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JP3808050B2 - 表面実装パッケージおよびそれを用いた電子部品 - Google Patents

表面実装パッケージおよびそれを用いた電子部品 Download PDF

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JP3808050B2 JP2003071318A JP2003071318A JP3808050B2 JP 3808050 B2 JP3808050 B2 JP 3808050B2 JP 2003071318 A JP2003071318 A JP 2003071318A JP 2003071318 A JP2003071318 A JP 2003071318A JP 3808050 B2 JP3808050 B2 JP 3808050B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面実装パッケージおよびそれを用いた電子部品に係り、特にパルストランスやコモンモードチョーク等の電子部品素子を含むLAN用部品のパッケージ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一以上の電子部品素子を樹脂ケース内にまとめて収容し、プリント基板への実装を可能とした表面実装パッケージが従来から提供されている。例えば、米国特許第5,656,985号のパッケージは、複数のリード端子を一体にモールドした外装ケースの内部に電子部品素子(トランス)を収容してなるもので、パッケージクラックを防ぐために、ケース底面を開放した構造としている。このように底面を開放したケース構造は、表面実装部品のパッケージに頻繁に使用されており、ケース内に収容した部品素子は、一般に樹脂で固めて固定される。
【0003】
また、本出願人が先に提案した実開平5−55512号に記載の小型巻線部品は、一面を開放した樹脂ケースに巻線を巻装したトロイダルコアを入れ、これを接着剤で固定してなるものである。
【0004】
さらに、特開平7−201588号は、ISDN用パルストランスの要求特性を満たし、同時に薄型化を図る部品構造を開示する。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5,656,985号公報
【0006】
【特許文献2】
実開平5−55512号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平7−201588号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近時、ノートブックパソコンのような電子機器の小型・薄型化、多機能・高性能化の進展に伴い、これらに搭載される電子部品(例えばLAN用部品)の小型・薄型化の強い要請がある。ところが、現状のパッケージ構造でこれをさらに小型薄型化しようとすると、次のような様々な問題が生じ、これ以上の小型薄型化が難しい。
【0009】
まず、実装不良の問題である。
【0010】
従来のパッケージでは、前述のように下面を開放したケース体の中に部品素子を収容しこれを樹脂封止している。このため、基板実装時にリフローの熱で樹脂が膨張し、部品自体を押し上げてリード端子が浮いてしまうことがある。このような実装不良は、特に、部品を薄くするほど発生しやすくなる。部品を薄くすれば、ケース下面と基板との距離が必然的に短くならざるを得ず、その分、樹脂膨張の影響を受けやすくなるからである。さらに、従来のパッケージ構造では、薄型化のため、ケース体の天板は出来るだけ薄く成形される傾向にあるから、リフロー時の熱負荷によってケースに反りが生じ、これにより実装不良が生じる場合もある。
【0011】
また、ケース下面が開放された構造であると、パッケージ内の配線をハンドリングやマウント時の不注意から断線させてしまう危険性がある上に、実装密度を高める点でも不利である。薄型化に伴い、パッケージ内に収容した部品素子(活電部)が基板と非常に接近することとなるため、部品直下の基板上には、耐圧確保のため配線パターンを引くことが出来ないからである。
【0012】
さらに、下面開放型のパッケージでは、リード端子の構造に関連して次のような問題もある。
【0013】
この種のパッケージでは、一般に図14に示すようにケース側壁に埋設したリード端子3は、ケース側壁下面から垂直に立ち下がる絡げ端子部3aと、ケース側壁外面から水平に張り出した後、斜め下方に立ち下がり基板への接続を可能とする実装端子部3bとを有し、ケース内の部品素子から導出したリード線を絡げ端子部3aに絡げ、はんだごてを用いて接続を行っている。しかし、前記図14に示すような従来の下面開放型パッケージでは、リード端子の占める幅寸法dが大きく、その分パッケージ内の収容スペースが制限されていた。
【0014】
また、別の従来例では、図15に示すように、ケース側壁に埋設したリード端子5は、ケース側壁外面から水平に張り出した後、斜め下方に立ち下がり基板への接続を可能とする実装端子部5bを有し、ケース内の部品素子から導出したリード線を実装端子部根元の絡げ部5aに絡げ、ディップ(溶融はんだに端子を浸す)を行うことにより接続を行っている。
【0015】
しかし、部品素子と絡げ端子部5aとに張り渡されるリード線は長いため引っかかりやすく、また下に垂れないように常にピーンと張ってあるため、ハンドリング時やマウント時、またはリフローによる実装時に断線事故が生じやすい。しかも実装後リード線は外部に露出しているため、実装後も断線が生じてしまう可能性がある。また、ディップのとき、不要なはんだがリード端子5に付着して端子の平坦度が低下することがある。さらに、基板への実装時にはんだ溶融が許されないから(絡げ端子部5aのはんだが融けて流れ落ちるおそれがある)、リフローの温度が制限され、近年、環境負荷軽減のため移行が望まれる鉛フリーはんだ(高温リフローが必要である)への対応も難しい。
【0016】
さらに、巻線素子を含むLAN用部品特有の問題がある。
【0017】
LAN用部品は、一般に絶縁および伝送の機能を持つパルストランス(PT)とノイズ除去機能を有するコモンモードチョーク(CMC)がセットとなり、このセットが送信側と受信側とにそれぞれ設けられて合計2セットで一つの部品が構成される。PTとCMCは、それぞれ一つずつのトロイダルコアが必要であるから、一つのLAN用部品には合計4個のコアが含まれる。この部品を小型化するためには、部品内で最も大きな面積を占有している、コアを小型化することが有効である。
【0018】
ところが、LAN伝送路に関する規格であるISO8802.3には、「8mA重畳時のインダクタンス値が350μH以上」という規定があり、この規格を充足させつつコアを小型化することは容易ではない。コイルのインダクタンスは、コアの透磁率μと巻数、そしてコアの大きさで決まるからである。特に、薄型部品を構成しようとした場合、薄型のパッケージ内に収容する必要からコアの肉厚は小さくせざるを得ず、その分コアの径が大きくなってしまうのである。
【0019】
この問題を図面を参照してさらに具体的に述べる。図11は基板実装に伴うランドパターンを、図12〜15および図16は現在販売に供されているLAN用部品(内部の素子および配線は図示せず)の一例をそれぞれ示すものである。
【0020】
現在、販売に供されているLAN用部品のサイズとして、縦横寸法が15.6×11.8mm程度とした製品が提供されている。しかし、近時の電子部品の小型化の要請から、図11に示す基板実装に伴うランドパターンに実装可能な、9.6×12.7mm程度のものが必要とされている。これは、面積(上方から見た場合の縦寸法と横寸法との積)にして、3割5分面積を減らす必要があることを意味する。しかも、ノートパソコンおよびこれに搭載するLAN用部品の薄型化の要請から、高さについても2.2mm以下の部品が求められている。
【0021】
このような要求を満足させるためには、巻線の厚さおよびリード端子の高さを考慮すると、コアの厚さは、1.0±0.5mm程度に制限される。そして、この厚さで“350μH”(前記ISO8802.3の規格)を満足させるためには、パルストランスのコア外径は、コアの透磁率μと巻数にもよるが、4.0±1.0mm程度が必要となる。
【0022】
ここで、現在市場に提供されている部品を検討してみると、図12〜14に示す製品2は、縦横寸法が9.5×12.65mmであるから、部品の外形面積の要求は満たしている。ところが、パッケージケース4の中に収容できるパルストランスのコアサイズは大幅に制限され、結果として8mA重畳時のインダクタンス値が100μHとなってしまい、ISO8802.3(350μH)を満足させることが全く出来ない。
【0023】
一方、図15に示す製品7は、8mA重畳時のインダクタンス値が570μHであって、ISO8802.3は満たしている。ところが、縦横寸法が9.5×15.50mmとなって横寸法が長く(横寸法を長くして大きなコアを収容している)、現状の小型化の要求に応えることが出来ない。
【0024】
さらに、コアへの巻線に関連し、次のような薄型化の難しさがある。
【0025】
従来のパルストランスでは通常、前記特許文献3(特開平7−201588号)の図6に示されているように、トロイダルコアに4本のワイヤを1本ずつばらばらの状態で巻いていた。このように4本ばらばらに巻くと、巻線後のコアの厚さの増大量は、ワイヤ径の2倍(トランス上面と下面の分)の寸法に抑えることが出来る。しかしながら、このようにワイヤがばらばらの状態では、トランスの結合が悪化して漏れインダクタンスが大きくなり、インサーションロスが大きくなってしまう。
【0026】
一方、インサーションロス低減のため、4本のワイヤをツイストして(よって)巻くことも考えられる。ところが、このようにツイストすると、ワイヤが4本束になって太くなることから、巻線後のトランスの厚みが増してしまう。
【0027】
このように下面開放型の既存のパッケージ構造では、表面実装部品をこれ以上小型化し薄型化することは難しく、敢えて小型薄型化する場合には、実装不良をはじめとする上に述べたような様々な問題を引き起し、また当該部品に対する要求特性を犠牲にせざるを得ないのが現状である。
【0028】
そこで本発明の目的は、表面実装電子部品をさらに小型薄型化することが可能な新たなパッケージ構造を提供することにあり、特に、LAN用部品に対する要求特性であるISO8802.3を満足させつつ、同時に樹脂パッケージ部品の面積および高さを低減することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成して課題を解決するため、本発明に係る表面実装パッケージは、巻線を施した複数のトロイダルコアを収容可能なLAN用部品に用いる表面実装パッケージであって、該パッケージが、側縁部に複数のリード端子を有しかつ前記巻線を施したトロイダルコアを載せることが可能な樹脂ベース体と、この樹脂ベース体に嵌合し当該樹脂ベース体の上面を覆う平板状の樹脂蓋体とを備え、前記樹脂ベース体は、その上面側に前記巻線を施した複数のトロイダルコアの各々を収容する複数の陥凹部を備え、これら陥凹部は、当該陥凹部に収容する前記巻線を施したトロイダルコアの外形形状と略一致する平面形状を有しかつ、当該陥凹部のうちの少なくとも2つが互いに繋がっており、前記リード端子は、パッケージ内に収容した巻線を施したトロイダルコアとの電気的接続を形成するため樹脂ベース体の上面側縁部から略鉛直方向に起立する内側リード部と、基板側との電気的接続を形成するため樹脂ベース体から略水平に張り出す外側リード部とを有して、該内側リード部と該外側リード部が略L字状の全体形状をなし、かつ、配設間隔を他のリード端子より広くしたリード端子を含み、これにより前記樹脂ベース体に拡間部を備え、この拡間部に、前記陥凹部のうちの少なくとも一つの陥凹部の少なくとも一部を位置せしめた
【0030】
このような構成を有する本発明のパッケージでは、樹脂ベース体の上面側に巻線を施した複数のトロイダルコア(巻線コア)を載せてこれを収容する。樹脂ベース体の上面には複数の陥凹部を設けてあり、これらの陥凹部に巻線コアを収める。巻線コアと実装基板との間には、樹脂ベース体が介在され、これにより収容される巻線コアと基板とが遮断される。したがって、パッケージの高さを低く抑えて巻線コアが基板に近接しても、従来の下面開放型のパッケージのようにリフロー時の樹脂膨張によって部品が押し上げられて実装不良を起こすことがない。また、パッケージ内の巻線コアの下面は、樹脂ベース体で覆われるから、部品直下にも配線パターンを形成することができ、配線設計の自由度を増し基板の実装密度を向上させることが可能となる。
【0031】
かかるパッケージでは、陥凹部の平面形状を、当該陥凹部に収容する巻線コアの外形形状と略一致させる。パッケージ内に巻線コアを固定し易くし、封止樹脂量を減らすことでリフロー時の樹脂膨張による影響を無くすためである。
【0032】
また、上記リード端子は、配設間隔を他のリード端子より広くしたリード端子を含んでこれにより樹脂ベース体に拡間部を設け、この拡間部に上記陥凹部のうちの少なくとも一つの陥凹部の少なくとも一部を位置せしめた
【0033】
また、上記陥凹部のうちの少なくとも2つが互いに繋がっている。
【0034】
上記リード端子、パッケージ内に収容した電子部品素子との電気的接続を形成するため樹脂ベース体の上面側縁部から略鉛直方向に起立する内側リード部と、基板側との電気的接続を形成するため樹脂ベース体から略水平に張り出す外側リード部とを有して、略L字状の全体形状をなす。
【0035】
さらに、かかるパッケージは、樹脂ベース体の上面を覆う平板状の樹脂蓋体を備える。
【0036】
この場合、樹脂ベース体の上面および前記蓋体の下面うちの一方に係合ピンを設け、他方に、前記蓋体を前記樹脂ベース体に被せたときに該係合ピンの嵌入を許容する係合穴を設け、これにより樹脂ベース体への蓋体の固定を可能とすることがある。
【0037】
この場合、前記係合ピンの外周面に、該外周面から外方に突出しかつ外方に頂点を向けた断面三角形の形状を有しかつ当該係合ピンの長手方向に延びる突起部を設け、樹脂ベース体への蓋体の装着に伴い、該突起部が変形しつつ前記係合ピンが前記係合穴に嵌入可能とする。
【0038】
また、前記係合ピンおよび前記係合穴は、パッケージの平面視略中央部(パッケージ上面から見た場合の略中心部)に配置する。
【0039】
また、前記蓋体および前記樹脂ベース体のうちの一方の両端部に、先端部に係合爪を備えた係合片を設け、前記蓋体および前記樹脂ベース体のうちの他方の両端部に、蓋体を樹脂ベース体に被せたときに前記係合爪を引っ掛けることが可能な段部を形成する場合がある。
【0041】
また、本発明に係るLAN用部品は、前記表面実装パッケージの陥凹部に、巻線を施したトロイダルコアを収容してなる。
【0042】
このLAN用部品では、パルストランスとコモンモードチョークを少なくとも2個ずつ収容するため、前記樹脂ベース体に少なくとも合計4つの陥凹部を設け、これらの陥凹部は、径の小さな2つの陥凹部と、これら2つの陥凹部より径の大きな2つの陥凹部とを含み、前記樹脂ベース体の両側縁部の中央部に配するリード端子の間隔を他のリード端子より広くすることにより前記拡間部を形成し、当該拡間部に、前記径の小さな2つの陥凹部の一部がそれぞれ配置されるよう陥凹部を設けて当該陥凹部のそれぞれにコモンモードチョークを収容する一方、樹脂ベース体の長手方向の両端部に陥凹部をそれぞれ形成して該陥凹部のそれぞれにパルストランスを収容し、前記コモンモードチョークは前記パルストランスより小径である
【0043】
上記巻線としては、複数の単線を並べて一体化したペア線を使用することがあり、このペア線として4本の単線を並べて一体化した4ペア線を使用することがある。
【0044】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0046】
図1から図10は、本発明の実施の形態(以下、本実施形態という)に係る表面実装パッケージまたは電子部品を示すものである。
【0047】
これらの図に示すように、本実施形態に係る表面実装パッケージ11は、パルストランス(PT)71,72とコモンモードチョーク(CMC)75,76とを収容してLAN用部品を構成するためのパッケージで、樹脂成形により形成した樹脂ベース21と、ベース21に被せてその上面を覆うカバー51(蓋体)とからなる。
【0048】
樹脂ベース21は、耐熱性の高い樹脂(例えばジアリルフタレートや液晶ポリマー、エポキシ樹脂等)により形成することができ、上面に巻線コアを収容するため、合計4個の陥凹部22a〜22dを設けてある。これらの陥凹部22a〜22dのうち、ベース21の長手方向両側に配した2個の陥凹部22a,22bは、パルストランスを構成する巻線コアを収納するために大きく、一方、ベースの側縁部に隣接してベースの短手方向両側に配した2個の陥凹部22c,22dは、コモンモードチョーク用の巻線コアを収納するために小さく形成してある。
【0049】
これら陥凹部22a〜22dの大きさを異なるものとしたのは、パルストランスは、前記ISO8802.3を充足させる(大きなインダクタンス値を得る)ために大きなコアを必要とするのに対して、コモンモードチョークはその機能上、比較的小さなコアで構成することが可能だからである。
【0050】
ただし、本発明は、必ずしも陥凹部の大きさを異ならせる構造に限定されるものではなく、総ての陥凹部を同一サイズとすることも出来るし、図示の例以外にも様々にサイズを変更して構わない。また、陥凹部の形状や大きさ、配設個数等についても様々に変更が可能である。例えば、平面形状が円形でなく、楕円形や方形、多角形その他の形状であっても良いし、図示の例より大きくし或いは小さくすることもある。また、構成する部品の種類・機能(収容する巻線コア)等に応じて、個から3個、あるいは5個以上とする場合もあり、これらはいずれも本発明の範囲に含まれる。
【0051】
また、本実施形態では、いずれの陥凹部も各巻線コアの形状サイズに合わせてこれらがほぼちょうど収まる大きさとしてある。パッケージ内にコアを確実に保持するためである。これにより、コアを固定するための樹脂も少なくて済み(樹脂注入を省くことも可能である)、リフロー時に樹脂膨張の圧力でコアが動いて断線事故が発生することを防ぐことも出来る。
【0052】
樹脂ベース21の側縁部31には、一側縁に6本、両側縁で合計12本のリード端子41を設けてある。これらのリード端子41は、ベース21の側縁上面から略鉛直方向に立ち上がる内側リード部(絡げ端子)41aと、基板への実装を可能とするためベース21の側縁下面から外方へ略水平に張り出す外側リード部(実装端子)41bとを有して、略L字状の全体形状を呈する。内側リード部41aは切欠き41cを有しており、この切欠部41cに、陥凹部22に収容するPT(パルストランス)71,72およびCMC(コモンモードチョーク)75,76からのリード線を絡げ、はんだ付けすることにより電気的接続を行う。
【0053】
各リード端子41は、差込式である。すなわち、従来の下面開放型のパッケージのようにリード端子を樹脂ケースと一体に成形することなく、端子設置用の所定数(この場合12個)の孔42を備えた樹脂ベース21を予め成形した後、これらの孔42にベース21の下面側から差し込むことにより各リード端子41を設置する(図1参照。同図ではベースの一部を切り欠いて孔42を示す)。
【0054】
本実施形態のベース21は、横寸法L(図4参照)を例えば12.55mmに成形することが出来るが、この場合、リード端子41の間隔pを例えば1.27mmとして一側縁につき合計8本のリード端子を設けることが可能である。しかしながら、本実施形態では、中央部の端子2本を設けずに、中央寄りの2本の端子間の距離p0を3.81mm(=1.27mm×3)と、他の端子ピッチより広くしている。これは、図10に示すように、本実施形態のLAN用部品を構成する場合には、送信側のPT71およびCMC75で6端子、そして受信側のPT72およびCMC76で6端子と、合計12本の端子しか使用しないからである。
【0055】
本実施形態では、このように中央部の2本の端子(左右で4端子)を削除してベース側縁中央部に端子間隔を他の(ベース側縁両端部の)端子間隔と較べ広くした拡間部36を設け、これらベース側縁中央部の拡間部36に陥凹部22c,22dが突出するよう形成する(図1、図3および図8参照)。つまり、本実施形態では、未使用のリード端子(NCピン/未接続ピン/未使用ピン)を省いてこのスペースを有効に活用し、パッケージの収納効率を高めているのである。かかる構成によれば、より径の大きなコアをパッケージ内に収容することが可能となり、大きなインダクタンス値を有するパルストランスを備えたLAN用部品を構成することが出来る。
【0056】
また、本実施形態では、ベース21の一端部に形成したPT用の陥凹部22aと、ベース21の一側縁部に形成したCMC用の陥凹部22cとを連続させるとともに、ベース21の他端部に形成したPT用の陥凹部22bと、ベース21の他側縁部に形成したCMC用の陥凹部22dとを連続させた形状とする。これにより、PT71,72とCMC75,76間のリード線を当該連続部に収容し、両素子間の配線の引き回しを容易に行うことが出来る。
【0057】
かかる陥凹部22a〜22dには、図8および図9に示すように、巻線を施したPT用のトロイダルコア71,72と、同じく巻線を施したCMC用のトロイダルコア75,76とをそれぞれ収納する。これらの巻線には、巻線後のコアの厚さを出来るだけ薄く抑えるために、4ペア線(4本の導線を並列に並べて接着剤等で帯状に一体化したもの)を使用する。
【0058】
陥凹部22a〜22dの周囲は、樹脂ベース21の肉厚が大きくなっている。これによりベース21の剛性強度を高めることが出来る。また、リフロー時の熱によってベース21が変形し、あるいは反りが発生することを防ぐことが出来る。
【0059】
樹脂ベース21の中心部には、後に詳しく述べるカバー51を固定するための嵌合孔38を穿設してある。この嵌合孔38は、ベース21の中心より若干、ベース長手方向一端部に向け(図8の紙面左方向)ずらして設けてある。これは、CMC76を該CMCとは反対側のリード端子41i,41jに接続するための配線を可能とするためである。このように、嵌合孔38を中心よりずらすことによって、最小の配線スペースを確保しつつベース21の長さLを短くしてパッケージをより小型化することが出来る(図8において嵌合孔38の左側には配線スペースは不要であり、嵌合孔38をベースの丁度中心に形成した場合には当該無駄なスペースが生じる。本実施形態によれば、この無駄なスペースを省くことが出来る)。
【0060】
ベース21の長手方向両端部には、ベースの短辺略全幅に亘って延在する台座部33を形成する。カバー51の装着時には、これらの台座部33にカバー51が載ってベース21の上面にカバー51が支持される。台座部33の側面(ベース21の端壁)には、後に述べるカバー51の四隅に形成した係合片53を受け入れる溝34を形成し、さらにこれら溝34の下端に段部35を設けて係合片53の爪53aを引っ掛けることが出来るようにしてある。
【0061】
一方、ベース上面に被せるカバー(蓋体)51は、平面略長方形の樹脂平板により構成し、左右両側縁には、絡げ端子部41aを避けるようにカバー長手方向に延びる切込み52を設けてある。また、カバー51の四隅には、鉛直方向に立ち下がる係合片53を一体成形して設ける。これらの係合片53は、先端部内面に爪53aを備えており、カバー51をベース21に被せたときに、前記段部35に係合片53の爪53aが掛かり(図5参照)、カバー51の四隅がベース21に固定される。
【0062】
さらに、カバー51の裏面略中央部には、図2および図6に特に示すように、カバー下面から略垂直に下方へ突出して、カバー装着時に前記ベース中央部に穿設した嵌合孔38に嵌入する係合ピン55を設ける。係合ピン55は、嵌合孔38にスムースに嵌入できるよう先端を尖らせた略円柱状の全体形状をなし、その周面には、ピン長手方向に延びる4本のリブ(突起部)56を均等な配置角度で(90°の配置角度をなすように)設けてある。
【0063】
これらのリブ56は、図7に拡大して示すように外方に頂点を向けた断面三角形の形状を呈し、円柱状のピン本体55はベース21に形成した嵌合孔38より外径が小さいが、各リブ56の頂上は嵌合孔38より外方に突出している。係合ピン55が嵌合孔38へ嵌入するときには、各リブ56の頂上が潰れて変形し(図7に符号56aで示す)、これにより係合ピン55を嵌合孔38内に確実に固定することが出来る。尚、本実施形態では、係合ピン55をカバー(蓋体)51側に、嵌合孔38をベース21側に設けたが、逆に係合ピン55をベース21側に、嵌合孔38をカバー51側に設けても良く、同様の目的を達成することが出来る。
【0064】
ベース21およびカバー51には、樹脂表面の一部に梨地処理を施す。図3に示すようにベース21の一方の端部表面を梨地処理(同図において符号Sおよびドット模様を施して示す)することにより、ベース21にカバー51を装着するときに、その向きを一見して判別可能としてカバー51を逆に取り付けることを防ぐことが出来る。また、図4に示すように、一方の端部にのみ梨地の無い部分S0を形成するようカバー51に梨地処理Sを行うことで、基板への実装時にパッケージ部品の向きが容易に分かるようにすることが出来る。
【0065】
従来の表面実装パッケージでは、パッケージ上面(蓋体上面)の一端部に例えば半円形状に肉厚を小さくした部分を形成して、これにより部品の向きを判別可能とすることがあったが、本実施形態のように梨地処理Sにより向き判別の目印を形成すれば、蓋体51をより薄くすることが可能となり(肉厚を限界まで一様に薄くすることが出来る)、部品パッケージをより一層薄型化することが可能となる。
【0066】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るパッケージ構造により得られる効果を述べれば、次のとおりである。
【0067】
(1)実装不良の回避できる。従来のようにケース底面(実装面)をオープンとせず、逆に実装面と反対側のケース上面をオープンとしたから、リフロー時に樹脂が膨れても基板に樹脂が当たって部品が押し上げられることが無く、パッケージが浮き上がって実装不良が起こることがない。
【0068】
また、パッケージ上面についても、カバー(蓋体)51を被せてあるから、樹脂が膨張しようとしてもこれを抑えることが出来る。しかも、このカバー51は、4つの爪53aでベース21に嵌合させ、さらに係合ピン55と嵌合孔38とでパッケージ中央部分を固定しているから、カバー51を極めて薄く形成してパッケージを薄型化しても樹脂の膨れを確実に抑えることが出来る。また、かかる構造によりパッケージ全体の剛性も向上する。また、部品素子(巻線コア)が搭載されない部分の樹脂の肉厚を大きくしているから、リフロー時にパッケージの反りが発生しにくく、耐熱性に優れる。このため、従来のパッケージ構造より高温のリフローが可能で、鉛フリーはんだを使用した実装にも適応することが出来る。
【0069】
ベース21とカバー51の間の固定方法としては、接着剤を使用し、あるいは係合ピンの先端に割りピンを設けて固定する方法なども考えられるが、接着剤で固定する方法は、組み立て工程が多くなる(煩雑となる)面がある。一方、割りピンを使用する方法では、本実施形態に係るほど部品サイズを小さくすると、構造上割りピンを使用することは難しい。
【0070】
これに対し、本実施形態では、カバー51の係合ピン55にリブ56を形成し、これらリブ56が嵌合時に潰れる固定構造としたから、組立工程が煩雑になることがなく、カバー51を確実にベース21に固定することが出来る。部品全体(したがってカバー51や係合ピン55)が非常に小さくなっても、本実施形態のリブ56は容易に形成することが可能である。ただし、本発明は、カバーの固定に接着剤の使用を禁止するものではなく、リブと接着剤を併用しても勿論構わない。また、リブ56は、その形状を変更することも出来るし、係合ピン55および嵌合孔38の配設個数も本実施形態では1組としたが、2組以上設けることも可能である。
【0071】
さらに、本実施形態のパッケージ構造では、ベース21とカバー51とによりパッケージ内の素子が上面側も下面側も共に覆われているから、下面が開放されて内部素子がむき出しとなった従来のパッケージと異なり、顧客に心理的安心感を与え、この点でも信頼性が高い。
【0072】
(2)高密度な実装が可能となる。前記構成によれば、部品を薄型化して素子と基板と間の距離が接近してもパッケージ内に収容した部品素子と基板との間には、樹脂ベース21が介在することとなるから、電子部品(パッケージ)の下に配線パターンを形成することが可能となる。したがって、回路設計(配線の引き回し)の自由度が高まるとともに、従来の下面開放型のパッケージ部品を使用するより、高密度な基板実装が可能となる。
【0073】
(3)小型化とISO8802.3とを同時に満足させることが出来る。本実施形態のパッケージ構造では、前述のようにNCピン(本実施形態の場合には中央の4本の端子)を省き、この部分に巻線コアを収容する陥凹部22c,22dを突出させたから、パッケージ内のスペースを最大限に使い、より大きな部品を搭載することが出来る。
【0074】
また、単線を4本並べて接着剤で一体化した4ペア線を使用しているため、従来のツイストしたワイヤのように巻線後のコアが厚くなることがなく、したがって限界まで厚いコアを使用して高インダクタンスを実現することが出来る。ペア線によれば、ツイストしたワイヤと比較してもインサーションロスが増大する不都合もない。
【0075】
さらに、前記図12〜図14に示すような従来の下面開放型パッケージでは、リード端子の占める幅寸法dが大きく、その分パッケージ内の収容スペースが制限されていたが、本実施形態ではリード端子をL字状に形成することでリード端子の占める幅を抑えることができ、部品素子を収容できるスペースを広くすることが出来る。
【0076】
以上の結果、本実施形態によれば、外形サイズとして(図4および図5参照)、縦寸法W=9.47mm、横寸法L=12.55mm、高さ寸法H=1.9mmを達成し、同時に8mA重畳時のインダクタンス値として510μHを実現するLAN用部品を構成することが可能である。これは、前に述べたLAN用部品に対する現状の寸法要求(縦9.6mm,横12.7mm,高さ2.2mm以下)とISO8802.3(350μH以上)との両者を十分に満たすものである。
【0077】
また、本実施形態では、前に述べたようにL字状端子41を差込式の構造としたから、樹脂ケース成形時に金型にリード端子をセットする必要がなく、樹脂ベースのみで成形を行うことが出来る。したがって、成形が容易で製造コストを低減することができ、さらに樹脂ケースの成形プレス時にリード端子がずれて金型を破損するようなアクシデントの発生を防ぐことも出来る。
【0078】
本発明は、図面に基づいて説明した前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、表面実装電子部品をさらに小型薄型化することでき、またLAN用部品への要求特性であるISO8802.3を満足させかつ樹脂パッケージ部品の面積および高さを低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面実装パッケージの一例を示す分解斜視図である。
【図2】前記パッケージにおけるカバーの裏面側を示す斜視図である。
【図3】前記パッケージにおける樹脂ベースを示す平面図である。
【図4】前記パッケージにおける樹脂ベースとカバーとの嵌合状態を示す平面図である。
【図5】図4のE−E線断面図である。
【図6】図4のF−F線断面図である。
【図7】前記パッケージにおける係合ピンを先端側から拡大して示す図である。
【図8】前記パッケージにおける樹脂ベースにPTおよびCMCを収納した状態を示す平面図である。
【図9】図8のG−G線断面図である。
【図10】前記パッケージを使用したLAN用部品の構成を示す回路図である。
【図11】ランドパターンの一例を示す図である。
【図12】従来のLAN用部品の一例を示す平面図である。
【図13】図12に示したLAN用部品の底面図である。
【図14】図12に示したLAN用部品のK−K線断面図である。
【図15】従来のLAN用部品の別の例を示す断面図である。
【図16】従来のLAN用部品のさらに別の例を示す平面図である。
【符号の説明】
11 表面実装パッケージ
21 樹脂ベース
22a〜22d 陥凹部
35 段部
38 嵌合孔(係合穴)
53 係合片
55 係合ピン
56 リブ
41 リード端子
51 カバー(蓋体)
71,72 パルストランス(PT)
75,76 コモンモードチョーク(CMC)

Claims (7)

  1. 巻線を施した複数のトロイダルコアを収容可能なLAN用部品に用いる表面実装パッケージであって、
    該パッケージは、
    側縁部に複数のリード端子を有しかつ前記巻線を施したトロイダルコアを載せることが可能な樹脂ベース体と、
    この樹脂ベース体に嵌合し当該樹脂ベース体の上面を覆う平板状の樹脂蓋体と、
    を備え、
    前記樹脂ベース体は、その上面側に前記巻線を施した複数のトロイダルコアの各々を収容する複数の陥凹部を備え
    これら陥凹部は、当該陥凹部に収容する前記巻線を施したトロイダルコアの外形形状と略一致する平面形状を有しかつ、当該陥凹部のうちの少なくとも2つが互いに繋がっており、
    前記リード端子は、
    パッケージ内に収容した巻線を施したトロイダルコアとの電気的接続を形成するため樹脂ベース体の上面側縁部から略鉛直方向に起立する内側リード部と、基板側との電気的接続を形成するため樹脂ベース体から略水平に張り出す外側リード部とを有して、該内側リード部と該外側リード部が略L字状の全体形状をなし、かつ、
    配設間隔を他のリード端子より広くしたリード端子を含み、これにより前記樹脂ベース体に拡間部を備え、
    この拡間部に、前記陥凹部のうちの少なくとも一つの陥凹部の少なくとも一部を位置せしめた
    ことを特徴とするLAN用部品に用いる表面実装パッケージ。
  2. 前記樹脂ベース体の上面および前記蓋体の下面うちの一方でかつパッケージの平面視略中央部に係合ピンを設け、
    前記樹脂ベース体の上面および前記蓋体の下面うちの他方でかつパッケージの平面視略中央部に、前記蓋体を前記樹脂ベース体に被せたときに該係合ピンの嵌入を許容する係合穴を設け、
    これにより前記樹脂ベース体への前記蓋体の固定を可能とし
    前記係合ピンの外周面に、該外周面から外方に突出しかつ外方に頂点を向けた断面三角形の形状を有しかつ当該係合ピンの長手方向に延びる突起部を設け、
    前記樹脂ベース体への蓋体の装着に伴い、該突起部が変形しつつ前記係合ピンが前記係合穴に嵌入可能とした
    請求項に記載のLAN用部品に用いる表面実装パッケージ。
  3. 前記蓋体および前記樹脂ベース体のうちの一方の両端部に、先端部に係合爪を備えた係合片を設け、
    前記蓋体および前記樹脂ベース体のうちの他方の両端部に、前記蓋体を前記樹脂ベース体に被せたときに前記係合爪を引っ掛けることが可能な段部を形成した
    請求項1または2に記載のLAN用部品に用いる表面実装パッケージ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の表面実装パッケージの前記陥凹部に、巻線を施したトロイダルコアを収容した
    LAN用部品。
  5. パルストランスとコモンモードチョークを少なくとも2個ずつ収容するため、前記樹脂ベース体に少なくとも合計4つの陥凹部を設け、これらの陥凹部は、径の小さな2つの陥凹部と、これら2つの陥凹部より径の大きな2つの陥凹部とを含み
    前記樹脂ベース体の両側縁部の中央部に配するリード端子の間隔を他のリード端子より広くすることにより前記拡間部を形成し
    当該拡間部に、前記径の小さな2つの陥凹部の一部がそれぞれ配置されるよう陥凹部を設けて該陥凹部のそれぞれにコモンモードチョークを収容する一方、
    樹脂ベース体の長手方向の両端部に陥凹部をそれぞれ形成して該陥凹部のそれぞれにパルストランスを収容し、
    前記コモンモードチョークは前記パルストランスより小径である
    請求項4に記載のLAN用部品。
  6. 前記巻線が複数の単線を並べて一体化したペア線である
    請求項4または5に記載のLAN用部品。
  7. 前記ペア線が4本の単線を並べて一体化した4ペア線である
    請求項に記載のLAN用部品。
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