JP3969783B2 - 製袋充填包装機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、投下筒体に沿って送られる袋用筒状シートに、投下筒体を通して供給した被包装物を充填しつつ製袋する製袋充填包装機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、被包装物を製袋しつつ包装する縦形製袋充填包装機では、被包装物を投下するための投下筒体と、投下筒体を取り囲む状態で筒状シートを投下筒体の先端側に供給する供給手段と、投下筒体を通じて充填された被包装物を内部に収容した状態で筒状シートを長手方向に隔置した位置で封止する横封止手段とを具備している。筒状シートは、横封止手段で封止されることで袋底部を形成され、充填済みの筒状シートを被包装物の上部で再度、横封止手段で封止することにより、袋包装体を完成させると共に、次の包装のための袋底部を形成している。これら一連の手順を続けることにより、袋の製造、被包装物の充填、及び袋の封止とを連続して行なうことができる。筒状シートの成形は、通常、帯状フィルム等の包装材を製筒フォーマで筒状に成形し、重ね合わせた縦縁部を、内部にヒータを備えた縦ヒートシール手段によって行なわれる。横封止手段としては、縦シールと同様に、内部にヒータを備えた横ヒートシール手段がある。各ヒートシール手段は、発生した熱によって包装材(又は、包装材にラミネートされた溶着層)をヒートシールする。横ヒートシール手段は、カッタを組み込んだ横シール・カッタとすることができる。横シール・カッタを作動させることにより、横シールによって順次完成する包装体をカッタによって筒状シートから切断して個々の包装体に切断することができる。別の横封止手段としては、結束手段が挙げられる。
【0003】
製袋充填包装機で被包装物を包装する場合、横封止手段が、筒状シートと共に被包装物をも噛み込むことがある。例えば、被包装物が特にスナック菓子や細長い棒状物品のようなバラ物品である場合には、被包装物が密の状態で充填されず、袋内部で嵩張った状態となり、被包装物の上端が横封止手段の設置位置よりも下方に下がらないことがある。このような状態では横方向の封止が実行されなかったり、或いは無理に横方向の封止が行なわれると、被包装物が封止部分に挟まり、包装体として不良品となるばかりでなく、横封止手段の損傷、製袋充填包装機の運転中止等の不具合が生じる。
【0004】
そのため、かかる噛み込み現象を防止するため、従来、製袋充填包装機においては、横封止手段に関連してしごき装置が設けられている。例えば、特公平6−76087号公報に開示されたものは、横封止手段を横ヒートシール手段とし、横ヒートシールバーの近傍にヒータ面よりも筒状シート側に張り出して一対のしごき棒を設けておき、底シールが施された筒状シートに被包装物を充填した後、一対のしごき棒を互いの間隔を僅かに残す状態にまで閉じて筒状シートを挟み、その状態で、一対のしごき棒を下方へ移動させて袋上部をしごいており、しごき棒によって筒状シートを挟んだまま下方へ移動させる経路をボックスモーションの経路の一部として与えている。このしごき装置は、横ヒートシール手段が閉じる前に、横シールすべき部分の上方から筒状シートの横シールすべき部分を通過してその下方まで一対のしごき棒によって筒状シートをしごくものである。横ヒートシール手段と同一高さ以上に袋内で堆積する被包装物はしごき落とされ、また、嵩張って充填された被包装物をコンパクトにすることができる。
【0005】
また、別の従来のしごき装置として、横ヒートシール手段それ自体にしごき動作をさせるものがある。このしごき装置を図9及び図10の記載に基づいて説明すると、投下筒体41から繰り出された筒状シート43に投下筒体41に投下して被包装物Aを充填した状態で、横ヒートシール手段50が作動される。横ヒートシール手段50は、筒状シート43の外側に配置された一対の横ヒートシールバー51a,51bから構成されている。横ヒートシール手段50には切断手段が組み込まれている。即ち、横ヒートシールバー51aにカッタ刃52が取り付けられ、横ヒートシールバー51bにカッタ刃52が入り込む溝53が形成されている。
【0006】
図9に示すA−Aの高さで一対の横ヒートシールバー51a,51bが動作を開始して、僅かの隙間58(図10参照)を残す位置まで閉じる。その後、横ヒートシール手段50を、隙間58を保ったままB−Bの高さまで距離Lだけ下降させる。このとき、筒状シート43の繰り出しは適宜のブレーキ手段によって阻止されており、筒状シート43は横ヒートシール手段50の下方移動に引きずられて繰り出されることはない。横ヒートシール手段50がB−Bの高さにまで下降することで、筒状シート43内に充填された被包装物Aの上部空間59が絞られ、また嵩張った状態で充填された被包装物A間の空間を圧縮してコンパクトにすることができる。このときの上部空間59や被包装物A間の空間内の空気等の気体は隙間58を通じて排出される。次に、横ヒートシールバー51a,51bを隙間58を取り上げるように互いに接近させて筒状シート43を挟み込むと共に、横ヒートシールバー51a,51bに通電することにより横方向のヒートシールが施され、更にカッタ52によって筒状シート43から包装体55を切断することができる。次の包装のための必要な筒状シートの繰り出しは、ブレーキ手段の解放後、筒状シート43を挟み込んだ状態での横ヒートシール手段50の下方移動によって行なわれる。なお、横ヒートシール手段50によって筒状シート43を繰り出す方式では、横ヒートシール手段50が筒状シート43を逆送させることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなしごき棒や横ヒートシール手段によって筒状シートを挟んだ状態でしごき棒や横ヒートシール手段を下方移動させるしごき装置は、製袋充填包装機が高速運転する場合にも、ある程度対応できるものであったが、なお、以下に挙げるような解決すべき課題がある。即ち、しごき棒や横ヒートシール手段に上記のような下方移動とその後に元の位置に復帰させる移動(例えば、ボックスモーション)を行なわせる機構は複雑であり、特にしごき棒を別部材として設けるものについては、かかる複雑な機構を横ヒートシール手段との干渉を防ぎつつ狭いスペースに設置することが困難である。また、ある程度の高速運転は可能なものの、機構的に高速運転能力に限界がある。また、包装動作との関係にばらつきが生じてしごき寸法が正確に一定にならない。更に、機械的なボックスモーションのため、包装体の仕様に応じてしごき寸法の設定を柔軟に変更することができない。
【0008】
また、包装体については、昨今の消費者等のニーズによって、多様な形態が求められており、製袋充填包装機についても、袋包装体に求められる多様性に対応できるものが求められている。例えば、袋包装体内部に被包装物以外に空気が占める空間が多い包装体は、包装材を無駄に使用している。また、例えば、麸のような軟らかく壊れやすい被包装物は包装体の内部で動きが生じないように、袋内でタイトに包装されることが望まれている。更に、包装体における被包装物の充填度を向上でき且つ陳列や収納を安定化させる包装体として、底部にガゼットを形成して座りを良くしたガゼット付き包装体が求めらることもある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、製袋充填包装機において、被包装物の充填量に応じて予め定められた筒状シートの送りと、その前後において、包装形態に応じた包装材の補償送りとを分離した段階的な送りを正確に行なうことを可能とする製袋充填包装機を供することである。
【0010】
この発明は、上記の目的を解決するため、以下のように構成されている。即ち、この発明は、被包装物を投下するための投下筒体、筒状シートを前記投下筒体に沿って送り出す送り手段、及び前記投下筒体を通じて投下された前記被包装物を前記筒状シート内に封止した包装体を形成するため前記筒状シートを横方向に封止する横封止手段を具備し、前記送り手段はサーボモータと前記サーボモータによって駆動され且つ前記筒状シートと係合する送り部材とを有し、前記送り手段による前記筒状シートの送り量は、前記被包装物の充填量に応じて予め定められた送り量と、前記包装体の形態に対応するため前記筒状シートの供給長さを補償する補償送り量とから成ることを特徴とする製袋充填包装機に関する。
【0011】
この発明による製袋充填包装機によれば、筒状シートの送りは、サーボモータによって駆動された送り部材が筒状シートと係合することによって行なわれる。サーボモータは、速度や位置の制御に優れているので、筒状シートの送りは精度よく制御される。また、筒状シートの送り量は、被包装物の充填量に応じて予め定められた送り量と、包装体の形態に対応するため筒状シートの供給長さを補償する補償送り量とから成るので、筒状シートは、被包装物を充填するために充填量に応じて予め定められた送り量で送られ、また、その予め定められた送り量とは別に、製袋充填の結果として成形される包装体の形態に対応するために筒状シートの長さを補償する補償送りが行なわれる。補償送りは、予め定められた送り量のための筒状シートの送りの前後いずれか又は両方に行なってよい。
【0012】
この補償送り量は、横封止手段の下方位置に筒状シートに押し当てられるしごき部材が設けられるときには、しごき部材による筒状シートのしごきと当該しごきに伴って発生する筒状シートの余剰分の吸収とを行なうため、被包装物が充填された筒状シートをしごき部材が挟み付けた状態で逆送りする逆送り量である。この製袋充填包装機によって形成される包装体は、被包装物の充填度を高くし、且つ包装体内において被包装物の上部に残す空間を少なくしたタイトな包装体である。
【0013】
この製袋充填包装機によれば、横封止手段による筒状シートの横封止に先立って、しごき部材が筒状シート内に充填された被包装物の上部と横封止すべき部分との間で筒状シートに押し当てられ、筒状シートはその状態で逆送りされる。その結果、充填された筒状シートはしごき部材によってしごかれることになり、被包装物が袋の下部に移動させられて、袋内での被包装物の上部の空間が減少すると共に袋内での充填度が高められ、更に横封止されるべき筒状シートの部分はしごき部材によってしごかれた部分となって被包装物が存在しないので、横封止手段が被包装物を噛み込むことがない。しごきによって生じた、余剰分の筒状シートは、送り手段の逆回転によって回収されて次の包装サイクルに供されるので、包装体当たりに使用する包装材の節約になる。しごき動作は、筒状シートが逆送りされることにより行なわれるので、従来の製袋充填機のようにしごき部材にボックスモーション等の動きを与える複雑な機構を設ける必要がない。
【0014】
また、この補償送り量は、横封止手段の上方位置に筒状シートを側方から折り込む折込み部材が設けらるときには、筒状シートが側方から折り込まれるときの筒状シートの緊張を緩和するため、折り込み部材による筒状シートへの折込みに応じて筒状シートを順送りする順送り量である。この製袋充填包装機によって成形すべき包装体は、底部にいわゆるガゼットが折り込まれて、座りの良い角底タイプの包装体である。角底を形成するため、投下筒体から送り出された筒状シートに側方より折り込み部材が押し込まれる。この状態では、先行してサイクルで充填済みの筒状シートが横封止手段によって封止されているので、筒状シートはその横封止手段によって位置が固定されている。折込み部材が筒状シートに押し込まれると、筒状シートは緊張した状態となり、皺の原因となることがある。この製袋充填包装機によれば、折込み部材が筒状シートに押し込まれるときに、送り手段が補償送り量を順送りとして送るので、筒状シートの緊張が緩和され、皺が形成されることがない。
【0015】
また、この製袋充填包装機において、送り部材は、投下筒体との間で筒状シートを挟み且つ前記サーボモータによって駆動される送りベルト又は送りローラである。充填筒との間に筒状シートを挟持するベルトで筒状シートの送りをするので、完成する包装体に近いところで筒状シートの供給を制御することになり、筒状シートの伸びの影響を可及的に少なくすることができる。このような送り部材であると、順方向の供給ばかりでなく逆方向の供給も同じ送り部材によって容易に行なうことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、この発明の実施例を説明する。図1はこの発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図である。図1に示す製袋充填包装機は、被包装物Aを投下するための投下筒体1を縦に配置したものであり、被包装物Aは、上方から投下筒体1の内部を通じて投下されて筒状シート23内に充填される。投下筒体1の上部において、投下筒体1の外周を取り巻くように設けられている製筒フォーマ2は、ウェブ状包装材22を筒状に成形するためのものである。ウェブ状包装材22は、後述する送り手段によって引き出されて製筒フォーマ2を通過するときに筒状に曲げられ、製筒フォーマ2と投下筒体1との間の隙間から投下筒体1の外周面上を投下筒体1に沿って下方へ送り出される。
【0017】
筒状に折り曲げられたウェブ状包装材22は、投下筒体1に沿って送られるときに縦封止手段である縦ヒートシール手段3によって筒状シート23に成形される。縦ヒートシール手段3は、投下筒体1の側方に投下筒体1に沿って平行に延びるように設けられている。縦ヒートシール手段3は、内部にヒータを備えると共に互いに接離可能な縦ヒートシールバー4a,4bから構成されており、筒状に曲げられたウェブ状包装材22の互いに重なる長手方向の縁部を挟み付けたときに両縁部を熱溶着する。ウェブ状包装材2は、縦シール部分24を有する筒状シート23となって、投下筒体1の先端から送りだされる。
【0018】
筒状シート23を充填位置へ供給する送り手段5が、投下筒体1の側方において、投下筒体1の周方向に縦ヒートシール手段3とは直角方向に隔置した位置に設けられている。送り手段5は、図1では、一方のみが描かれているが、投下筒体1の直径方向の反対位置にも同様の送り手段5が設けられており、筒状シート23を両側から投下筒体1に対して挟み付けている。各送り手段5は、同期して駆動され、投下筒体1に沿って筒状シート23の繰り出しと繰り戻しを行なう。
【0019】
各送り手段5は、サーボモータ6と、サーボモータ6によって駆動される駆動側プーリ7と、駆動側プーリ7と対に設けられた従動側プーリ8と、駆動側プーリ7及び従動側プーリ8とに巻き掛けられたタイミングベルト9とを有している。サーボモータ6としては、任意のタイミングで作動可能であり、応答性が良好で、且つ精度良く送り量を制御(1mm単位で制御可能)可能なパルスモータが採用される。タイミングベルト9は、駆動側プーリ7及び従動側プーリ8との滑りをなくすために内側に各プーリと噛み合う噛み合い歯を有するベルトであり、タイミングベルト9の外側は、筒状シート23を投下筒体1上に滑らせて走行させるため、筒状シート23に対して大きな摩擦力を生じる材料で形成されている。送り手段5は、筒状シート23を間に挟み付けるように、全体が適宜の手段で投下筒体1に向かって押し付けられている。
【0020】
ウェッブ状包装材22は、包装材ロール21から、案内ローラ15,16,17の周りを誘導されて、ダンサーローラ18から更に案内ローラ20を経て製筒フォーマ2に送られる。ダンサーローラ18は、両端を機枠(図示せず)に形成されたガイド溝19に案内されて上下方向に移動可能であり、ウェブ状包装材22に生じる弛みを吸収すると共に、ダンサーローラに加わる重力によってウェブ状包装材に適度の張力を与えている。送り手段5が作動すると、ウェブ状包装材22は包装材ロール21から繰り出されて製筒フォーマ2を通過させるのに充分な力で引っ張っられる。なお、ウェブ状包装材22の供給途中にマーカの判別センサ等の各種センサを配置して、ウェブ状包装材22の送り制御を行なうことが可能である。
【0021】
投下筒体1の先端に繰り出された筒状シート23は、通常、先行する包装サイクルにおいて横方向の封止が施されているので、袋の底部となるべき部分が既に形成されている。この状態で先行して形成された横ヒートシール部分26との間に一包装体の長さ、即ち、充填量に応じて予め定められた送り量だけ、送り手段5によって筒状シート23が順方向に送られる。筒状シート23のこの送りに合わせて、投下筒体1を通じて被包装物Aを充填すると、被包装物Aは底部が形成されている筒状シート23内に堆積する。
【0022】
投下筒体1の下方には、横封止手段としての横ヒートシール手段10が設けられている。横ヒートシール手段10は、対向して配置された一対の横ヒートシールバー11a,11bから成る。横ヒートシールバー11a,11bは、内部にヒータを備えており、且つ互いに同期して接近又は離間するように往復動可能である。横ヒートシールバー11a,11bが筒状シート23を挟みつけると、筒状シート23は互いに溶着されて横ヒートシール部分26が形成され、被包装物Aが内部に収容された袋包装体25が形成される。横方向の封止とタンミングを合わせて、筒状に曲げられたウェブ状包装材22に対して上記した縦ヒートシールが施され、次の包装サイクルの準備が行なわれる。横ヒートシール手段10には、カッター12が内蔵されており、横ヒートシールとタイミングを合わせてカッター12によって包装体25が筒状シート23から切断される。
【0023】
横ヒートシール手段10の直下には、しごき部材13が配置されている。しごき手段13は、一対のしごき板14a,14bから成り、筒状シート23に対して接離可能である。しごき板14a,14bの作動機構は、横ヒートシール手段10の作動機構とは独立した機構として構成することもでき、また、横ヒートシール手段10の作動機構に付設する形で連動させてもよい。しごき板14a,14bは、横ヒートシール手段10が非作動状態、即ち、一対の横ヒートシールバー11a,11bが開いている状態で、筒状シート23を完全に平らに潰してしまわないようにわずかの間隙28(図4参照)を残して閉じ、包装体側の内部の空気が間隙28を通じて筒状シート23の上部へ逃げることを許容する。しごき部材13のしごき作動によって、包装物Aが成形途中の包装体25の下部に移動させられて、包装体25において被包装物Aの上部空間39が減少すると共に被包装物A間の空間が減少し、袋内での充填度が高められる。更に横ヒートシールされるべき筒状シート23の部分には被包装物Aが存在しないので、横ヒートシールバー11a,11bが被包装物Aを噛み込むことがない。
【0024】
図2〜図5は、図1に示す製袋充填包装機の作動状態を説明する要部の説明図である。図2〜図5の記載に基づいてしごき部材13の作動を説明する。図2は、先の包装サイクルが終了した状態を表している。横ヒートシール手段10及びしごき部材13は後退した非作動位置にある。筒状シート23の先端は横ヒートシール部分26となっており、袋の底シール部分が既に形成されているので、この状態で非包装物Aが投下筒体1を通じて充填される。図3は、送り手段5の順方向供給(正転供給)によって、被包装物Aが筒状シート23内に充填された状態で筒状シート23が繰り出される。図2から図3までの筒状シート23の送り量は、被包装物Aの充填量に応じて予め定められた送り量である。図3の状態で、しごき動作が開始される。なお、図2に示すように、しごき板14a,14bの下部にはリミットスイッチ27(スイッチ27aとその作動子27b)が設けられており、所定の隙間28にまでしごき板14a,14bが接近するとリミットスイッチ27がONとなって信号を出力するように構成されている。リミットスイッチ27については、図3〜図5においては煩雑さを避けるために記載を省略してある。図4は、図3の次の動作として、しごき部材13によるしごき動作が行なわれた状態を示している。しごき部材13は、しごき板14a,14bが前進し且つリミットスイッチ27がONとなった作動位置にあり、サーボモータ6が逆回転している。図5は、しごき動作が終了した状態を示している。横ヒートシール手段10による横ヒートシール部分の形成に合わせて、カッタ12によって包装体25が筒状シート23から切断される。その後、横ヒートシールバー11a,11bは、しごき板14a,14bと同期して又はしごき板14a,14bが後退した後に待機位置に戻り、包装体25が取り出される。
【0025】
この製袋充填包装機の作動を図6に示すしごきルーチンを参照して説明する。(1)まず、制御ルーチンが開始されて、しごき部材13、横ヒートシール手段10及び送り手段5が非作動状態にあるとき(図2に示す状態)に、投下筒体1を通じて被包装物Aが投下され、筒状シート23内に被包装物Aが充填される(ステップ1、S1と略す。以下同じ)。
(2)送り手段5のサーボモータ6が正回転して筒状シート23を繰り出す(S2)。
(3)筒状シート23を一包装体の長さに相当するだけ繰り出すとサーボモータ6が停止する(図3に示す状態。S3)。
(4)しごき部材13、即ち、一対のしごき板14a,14bが、作動位置、即ち、筒状シート23を挟み込む方向に移動を開始する(S4)。
(5)リミットスイッチ27が作動したか否かを判断する(S5)。即ち、しごき板14a,14bが筒状シート23を完全に潰すことなく所定の位置まで前進し、わずかの間隙28を残して筒状シート23を挟み付ける位置に移行したか否かを判断する。
(6)リミットスイッチ27がONとなると、しごき板14a,14bが所定の位置に到達していることを意味するので、サーボモータ6が逆回転運転されてしごき動作が実行される(図4に示す状態。S6)。一対のしごき板14a,14b間のわずかの間隙を通して筒状シート23のみが引き戻され、被包装物Aはしごき板14a,14bに抑えられてしごき板14a,14bの下方に押さえ込まれる。
(7)しごき動作をさせる行程、即ち、サーボモータ6による筒状シート23の逆送り量は、送り手段5によって送り出した筒状シート23の繰り出し量と、充填すべき被包装物の量とから、予め定められており、所定の逆送りが行なわれた時点で、サーボモータ6の逆回転が停止する(S7)。
(8)しごき板14a,14bが作動位置にある状態で、横ヒートシール手段10が作動し、包装体25の上部ヒートシールを形成する(図5に示す状態。S8)。
(9)横ヒートシール手段10による包装体25の上部ヒートシールが施されると、しごき板14a,14bがその非作動位置に復帰する(S9)。以下、メインルーチンへ戻り、次の包装体の製作のための準備が行なわれる。
(10)リミットスイッチ27が作動せず、OFFの状態のままであると、筒状シート23の隙間28内に被包装物Aが挟まっていると判断されて、S9のステップに移行し、しごき動作を中止させるべく、しごき板14a,14bを非作動位置に復帰させる。
【0026】
したがって、筒状シート23内の空気等の気体成分は筒状シート23の上方に逃げて被包装物A以外の気体の占める空間が減少し、被包装物Aの充填度が高められたタイトな包装体27を形成することができる。送り手段5による補償送り量は、このタイトな包装体25を作成する例では、包装体25内の被包装物Aの上部に空気等が占める空間を極力減少させる量として定められる。なお、筒状シート23を逆送りすると、筒状に折り曲げられたウェブ状包装材22は、比較的硬い包装材の場合には製筒フォーマ2から上方に突き出すように戻り(図1に想像線35で示す状態を参照)、比較的軟らかい包装材の場合には、製筒フォーマ2を滑らかに戻ってダンサーローラ18が下降する(図1に想像線36で示す状態を参照)ことによって吸収される。しごきによって生じた、余剰分の筒状シートは、送り手段5による逆送りによって戻されているだけであるので、次の包装サイクルにおける包装材の一部に用いられる。
【0027】
S8において、横ヒートシールされるべき筒状シート23の部分はしごき板14a,14bによってしごかれた部分であって被包装物Aが存在しないので、横ヒートシール手段10が被包装物Aを噛み込むことがない。しごき板14a,14bがしごき作動位置にあるので、完成直前の包装体25の上部が横に広がることがなく、筒状シート23内に被包装物Aがタイトに詰められた状態が維持されている。この状態では、平たく潰された筒状シート23がヒートシールされることになるので、横ヒートシール手段10は作動が確実になる。
【0028】
図7及び図8には、筒状シート23の補償送りを別の態様で行なう例が示されている。即ち、図7には、この発明による補償送りを行なう製袋充填包装機の別の実施例の要部が示されており、図8には、図7に示す製袋充填包装機によって形成される、袋の底部が折り込まれたガゼット折り込み部34を有する座りの良いガゼット付き(角底)包装体31が示されている。筒状シート23を側方から折り込むために、折り込み部材としての左右一対のガゼット折り込み部材29が設けられている。ガゼット折り込み部材29は、先端が三角形状に尖っており、且つ横ヒートシール手段10の上側直近に筒状シート23に押し込むように進退可能に設けられた一対のガゼット折り込み具30a,30bから成っている。ガゼット折り込み具30a,30bを筒状シート23に押し込んだ状態で横ヒートシール手段10の横ヒートシールバー11a(11b)によって筒状シート23を挟み込んで横シールを施すと、ガゼットの折り込みが入れられた袋底部が形成される。なお、筒状シート23には、縦ヒートシール手段3及び横ヒートシール手段10によって、縦ヒートシール部分24及び横ヒートシール部分26と同様な縦ヒートシール部分32、横ヒートシール部分33が形成されている。
【0029】
ガゼット折り込みに伴って筒状シート23は引っ張り状態になって袋に皺や傷が発生することがあるが、この製袋充填包装機においては、ガゼット折り込み具30a,30bが筒状シート23に押し込まれるのに同期して、送り手段5のサーボモータ6を正回転させ、筒状シート23を順送りする。したがって、ガゼット折り込みに伴って筒状シート23が引っ張り状態になることがなく、包装体が不良品となることがない。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成されているので、次のような効果を奏する。即ち、この発明による製袋充填包装機は、被包装物の充填量に応じた筒状シートの送りと、その前後において、包装体の形態に対応するため筒状シートの補償送りとをサーボモータで行なうことによって、包装体の形態に対応して筒状シートを正確に順又は逆に送ることが可能になる。この発明による製袋充填包装機によれば、充填済みの筒状シートをしごく場合には、しごき部材を作動位置に保持した状態で筒状シートを補償送りとして逆送りさせることによって、簡単にタイトな包装体を形成することができる。この場合、しごき部材にボックスモーションを行なわせる必要がなく、サーボモータを電気・電子的に制御するだけでよいので高速運転が可能である。また、しごきのための機構が簡略になり、横封止手段やカッタ手段等の他の機構との干渉を招くことがない。更に、サーボモータの作動は正確に制御できるため、補償送り、即ち、しごき寸法が一定になり、包装体の仕様に応じてしごき寸法の設定を柔軟に変更することもできる。
【0031】
また、包装体における被包装物の充填度を向上でき且つ陳列や収納を安定化させることができるガゼット付き包装体の形成についても、充填前に筒状シートを折り込んで底部にガゼットを形成する折り込み動作時にタイミングを合わせて、筒状シートを順送りさせることによって、折り込み成形時の筒状シートの引っ張り状態を回避し、皺や傷のないガゼット付き包装体を成形することができる。このように、一つの製袋充填包装機において、製造する包装体の形態がしごき包装体又はガゼット包装体のような形態、或いはその両方の形態であっても、サーボモータの出力回転量として、順送り量或いは逆送り量として補償送り量を設定することで、それらのどの包装体形態にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示された製袋充填包装機を用いたしごき動作を伴う包装工程の当初の状態を示す説明図である。
【図3】図2に続いて被包装物を充填した状態の筒状シートを充填量に応じて予め定められた送り量だけ送った状態を示す説明図である。
【図4】図3に続いてしごき動作を行なっている状態を示す説明図である。
【図5】図4に続いて横ヒートシール動作をしている状態を示す説明図である。
【図6】図1に示す製袋充填包装機における、しごき工程を含む包装工程を示すフローチャートである。
【図7】この発明による製袋充填包装機の別の実施例を示す正面面である。
【図8】図7に示された製袋充填包装機で形成される包装体の斜視図である。
【図9】従来の製袋充填機におけるしごき動作開始前の状態を説明する部分側面図である。
【図10】図9に示された製袋充填包装機におけるしごき動作が完了した状態を説明する部分側面図である。
【符号の説明】
1 投下筒体
2 製筒フォーマ
3 縦ヒートシール手段
4a,4b 縦ヒートシールバー
5 送り手段
6 サーボモータ
9 送りベルト(タンミングベルト)
10 横ヒートシール手段
11a,11b 横ヒートシールバー
12 カッタ
13 しごき部材
14a,14b しごき板
18 ダンサーローラ
22 ウェブ状包装材
23 筒状シート
25 包装体(タイト包装体)
27 リミットスイッチ
29 ガゼット折り込み部材
30a,30b ガゼット折り込み具
31 包装体(ガゼット付き包装体)
34 ガゼット折り込み部
Claims (2)
- 被包装物を投下するための投下筒体、筒状シートを前記投下筒体に沿って送り出す送り手段、及び前記投下筒体を通じて投下された前記被包装物を前記筒状シート内に封止した包装体を形成するため前記筒状シートを横方向に封止する横封止手段を具備し、前記送り手段はサーボモータと前記サーボモータによって駆動され且つ前記筒状シートと係合する送り部材とを有し、前記送り手段による前記筒状シートの送り量は、前記被包装物の充填量に応じて予め定められた送り量と、前記包装体の形態に対応するため前記筒状シートの供給長さを補償する補償送り量とから成り、
前記補償送り量は、前記横封止手段の下方位置に前記筒状シートに押し当てられるしごき部材が設けられるときに、前記しごき部材による前記筒状シートのしごきと前記しごきに伴って発生する前記筒状シートの余剰分の吸収とを行なうため、前記被包装物が充填された前記筒状シートを前記しごき部材が挟み付けた状態で逆送りする逆送り量と、前記横封止手段の上方位置に前記筒状シートを側方からガゼットを折り込む折込み部材が設けられるときに、前記筒状シートが側方からガゼットを折り込まれるときの前記筒状シートの緊張を緩和するため、前記折り込み部材による前記筒状シートへの折込みに応じて前記筒状シートを順送りする順送り量とを、前記サーボモータの制御された出力回転量としていずれをも設定可能であることを特徴とする製袋充填包装機。 - 前記送り部材は、前記投下筒体との間で前記筒状シートを挟み且つ前記サーボモータによって駆動される送りベルト又は送りローラであることから成る請求項1に記載の製袋充填包装機。
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