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JP3889342B2 - 装着型通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は音声信号通信装置に係り、特に長時間使用による身体的疲労或いは違和感なく常時装着可能な音声信号の通信を行なうための出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001-217732号公報
【特許文献2】
特許3067762号公報
【非特許文献1】
http://pcweb.mycom.co.jp/newsw/2002/09/04/14.html
従来、携帯電話や固定電話あるいはパーソナルコンピュータと人間との間の音声の無線インターフェースとしては、受話器ヘッドセットとそれに取り付けられたマイクを頭部に装着する装置が広く使用されてきた。しかしこの構成では長時間の装着に対しては疲労し、違和感を感じるようになる。このため装置の小型化が進められるようになってきた。図4はこの例で、頭部ではなく耳介に装着するタイプの無線ヘッドセットが上記非特許文献1において報告されている。この無線ヘッドセットは、マイク部12と、送受信部およびスピーカ駆動部13と、スピーカ部11が一体となっており、耳から口元にかけての大きさを有し、一体化された送受信部およびスピーカ駆動部13およびスピーカ部11を耳介に掛けて装着するため常時装着するには小型軽量化されたとは言え、なお違和感がある。このため、マイクを有する送信機能部分とスピーカを有する受信機能部分を分離し、常時装着しても違和感がないようにそれぞれをより小型化する研究開発が進んでいる。例えば、受信機能を有する部分に関しては上記特許文献1および特許文献2に記載されている様に指輪型にすることが検討されている。
【0003】
指輪型の場合には、スピーカ部11、受信部およびスピーカ駆動部13の各部分を指輪状の形に実装しなければならない。したがって、このような指輪型の通信装置に対しては、小型化と共に日常生活中において常時装着することになるため防水性や耐衝撃性も確保しなければならない。
【0004】
このときスピーカの特性としては、スピーカの振動面で作り出される空気の疎密波を外部に放出するため、従来の構造では、スピーカの振動面はスリットまたは穴等を介して外気に触れていなけれぱならない。このためこの部分を防水にすることは困難であった。また、手を耳にあてるという自然の動作でスピーカ部からの音をスムーズに聞くためにはスピーカ部は手のひら側になければならず、この場合指輪をつけたまま硬いものを握ると発音部分を含む精密構造を有するスピーカ部を破損する問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来の指輪型の場合は、防水性、耐衝撃性および強度等の点で問題があった。本発明は従来の無線ヘッドセットにおける受信機能を指輪型に収納しようとしたときに生じるこのような問題点を解決した指輪型音声信号通信装置の実現を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1においては、指輪の外周面上に音声信号等の電気信号で振動する振動体が固着されており、前記指輪の外周面上でかつ前記振動体が固着されている位置に対して直径上の反対側の位置に振動音出力用の部材が固着されており、指に前記指輪を装着した状態で、前記指輪を装着した指を含む手のひらで耳介を覆うようにし、前記振動音出力用の部材を外耳道の入口付近に位置させることにより前記振動体で発生した信号を、前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播し、これにより前記振動音出力用の部材から発せられた振動音を聞き取る構成とし、かつ、前記振動音出力用の部材として外耳道入口と同程度の大きさの薄板を使用する構成について規定している。
【0007】
請求項2においては、指輪の外周面上に音声信号等の電気信号で振動する振動体が固着されており、前記指輪の外周面上でかつ前記振動体が固着されている位置に対して直径上の反対側の位置に振動音出力用の部材が固着されており、指に前記指輪を装着した状態で、前記指輪を装着した指を含む手のひらで耳介を覆うようにし、前記振動音出力用の部材を外耳道の入口付近に位置させることにより前記振動体で発生した信号を、前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播し、これにより前記振動音出力用の部材から発せられた振動音を聞き取る構成とし、かつ、前記振動音出力用の部材を骨伝導聴取用として棒状ブロック材を耳介近傍の頭蓋骨部に接触させて音声信号聴取を行うための構造について規定している。
【0008】
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載した前記装着型通信装置において、赤外線や電波信号を受信する受信装置と前記振動体を駆動するための駆動回路とが装着された電池を、前記振動体の上に搭載し、前記受信装置により受信した信号から得られた音声信号を、前記駆動回路により前記振動体を駆動し、前記振動体から得られた振動は前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播する構造について規定している。
【0009】
請求項4においては、請求項1または請求項2に記載した装着型通信装置において、前記振動体と、前記受信装置と、前記駆動回路と、前記電池とが一体化されている部分が密封材料により密封された耐久性を向上した構造について規定している。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による第1の実施の形態であり、指輪21の外周面上に振動体22を取り付け、同じ指輪21の外周面上で上記の振動体22の取り付け位置に対して直径上の反対側の位置近傍に金属等の薄い板で出来た小型振動板23を接着した構成とした。音楽または音声信号等で振動体22を振動させることにより振動体22は指輪21の全体を振動させ、その結果として小型振動板23も振動させられる。この小型振動板23は空気を振動させ空気の疎密波を作るため、この指輪を指にはめ、小型振動板23を外耳道の入り口付近に位置するように、手を耳に当てることにより音として聞くことが可能となる。本発明と前記従来技術との大きな相違点は、指輪上で振動体22と、音を発生する部分である小型振動板23は異なる位置に設置されているため、手を耳に当てるという自然の動作で音を耳元でスムーズに聞くことを可能にしていることである。
【0013】
ここで重要なことは振動発生の機能すなわち振動体22と、空気の疎密波を作る発音機能すなわち小型振動板23とは、直径上で互いに対向位置に配置することを可能としたことで発音部分を単に小型振動板23のみの簡単な構造で実現したことにある。このように指輪21自体の振動を介して振動体22の振動を指輪21の直径上の反対側の位置に設置した小型振動板23で空気の疎密波に変換しているため、振動伝播に影響を与えることなく関連回路部を含む振動体22と指輪21とを防水性のある構造で覆うことは可能であり、振動体22および関連回路部分を水その他外部環境変化から保護することができる。さらに指輪21の手のひら(掌)側には小型振動板23のみが配置された構成となっており、これを金属等で充分な強度を持たせる構造とすれば硬いものを握っても小型振動板23が破壊することはない。
このように本発明を用いることにより水その他周囲環境の変化および衝撃等にる破損あるいは損傷を軽減することが可能となる。なお、小型振動板23は指輪21と融合して装着されているが、音波発生源としての小型振動板23の面積を広くするような形状になっていても同様の機能を実現することは可能である。また、図示しないが小型振動板23の代りに小さな棒状のブロック材を取付け、このブロック材を耳介近辺の頭骸骨部分に接触させて骨伝導現象を利用することも可能である。さらに、小型振動板23を使用することなく、振動体22とその駆動部および信号受信部とのみを装着した構造でも、指輪を付けた手(掌)で耳介を覆うようにして使用することにより、指の皮膚が音波の2次ふく射面となり、更に手(掌)が周囲騒音を遮蔽する効果があり、音声信号受信に充分実用に耐えることを実験的に確認している。
【0014】
図2は本発明第2の実施の形態であり、赤外線あるいは電波信号を受信する受信装置31と振動体22を駆動するための駆動回路32とコイン電池等搭載可能な電池33とを上記第1の実施の形態の構造を有する指輪に装着し、音声や音楽信号で変調された赤外線あるいは電波信号を受信し、駆動回路32により振動体を振動させ、上記第1の実施の形態に記載した構造を用いて振動体22で発生した振動を小型振動板23を介して音として聞くことを可能にしている。本第2の実施の形態の動作は本発明第1の実施の形態と同様である。本第2の実施の形態の長所は受信装置31と駆動回路32とコイン電池等搭載可能な電池33を振動体22と一体化し、樹脂等密封材料でかつ防水性のあるもので覆うことにより耐環境性を向上して、かつ振動伝播を可能としていることである。これにより、振動体、電池および電子部品の水その他有害環境物質による劣化を軽減することが出来る。
【0015】
図3は振動体22としてのアクチュエータの構造例を示したものである。すなわち、2枚の金属板40、43の間にコイル42と磁石41が入っておりダイナミックスピーカ同様に磁界中でコイルを移動させる、いわゆる動電型の原理により上面板40および下面板43の2枚の金属板を振動させる。これを本発明に用いる場合、一方の金属板(例えば40)を固定側として指輪21上面に固定するが、このとき他方の自由側の金属板(例えば43)は指輪21に比べて十分な重さを有していれば、自由側の金属板はほとんど振動することなく、振動エネルギーの大部分は固定側を介して指輪21に伝播されるため、効率よく指輪21を振動させることが出来る。本第2の実施の形態ではこの他方の金属板(例えば43)を重くするために、受信装置31と駆動回路32と電池33とをこの可動側の金属板(例えば43)に接着すればよく、振動の効率向上と防水が同時に実現する利点を有している。以上動電型加振構造の例について説明したが、この他、加振構造体としては圧電型、電歪型等の利用も可能である。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によりスピーカを使用することなく耳の近辺に空気の疎密波として音場を作りだすことが可能となる。また受信装置、駆動回路、電池、振動体等のすべての電子部品を指輪上の一箇所に集中配置することが可能であり、これにより優れた防水性および物を握ったとき等の外力による破損も防止する構造を実現し得る。このように本発明によれば振動体を密封材料で完全防水しても指輪小型振動板側から音声の再生が可能な装着型の通信装置とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1の実施の形態を示す外観図。
【図2】本発明第2の実施の形態を示す外観図。
【図3】振動体の構造例を示す分解概観図。
【図4】従来の小型送受話装置の例を示す外観図。
【符号の説明】
11:スピーカ部、 12:マイク部、
13:送受信部およびスピーカ駆動部 21:指輪、
22:振動体、 23:小型振動板23
31:受信装置、 32:振動体駆動回路、
33:電池 40:上面板、
41:永久磁石、 42:ソレノイド、
43:下面板

Claims (4)

  1. 指輪の外周面上に音声信号等の電気信号で振動する振動体が固着されており、
    前記指輪の外周面上でかつ前記振動体が固着されている位置に対して直径上の反対側の位置に振動音出力用の部材が固着されており、
    指に前記指輪を装着した状態で、前記指輪を装着した指を含む手のひらで耳介を覆うようにし、前記振動音出力用の部材を外耳道の入口付近に位置させることにより前記振動体で発生した信号を、前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播し、これにより前記振動音出力用の部材から発せられた振動音を聞き取る構成とし、
    かつ、前記振動音出力用の部材として外耳道入口と同程度の大きさの薄板で構成したことを特徴とする装着型通信装置。
  2. 指輪の外周面上に音声信号等の電気信号で振動する振動体が固着されており、
    前記指輪の外周面上でかつ前記振動体が固着されている位置に対して直径上の反対側の位置に振動音出力用の部材が固着されており、
    指に前記指輪を装着した状態で、前記指輪を装着した指を含む手のひらで耳介を覆うようにし、前記振動音出力用の部材を外耳道の入口付近に位置させることにより前記振動体で発生した信号を、前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播し、これにより前記振動音出力用の部材から発せられた振動音を聞き取る構成とし、
    かつ、前記振動音出力用の部材を骨伝導聴取用として棒状ブロック材で構成したことを特徴とする装着型通信装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載した前記装着型通信装置において、
    赤外線や電波信号を受信する受信装置と前記振動体を駆動するための駆動回路とが装着された電池を、前記振動体の上に搭載し、
    前記受信装置により受信した信号から得られた音声信号を、前記駆動回路により前記振動体を駆動し、
    前記振動体から得られた振動は前記指輪を介して前記振動音出力用の部材に伝播する構造であることを特徴とする装着型通信装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載した装着型通信装置において、
    前記振動体と、前記受信装置と、前記駆動回路と、前記電池とが一体化されている部分が密封材料により密封された構造と成っていることを特徴とする装着型通信装置。
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