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JP3819252B2 - シード保持電極 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度の多結晶シリコンを製造する還元炉に設けられて、炉内における棒状シードの支持及び通電に使用されるシード保持電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの素材であるシリコン単結晶は、シーメンス法と呼ばれる気相成長法により製造された高純度の多結晶シリコンから、CZ法等により製造される。シーメンス法による高純度多結晶シリコンの製造では、トリクロロシランと水素の混合ガスが原料ガスとして還元炉内に導入される。還元炉内では、シード、種芯等と呼ばれる細棒状の多結晶シリコンが複数本並列的に立設されている。各シードは通電加熱されており、この状態でシードの表面に原料ガスが供給されることにより、その表面に多結晶シリコンが析出し、シードが成長する。
【0003】
かくして、還元炉内で太い棒状の多結晶シリコン製品が製造される。
【0004】
ここで、シードは、図2(a)に示すように、還元炉内で2本を1組として鳥居型にセットされる。具体的に説明すると、2本のシード1,1の上端部が接続治具2の両端部に差し込まれることにより、その上端部同士が接続治具2により連結されている。シード1,1の各下端部は、カーボンからなるシード保持電極3を介して、水冷された金属電極に固定されている。
【0005】
シード保持電極3は、図3に示すように、金属電極4に螺合により固定された受け台5と、受け台5に支持されたスタンド6とを備えている。スタンド6は、カーボンからなり、上部にシード1の下端部を保持すると共に、下部が下方に向かって漸次縮径するテーパ状の差し込み部になっている。そして、この差し込み部が、同じくカーボンからなる受け台5の上面に設けられたテーパ穴に嵌合することにより、受け台5にスタンド6が固定され、金属電極4上にシード1が垂直に支持される。
【0006】
このようなシード保持電極3を使用することにより、シード1の支持及び通電加熱が行なわれる。シード1を鳥居型に組み合わせる理由は、シード1の安定性を高めること、シード1に直列的に通電を行なうことなどにある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多結晶シリコンの製造に使用されるシードは、製造された多結晶シリコン製品から切り出して作製される。その場合、1回のバッチで使用されるシードは、異なる多結晶シリコン製品から切り出されており、多結晶シリコン製品の長さが同一でないことから、1回のバッチで使用されるシード1の長さもまちまちとなる。また仮に、同じ多結晶シリコン製品からシードを切り出したとしても、切断加工時に割れたり欠けたりすることから、シードの長さは一定に揃わないのが通例である。
【0008】
その結果、鳥居型にセットされる2本1組のシードは、図2(b)に示すように、長さの不揃いを生じ、上端部間に架設される接続治具2を傾斜させる。その結果、シード1,1の上端部が嵌め込まれる治具両端のはめ込み部での接触が悪化し、通電加熱時に局部的な過熱が生じ、溶断の危険性が生じる。
【0009】
溶断の危険性を取り除くために、通常は鳥居型にセットされる2本1組のシード1,1の長さに不揃いが生じた場合に短い方のシード1の長さに合わせて長い方のシード1が切断される。この切断により、接続治具2の傾斜は解消されるが、その一方では、長い方のシード1の長さが短くなることにより、生産性が低下する。また、その切断に手間がかかり、作業能率が低下する。更には、切断作業に伴ってシード1が汚染される問題も生じる。
【0010】
本発明の目的は、鳥居型にセットされる2本1組のシードの長さに不揃いが生じた場合に、その不揃いを解消せずとも、接続治具を水平に保持できるシード保持電極を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のシード保持電極は、気相成長法による多結晶シリコンの製造に使用される還元炉内に棒状のシードを垂直に支持し、且つそのシードに通電を行なうために前記還元炉に設けられるシード保持電極において、前記シードの下端部を支持する支持部を昇降可能とし、該支持部の昇降により、前記シードの支持高さを調節できるように構成されている。
【0012】
このようなシード支持高さ調節機構により、本発明のシード保持電極は、鳥居型にセットされる2本1組のシードの長さに不揃いが生じた場合に、その長さを変えずとも、接続治具を水平に保持することができる。
【0013】
前記支持部の昇降機構としては、下方の固定部分に対する螺合が好ましく、前記支持部に螺合するロックナットにより前記支持部を固定する機構が特に好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示すシード保持電極の縦断面図である。
【0015】
本実施形態のシード保持電極は、気相成長法による多結晶シリコンの製造に使用される還元炉に設けられて、炉内に棒状のシードを垂直に支持するのに使用される。より具体的には、炉底部の金属電極に取り付けられて、2本1組のシードを鳥居型に組み合わせて支持するのに使用される。
【0016】
このシード保持電極は、図1に示すように、シード10の下端部を支持するスタンド20と、スタンド20を支持する可動式の第1受け台30と、第1受け台30を支持する固定式の第2受け台40と、第1受け第30に装着されたロックナット50とを備えており、何れもカーボンによって構成されている。なお、スタンド20と可動式の第1受け台30は、一体化してもよい。
【0017】
スタンド20は、丸棒状のカーボンブロックであり、その上面中心部に、シード10の下端部が挿入される丸穴21を有している。スタンド20の下部は、下方に向かって外径が漸減するテーパ形状の差し込み部22である。
【0018】
可動式の第1受け台30は、外面に雄ねじ部31が設けられた円柱形状のねじ部材である。第1受け台30の上面中心部には、スタンド20の差し込み部22が嵌合する凹部32が設けられている。凹部32の内面は、差し込み部22の外面に対応するテーパ面になっている。
【0019】
固定式の第2受け台40は、第1受け台30がねじ込まれる大径のナット部41を上部に有し、下部に小径のボルト部43を有している。ナット部41の内面は、第1受け台30の雄ねじ部31と螺合する雌ねじ部42であり、この螺合により、第1受け台30は第2受け台40に対して昇降可能となる。ボルト部43は、金属電極60に形成されたねじ孔61にねじ込まれる。このねじ込みにより、第2受け台40は金属電極60に通電可能に固定される。
【0020】
ロックナット50は、第1受け台30の雄ねじ部31と螺合する雌ねじ部を内面に有するリング部材であり、第2受け台40のナット部41の上方において第1受け台30に装着されている。
【0021】
次に、本実施形態のシード保持電極の使用方法及び機能について説明する。
【0022】
本実施形態のシード保持電極においては、スタンド20及び第1受け台30がシード10の下端部を支持する支持部を構成しており、第1受け台30を回転させることにより、第1受け台30が昇降し、スタンド20の高さ、即ちシード10の支持高さが調節される。
【0023】
還元炉においては、隣接する2つのシード保持電極の第1受け台30,30にスタンド20,20を差し込み、スタンド20,20に支持されたシード10,10の上端部間を接続治具で接続することにより、シード10,10を鳥居型に支持する。シード10,10の長さが不揃いの場合、シード10,10の上端が同じ高さになるように、第1受け台30,30の一方又は両方の高さを調節する。これにより、シード10,10の長さを不揃いのまま放置するにもかかわらず、シード10,10の上端部間に架設される接続治具が水平になり、接続治具両端のシードはめ込み部での接触不良が回避される。その結果、通電加熱時の局部的な過熱が回避され、溶断の危険性が取り除かれる。
【0024】
また、第1受け台30の高さ調節後、ロックナット50を締め込むことにより、第1受け台30が固定される。加えて、第1受け台30と第2受け台40の螺合部の接触不良がなくなり、螺合部における過熱も防止される。
【0025】
そして、シード10,10の長さを不揃いのまま放置し、長い方の切断を回避することにより、生産性が向上する。例えば、シード10,10の長さが2000mmと1890mmの場合、従来は接続治具両端のシードはめ込み部での接触不良による過熱を回避するために、長い方のシード10を110mm切断し、両方の長さを1890mmに揃える必要がある。製品の平均径が130mmの場合、1組の製品重量は116.8kgとなり、上記した切断の回避により、1組の製品重量は120.2kgに増加し、生産性は2.9%向上する。
【0026】
第1受け台30の高さ調節代としては100〜200mmが好ましい。これが小さすぎるとシード長さの不揃いによる接続治具の傾斜を回避できないおそれがある。大きすぎるとシード保持電極の必要以上の大型化を招き、経済性が悪化する。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明のシード保持電極は、気相成長法による多結晶シリコンの製造に使用されるシードの下端部を支持する支持部を昇降可能とし、該支持部の昇降により、前記シードの支持高さを調節可能としたことにより、シード長さの不揃いを放置したままで、接続治具を水平に維持でき、接触不良による局部的な過熱、溶断を防止できる。そして、シード長さの不揃いを放置すくことにより、生産性の低下、作業能率の低下、切断作業に伴うシードの汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシード保持電極の縦断面図である。
【図2】(a)(b)は気相成長法による多結晶シリコンの製造でのシードの支持形態の説明図である。
【図3】従来のシード保持電極の縦断面図である。
【符号の説明】
10 シード
20 スタンド
30 可動式の第1受け台
31 雄ねじ部
40 固定式の第2受け台
41 ナット部
42 雌ねじ部
43 ボルト部
50 ロックナット
60 金属電極

Claims (2)

  1. 気相成長法による多結晶シリコンの製造に使用される還元炉内に棒状のシードを支持し、且つそのシードに通電を行なうために前記還元炉に設けられるシード保持電極において、前記シードの下端部を支持する支持部を昇降可能とし、該支持部の昇降により、前記シードの支持高さを調節できるように構成したことを特徴とするシード保持電極。
  2. 前記支持部を下方の固定部分に対して螺合により昇降可能とし、前記支持部に螺合するロックナットにより前記支持部を固定することを特徴とする請求項1に記載のシード保持電極。
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