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JP3976896B2 - ピザの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ピザの製造法、更に詳しくは電子レンジ加熱に対応するピザの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピザは小麦粉を練って野菜、肉、チーズなどをのせ、香料を加えて焼いた一種のパイで、ほどよい風味があり、歯切れがよく、口溶けやのどごしがよいなどの食感が好まれ、冷蔵品や冷凍品の出現によってますますその消費量が増えている食品である。
【0003】
ピザの冷蔵品や冷凍品は、通常オーブン等の乾熱加熱を行って食するが、加熱をより迅速に、且つ簡単に行うために、他の冷蔵や冷凍食品などと同じように、電子レンジ加熱を利用する、或は利用したいという要望が強くなっている。
【0004】
しかし、オーブンなどの乾熱加熱と異なって、ピザの冷蔵品や冷凍品を電子レンジで加熱すると、歯切れが悪くなったり、口溶けやのどごしが悪くなるなどの問題があった。
【0005】
さらに、昨今のように飽食の時代になると、食品に対する要求が厳しくなり、ピザの食感に対しても、口あたりがソフトで歯にまとわりつかない程度の歯切れがあって、口溶けにも優れたソフトタイプと、口あたりがハードで、歯切れにサクサク感があって、のどごしのよいハードタイプとが好まれるようになり、電子レンジ加熱後のピザに於いても同じことが要求されるようになっている。
【0006】
電子レンジ加熱用のピザとして、例えば特開平4−66077号には、乳化剤(例:ショ糖脂肪酸エステル)を小麦粉に対して0.1〜6重量%使用し、焼成後に冷凍するピザや、特開平9−224548号には10℃における固体脂指数が5以下液状油脂(例:ナタネ白締油)100重量部、融点50℃以上の硬化油(例:ナタネ硬化油)0.5〜15重量部、グリセリン脂肪酸エステル0.05およびソルビタン脂肪酸エステルの少なくとも1種以上0.1〜10重量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル0.05重量%からなる油脂組成物をピザに使用することが開示されている。
【0007】
特開平2−182144号には上部がパイ生地、下部がピザ生地となる2層構造とする電子レンジ用ピザクラストの製造法が、特開平7−51032号にはピザクラストの底面に、少なくとも穀粉(例:米粉やセモリナ粉)20〜80重量%と卵白20〜80重量%を含有する混合物を0.01〜0.2g程度/cm2 塗布し、焼成後冷凍する冷凍ピザなどが開示されている。
【0008】
特開平4−66077号では乳化剤の使用でひきがなくふっくらとしたボリューム感があり、焼成時の食感が維持できる旨記載されており、また特開平9−224548号では油脂と乳化剤の併用で冷凍保存後電子レンジ加熱しても食感の低下がなくてサクサクした食感が得られるとしているが、何れも乳化剤の使用を必須とするため風味を悪くする。
【0009】
特開平2−182144号では多層構造にしてピザ層への具の水分移行を抑えて電子レンジ加熱後でもべたつきがなく軽くサックリした口溶けのよいピザが得られ、また特開平7−51032号ではクラストの底面に穀粉と卵白をコーテイングすることで電子レンジ加熱でもクリスピー感があり、長期間冷凍による変化もないとしているが、特開平2−182144号ではクラストを多層にすることを必要とし、特開平7−51032号ではクラストを焙焼後にコーテイングし、さらに乾燥することを必要とし、いずれもそれだけ工程が煩雑になったり、余分になるので実用性が問題である。
【0010】
これら以外に、電子レンジ加熱によるピザの食感をソフトにしたり、ハードにする試みも多数行われている。
【0011】
ソフトタイプとしては、特開平2−92230号には上新粉(全小麦粉中の10〜20重量%)または焙焼小麦粉(全小麦粉中の10〜30重量%)を使用する電子レンジ用ピザクラストの製造法が、特開平4−183353号には原料の穀粉に対して馬鈴薯澱粉粕0.5〜10重量%添加するピザ、パン類やケーキ類などのベーカリ食品などが開示されている。
【0012】
特開平2−92230号では上新粉や焙焼小麦粉を使用することで切れのよいソフトな食感が得られ、特開平4−183353号では馬鈴薯澱粉粕を使用することでひきがなく柔らかい食感のものが得られるとしているが、いずれも口溶けの点ではものたりないものであった。
【0013】
ハードタイプの電子加熱用ピザとしては、特開平5−295167号の約85〜35重量%の穀物粉、約15〜80重量%の高アミロース澱粉、約0.25〜5重量%の高アミロース澱粉の混合物を使用するピザ類やパン類などの冷凍ベーカリ食品が開示されているが、この技術では外部がバリバリになるほどハードな食感になるが、のどごしが悪い。
【0014】
さらに適度な硬さがあって、歯切れや口溶けに優れ、風味も良好なものが得られる手段として、特開平6−153769号にはデュラム小麦粉を30〜100重量%含有する穀粉を使用するパン類、ケーキ類、ピザ類などの冷凍ベーカリ食品が開示されているが、デュラム小麦粉の使用で歯切れや口溶けなどの改善はみられるものの、口中でのざらつきが感じられるものであった。
【0015】
一方、電子レンジ加熱にマイクロ波加熱とマイクロ波による発熱体を併用する方法を採用し、ピザなどの冷凍品を加熱してクリスピー感の改善をはかることもなされており、特開平3−21043号ではピザなどの盤状小麦粉焼成品とその上面および下面の少なくとも一方(ピザの場合には下面のみ)に位置するマイクロ波発熱体との間に油脂層を設けるなどの方法も開発されているが、必ずしも十分なものとはいえなかった。
【0016】
このように従来の各種方法では、電子レンジ加熱に対して必ずしも十分に対応しているものとはいえず、その改善が望まれている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ピザを焼成後に常温、冷蔵、或いは冷凍で保存し、電子レンジで加熱する時に生じる食感の低下という問題を解消するピザを容易に得る方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意努力の結果、小麦粉を主原料の一つとして生地を調整し、焼成するピザの製造に際し、原料粉中に膨潤度7〜11mlの小麦蛋白0.5〜4重量%含有させる原料粉を用いることで問題の解消がはかれることを見いだして本発明を完成した。
【0019】
【発明の作用】
本発明でいうピザとは、小麦粉を主原料の一つとして、イースト、砂糖などの糖類、油脂類と水、必要に応じてイーストフード、卵、乳製品を配合して捏上げ、発酵させ、一定の大きさに分割後に成形した生地をそのまま焼成したピザ台、焼成したピザ台にソース、チーズ、肉、野菜などの具材を載せたり、或は未焼成のピザ台に上記の具材を載せてから焼成して得られるピザパイを包括し、これらを常温、冷蔵または冷凍で保存するものを対象とする。
【0020】
本発明では、ピザを食感から、口あたりがソフトで歯にまとわりつかない程度の歯切れがあって、口溶けにも優れたソフトタイプのピザ、口あたりがハードで、サクサク感のある歯切れがあって、のどごしのよいハードタイプのピザに大別する。
【0021】
本発明において、単に原料粉という場合は小麦粉と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の2成分を含む言葉として用いる。所望によっては小麦粉の一部をライ麦粉、コーンフラワー、グラハムフラワー、米粉などで置き換えることもできるがその置換量としては5重量%程度以下に抑えておくことが適当である。また、本発明では小麦粉(他の穀粉で一部置換も含む)や膨潤度7〜11以外に加工澱粉よりなる原料粉を使用するケースはあるが、その場合には構成原料を明記した原料粉とする。
【0022】
原料粉が2成分、或は3成分になっても、使用方法自体は変わらず、これら成分を別々に添加、或は予め混合してから添加するなど何れの方法であれ、最終的に生地に含有させればよい。その際用いる小麦粉としては特に制限はなく、通常のピザの製造に用いられているクラスの小麦粉が使用できる。
【0023】
本発明でいう小麦蛋白の膨潤度とは、小麦粉の製パン適性をみるスウェリングパワーの測定法(小麦粉より分離した乾燥前の生グルテンが1/50N乳酸溶液中で膨潤する度合を測定)の1/50N乳酸溶液を使用することを基本とし、測定方法が容易で再現性もよく乾燥した小麦蛋白にも適用できるように改良した方法を用いて測定した値であり、膨潤度の値が高いほど製パン適性が優れているとされている。市販の小麦蛋白では、元の小麦粉の種類などによっても異なるが、膨潤度が14ml程度或はそれ以上の値を示すけれども、本発明にはそれより低い膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を使用する。膨潤度がこの範囲を逸脱すると本発明の目的にそぐわなくなる。
【0024】
かかる膨潤度の小麦蛋白を得るために、例えば小麦粉より分離された小麦蛋白を原料とし、密閉容器中で水分を蒸発させないで加熱する、或は5〜40重量%の含水アルコール溶液中で処理し、アルコールを除去後に凍結乾燥などで粉末化するなどの方法が例示できる。
【0025】
ここに示した膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を得る方法は、本発明で用いる小麦蛋白を製造する上での好ましい態様の一例であり、必ずしもこの条件に拘るものでなく、要は膨潤度が7〜11mlの範囲にあるように加工された小麦蛋白が得られる限り特に限定される訳でない。尚、原料の小麦蛋白としては、小麦粉に水を加えて混捏し、小麦粉中に含まれるグルテンを水和、膨潤させて粘着性でまとまりのある生地をつくり、この生地を水で洗浄して生地中の澱粉や水溶性物質を洗い出した生グルテン、生グルテンをそのまま凍結した冷凍グルテン、或は生グルテンを真空乾燥、フラッシュ乾燥、スプレイ乾燥や凍結乾燥などの方法で乾燥した乾燥小麦蛋白などを用いることができる。
【0026】
尚、本発明における小麦蛋白の膨潤度は以下の方法によって測定された値である。但し、未乾燥の生グルテンの場合は、凍結乾燥し、粉砕したものを試料とする。
【0027】
50ml容のビーカーに小麦蛋白0.3gと1/50N乳酸溶液20mlを投入し、ガラス棒で30秒間攪拌後減圧下で軽く脱泡する。脱泡後の懸濁液を20ml容のメスシリンダー(20mlまでの目盛があり、実際には26ml程度までの溶液を注入することが可能)に移し、1/50N乳酸溶液5ml用いてガラス棒及びビーカーの壁に付着している小麦蛋白をメスシリンダーに洗い流し、そのまま靜置する。靜置30分後にメスシリンダーの口をサランラップで蓋をして3回転倒を繰返した後靜置する。靜置2時間後に沈降した小麦蛋白の容量(ml)を読みとって膨潤度とする。
【0028】
本発明に使用するL−アスコルビン酸は、慣用的にビタミンCとも称せられ、植物、特に野菜や果実に多く含まれている成分で、これを分離・抽出してもよいが、通常は価格の点でD−グルコースから工業的に合成されたものを利用する。
【0029】
本発明で使用する加工澱粉は、天然澱粉に何らかの処理をした澱粉を意味し、具体的にはエーテル化澱粉、エステル化澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉(架橋エーテル化澱粉、架橋エステル化澱粉も包括)、湿熱処理澱粉、乳化剤処理など何らかの処理をした澱粉が挙げられる。これらの加工澱粉の内でも架橋澱粉(架橋エーテル化澱粉や架橋エステル化澱粉も包括)が本発明に最も効果的である。単に未処理の澱粉を使用しても効果が少ない。尚、これ等加工処理の手段や条件は、従来から知られている手段や条件が採用される。
【0030】
加工澱粉に使用する原料としては、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチワキシーコーンスターチ、米澱粉などの天然澱粉が使用できる。
【0031】
レストランや家庭では、原料粉として小麦粉を使用して生地をつくり、オーブンで焼成してそのまま食するケースが一般的で、好みに合わせてピザの食感をソフトにしたり、ハードにしている。ソフトタイプのピザには原料粉として蛋白含量の少ない小麦粉、ハードタイプのピザには原料粉として蛋白含量の多い小麦粉を使用するなど原料粉を選択すること以外に、ソフトタイプのピザには成形したピザシートを2枚重ねで焼成したり、ハードタイプのピザでは焼成温度を高めるなどの方法も行われている。
【0032】
このようにして得られたピザは、出来立て直後は良好な食感を有し、冷蔵、或は冷凍後にオーブンなどで加熱すると、ソフトタイプであれ、ハードタイプであれ、食感にそれなりの復元が認められる。しかし、冷蔵、或は冷凍後に電子レンジで加熱すると食感が一変してしまい、元来のソフトタイプやハードタイプのイメージとはほど遠いものになってしまう。
【0033】
本発明は、膨潤度7〜11mlの小麦蛋白を0.5〜4重量%含有させた原料粉を使用してピザを製造し、得られたピザを冷蔵または冷凍後に電子レンジ加熱しても食感に優れた電子レンジ加熱対応のピザの製造法である。
【0034】
本発明においては、原料粉の構成が少なくとも小麦粉と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の2成分から構成されることを必須条件とする。その際、目的とするピザの種類、使用する小麦粉の種類やピザの製造条件によっても影響をうけるが、原料粉中の膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の含量を0.5〜4重量%の割合とする。さらに、原料粉中の蛋白含量に関してはピザのタイプによって選択するのが好ましく、通常、ソフトタイプのピザには9〜9.5重量%程度の蛋白含量、ハードタイプのピザには10〜10.5重量%程度の蛋白含量とするのが適当である。
【0035】
原料粉中の膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の割合が上記範囲を逸脱すると本発明の効果を発揮し難くなる。例えばピザがハードタイプの場合においては、原料粉中の膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の割合が0.5重量%未満では効果が弱く、4重量%を越えると口当りやのどごしが悪くなる。
【0036】
上記に記載した原料粉を用いてピザを製造することによって、本発明の初期の目的を目的を達成するようになったが、ソフトタイプのピザには上記2成分を含有する原料粉にL−アスコルビン酸を少量添加、ハードタイプのピザには、加工澱粉も併用した3成分からなる原料粉を使用することで本発明をより効果的にすることができる。
【0037】
ソフトタイプのピザの場合には、小麦粉と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の2成分から構成され、該小麦蛋白の含量が0.5〜4重量%である原料粉に対してL−アスコルビン酸を0.001〜0.02重量部添加することで口当りがさらに良くなる。原料粉に対するL−アスコルビン酸の添加量が0.001重量部未満では添加した効果がみられず、0.02重量部を越えても効果に差がみられなくなる。
【0038】
ハードタイプのピザの場合には、小麦粉、加工澱粉、膨潤度7〜11の3成分から構成され、加工澱粉を5〜15重量%、膨潤度7〜11の小麦蛋白0.5〜4重量%含有させた原料粉を使用することで歯切れがさらによくなる。原料粉中の加工澱粉の比率が5重量%未満では加工澱粉を含有させた効果がみられず、15重量%を越えるとのごしが悪くなる。
【0039】
本発明は膨潤度7〜11mlの小麦蛋白0.5〜4重量%を含有させた原料粉を使用することを基本とする電子レンジ加熱に対応するピザの製造法であるが、本発明をより具体的に説明するために、ピザをソフトタイプとハードタイプに分けて、それぞれの製造法の一端を下記に示す。
【0040】
ソフトタイプのピザの場合には、混合機に小麦粉99.5〜96重量部と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白0.5〜4重量部で、蛋白含量を9〜9.5重量%程度の割合にした原料粉、イースト1〜3重量部、ベーキングパウダー及びモルトパウダーのようなアミラーゼ類を適量、胡椒などの香辛料を微量、さらに好ましくはL−アスコルビン酸0.001〜0.02重量部を添加し、水45〜60重量部を投入して混合後、オニオンオイル、サラダオイル、オリーブ油などの液状オイルを7〜13重量部を添加して更に混合し、25〜26℃の温度で1〜2時間発酵させる。必要に応じて食塩や砂糖などの調味料を好みの量添加する。
【0041】
発酵終了後の生地を2mm程度の厚さに延ばし、直径15〜30cm程度の好みの大きさに型抜きして成形し、成形したシートをピザ用の鉄板に載せ、成形シートの上部に薄く白絞油、オリーブ油、或はサラダ油などをスプレイし、同じ大きさの別の成形シートを重ね、さらに皿を重ねて、35〜40℃のホイロに10〜20分間程度入れ、その後180℃に設定していたオーブンで15〜20分程度焼成する。ソース、チーズ、肉、野菜などの具材を載せ、冷蔵または冷凍する。尚、具材を成形したシートに載せ、具材ごとオーブンで焼成する場合もある。
【0042】
ハードタイプのピザの場合には、混合機に小麦粉99.5〜96重量部と膨潤度7〜11mlの小麦蛋白0.5〜4重量部で、蛋白含量を10〜10.5重量%程度の割合にした原料粉、より好ましくは小麦粉、加工澱粉、膨潤度7〜11の小麦蛋白の3成分よりなり、加工澱粉5〜15重量部、膨潤度7〜11の小麦蛋白0.5〜4重量部を含有させた原料粉を100重量部、イースト1〜3重量部、ベーキングパウダー及びモルトパウダーのようなアミラーゼ類を適量、胡椒などの香辛料を微量、水45〜60重量部を投入して混合後、オニオンオイル、サラダオイル、オリーブ油などの液状オイルを7〜13重量部を添加して更に混合し、25〜26℃の温度で1.5〜2.5時間程度発酵させる。発酵終了後、所定の重量に分割し、丸めてピザ用の鉄板に載せ、表面に白絞油、オリーブ油、或はサラダオイルなどをスプレーし、プレッシャーで加圧して所定の厚みと直径を有するように成形する。または、ソフトタイプのピザと同じように成形してもよい。次いで35〜40℃に設定しておいたホイロに20〜40分程度入れてから、上火240℃、下火180℃程度のオーブンで10分程度焼成する。その後、ソース、チーズ、肉、野菜などの具材を載せ、冷蔵または冷凍する。食塩や砂糖などの調味料の添加はソフトタイプのピザと同様にする。
【0043】
上記のような方法で製造された冷蔵または冷凍後のピザを、電子レンジで加熱しても、ソフトタイプでは口あたりがソフトで歯にまとわりつかない程度の歯切れがあって、口溶けにも優れた食感を有するピザ、ハードタイプでは口あたりがハードで、サクサク感があって、のどごしのよいピザとなる。冷蔵、冷凍後のピザの加熱にオーブンが使用できることはいうまでもない。
【0044】
また、具材を載せないピザ台のみを冷蔵、或は冷凍しても同じように優れた電子レンジ耐性を有するものとなる。
以下に参考例、実施例を示し、本発明を更に詳しく説明する。但し、部は重量部、%は重量%を示す。
【0045】
【参考例1】
市販の活性グルテンをメイワパック株式会社製のレトルトパウチに入れ、シールした試料を2点用意し、これらを予め90℃に設定しておいた通風乾燥機に入れて、乾燥して得られた小麦蛋白を試料No.2と試料No.3とし、それらの水分含量、蛋白含量、及び膨潤度を表1に示す。尚、市販の活性グルテンを試料No.1とし、蛋白含量は加工前の活性グルテンの水分差から求めた。
【0046】
【表1】
【0047】
【参考例2】
室温で攪拌下にある表2に示す含水アルコール100部に参考例1で使用した活性グルテンを10部投入し、5分間分散させた後42℃まで昇温した。この温度で10分間攪拌を続けた後直ちに凍結乾燥し、得られた小麦蛋白を試料No.4、試料No.5、試料No.6とし、それらの水分含量、蛋白含量、膨潤度を表2に示す。蛋白含量は参考例1と同じように計算して求めた。
【0048】
【表2】
【0049】
【参考例3】
市販のピザソース75部、TK−16(松谷化学工業製のマルトデキストリン)を20部、パインソフトS(松谷化学工業製の食用澱粉)を4部、食塩1部を混合してピザソースとする。
【0050】
【実験例1】
薄力粉(蛋白含量7.5%の小麦粉)、強力粉(蛋白含量11.0%の小麦粉)、試料No.1〜試料No.6の小麦蛋白(参考例1と参考例2で得られた)からなる原料粉100部とその他の原材料を表3の割合で用いてソフトタイプのピザを製造した。その際、対照例では薄力粉50部と強力粉50部よりなる原料粉(蛋白含量9.25%)、比較例及び実施例では薄力粉80部、強力粉18部と小麦蛋白2部よりなる原料粉(蛋白含量約9.48%)を用いた。
【0051】
ホバートミキサー(ホバート社、カナダ)に原料粉100部とオニオンオイル以外の原材料を表3の割合で投入し、低速3分、高速30秒で混合する。これにオニオンオイル10部を添加し、低速4分、高速8分で混合した。この時の生地の温度は約27℃になっていた。次いで生地を26℃で2時間発酵させ、生地を2mmの厚さに延ばし、直径15cmの円型の抜き型で型抜き(生地重量約50g)して成形したシートをつくり、シートをピザ用の鉄板に載せ、少量のサラダオイルをスプレイし、別のシートを載せ、さらにその上に皿を載せ、35℃のホイロに15分間入れた。ホイロ後のシートを180℃のオーブンで15分間焼成した。焼成後のシートに、参考例3のピザソース、チーズ、野菜、肉を載せてそのまま冷凍する。
【0052】
冷凍10日後に電子レンジ(500W)で45秒間加熱して、下記の基準で評価した食感及び用いた小麦蛋白を表4に記載した。尚、表3のデルトンは、オリエンタン酵母工業製の膨張剤である。
【0053】
<ソフトタイプのピザの評価>
口当り
◎:ソフト感が十分ある ○:ソフト感がある。
△:ソフト感がやや不足 ×:ソフト感が不足
歯ぎれ(歯への付着)
◎:全くない ○:殆どない
△:やや強い ×:非常に強い
口溶け
◎:極めて良好 ○:良好
△:やや悪い ×:悪い
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【実施例2】
実施例1で使用した薄力粉と強力粉及び小麦蛋白からなる原料粉100部とその他の原材料を表5の割合にして、ハードタイプのピザを製造した。その際、対照例では薄力粉20部と強力粉80部よりなる原料粉(蛋白含量10.3%)、比較例及び実施例では薄力粉77部、強力粉20部と小麦蛋白3部よりなる原料粉(蛋白含量約10.23%)を用いた。
【0057】
ホバートミキサーにサラダオイル以外の原材料を表5の割合で投入し、低速3分、高速30秒で混合する。これにサラダオイル10部を添加し、さらに低速4分、高速8分でさらに混合した。この時の生地の温度は約27℃になっていた。次いで生地を26℃で2時間発酵させ、50gに分割・丸め、ベンチタイムを15分とり、表面に白絞油を少量スプレイし、プレスして直径15cmにした成形したシートを得る。ホイロを30分間とり、上火240℃、下火180のオーブンに入れ、10分間焼成後、参考例3のピザソース、チーズ、野菜、肉を載せて冷凍する。
【0058】
冷凍10日後に電子レンジ500Wで45秒間加熱して、下記の基準で評価した食感と用いた小麦蛋白を表6に記載した。
【0059】
口当り
◎:ハード感が十分ある ○:ハード感がある
△:ハード感がやや不足 ×:ハード感がないまたは硬くなりすぎる
歯ぎれ(サクサク感)
◎:非常に強い ○:強い
△:ややある ×:全くないまたは殆ど感じられない
のどごし
◎:非常に良好 ○:良好
△:やや悪い ×:非常に悪い
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【実施例3】
小麦粉及び試料No.3の小麦蛋白(蛋白含量75.24%)を表7の割合にした原料粉、原料粉に対する加水量を表8の割合にした以外、実施例2に準じてハードタイプのピザを製造し、同じように評価した結果を表9に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【実施例4】
小麦粉、試料No.4の小麦蛋白と加工澱粉を表9の割合にした原料粉を用い、原料粉に対する加水量を表10の割合にした以外、実施例2に準じてハードタイプのピザを製造し、同じように評価した結果を表11に示した。尚、加工澱粉としてはパインベークCC(松谷化学工業製の架橋澱粉)を用いた。
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】
【実施例5】
小麦粉、試料No.3の小麦蛋白を表11の割合にした原料粉、原料粉に対する加水量とL−アスコルビン酸を表12の割合にする以外、実施例1に準じてソフトタイプのピザを製造し、同じように評価した結果を表13に示す。
【0069】
【表11】
【0070】
【表12】
【0071】
【実施例6】
実施例5において、焼成したピザを常温で1日放置後又は冷蔵1週間後に電子レンジで加熱して食感を比較したところ、何れの場合も冷凍とほぼ同じような傾向を示した。

Claims (3)

  1. ピザの製造に際し、膨潤度7〜11mlの小麦蛋白0.5〜4重量%を含有する原料粉を用いることを特徴とするピザの製造法。
  2. L−アスコルビン酸を原料粉100重量部に対して0.001〜0.02重量部の割合で含有せしめる請求項1に記載のソフトタイプのピザの製造法。
  3. 原料粉が小麦粉、加工澱粉及び膨潤度7〜11mlの小麦蛋白の三成分から構成され、その原料粉中に加工澱粉5〜15重量%を含有する請求項1に記載のハードタイプのピザの製造法。
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