JP3871473B2 - 缶胴用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はDI加工(絞り−しごき加工)による2ピースアルミニウム缶用の缶胴、すなわちDI缶胴に用いられるAl−Mg−Mn系アルミニウム合金板の製造方法に関し、特に深絞り耳が低くかつ塗装焼付後の強度が高く、しかもDI加工時の成形性および塗装焼付後の成形性に優れたDI缶胴用アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に2ピースアルミニウム缶の製造工程としては、缶胴素材に対して深絞り加工およびしごき加工によるDI成形を施して缶胴形状とした後、所定のサイズにトリミングを施して脱脂・洗浄処理を行ない、さらに塗装および印刷を行なって焼付け(ベーキング)を行ない、その後、缶胴縁部に対してネッキング加工、フランジング加工を行ない、その後、別に成形した缶蓋(缶エンド)と合せてシーミング加工を行なって缶とするのが通常である。
【0003】
このようにして製造されるDI缶の素材(缶胴材)としては、従来からAl−Mg−Mn系合金であるJIS 3004合金の硬質板が広く用いられている。この3004合金は、しごき加工性に優れていて、強度を高めるために高圧延率で冷間圧延を施した場合でも比較的良好な成形性を示すところから、DI缶胴材として好適であるとされている。
【0004】
このようなDI缶胴用の3004合金硬質板の製造方法としては、DC鋳造法などによって鋳造後、鋳塊に対し均質化処理を施し、さらに熱間圧延および冷間圧延を施して所定の板厚とし、かつその過程における冷間圧延前あるいは冷間圧延中途において中間焼鈍を施す方法が一般的である。
【0005】
ところでDI缶胴については、主として材料コスト低減、軽量化の目的から、より薄肉化を図ることが強く望まれている。そしてこのように薄肉化を図るためには、薄肉化に伴なって生じる缶の座屈強度低下の問題を回避するため、材料の高強度化を図ることが不可欠である。
【0006】
またDI缶胴用材料については、上述のような薄肉化を図るための高強度化の要請ばかりではなく、DI成形時における耳率が低いことが強く望まれる。すなわち、DI成形時の耳率が低いことは、DI成形時の歩留りの向上と、缶胴の耳切れに起因する缶胴破断の防止の点から必要とされている。さらに、DI缶製造時におけるフランジ成形性(口拡げ性)、しごき性(缶切れ性)も重要であり、これらの耳率、フランジ成形性、しごき性、および強度を缶胴材に要求される主要4要素と称することができ、これらの4要素をバランス良く向上させることが強く望まれている。特に耳率は、これらの4要素のうちでもその制御が難しく、したがってこれらの4要素のバランスの改善には、耳率の適切な制御が極めて重要な課題となっている。
【0007】
ここで、従来一般の熱間圧延方式としては、粗圧延機、仕上圧延機としてそれぞれリバーシング・ミル、リバーシング・ウォームミルを適用するか、あるいは粗圧延および仕上圧延兼用の圧延機としてリバーシング・ミルを用いることが多いが、これらの熱間圧延方式では、一般に耳率を改善しようとすれば、特にフランジ成形性の低下を招く問題が生じ、また逆にフランジ成形性を向上させようとすれば耳率を抑えることが困難となり、例えば絞り比1.9において耳率を3%以下に抑えることは困難となる。
【0008】
一方、耳率を改善するための缶胴材製造方法として、既に特開平5−317914号では、冷間圧延中途において2回焼鈍を行なう方法が提案されているが、このように冷間圧延中途において2回焼鈍を行なった場合、最終冷間圧延の圧延率を大きくとれないため、強度不足が生じやすいという問題があるほか、焼鈍を2回行なうために製造コストの上昇を招き、さらには製缶時の材料の加工硬化量が大きくなってフランジ成形性が悪化する問題もある。
【0009】
この発明は以上の事情を背景としてなされたものであって、熱間圧延機としてリバーシング・ミルを用いた場合において、缶胴材として望まれる諸要求を充分に満足し得る材料、すなわち薄肉化を図った場合でも強度とフランジ成形性、しごき性に優れ、しかも深絞りにおける材料の耳率が確実かつ安定して低い缶胴用アルミニウム合金板を製造し得る方法を提供することを基本的な目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述のような課題を解決するべく、本願発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延の諸条件を厳密に規制し、これにより熱間圧延における材料の再結晶状態、特に仕上圧延における各圧延パスでの再結晶状態と立方体方位結晶粒の密度(面積率)等を適切に制御し、かつ得られた熱間圧延板に対し1次冷間圧延を施してから中間焼鈍を行なって、中間焼鈍後の立方体方位結晶粒の密度(面積率)を適切に制御することによって、前述の課題を解決し得ることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0011】
具体的には、請求項1の発明の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにリバーシング・ミルを用いて粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行なうにあたり、
(1) 350〜590℃の範囲内の温度で熱間粗圧延を開始し、
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、かつ熱間仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下に制御し、
(3) 熱間仕上圧延の各圧延パスにおいてコイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御し、
(4) 熱間仕上圧延の終了温度を230〜330℃の範囲内、熱間仕上圧延終了板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とし、
(5) 熱間仕上圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、
(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間仕上圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内に制御し、
その後、熱間圧延板に対して、2〜50%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに中間焼鈍として、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連続焼鈍を施して材料を完全再結晶させることにより、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内に制御し、その後さらに50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金として、Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を用い、請求項1で規定するプロセス条件と同様の条件の均質化処理−熱間圧延(粗圧延−仕上圧延)−1次冷間圧延−連続焼鈍−最終冷間圧延のプロセスで製造するものである。
【0013】
さらに請求項3の発明の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、素材合金として請求項1で規定する合金と同じアルミニウム合金を用い、かつ均質化処理−熱間圧延(粗圧延−仕上圧延)−1次冷間圧延を請求項1で規定する条件で行ない、その後の焼鈍として、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍を施し、その後請求項1の方法と同様に50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうものである。
【0014】
そしてまた請求項4の発明の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、素材アルミニウム合金として請求項2で規定する成分組成と同じ成分組成の合金を用い、請求項3で規定するプロセスで製造するものである。
【0015】
なお、以上の請求項1〜4の方法において、50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なった後には、さらに80〜200℃の範囲内の温度で0.1〜24時間保持する最終焼鈍を施しても良く、これを規定したのが請求項5の発明である。
【0016】
【発明の実施の形態】
先ずこの発明の方法において用いられるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について説明する。
【0017】
Mg:
Mgの添加は、Mgそれ自体の固溶による強度向上に効果があり、またMgの固溶に伴なって加工硬化量の増大による強度向上が期待でき、さらにはSiとの共存によるMg2 Siの時効析出による強度向上も期待でき、したがってMgは缶胴材として必要な強度を得るためには不可欠の元素である。またMgは、加工時の転位の増殖作用があるため、再結晶粒を微細化させるためにも有効である。但しMg量が0.5%未満では上述の効果が少なく、一方2.0%を越えれば、高強度は容易に得られるものの、DI加工時の変形抵抗が大きくなって絞り性やしごき性を悪くする。したがってMg量は0.5〜2.0%の範囲内とした。
【0018】
Mn:
Mnは強度および成形性の向上に寄与する有効な元素である。特にこの発明で目的としている用途である缶胴材ではDI成形時にしごき加工が加えられるため、とりわけMnは重要となる。アルミニウム板のしごき加工においては通常エマルジョンタイプの潤滑剤が用いられているが、Mn系晶出物が少ない場合には同程度の強度を有していてもエマルジョンタイプ潤滑剤だけでは潤滑能が不足し、ゴーリングと称される擦り疵や焼付きなどの外観不良が発生するおそれがある。ゴーリングは晶出物の大きさ、量、種類に影響されることが知られており、その晶出物を形成するためにMnは不可欠な元素である。Mn量が0.5%未満ではMn系化合物による固体潤滑的な効果が得られず、一方Mn量が2.0%を越えればAl6 Mnの初晶巨大金属間化合物が発生し、著しく成形性を損なう。そこでMn量は0.5〜2.0%の範囲内とした。
【0019】
Fe:
Feは、Mnの晶出や析出を促進して、アルミニウム基地中のMn固溶量やMn系金属間化合物の分散状態を制御するために必要な元素である。適切な化合物分散状態を得るためには、Mn添加量に応じてFeを添加することが必要である。Fe量が0.1%未満では適切な化合物分散状態を得ることが困難であり、一方Fe量が0.7%を越えれば、Mn添加に伴なって初晶巨大金属間化合物が発生しやすくなり、成形性を著しく損なう。そこでFe量の範囲は0.1〜0.7%とした。
【0020】
Si:
Siの添加は、Mg2 Si系化合物の析出による時効硬化を通じて缶胴材の強度向上に寄与する。またSiは、Al−Mn−Fe−Si系金属間化合物を生成して、Mn系金属間化合物の分散状態を制御するために必要な元素である。Si量が0.05%未満では上記の効果が得られず、一方0.5%を越えれば時効硬化により材料が硬くなりすぎて成形性を阻害する。そこでSi量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0021】
Ti,B:
通常のアルミニウム合金においては、鋳塊結晶粒微細化のためにTi、あるいはTiおよびBを微量添加することが行なわれており、この発明においても、必要に応じて微量のTiを単独で、あるいはBと組合せて添加しても良い。但しTi量が0.005%未満ではその効果が得られず、0.20%を越えれば巨大なAl−Ti系金属間化合物が晶出して成形性を阻害するため、Tiを添加する場合のTi量は0.005〜0.20%の範囲内とした。またTiとともにBを添加すれば鋳塊結晶粒微細化の効果が向上するが、Tiと併せてBを添加する場合、B量が0.0001%未満ではその効果がなく、0.05%を越えればTi−B系の粗大粒子が混入して成形性を害することから、TiとともにBを添加する場合のB量は0.0001〜0.05%の範囲内とした。
【0022】
Cu,Cr,Zn:
これらはいずれも強度向上に寄与する元素であり、必要に応じてこれらのうちから選ばれた1種または2種以上が添加される。これらの各元素についてさらに説明する。
【0023】
Cu:
Cuは、焼鈍時にアルミニウム基地中に溶体化させておき、塗装焼付処理時にAl−Cu−Mg系析出物として析出することによる析出硬化を利用した強度向上に寄与する。Cu量が0.05%未満ではその効果が得られず、一方Cuを0.5%を越えて添加した場合には、時効硬化は容易に得られるものの、硬くなりすぎて成形性を阻害し、また耐食性も劣化する。そこでCu量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0024】
Cr;
Crも強度向上に効果的な元素であるが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.3%を越えれば巨大晶出物生成によって成形性の低下を招くため、好ましくない。そこでCr量の範囲は0.05〜0.3%とした。
【0025】
Zn:
Znの添加はAl−Mg−Zn系粒子の時効析出による強度向上に寄与するが、0.05%未満ではその効果が得られず、0.5%を越えれば、強度への寄与については問題がないが、耐食性を劣化させる。そこでZn量の範囲は0.05〜0.5%とした。
【0026】
以上の各元素の残部はAlと不可避不純物とすれば良い。
【0027】
次にこの発明における製造プロセスを、その作用とともに説明する。
【0028】
先ず前述のような合金組成を有するアルミニウム合金鋳塊を常法に従ってDC鋳造法(半連続鋳造法)などにより鋳造する。次いでその鋳塊に対して均質化処理を施して、鋳塊の偏析を均質化するとともにMn系の第2相粒子サイズと分布を最適化する。均質化処理温度が520℃未満では均質化の効果が不充分であり、一方630℃を越えれば共晶融解のおそれがある。均質化処理は1時間未満では均質化が不充分となる。したがって均質化処理は520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上行なう必要がある。なお均質化処理時間の上限は特に規制しないが、経済性を考慮して通常は48時間以下にすることが好ましい。
【0029】
均質化処理を施した鋳塊に対しては、熱間圧延を行なう。この熱間圧延は、粗圧延およびそれに続く仕上圧延からなるものである。缶胴材の製造工程中において、熱間圧延の条件は、材料の回復および再結晶挙動に大きな影響を及ぼし、それに伴なって耳率に深く関係する圧延集合組織、特に立方体方位結晶粒の生成に重要な影響を及ぼす。そこでこの発明では、熱間圧延開始温度や熱間圧延終了温度のみならず、仕上圧延での各圧延パスの条件などを厳密に細かく規定することによって、再結晶挙動、ひいては圧延集合組織を厳密に制御している。以下に熱間圧延工程における各条件(1)〜(6)についてさらに詳細に説明する。
【0030】
(1) 熱間圧延開始温度、すなわち粗圧延開始温度を350〜590℃の範囲内とする。
【0031】
熱間圧延の開始温度は、熱間圧延中の材料の回復および再結晶の挙動に強い影響を及ぼし、特に最終板の深絞り耳率に深く関係する圧延集合組織の制御に重要な役割を果たしている。熱間粗圧延開始温度が350℃未満では圧延集合組織を発達させ易いが、熱間圧延中に板のエッジ割れが生じやすくなり、一方590℃を越えた高温で熱間圧延を開始すれば、粗大な結晶粒が生成されやすくなり、板の表面品質が低下する。したがって熱間粗圧延の開始温度は350〜590℃の範囲内とする必要がある。
【0032】
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を、50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、さらに仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間での材料滞留時間を10分以内として、仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスは除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下、好ましくは30%以下に制御する。
【0033】
仕上圧延の開始時の板厚が50mmを越えれば、仕上圧延のパス回数が増加し、仕上圧延効率が悪くなるから、仕上圧延の開始板厚は50mm以下とした。このような50mm以下の板厚での仕上圧延中における各圧延パスでの再結晶率は、集合組織の制御に重要な影響を及ぼし、その間の各圧延パスにおける再結晶率を90%以下、望ましくは30%以下に制御することによって、熱間圧延終了後の材料の立方体方位密度(具体的には、立方体方位結晶粒の面積率)を高め、最終板の45°耳を低くして低耳率を達成することが可能となる。なおここで規定している各圧延パスにおける再結晶率は、その圧延パスの開始から次パスでの圧延が開始される直前までに生じる再結晶を素材全体に対する面積率で表わしたものである。ここで、板厚50mm以下の仕上圧延での各圧延パスのうち、1パスでも再結晶率が90%を越えれば、熱間圧延終了後の立方体方位密度が低下して、最終板の45°耳が高くなってしまう。
【0034】
上述のように板厚が50mm以下の仕上圧延の各圧延パスにおける再結晶率を90%以下、好ましくは30%以下に制御するためには、圧延温度と、各圧延パスにおける圧下率、および各圧延パス間での材料滞留時間を適切に制御する必要がある。すなわち、板厚が50mm以下の仕上圧延における圧延開始温度を280〜450℃の範囲内とし、また仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内とし、さらに各圧延パス間における材料滞留時間(前の圧延パスにおける圧延終了から次の圧延パスにおける圧延開始までの時間)を10分以内とする必要がある。
【0035】
ここで、仕上圧延での圧延開始温度が280℃未満では表面品質が劣化するとともにエッジ割れが発生するおそれがある。一方仕上圧延の圧延開始温度が450℃を越えれば、再結晶率が上限を越えてしまうおそれがある。また各圧延パスの圧下率が10%未満では生産性が低下し、一方80%を越えれば、温度と組合せて再結晶率が90%以下を維持することが困難となるばかりでなく、表面品質の低下を招くおそれがある。さらに各圧延パス間での材料滞留時間が10分を越えれば、その滞留期間中に再結晶が進行して、各圧延パスでの再結晶率が上限を越えてしまうおそれがあり、また生産性も低下する。
【0036】
(3) 仕上圧延の各圧延パスにおいて、コイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御する。
【0037】
ここで、仕上圧延の各圧延パスでのコイル長手方向の温度のばらつきもしくはコイル幅方向の温度のばらつきが70℃を越えれば、コイル長手方向もしくは幅方向に再結晶率がばらつき、均一な耳率を維持することが困難となってしまう。なおこのようにコイル長手方向、幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御するための方法は特に限定されないが、例えば圧延速度を調整して加工発熱を抑制したり、クーラントの量を調整して温度が高くなりやすい部分を重点的に冷却したりすれば良い。
【0038】
(4) 熱間圧延終了温度すなわち仕上圧延終了温度を230〜330℃の範囲内とし、かつ熱間圧延終了時の板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とする。
【0039】
熱間圧延の終了温度(上がり温度)が230℃未満では、表面品質が低下するばかりでなく、第2相粒子周辺での再結晶核生成密度が増加して、その後の再結晶で立方体方位以外の再結晶粒が多くなり、立方体方位結晶粒の面積率を0.1%以上とすることが困難となって、低耳率制御に不利となる。一方熱間圧延終了温度が330℃を越えれば、熱間圧延終了後室温まで冷却する間に完全再結晶もしくはそれに近い再結晶状態となり、室温冷却状態での再結晶率を97%以下とすることが困難となってしまう。また熱間圧延終了時の板厚(上がり板厚)が1.5mm未満では、熱間圧延機における板厚精度の制御が困難となり、一方熱間圧延終了板厚が4.0mmを越えれば、中間焼鈍後の最終冷間圧延において圧延率が高くなり過ぎ、高強度は容易に得られるものの、45°耳が高くなって、耳率が大きくなってしまう。
【0040】
(5) 熱間圧延終了直後(仕上圧延終了温度)の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/時間以下とする。
【0041】
熱間圧延終了直後の上り材(コイル)の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの冷却過程、特に100℃までの冷却過程は、立方体方位の結晶粒の核生成が生じる過程であり、この間の冷却速度が100℃/時間を越える場合には、立方体方位の結晶粒の核生成が不充分となり、立方体方位結晶粒面積率0.1%以上を確保することが困難となって、最終板の低耳率制御に不利となる。なお熱間圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度の下限は特に限定しないが、1℃/時間以上とすることが好ましい。その間の冷却速度が1℃/時間未満の場合は、ほぼ完全に再結晶してしまい、室温まで冷却した状態での再結晶率を97%以下とすることが困難となるおそれがある。
【0042】
(6) 室温まで冷却した状態での熱間圧延上がり板(熱延板)の再結晶率を97%以下(したがって部分再結晶状態に相当する)とし、かつ立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内とする。
【0043】
熱間圧延上り板の室温まで冷却した状態での再結晶率と立方体方位結晶粒の面積率の規制は、この発明の方法において重要なポイントであり、これらの値は最終板の低耳率制御と外観欠陥に大きな影響を及ぼす。すなわち、熱間圧延上りの230〜330℃の範囲内の温度から室温まで冷却する間に自己焼鈍が進んで、再結晶率が97%を越えてしまった場合(すなわち完全再結晶状態もしくはそれに近い再結晶状態)には、その後の1次冷間圧延と中間焼鈍により立方体方位の結晶組織を増強させる効果が得られなくなり、そのため最終板を低耳率に制御することが困難となり、また同時に最終板の結晶粒の粗大化を招いて製缶時の肌荒れやフローライン等の外観欠陥が発生しやすくなる。したがって室温まで冷却した状態での再結晶率を97%以下に規制する必要がある。そしてこの範囲内でも特に再結晶率を75%以下に規制することが好ましい。また立方体方位結晶粒の面積率が0.1%未満でも、その後の1次冷間圧延と中間焼鈍により立方体方位の結晶組織を増強させることが困難となり、最終板の45°耳が高くなって低耳率を達成することが困難となる。一方立方体方位結晶粒の面積率が50%を越えれば、立方体方位結晶粒が過剰となり、最終冷間圧延後の最終板でも0°−90°耳が残り、製缶時のトラブルの原因となる。
【0044】
なお上述のように室温まで冷却した状態での再結晶率および立方体方位結晶粒面積率には、熱間圧延諸条件、すなわち前述の(1)〜(5)の条件と合金の成分組成が影響を与えるから、これらを相互の関係のもとに適切に調整することによって室温での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒面積率を0.1〜50%に制御することができる。
【0045】
なおまた、上述のような熱延板を得るための熱間圧延設備としては、粗圧延機、仕上圧延機のそれぞれにリバーシング・ミル(リバーシング・ウォームミルを含む)を用いるかまたは粗圧延と仕上圧延兼用のリバーシング・ミル(リバーシング・ウォームミルを含む)を用いることとする。
【0046】
以上の(1)〜(6)の条件を満たすようにして得られた部分再結晶状態の熱延板に対しては、圧延率が2〜50%の範囲内の1次冷間圧延を施す。このように部分再結晶状態の熱延板に対し1次冷間圧延を施して熱延板に適切な歪みを与えることにより、その後の焼鈍で立方体方位の結晶粒の生成、成長を促進させるとともに、立方体方位以外の方位の結晶粒の核生成、成長を抑制する効果が得られる。
【0047】
ここで、熱延板に対する1次冷間圧延の圧延率が2%未満では、歪み量不足により立方体方位の結晶粒の生成、成長を加速する効果および立方体方位以外の結晶粒の生成、成長を抑制する効果が不充分となり、また実際の工業生産では2%未満のわずかな圧下量のコントロールは困難となる。一方1次冷間圧延の圧延率が50%を越えれば、導入された多量の歪により立方体方位の結晶粒やその核も破壊されてしまうため、立方体方位結晶粒組織を増強することが困難となり、最終板の耳率低減効果が得られなくなり、さらには最終冷間圧延率が相対的に減少し、充分な強度を確保することが困難となる。したがって熱延板に対する1次冷間圧延における圧延率は2〜50%の範囲内とした。ここで、特にこの発明においては、1次冷間圧延の圧延率が2〜50%という広い範囲で許容しながらも、低耳率を達成し得ることが重要であり、このような広い範囲内で1次冷間圧延率を最適に調整することによって、最終板における低耳率のみならず、前述の缶胴材に要求される4要素のバランスを向上させることが可能となった。なおこのように1次冷間圧延率に広い範囲が許容されるようになったのは、既に述べたように熱間圧延の諸条件を厳密に規制して、耳率制御に有利となるように熱間圧延工程での再結晶状態および立方体方位結晶粒面積率を適切に制御したことによるのである。
【0048】
前述のように熱延板に対して圧延率2〜50%の1次冷間圧延を施した後には、連続焼鈍(CAL)もしくはバッチ焼鈍によって中間焼鈍を施す。この中間焼鈍は、材料を完全に再結晶させ、最終冷間圧延後の最終板の耳率を低くするために必要な工程である。
【0049】
1次冷間圧延後の中間焼鈍に連続焼鈍を適用する場合、その連続焼鈍は、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱し、保持なしもしくは10分以下の保持の後、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する条件とする。ここで、平均昇温速度、平均冷却速度が1℃/秒未満では、連続焼鈍(CAL)方式においては生産性の著しい低下を招き、また100℃/秒を越える平均昇温速度、平均冷却速度は立方体方位の結晶粒の形成に不利となる。また加熱到達温度が330℃未満では再結晶が生じにくく、一方620℃を越える高温では共晶融解が生じるおそれがある。さらに330〜620℃に10分を越えて保持することは、連続焼鈍の生産性を阻害する。
【0050】
一方、一次冷間圧延後の中間焼鈍としてバッチ焼鈍を適用する場合、平均昇温速度0.1℃/秒以下で250〜500℃の範囲内の温度に加熱し、その範囲内の温度で0.5時間以上保持し、平均冷却速度0.1℃/秒以下で冷却する。ここで、平均昇温速度および平均冷却速度が0.1℃/秒を越えれば、バッチ焼鈍方式では熱延板コイル全体を均一に加熱もしくは冷却できなくなる問題が生じる。また加熱保持温度が250℃未満では完全に再結晶させることが困難となり、一方500℃を越える高温では再結晶核が粗大となって、製缶時に肌荒れやフローラインなどの表面欠陥が発生しやすくなる。また加熱保持の時間が0.5時間未満では完全に再結晶させることが困難であり、また熱延板のコイルの全体を均一に加熱することが困難となる。なおバッチ焼鈍の場合の加熱保持時間の上限は特に定めないが、通常は経済性の観点から、24時間以内とする。
【0051】
さらに、最終板の低耳率を実現するためには、前述のような連続焼鈍もしくはバッチ焼鈍による中間焼鈍を施した後の状態で、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内とする必要がある。中間焼鈍後の状態で立方体方位結晶粒の面積率が1%未満では、最終板の45°耳が高くなりやすく、一方70%を越えれば立方体方位結晶粒が過剰となって0°−90°耳が高くなりやすくなる。
【0052】
前述のようにして中間焼鈍を施した後には、最終板厚としかつ必要な強度を得るために、50%以上の圧延率で、最終冷間圧延を施す。ここで、最終冷間圧延の圧延率が50%未満では、加工硬化による強度上昇が少なく、缶胴材用の最終板に必要な強度を得ることが困難である。
【0053】
最終冷間圧延後の板は、これを最終板としてそのままDI成形に供しても良いが、最終冷間圧延後の板に必要に応じて80〜200℃の範囲内の温度で0.5〜24時間の最終焼鈍を行なっても良い。この最終焼鈍は、延性の回復による成形性の向上を目的としたものであるが、その温度が80℃未満では成形性の向上効果が充分に得られず、一方200℃を越えれば軟化による強度低下が大きくなり、また焼鈍時間が0.5時間未満では成形性向上効果を充分に得ることができず、さらに焼鈍時間が24時間を越えれば、成形性向上効果が飽和し、生産性、経済性を損なうだけである。なお積極的に最終焼鈍を行なわない場合でも、最終冷間圧延を高速で行なうことにより発生する加工熱を利用して、前記同様な焼鈍効果を得ることができる。
【0054】
【実施例】
表1に示す合金記号A〜Eの各合金について、常法に従ってDC鋳造法によりスラブに鋳塊した。その後、均質化処理を施した後、リバーシング・ミルを用いて熱間圧延(粗圧延−仕上圧延)を施した。均質化処理および熱間圧延の詳細な条件を表2〜表4の製造番号1〜7に示す。さらに室温まで冷却した後の熱延板に対し、1次冷間圧延を施した後、中間焼鈍として連続焼鈍もしくはバッチ焼鈍を施し、その後最終冷間圧延を行なった。なお最終冷間圧延後には、製造番号1,3,6の場合を除いて最終焼鈍を施した。1次冷間圧延後の詳細な条件を表5の製造番号1〜7に示す。
【0055】
なお熱間仕上圧延終了後の室温に冷却した状態で再結晶率を調べるとともに、立方体方位結晶粒の面積率を調べたので、その結果を表3、表4中に示す。また中間焼鈍後の状態でも立方体方位結晶粒の面積率を調べたので、その結果を表5中に示す。ここで、再結晶率はOIM(Orientation Imaging Microscopy)方位解析顕微鏡のスキャン画像から求めた。また立方体方位結晶粒の面積率の測定については、同じくOIM方位解析顕微鏡を用いて結晶方位の特定を行ない、立方体方位の中心位置から±15°の範囲内の結晶回転を持つすべての結晶粒、核を立方体方位粒とみなし、その面積率を定めた。
【0056】
以上のようにして得られた缶胴用のアルミニウム合金板について、元板の機械的性質(引張強さTS、耐力YS、伸びEL)および耳率を調べ、さらに塗装焼付(ベーキング)を想定した200℃×20分の熱処理を行なった後の機械的性質およびDI成形性を調べた。ここで、元板についての耳率は、ポンチ径48mm、ブランク径93mm、クリアランス30%の条件にてカップ深絞り試験を行なって調べた。そして耳率の平均値は、コイル長手方向と幅方向で等間隔にそれぞれ5点、合計25カ所からサンプルを採取し、その最大値と最小値の差をばらつきとした。ここで耳率の平均値が3%を越えれば、製缶中に缶切れなどのトラブルを引き起こしやすくなり、また耳率のばらつきが3%を越えれば、製缶の安定性を阻害するおそれがある。
【0057】
一方DI缶成形性の指標としては、
(1) 缶切れ性については苛酷なしごき成形を連続10000缶行なったときの破断缶の発生状況、
(2) フランジ成形性に相当する口拡げ性については4段ネッキング後のフランジ成形性、
(3) 耐圧性については4段ネッキング、フランジング後の缶胴体の座屈強度、
(4) シーミング性についてはフランジング後、蓋とのシーミング性、
(5) 外観欠陥についてはDI缶の缶胴壁の圧延方向に沿ったフローライン状の外観欠陥およびDI方向に発生する縦筋、
をそれぞれ調べ、これらの評価項目を1〜5までの5段階のランクで相対評価した。ここで、DI成形性の評価ランク数値は高いほど良好であり、ランク3以上で合格レベルと評価できる。
【0058】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
表1〜表6において、製造番号1〜4はいずれもこの発明で規定する成分組成範囲内の合金について、この発明で規定する製造プロセス条件を満足して製造したものであり、この場合は表6に示すように、いずれも耳率が3%を確実に下廻って充分な低耳率を達成でき、かつベーキング後の耐力が240MPa以上で充分な強度を有しており、しかもDI缶成形性も優れていることが明らかである。
【0065】
一方製造番号5,6は、いずれも合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件がこの発明で規定する範囲から外れたものである。
【0066】
すなわち製造番号5のプロセスは、熱間圧延終了温度に対応する仕上圧延3パス目の温度が190℃と低く、この場合は熱間圧延終了後室温に冷却した状態での立方体方位結晶粒の面積率が0.1%を下廻り、また中間焼鈍後の立方体方位結晶粒の面積率も0.7%と低く、そのため耳率が平均で6.1%と高くなってしまい、缶切れ性が著しく劣っていた。
【0067】
また製造番号6のプロセスは、熱間仕上圧延の開始温度が463℃と高く、また仕上圧延4パス目の再結晶率が93%と高く、さらに熱間圧延終了温度に対応する仕上圧延5パス目の温度が340℃と高く、さらに仕上圧延4パス目の材料滞留時間が713秒と高く、また1次冷間圧延も行なわなかった例であり、この場合は熱間圧延終了後室温に冷却した状態で完全再結晶してしまい、また4パス目のコイル温度のばらつきが70℃を越えてしまった。そしてこの場合は耳率が高く、特に耳率のばらつきが4.3%と著しく大きく、缶切れ性、外観欠陥評価が劣っていた。
【0068】
また製造番号6は、Mg量が0.46%とこの発明で規定する範囲を外れた合金Eを用いた例であり、この場合はベーキング後の強度が低く、また耳率も高く、さらにDI成形性も劣っていた。
【0069】
【発明の効果】
前述の実施例からも明らかなように、この発明の方法によれば、DI缶胴用材料として要求される4要素、すなわち耳率とフランジ成形性、しごき性、強度のバランスが優れたアルミニウム合金板を確実かつ安定して得ることができる。特にこの発明の方法の場合、熱間圧延条件を細かく制御することにより、低耳率を確保しながらも中間焼鈍を挟んでの2回の冷間圧延のうちの1次の冷間圧延の圧延率を広い範囲で調整することが可能となり、そのため低耳率と高い強度とを同時かつ容易に得ることが可能となった。
Claims (5)
- Mg0.5〜2.0%(重量%、以下同じ)、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにリバーシング・ミルを用いて粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行なうにあたり、
(1) 350〜590℃の範囲内の温度で熱間粗圧延を開始し、
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、かつ熱間仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下に制御し、
(3) 熱間仕上圧延の各圧延パスにおいてコイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御し、
(4) 熱間仕上圧延の終了温度を230〜330℃の範囲内、熱間仕上圧延終了板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とし、
(5) 熱間仕上圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、
(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間仕上圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内に制御し、
その後、熱間圧延板に対して、2〜50%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに中間焼鈍として、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連続焼鈍を施して材料を完全再結晶させることにより、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内に制御し、その後さらに50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。 - Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにリバーシング・ミルを用いて粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行なうにあたり、
(1) 350〜590℃の範囲内の温度で熱間粗圧延を開始し、
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、かつ熱間仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下に制御し、
(3) 熱間仕上圧延の各圧延パスにおいてコイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御し、
(4) 熱間仕上圧延の終了温度を230〜330℃の範囲内、熱間仕上圧延終了板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とし、
(5) 熱間仕上圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、
(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間仕上圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内に制御し、
その後、熱間圧延板に対して、2〜50%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに中間焼鈍として、1〜100℃/秒の範囲内の平均昇温速度で330〜620℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは10分以下の保持を行なって、1〜100℃/秒の範囲内の平均冷却速度で冷却する連続焼鈍を施して材料を完全再結晶させることにより、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内に制御し、その後さらに50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。 - Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにリバーシング・ミルを用いて粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行なうにあたり、
(1) 350〜590℃の範囲内の温度で熱間粗圧延を開始し、
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、かつ熱間仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下に制御し、
(3) 熱間仕上圧延の各圧延パスにおいてコイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御し、
(4) 熱間仕上圧延の終了温度を230〜330℃の範囲内、熱間仕上圧延終了板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とし、
(5) 熱間仕上圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、
(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間仕上圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内に制御し、
その後、熱間圧延板に対して、2〜50%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに中間焼鈍として、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍を施して材料を完全再結晶させることにより、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内に制御し、その後さらに50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。 - Mg0.5〜2.0%、Mn0.5〜2.0%、Fe0.1〜0.7%、Si0.05〜0.5%を含有し、かつCu0.05〜0.5%、Cr0.05〜0.3%、Zn0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を含有し、さらに必要に応じて0.005〜0.20%のTiを単独でもしくは0.0001〜0.05%のBと組合せて含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を鋳造した後、520〜630℃の範囲内の温度で1時間以上の均質化処理を施し、さらにリバーシング・ミルを用いて粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延を行なうにあたり、
(1) 350〜590℃の範囲内の温度で熱間粗圧延を開始し、
(2) 熱間粗圧延終了後、熱間仕上圧延を50mm以下の板厚、280〜450℃の範囲内の温度で開始し、かつ熱間仕上圧延の各圧延パスでの圧下率を10〜80%の範囲内、各圧延パス間の材料滞留時間を10分以内として、熱間仕上圧延の各圧延パス(但し最終パスを除く)における次パス開始直前までの再結晶率を90%以下に制御し、
(3) 熱間仕上圧延の各圧延パスにおいてコイル長手方向および幅方向の板温度のばらつきを70℃以内に制御し、
(4) 熱間仕上圧延の終了温度を230〜330℃の範囲内、熱間仕上圧延終了板厚を1.5〜4.0mmの範囲内とし、
(5) 熱間仕上圧延終了直後の230〜330℃の範囲内の温度から室温までの平均冷却速度を100℃/hr以下とし、
(6) 以上の(1)〜(5)により、熱間仕上圧延終了後の室温に冷却された状態での再結晶率を97%以下、立方体方位結晶粒の面積率を0.1〜50%の範囲内に制御し、
その後、熱間圧延板に対して、2〜50%の範囲内の圧延率で1次冷間圧延を行ない、さらに中間焼鈍として、0.1℃/秒以下の平均昇温速度で加熱して250〜500℃の範囲内の温度に0.5時間以上保持して、0.1℃/秒以下の平均冷却速度で冷却するバッチ焼鈍を施して材料を完全再結晶させることにより、立方体方位結晶粒の面積率を1〜70%の範囲内に制御し、その後さらに50%以上の圧延率で最終冷間圧延を行なうことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の缶胴用アルミニウム合金板の製造方法において、
前記最終冷間圧延を行なった後、さらに80〜200℃の範囲内の温度で0.1〜24時間保持する最終焼鈍を施すことを特徴とする、缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
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