JP2001345222A - コイルボビン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイル巻線の引出し線が半田熱で溶けたモー
ルドに食い込むことによる断線ならびに別のコイル巻線
とのクロスオーバを解消して信頼性の高いトランスを製
造することができるコイルボビンを提供する。 【解決手段】 フランジ３の下端部外側に肉厚状であっ
て柱状構造の端子部５が複数形成され、この端子部５に
は引出線絡げ付け部６ａとプリント基板実装部６ｂから
なるＬ形のピン端子６が植設され、かつピン端子６間に
引出溝７が形成されたコイルボビンであって、前記端子
部５の上部両側にはそれぞれリブ８が形成され、前記引
出溝７の根元部７ａは前記リブ８の上端面８ａとほぼ同
じ位置か、その近傍まで形成され、前記引出溝７から引
出される引出線９は引出溝７の根元部７ａから外部に引
出され、かつ前記リブ８の上端面８ａに引掛けられ前記
ピン端子６の引出線絡げ付け部６ａに絡げ付けられる構
成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はＣＤプレーヤー等
の電源トランスに使用するコイルボビンに係り、特に半
田槽を通してピン端子にコイル巻線の引出し線を半田付
けする際の断線、引出し線と他のコイル巻線の交差（ク
ロスオーバ）を防止するコイルボビンに関する。

【０００２】

【従来の技術】図６（ａ）、（ｂ）に従来のコイルボビ
ンの端子部拡大図を示す。図６（ａ）において、コイル
ボビン５０の端子部５１は、植設されたピン端子５４の
引出線絡げ付け部が端子部外面５２から突出されてい
る。また隣接した端子部５１と間には引出溝５３が形成
されている。

【０００３】コイルボビン５０の巻胴部に巻かれたコイ
ル巻線（いずれも図示せず）の引出し線５５は、引出溝
５３を通り外部に引出され、そのまま端子部外面５２の
角を経由してピン端子５４の引出線絡げ付け部に絡げ付
けられる。

【０００４】ピン端子５４の引出線絡げ付け部に絡げら
れた引出し線５５の半田付けは、ピン端子５４を半田槽
の半田液に浸して行われるが、この場合、ピン端子部外
面５２は半田面となりその角の部分も半田液に浸され
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のコイルボビン
は、モールド成形品で形成されているため、半田槽を通
してピン端子５４の引出線絡げ付け部に絡げられたコイ
ル巻線の引出し線５５を半田付けする時、ピン端子部外
面５２も半田液に浸され、引出し線５５に張力が作用し
ている場合には、図６（ｂ）に示すように、ピン端子部
外面５２の角が半田の熱で溶けて引出し線５５の一部５
５Ａが食い込んでしまい、引出し線５５の断線事故が発
生する虞がある。

【０００６】また、従来のコイルボビンは、コイル巻線
の引出し線５５を引出溝５３を介しそのまま引出す構成
になっており、引出溝５３の根元（底の部分）から引き
出すことができないため、次回路のコイル巻線の引出し
線とクロスオーバする場合もあり、この対策として絶縁
用のテープなどの絶縁処理をしなければならない課題が
ある。

【０００７】この発明はこのような課題を解決するため
なされたもので、その目的はコイル巻線の引出し線が半
田熱で溶けたモールドに食い込むことによる断線ならび
に別のコイル巻線とのクロスオーバを解消して信頼性の
高いトランスを製造することができるコイルボビンを提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、フランジ３
の下端部外側に肉厚状であって柱状構造の端子部５が複
数形成され、この端子部５には引出線絡げ付け部６ａと
プリント基板実装部６ｂからなるＬ形のピン端子６が植
設され、かつ端子部５間に引出溝７が形成されたコイル
ボビンであって、前記端子部５の上部両側にはそれぞれ
リブ８が形成され、前記引出溝７の根元部７ａは前記リ
ブ８の上端面８ａとほぼ同じ位置まで形成され、前記引
出溝７から引出される引出線９は引出溝７の根元部７ａ
から外部に引出され、かつ前記リブ８の上端面８ａに引
掛けられ前記ピン端子６の引出線絡げ付け部６ａに絡げ
付けるピン端子タイプとしたことを特徴とする。

【０００９】また、リブ８の上部外面にテーパ面８ｂが
形成され、引出線９が引掛けられるリブ８の上端面８ａ
は端子部５の外面５ａより低い位置にあることを特徴と
する。

【００１０】さらに、フランジ３の下端部外側に肉厚状
であって柱状構造の端子部５が複数形成され、かつ端子
部５間に引出溝７が形成されたコイルボビンであって、
前記端子部５の上部両側にはそれぞれリブ８が形成さ
れ、前記引出溝７の根元部７ａは前記リブ８の上端面８
ａとほぼ同じ位置まで形成され、前記引出溝７から引出
される引出線９は引出溝７の根元部７ａから外部に引出
され、かつ前記リブ８の上端面８ａに引掛けられリード
線１０の一端１０ａに絡げ付けられリードタイプとした
ことを特徴とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面に沿って本発明を説明
する。

【００１２】

【実施例１】図１は本発明の一実施例の要部の斜視図、
図２は同実施例のコイルボビンの正面図、図３は同コイ
ルボビンの側面図、図４は半田付け工程の際の説明図を
示す。

【００１３】まず、図２および図３を参照しつつ本発明
のコイルボビンの全体構成を説明する。

【００１４】図中１は絶縁性の樹脂を成形してなるコイ
ルボビンで、このコイルボビン１は中空状の巻胴部２
と、この巻胴部２の両端にそれぞれ形成されたフランジ
３と、これらフランジ３間であって巻胴部２のほぼ中央
部外周に形成された中間フランジ４とを備えている。こ
の中間フランジ４は、周知のように、巻胴部２上に巻回
される１次、２次コイル（図示せず）を仕切るものであ
る。

【００１５】なお、トランスの種類によっては、下巻線
上に層間絶縁紙を介し上巻線（何れも図示せず）を巻回
するタイプのものもある。このタイプの場合、中間フラ
ンジ４は必要としないことは勿論である。

【００１６】フランジ３の下部外側には肉厚状であって
柱状構造の端子部５が間隔を介し複数形成されている。

【００１７】この端子部５にはＬ形のピン端子６が植設
されている。

【００１８】このピン端子６は、端子部５の外面５ａか
ら外側に突出し、コイルの引出し線が絡げ付けられる引
出線絡げ付け部６ａと、ピン端子部５の下面５ｂから下
方に突出するプリント基板実装部６ｂにて形成されてい
る。

【００１９】また、端子部５間には１次、２次コイルの
引出線を外部に引出し、かつ引出線絡げ付け部６ａに絡
げるための引出溝７が形成されている。

【００２０】次に図１を参照しつつ本発明の要部を説明
する。

【００２１】上記端子部５の上面両側には上方へ向って
延びるリブ８がそれぞれ形成されている。また、引出溝
７の根元部７ａはリブ８の上端とほぼ同じ位置か、その
近くまで切り込まれて形成されている。

【００２２】そして、コイルの引出線９は引出溝７の根
元部７ａ付近から外側へ引出され、かつリブ８の上端面
８ａの例えばほぼ中央部の位置に引掛けられ、端子部５
の上部中央部に突出された引出線絡げ付け部６ａに絡げ
付けるように構成されている。なお、引出線絡げ付け部
６ａの根元には凹状となっている。

【００２３】このリブ８の上部外面は上端に向って傾斜
するテーパ面８ｂが形成され、リブ８の上端面８ａは端
子部５の外面５ａより内側に形成されている。

【００２４】このため、半田付け工程の際、図４に示す
ように、半田面は端子部５の外面５ａであるＡ面まで浸
されるが、引出線９はこの面より下側に位置するため、
従来のようにボビンに食い込んだりすることがなく、断
線のおそれはない。

【００２５】図５は本発明の他の適用例を示す。図１〜
図４で示した前述の実施例のコイルボビン１は端子部５
にＬ形のピン端子６が植設されたピン端子タイプであっ
たが、ピン端子６のないリードタイプとして用いること
も可能である。

【００２６】すなわち、この例では端子部５にはピン端
子６がなく、引出線９はリブ８の上端面８ａに引掛けら
れ、端子部５の上部に形成された凹状部分を経てリード
線１０の一端１０ａに絡げ付けられる。

【００２７】このリード線１０の一端１０ａは、周知の
ように絶縁紙等からなる端子板１１を介し引出線９と絡
げ付けられる。なお、端子板１１は端子部５の内側のス
ペース部分の邪魔とならない位置に配置される。

【００２８】また、リード線１０の他端１０ｂは接続用
に用いられる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、端子部５
の上部にリブ８を形成し、引出溝７の根元部７ａをリブ
８の上端面とほぼ同じ位置か、その近くまで延設し、そ
こから引出線９を引出し、リブ１０の上端面８ａに引掛
けピン端子６の引出線絡げ付け部６ａに絡げ付けるよう
にし、半田面つまり端子部５の外面５ａの角部に引出線
が位置しないようにし、半田付け工程の際に半田面より
低い位置にあるリブ８の上端面８ａに引出線９が引掛け
られているので、半田の熱によって上端面８ａが溶ける
ことがなく、引出線９の食い込みを防止でき、断線を防
止できる。

【００３０】また、引出線９は引出溝７の根元部７ａよ
り引出し、リブ８の上端面８ａに引掛けられ、クロスオ
ーバーの心配がなくなるため、絶縁テープにより絶縁処
理を行う必要がなくなり、工数を削除し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の要部斜視図。

【図２】本発明の一実施例にかかるコイルボビンの正面
図。

【図３】本発明の一実施例にかかるコイルボビンの側面
図。

【図４】本発明の一実施例の半田付け工程の際の説明
図。

【図５】（ａ）は本発明の一実施例の他の適用例、
（ｂ）は引出線とリード線との接続状態の説明図を示
す。

【図６】（ａ）は従来例の部分斜視図、（ｂ）は従来例
において引出線がコイルボビンに喰い込む様子を示す説
明図である。

【符号の説明】

１ コイルボビン ２ 巻胴部 ３ フランジ ４ 中間フランジ ５ 端子部 ５ａ 端子部外面 ５ｂ 端子部下面 ６ ピン端子 ６ａ 引出線絡げ付け部 ６ｂ プリント基板実装部 ７ 引出溝 ７ａ 引出溝の根元部 ８ リブ ８ａ 上端面 ８ｂ テーパ面 ９ 引出線 １０ リード線 １１ 端子板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フランジ（３）の下端部外側に肉厚状で
   あって柱状構造の端子部（５）が複数形成され、この端
   子部（５）には引出線絡げ付け部（６ａ）とプリント基
   板実装部（６ｂ）からなるＬ形のピン端子（６）が植設
   され、かつ端子部（５）間に引出溝（７）が形成された
   コイルボビンであって、 前記端子部（５）の上部両側にはそれぞれリブ（８）が
   形成され、 前記引出溝（７）の根元部（７ａ）は前記リブ（８）の
   上端面（８ａ）とほぼ同じ位置まで形成され、 前記引出溝（７）から引出される引出線（９）は引出溝
   （７）の根元部（７ａ）から外部に引出され、かつ前記
   リブ（８）の上端面（８ａ）に引掛けられ前記ピン端子
   （６）の引出線絡げ付け部（６ａ）に絡げ付けるピン端
   子タイプとしたことを特徴とするコイルボビン。
2. 【請求項２】 リブ（８）の上部外面にテーパ面（８
   ｂ）が形成され、引出線（９）が引掛けられるリブ
   （８）の上端面（８ａ）は端子部（５）の外面（５ａ）
   より内側にある請求項１記載のコイルボビン。
3. 【請求項３】 フランジ（３）の下端部外側に肉厚状で
   あって柱状構造の端子部（５）が複数形成され、かつ端
   子部（５）間に引出溝（７）が形成されたコイルボビン
   であって、 前記端子部（５）の上部両側にはそれぞれリブ（８）が
   形成され、 前記引出溝（７）の根元部（７ａ）は前記リブ（８）の
   上端面（８ａ）とほぼ同じ位置まで形成され、 前記引出溝（７）から引出される引出線（９）は引出溝
   （７）の根元部（７ａ）から外部に引出され、かつ前記
   リブ（８）の上端面（８ａ）に引掛けられリード線（１
   ０）の一端（１０ａ）に絡げ付けられリードタイプとし
   たことを特徴とするコイルボビン。