JP3891083B2 - 回転電機の冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機(モータ、ジェネレータ又はモータ兼ジェネレータなど)のステータを効率よく冷却する回転電機の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回転電機(例えば、モータ、ジェネレータ又はモータ兼ジェネレータなど)において、ステータコアに貫通穴を開けて、その貫通穴に中空ボルトを通し、さらに、その中空ボルトに冷媒を流すことで、ステータを冷却する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−336966号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来技術では、熱源であるステータコイルと冷媒との距離が離れているので、ステータコアや中空ボルトに影響され、ステータコイルを冷却する性能はあまりよくなかった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、冷却性能に優れた回転電機の冷却構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0007】
本発明は、回転軸に連結するロータ(30)と、前記ロータ(30)の外側に同軸に配置され、軸方向に延在しコイルを巻装したステータコアを円周方向に複数個配置するステータ(20)と、前記ロータ(30)及びステータ(20)を内部に収め、両端が開口する円筒部(11)と、断面コの字状であってその円筒部(11)にボルト固定されて円筒部(11)の開口両端を閉塞するとともに、前記ステータ(20)を挟持する第1及び第2の筒底部(12,13)と、を有する三体構造のケース(10)と、前記ケース(10)の円筒部(11)の内壁の窪部と、前記ステータ(20)の外周とによって形成された第1の冷媒通路(7)と、前記円筒部(11)と前記第1の筒底部(12)との接触面、および前記円筒部(11)と前記第2の筒底部(13)との接触面に配置され、前記第1の冷媒通路(7)を通流する冷媒の漏出を防止する冷媒漏出防止部材(15)と、隣り合うステータコア間に形成した第2の冷媒通路(24)とを備えることを特徴とする。
【0008】
【作用・効果】
本発明によれば、コイル及びステータコアを、第1、第2の冷媒通路を流れる冷媒で冷却することができるので、優れた冷却性能を呈する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
【0010】
図1、図2は、本発明の一実施形態における回転電機を示す断面図である。なお、図1は図2のI−I矢視図、図2は図1のII−II矢視図になっている。
この回転電機1は、ケース10と、ステータ20と、ロータ30とを備え、例えば、モータ、ジェネレータ又はモータ兼ジェネレータ等として機能するものである。
【0011】
ケース10は、円筒部11と、筒底部12,13とを有する。
【0012】
円筒部11は両端が開口した筒状部材であり、その内周にステータ20が配置されている。また、円筒部11は、中央付近の内壁の一部に窪部が形成されており、その断面は図1の下方に示されている通り、凹状になっている。この窪部には、後述の通り冷却水供給口及び冷却水排出口が連通されており、この窪部を冷却水通路7として使用する。
【0013】
筒底部12,13は、円筒部11の軸方向両端の開口を閉塞する部材である。筒底部12,13は、一端が円板で塞がれた筒形の部材である。筒底部12,13の断面は、図1に示されている通り、「コ」状である。筒底部12,13は、ボルト14によって円筒部11に固定されるとともに、ステータ20を挟持している。
【0014】
また、筒底部12,13には、ロータ30の回転軸32(後述)を回転自在に支持するベアリング12d,13dが設けられている。
【0015】
筒底部12,13と、円筒部11との接触面には、Oリング15が配置されており、冷却水通路7を流れる冷却水の漏出を防止する。
【0016】
円筒部11及び筒底部12の筒状部分には、冷却オイル供給通路8が形成されている。なお、図1では、この冷却オイル供給通路8を上方部分に例示してある。冷却オイル供給通路8の一端は、筒底部13の近傍に形成され、円筒部11の外面に開口した給油口8aに連通されている。冷却オイル供給通路8の他端は、第1冷却オイル室24a(後述)に連通されている。
【0017】
また、円筒部11及び筒底部13の筒状部分には、冷却オイル排出通路9が形成されている。なお、図1では、この冷却オイル排出通路9を下方部分に例示してある。冷却オイル排出通路9の一端は、筒底部12の近傍に形成され、円筒部11の外面に開口した排油口9aに連通されている。冷却オイル排出通路9の他端は、第2冷却オイル室24b(後述)に連通されている。
【0018】
冷却オイル供給通路8及び冷却オイル排出通路9は、円筒部11の周方向に交互に等間隔で形成されている(図2参照)。図2では、冷却オイル供給通路8及び冷却オイル排出通路9は、6本ずつ形成されている。
【0019】
ステータ20は、ケース10の円筒部11の内周に設けられ、両側から筒底部12,13で挟持されている。
【0020】
ステータ20は、ステータコア21と、ステータコイル22とを有する(図4参照)。また、ステータのロータ側の面(内周面)には、円筒状のステータ内周壁面23a,23bが形成されており、このステータ内周壁面23a,23bは、その一端が筒底部12,13に固定されている。
【0021】
このステータ内周壁面23aは、ステータコア21及び筒底部12とともに第1冷却オイル室24aを画成する冷媒室形成部材である。
【0022】
このステータ内周壁面23bは、ステータコア21及び筒底部13とともに第2冷却オイル室24bを画成する冷媒室形成部材である。
【0023】
ロータ30は、ステータ20の内側に配置されている。このロータ30は、円柱形状のロータコア31と、このロータコア31の中心軸上に貫通配置される回転軸32とを備える。回転軸32の両端はそれぞれベアリング12d,13dを介して筒底部12,13に支持されており、回転自在となっている。ロータ30の外周面近傍には磁石31aが配置されている。
【0024】
図3は、ステータコアの斜視図である。
【0025】
ステータコア21は、バックコア21aと、そのバックコア21aから内周側に延設されたティース21bとを有する略T字形状の電磁鋼板が多数枚積層されて形成されている。バックコア21aのケース10側の面(図3の上面)には、樹脂層21fが形成されている。また、バックコア21aには、キー25がほぼ半分ほど埋設されている。
【0026】
図4は、図1のIV−IV矢視図である。
ステータ20は、キー25の嵌合によって、ケース10の円筒部11に固定されており、したがってステータ20はケース10に対して回転不能である。また、ティース21bには絶縁キャップ21dが取り付けられており、その上からステータコイル22が集中巻きされている。この絶縁キャップ21dは絶縁性能を有し、ステータコア21とステータコイル22との導通を防止する。また、絶縁キャップ21dの表面がステータ20の端面となっている(図1参照)。
【0027】
また、ティース21bの間の空間がスロット21cであり、ステータコイル22は、このスロット21cに通されている。スロット21cは、軸方向の両端部分及び半径方向内周側が開口した溝状の空間であるが、樹脂21eで半径方向内周側の開口部分を閉塞することで、ステータコイル22を冷却するための冷却オイルを通流可能なオイル通路24として、このスロット21cを利用する。このように形成したオイル通路24は、第1冷却オイル室24a及び第2冷却オイル室24bを連通する。したがって、冷却オイル供給通路8から取り入れられたオイルは、第1冷却オイル室24a、オイル通路24、第2冷却オイル室24bを通過して冷却オイル排出通路9から排出されることとなり、その間に、ステータコイル22の熱を吸熱する。
【0028】
図5は、図1のV−V矢視図である。
円筒部11の中央付近には、円筒部11の内周部分に窪部が形成されており、円筒部11とステータ20との間に空間が存在する。この空間が、冷却水通路7である。この冷却水通路7では、キー25は、ケース10の円筒部11に嵌合していない。
【0029】
また、円筒部11には、この冷却水通路7と連通する冷却水供給口7a及び冷却水排出口7bが形成されており、冷却水を通流可能である。
【0030】
また、ステータコア21(バックコア21a)の冷却水通路7側の面には、冷媒侵入防止手段としての樹脂層21fが形成されている(図3参照)。この樹脂層21fは、積層された電磁鋼板の間から冷却水が漏れて、その電磁鋼板に錆が発生することを防止するものである。
【0031】
また、円筒部11と、ステータ20のキー25との間にはシール26が配置されており、このシール26によって、冷却水供給口7aから給水された冷却水と、冷却水排出口7bから排水される冷却水とが仕切られている。
【0032】
このため、冷却水供給口7aから給水された冷却水は、図5に矢印で示すように、冷却水通路7を流れて、ステータコア21を冷却し、冷却水排出口7bから排水される。
【0033】
以上のような構造によって、ステータコイル22から発生した熱は、オイル通路24を流れる冷却オイル、ステータコア21を伝導して、冷却水通路7を流れる冷却水によって冷却される。
【0034】
また、異なる冷媒を用いることにより、冷媒の温度差により高温の冷媒を低温の冷媒で冷却することができる。
【0035】
本実施形態によれば、冷却オイルをオイル通路24に流してステータコイル22を、錆を発生させることなく、絶縁性を保ちながら直接冷却するので、冷却性能に優れる。
【0036】
また、ステータコア21(バックコア21a)の冷却水通路7側の面に、樹脂層21fを形成したので、電磁鋼板への冷却水の漏水を防止することができ、その電磁鋼板に錆を発生させない。
【0037】
さらに、ステータ内周壁面23a,23bを設けることで、ステータコイルの周囲を密閉することができるので、コイルに集中的に冷媒を流すことが可能になる。
【0038】
また、本実施形態によれば、キー嵌合を行う部分以外は、ステータコアとケースとの間に空間ができるので、冷却水通路7を確保しながら、ステータコアをケースに固定することができた。
【0039】
さらに、シール15を設けたので、円筒部11及び筒底部12,13の間でのシール性を確保することができ、冷却水通路7を流れる冷却水の漏出を防止する。
【0040】
なお、以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。例えば、冷却オイル供給通路等の大きさや数量等は、システムサイズや性能等に合わせて適宜調整すればよい。
【0041】
さらに、本実施形態では、異なる2種類の冷媒を用いる場合を挙げて説明したが、同一の冷媒を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転電機の軸直角方向から見た断面図である。
【図2】本発明の回転電機の軸方向から見た断面図である。
【図3】ステータコアの斜視図である。
【図4】図1のIV−IV矢視図である。
【図5】図1のV−V矢視図である。
【符号の説明】
1 回転電機
7 冷却水通路(第1の冷媒通路)
8 冷却オイル供給通路
9 冷却オイル排出通路
10 ケース
15 シール(冷媒漏出防止部材)
20 ステータ
21 ステータコア
21b ティース
21c スロット
21e 樹脂(スロット閉塞部材)
21f 樹脂層(冷媒侵入防止手段)
24 オイル通路(第2の冷媒通路)
30 ロータ
Claims (6)
- 回転軸に連結するロータと、
前記ロータの外側に同軸に配置され、軸方向に延在しコイルを巻装したステータコアを円周方向に複数個配置するステータと、
前記ロータ及びステータを内部に収め、両端が開口する円筒部と、断面コの字状であってその円筒部にボルト固定されて円筒部の開口両端を閉塞するとともに、前記ステータを挟持する第1及び第2の筒底部と、を有する三体構造のケースと、
前記ケースの円筒部の内壁の窪部と、前記ステータの外周とによって形成された第1の冷媒通路と、
前記円筒部と前記第1の筒底部との接触面、および前記円筒部と前記第2の筒底部との接触面に配置され、前記第1の冷媒通路を通流する冷媒の漏出を防止する冷媒漏出防止部材と、
隣り合うステータコア間に形成した第2の冷媒通路と、
を備えることを特徴とする回転電機の冷却構造。 - 前記第1の冷媒通路には冷媒として冷却水を流し、前記第2の冷媒通路には冷媒として冷却オイルを流す
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の冷却構造。 - 前記第2の冷媒通路は、ティース先端付近に配置され、そのティース間のスロットの開口部分を閉塞するスロット閉塞部材によって形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機の冷却構造。 - 前記ステータコアの外周面に形成され、前記第1の冷媒通路を通流する冷媒が、そのステータコアに侵入することを防止する冷媒侵入防止手段を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の回転電機の冷却構造。 - 前記ステータコア及び前記ケースの間に形成され、そのステータコア及びケースとともに冷媒室を画成する冷媒室形成部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の回転電機の冷却構造。 - 前記ステータコア及び前記ケースの間に設けられ、そのステータコアとケースとを固定するキー嵌合部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5に記載の回転電機の冷却構造。
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