に従って 10 秒間の発光を積分モードでカウントした。リファレンス遺伝子の活性値をリポーター遺伝子の活性値で割り、その相対値であるRelative lucifarase activityを測定値として求めた。実験は、エフェクタープラスミドの種類ごと3回個別にトランジェントアッセイ実験を行い、平均値と標準偏差を求めた。エフェクターを入れない場合のp35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子の活性の相対値を100、pGAL4-GCC-LUCリポーター遺伝子の相対値を1として、エフェクタープラスミドを同時に細胞に導入したときにリポーター遺伝子の活性値の変動によってエフェクターの効果を調査した。
図9Aは、リポーター遺伝子とエフェクタープラスミドを示す図である。図9Aにおいて、5XGAL4はGAL4転写因子DNA結合配列、TATAはCaMV35SプロモーターTATAボックスを含む領域、LUCはルシフェラーゼ遺伝子、CaMV35Sはカリフラワーモザイクウイルス35Sタンパク質遺伝子プロモーター、GAL4DBは酵母GAL4転写因子DNA結合ドメインコード領域、Nosはノパリン合成酵素遺伝子転写終止領域をそれぞれ表す。
図9BはSUP及びSUPのディリーションがリポーター遺伝子の活性(Relative Activity)に及ぼす影響 を示す図である。図9Bにおいて、左の数字(175/204等)は、SUPのアミノ酸領域を示す。真ん中のボックスは左の数字に該当するアミノ酸配列領域を示す。右のグラフは、左の領域をもつエフェクタープラスミドを導入したときのリポーター遺伝子の活性を示す。
図9Bの結果によれば、p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子とpGAL4DB-SUPエフェクタープラスミドを導入したときのリポーターの活性値が減少することから、pGAL4DB-SUPは、レポーター遺伝子の活性を抑制する効果(リプレッサー機能)があることを示している。pGAL4DB-SUPエフェクターは、リポーター遺伝子の活性をエフェクターを導入しないリポーター遺伝子のみの場合(コントロール)に比べ75%減少させた(図9B;1/204)。対照実験として行ったSUPのコード領域を含まないp35S-GAL4DBは、リポーター遺伝子の活性を低下さなかった。このことは、SUPが転写を抑制するリプレッサーとして機能していることを示している。
また、SUP遺伝子のタンパク質コード領域をディリーションしたDNA断片をもつエフェクタープラスミドであるpGAL4DB-175/204SUPは、pGAL4DB-SUPを導入した場合よりもさらなる抑制効果を示し、レポーター遺伝子の活性を95%抑えるリプレッサー機能があることが示された。(図9B;175/204SUP )。
この結果から、SUPのリプレッサー機能を持つ領域(リプレッションドメイン)は、SUPのアミノ酸配列、175-204領域に存在することが明らかとなった。 このアミノ酸配列を配列番号61に示した。
図10Aは、リポーター遺伝子(pGAL4-GCC-LUC )と各種エフェクタープラスミドを示す図である。
また、図10Bによれば、pGAL4-GCC-LUCリポーター遺伝子と、転写活性化能を持つことが示されているp35S-AtTERF5エフェクタープラスミドをシロイヌナズナ葉にパーティクルガンで導入すると、リポーター遺伝子の活性は、エフェクタープラスミドを導入しない場合(1とする)に比べ、15倍以上上昇した。リポーター遺伝子とp35S-AtERF5さらにpGAL4DB-SUPを同時に導入した場合、リポーター遺伝子の活性は、2.5倍程度にしか上昇しなかった。よって、このことは、SUPタンパク質は、AtERF5の転写活性化能を84%(1-2.5/15)抑制する効果を持つことを示している。さらに、SUPのディリーション領域を持つpGAL4DB-175/204SUPをGAL4-GCC-LUCリポーター遺伝子とpATERF5エフェクターと同時に導入した場合、リポーター遺伝子の活性を90%抑制する効果を示した。p35S-AtERF5によるリポーター遺伝子の活性の上昇は、pGAL4DBを導入した場合には、影響されないことから、リポーター遺伝子の転写抑制効果は、SUPタンパク質の効果であることを示している。
〔実施例3:SUPリプレッションドメイン175-204をコードする遺伝子による、植物体におけるEIN3の転写活性化機能の抑制〕
(1)形質転換用ベクターpBIG2の構築
クローンテック社製(Clontech社,USA)のプラスミドp35S−GFPを制限酵素HindIIIとBamHIで切断し、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV 35S)を含むDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し回収した。
米国ミシガン州立大学より譲渡された植物形質転換用ベクターpBIG−HYG(Becker, D.1990 Nucleic Acid Research, 18:203)を制限酵素HindIIIとSstIで切断し、アガロースゲル電気泳動によってGUS遺伝子を除いたDNA断片を得た。
以下の配列を有するDNAを合成し、70℃で10分加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。このDNA断片には、5'末端にBamHI制限酵素部位、翻訳効率を高めるタバコモザイクウイルス由来のomega配列、及び制限酵素部位SmaI、SalIを有する。
CaMV 35Sプロモーター領域をふくむDNA断片と合成した2本鎖DNAをGUS遺伝子を除いたpBIG−HYGのHindIII、SstI部位に挿入し、植物形質転換用ベクターpBIG2を得た。
(2)形質転換ベクターpEIN3SUPRDの構築
米国ソーク研究所から譲渡された、EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いて、EIN3のアミノ酸配列1−162コード領域に該当する塩基配列1−485の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素SmaIで切断した後、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離した。この断片を制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、pBIG2-EIN3-1/162を得た。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを制限酵素SmaIとPstIで切断し、アガロース電気泳動によってEIN3のアミノ酸配列163−565の領域をコードするDNA断片(487-1695)を単離した。このDNA断片を、制限酵素SmaIとPstIで切断しておいたクローニングベクターpBluescriptIIに挿入しプラスミドpEIN3-163/565を作成した。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いてEIN3のアミノ酸配列566−628コード領域に該当する塩基配列(1696-1884)の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素PstIで切断した後、アガロース電気泳動によって単離した。
先に述べた実施例2(2)(2−2)と同様にアミノ酸の読み枠が一致するように作成しておいた、3'末端に制限酵素SalI部位を有するSUPのアミノ酸配列175-204コード領域に該当する塩基配列(523-612)の領域を含むDNA断片と、EIN3のアミノ酸配列566−628コード領域に該当する塩基配列(1696-1884)の領域を含むDNA断片を、制限酵素PstI、SalIで切断しておいた上記pEIN3-163/565に挿入し、pEIN3-163/628-SupRDを作成した。
プラスミドpEIN3-163/628-SupRDを、制限酵素SmaIとSalIで切断し、EIN3のアミノ酸配列163−628領域とSUPの175-204の領域をコードするDNA断片を、アガロース電気泳動によって単離した。単離した断片を、上記で述べたpBIG2-EIN3-1/162を制限酵素SmaIで切断したpBIG2-EIN3-1/162に挿入し、35S-EIN3-SupRD-Nosを含む形質転換ベクターpEIN3SUPRDを得た。
(3)pEIN3SUPRDで形質転換した植物体の作成
pEIN3SUPRDによるシロイヌナズナ植物の形質転換は、Transfomation of Arabidopsis thaliana byvacuum infiltration(http://www.bch.msu.edu/pamgreen/protocol.htm)に従った。ただし、感染させるのにバキュウムは用いないで、浸すだけにした。プラスミドpEIN3RDを、土壌細菌[(Agrobacterium tumefaciens strain GV3101(C58C1Rifr)pMP90(Gmr)(koncz and Schell 1986))株にエレクトロポレーション法で導入した。導入した菌を1リットルのYEP培地(下記表2)でOD600が1になるまで培養した。
次いで、培養液から菌体を、回収し、1リットルの感染用培地(Infiltration medium)(下記表3)に懸濁した。
この溶液に、14日間生育したシロイヌナズナを1分間浸し、感染させた後、再び生育させ結種させた。回収した種子を50%ブリーチ、0.02%Triton X−100溶液で7分間滅菌した後、滅菌水で3回リンスし、滅菌したハイグロマイシン選択培地(下記表4)に蒔種した。
上記ハイグロマイシンプレートで生育する形質転換植物体を選抜し、土壌に植え換え、次世代の種子を得た。
(4)形質転換植物のエチレン感受性の有無
得られた次世代(T2)の形質転換植物の種子を、エチレンの前駆体である1-aminocyclopropane-D-carboxylic acid (ACC)が最終濃度10uM添加され、滅菌された生育培地を含む MSプレート(下記表5)に蒔種した。
上記種子を、4℃で3日間低温処理した後、暗所22℃で3日間生育させ、定法に従って、エチレン応答を示す生理現象である黄化芽生えでのトリプルレスポンス(3重応答)を観察した。結果を図11及び図12に示す。
図11及び図12によれば、野生株である Col-0は、ACCの存在下で、茎長フックが屈曲し、根の伸長が抑制されるトリプルレスポンスを示すが、pEIN3SUPRDで形質転換した植物体(図11;35S::EIN3SUPRD)では、EIN3の変異体であるein3植物体(図11;ein3-1)と同様に、茎長の屈曲及び根の伸長阻害がみられず、エチレン非応答性の形質を示した。また、常光下で生育させた野生型植物体は、エチレンガス(100ppm 1ml/min )常時存在下で、エチレン応答性の生理現象である矮性の植物体になるが、pEIN3SUPRDで形質転換した植物体(図12;35S::EIN3SUPRD)では、EIN3の変異体であるein3植物体(図12;ein3−1)よりもやや大きな植物体となった。
さらに、野生型ではエチレンで発現が誘導され、エチレン非応答性の変異体であるein3植物体ではエチレンで発現が誘導されない遺伝子であるPDF1.2遺伝子、 塩基性キチナーゼ(BCHN)遺伝子及びEthylen Responsive Factor1(ERF1)遺伝子の発現について、野生型とpEIN3SUPRDで形質転換した植物体からRNAを精製し、ノーザンブロットハイブリダイゼーション法を用いて調べた。
その結果、図13に示すように、エチレン処理(100ppMエチレンガス、12時間)した野生型(図13:Col−0)では、PDF1.2、ERFl及びBCHN遺伝子の発現の誘導がみられた。一方、pEIN3SUPRDで形質転換した植物体(図13:35S::EIN3SUPRD)は、エチレン処理を行っても、ein3変異体植物同様PDF1.2、ERFl及びBCHN遺伝子の発現の誘導がみられず、エチレン非応答性の形質を示した(図中、EF(elongation factor)は内性コントロールを示す)。
以上の結果から、SUPの175−204のアミノ酸配列を持つペプチド及びそれをコードする遺伝子は、任意の転写因子を転写抑制因子に変換できる能力を有していることが明らかとなった。
〔実施例4:ERF3リプレッションドメイン191-225をコードする遺伝子による、植物体におけるEIN3の転写活性化機能の抑制〕
(1)形質転換用ベクターpBIG2の構築
形質転換用ベクターpBIG2の構築は実施例3(1)と同様にして行った。
(2)形質転換ベクターpEIN3RDの構築
米国ソーク研究所から譲渡された、EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いて、EIN3のアミノ酸配列1−162コード領域に該当する塩基配列1−485の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素SmaIで切断した後、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離した。この断片を制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、pBIG2-EIN3-1/162を得た。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを制限酵素SmaIとPstIで切断し、アガロース電気泳動によってEIN3のアミノ酸配列163−565の領域をコードするDNA断片(487-1695)を単離した。このDNA断片を、制限酵素SmaIとPstIで切断しておいたクローニングベクターpBluescriptIIに挿入しプラスミドpEIN3-163 /565を作成した。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いてEIN3のアミノ酸配列566−628コード領域に該当する塩基配列(1696-1884)の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素PstIで切断した後、アガロース電気泳動によって単離した。
3'末端に制限酵素SalI部位を有するERF3のアミノ酸配列191−225をコードする領域に相当する塩基配列(571-675)の領域のDNA断片を、EIN3のカルボキシル基末端とフレームと読み枠が一致するように設計した。なお、ERF3の全長遺伝子の塩基配列及びそのアミノ酸配列は配列番号53に示すとおりである。
を用いてERF3のアミノ酸配列191-225コード領域に該当する塩基配列(571-675)の領域を含むDNA断片をPCR法によって得た。このDNA断片を制限酵素SalIで消化し、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離した。
このERF3のリプレッションドメインをコードするDNA断片と、EIN3のアミノ酸配列566−628をコードする塩基配列(1696-1884)のDNA断片を、制限酵素PstI−SalIで切断しておいた上記pEIN3−163/565に挿入し、pEIN3−163/628−RDを作成した。
プラスミドpEIN3−163/628−RDを、制限酵素SmaIとSalIで切断し、EIN3のアミノ酸配列163−628領域とERF3の191−225の領域をコードするDNA断片を、アガロース電気泳動によって単離した。単離した断片を、上記で述べたpBIG2−EIN3−1/162を制限酵素smaIで切断したpBIG2−EIN3−1/162に挿入し、35S−EIN3−RD−Nosを含む形質転換ベクターpEIN3RDを完成させた。
(3)比較対照形質転換ベクターの構築
上記と同じ方法で、下記配列のERF3の191−225のリプレッションドメインの215と217番目のアスパラギン酸を共にアラニンに置換した変異ドメインを持つRDmをコードするDNA断片を挿入しpEIN3RDmを完成させた。
アラニン置換した変異ドメインをコードするDNAは、以下の 両ストランドを合成した。
(4)pEIN3RDで形質転換した植物体の作成
実施例3(3)と同様にして、形質転換ベクターpEIN3PRD及び比較対照形質転換ベクターpEIN3RDmを用いてシロイヌナズナ植物の形質転換を行い、さらにハイグロマイシンプレートで選抜し、次世代の種子を得た。
(5)形質転換植物のエチレン感受性の有無
得られた次世代(T2)形質転換植物の種子を、実施例3(4)と同様にして生育させ、エチレン応答を示す生理現象である、黄化芽生えでのトリプルレスポンス(3重応答)を観察した。同一条件下で野生株Col-0及びEIN3の変異体であるein3植物体のエチレン応答性も観察した。結果を図11、図12に示す。
図11によれば、野生株であるCol-0は、ACCの存在下で、茎長フックが屈曲し、根の伸長が抑制されるトリプルレスポンスを示す。また、ERF3の191−225のリプレッションドメインの215と217番目のアスパラギン酸を共にアラニンに置換した変異ドメインを持つRDmを有するpEIN3-RDmで形質転換された植物体(図11;35S::EIN3RDm)も、上記野生株Col-0と同様のエチレン応答性を示す。これに対して、pEIN3RDで形質転換された植物体(図11;35S::EIN3RD)では、EIN3の変異体であるein3植物体(図11;ein3-1)と同様に、茎長の屈曲及び根の伸長阻害がみられず、エチレン非応答性の形質を示した。
また、図12によれば、常光下で生育させた野生型植物体は、エチレン(100ppm、12時間)常時存在下で、エチレン応答性の生理現象である矮性の植物体(図12;Col-1)になるが、pEIN3RDで形質転換した植物体(図12;35S::EIN3RD)では、EIN3の変異体であるein植物体(図12;ein3-1)とほとんど変わらない大きさを示した。
さらに、野生型ではエチレンで発現が誘導されるが、エチレン非応答性の変異体であるein3植物体ではエチレンで発現が誘導されない遺伝子であるPDF1.2遺伝子、塩基性キチナーゼ(BCHN)遺伝子及びEthylen Responsive Factor1(ERF-1)遺伝子の発現について、野生型とpEIN3RDで形質転換した植物体からRNAを精製し、ノーザンブロットハイブリダイゼーション法を用いて調べた。
その結果、図13に示すように、エチレン処理(100ppMエチレンガス、12時間)した野生型では、PDF1.2、ERF-1及びBCHN遺伝子の発現の誘導がみられる。一方、pEIN3RDで形質転換した植物体では、エチレン処理を行っても、ein3変異体植物同様PDF1.2,ERFl及びBCHN遺伝子の発現の誘導がみられず、エチレン非応答性の形質を示した。
以上の結果から、ERF3の191−225のアミノ酸配列を持つペプチド及びそれをコードする遺伝子は、任意の転写活性化因子を転写抑制因子に変換できる能力を持つことが明らかとなった。
〔実施例5:ペプチドDLDLELRLGFA(SRD;SUPリプレッションドメイン194-204に対応)をコードする遺伝子による、植物体におけるCUC1の転写活性化機能の抑制〕
(1)形質転換用ベクターpBIG2の構築
形質転換用ベクターpBIG2の構築は、実施例3(1)と同様にして行った。
(2)形質転換ベクターpCUC1SRDの構築
アミノ酸ペプチドDLDLELRLGFA(SRDという)と、転写因子CUC-SHAPED COTYKEDON1 (CUC1)のタンパク質コード領域(配列番号54)のカルボキシル末端とが結合した状態のアミノ酸配列(VSVWPFTLDLDLELRLGFA)になるように、かつCUC1遺伝子のコード領域から終止コドンを削除した配列とSRDのコード領域との読み枠が一致するように、相補鎖(3'コンプリメントDNA)である以下の配列を合成した。
一方、CUC1遺伝子のタンパク質コード領域の5'領域に相当する以下のDNA配列を合成した。
これらの2個の一本鎖DNAをプライマーとして、奈良先端大学田坂教授より譲渡されたCUC1cDNAの全長を含むクローンを鋳型にもちいてPCRを行い、CUC1コード領域とSRDが融合したCUC1SRD遺伝子を作成した。PCRの反応条件は、上記と同じである。
得られたDNA試料からアガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離し、制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、p35S::CUC1SRDを得た。
(3)p35S::CUC1SRDで形質転換した植物体の作成
実施例3(3)と同様にして、p35S::CUC1SRDによるシロイヌナズナ植物の形質転換を行った。
(4)形質転換植物の発芽体の形質
得られた形質転換植物(35S::CUC1SRD)の発芽体の形質を図15(右)に示す。
また、比較として、野生株Col-0及びcuc1/cuc2の二重変異体における子葉の形態を図15(左)及び図15(中)にそれぞれ示す。
野生株Col-0の子葉は、2枚に別れており、基部、葉体部のいずれにおいても融合は見られなかった。一方、cuc1/cuc2の二重変異体では、2枚の子葉が、その両片部のほとんどの領域で融合しており、カップ状の形質(cup-shaped cotyledon)を示した。
p35S::CUC1SRDで形質転換したシロイヌナズナ植物体ではハイグロマイシン存在下で生育する全ての発芽体において、子葉の基部から葉状部にかけて、一部ないし大部分が融合した形状を示した。この形質は、cuc1/cuc2の二重欠損株で見られる形状と非常に似ている。また、子葉の一部が融合した形質は、cuc1/stm-1の二重欠損株で見られる形状とほぼ同様であった(Plant Cell, 9, 841, 1997; Development, 126, 1563, 1999; Development, 128, 1127,2000)。さらに、これらの形質転換植物においては、ほとんどのもので、頂芽分裂組織の形成が見られなかった。
以上の結果から、DLDLELRLGFA(SUPリプレッションドメイン194-204に対応)のアミノ酸配列を持つペプチド及びそれをコードする遺伝子は、任意の転写因子を転写抑制因子に変換できる能力を有していることが明らかとなった。
〔実施例6:ペプチドLDLELRLGFA(SRD1;SUPリプレッションドメイン195-204に対応)、及びペプチドLDLNLAPPMEF(RD1;ERF3リプレッションドメイン215-225に対応)をコードする遺伝子による、植物体におけるEIN3の転写活性化機能の抑制〕
(1)形質転換用ベクターpBIG2の構築
形質転換用ベクターpBIG2の構築は実施例3(1)と同様にして行った。
(2)形質転換ベクターpEIN3SUPRDの構築
米国ソーク研究所から譲渡された、EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いて、EIN3のアミノ酸配列1-162コード領域に該当する塩基配列1−485の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素SmaIで切断した後、アガロース電気泳動によって目的とするDNA断片を単離した。この断片を制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、pBIGII-EIN3-1/162を得た。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを制限酵素SmaIとPstIで切断し、アガロース電気泳動によってEIN3のアミノ酸配列163-565の領域をコードするDNA断片(487-1695)を単離した。このDNA断片を、制限酵素SmaIとPstIで切断しておいたクローニングベクターpBluescriptIIに挿入しプラスミドpEIN3-163-565を作成した。
EIN3cDNAの全長を含むpEIN3クローンを鋳型として、
を用いてEIN3のアミノ酸配列566-628コード領域に該当する塩基配列(1696-1884)の領域を含むDNA断片をPCR法によって増幅し、制限酵素PstIで切断した後、アガロース電気泳動によって単離した。
前記実施例2(2)(2−2)と同様にアミノ酸の読み枠が一致するように作成しておいた、3'末端に制限酵素SalI部位を有するSRD1(LDLELRLGFA)のアミノ酸配列をコードするように設計したDNAの両鎖である配列:
又は、アミノ酸の読み枠が一致するように作成しておいた、3'末端に制限酵素SalI部位を有するRD1(LDLNLAPPMEF)のアミノ酸配列をコードするように設計したDNAの両鎖である配列:
を、実施例2で示した方法でアニーリングしたDNAと、EIN3のアミノ酸配列コード領域に該当する塩基配列1696-1884の領域を含むDNA断片を、制限酵素PstI、SalIで切断しておいた上記pEIN3-163/565に挿入し、pEIN3-163/628-SRD1及びpEIN3-163/628-RD1を作成した。
プラスミドpEIN3-163/628-SRD1及びpEIN3-163/628-RD1を、制限酵素SmaIとSalIで切断し、SRD1又はRD1をコードする領域とEIN3のアミノ酸配列163-628領域を融合させたDNA断片を、アガロース電気泳動によって単離した。単離した断片を、実施例3(2)と同様にして得たpBIG2-EIN3-1/162を制限酵素SmaIで切断したpBIG2-EIN3-1/162に挿入し、CaMV35S-EIN3-SupRD-Nosを含む形質転換ベクターpEIN3SRD1及びpEIN3RD1を得た。
(3)pEIN3SRD1又はpEIN3RD1で形質転換した植物体の作成
実施例3(3)と同様にしてpEIN3SRD1又はpEIN3RD1によるシロイヌナズナ植物の形質転換を行い、次世代の種子を得た。
(4)形質転換植物のエチレン感受性の有無
実施例3(4)と同様にして種黄化芽生えでのトリプルレスポンス(三重応答)を観察した。結果を図16及び図17に示す。
図16及び図17によれば、野生株であるCol-0は、ACCの存在下で、茎長フックが屈曲し、根の伸長が抑制されるトリプルレスポンスを示すが、pEIN3SRD1 又はpEIN3RD1で形質転換した植物体(図16;35S:EIN3SRD1, 35S:EIN3RD1)では、EIN3の変異体であるein3植物体(図16;ein3-1)と同様に、茎長の屈曲及び根の伸長阻害がみられず、エチレン非応答性の形質を示した。また、常光下で生育させた野生型植物体は、エチレンガス(100ppm)常時存在下で、エチレン応答性の生理現象である矮性の植物体になるが、pEIN3SRD1又はpEIN3RD1で形質転換した植物体(図17; SRD1, RD1)では、EIN3の変異体であるエチレン非感受性突然変異体ein3植物体(図17;ein3)をエチレン存在下で生育させた植物と同様な大きさを示した。
以上の結果から、LDLELRLGFA及びLDLNLAPPMEFのアミノ酸配列を持つペプチド及びそれをコードする遺伝子は、任意の転写因子を転写抑制因子に変換できる能力を有していることが明らかとなった。
〔実施例7:ペプチド:LDLDLELRLGFA(SRDX;SUPリプレッションドメイン193-204に対応)をコードする遺伝子による、植物体におけるPRODUCTION-OF-ANTHOCYANIN-PIGMENT1 (PAP1) 転写因子の機能変換〕
(1)形質転換用ベクターp35S::PAP1SRDXの構築
(1−1)PAP1cDNAの単離
シロイヌナズナcDNAライブラリーより、以下のプライマーを用いて終止コドンを除くPAP1のコード領域のみを含むDNA断片をPCRを用いて増幅し、アガロース電気泳動により分離し回収した。なお、PCRの条件は実施例3と同様である。
得られたPAP1遺伝子のcDNAおよびコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号66に示す。
(1−2)ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードする遺伝子の合成
一方、12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードし、3‘末端に終止コドンTAAを持つように設計した、以下の配列を有するDNAをそれぞれ合成し、実施例3と同様にアニールして2本鎖DNAとした。
(1−3)形質転換ベクターの作成
上記で得たPAP1遺伝子タンパク質コード領域のみを含むDNA断片とSRDXのコード領域を含むDNA断片を、実施例3と同様にして、制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、形質転換ベクターp35S::PAP1SRDXを得た。
(2)形質転換ベクターp35S::PAP1SRDXにより形質転換した植物体の作成
形質転換ベクターp35S::PAP1SRDXにより形質転換して得たシロイヌナズナ植物の次世代種子と、比較のための野生株(Col-0)の種子とを、3%のショ糖を含むMS寒天培地及びショ糖を含まないMS寒天培地上に蒔種し、実施例3と同様の条件下で生育させた。その結果、野生型の発芽体では、ストレスを与える条件である3%のショ糖を含むMS寒天培地において、アントシアニンの特徴を示す赤紫色の色素を蓄積した。これに対して、p35S::PAP1SRDXで形質転換したシロイヌナズナ植物の発芽体では、この色素の蓄積が見られなかった(図18A)。
また、アントシアニンの合成系であるフェニルプロパノイド合成に関わる遺伝子であるdihydroflavonol reductase (DFR)遺伝子の発現を後記参考例のRT-RCT法を用いて調べた結果、野生型では、この遺伝子の発現が、ストレス処理と同時に上昇するのに対し、p35S::PAP1SRDXで形質転換したシロイヌナズナ植物体では、このような発現上昇は認められなかった(図18B)。これらのことは、SRDXペプチドを付与されたPAP1転写因子が、リプレッサーに変換され、植物体内でDFR遺伝子の発現を抑制することにより、アントシアニン合成を抑制していることを示している。また、このことは、このリプレッサーを用いた遺伝子発現抑制システムが、二次代謝物の合成抑制にも利用できることを示している。
〔実施例8:ペプチド:LDLDLELRLGFA(SRDX)をコードする遺伝子による、植物体におけるAtMYB23転写因子の機能変換〕
(1)形質転換ベクターp35S::AtMYB23SRDXの構築
(1−1)AtMYB23 cDNAの単離
シロイヌナズナcDNAライブラリーより、以下のプライマーを用いて終止コドンを除くAtMYB23のコード領域のみを含むDNA断片をPCRを用いて増幅し、アガロース電気泳動により分離し回収した。なお、PCRの条件は実施例3と同様である。
得られたAtMYB23遺伝子のcDNAおよびコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号69に示す。
(1−2)ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードする遺伝子の合成
一方、12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードし、3‘末端に終止コドンTAAを持つように設計した、以下の配列を有するDNAをそれぞれ合成し、実施例3と同様にアニールして2本鎖DNAとした。
(1−3)形質転換ベクターの作成
上記で得たAtMYB23遺伝子のタンパク質コード領域のみを含むDNA断片とSRDXのコード領域を含むDAN断片を、実施例3と同様にして、制限酵素SmaIで切断したpBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、形質転換ベクターp35S::AtMYB23SRDXを得た。
(2)形質転換ベクターp35S::AtMYB23SRDXにより形質転換した植物体の作成
形質転換ベクターp35S::AtMYB23SRDXにより形質転換されたシロイヌナズ植物のの次世代種子と、比較のための野生株(Col-0)の種子とを、MS寒天培地上に蒔種し、実施例3と同様の条件下で生育させた。その結果、p35S::AtMYB23SRDXで形質転換した植物体は、野生型植物であるCol-0では表皮に存在するトリコームが無いか、若しくは著しくその数が野生型に比べて著しく減少している植物体となった(図19A)。
また、トリコームの発生に関わる遺伝子であるGLABRA1 (GL1), GLABRA2 (GL2), TRANSPARENT TESTA GLABRA1 (TTG1)の発現を後記参考例のRT-PCRを用いて調べた。野生型ではこれら3種の遺伝子は同様に発現しているのに対し、p35S::AtMYB23SRDXで形質転換したトリコームを持たない植物体においては、GL2の発現が著しく抑制されていることが明らかになった(図19B)。これらのことは、SRDXペプチドを付与されたAtMYB23転写因子が、リプレッサーに変換され、植物体内で、GL2遺伝子の転写を抑制することにより、トリコームの発生を抑制していることを示している。
〔実施例9:タバコ葉およびペチュニアにおける転写抑制実験〕
リポーター遺伝子としてCaMV35S-GAL4::LUC、エフェクタープラスミドとしてCaMV35S::GAL4DBD:RD (SUPリプレッションドメイン175-204領域)を用い、実施例2と同様にしてタバコ(Nicotiana tabacum BY4)種子蒔種後2週間目の植物体から採取した葉(1.5cm)にパーティクルガン法を用いて導入した後、水で湿らせた濾紙上で25℃、16時間静置後、リポーター遺伝子であるルシフェラーゼの活性を測定した。その結果、コントロールとして用いた35S-GAL4DBとリポータープラスミドを導入したもの(相対値100とする)に比べ、35S-GAL4DB-RDを導入した場合、リポーター遺伝子の活性を84%抑制する効果を示した。また、同様にして、ペチュニア種子蒔種後3週間目の植物体から採取した葉(1.0cm)に上記のエフェクタープラスミドとリポータープラスミドをパーティクルガンを用いて導入し、ルシフェラーゼの活性を測定した。その結果、コントロールとして用いた35S-GAL4DBとリポータープラスミドを導入したもの(相対値100とする)に比べ、35S-GAL4DB-RDを導入した場合、リポーター遺伝子の活性を82%の抑制する効果を示した。
これらの結果より、リプレッションドメインを持つキメラ遺伝子は、シロイヌナズナばかりでなく、タバコ葉およびペチュニアにおいても転写抑制機能を持つことがわかった。
〔参考例:RT-PCR方法による遺伝子発現の解析法〕
上記実施例7、8におけるRT-PCR方法による遺伝子発現の解析法を以下に示す。
既に述べた方法でシロイヌナズナ植物葉から、全RNAを抽出精製した。このうち1.65ugまたは2.5ugの全RNAを分取し、混在するDNAを除くため下記の条件でDNase処理を行った。
37℃で30分間反応したのち、フェノール・クロロホルム溶液を加えて各酵素を失活させエタノール沈殿にてDNAを除いた乾燥全RNAを調製した。
次に全RNAよりアマシャム社製T-Primed First-Strand Kitを用いてcDNA のfirst strandの合成を行った。乾燥させた1.65ugまたは2.5ugの全RNAを33ulのDEPC処理水に縣濁させ、65℃で5分間インキュベーションした後、First-Strand Reaction Mixの入ったチューブにRNA溶液を加え、37℃で60分間反応させた。この反応により理論的に全RNAがfirst strand cDNAに転換されたと考えられる。
合成したfirst strand cDNAを鋳型として、調べたい遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを行った。使用したプライマーの塩基配列及びPCR反応溶液の組成を以下に示す。
(PCRに用いたプライマーの塩基配列)
(PCR反応溶液の組成)
PCRの条件は、95℃で2分間反応させ変性させた後、95℃30秒、58℃30秒、72℃1分を一サイクルとし、調べる遺伝子により25から35サイクルに変化させ行った。
次に、上記の一連の操作により得られたRT-PCR産物をサザン法により半定量学的に評価した。PCR反応で増幅したDNAの1/100〜1/1000量をアガロースゲル電気泳動し、ナイロンメンブレンにトランスファーした。相当する遺伝子DNAをプローブとして調製し、アマシャム製ECL direct nucleic acid labeling and detection system キットを用いて標識し、ハイブリダイゼーション及び検出を行った。検出されたバンドは調べたい遺伝子のmRNAに相当するDNA量を意味することから、これをワイルドタイプと形質転換サンプルと比較することにより、個々の遺伝子の発現量の考察を行った。この際、比較対照として内在性遺伝子β-チューブリン(TUB)の発現量を同時に検出した。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。
本発明の遺伝子はまた、例えばガン遺伝子の転写調節領域に特異的に結合するDNAと融合させて、細胞内で発現させることにより、ガン遺伝子の発現を効率的に抑制することが可能となる。
さらに、本発明の遺伝子は、例えば、植物においては、色素代謝系の酵素をコードする遺伝子の発現を制御することによってこれまでには得られなかった色違いの花弁を有する花を創作することを可能にし、また、アレルゲンとなるタンパク質の発現を抑制することによってアレルゲンの少ない食物の生産を可能にする。また、さらに、リグニン合成の遺伝子の発現を抑制することによって、リグニン含量の少ない木を作り、これにより高品質のパルプを生産するも可能である。従って、本発明は極めて広範な分野において適用可能でかつ有用な技術手段を提供する。
図1Aは、試験対象の各種DNA断片を含むGAL4DB−RDエフェクタープラスミドを構築する手順を示す図である。 図1Bは、図1Aの続きであり、試験対象の各種DNA断片を含むGAL4DB−RDエフェクタープラスミドを構築する手順を示す図である。 図1Cは、図1Bの続きであり、試験対象の各種DNA断片を含むGAL4DB−RDエフェクタープラスミドを構築する手順を示す図である。 図2Aは、レポーター遺伝子p35S-GAL4-LUCを構築する手順の前半部を示す図である。 図2Bは、図2Aの続きであり、レポーター遺伝子p35S-GAL4-LUCを構築する手順の前半部を示す図である。 図2Cは、図2Bの続きであり、レポーター遺伝子p35S-GAL4-LUCを構築する手順の前半部を示す図である。 図2Dは、図2Cの続きであり、レポーター遺伝子p35S-GAL4-LUCを構築する手順の前半部を示す図である。 図3は、上記レポーター遺伝子p35S-GAL4-LUCを構築する手順の後半部を示す図である。 図4Aは、リポーター遺伝子とエフェクタープラスミドを示す図であり、図4Bは、pGAL4DBに結合した各種ペプチドがリポーター遺伝子の活性(Relative Activity)に及ぼす影響を示す図である。図中、右側のグラフは、各種DNA断片を有するエフェクタープラスミドを導入したときのリポーター遺伝子の活性を示す(エフェクターを入れないときのリポーター遺伝子の活性を100とした)。なお、図1から4A中、5XGAL4: GAL4転写因子DNA結合配列、TATA: CaMV35SプロモーターTATAボックスを含む領域、LUC: ルシフェラーゼ遺伝子、CaMV 35S: カリフラワーモザイクウイルス35Sタンパク質遺伝子プロモーター、GAL4DB:酵母GAL4転写因子DNA結合ドメインコード領域、Nos:ノパリン合成酵素遺伝子転写終止領域を表す。 図5Aは、エフェクタープラスミドpGAL4DB-SUPの構築手順を示す図である。 図5Bは、図5Aの続きであり、エフェクタープラスミドpGAL4DB-SUPの構築手順を示す図である。 図5Cは、図5Bの続きであり、エフェクタープラスミドpGAL4DB-SUPの構築手順を示す図である。 図6Aは、エフェクタープラスミドpAtERF5の構築手順を示す図である。 図6Bは、図6Aの続きであり、エフェクタープラスミドpAtERF5の構築手順を示す図である。 図7Aは、レポータープラスミドpGAL4-GCC-LUCの構築手順の前半部を示す図である。 図7Bは、図7Aの続きであり、レポータープラスミドpGAL4-GCC-LUCの構築手順の前半部を示す図である。 図7Cは、図7Bの続きであり、レポータープラスミドpGAL4-GCC-LUCの構築手順の前半部を示す図である。 図7Dは、図7Cの続きであり、レポータープラスミドpGAL4-GCC-LUCの構築手順の前半部を示す図である。 図8は、レポータープラスミドpGAL4-GCC-LUCの構築手順の後半部を示す図である。 図9Aは、転写抑制試験において、レポーター遺伝子としてプラスミドに組み込まれた35S-GAL4-LUCの構造及びエフェクター遺伝子として組み込まれたSUP(D)の構造の概略を示す図であり、図9BはSUP遺伝子及びその断片による 転写抑制試験の結果を示す図である。 図10Aは、転写抑制試験において、レポーターとして使用したGAL4-GCC-LUCの構造、及びAtERF5、GAL4DB、GAL4DB-SUP、GAL4DB175/204SUPを組み込んで構築されたエフェクター遺伝子の構造の概略を示す図であり、図10Bは各エフェクターによる転写抑制試験の結果を示す図である。 図11は、SUP遺伝子及びERF3遺伝子によるEIN3の転写活性化機能の抑制効果を、エチレン前駆体存在下における植物体の茎長及び根の伸長程度により調べた結果を示す写真である。 図12は、SUP遺伝子及びERF3遺伝子による植物体におけるEIN3の転写活性化機能の抑制効果をエチレン存在下における植物体成長の程度により調べた結果を示す写真である。 図13は、SUP遺伝子及びERF3遺伝子による、エチレン存在下でのPDF1.2、BCHN及びERF1遺伝子の発現抑制効果を、これらエチレン誘導性遺伝子の発現を示すmRNAの検出の有無を指標にノーザンプロットハイブリダイゼーションにより調べた結果を示す写真である。 図14は、シロイヌナズナ植物体を形質転換するためのプラスミドp35S::CUC1SRDの構造を示す模式図である。 図15は、野生型(Co1-0)、cuc1/cuc2二重変異体(cuc1/cuc2)及びp35S::CUC1SRDで形質転換された植物体(35S::CUC1SRD)について各発芽後5日から10日目の葉体の子葉部を撮影した写真である。 図16は、pEIN3SRD1によるシロイヌナズナ植物形質転換体(35S::EIN3SRD1)、及びEIN3RD1による同形質転換体(35S::EIN3RD1)においてエチレン存在下で観察された植物体の茎及び根の形態を示す写真である。 図17は、pEIN3SRD1によるシロイヌナズナ植物形質転換体(35S::EIN3SRD1)、及びEIN3RD1による同形質転換体(35S::EIN3RD1)においてエチレン存在下で観察された植物体成長の程度を示す写真である。 図18Aは、p35S::PAP1SRDX形質転換シロイヌナズナ植物及び野生株を3%ショ糖含有MS培地で生育させた各発芽体の写真であり、図18Bは、上記植物体におけるDFR遺伝子の発現をRT-PCR法により解析した結果を示す電気泳動写真である。 図19Aは、p35S::AtMYB23SRDX形質転換シロイヌナズナ植物及び野生株の葉を撮影した写真であり、図19Bは、上記植物体におけるトリコーム発生遺伝子の発現をRT-PCR法により解析した結果を示す電気泳動写真である。

Claims (5)

  1. 転写因子と第1または第2のペプチドのいずれか融合している転写抑制因子であって、
    第1のペプチドは、Leu−Asp−Leu−Asp−Leu−Z1−Leu−Arg−Leu−Z2(ここで、Z1は、Glu、Gln又はAspであり、Z2は、10個の任意のアミノ酸である。)で表されるアミノ酸配列からなるか、またはそのフラグメントでありかつAsp−Leu−Z1−Leu−Arg−Leuで表されるアミノ酸配列を含み、
    第2のペプチドは、以下の(a)〜(d):
    (a)配列番号31に示すアミノ酸配列;
    (b)配列番号31に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列;
    (c)配列番号61に示すアミノ酸配列;または
    (d)配列番号61に示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列
    のいずれかのアミノ酸配列からなり、
    ここで、第1または第2のペプチドは、転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有する、転写抑制因子
  2. 請求項1に記載の転写抑制因子をコードする、遺伝子。
  3. 請求項2に記載の遺伝子を含む、発現ベクター。
  4. 請求項2に記載の遺伝子が発現可能に導入されている、形質転換体。
  5. 請求項2に記載の遺伝子が発現可能に導入されている、植物。
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