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JP3979454B2 - 外装材の取付構造 - Google Patents

外装材の取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は外装材を防火性と断熱性を具備した耐火材を介して、壁下地に簡単に施工することのできる取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に外装材、特にセメントを主材とした窯業系の外装材は、長手方向の両側縁に相决り構造の雄、雌実部を形成したものが数多く上市されている。そして、これらの外装材は、壁下地に固定する際に、通常ドリルによって現場で取付孔を穿設し、釘を打設する方法が採られている。また、タイル等の外装材はそれ単体では防火構造(JIS−A−1301、JIS−A−1302)や耐火構造(JIS−A−1304)を取得することができないので、防火性、耐火性を有する下地パネルと積層して複合した複合パネルとするのが通常である。しかしながらこの場合、下地パネルは防火性、耐火性を優先させるために、セメント板、押出中空セメント板やALC板等の無機系の下地パネルを用いるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、下地パネルとしてセメント板、押出中空セメント板やALC板を用いた複合パネルは、確かに防火性、耐火性は向上されるものの、パネル自体の重量が増し、施工が大変になると共に、断熱性能は期待できないものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するために、長尺板状の耐火材と、長尺板状の外装材とからなり、壁下地に耐火材を一面に固定し、耐火材には外装材の働き幅に対応して溝が形成され、溝に沿って外装材が固定されている取付構造とすることにより、軽量性と断熱性、そして防火性能、耐火性能をも合わせ持った外装材の取付構造を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて、本発明に係る外装材の取付構造の一実施例について詳細に説明する。図1は本発明に係る外装材の取付構造を説明する断面図、図2(a)〜(d)は本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材Aを示す断面図と斜視図、図3(a)、(b)は本発明に係る外装材の取付構造に使用する取付具Bを示す斜視図、図4は本発明に係る外装材の取付構造に使用する外装材Cを示す断面図である。
【0006】
耐火材Aは、例えば図2(a)〜(d)に示すように中層A1と、中層A1の表面に配した上層A2、中層A1の裏面に配した下層A3とから構成するもので、例えば、火山性ガラス質複層板(VSボード)よりなり、商品名「エスマール」(新日鐵化学(株)社製)、商品名「ダイライト」(大建工業(株)社製)、等が挙げられる。
【0007】
火山性ガラス質複層板は、火山性ガラス質堆積物(シラス、白土、軽石等)の粒体およびそれらの発泡体を人造鉱物繊維保温材(JIS−A−9504・ロックウールおよびグラスウール)の無機系繊維と複合し、有機系結合材により層状に成形した建築用ボードである。また、火山性ガラス質堆積物は、未利用資源として地球上に大量に体積分布している、軽量、高強度、防火性、耐朽性、耐蟻性、透湿性、等に優れたものである。
【0008】
中層A1は、無機発泡体を主成分とし、かつ、結合剤を添加したものである。
【0009】
中層A1を形成する無機発泡体は圧縮強度を維持しつつ、軽量化するためのものであり、例えば、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体等があり、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
【0010】
中層A1には必要に応じて無機発泡体同士を連結するために繊維状物を添加してもよく、繊維状物としては、例えば、ロックウール、スラグウール等の鉱物質繊維、ポリプロピレン繊維等の合成樹脂繊維の他、パルプ等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
【0011】
また、結合剤は、鉱物質繊維と無機粉状体とを連結一体化するためのものであり、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂やスターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
【0012】
上層A2、下層A3は、鉱物質繊維と無機紛状体とを主成分とし、かつ、結合剤を添加して形成したものである。
【0013】
上層A2、下層A3を形成する鉱物質繊維としては、例えば、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、ガラス繊維などを挙げることができ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
【0014】
上層A2、下層A3を形成する無機粉状体は、例えば、炭酸カルシウム、硅砂、マイクロシリカ、スラグ、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0015】
上層A2、下層A3を形成する結合剤は、鉱物質繊維と無機粉状体とを連結一体化するためのものであり、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂やスターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
上記構成の耐火材Aは、耐腐朽性、強度、耐火性、防火性に優れるばかりでなく、軽量で、寸法安定性および剛性に優れるため寸法安定性が良く、反りや歪みがおこりにくいものである。
【0017】
耐火材Aに形成した線状の溝aは、外装材Cの働き幅に対応し、かつ、取付具Bの基材1の板厚よりも大きく形成したものであり、取付具Bの係止片8を係止し、施工能率の向上に寄与するものである。
【0018】
取付具Bは後記する外装材Cの固定材として機能するもので、基材1としてはカラー鋼板、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、チタン板、ステンレス板、銅板、フッ素樹脂被覆鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板、制振鋼板等の金属薄板、等をロール成形、プレス成形したもの、あるいはアルミニウム合金、合成樹脂材、等を押出成形して短尺状もしくは長尺状に形成したものである。
【0019】
取付具Bは、例えば図3(a)、(b)に示すように、固定片2、底片3、係合片4、押圧片5、ひっかかり片6、リブ7および固定片2の下端を側方に突出した係止片8とからなるものである。また、3aは流水孔であり、取付具Bが長尺状の場合に形成し、万が一に内部に浸入した雨水等を外部に流下させるものであり、一定ピッチで形成したものである。
【0020】
また、係止片8耐火材Aの線状の溝aに図1に示すように挿入され、その後固定具βにより固定片2を壁下地αに固定されるために、施工性が向上するものである。
【0021】
外装材Cは、例えば図4に示すようなセラミック板、セメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板、あるいは金属製パネル、金属サイディング材、木板、合成樹脂板、等からなるものである。
【0022】
さらに説明すると、外装材Cの一例としては図4に示すような断面の長尺板状で、表面の化粧面9の幅方向両側縁に相决り状の雄実部10と雌実部11を有し、かつ、雌実部11の切り欠き角部に係合溝12を形成したものである。また、図では雄実部10の先端部分にひっかけ溝13を、さらに外装材Cの内部に原料の節減、自重の軽減のために中空孔14を長手方向と平行に複数個形成している。
【0023】
次に本発明に係る外装材の取付構造を施工例を通して詳細に説明する。いま図2(b)、図3、図4に示すような耐火材A、取付具B、外装材Cを用いて図1に示すように施工すると仮定する。そこで、断熱材(グラスウール等)、防水シート(アスファルトフェルト、防風透湿シート、等)を含む木造下地、鉄骨下地、既存外壁、等からなる壁下地α上に、耐火材Aを固定具βにより隙間無く固定する。この場合に、固定具βの固定ピッチを周囲部分(図では柱、横架材)は100mm以下、中部分(図では間柱)を200mm以下にすると、木造軸組構法の体力壁となる。
【0024】
次に、耐火材A上の溝aに取付具Bの係止片8を挿入し、固定片2を固定具βを介して固定する。
【0025】
次に、取付具Bの施工により形成された嵌挿溝15に外装材Cの雄実部10を挿入し、その後下方に垂下させることにより係合溝12を係合片4に挿入して施工する。このように工程を順次繰り返して施工することにより、図1に示すような外装材Cの壁構造を形成するものである。勿論、土台部分には水切り、スタータ、軒には止縁、コーナ部分には出隅、入隅、等の役物を使用して施工を行うものである。なお、外装材Cの木口間にはEPDM等のパッキング材を形成し、防水性を強化するものである。
【0026】
上記のような取付構造では外装材Cの雄実部10、係合溝12が、取付具Bの押圧片10、係合片9により固定されているため、外装材Cへの釘打設等がなく、施工時の外装材Cの破損を阻止することができる。
【0027】
また、取付具Bの係合片9および押圧片10は上段に施工された外装材Cの自重により、下段の外装材Cの雄実部2をさらに押圧するので、外装材Cがガタツクことがない。さらに、取付具Bの施工場所が溝aにより決定されるために、施工性が大変良いものである。
【0028】
さらに、施工後も嵌挿溝15内には外装材Cをはずせる程度の空隙(嵌挿溝15)が存在するので、万一施工後に外装材Cが破損した際でも、一枚単位で容易に取り替えることができると共に、外装材Cは壁下地αに固定具βで直接固定されていないこともあり、地震等により壁下地αに変形荷重が加わっても、追従することができるものである。
【0029】
【その他の実施例】
以上説明したのは、本発明に係る外装材の取付構造の一実施例にすぎず、図5〜図14に示すような耐火材A、取付具B、外装材C、取付構造とすることもできる。
【0030】
すなわち、図5(a)〜(f)〜図7(a)〜(f)は耐火材Aのその他の実施例を示す断面図であり、パッキング材16、シート17、取付具Bを形成したりして、防水性、気密性、耐火性、遮音性、施工性、等を向上した耐火材Aである。
【0031】
パッキング材16としては、定型で弾性のあるパッキング材16としては、例えば発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。また、これらの成分の中に、耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入することもできる。また、耐火性パッキング材としてはロックウールフェルト、セラミックウール等である。
【0032】
シート17としては、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布、金属板、等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート等からなるものである。
【0033】
なお、図5(a)〜(f)、図6(a)〜(f)は幅方向の断面図、図7(a)〜(f)は長さ方向の断面図(一部切り欠き)である。
【0034】
図8(a)〜(y)は取付具Bのその他の実施例を示す断面図である。
【0035】
図9(a)〜(e)は外装材Cのその他の実施例を示す断面図である。
【0036】
図10は壁下地α上に防水シートDを形成した取付構造であり、防水シートDとしては、防風透湿シート(風雨は通さないが、湿気は通すシート)、アスファルトフェルト、等である。
【0037】
図11は壁下地α上に防水シートD、通気胴縁E(一定ピッチで縦に複数本形成)を形成し、通気胴縁E間に空間18を形成し、家屋内の湿気を通気胴縁Eの空間18から外部に放出するように形成した構造である。なお、空間18を形成した構造は、夏の遮熱にも効果があるものである。
【0038】
図12は図13(a)〜(c)に示すような耐火材A、取付具B、外装材Cにより形成した通気構造の取付構造である。
【0039】
図14(a)〜(d)は図13(b)に示す取付具Bのその他の実施例を示す断面図である。
【0040】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る外装材の取付構造によれば、▲1▼外装材は線状の溝により配設されるため、外装材装着時の目地調整を行う必要がなく、能率よく施工することができる。▲2▼耐火材の存在により、防火構造、耐火構造を取得できる構造となる。▲3▼耐火材の存在により、壁倍率5の体力壁が形成できる。▲4▼壁倍率5の木造軸組構法の体力壁を形成できる。▲5▼防風透湿シート、通気胴縁を形成すれば、家屋内の湿気を外部に放出し、躯体の腐朽を防止できると共に、夏の遮熱にも有効である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外装材の取付構造の代表例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材の代表例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る外装材の取付構造に使用する取付具の代表例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る外装材の取付構造に使用する外装材の代表例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材のその他の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材のその他の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材のその他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る外装材の取付構造に使用する取付具のその他の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る外装材の取付構造に使用する外装材のその他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る外装材の取付構造のその他の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明に係る外装材の取付構造のその他の実施例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る外装材の取付構造のその他の実施例を示す断面図である。
【図13】本発明に係る外装材の取付構造に使用する耐火材、取付具、外装材のその他の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明に係る外装材の取付構造に使用する取付具のその他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
A 耐火材
A1 中層
A2 上層
A3 下層
a 溝
B 取付具
C 外装材
D 防水シート
E 通気胴縁
α 壁下地
β 固定具
1 基材
2 固定片
3 底片
3a 流水孔
4 係合片
5 押圧片
6 ひっかかり片
7 リブ
8 係止片
9 化粧面
10 雄実部
11 雌実部
12 係合溝
13 ひっかけ溝
14 中空孔
15 嵌挿溝
16 パッキング材
17 シート
18 空間

Claims (1)

  1. 長尺板状の耐火材と、長尺板状で上端に上方に突出した雄実部、下端に上方に窪んだ係合溝を形成した雌実部よりなる外装材とからなり、壁下地に耐火材を一面に固定し、耐火材には外装材の働き幅に対応して溝が形成され、垂直平面状の固定片と、該固定片の下端を外方に突出した底片と、該底片の先端を上方に突出した係合片と、下方に垂下した押圧片と、固定片の下端を内側方に突出した係止片とからなる取付具を使用し、溝に取付具の係止片を挿入して固定し、該取付具の押圧片により外装材の雄実部を、取付具の係合片により雌実部の係合溝を固定することにより、溝に沿って外装材が固定されていることを特徴とする外装材の取付構造。
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