JP3880821B2 - 冷蔵庫の扉開放装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫の前面開口部に配設される扉の開放装置に係り、特に観音開き式扉の開放装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷蔵庫は食生活の多様化とともに収納量の大型化が求められており、特に家庭用冷蔵庫においては収納内容積も400リットルを超えるクラスが主流になり、冷蔵庫本体の高さや奥行き寸法も大きくなる傾向にある。
【0003】
これにともなって、冷蔵室や冷凍室、野菜収納室の扉も大型化するとともに扉内側収納ポケットへの収納量も増大しており、特に、収納容積の大きい冷蔵室の扉ポケットに多くの食品を収納載置したときには、開扉のために大きな力を必要とし、非力な女性や高齢者の場合は負担が大きかった。
【0004】
上記状況に関して、最近は、冷蔵庫扉表面からの開扉スイッチのタッチ操作により、冷蔵庫本体に設けた電磁ソレノイドなどのアクチュエータを利用して扉面を押出しシャフトで押圧し、扉を開放する電気的駆動方式が商品化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷蔵庫の大形化はますます拡大して本体の前面開口部を幅方向に区分する構成も増加しており、例えば、観音開き式扉においては、開扉装置が個々に必要となって多くなり、構成が複雑化するとともに、コストも高額になるため、上記電気的扉開放装置の採用はみられなかった。
【0006】
本発明はこの点に着目してなされたもので、観音開き式扉の開放装置を左右個々の扉開放にも対応できるよう構造を簡単にし、コストの低減を可能とした冷蔵庫の扉開放装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の冷蔵庫の扉開放装置の発明は、冷蔵庫本体の前面開口部を左右に区分して開放するように設けられた観音開き式開閉扉と、この開閉扉の対向近接部近傍の本体側に設置され通電による押圧動作で扉を開放する駆動ユニットと、扉の表面に設けられ操作により駆動ユニットを付勢して扉を開放するスイッチとからなり、前記駆動ユニットは、ソレノイドへの通電方向を変えることによりプランジャーの往復移動方向を変化するものであり、プランジャーの一方端にプランジャーの移動で変位する移動方向変換機構を設け、プランジャーの往復移動により駆動ユニットの両端に設けたシャフトのいずれかを扉方向に指向して突出させ、左右扉のいずれかを押圧して開放するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
この構成により、単一の駆動ユニットにより、冷蔵庫左右の扉を個々に開放することができ、庫内からの冷気の無駄な流出を防止することできる。さらに、クランク機構を単一のものとして、コスト面、スペース面で有利に構成できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の冷蔵庫の扉開放装置において、移動方向変換機構における回動支点間の距離比率を扉幅の比率に合わせることで、それぞれのシャフトの扉側への突出ストローク量を変えたことを特徴とするものであり、観音開き式扉のそれぞれの幅長の差に合わせてシャフトの突出ストロークを変えることができ、スムーズな開扉作用を得ることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、冷蔵庫本体の前面開口部を左右に区分して開放するように設けられた観音開き式開閉扉と、この開閉扉の対向近接部近傍の本体側に設置され通電による押圧動作で扉を開放する駆動ユニットと、扉の表面に設けられ操作により駆動ユニットを付勢して扉を開放するスイッチとからなり、前記駆動ユニットは、ソレノイドへの通電方向を変えることによりプランジャーの往復移動方向を変化するものであり、プランジャー往復移動を冷蔵庫本体の幅方向とし、プランジャーの両側にそれぞれ移動方向変換機構を設けてプランジャーの往復移動により移動方向変換機構の両端に設けたシャフトのいずれかを扉方向に指向して突出させ、左右扉のいずれかを押圧して開放するようにしたことを特徴とするものであり、薄形タイプなど、奥行き寸法の小さい冷蔵庫に有効に対応することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の1実施形態について説明する。図1は本発明に係る観音開き式の冷蔵室扉を開扉した状態を示す冷蔵庫の斜視図であり、外箱と内箱とこれら内外箱間に断熱材を発泡充填した断熱箱体で形成された冷蔵庫本体(1)は、内箱内部に貯蔵空間として最上部に冷蔵室(2)、その下方には断熱仕切壁を介して製氷貯氷室(3)と温度切替室(4)とを左右に区分して併置しており、続いて、野菜室(5)、最下部には冷凍室(6)を独立して配置し、各貯蔵室の前面開口には各々専用の扉を設けて開閉自在に閉塞している。
【0016】
最も大きな収納容積を有する冷蔵室(2)の開口部前面には、両外側の上下端をそれぞれヒンジ(7)で枢支した左扉(8)、および右扉(9)が回動自在に取付けられており、各扉(8)(9)周縁の前記開口部に対応する部位にはマグネットガスケット(10)を取着して、閉扉の際はマグネットの磁力によりガスケット(10)が冷蔵室(2)の開口部周縁に吸着するとともに、開口部の中央部は双方の扉間に対して仕切体のないフレンチドア方式として、冷蔵室(2)内と外部とを気密に断熱的にシールし、熱漏洩を防止している。
【0017】
冷蔵室(2)の下部に配置したその他の貯氷室(3)、温度切替室(4)、野菜室(5)、および冷凍室(6)は、扉内側に取り付けられ貯蔵室内奥方に延出する図示しない枠体に載置した各収納容器とともに、枠体と庫内壁面とのレール機構によりそれぞれが前後方向に扉を庫外に引き出す方式としている。
【0018】
そして、冷蔵室(2)の上部における冷蔵庫本体(1)上面の幅方向中央部には、本発明の特長である扉の開放ユニット(15)を設置している。
【0019】
この扉開放ユニット(15)は、図2に示すように、円筒状のボビンの外周にコイルを巻装し、これを樹脂でモールドしたソレノイド(16)と、ソレノイド(16)への通電によって軸方向に移動する磁性体製のプランジャー(17)とから構成されており、この扉開放ユニット(15)をゴムブッシュ(18)を介してユニットケース(19)内に収納固定し、冷蔵庫本体上部(11)に形成した凹部(12)に一部を埋め込んだ状態で配設しているものである。
【0020】
前記プランジャー(17)の一端部には、扉方向へのシャフト(20)を取り付けており、ソレノイド(16)への通電時には、プランジャー(17)の移動により、シャフト(20)の先端部が左扉(8)あるいは右扉(9)側へ突出するように構成されている。
【0021】
突出したシャフト(20)の先端は、一方の扉(8)の反枢支側端縁における扉キャップ(13)の裏面に当接し、その押圧力によって左右扉(8)(9)を回動し開口部を開放するものである。
【0022】
また、プランジャー(17)の他端には、プランジャーを常時ソレノイドによる突出方向とは逆の方向へ付勢しているコイルバネ(21)を設けている。
【0023】
シャフト(20)の先端には、緩衝用のゴムキャップ(22)を取り付けており、さらにシャフト(20)が突出した際に当接する扉側のキャップ(13)面にも、軟質材からなる受け板(14)を取り付け、シャフト(20)が扉側に当接した際の衝撃音の発生を防止している。
【0024】
冷蔵庫本体上面の凹部(12)に配設した扉開放ユニット(15)の上部はユニットカバー(23)によって被覆保護されている。
【0025】
扉開放ユニット(15)の基本構成は上述したとおりであるが、本発明においては、さらに下記具体構成を特徴としている。
【0026】
冷蔵庫における左右扉部分を上面からみた図3に示す実施形態1は、ソレノイド(16)部のプランジャーの一端に取り付けたシャフト(20)を二股形状とし、一方の先端を左扉(8)の反枢支側である右扉との対向部近傍を押圧するようにし、他方の先端は右扉(9)の反枢支側を押圧するように配設する。
【0027】
この構成により、扉を開放する場合は、いずれか一方の扉表面に設けた開扉スイッチ(25)にタッチすることで、ソレノイド(16)に通電され、矢印に示す方向へのプランジャーの移動でシャフト(20)が扉(8)(9)側へ突出し、双方の扉を同時に開放するものである。
【0028】
次に実施形態2を説明する。図4に示すソレノイド(16)はプランジャーの駆動方向を、矢印に示すように冷蔵庫の後方側とし、移動方向を変換させるクランク機構(24)を介してシャフト(20)をそれぞれ左右の扉(8)(9)側へ指向させたものである。
【0029】
前記実施形態1では、左右扉(8)(9)は、開扉スイッチ(25)へのタッチ操作で、双方が同時に開扉することになるが、観音開き式扉の長所は、左右扉を個々に開扉できることから、扉幅が小さくなって回転半径が縮小する設置スペース効果とともに、必要な一方の扉のみを開いて冷気の無駄な流出を防止するところにもあり、左右扉を個々の開扉することにも対応する必要がある。
【0030】
また、観音開き式扉においては、その使い勝手や意匠的効果面から左右扉の幅長比率を変えているものが多いが、幅広の扉と幅狭の扉では、内部の収納量の差も含めて、開扉力や開扉の際の回動範囲に大きな差があり、ストローク量が同じであると、幅狭の扉は勢いが強く、開き過ぎてしまうことになり、また逆に、幅広の扉については、押圧量が少なくてスムーズに開扉しないことが起きる。
【0031】
上記実施形態2はこれを防ぐための構成であり、クランク機構(24)における支点(26)の位置を、図に示すように、左右扉(8)(9)の幅長比率に合わせて、例えば左扉(8)の幅をA、右扉(9)幅をAより幅広のBとした場合に、左扉側のクランク(24)における支点間の距離比率を、扉幅の比率にほぼ合致させたA:B=a:bとしてシャフト(20)のストローク量を設定し、右扉についても支点間の距離比率をa:bとすることで、左右扉へのシャフト(20)のストローク量を図中2点鎖線に示すように変えている。
【0032】
これにより本実施形態においては、左右扉へのストローク量に差をつけることにより、双方の扉をスムーズに開扉させることができる。
【0033】
実施形態3を示す図5は、実施形態2の変形例であり、左右扉(8)(9)の開扉ストローク差を、ソレノイド(16)に対する通電方向を変えることによりおこなうものである。
【0034】
この場合、クランク機構(24)は単一であり、幅狭の左扉(8)へのシャフト(20)の突出は通常の通電によりおこない、右扉(9)の開扉の際は、ソレノイド(16)への通電方向を逆にしてプランジャーの突き出し方向を後方へ逆転し、クランク機構(20)の支点(26)間の距離a:bを左右扉の幅長比率のA:Bとして、ストローク量に差を設けている。
【0035】
この場合、シャフトには双方への突き出しから初期位置に戻すためのスプリングが必要となるが、クランク機構が単一でよく、コスト面、スペース面で有利な構成とすることができる。
【0036】
なお、上記実施形態3および4においては、開扉ストロークを変えるために、クランク機構の支点間の距離を変化させたが、左右の扉幅が同一であれば、ストローク量を変える必要はなく、クランクの長さおよび支点間の距離を均等にすれば、同一の開扉ストローク量を得ることができる。
【0037】
次に、実施形態4を説明する。図6は、駆動ユニットのソレノイド(16)の移動方向を冷蔵庫の左右方向としたものであり、実施形態3の例と同様に、駆動ユニットに対する通電方向を逆転可としている。
【0038】
そして、左右それぞれの扉表面に設けた開扉スイッチ(25)(25)へのタッチ操作により通電方向を切り換え、プランジャーの左移動で左扉(8)を、右移動で右扉(9)をクランク機構(24)により押圧し開扉するものである。
【0039】
この構成によれば、冷蔵庫の奥行き方向にスペースを必要としないので、薄型タイプなど奥行き寸法に余裕がない冷蔵庫に有効である。
【0040】
図7に示す実施形態5は、前記実施形態4におけるクランク機構(24)を、傾斜カム機構(28)に変えたものであり、駆動ユニットのソレノイド(16)によるプランジャーの左右方向への移動を、端面の傾斜カム(28)面との係合により、矢印に示すように、前後方向への移動に変換して扉(8)(9)側へのシャフト(20)に伝導し、左右のそれぞれの扉を押圧して開扉させたものである。
【0041】
本発明の構成は上記のとおりであり、以下、扉を開放する際の動作について説明する。図8および図9に示すように、当初、扉開放装置の駆動ユニット(15)におけるソレノイド(16)は断電状態にあり、ドアスイッチ(30)による検知で該扉が閉扉状態であることを条件に、冷蔵室左扉(8)あるいは右扉(9)の表面に設けた開扉スイッチ(25)を操作することで、そのオン信号によってソレノイド(16)によってプランジャー(17)が吸引され、シャフト(20)が移動して左あるいは右扉を開放する。
【0042】
この場合、開扉信号は、制御回路(31)からトランジスタで構成されたドライバ(32)に出力され、ソレノイド(16)を駆動する駆動回路が接続されて、あらかじめ設定した所定時間、例えば1秒間通電して消勢する。消勢後は、コイルバネ(21)の作用によりプランジャー(17)が元の位置に戻って次の開扉への待機状態となる。
【0043】
なお、前記各実施形態においては、駆動ユニットとして、ソレノイドとプランジャーによる構成で説明したが、これに限らず、駆動体として、駆動モータを設置し、モータの出力シャフトにウオームギヤやカムを設けることで、モータの回転力と方向を直線運動に変換し、扉側へのシャフトの突出によって左右扉を開扉するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、シャフトの扉への当接部は、反枢支側の端部に設置したが、駆動ユニットの駆動力をより大きくすれば、冷蔵庫本体幅の中央部近傍に設置してもよく、その場合は、前後のストローク量が少なくてもより大きな開扉量を得ることができる。
【0045】
そしてまた、扉開放装置は、実施形態のように冷蔵庫本体の上面に設置するのみでなく、前記各貯蔵室間の仕切壁内に埋設して仕切部材の前面からシャフトを扉側へ突出させるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の冷蔵庫の観音開き式扉の開放装置によれば、扉開放装置を単一化するとともに、左右個々の扉開放にも対応できるよう構造を簡単にし、コストの低減にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による冷蔵室扉の開放装置を搭載した冷蔵庫を示す斜視図である。
【図2】図1における扉開放装置の内部構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態1を示す冷蔵庫の平面図である。
【図4】本発明の実施形態2を示す冷蔵庫の平面図である。
【図5】本発明の実施形態3を示す冷蔵庫の平面図である。
【図6】本発明の実施形態4を示す冷蔵庫の平面図である。
【図7】本発明の実施形態5を示す冷蔵庫の平面図である。
【図8】本発明の扉開放装置の電気的構成を示す回路図である。
【図9】本発明の開扉動作のフローチャートである。
【符号の説明】
1;冷蔵室本体 2;冷蔵室 3;製氷貯蔵室
4;温度切替室 5;野菜室 6;冷凍室
7;ヒンジ 8;左扉 9;右扉
10;ガスケット 11;本体上面 12;凹部
13;扉キャップ 14;受け板 15;扉開放ユニット
16;ソレノイド 17;プランジャー 18;ゴムブッシュ
19;ユニットケース 20;シャフト 21;コイルバネ
22;ゴムキャップ 23;ユニットカバー 24;クランク機構
25;開扉スイッチ 26;支点 28;傾斜カム
30;ドアスイッチ 31;制御回路 32;ドライバ
Claims (3)
- 冷蔵庫本体の前面開口部を左右に区分して開放するように設けられた観音開き式開閉扉と、この開閉扉の対向近接部近傍の本体側に設置され通電による押圧動作で扉を開放する駆動ユニットと、扉の表面に設けられ操作により駆動ユニットを付勢して扉を開放するスイッチとからなり、前記駆動ユニットは、ソレノイドへの通電方向を変えることによりプランジャーの往復移動方向を変化するものであり、プランジャーの一方端にプランジャーの移動で変位する移動方向変換機構を設け、プランジャーの往復移動により駆動ユニットの両端に設けたシャフトのいずれかを扉方向に指向して突出させ、左右扉のいずれかを押圧して開放するようにしたことを特徴とする冷蔵庫の扉開放装置。
- 移動方向変換機構における回動支点間の距離比率を扉幅の比率に合わせることで、それぞれのシャフトの扉側への突出ストローク量を変えたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の扉開放装置。
- 冷蔵庫本体の前面開口部を左右に区分して開放するように設けられた観音開き式開閉扉と、この開閉扉の対向近接部近傍の本体側に設置され通電による押圧動作で扉を開放する駆動ユニットと、扉の表面に設けられ操作により駆動ユニットを付勢して扉を開放するスイッチとからなり、前記駆動ユニットは、ソレノイドへの通電方向を変えることによりプランジャーの往復移動方向を変化するものであり、プランジャー往復移動を冷蔵庫本体の幅方向としてプランジャーの両側にそれぞれ移動方向変換機構を設け、プランジャーの往復移動により移動方向変換機構の両端に設けたシャフトのいずれかを扉方向に指向して突出させ、左右扉のいずれかを押圧して開放するようにしたことを特徴とする冷蔵庫の扉開放装置。
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