JP3839713B2 - 平面ディスプレイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電界放出型電子放出源から放出された電子を蛍光体に衝突させて発光させる平面ディスプレイとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、FED(Field Emission Display)や平型蛍光表示管のような、陰極となる電子放出源から放出された電子を対向電極に形成された蛍光体からなる発光部に衝突させて発光させるフラットパネル(平面)ディスプレイにおいて、電子放出源にカーボンナノチューブを用いたものがいろいろと提案されている。このようなカーボンナノチューブを電子放出源とする平面ディスプレイの1つとして、基板上に形成した陰極配線層の上にカーボンナノチューブを含むペーストを印刷して陰極としたものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンナノチューブを含むペーストを印刷して陰極を形成する従来の平面ディスプレイでは、印刷で形成される陰極ごとの厚さがばらついたり、表面にうねりが生じて陰極が平坦とならないといった問題があった。このため、平行電界を作用させて電界電子放出を得ようとすると、陰極間や陰極面内において電界が均一に印加されずに電子の放出量が不均一となり、輝度むらの原因となっていた。また、局部的な電子放出が生じて電子放出量が不安定となり、輝度変動の生じる原因となっていた。
この発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、カーボンナノチューブを含むペーストの印刷によって陰極を形成する平面ディスプレイにおいて、輝度むらのない一様で安定した輝度を実現することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明に係る平面ディスプレイは、少なくとも一部が透光性を有するフロントガラスとこのフロントガラスに対向配置された基板とを含みかつ内部が真空排気された外囲器と、この外囲器内の基板上に配置された陰極と、この陰極から離間して配置されたゲート電極と、フロントガラスの基板との対向面上に積層配置された陽極および蛍光体層とを備えた平面ディスプレイにおいて、この発明は、陰極が基板面に配置されたメッシュ状の金属部材と、この金属部材のメッシュ状開口部内に充填されたカーボンナノチューブを含む充填材とからなることによって特徴づけられる。
【0005】
前述した平面ディスプレイの一構成例は、ゲート電極が金属部材上に載置された絶縁スペーサに支持されている。また、前述した平面ディスプレイの別の構成例は、陰極が帯状で互いに平行に複数配置されており、ゲート電極が帯状で陰極の配置方向と直交する方向に複数配置されている。これらの場合、ゲート電極は、絶縁スペーサの頂部に配置した導電膜で構成してもよいし、メッシュ状開口部内に充填されたカーボンナノチューブを含む充填材の上方に配置され、絶縁スペーサで支持されたメッシュ状の金属部材で構成してもよい。
【0006】
また、本発明にかかる平面ディスプレイの製造方法は、前述した平面ディスプレイの製造方法において、陰極の形成工程が、基板面にメッシュ状の金属部材を密着配置する工程と、この金属部材のメッシュ状開口部内にカーボンナノチューブを含む充填材を充填する工程とを有することによって特徴づけられる。この場合、陰極の形成工程の一構成例は、金属部材のメッシュ状開口部内にカーボンナノチューブを含む充填材を充填する工程において、金属部材上にメッシュ状開口部に対応する印刷パターンを有する印刷スクリーンを密着させた状態でカーボンナノチューブを含む充填材を印刷する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いて本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかる平面ディスプレイは、平面視略矩形のガラス基板と、このガラス基板に対向配置される平面視略矩形の透明なフロントガラスと、これらの周縁部に配置された枠状のスペーサガラスとからなる外囲器を有する。この場合、ガラス基板とフロントガラスは、周縁部において枠状のスペーサガラスを介して対向配置され、低融点のフリットガラスでそれぞれスペーサガラスに接着されて外囲器を構成しており、外囲器は10-5Pa台の真空度に保持されている。ここで、外囲器を構成するガラス基板、フロントガラス及びスペーサガラスは、低アルカリソーダガラスを用いており、ガラス基板とフロントガラスは厚さ1〜2mmの板ガラスを使用している。
【0008】
図1は本発明の実施の形態にかかる平面ディスプレイを示す構成図であり、同図において(a)は画素の構成を示す部分斜視断面図、(b)は陰極の詳細を示す拡大断面図である。また、図2は電極の構成を示す部分断面図であり、図1の矢印Aの示す方向から見た図である。これらの図において、ガラス基板101の一方の面に複数の基板リブ102が互いに平行に所定間隔で垂設されており、ガラス基板101上の基板リブ102に挟まれた領域に陰極110が基板リブ102と同じ高さで帯状に配置されている。基板リブ102は、低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまでガラス基板101上に繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成した矩形断面の絶縁体で構成されている。
【0009】
また、陰極110は、メッシュ状金属部材111と、メッシュ状金属部材111のメッシュ状開口部内に形成された電子放出部112とから構成されている。電子放出部112は、図1(b)に示すように、メッシュ状開口部内及びメッシュ状開口部間での厚さがほぼ均一で、かつ表面がメッシュ状開口部から突出しないように形成されている。電子放出部112とゲート電極となる導電膜121との間隔を絶縁スペーサ120の厚さのみで規定できるようにするため、基板リブ102の高さは、メッシュ状金属部材111と同じか又は低く構成されている。なお、基板リブ102の高さは、隣接するメッシュ状金属部材111間で放電が発生するのを防止するため、メッシュ状金属部材111と同じか低くとも0.05mm低い程度とすることが望ましい。この実施の形態では、幅を0.05mmとし、前述したように、メッシュ状金属部材111と基板リブ102の高さが等しくなるように構成している。また、基板リブ102間を1〜2mmピッチとしている。
【0010】
また、ガラス基板101に対向して配置される透明なフロントガラス103のガラス基板101に対向する面には、基板リブ102および陰極110と直交する方向に所定間隔で複数の前面リブ104が垂設されている。フロントガラス103の前面リブ104に挟まれた領域には蛍光体膜105B,105G,105Rが帯状に配置されており、これらの蛍光体膜のガラス基板101に対向する面には陽極となるメタルバック膜106が形成されている。前面リブ104は、低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまでフロントガラス103内面の所定位置に繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成した矩形断面の絶縁体で構成されている。
【0011】
蛍光体膜105B,105G,105Rは、所定の発光色を有する蛍光体で構成されており、フロントガラス103の内面に各色の蛍光体ペーストをストライプ状にスクリーン印刷した後、焼成して蛍光体膜に形成したものである。この場合、蛍光体膜には、赤(R)に用いる赤色発光蛍光体を用いた赤色発光蛍光体膜105R、緑(G)に用いる緑色発光蛍光体を用いた緑色発光蛍光体膜105G及び青(B)に用いる青色発光蛍光体を用いた青色発光蛍光体膜105Bがあり、これらの蛍光体膜は前面リブ104に挟まれて、赤色発光蛍光体膜105R、緑色発光蛍光体膜105G、青色発光蛍光体膜105Bの順番で所定数が配置されている。
【0012】
赤(R)、緑(G)、青(B)に用いる各蛍光体膜105R,105G,105Bにはブラウン管等で一般的に使用されている、4〜10KVの高電圧で加速した電子を衝突させることで発光する周知の酸化物蛍光体や硫化物蛍光体を用いることができる。ここでは、カラー表示用に赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を発光するため3種類の蛍光体膜を用いたが、これに限られるものではなく、モノクロ表示用に1種類の蛍光体膜を用いるようにしてもよい。メタルバック膜106は、厚さ0.1μm程度のアルミニウム薄膜から構成されており、周知の蒸着法を用いて蛍光体膜の表面に形成される。
【0013】
また、ガラス基板101上の基板リブ102および陰極110とフロントガラス103の前面リブ104との間には断面矩形の絶縁スペーサ120が設けられている。絶縁スペーサ120は、電子通過用のスリットを所定ピッチで設けた厚さ0.3mmのアルミナ基板で構成されており、スリットの開口はレーザ光を使用している。なお、絶縁スペーサ120は、アルミナ基板に限られるものではなく、他のセラミック基板やガラス基板を用いてもよい。また、絶縁スペーサ120の厚さやスリット幅を必要に応じて変えてよいことは言うまでもない。絶縁スペーサ120は、前面リブ104と1対1に対応し、かつ対応する前面リブ104と中心線が一致するように配置されている。
【0014】
この絶縁スペーサ120は、前面リブ104とメッシュ状金属部材111に挟まれており、大気圧により押しつけられて固定されている。また、この絶縁スペーサ120は、前面リブ104よりも広い幅を有し、前面リブ104を介してフロントガラス103を支持するとともにゲート電極121を陰極110から離間して支持するものである。本実施の形態においては、前面リブ104の端面よりも広く構成された絶縁スペーサ120の前面リブ104と接する面上の前面リブ104が接する領域の外側に、帯状のゲート電極121が形成されている。
【0015】
この場合、前面リブ104は、ゲート電極121とメタルバック膜106の間が2.0〜4.0mmとなる高さを有するように形成され、リブ間隔は基板リブ102と同じピッチに設定されている。なお、前面リブ104は、これに限られるものではなく、前面リブ104の幅は隣接するメタルバック膜106間やゲート電極121間で絶縁破壊が起こらず、かつ大気圧を支えられる程度であればよく、高さはメタルバック膜106に印加する陽極電圧に合わせて変更してもよい。また、リブ間隔も必要に応じて変更してもよい。
【0016】
ゲート電極121は、絶縁スペーサ120の前面リブ104と接する面の前面リブ104が接する領域の外側に配置された帯状の導電膜から構成されている。この導電膜は、絶縁スペーサ120上に10μm程度の厚さとなるように銀あるいはカーボンを導電材料として含んだ導電性ペーストをストライプ状にスクリーン印刷した後、焼成することにより形成される。なお、この実施の形態では、絶縁スペーサ120上に設けた帯状の導電膜でゲート電極121を構成したが、ゲート電極121は、これに限られるものではない。例えば、梯子状やメッシュ状の金属薄板を蛍光体膜105B,105G,105Rに対向して配置し、電子放出部112から離間するように絶縁スペーサ120で支持するようにしてもよい。
【0017】
このような構成において、各メッシュ状金属部材111は、外囲器を貫通して外部へ突出しており、外部から陰極電圧を供給する陰極用リードを兼ねている。各ゲート電極121は、外囲器を貫通するゲート電極用リード(図示せず)と個々に接続されており、外部から各ゲート電極121にそれぞれ制御用の所定電圧が印加可能に構成されている。メタルバック膜106は、外囲器を貫通する1つの陽極用リード(図示せず)に接続されており、外部からメタルバック膜106に電子加速用の陽極電圧が印加可能に構成されている。
【0018】
陰極110を構成するメッシュ状金属部材111は、正六角形の網目を有するメッシュ状の金属薄板であり、例えば、厚さ0.1〜0.15mmのステンレス板をエッチング加工し、開口部の形状が正六角形で、開口径(対辺間の距離)が0.1〜1.0mmの貫通孔を網目状に設けたものである。なお、メッシュ状金属部材111の開口部の形状は正六角形に限られるものではない。例えば、メッシュ状金属部材111を四角形の貫通孔が一定間隔で設けられた梯子状としてもよい。また、開口部の形状を三角形や四角形などの多角形やこれら多角形の角を丸めたもの、あるいは円形やだ円形などとしてもよい。
【0019】
電子放出部112は、高電界により電子を放出する電界放出型電子放出源であり、メッシュ状金属部材111の開口部に充填された導電膜と、導電膜から露出した多数のカーボンナノチューブによって構成されており、それぞれのカーボンナノチューブが電子放出源として動作する。カーボンナノチューブは、グラファイトの単層が円筒状に閉じ、かつ円筒の先端部に五員環が形成された構造をしており、その直径は4〜50nmと微小のため、100V程度の電界を印加することにより電子を電界放出させることができる。なお、カーボンナノチューブには単層のものと、複数のグラファイトの層が入れ子構造的に積層し、それぞれのグラファイト層が円筒状に閉じた同軸多層構造となっているものとがあるが、どちらを用いてもよい。また、構造が乱れて欠陥をもつ中空のグラファイトチューブやチューブ内に炭素が詰まったグラファイトチューブを用いてもよい。
【0020】
この実施の形態の平面ディスプレイは、このように構成したので、陰極110とゲート電極121との間に、ゲート電極121側が正の電位となるように電位差を設けることにより、ゲート電極121と陰極110が交差した部分にある電子放出部112のカーボンナノチューブに電界が集中し、高電界となったカーボンナノチューブの先端から電子が放出される。このため、メタルバック膜106に正電圧(加速電圧)が印加されていると、電子放出部112から放出された電子がメタルバック膜106に向かって加速され、さらにメタルバック膜106を透過して蛍光体膜105B,105G,105Rに衝突して蛍光体膜が発光させられる。
【0021】
よって、例えば、ゲート電極121を行方向に所定数設け、陰極110を列方向に所定数設けて、メタルバック膜141に正電圧(加速電圧)を印加した状態で、1行目のゲート電極121に所定の正電圧を印加しておいて、陰極110に1列目から所定列目まで発光させるアドレスで所定の負電圧が印加されるように順次走査し、これを1行目から所定行目のゲート電極121まで行うことにより、ドットマトリクス表示することができる。この場合、電圧を印加しない陰極110とゲート電極121は0Vにしておくか、ゲート電極121に陰極110に対して数V程度の負のバイアス電圧を印加して表示アドレス以外の電子放出部112より電子が放出されないようにしておく。
【0022】
また、陰極110に印加する電圧を0Vと正電圧とし、発光させる場合は0Vととし、発光させない場合は正電圧とするようにしてもよい。この場合、ゲート電極121は、アクティブな行を正電圧に保ち、他の行を0V又は数V程度の負のバイアス電圧を印加して、表示アドレス以外の電子放出部112より電子が放出されないようにしておく。この実施の形態では、メタルバック膜106に印加する電圧を6KV、ゲート電極121に印加する電圧を500Vと0V、基板電極121に印加する電圧を500Vと0Vとした。この場合、負電圧を用いないので負電圧電源が不要となり、コスト低減の効果が得られる。
【0023】
次に、ガラス基板101上に陰極110を形成する工程を中心に本実施の形態に係る平面ディスプレイの製造方法について説明する。
[陰極の形成]
最初に、図3(a)に示すように、ガラス基板101上に所定間隔で基板リブ102を形成する。この場合、基板リブ102は、低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまでガラス基板101上に繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成する。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、基板リブ102間にガラス基板101と密着させて前述したメッシュ状金属部材111を配置した後、図3(c)に示すように、メッシュ状金属部材111に印刷スクリーン115を密着させた状態とし、スクリーン印刷によってカーボンナノチューブを含む導電性ペースト116をメッシュ状金属部材111のメッシュ状開口部に充填する。この場合、印刷スクリーン115は、メッシュ状金属部材111のメッシュ状開口部に1対1で対応する印刷パターン117を有する。この印刷パターン117は、メッシュ状開口部の形状に相似した平面形状で、メッシュ状開口部と同じか又は所定の割合で縮小した大きさとなるように構成されている。
【0025】
また、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストは、カーボンナノチューブを主成分とする長さ数10μmの針形状のバンドル(柱状グラファイト)と銀ペースト(導電性を有する粘性溶液)とを1:1の混合比で混練したものを用いる。ここで、銀ペーストは、粒径1μm程度の銀粒子(金属粒子)が粒径1μm程度のガラス粒子とともに、樹脂を溶剤に溶解した粘性のあるビヒクルに分散されている流動性を有するペーストである。また、ビヒクルとしては、分解および揮発性のよい材料を用い、例えば、大気空気中で300〜400℃程度で加熱することで除去できるものである。また、ガラス粒子は、300〜400℃程度で溶融するものを用いる。
【0026】
次に、印刷スクリーン115を取り除き、例えば、450℃程度に所定時間加熱することでメッシュ状開口部に充填されたカーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成する。これにより、メッシュ状開口部内にバンドルを含む導電膜が形成される。この導電膜は、開口径が0.1〜1.0mm程度の狭い空間で形成されるため、焼成時の加熱によりガラス粒子が溶融した際に表面にうねりが生じることがなく、表面が均一に平坦化される。このため、厚さのばらつきが少なく平坦な導電膜が得られる。
【0027】
次に、導電膜の表面にレーザ光を照射し、表面の銀粒子やバインダーを選択的に蒸発させて除去することによってバンドルを露出させるとともに、バンドル表面のカーボンナノチューブ以外の炭素成分である炭素の多面体粒子を選択的に除去することによってカーボンナノチューブだけが均一に露出した状態とする。これにより、図3(d)に示すように、ガラス基板101上に多数のカーボンナノチューブによって構成された電子放出部112を有する陰極110が形成される。
【0028】
[平面ディスプレイの組立]
まず、フロントガラス103に蛍光体膜105B,105G,105Rとメタルバック膜106と前面リブ104とを前述した方法で形成する。また、アルミナ基板に前述した方法でスリットを設けて絶縁スペーサ120を形成するとともに、前述した方法でゲート電極121を形成する。次に、図4で示すように、陰極110を形成したガラス基板101に、ゲート電極121を形成した絶縁スペーサ120を、ゲート電極121を上方に向けて載置する。このとき、絶縁スペーサ120は、ゲート電極121が陰極110と直交するように配置する。
【0029】
次に、ガラス基板101の周辺に枠状のスペーサガラス(図示せず)を載置した後、スペーサガラス上に蛍光体膜105B,105G,105Rとメタルバック膜106と前面リブ104とを形成したフロントガラス103を載置する。このとき、フロントガラス103は、個々の前面リブ104の端面が個々の絶縁スペーサ120上の帯状のゲート電極121に挟まれた領域と接するように配置する。次に、ガラス基板101とフロントガラス103とスペーサガラスとを低融点のフリットガラスにより接着固定し、外囲器を形成する。次に、スペーサガラスに設けられた排気口を真空ポンプに接続して外囲器内を所定の圧力まで真空排気した後、排気口を封着する。
【0030】
この実施の形態では、導電膜の表面にレーザ光を照射してカーボンナノチューブを露出させたが、カーボンナノチューブを露出させる方法は、レーザ光照射に限られるものではない。例えば、プラズマを用いた選択的なドライエッチングを用いるようにしてもよい。また、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストに銀ペーストを用いるようにしたが、これに限るものではなく、他の導電性ペーストを用いるようにしてもよい。例えば、銀と銅の合金からなる粒子をもちいた導電性ペーストを用いるようにしてもよい。また、導電性ポリマーを用いるようにしてもよい。また、外囲器を構成する基板にガラス基板を用いたが、これに限られるものではなく、例えばセラミック基板などを用いてもよい。
【0031】
この実施の形態の平面ディスプレイの製造方法によれば、電子放出源となるカーボンナノチューブを含む導電膜を均一な厚さに加工されるメッシュ状金属部材111のメッシュ状開口部内に形成するため、導電膜が平坦化されるとともに、膜厚が均一になるので、カーボンナノチューブに印加される電界が均一になり、電界放出電子が場所によらず同程度に放出される。このため、均一な電界電子放出が得られるので、画素によらず一様な輝度が得られる平面ディスプレイの製造が可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、少なくとも一部が透光性を有するフロントガラスとこのフロントガラスに対向配置された基板とを含みかつ内部が真空排気された外囲器と、この外囲器内の基板上に配置された陰極と、この陰極から離間して配置されたゲート電極と、フロントガラスの基板との対向面上に積層配置された陽極および蛍光体層とを備えた平面ディスプレイにおいて、陰極が基板面に密着配置されたメッシュ状の金属部材と、この金属部材のメッシュ状開口部内に充填されたカーボンナノチューブを含む充填材とから構成されるので、電子放出源となる個々のカーボンナノチューブに印加される電界が均一になり、均一な電界電子放出が得られるので、輝度むらのない一様で安定した輝度を実現することが可能となる。
【0033】
また、この発明にかかる平面ディスプレイの製造方法は、陰極の形成工程が 基板面にメッシュ状の金属部材を密着配置する工程と、この金属部材のメッシュ状開口部内にカーボンナノチューブを含む充填材を充填する工程とを有するため、電子放出源となるカーボンナノチューブを含む充填材の表面を平坦化することができるとともに、厚さを均一化できる。このため、この製造方法によれば、個々のカーボンナノチューブに印加される電界が均一化され、均一な電界電子放出が得られる陰極を製造できるので、輝度むらのない一様で安定した輝度の平面ディスプレイを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる平面ディスプレイを示す構成図である。
【図2】 図1における電極の構成を示す部分断面図である。
【図3】 ガラス基板上に陰極を形成する工程を示す説明図である。
【図4】 実施の形態にかかる平面ディスプレイの組立図である。
【符号の説明】
101…ガラス基板、102…基板リブ、103…フロントガラス、104…前面リブ、105B…青色発光蛍光体膜、105G…緑色発光蛍光体膜、105R…赤色発光蛍光体膜、106…メタルバック膜、110…陰極、111…メッシュ状金属部材、112…電子放出部、115…印刷スクリーン、116…カーボンナノチューブを含む導電性ペースト、117…印刷パターン、120…絶縁スペーサ、121…ゲート電極。
Claims (2)
- 少なくとも一部が透光性を有するフロントガラスとこのフロントガラスに対向配置された基板とを含みかつ内部が真空排気された外囲器と、この外囲器内の前記基板上に配置された陰極と、この陰極から離間して配置されたゲート電極と、前記フロントガラスの前記基板との対向面上に積層配置された陽極および蛍光体層とを備えた平面ディスプレイの製造方法において、
前記陰極の形成工程は、
前記基板面にメッシュ状の金属部材を密着配置する工程と、
この金属部材のメッシュ状開口部内に柱状グラファイトを含む充填剤を充填する工程と
を有し、
前記柱状グラファイトは、カーボンナノチューブを主成分とする
ことを特徴とする平面ディスプレイの製造方法。 - 請求項1記載の平面ディスプレイの製造方法において、
金属部材のメッシュ状開口部内にカーボンナノチューブを含む充填剤を充填する工程は、前記金属部材上に前記メッシュ状開口部に対応する印刷パターンを有する印刷スクリーンを密着させた状態で柱状グラファイトを含む充填剤を印刷する
ことを特徴とする平面ディスプレイの製造方法。
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