JP3887984B2 - 多色発光分散型elランプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種小形電子機器等の液晶表示装置やスイッチキーのバックライトとして用いられる多色発光分散型ELランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の多色発光分散型ELランプについて、二色発光分散型ELランプを例として図5〜図7を用いて説明する。
【0003】
なお、構成を判り易くするために、各図面は厚さ方向の寸法を拡大して表わしている。
【0004】
図5は従来の二色発光分散型ELランプの外観斜視図、図6および図7はそれぞれ図5のX−X線およびY−Y線における断面図で上下および左右を逆にして示しており、同図において、1は二色発光分散型ELランプの発光面、2および3は内部に構成された複数の光透過性電極層の外部取出し電極、4は背面電極層の外部取出し電極で、これらの外部取出し電極2,3,4は発光面1の側方に設けられている。
【0005】
そして、5は一方の面が発光面1である透明樹脂フィルム、6は酸化インジュウムスズ粉末を分散させた透明樹脂により透明樹脂フィルム5の他方の面上に印刷形成された第一光透過性電極層、7は銅をドープした硫化亜鉛等の粒子状の蛍光体を分散させた高誘電性のシアノ系樹脂やフッソゴム系樹脂により第一光透過性電極層上に印刷形成された第一発光体層、8は酸化インジュウムスズ粉末を分散させた透明樹脂により第一発光体層7上に印刷形成された第二光透過性電極層、9は第一発光体層の発光色よりも長波長の発光色の蛍光顔料または蛍光染料を分散させた透明樹脂により第二光透過性電極層8上に印刷形成された発光色変換層、10は酸化インジュウムスズ粉末を分散させた透明樹脂により発光色変換層9上に印刷形成された第三光透過性電極層、11は銅をドープした硫化亜鉛等の粒子状の蛍光体を分散させた高誘電性のシアノ系樹脂やフッソゴム系樹脂により第三光透過性電極層上に印刷形成された第二発光体層、12は銀レジン系やカーボンレジン系ペーストにより第二発光体層11上に印刷形成された背面電極層、13は上記各層を覆う絶縁保護層であり、外部取出し電極2は第一光透過性電極層6と、外部取出し電極3は第二および第三光透過性電極層8および10と、外部取出し電極4は背面電極層12とそれぞれ接続されており、透明樹脂フィルム5の上記各層が形成された面の反対側が発光面1となるものであった。
【0006】
また、上記各図面において、各構成層の厚さは実際よりも拡大して表わしているが実際には透明樹脂フィルムを除く各層はそれぞれ数μm〜数十μmの厚さである。
【0007】
そして、上記のように構成された二色発光分散型ELランプにおいて、実用的な発光輝度や輝度寿命が得られる蛍光体はブルーやグリーンの寒色系のものであり、したがって、第一発光体層7はブルーまたはグリーン系の発光色の蛍光体を合成樹脂に分散したいわゆる寒色系の発光色とし、第二発光体層11も同様にブルーまたはグリーン系の発光色にして、その発光色をそれより長波長のオレンジ、レッド、ピンク、イエロー等に着色した発光色変換層9でいわゆる暖色系の発光色に色変換することにより、第一および第二発光体層7および11をそれぞれ発光させた際に異なる発光色を得るようにして二色発光分散型ELランプを構成するものであり、第一発光体層7を発光させる時には外部取出し電極2および3の間に所定の電圧を印加し、第二発光体層11を発光させる時には外部取出し電極3および4の間に所定の電圧を印加するものであった。
【0008】
また、第一および第二発光体層7および11は発光輝度を高くするために実際的にはそれぞれ二層から構成され、一層目は透明高誘電性樹脂に蛍光体粉末を分散させ、二層目は高誘電性樹脂にチタン酸バリューム等高誘電性微粉末を分散させたものとすることも知られていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の多色発光分散型ELランプにおいて、第一発光体層7を発光させたとき発光色変換層9からの反射光によって色干渉されて第一発光体層本来の色調を発色し難いという課題があった。
【0010】
例えば第一発光体層7をブルーの発光色の蛍光体を合成樹脂に分散させたブルーの発光色とし、発光色変換層9をレッドの蛍光顔料を合成樹脂に分散させたものとして、第一発光体層7を発光させると発光面1から放出される光はブルーの発光色が発光色変換層9からのレッドの反射光に色干渉されてホワイトに近い色調になり、本来のブルーの発光色が得られ難いものであった。
【0011】
特に、上記従来の多色発光分散型ELランプを半透過型液晶表示装置のバックライトとして使用したときには、半透過型液晶表示装置の半透過膜が多色発光分散型ELランプから放出された光の70%〜90%を反射するため、その反射光がさらに多色発光分散型ELランプの発光色変換層に反射されて液晶に放出されることが繰り返されて色干渉が更に進み、上記の課題がより顕著になるものであった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、着色された構成材料からの反射光による色干渉を抑え、透明樹脂フィルム面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の多色発光分散型ELランプは、透明樹脂フィルムの一方の面上に高い輝度を得ることができる寒色系の色調の第一および第二発光体層と、それらの発光体層の間に暖色系の色調の発光色変換層を設け、透明樹脂フィルムの他方の面上に第一発光体層の発光色と近似のカラーコート層を設けたものであり、第一発光体層を発光させた時に発光色変換層からの暖色系の反射光の放出をカラーコート層が抑制して発光面から放出される第一発光体層の発光色が色干渉を受け難く、第二発光体層を発光させたときの発光色は発光色変換層で変換されて第一発光体層の発光色よりも長波長になるため、第二発光体層の光で第一発光体層の蛍光体やカラーコート層の蛍光顔料などが発色されることがなく、放出される光の強さがカラーコート層で若干抑制されるものの色干渉が起こらず、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した発光色変換層と、第三光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層と、前記透明樹脂フィルムの他方の面上に第一発光体層の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を分散した合成樹脂により形成されたカラーコート層からなる多色発光分散型ELランプとしたものであり、第一発光体層を発光させたとき発光色変換層からの反射光の放出をカラーコート層で抑制することができて発光面から放出される第一発光体層の発光色が色干渉を受け難く、第二発光体層を発光させたときの第二発光体層の発光色は発光色変換層で変換されて第一発光体層の発光色よりも長波長になるため、第二発光体層の光で第一発光体層の蛍光体やカラーコート層の蛍光顔料などが発色されることがなく色干渉されないので、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを実現することができるという作用を有する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体およびこの蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した発光色変換層と、第三光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層からなる多色発光分散型ELランプとしたものであり、第一発光体層を発光させたとき、発光色変換層からの反射光の放出を第一発光体層に分散された蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料で抑制することができて発光面から放出される第一発光体層の発光色が色干渉を受け難く、第二発光体層を発光させたときの第二発光体層の発光色は発光色変換層で変換されて第一発光体層の発光色よりも長波長になるため、第二発光体層で発光された光で第一発光体層の蛍光体や蛍光顔料などが発色されることがなく色干渉されないので、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを実現することができるという作用を有する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体および第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層と、前記透明樹脂フィルムの他方の面上に第一発光体層の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を分散した合成樹脂により形成されたカラーコート層からなる多色発光分散型ELランプとしたものであり、第一発光体層を発光させたとき第二発光体層からの反射光の放出をカラーコート層で抑制することができて発光面から放出される第一発光体層の発光色が色干渉を受け難く、第二発光体層を発光させたときの発光色は第二発光体層内の蛍光顔料または蛍光染料によって変換されて第一発光体層の発光色よりも長波長になるため、第二発光体層の光で第一発光体層の蛍光体やカラーコート層の蛍光顔料などが発色されることがなく色干渉されずに放出されるので、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを実現することができるという作用を有する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体およびこの蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体および第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層からなる多色発光分散型ELランプとしたものであり、第一発光体層を発光させたとき、第二発光体層からの反射光の放出を第一発光体層に分散された蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料で抑制することができて発光面から放出される第一発光体層の発光色が色干渉を受け難く、第二発光体層を発光させたときの発光色は第二発光体層内の蛍光顔料または蛍光染料によって変換されて第一発光体層の発光色よりも長波長になるため、第二発光体層の光で第一発光体層の蛍光体や蛍光顔料などが発色されることがなく色干渉されずに放出されるので、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを実現することができるという作用を有する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、第一および第二発光体層の少なくとも一つが二層から形成され、一層目が所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散させた層または所定発光色の粒子状の蛍光体と蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散させた層で形成され、二層目が一層目より高誘電率を有する白色系絶縁層あるいは蛍光顔料や蛍光染料を含有させた絶縁層で形成されたものであり、高電圧が印加される光透過性電極層間の絶縁性確保のために、発光体層は所定の厚みが必要であり、発光体層中の蛍光体が集中的に存在する部分は比較的低い誘電率に、それ以外の部分は高誘電率にすることによって蛍光体に有効に電圧を印加し、発光時の輝度を高めることができるという作用を有する。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、第二および第三光透過性電極層の少なくとも一つが、導電性酸化インジュウムスズ粉末を透明合成樹脂に分散させたシート抵抗値が50kΩ以下の光透過性導電ペーストを印刷、乾燥して形成されたものであり、第二または第三光透過性電極層を形成するとき光透過性導電ペーストを所望のパターンでスクリーン印刷等により容易に厚膜印刷できて、多色発光分散型ELランプを安価に製造できると共に、電圧を発光体層に均一に印加できて発光輝度のムラを抑えることができるという作用を有する。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、第二および第三光透過性電極層の少なくとも一つに用いる光透過性導電ペーストが、第一発光体層の発光色より長波長に色変換する蛍光顔料または蛍光染料によって着色されたものであり、第二発光体層の発光色を一層効果的に色変換することができるという作用を有する。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。
【0022】
なお、構成を判り易くするために、各図面は厚さ方向の寸法を拡大して表わすと共に、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図であり、同図において5は透明樹脂フィルム、6は第一光透過性電極層、7は第一発光体層、8は第二光透過性電極層、9は発光色変換層、10は第三光透過性電極層、11は第二発光体層、12は背面電極層、13は絶縁保護層であり上記各層は透明絶縁フィルム5の一方の面上に順次重ねて形成されており、14は透明絶縁フィルム5の他方の面上に形成されたカラーコート層、3は第二および第三光透過性電極層8および10に接続された外部取出し電極、4は背面電極層12に接続された外部取出し電極を示す。
【0024】
そして、上記構成において、第一、第二および第三光透過性電極層6,8,10は光透過性導電ペーストとして針状粉末状の酸化インジュウムスズをポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、フッソゴム樹脂等に分散させた光透過性導電ペーストを用いスクリーン印刷等により所望形状にパターン印刷、乾燥して形成するが、第一光透過性電極層6はスパッタまたは蒸着等の真空法で形成した薄膜を適用しても良く、第二および第三光透過性電極層8および10はシート抵抗値50kΩ以下の光透過性導電ペーストを用いて印刷形成すると第一および第二発光体層7および11に均一に電圧を印加できて発光輝度のムラを抑えることができる。
【0025】
また、第一および第二発光体層7,11はブルーやグリーンの発光色のEL用蛍光体粉末を高誘電率のシアノエチルセルロース樹脂、シアノエチルプルラン樹脂やフッ化ビニリデンを含むフッソゴム樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層とチタン酸バリュウム等の高誘電性粉末を上記同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層を重ねて用い、発光色変換層9はレッド系、オレンジ系やイエロー系の蛍光顔料または蛍光染料をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂に分散させたペーストを用い、背面電極層12および外部取出し電極3,4は通常メンブレンスイッチ用に使用される銀ペーストあるいはカーボンペーストを用い、絶縁保護層13はポリエステル系、ウレタン系やエポキシ系の電気絶縁性能を有する絶縁ペーストを用い、また、カラーコート層14は第一発光体層7の発光色と近似のブルーないしグリーン系の蛍光顔料を発光色変換層9と同様の透明樹脂に分散させたペーストを用いそれぞれスクリーン印刷等により所望形状にパターン印刷、乾燥して形成する。
【0026】
このようにして形成された多色発光分散型ELランプにおいて、第一発光体層7を発光させると第一発光体層7の蛍光体がクリアなブルーやグリーンに発光すると共に発光色変換層9からの反射光の放出をカラーコート層14によって抑制できるので色干渉を受け難く、発光面からクリアなブルーやグリーンの発光色を放出させることができ、第二発光体層11を発光させるとその発光色は発光色変換層9のレッド系、オレンジ系やイエロー系の蛍光顔料または蛍光染料によって第一発光体層7やカラーコート層14の蛍光体などの色調よりも長波長の発光色に変換され、第一発光体層7やカラーコート層14の蛍光体などを発色させることがなく色干渉されないのでクリアなレッド、オレンジやイエローで発光するものである。
【0027】
次に、本実施の形態のものの第一発光体層7の蛍光体の発光色およびカラーコート層14の色調をブルーとし、発光色変換層9の色調をレッドとし、第二発光体層11の蛍光体の発光色をブルーとしてそれぞれの発光体層7,11を発光させたときに、カラーコート層14の有無での色座標をトプコン製色彩輝度計で測定した結果およびELランプ上に半透過型液晶表示装置を配置して同様に測定した結果を(表1)に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(表1)において、数値は色座標のx値を示すものであり、この数値が小さいものが寒色系の色調を表わし、大きいものが暖色系の色調を表わすものであり、カラーコート層がない場合に比較して有る場合が、第一発光体層の発光色の色座標によるx値が相当小さくより寒色系の強い色調であり、第二発光体層の暖色系の発光色のx値の変化は少ないことが判り、また、ELランプ上に半透過型液晶表示装置を配置した場合もカラーコート層が有るものでは第一および第二発光体層の発光色のx値の差が大きく保たれることが判る。
【0030】
このように本実施の形態によれば、着色された構成材料からの反射光による色干渉を抑え、透明樹脂フィルム面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを得ることができるものである。
【0031】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図であり、同図において5は透明樹脂フィルム、6は第一光透過性電極層、15は第一発光体層、8は第二光透過性電極層、9は発光色変換層、10は第三光透過性電極層、11は第二発光体層、12は背面電極層、13は絶縁保護層であり上記各層は透明絶縁フィルム5の一方の面上に順次重ねて形成されており、3は第二および第三光透過性電極層8,10の外部取出し電極、4は背面電極層12の外部取出し電極であり、実施の形態1によるものと比較してカラーコート層が省かれているが、第一発光体層15以外の各層は実施の形態1のものと同様の材料で構成されている。
【0032】
そして、第一発光体層15はブルーやグリーンの発光色のEL用蛍光体粉末および発光色と近似色の蛍光顔料や蛍光染料を高誘電率のシアノエチルセルロース樹脂、シアノエチルプルラン樹脂やフッ化ビニリデンを含むフッソゴム樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層とチタン酸バリュウム等の高誘電性粉末を上記同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層を重ねて形成する。
【0033】
このようにして形成された多色発光分散型ELランプにおいて、第一発光体層15を発光させるとクリアなブルーやグリーンに発光すると共に発光色変換層9からの反射光の放出を第一発光体層15に分散された蛍光顔料などで抑制できるので色干渉を受け難く、発光面からクリアなブルーやグリーンの発光色を放出させることができ、第二発光体層11を発光させるとその発光色は発光色変換層9のレッド系、オレンジ系やイエロー系の蛍光顔料または蛍光染料によつて第一発光体層15の蛍光体などの色調よりも長波長の発光色に変換され、第一発光体層15の蛍光体などを発色させることがなく色干渉されないのでクリアなレッド、オレンジやイエローで発光するものである。
【0034】
本実施の形態のものの第一発光体層15の蛍光体の発光色をブルーとすると共にブルーの蛍光顔料を分散し、発光色変換層9の色調をレッドとし、第二発光体層11の蛍光体の発光色をブルーとして、第一および第二発光体層をそれぞれ発光させたときの色座標をトプコン製色彩輝度計で測定した結果、およびELランプ上に半透過型液晶表示装置を配置して同様に測定した結果は実施の形態1のものの場合と同様に寒色系および暖色系の色調の差を大きくすることができるものであった。
【0035】
このように本実施の形態によれば、実施の形態1のものに用いたカラーコート層を用いずに製作コストを削減できると共に、着色された構成材料からの反射光による色干渉を抑え、透明樹脂フィルム面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを得ることができるものである。
【0036】
(実施の形態3)
図3は本発明の第3の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図であり、5は透明樹脂フィルム、6は第一の光透過性電極層、7は第一発光体層、8は第二光透過性電極層、16は第二発光体層、12は背面電極層、13は絶縁保護層であり上記各層は透明絶縁フィルム5の一方の面上に順次重ねて形成されており、14は透明絶縁フィルム5の他方の面上に形成されたカラーコート層、3は第二光透過性電極層8の外部取出し電極、4は背面電極層12の外部取出し電極であり、実施の形態1によるものと比較して発光色変換層および第三光透過性電極層が省かれているが、第二発光体層16以外の各層は実施の形態1のものと同様の材料で構成されている。
【0037】
そして、第二発光体層16はブルーやグリーンの発光色のEL用蛍光体粉末および蛍光体の発光色より長波長のレッド、オレンジやイエロー等の蛍光顔料や蛍光染料を高誘電率のシアノエチルセルロース樹脂、シアノエチルプルラン樹脂やフッ化ビニリデンを含むフッソゴム樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層とチタン酸バリュウム等の高誘電性粉末を上記同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層を重ねて形成する。
【0038】
このようにして形成された多色発光分散型ELランプにおいて、第一発光体層7を発光させるとクリアなブルーやグリーンに発光すると共に第二発光体層16からの反射光の放出をカラーコート層14に分散された蛍光顔料などで抑制できるので色干渉を受け難く、発光面からクリアなブルーやグリーンの発光色を放出させることができ、第二発光体層16を発光させるとその発光色は第二発光体層16内に分散されたレッド系、オレンジ系やイエロー系の蛍光顔料または蛍光染料によって第一発光体層7の蛍光体やカラーコート層14に分散された蛍光顔料の色調よりも長波長の発光色に変換され、第一発光体層7の蛍光体やカラーコート層14に分散された蛍光顔料などを発色させることがなく色干渉されないのでクリアなレッド、オレンジやイエローで発光するものである。
【0039】
そして、第一発光体層7の蛍光体の発光色およびカラーコート層14の色調をブルーとし、第二発光体層16の蛍光体の発光色をブルー、蛍光顔料をレッドとしたときに、第一および第二発光体層7,16をそれぞれ発光させて色座標をトプコン製色彩輝度計で測定した結果、およびELランプ上に半透過型液晶表示装置を配置して同様に測定した結果は実施の形態1のものの場合と同様に寒色系および暖色系の色調の差を大きくすることができるものであった。
【0040】
このように本実施の形態によれば、実施の形態1のものと同様に着色された構成材料からの反射光による色干渉を抑え、透明樹脂フィルム面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを得ることができると共に、発光色変換層および第三光透過性電極層を用いず製作コストを更に削減できるものである。
【0041】
(実施の形態4)
図4は本発明の第4の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図であり、同図において5は透明樹脂フィルム、6は第一光透過性電極層、15は第一発光体層、8は第二光透過性電極層、16は第二発光体層、12は背面電極層、13は絶縁保護層であり上記各層は透明絶縁フィルム5の一方の面上に順次重ねて形成されており、3は第二光透過性電極層8の外部取出し電極、4は背面電極層12の外部取出し電極であり、実施の形態1によるものと比較して発光色変換層、第三光透過性電極層およびカラーコート層が省かれているが、第一発光体層15および第二発光体層16以外の各層は実施の形態1のものと同様の材料で構成されている。
【0042】
そして、第一発光体層15はブルーやグリーンの発光色のEL用蛍光体粉末および発光色と近似色の蛍光顔料や蛍光染料を高誘電率のシアノエチルセルロース樹脂、シアノエチルプルラン樹脂やフッ化ビニリデンを含むフッソゴム樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層とチタン酸バリュウム等の高誘電性粉末を上記同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層を重ねて形成し、第二発光体層16はブルーやグリーンの発光色のEL用蛍光体粉末および蛍光体の発光色より長波長のレッド、オレンジやイエロー等の蛍光顔料や蛍光染料を第一発光体層15と同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層とチタン酸バリュウム等の高誘電性粉末を上記同系の樹脂に分散させたペーストで印刷形成された層を重ねて形成する。
【0043】
このようにして形成された多色発光分散型ELランプにおいて、第一発光体層15を発光させるとクリアなブルーやグリーンに発光すると共に第二発光体層16からの反射光の放出を第一発光体層15に分散された蛍光顔料などで抑制できるので色干渉を受け難く、発光面からクリアなブルーやグリーンの発光色を放出させることができ、第二発光体層16を発光させるとその発光色は第二発光体層16内に分散されたレッド系、オレンジ系やイエロー系の蛍光顔料または蛍光染料によって第一発光体層15の蛍光体や蛍光顔料の色調よりも長波長の発光色に変換され、第一発光体層15の蛍光体や蛍光顔料などを発色させることがなく色干渉されないのでクリアなレッド、オレンジやイエローで発光するものである。
【0044】
そして、第一発光体層15の蛍光体および蛍光顔料の発光色をブルーとし、第二発光体層16の蛍光体の発光色をブルー、蛍光顔料をレッドとしたときに、第一および第二発光体層15,16をそれぞれ発光させて色座標をトプコン製色彩輝度計で測定した結果、およびELランプ上に半透過型液晶表示装置を配置して同様に測定した結果は実施の形態1のものの場合と同様に寒色系および暖色系の色調の差を大きくすることができるものであった。
【0045】
このように本実施の形態によれば、実施の形態1のものと同様に着色された構成材料からの反射光による色干渉を抑え、透明樹脂フィルム面から複数の明瞭な発光色を得ることができる多色発光分散型ELランプを得ることができると共に、発光色変換層、第三光透過性電極層、およびカラーコート層を用いず製作コストを一層削減できるものである。
【0046】
なお、第二光透過性電極層に用いる光透過性導電ペーストを、第一発光体層15の発光色より長波長に色変換する蛍光顔料または蛍光染料によって着色することにより、第二発光体層16の発光色を一層効果的に色変換し、第一および第二発光体層15,16をそれぞれ別に発光させた時の寒色系および暖色系の色調の差をより大きくすることもできるものである。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、異なる発光色の複数の発光体層や発光色変換層を有する多色発光分散型ELランプにおいて、発光体層をそれぞれ別に発光させた時に色干渉が起こらず、発光面から複数の明瞭な発光色を得ることができるものを安価に製作することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図
【図2】本発明の第2の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図
【図3】本発明の第3の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図
【図4】本発明の第4の実施の形態による多色発光分散型ELランプの断面図
【図5】従来の多色発光分散型ELランプの外観斜視図
【図6】図5のX−X線における断面図
【図7】図5のY−Y線における断面図
【符号の説明】
3,4 外部取出し電極
5 透明樹脂フィルム
6 第一光透過性電極層
7,15 第一発光体層
8 第二光透過性電極層
9 発光色変換層
10 第三光透過性電極層
11,16 第二発光体層
12 背面電極層
13 絶縁保護層
14 カラーコート層
Claims (7)
- 透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した発光色変換層と、第三光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層と、前記透明樹脂フィルムの他方の面上に第一発光体層の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を分散した合成樹脂により形成されたカラーコート層からなる多色発光分散型ELランプ。
- 透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体およびこの蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、第一発光体層の発光色により長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した発光色変換層と、第三光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層からなる多色発光分散型ELランプ。
- 透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体および第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層と、前記透明樹脂フィルムの他方の面上に第一発光体層の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を分散した合成樹脂により形成されたカラーコート層からなる多色発光分散型ELランプ。
- 透明樹脂フィルムの一方の面上に順次重ねて形成された第一光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体およびこの蛍光体の発光色と同色の蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第一発光体層と、第二光透過性電極層と、所定発光色の粒子状の蛍光体および第一発光体層の発光色より長波長の発光色に色変換する蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散した第二発光体層と、背面電極層と、絶縁保護層からなる多色発光分散型ELランプ。
- 第一および第二発光体層の少なくとも一つが二層から形成され、一層目が所定発光色の粒子状の蛍光体を合成樹脂に分散させた層または所定発光色の粒子状の蛍光体と蛍光顔料または蛍光染料を合成樹脂に分散させた層で形成され、二層目が一層目より高誘電率を有する白色系絶縁層あるいは蛍光顔料や蛍光染料を含有させた絶縁層で形成された請求項1〜4のいずれか一つに記載の多色発光分散型ELランプ。
- 第二および第三光透過性電極層の少なくとも一つが、導電性酸化インジュウムスズ粉末を透明合成樹脂に分散させたシート抵抗値が50kΩ以下の光透過性導電ペーストを印刷、乾燥して形成された請求項1〜5のいずれか一つに記載の多色発光分散型ELランプ。
- 第二および第三光透過性電極層の少なくとも一つに用いる光透過性導電ペーストが、第一発光体層の発光色より長波長に色変換する蛍光顔料または蛍光染料によって着色された請求項6に記載の多色発光分散型ELランプ。
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