JP3970488B2 - 情報通信装置および情報通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声メール/電子メール構内交換(PBX) 複合システム(combined voicemail/EMail and private branch exchange (PBX) system)としての情報通信装置、および、電子メールメッセージに対して音声応答を提供する情報通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電話機能を搭載したハンドヘルドコンピューティング装置が実用化されている。これら装置の目的は、モバイルユーザが、嵩高なラップトップコンピュータを携帯しなくても、電子メール(以下、Eメールと略す)の送受信やインフォーメーションサービスへのアクセス等の情報通信を単純な操作にて提供することである。
【0003】
しかしながら、これらの装置は、同等の機能を有するラップトップコンピュータ/携帯電話(セルラフォン)の組み合わせと比べれば非常に小さいにもかかわらず、ほとんどのユーザの要望を満たすには大き過ぎ、したがって市場では普及しなかった。
【0004】
これら初期の装置は、通常のキー配列の(QWERT) キーボードと、携帯電話の基準からすると大きい、大概はLCDといったディスプレイとを備えるため、大きいのも当然である。これら第1世代の装置の開発者たちは、Eメールの送受信という基本的なデータ送受信のサポートの為にはこれらの構成要素が必要であると考えていた。
【0005】
上記の装置が、より広い市場にアピールするためには、上記の装置において、音声メール(voice mail)およびEメールの双方をサポートすること、およびこれら装置が従来の携帯電話とサイズおよび価格において同等であることが必要である。
【0006】
これらの実現は難しく思われるが実際はそうでも無い。第一に、すでに音声操作は実現されている。第二に、モバイルユーザに送信されるEメールは、定位置ユーザに送信されるものとは異なり、大概長さが数センテンスに抑えられていて、添付データが無い。
【0007】
このようにメッセージ構成が相違するのは、英数字ポケットベル等の今日の無線装置が、添付の処理が不可能であり、また、表示サイズが比較的小さいため、一度に表示されるテキストの量が限られており、さらに、そのような表示サイズにおけるスクロール能力もユーザの忍耐力(視認可能な範囲)によって、制限を受けているためである。
【0008】
英数字呼び出し機能を有するデジタル携帯電話〔デジタルセルラ(DC)〕/パーソナルコミュニケーションズシステム(PCS)のオペレータ(通信業者)は、従来のEメール、つまり数百文字程度までの長さのものが、無線ユーザに対してルーティング(送信)されるようにするインフラストラクチャベースのサービスを提供している。多くのハイエンドのDC/PCS音声電話に搭載されている3-4 行の表示画面は、短いテキストメッセージを読むには十分な大きさである。DC/PCS装置のユーザによるEメールメッセージの受信は、既に知られている音声フォンプラットフォームにより支援されていてもよい。
【0009】
問題が起こるのは、メッセージを受信したユーザが上記メッセージに応答したいときである。専用のQWERTキーボードによる入力ではキーボードの占有面積が大きすぎ、また、表示画面上への手書きを読みとらせる方法は煩雑なうえ専用ペンを必要とし、これが紛失しがちであり、その上、音声を認識させる方法は、上記のサイズおよびコストに関する制限があっては設置できない装置を必要とする。
【0010】
有識者たちは、音声メール/Eメールの双方を取り扱う将来の製品が、受信者がテキストベースのEメールを見て、それに対する応答には音声メモを作成するのを可能にする応答メカニズムをサポートするであろうと指摘してきた。音声メモは装置によって取り込まれ、圧縮音声ファイルとして保存され、その後メッセージ発信者へ送信される。これが問題解決法の一つではある。
【0011】
音声関連Eメールの従来技術の大半は、インターネットプロトコル(IP)を使用してのインターネット上での音声送信の分野のものである。これら従来技術は、本明細書に記載された発明と異なり、つまり、IPネットワーク上でのリアルタイムの送信の準備としての音声−データ変換を提供する様々なゲートウェイ(手段)を以下のように開示してきた。
【0012】
多様なCPE [Customer Premises Equipment]装置への通信経路指定のための装置および方法(米国特許No. 5,727,058 to Blumhardt et al., granted March 10, 1998 )では、例えば、音声,ファックス、データ、などの様々な呼出し形態での通信を特定のタイプのCPEにたいしルーティングするための切り替え操作において、データベースを使用することが開示されている。
【0013】
音声メッセージ機能を合わせて有するEメールシステム(米国特許No. 5,717,742 to Hyde-Thomson, granted February 10, 1998)には、統合要約”スクリーン”(consolidated summary "screen" )に音声メールおよびEメールメッセージの提示を行う、1ボックス統合(unified in box)型のシステムが記載されている。
【0014】
モバイルプロセッサとRF(Radio Frequency) 通信可能なEメールシステム(米国特許No. 5,625,670 to Campana et al.)には、全通信リンクの少なくとも一部のためにRF情報移送を使用するEメールシステムが記載されている。
【0015】
多重アプリケーション・パーソナルコミュニケーション装置のユーザインターフェースの方法および装置(米国特許No. 5,619,684 to Goodwin et al., granted April 8, 1997)には、用いた有線や、無線の通信リンクから独立した、間違いのないルック・アンド・フィールを維持するPMC型装置のMMI(マン−マシン・インターフェース)が記載されている。
【0016】
統合通信システムおよびその方法(米国特許No. 5,608,786 to Gordon, granted March 4, 1997)には、インターネットのような中間区間のデータネットワークを使用する1ボックス統合型のシステムが記載されている。
【0017】
音声メッセージ機能を合わせて有するEメールシステム(米国特許No. 5,557,659 to Hyde-Thomson, granted September 17, 1996)には、公衆電話の交換回路網(PSTN)インターフェースからのアナログ音声入力を受け取り、それをテキストフォーマットに変換する、音声メッセージ機能が統合されたEメールシステムが記載されている。
【0018】
メッセージ機能を合わせて有するマルチメディア(米国特許No. 5,479,411 to Klein, granted December 26, 1995)では、テキストベースのEメールを音声メールシステムにルーティングされる音声表現に変換するテキスト−音声変換処理機能を使用している。
【0019】
音声メール機能を合わせて有する音声・情報処理システム(米国特許No. 5,187,735 to Herrero Garcia et al., granted February 16, 1993)には、リアルタイムにて受信した、アナログ音声コールのみを処理するシステムが記載されている。
【0020】
Eメールを使用した2値データファイルの転送(米国特許No. 5,136,291 to Teague, granted April 4, 1992) には、ベース−85の圧縮プロトコルを使用した圧縮方法が記載されている。
【0021】
統合通信機能を持つ通信システム(米国特許No. 4,837,798 to Cohen et al., granted June 6, 1989)には、1ボックス統合型のシステムが記載されているが、それは、使用者が使用される取り込み装置として、電話、端末などのタイプを指定し、それによってサーバが所定の装置に表示されることになっている全メッセージをフォーマットする構成である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の問題解決法は、その問題解決法に反して、昔からのパーソナルコンピュータ(PC)、つまりx486型やそれ以前の装置を使用し続けている全世界の数百万のビジネスユーザ達にとって、それらPCが音声ファイルのプレゼンテーションをおそらく十分サポートしないため、ビジネスシーンでの有効な解決法とはなり得ないであろう。
【0023】
この方法をうまく用いるためには、受信者は応答を再生するためにマルチメディア可能PCにアクセスできなければならない。さらに、職場の一角でPCを使用しているビジネスユーザの多くは、内容の微妙なEメールを近く席の同僚に偶然「漏らしてしまう」のを好まない。
【0024】
上記の問題はどれも、ユーザが不十分なディスプレイのDC/PCS装置、または音声ファイルを再生できないDC/PCS装置でEメールをポーリングする場合、解決され得ない問題である。
【0025】
本発明の目的は、受信したEメールへの、音声による応答が簡便な操作で受信者の音声メールボックスへ送られるようなメカニズムとしての情報通信装置を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、Eメールメッセージに対する応答を世界規模となる通信網を通じて提供する情報通信装置および情報通信方法を提供することである。
【0027】
本発明の更に別の目的は、既存のインフラストラクチャの一部を利用して、Eメールメッセージに対する応答を世界規模の通信網を通じて提供する情報通信装置および情報通信方法を提供することである。
【0028】
本発明の更に別の目的は、既存の通信用のシンクライアント端末(thin client device) であるデジタル携帯電話を利用して、Eメールメッセージに対する応答を世界規模の通信網を通じて提供する情報通信装置および情報通信方法を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報通信装置は、以上の課題を解決するために、通信用のシンクライアント端末にて受信した電子メールメッセージに対する、音声応答信号を含む応答信号を通信網を介して上記電子メールメッセージの送信者に対し送信する情報通信装置であって、上記シンクライアント端末の通信中継点に設けられ、上記音声応答信号を通信網へ送信される音声データファイルに変換するための変換メカニズムと、電子メールおよび上記電子メールに添付された音声データファイルを送受信するための、通信網に接続された電子メールサーバと、上記電子メールサーバに設けられ、前記応答信号である上記電子メールから音声データファイルを識別する識別手段と、上記識別手段から音声データファイルを受け取り、上記音声データファイルを音声ストリームに変換する音声メールインターフェースと、前記応答信号に含まれる前記電子メールメッセージの送信者における、電子メールアドレスおよび音声メールボックスアドレスを互いに対応させるための参照用テーブルと、前記電子メールメッセージの送信者の音声メールボックスに対し、上記音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを送信するための音声メールシステムとを含むことを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、変換メカニズム、識別手段、および音声メールインターフェースを設け、かつ、Eメールサーバにおいて、音声データファイルを受信できるようにし、さらに、上記音声データファイルからの音声ストリームを受信者の音声メールボックスに送る音声メールシステムを含むことにより、Eメールメッセージに対する応答として、音声応答信号を音声データファイルを介し音声ストリームにより通信用のシンクライアント端末から受信者の音声メールボックスに送り、受信者に伝達することができる。
【0031】
その上、上記構成では、変換メカニズムを通信中継点に設けたことにより、上記変換メカニズムをシンクライアント端末に設ける必要がなくなり、よって、シンクライアント端末にて受信したEメールへの応答を音声にて簡便に実現できると共に、上記シンクライアント端末の大型化を回避できる。
【0032】
さらに、上記構成によれば、参照用テーブルを含むことにより、Eメールのアドレスから音声メールボックスアドレスを確実に得ることができるので、音声メールを容易に実行することができる。
【0033】
また、上記構成によれば、受信側に近いEメールサーバに識別手段を設けることにより、音声データファイルを識別して受信者に迅速に、かつ確実に送信することが可能となる。
【0034】
上記情報通信装置では、上記音声データファイルをEメール応答メッセージに添付する添付メカニズムを含むことが望ましい。上記構成によれば、添付メカニズムを含むことにより、既存の通信網を用いて、上記音声データファイルの送信を、迅速化、簡便化および安価にできる。
【0035】
上記情報通信装置では、上記Eメールサーバは、添付された音声メールデータファイルを上記Eメール応答メッセージから分離する分離メカニズムを含むことが望ましい。
【0036】
上記構成によれば、受信側に近いEメールサーバに分離メカニズムを設けることにより、音声データファイルを分離して受信者に迅速に、かつ確実に送信することが可能となる。
【0037】
上記情報通信装置においては、前記電子メールサーバは、音声データファイルの添付された電子メールを受信先のクライアント装置に転送して、受信先の音声メールボックスに音声メールが入っていることを通知するようになっていてもよい。
【0038】
本発明の情報通信方法は、通信用のシンクライアント端末にて受信した電子メールメッセージに応答するための、音声メールメッセージを通信用のシンクライアント端末で作成し、上記音声メールメッセージを上記電子メールメッセージの発信者に対し電子メールシステムを通じて送信する情報通信方法であって、音声メールメッセージを通信中継点に対し無線電話システムを通じて送り、上記音声メールメッセージを通信中継点において音声データファイルに変換し、上記音声データファイルを電子メールと共に上記通信中継点から通信網を通じて送信し、上記音声データファイルおよび上記電子メールを電子メールサーバで受信し、上記音声データファイルを電子メールから分離し、上記音声データファイルを音声ストリームに変え、上記電子メールに含まれる、前記発信者の電子メールアドレスに応じた音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを前記発信者の音声メールボックスに送る、各ステップを含むことを特徴としている。
【0039】
上記方法によれば、音声メールメッセージを無線電話システムを通じて送った後に、上記音声メールメッセージを音声データファイルに変換するので、このような変換を、シンクライアント端末以外の、例えば無線電話システムの中継点にて行うことができることから、シンクライアント端末にて受信したEメールへの応答を音声にて簡便に実現できると共に、上記シンクライアント端末の大型化を回避できる。
【0040】
その上、上記方法によれば、上記音声メッセージをEメールメッセージとして送信することにより、既存のインターネット等の通信網を用いることができて、上記音声メッセージの送信を、迅速化、簡便化および安価にできる。
【0041】
上記情報通信方法では、上記送信において、上記音声データファイルをEメールメッセージの添付物として送信することが好ましい。
【0042】
上記方法によれば、上記音声データファイルをEメールメッセージの添付物として送信することにより、既存のインターネット等の通信網を用いることができて、上記音声データファイルの送信を、迅速化、簡便化および安価にできる。
【0043】
上記情報通信方法では、上記分離において、上記受信者の音声メールボックスアドレスを上記受信者Eメールアドレスから特定するための参照用テーブルを使用することが望ましい。
【0044】
上記方法によれば、参照用テーブルを用いることにより、Eメールのアドレスから音声メールボックスアドレスを確実に得ることができるので、音声メールを容易に実行することができる。
【0045】
上記情報通信方法においては、音声データファイルの添付された電子メールを受信先に転送することにより、受信先の音声メールボックスに音声メールが入っていることを通知するようになっていてもよい。
【0046】
本発明の他の情報通信方法は、音声メッセージを、Eメールメッセージに添付された音声データファイルとしてEメール用やインターネットなどの通信網を通じて送信することを特徴としている。
【0047】
上記方法によれば、音声メッセージを、Eメールメッセージに添付された音声データファイルとして通信網を通じて送信、つまり、音声メッセージを音声データファイルに変換して送信することから、音声メッセージの送信を迅速化および確実化でき、また、既存の通信網を用いることができることから、音声メッセージの送信を簡便に、かつ、安価にできる。
【0048】
上記情報通信方法では、音声メールサーバが上記通信網に接続されていることが望ましい。上記方法によれば、音声データファイルを、迅速に、かつ、確実に、上記通信網を介して音声メールサーバに送信できるので、上記音声データファイルに対応する音声メッセージを、より確実に、かつ迅速に受信者に音声メールサーバを介して送信できる。
【0049】
上記情報通信方法では、上記音声データファイルを上記Eメールメッセージから分離し、上記音声データファイルを音声メールボックスに保存されるよう音声ストリームに変換することが好ましい。
【0050】
上記方法によれば、音声データファイルを上記Eメールメッセージから分離し、上記音声データファイルを音声メールボックスに保存されるよう音声ストリームに変換するので、上記音声ストリームを、より確実に音声メールボックスに保存でき、かつ、任意に、受信者が上記音声メールボックスから呼び出すことを確実化できる。
【0051】
上記情報通信方法では、上記音声データファイルを音声メールボックスに保存されるよう音声ストリームに変換するように設定してもよい。
【0052】
上記方法によれば、音声データファイルを音声メールボックスに保存されるよう音声ストリームに変換するので、上記音声ストリームを、より確実に音声メールボックスに保存でき、かつ、任意に、受信者が上記音声メールボックスから呼び出すことを確実化できる。
【0053】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【0054】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0055】
本発明は、Eメールto音声メールのゲートウェイを有する情報通信装置に関する。また、本発明はインフラストラクチャ/サーバを利用した情報通信装置に関する。ただし、上記情報通信装置におけるシステム全体は、(1)例えばディレクトリの探索など従来の手段によって受信者を選択することによりEメールを発信する/Eメールに応答する、(2)業界標準の方法を用いて暗号化された音声メモを作成する、(3)Eメールメッセージに暗号化された音声メモを添付する(添付メカニズム)、(4)指定の受信者へEメールメッセージを送信する、ということを、ユーザが行えるようにするモバイル可能な、薄型の通信用子機(クライアント装置)の存在を前提としている。
【0056】
さらに、本発明は、受信されたEメールに添付された音声ファイルを識別し音声部分を関連の音声メールボックスに送りこむ、サーバ側のハードウェア/ソフトウェアシステムを利用する情報通信装置に関する。受信者は、既存の音声メールメッセージ操作設備を使用して自分だけでEメールメッセージを任意のときに知ることができる。
【0057】
本発明は、従来から知られているセルラフォン(携帯電話)の小型化というファクターを生かした廉価なシステムとしての情報通信装置および情報通信方法を提供する。実際、多くのセルラフォンや大半のPDA (personal digital assistance)(本明細書中ではそれらを「通信用のシンクライアント端末」と称する)が既に独立型音声メモ機能を提供している。取り込まれた音声を一般的な音声ファイルの各フォーマットのひとつに変換するのに必要な処理電力は小さなものである。これらの操作を行うために必要な各ハードウェア素子のすべてを搭載した携帯型の端末は今日市場に出回っている。
【0058】
本発明の情報通信装置は次のような各構成要素を有している。
【0059】
(1)メール送信のためのメール転送プロトコル(SMTP)、およびメール受信のためのポスト・オフィス・プロトコル Ver.3(POP3)などを有するEメールサーバ、
(2)添付された音声データファイルを複写し、音声ストリームに復号する添付処理メカニズム、
(3)Eメール受信者識別と音声メールボックスアドレスとを互いに対応させるデータベース、および、
(4)音声メールシステムにアクセスし、復号された音声メッセージとしての音声ストリームを所定の音声メールボックスアドレスにロードするハードウェアインターフェース。
【0060】
図1において、参照符号10は本発明の情報通信装置を示す。情報通信装置10は、DC/PCSなどの通信用のシンクライアント端末12を含む。上記シンクライアント端末12は、本発明の目的のために、Eメールメッセージ信号14を、セルラシステム等の無線通信システムにおける中継点に設けられたアンテナ16から受信し、かかるメッセージに対する応答として、受信者からの入力指示にしたがって音声応答信号15をアンテナ16へ送信する。
【0061】
アンテナ16は、中継点に設けられたベーストランシーバ18と接続され、ベーストランシーバ18は、上記中継点に設けられたセルラ処理システム20に接続されている。本発明は最終的には受信者の音声メールボックスに受信されるべきシンクライアント端末12からの音声信号の通信に関するため、図1においては、信号の流れは一方向でのみ示されている。
【0062】
セルラ処理システム20は従来のベース・サイト・コントローラ22、モバイル交換センタ24、および網間接続機能(IWF:Inter-Working Function )26を含み、さらに、音声応答信号15を、識別して後述するインターネット32等の世界規模の通信網へ送信するのに好適な音声データファイルに変換する音声データ変換部(変換メカニズム)21を有している。
【0063】
音声応答信号15は、上記シンクライアント端末12のユーザがシンクライアント端末12の表示画面で見た受信Eメールメッセージに応答して、シンクライアント端末12のユーザより音声メモ機能などを用いて生成され、セルラ処理システム20に送られてくる。Eメールメッセージの応答として音声メッセージが音声応答信号15として送られると、同時に、元の送信者、つまり今度の受信者のEメールアドレスがシンクライアント端末12に通知される。音声応答信号15は、元の送信者へのEメール応答と、上記シンクライアント端末12によって生成された当該Eメール応答への添付データという状態の音声メッセージ応答とを含む。
【0064】
上記セルラ処理システム20は公衆電話交換回路網(PSTN)28に接続され、PSTN28は、例えばインターネットサービスプロバイダ(ISP)30を経由して、インターネット32等のような世界規模の通信網に接続されている。インターネット32は、例えばビジネス目的のEメールサーバ36にサービスを提供する、受信者側のISP34に接続されている。
【0065】
Eメールサーバ36は、Eメールto音声メールゲートウェイ(識別手段)38を備えている。Eメールto音声メールゲートウェイ38は、最終的には受信者の音声メールボックスに届けられるべき、シンクライアント端末12による音声メッセージと、従来のEメールメッセージとを区別し、相互に分離する。
【0066】
特定の目的のEメールto音声メールゲートウェイ38によって、音声データファイルが添付されたEメールメッセージは、音声データファイルを含む部分が、後述するように音声ストリームに変換され受信者の音声メールボックスに送られるよう、特に処理されるようになっている。
【0067】
参照用テーブル40は、Eメールアドレスと、それに対応する音声メールボックスのロケーションとを互いに関連付けるためのデータベースとして設けられている。音声データファイルは、Eメールサーバ36に受信されると、添付されていたEメール応答からEメールto音声メールゲートウェイ38によって分離された後、音声メールインターフェース42によって音声ストリームに変換され、音声メールシステム44、そしてPBX(Private Branch eXchange)46へと送られる。
【0068】
参照用テーブル40は、登録されたEメール同好者のEメールアドレスおよびそれぞれに対応する音声メールボックスアドレスのリストを格納している。これによってEメール応答から分離された音声メールメッセージである音声ストリームの行き先が、上記Eメール応答のEメールアドレスにより定められる。
【0069】
このEメールサーバ36でのハードウェア/ソフトウェアを使用する方法によって、着信したEメール応答に添付された音声メモとしての音声ストリームがそのEメール応答から分離され、Eメール受信者の音声メールボックス50へ送られる。これによって、プライバシーに関する従来の問題が解決される。また、音声メールによる応答も可能とするという応答の多様化により、再生、巻き戻し、高速再生、早送り、など従来の音声メッセージ操作ツールが適用できるようになり、メッセージのユーティリティ(至便性)がさらに向上する。
【0070】
音声ストリームは中央局48、そして受信者の音声メールボックス50へと送られて、そこに保存されている。そこで受信者は他の音声メールメッセージをポーリングするのと同様に、この音声メール応答としての上記音声ストリームも上記音声メールボックス50においてポーリングされて、受信者からの指示により再生される。
【0071】
Eメールサーバ36は、従来のEメールと同様に、音声データファイルの添付されたEメール応答をEメールネットワーク52へと送信し、そしてPC54など通常のEメールのクライアント装置(端末機)へと転送する。Eメール応答の存在が、受信者の音声メールボックスに音声メールが入っていることの通知の一つの手段になっていてもよい。
【0072】
図2を参照して、シンクライアント端末12について更に詳しく記載する。シンクライアント端末12について、本発明を説明するために必要な構成要素のみを図に示す。シンクライアント端末12がEメールメッセージ信号14を受信すると、Eメールメッセージ信号14はPOP3クライアント62、そしてMMI64へとルーティングされ、そこで、表示画面であるディスプレイ60によって表示される。
【0073】
シンクライアント端末12は、キーによるものであれ、音声によるものであれ、ディスプレイ60上に表示されたメニュー画面への指示であれ、何らかのコマンドメカニズムとしての入力部61を有し、表示されたEメールメッセージへの応答信号を入力部61を介して作成するようになっている。
【0074】
本実施例においては、応答信号を、Eメール応答の添付として転送するための.WAVファイル66またはその他の音声ファイルを含む。応答信号はSMTPクライアント68によって取り扱われ、音声応答信号15としてシンクライアント端末12から発信される。.WAVファイル66およびSMTPクライアント68は、Eメール応答に音声応答信号(音声メッセージ)を添付データとして添付する添付メカニズムとしても機能する。
【0075】
実現の観点からすると、本情報通信装置の最重要課題は、Eメールto音声メール変換を可能にする、統合されたEメールto音声メールゲートウェイ38のEメールサーバ36におけるソフトウェア部分の変更と参照用テーブル40機能の実現である。
【0076】
Eメールサーバ36においては、音声メールサーバ44と音声データファイルの内容をやりとりするには特定のアルゴリズムおよび/またはプロトコルが必要である。そのようなアルゴリズムおよび/またはプロトコルを実現するための最小共通標準手法としては、音声メールシステムに対するインターフェース42が、二重トーン多波長(DTMF)信号化機能 (dual tone multi frequency (DTMF) signaling) を有するプレーン・オールド・テレフォン・システム(POTS)(plain old telephone system (POTS)) である場合が挙げられる。
【0077】
この場合、音声メール・インターフェース・ハードウェアは、ほとんどデータアクセス装置 (DAA)(data access arrangement(DAA))のようなもので、Eメールサーバ36に統合されたソフトウェアによって制御されていてもよい。
【0078】
より強力な音声メールシステムであれば、ネットワーク接続の程度が変化しても対応でき、インターフェース・ハードウェア機能が不必要になる。供給 (provisioning) 、コール記録の抽出 (extracting call records)、などの管理目的のIPアクセスを既に備えている音声メールシステムも有る。
【0079】
本発明の情報通信装置および情報通信方法におけるEメールサーバ36は、以下の機能を果たすハードウェアおよびソフトウェアを含むことが好ましい。
(1) 着信Eメールメッセージの到着を監視する。
(2) 埋め込まれた音声メモ成分としての音声データファイルを識別する。
(3) 上記音声メモ成分としての音声データファイルを、音声メールサーバ転送に適したフォーマット、つまり音声ストリームに変換する。
(4) Eメール送信先アドレスを手がかりに音声メールボックス番号を参照用テーブル40に基づいて検索する。
(5) 音声メールサーバ44とのセッションつまり情報通信を開始する。
(6) 変換された音声メモである音声ストリームを音声メールシステムに転送する。
【0080】
このようにEメールサーバ36側に、変換メカニズムとしての主要な機能を備えさせたため、シンクライアント端末12では、機能の設置のための構成を省くことができて、大型化を回避できる。
【0081】
本発明の情報通信装置は、シンクライアント端末により作成され、セルラ等のサービス、インターネット等の世界規模の通信網へと送信される、Eメールメッセージに対する音声応答を提供する情報通信装置であって、(1)音声応答を世界規模の通信網へ送信される音声データファイルに変換するための、セルラサービスと同じ場所に設けられた変換メカニズムと、(2)従来のEメールおよび音声データファイルを受信するための、世界規模の通信網に接続されたEメールサーバと、(3)音声データファイルを識別するEメールto音声メールゲートウェイと、(4)上記Eメールto音声メールゲートウェイから音声データファイルを受け取り、上記音声データファイルを音声ストリームに変換する音声メールインターフェースと、(5)受信者の音声メールボックスを含み、上記音声ストリームを受信者の音声メールボックスへ送るための音声メールシステムとを含むものであってもよい。
【0082】
本発明の情報通信方法は、シンクライアント端末で音声メールメッセージを作成し、上記音声メールメッセージをEメールシステムを通じて送信する情報通信方法であって、(1)音声メールメッセージを無線電話システムを通じて送り、(2)上記音声メールメッセージを音声データファイルに変換し、(3)上記音声データファイルを世界規模の通信網を通じて送信し、(4)上記音声データファイルをEメールサーバで受信し、(5)上記音声データファイルをEメールファイルから分離し、(6)上記音声データファイルを音声ストリームに変え、(7)上記音声ストリームを受信者の音声メールボックスに送るステップを含むものであってもよい。
【0083】
なお、上記では、音声データ変換部21を、セルラホン(携帯電話)の末端中継点であるセルラ処理システム20に設けた例を挙げたが、上記音声データ変換部21は、上記設置位置に特に限定されるものではなく、複数の末端中継点を統括する中央中継点といったセルラ処理システム20からEメールサーバ36に至る間の何れかの中継点に設けてもよい。
【0084】
発明の詳細な説明の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求項の範囲内で、色々と変更して実施することができるものである。
【0085】
【発明の効果】
本発明の情報通信装置は、以上のように、上記シンクライアント端末の通信中継点に設けられ、上記音声応答信号を通信網へ送信される音声データファイルに変換するための変換メカニズムと、電子メールおよび上記電子メールに添付された音声データファイルを送受信するための、通信網に接続された電子メールサーバと、上記電子メールサーバに設けられ、前記応答信号である上記電子メールから音声データファイルを識別する識別手段と、上記識別手段から音声データファイルを受け取り、上記音声データファイルを音声ストリームに変換する音声メールインターフェースと、前記応答信号に含まれる前記電子メールメッセージの送信者における、電子メールアドレスおよび音声メールボックスアドレスを互いに対応させるための参照用テーブルと、前記電子メールメッセージの送信者の音声メールボックスに対し、上記音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを送信するための音声メールシステムとを含む構成である。
【0086】
それゆえ、上記構成は、変換メカニズムを通信中継点に設けたことにより、上記変換メカニズムをシンクライアント端末に設ける必要がなくなり、よって、Eメールへの応答を音声にて簡便に実現できると共に、上記シンクライアント端末の大型化を回避できるという効果を奏する。
【0087】
本発明の情報通信方法は、以上のように、音声メールメッセージを通信中継点に対し無線電話システムを通じて送り、上記音声メールメッセージを通信中継点において音声データファイルに変換し、上記音声データファイルを電子メールと共に上記通信中継点から通信網を通じて送信し、上記音声データファイルおよび上記電子メールを電子メールサーバで受信し、上記音声データファイルを電子メールから分離し、上記音声データファイルを音声ストリームに変え、上記電子メールに含まれる、前記発信者の電子メールアドレスに応じた音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを前記発信者の音声メールボックスに送る、各ステップを含む方法である。
【0088】
それゆえ、上記方法は、音声メールメッセージを無線電話システムを通じて送った後に、上記音声メールメッセージを音声データファイルに変換するので、このような変換を、シンクライアント端末以外の、例えば無線電話システムの中継点にて行うことができることから、シンクライアント端末にて受信したEメールへの応答を音声にて簡便に実現できると共に、上記シンクライアント端末の大型化を回避できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の情報通信装置のブロック図である。
【図2】 上記情報通信装置におけるシンクライアント端末の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
12 シンクライアント端末
20 セルラ処理システム(通信中継点)
21 音声データ変換部(変換メカニズム)
32 インターネット(通信網)
36 Eメールサーバ(電子メールサーバ)
38 Eメールto音声メールゲートウェイ(識別手段)
42 音声メールインターフェース
44 音声メールサーバ(音声メールシステム)
46 PBX(音声メールシステム)
48 中央局(音声メールシステム)
50 音声メールボックス(音声メールシステム)
Claims (8)
- 通信用のシンクライアント端末にて受信した電子メールメッセージに対する、音声応答信号を含む応答信号を通信網を介して上記電子メールメッセージの送信者に対し送信する情報通信装置であって、
上記シンクライアント端末の通信中継点に設けられ、上記音声応答信号を通信網へ送信される音声データファイルに変換するための変換メカニズムと、
電子メールおよび上記電子メールに添付された音声データファイルを送受信するための、通信網に接続された電子メールサーバと、
上記電子メールサーバに設けられ、前記応答信号である上記電子メールから音声データファイルを識別する識別手段と、
上記識別手段から音声データファイルを受け取り、上記音声データファイルを音声ストリームに変換する音声メールインターフェースと、
前記応答信号に含まれる前記電子メールメッセージの送信者における、電子メールアドレスおよび音声メールボックスアドレスを互いに対応させるための参照用テーブルと、
前記電子メールメッセージの送信者の音声メールボックスに対し、上記音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを送信するための音声メールシステムとを含むことを特徴とする情報通信装置。 - 上記音声データファイルを電子メール応答メッセージに添付する添付メカニズムを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報通信装置。
- 上記電子メールサーバは、添付された音声メールデータファイルを上記電子メール応答メッセージから分離する分離メカニズムを含むことを特徴とする請求項2に記載の情報通信装置。
- 通信用のシンクライアント端末にて受信した電子メールメッセージに応答するための、音声メールメッセージを通信用のシンクライアント端末で作成し、上記音声メールメッセージを上記電子メールメッセージの発信者に対し電子メールシステムを通じて送信する情報通信方法であって、
音声メールメッセージを通信中継点に対し無線電話システムを通じて送り、
上記音声メールメッセージを通信中継点において音声データファイルに変換し、
上記音声データファイルを電子メールと共に上記通信中継点から通信網を通じて送信し、
上記音声データファイルおよび上記電子メールを電子メールサーバで受信し、
上記音声データファイルを電子メールから分離し、
上記音声データファイルを音声ストリームに変え、
上記電子メールに含まれる、前記発信者の電子メールアドレスに応じた音声メールボックスアドレスにより上記音声ストリームを前記発信者の音声メールボックスに送る、各ステップを含むことを特徴とする情報通信方法。 - 上記送信において、上記音声データファイルを電子メールの添付物として送信することを特徴とする請求項4に記載の情報通信方法。
- 上記分離において、発信者の音声メールボックスアドレスを発信者の電子メールアドレスから特定するための参照用テーブルを使用することを特徴とする請求項4または5に記載の情報通信方法。
- 前記電子メールサーバは、音声データファイルの添付された電子メールを受信先のクライアント装置に転送して、受信先の音声メールボックスに音声メールが入っていることを通知するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の情報通信装置。
- 音声データファイルの添付された電子メールを受信先に転送することにより、受信先の音声メールボックスに音声メールが入っていることを通知することを特徴とする請求項4ないし6の何れか1項に記載の情報通信方法。
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