JP3806214B2 - 筆記受理性プラスチックラベル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は筆記受理部を有するプラスチックラベルに関する。本発明の筆記受理部を有するプラスチックラベルは、特にオーディオカセット、ビデオカセット、光磁気ディスク等に代表される磁気記録媒体において、ペンや鉛筆により文字、記号等を記録するために使用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来鏡面状であるプラスチックラベル表面は平滑性がよいため筆記具先端が滑り筆記具によっては筆記できない。これを解決すべく若干の提案がある。特開平4−87088号のように基材となる透明PET(ポリエチレンテレフタレート)を発泡させ、発泡によってできた弾性効果を利用して筆記性をもたせるといった提案が出されている。しかし、この技術では、基材に透明PET製プラスチックラベルを用いているため、紙と違い水にふやけることはないが、その分吸水性に劣るためインク乾燥に時間がかかる。
【0003】
特開平6−111536号には、筆記性を持たせるための筆記受理領域を、カセット表面に、またはカセット表面に貼着すべきプラスチックフィルム基材に、プロテインパウダー(必要なら更に酸化チタンあるいは炭酸カルシウムのような白色顔料)を分散したインキを印刷することにより形成し、それにより、カセット表面またはプラスチックフィルム表面に親水性のインキ受容領域を形成し、水性ペン、鉛筆、油性ペンを使用する筆記具のいずれによっても筆記可能としている。この場合にプロテインパウダーは吸水性でありしかも粒子間に適度の隙間を生じて水分の取り込みを容易にする作用があると言われている。
【0004】
更に、実開昭58−52688号にはアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した透明プラスチックフィルム基材の表面に、インク吸収材としてのでんぷんまたはその誘導体(必要なら更に酸化チタンのような白色顔料)を含有したインキを印刷して水性ペンで筆記が可能な貼着ラベルを記載している。でんぷんは吸水性を有するので水性ペンによる記載が可能となり、また表面が粗化されると鉛筆による記入も油性ペンによる記載もできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように物品の表面あるいはラベルの表面に筆記可能な領域をプロテインあるいはでんぷんを分散させたインキを使用して筆記受理層を印刷すると、吸水性が増して各種ペンあるいは鉛筆により筆記が可能になるが、プロテインパウダーやでんぷんは通常の輪転印刷機により連続印刷するのに適さず、量産性に問題があることが分かった。すなわち、プロテインパウダーやでんぷんを含有するインキを使用して印刷を行うと、印刷機の各種ロール表面にプロテインパウダーやでんぷんが蓄積して遂には適正な印刷が不可能となる。
本発明はこの問題を解決して優れた筆記受理性を有するラベルまたは印刷物品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カセット等に貼着されるプラスチックフィルム基材に、筆記受理剤の成分として木材系のセルロースを用いた筆記受理インキを印刷して筆記受理部を形成したことを特徴とする、カセットケース等に筆記受理部を形成するためのラベルである。
本発明はまた、このような筆記受理部を有するカセット等の物品に貼着するためのラベルの製造において、カセット等の支持表面またはカセット等に貼着されるプラスチックフィルム基材に、筆記受理剤の成分として木材系のセルロースを用いた筆記受理インキを、印刷版に網点版を使用した凸版輪転印刷法により印刷することを特徴とする、筆記受理性プラスチックラベルの製造方法である。
この場合、筆記受理部は一回の印刷で所定の厚さに印刷すると版面に目詰まりが生じて長期の印刷が不可能となる。従って、筆記受理部の厚さを一回の印刷で出さないで2回以上に分けて所定の厚さに印刷すると版面に目詰まりが生じないので長期の印刷に耐えるので好ましい。
また、網点版を使用することにより、印刷表面を適宜に粗面とすることができ、木材系のセルロース粉末の使用による吸水性の向上の他に、更に鉛筆等による筆記性を改善することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は、カセット等の物品の表面に貼着するためのプラスチックラベル基材に筆記性をもたせるため、筆記受理剤の成分として木材系のセルロースを用いた筆記受理インキを使用することである。木材系のセルロースを使用すると、印刷機の各種ローラへのインキ付着と蓄積が減じて、凸版輪転印刷法を使用した大量印刷が可能となる。また、更に木材系のセルロースの使用により適度な凹凸が形成されることにより筆記性が改善される。
ここに、木材系セルロースの好ましい調整方法は、木材、木綿、麻類等の繊維を脱脂し、希アルカリ溶液と煮沸した後、インキ化し易いように粉末化したものである。木材系セルロースは繊維を脱脂してあるため、吸水性(親水性)に優れており、筆記受理性を向上する。上に述べた公知のプロテイン及びでんぷんは、凸版輪転印刷において印刷版によるインキ転移性が不十分であるが、本発明では木材系セルロースを採用することによりインキ転移性を改善でき、輪転印刷機の採用により連続印刷が可能になり量産性を確保できる。
【0008】
本発明によると、吸水性が向上することにより万年筆、水性サインペン、等のインクによる記入が可能になるだけでなく、油性ペンによる筆記性も確保でき、更に印刷領域が木材系のセルロースにより適度な凹凸ができて鉛筆による筆記性が向上する。このように、本発明による木材系のセルロースを使用した筆記受理領域にはあらゆる筆記具による筆記性が付与される。
【0009】
図1は本発明によるラベルの一例を示し、剥離紙1、接着剤2、アルミ蒸着層3、透明なフィルム基材4及び筆記受理層5により構成される。アルミ蒸着層3はメタリック調の美観を得るための層であって、省略することも可能であるし、二酸化チタンまたは炭酸カルシウム粉末を含有する白色層とすることも可能である。
筆記受理層5は、本発明に従って、受理剤に木材を主としたセルロース系のものを使いインキ化し、印刷版に網点版を使用した凸版輪転印刷法により1回、好ましくは2回以上印刷することを特徴とする。
【0010】
本発明に使用するインキ組成の好ましい例は次の通りである。ただし%は重量%である。
【0011】
【表1】
【0012】
次に印刷方法として、短時間に多くのラベルができインキ転移量の比較的多めな凸版輪転印刷を使用する。凸版輪転印刷は、図2に示したように、インキ壷6から数本の転写ロール7(ロール7’は揺動して隣接の転写ロール間を移動する)を経て樹脂性の印刷版8にインキ11を転写し、最後にロール10に沿わせて送られる被印刷物となるプラスチックフィルム基材ないし原反9に印刷する方法であるが、今回のインキは、筆記受理剤という通常インキにはない大きい粒径のものを使用しているため製品開発段階において様々な問題が発生した。
【0013】
1つには筆記受理剤粒径が粗粒であるので転写ロール7に筆記受理剤が残ってしまうことから当初10μ程度の筆記受理剤粒子を使用したが受理剤粒径をできるだけ小さい粒径7μ以下のものにし、更に転写ロール7のうちゴム製のロールすなわち印刷版8への受理剤残りが印刷長さが長いほど蓄積することから、耐溶剤性の強いニトリルゴムに変更することにより良い結果を得た。筆記受理剤が結合剤に対して多過ぎると印刷が粗くなり好適な表面が得られないので、約10〜30%に限定することが好ましい。又開発当初印刷版8は、図3〜図4に示したような凹凸のないベタ版12にて行っていたが、筆記性及び乾燥性をより改善するため印刷後のラベルに凹凸を生じるように図5〜図6に示した網点版を採用することにより筆記受理層の木材の吸水性と共に凹凸による水性インキの捕捉を可能にした。ここに、網点版とは図5〜図6のように版表面を網目のように区分して各網目を凸面と凹面とに形成した印刷版であり、凸面の面積率%をもって%網点版と定義する。そして網点にしたことで印刷層が薄くなったところをカバーするため図2に示したように他の印刷ロール列を並列に設けてもう一度受理インキを網点印刷することにより更に筆記性及び乾燥性が向上する。より具体的には約60〜80%網点版を一回使用したところ、ある程度良好な結果は得られるもの表面が荒れて不十分であった。そこで第1回を60%網点版を使用し、第2回を30%網点版を使用した印刷を実行したところ、2回の印刷によるインキが補足し合って吸水性と表面粗さが適正となり、更に印刷時間を長時間にしても筆記受理剤残りが少なくなり連続印刷が可能となった。
また、結合剤としてはエポキシ系アクリレートとアクリル樹脂を併用することが好適であることが分かった。ただしエポキシ系アクリレートとアクリル樹脂の比率を9:1〜6:4とするとインキ残りが減少して印刷適性が向上することが分かった。ここに、エポキシ系アクリレートは印刷適性を向上し、アクリル樹脂は筆記性を向上する。
以上のように、木材系セルロースを使用してベタ版(網点率100%)による印刷を行ったのではインキ転写性が悪かったが、網点版を採用することによりインキ転写性を大幅に改善することができ、本発明の所期の目的を達成できた。
【0014】
【実施例】
被印刷物の基材としてPETプラスチックフィルムの裏面にアルミ蒸着層を設けてなる厚さ76μmのラベル(厚さ76μm、リンテック社製SSジネーマー銀艶)に再剥離性弱粘着剤層を介して厚さ120μmのセパレート紙を貼付したラベル原反を使用した。
筆記受理剤として木材系のセルロースを入れた筆記受理インキにて印刷を行った。使用した筆記受理インキ組成(重量%)は調製許容範囲を含めて次の通りであった。
【0015】
【表2】
【0016】
ロール状になった原反に凸版輪転印刷機にてまず60%網点の版にて印刷を行い、次に30%網点の版にて2層目の印刷を行った。水性ペンによる筆記性が良好であった。また表面粗度が鉛筆による筆記に適した。油性ペンによる筆記性も良好であった。さらに、インキの転写残量を生じない印刷長さも900m以上が可能であった。上記において、一回だけの60%網点の版にて印刷を行った場合はインキの転写残量は問題がなく実用になるものの、インキの転移量が少ないために表面にむらが生じ筆記性にやや問題が生じた。一方、まず80%網点の版にて印刷を行い、次に60%網点の版にて2層目の印刷を行った場合もインキの転写残量は問題がなく実用になったが、インキの転写量が多くベタ印刷に近くなり、インキを保持する凹所部分が少なく水性ペンのインキの乾燥までに若干時間がかかった。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明は木材系のセルロースよりなる印刷受理剤を使用した印刷インキを使用したため、鉛筆、ボールペン、水性ペン、油性ペン等の筆記具に対応でき、筆記性に優れ、また印刷版に網点版を使用することにより、凸版輪転印刷機による筆記受理性のプラスチックラベルを連続印刷により工業的に量産することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるインキ受容性ラベルの断面図である。
【図2】本発明を実施する輪転印刷機の構成を示す図である。
【図3】印刷版をベタ版で構成した場合の平面図である。
【図4】印刷版をベタ版で構成した場合の図3の線I−I断面図である。
【図5】印刷版を網点版で構成した場合の平面図である。
【図6】印刷版を網点版で構成した場合の図5の線I−I断面図である。
【符号の説明】
1 剥離紙
2 接着剤
3 アルミ蒸着層
4 フィルム基材
5 筆記受理層
6 インキ壺
7 転写ロール
8 印刷版
9 被印刷フィルム基材
10 ロール
11 インキ
12 ベタ版
13 網点版
Claims (4)
- プラスチックフィルム基材に、筆記受理剤の成分として木材系のセルロースを用いた筆記受理インキを、凸面面積率%の異なる網点版を各印刷版として、1回目の印刷を施したところに2回目以降の印刷を施すことにより形成して成る、少なくとも2層からなる筆記受理部を有する筆記受理性プラスチックラベル。
- プラスチックフィルム基材に、筆記受理剤の成分として木材系のセルロースを用いた筆記受理インキを、凸面面積率%の異なる網点版を各印刷版として用いて、1回目の印刷を施したところに2回目以降の印刷を施すことにより少なくとも2層からなる筆記受理部を形成する筆記受理性プラスチックラベルの製造方法。
- 2回目以降の印刷に用いる網点版の凸面面積率%が、1回目に用いる網点版の凸面面積率%よりも小さい請求項1の筆記受理性プラスチックラベル。
- 2回目以降の印刷に用いる網点版の凸面面積率%が、1回目に用いる網点版の凸面面積率%よりも小さくされる請求項2の筆記受理性プラスチックラベルの製造方法。
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JP02454897A JP3806214B2 (ja) | 1997-01-24 | 1997-01-24 | 筆記受理性プラスチックラベル及びその製造方法 |
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JPH10207369A JPH10207369A (ja) | 1998-08-07 |
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1997
- 1997-01-24 JP JP02454897A patent/JP3806214B2/ja not_active Expired - Fee Related
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