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JP3869950B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

トナー及び画像形成方法 Download PDF

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JP3869950B2
JP3869950B2 JP25258698A JP25258698A JP3869950B2 JP 3869950 B2 JP3869950 B2 JP 3869950B2 JP 25258698 A JP25258698 A JP 25258698A JP 25258698 A JP25258698 A JP 25258698A JP 3869950 B2 JP3869950 B2 JP 3869950B2
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智史 半田
雅教 伊藤
保和 綾木
恵司 河本
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷、磁気記録及びトナージェットの如き画像形成方法において、トナー画像を形成する為のトナー、及び、該トナーを用いた画像形成方法に関するものである。特に、トナーで形成された顕画像を記録材に加熱定着させる定着方式に供される静電荷像現像用トナー、及び、該トナーを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公報に記載されている如く多数の方法で知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて直接的あるいは間接的手段を用い、紙の如き記録材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、或は溶剤蒸気により定着し複写物を得るものである。そして感光体上に転写せずに残った未転写トナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
【0003】
一般的なフルカラー画像を形成する方法の一例について説明すると、感光体ドラムの感光体(静電潜像担持体)を一次帯電器によって均一に帯電し、原稿のマゼンタ画像信号にて変調されたレーザー光により画像露光を行い、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、マゼンタトナーを保有するマゼンタ現像器により該静電潜像の現像を行い、マゼンタトナー画像を形成する。次に搬送されてきた記録材に転写帯電器によって前記の感光ドラムに現像されたマゼンタトナー画像を直接的、或いは間接的手段を用い転写する。
【0004】
前記の静電潜像の現像を行った後の感光体ドラムは、除電用帯電器により除電し、クリーニング手段によってクリーニングを行った後、再び一次帯電器によって帯電し、同様にシアントナー画像の形成及び前記のマゼンタトナー画像を転写した記録材へのシアントナー画像の転写を行い、さらにイエロー色,ブラック色と順次同様に行って、4色のトナー画像を記録材に転写する。この4色のトナー画像を有する記録材を定着ローラにより熱及び圧力の作用で定着することによりフルカラー画像を形成する。
【0005】
近年このような装置は、単なるオリジナル原稿を複写する為の事務処理用複写機というだけでなく、コンピュータの出力としてのレーザービームプリンター、或いは個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始めた。
【0006】
このようなレーザービームプリンターやパーソナルコピーに代表される分野以外にも、基本エンジンを応用した普通紙ファックスへの展開も急激に発展を遂げつつある。
【0007】
その為、小型化、軽量化、高速化、高画質化、及び高信頼性の点がより厳しく追及されてきており、機械は種々の点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきている。その結果、トナーに要求される性能はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなければよりすぐれた機械が成り立たなくなってきている。近年多様な複写のニーズに伴ない、カラー複写に対する需要も急増しており、オリジナルカラー画像をより忠実に複写するため、更に一層の高画質、高解像度が望まれている。さらに、両面のオリジナルカラー原稿の複写に対する要求も高まってきている。
【0008】
これらの観点より、該カラーの画像形成方法に使用されるトナーは、これに加熱した際の溶融性及び混色性が良いことが必要であり、軟化点が低く、且つ溶融粘度の低いシャープメルト性の高いトナーを使用することが好ましい。
【0009】
斯かるシャープメルトトナーを使用することにより、複写物の色再現範囲を広め、原稿像に忠実なカラーコピーを得ることができる。
【0010】
しかしながら、このようなシャープメルト性の高いカラートナーは、一般に定着ローラとの親和性が高く、定着時に定着ローラにオフセットし易い傾向にある。
【0011】
特にカラー画像形成装置における定着装置の場合、転写材上にマゼンタ,シアン,イエロー,ブラックと複数層のトナー層が形成されるため、トナー層厚の増大から特にオフセットが発生しやすい傾向にある。
【0012】
従来定着ローラ表面にトナーを付着させない目的で、例えばローラ表面をシリコーンゴムや弗素系樹脂の如きトナーに対して離型性に優れた材料で被覆し、さらにその表面にオフセット防止、及び、ローラ表面の疲労を防止する為にシリコーンオイル、フッ素オイルの如き離型性の高い液体の薄膜でローラ表面を被覆することが行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液体を供給する為の装置が必要な為、定着装置が複雑になるという問題点を有していることに加えて、このオイル塗布が定着ローラを構成している層間のはく離を起こし結果的に定着ローラの短寿命化を促進するという弊害がつきまとう。
【0013】
そこで、シリコーンオイルの供給装置などを用いないで、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体を供給しようという考えから、トナー中に低分子量ポリエチレン,低分子量ポリプロピレンの如き離型剤を添加する方法が提案されている。
【0014】
トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは、例えば特公昭52−3304号公報,特公昭52−3305号公報及び特公昭57−52574号公報に開示されている。
【0015】
特開平3−50559号公報,特開平2−79860号公報,特開平1−109359号公報,特開昭62−14166号公報,特開昭61−273554号公報,特開昭61−94062号公報,特開昭61−138259号公報,特開昭60−252361号公報,特開昭60−252360号公報及び特開昭60−217366号公報にワックス類を含有させる技術が開示されている。
【0016】
ワックス類は、トナーの低温時や高温時の耐オフセット性の向上や、低温時の定着性の向上のために用いられている反面、耐ブロッキング性を悪化させたり、複写機等の機内昇温などによって熱にさらされたり、また長期間トナーを放置した際にワックスがトナー表面にマイグレーションして現像性が悪化したりする。
【0017】
従って、上記の問題に対して、新規トナーの開発にかかる期待は大なるものであった。
【0018】
上記の課題に対して懸濁重合法トナーが提案されている(特公昭36−10231号公報)。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤,架橋剤,荷電制御剤,その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相(例えば水相)中に適当な撹拌機を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。
【0019】
この懸濁重合法では、水の如き極性の大なる分散媒中で単量体組成物の液滴を生成せしめる為、単量体組成物に含まれる極性基を有する成分は水相との界面である表層部に存在し易く、非極性の成分は表層部に存在しないという、いわゆるコア/シェル構造を形成することが出来る。
【0020】
重合法によるトナーは、離型剤であるワックス成分の内包化により、低温定着性、耐ブロッキング性と耐高温オフセット性という相反する性能を両立することが可能となり、かつ定着ローラにオイルの離型剤を塗布することなく、高温オフセットを防止することが可能となる。
【0021】
静電荷像現像用トナーは一般に熱可塑性樹脂である結着樹脂と着色剤を必須成分としており、トナーの現像性、定着性、保存安定性及び環境安定性を改良する目的で様々な結着樹脂の改良方法が提案されている。例えば、前記した重合法によるトナーに関しては、低温定着性と保存安定性を両立させるために比較的ガラス転移温度(Tg)の低い樹脂の外殻を、Tgが比較的高い樹脂で覆うという方法が考案されている(例えば特開平5−197203号公報)。しかし、この際に使用されるTgの比較的高い樹脂はポリエステルの如き吸湿性を有する極性樹脂である場合が多く、低温定着性と保存安定性の両立は可能であっても、環境変動による帯電安定性に問題を生じる場合があった。
【0022】
さらにトナーは多数枚プリントアウトした際に外添剤がトナー表面に埋没するして劣化が起こり、画像に悪影響が出ることが一般に知られている。トナーの耐久性を向上させるための一つの手段として、結着樹脂の機械的強度を上げる方法がある。しかし、現実には該結着樹脂の粉砕性やトナーの定着性に問題が生じるため、このような強靭な樹脂を結着樹脂として用いることは一般に困難である。
【0023】
機械的強度、電気特性、耐老化性(耐候性)などが優れる樹脂として、ポリカーボネートは一般に広く知られ、様々な用途で使用されている。トナーに関してもポリカーボネートを結着樹脂として使用する方法がいくつか開示されている。
【0024】
例えば、特開昭46−28588号公報には、特定のポリカーボネート共重合体と粒状キャリアを使用した画像形成方法が開示されている。該公報によれば、結着樹脂として特定のポリカーボネート共重合体を用いることにより、耐ブロッキング性に優れたトナーを得ることができる。しかし、該公報ではガラス転移温度が70〜95℃のポリカーボネート共重合体が結着樹脂として使用され、またワックス成分もトナーに含有されていないため、低温定着性が非常に悪く改善の余地がある。さらに、ポリカーボネート共重合体中に含有される不純物の電子写真特性への影響についても何ら記述されていない。さらに、該公報には、噴霧乾燥法および粉砕法によるトナーの製造方法が実施例で開示されているが、それぞれ得られたトナーの形状からくるトナー像の静電荷像担持体から転写材への転写性の差や帯電均一性の差についての記載は全く見られない。
【0025】
特開昭63−208863号公報には、ガラス転移温度50℃前後の特定の構造のポリカーボネート三元共重合体を、フラッシュ定着用トナーの結着樹脂として使用する方法が開示されている。該公報によれば、フラッシュ定着の際に結着樹脂であるポリカーボネート三元共重合体が熱分解しないため臭気や溶出物がなく、ワックス成分を含有しないにも関わらず、定着性の良好なトナーを得ることができる。しかしその反面、ガラス転移温度が低いポリカーボネート三元共重合体のみを結着樹脂として使用しているため、耐ブロッキング性や耐久性については満足のいくレベルに達しておらず、また、フラッシュ定着用として設計されたトナーであるため、例えば熱ロール定着のような加熱体とトナーが接触するような定着装置への適用は困難である。
【0026】
さらに、米国特許第4,457,998号公報には、高度に架橋した結着樹脂の中に線状の結着樹脂が取り込まれた構造となっているトナーが開示されており、高度に架橋した結着樹脂または線状の結着樹脂、あるいは両方としてポリカーボネート共重合体が使用できるとされている。しかし、該公報の明細書にはポリカーボネート共重合体を使用した例は全く記載されておらず、ポリカーボネート共重合体を結着樹脂として使用した場合の効果については不明である。
【0027】
特開平5−273782号公報には、表面近傍に多数の微小閉電界を形成した現像ローラを用いる画像形成方法において、プレート化したトナーのアイゾット衝撃値が2〜500Kg・cm/cmであるトナーを用いると、現像ローラへのフィルミングが防止できることが開示されており、そのトナーとして、スチレン−アクリル樹脂とポリカーボネートの混合物が結着樹脂として使用できると記載されている。
【0028】
しかし該公報にはポリカーボネートについての具体的な記載はなく、GPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカの繰り返し単位を有する成分についてや、該ポリカの分子量については検討されていない。
【0029】
特開平6−43688号公報には、サーモトロピック液晶性を示す特定の構造のポリカーボネート共重合体を結着樹脂として使用する方法が記載されている。サーモトロピック液晶性を示す該ポリカーボネート共重合体は、通常は結晶性が高く、融点まではなだらかな熱軟化挙動を示し、さらに昇温すると急激に液状化(溶融)して粘度が下がるとともに温度も低下する性質を示すため、該ポリカーボネート共重合体を結着樹脂として使用したトナーは、粉砕性、耐ブロッキング性を保ちつつ、ワックス成分をトナー中に含有しなくても低エネルギーで定着可能となる。しかし、該公報によるトナーは一種類の結着樹脂のみから構成されているためトナー溶融時の粘度が低すぎ、熱ロール等の定着装置に溶融したトナーが付着する、いわゆる高温オフセットを生じてしまうという問題が解決されていない。さらに、ポリカーボネート共重合体中に含有される不純物の電子写真特性等への影響や、トナーの形状に関して具体的な記述はない。
【0030】
先にも述べたように、近年は両面のオリジナル原稿の複写あるいは片面のオリジナル原稿の両面化に対するユーザーの需要は大きく、そのためにもより高画質,高信頼性のある両面画像が求められている。
【0031】
従来のカラー両面に対する技術において様々な弊害がある中で、最重要課題の一つに、1面を定着した後に発生する紙カールがある。この紙カールが大きいと、定着画像の搬送性は著しく劣り、高画質,高信頼性のある画像が得られない。これに対して、トナーに要求される性能としては、たとえば、転写材へのトナーの転写量を少ない状態において、いかに、画像濃度,色再現性等を満足した高画質な画像を得られるかである。これには、トナー自身の着色力の向上が必要となる。両面において、2度定着器を通過する画像が生じることから、耐高温オフセット性の更なる向上も必要とされている。
【0032】
従来、フルカラー複写機においては、4つの感光体とベルト状転写ベルトを用い各感光体上に形成された静電潜像をシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックトナーを用い現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成せしめる方法や、感光体に対向せしめた転写体表面に静電気力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することで結果的にフルカラー画像を得る方法等が一般的に利用されている。
【0033】
近年フルカラー用転写材として通常の紙やオーバーヘッドプロジェクター用フィルム(OHP)以外に厚紙やカード、葉書等の小サイズ紙等への多様なマテリアル展開の必要性が増してきている。上記の4つの感光体を用いる方法においては、転写材がストレートに搬送するため多様な転写材への適用範囲は広いが、複数のトナー像を正確に所定の転写材の位置に重ね合わせる必要があり、少しのレジストレーションの相違によっても高画質の画像を再現性良く得ることが困難で、転写材の搬送機構が複雑化し信頼性・部品点数の増加を招くという問題がある。さらに、転写材を転写体表面に吸着させ巻き付ける方法で秤量の大きな厚紙を用いる際においては、転写材のコシの強さで転写材の後端が密着不良を起こし、結果的に転写に基づく画像欠陥を起こし好ましくない。小サイズ紙に対しても同様に画像欠陥が発生する場合がある。
【0034】
ドラム形状の中間転写体を用いるフルカラー画像装置は、米国特許第5,187,526号明細書や特開平4−16426号公報等で既に知られている。米国特許第5,187,526号明細書においては、ポリウレタンを基材とする表層からなる中間転写ローラの体積固有抵抗値が、109 Ω・cm未満であり、同様の表面層から構成された転写ローラの体積固有抵抗値が、1010Ω・cm以上とすることで高画質を得ることができると記載されている。しかしながら、このような系においては、転写材へのトナーの転写時に十分なトナーへの転写電荷量を与えるためには、高出力電界が必要となるため導電性付与材を分散せしめたポリウレタンから構成された表層が、局所的にブレイクダウンを起こし、トナー乗り量の少ないハーフトーン画像において顕著な画像乱れが発生し好ましくない。更にこのような高電圧の印加は、相対湿度が60%RHを上回る高湿度下の環境においては、転写材の低抵抗化に伴い転写電流が漏洩して転写不良を起こし易く、一方、相対湿度が40%RH以下の低湿度環境においても転写材の不均一抵抗ムラに基づく転写不良の原因となる場合がある。
【0035】
中間転写体を用いる構成とトナーとの関係を記載しているものとして、特開昭59−15739号公報及び特開昭59−5046号公報がある。しかしながら、該公報においては、粘着性の中間転写体を用い10μm以下のトナーを効率よく転写せしめることしか述べられていない。通常中間転写体を用いる系においては、トナーの顕色像を感光体から中間転写体に一旦転写後、更に中間転写体から転写材上に再度転写することが必要であり、従来の上記方法と比べトナーの転写効率を従来以上に高める必要がある。特に複数のトナー像を現像後転写せしめるフルカラー複写機を用いた場合においては、白黒複写機に用いられる一色の黒トナーの場合と比較し感光体上のトナー量が増加し、単に従来のトナーを用いただけでは転写効率を向上させることが困難である。更に通常のトナーを用いた場合には、感光体や中間転写体とクリーニング部材との間、及び/又は、感光体と中間転写体間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転写体表面にトナーの融着やフィルミングが発生して転写効率の悪化や、フルカラーにおいては4色のトナー像が均一に転写されないことから色ムラやカラーバランスの面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安定して出力することが困難であった。
【0036】
さらに、通常のフルカラー複写機に搭載されるトナーとしては、定着工程で各カラートナーが十分混色することが必要で、このことにより色再現性の向上やOHP画像の透明性が重要であり、黒トナーと較べカラートナーは、一般的にシャープメルトで低分子量の樹脂を使用することが好ましい。通常の黒トナーには、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためにポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表される比較的結晶性の高い離型剤が用いられている。しかしながら、フルカラートナーにおいては、この離型剤の結晶化性のためOHPのトナー画像は、出力した際著しく透明性が阻害される。このため通常カラートナー構成成分として離型剤を添加せずに加熱定着ローラへシリコーンオイルを均一塗布せしめることで結果的に耐高温オフセット性の向上を図っている。しかしながら、このようにして得られたトナー定着像を有する転写材は、その表面に余分のシリコーンオイル等が付着しているため、ユーザーが使用する際不快感を生じ好ましくない。このように当接部分の多い中間転写体を用いたフルカラー画像形成には、現状困難な問題が多い。特開昭59−15739号公報及び特開昭59−5046号公報には、この点に関するトナー又は中間転写体への工夫は、提案されていない。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の問題点を解決したトナー及び画像形成方法を提供することである。
【0038】
本発明の目的は、耐久性および転写効率の高い静電荷像現像用トナー、および該トナーを用いた画像形成方法を提供することである。
【0039】
本発明の目的は、環境による帯電特性の変動が少なく、転写効率の高い静電荷像現像用トナー、および該トナーを用いた画像形成方法を提供することである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明の構成により達成される。
【0041】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、該結着樹脂は、結着樹脂の重量を基準として、ポリカーボネート系樹脂0.1乃至50.0重量%及びポリカーボネート系樹脂以外の樹脂50.0乃至99.9重量%を有し、該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として15.0重量%以下含有していることを特徴とするトナーに関する。
【0042】
本発明は、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体を帯電する帯電工程;帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;該潜像担持体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程;該静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに記録材に転写する転写工程;及び該記録材上に転写されたトナー画像を該記録材に加熱定着する定着工程;を有する画像形成方法において、該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有しており、該結着樹脂は、結着樹脂の重量を基準として、ポリカーボネート系樹脂0.1乃至50.0重量%及びポリカーボネート系樹脂以外の樹脂50.0乃至99.9重量%を有し、該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として15.0重量%以下含有していることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0043】
本発明者らは、鋭意検討の結果、結着樹脂の一部としてポリカーボネート系樹脂を使用し、かつ、トナーに含まれる特定の化合物の含有量を制御することにより、耐久性および転写効率の良好なトナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明によるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックス成分から構成されており、該結着樹脂としてポリカーボネート系樹脂が含有されていることが必須である。
【0045】
本発明において必須成分であるポリカーボネート系樹脂は、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を分子構造中に有する。
【0046】
【外1】
Figure 0003869950
〔式中、Rは、有機基を示す。〕
【0047】
上記一般式(I)は様々な構造のものがあるが、例えば2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応せしめて製造されるあらゆる公知のポリカーボネートを使用することができ、一例を挙げれば下記一般式(II)
【0048】
【外2】
Figure 0003869950
〔式中、R2 は、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基であり、このR2 が複数の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは、0〜4の数であり、Zは、単結合、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基、−S−、−SO−、−SO2 −、−O−又は−CO−で表わされる結合を示す。〕
で表わされる構造の繰返し単位を有する重合体が挙げられる。
【0049】
このポリカーボネート樹脂は、様々なものを充当することができるが、通常は一般式(III)〜(V)
【0050】
【外3】
Figure 0003869950
〔式中、R2 は、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基であり、このR2 が複数の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは、0〜4の数であり、Zは、単結合、脂肪族炭化水素基、芳香族置換基、−S−、−SO−、−SO2 −、−O−又は−CO−で表わされる結合を示す。〕
で表わされる二価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物の如きポリカーボネート前駆体とを反応させることによって容易に製造することができる。
【0051】
すなわち、例えば、塩化メチレンの如き溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応によって製造される。
【0052】
上記一般式(III)〜(V)で表わされる二価フェノールとしては様々なものがあり、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕をはじめ、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンの如きジヒドロキシアリールアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン及びビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンの如きジヒドロキシアリールスルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテルの如きジヒドロキシアリールエーテル類;4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン及び3,3′、5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノールの如きジヒドロキシアリールケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド及びビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドの如きジヒドロキシアリールスルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドの如きジヒドロキシアリールスルホキシド類;4,4′−ジヒドロキシジフェニルの如きジヒドロキシジフェニル類;ヒドロキノン、ゾルシノール及びメチルヒドロキノンの如きジヒドロキシベンゼン類;1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンの如きジヒドロキシナフタレン類が挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネートの如きジアリールカーボネート;及びジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きジアルキルカーボネート;が挙げられる。
【0054】
本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、これらの二価フェノールの1種を用いたホモポリマー、2種以上を用いたコポリマー、もしくはブレンド物が用いられる。さらに、多官能性芳香族化合物を上記二価フェノール及び/又はカーボネート前駆体と反応させて得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0055】
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度や粘弾性を調節するために、上記の二価フェノールの一部をエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、水素添加ビスフェノールAおよびその誘導体、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如き多価アルコールに置き換えた形の変性ポリカーボネート系樹脂も好適に使用される。この場合、単純に二価フェノール類の一部と置き換えて前記した方法により製造することも可能であるが、他の製造方法の一例として、二価フェノールと脂肪族あるいは芳香族のビスクロロホルメートとをピリジンを触媒としてメチレンクロライド溶媒中で反応させる方法が例示されるが、もちろんその他の製造方法による合成も可能である。
【0056】
さらに、本発明においてはポリカーボネート系樹脂として、上述したポリカーボネートとポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリシアノアリールエーテル、ポリアリーレンスルフィドの如き他の重合体を合致するためのモノマーとのブロック共重合体やアルキル(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸モノマー、マレイン酸モノマー、又はスチレン系モノマーをグラフトしたグラフト変性共重合体の使用も可能である。
【0057】
本発明によるトナーは、THF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分の含有量が、該トナーを基準として15.0重量%以下であることが必須である。
【0058】
一般に、ポリカーボネート系樹脂中に含有される不純物の種類としては、該ポリカーボネート系樹脂の種類や製造方法によっても異なり、該ポリカーボネート系樹脂の原料、副原料、副生成物、これらの分解物、重合触媒、重合停止剤、重合溶媒及び酸化防止剤の如き様々な化合物がある。一例を挙げれば、塩素化された脂肪族および芳香族炭化水素(例えばジクロロメタン)、ホスゲン、フェノール、t−ブチルフェノール、有機アミン、塩化ナトリウム、1分子中に2個以上の水酸基を有する芳香族化合物(例えば2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きポリカーボネート系樹脂の単量体として用いられた二価フェノール)、1分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族化合物(例えば1,4−ブタンジオールの如き該ポリカーボネート系樹脂の単量体として用いられたジオール)、ポリカーボネートオリゴマー、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物と重合停止剤とが炭酸を介してエステル結合した化合物(例えば二価フェノールとp−ターシャリーブチルフェノールとが炭酸を介してエステル結合した化合物)、1分子中に2個以上の水酸基を有する芳香族化合物のモノおよび/またはジホルメート類(例えばフェニレンビスクロロホルメート)、1分子中に2個以上の水酸基を有する脂肪族化合物のモノおよび/またはジホルメート類(例えばエチレンビスクロロホルメート)、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)、ジアルキルカーボネート(例えばジメチルカーボネート)がある。
【0059】
これらの不純物のうち、ジクロロメタンなどの低沸点の化合物や塩化ナトリウムなどの水溶性化合物は、該ポリカーボネート系樹脂の製造工程で比較液容易に除去することができるが、高沸点の不純物については通常ポリカーボネート系樹脂中に残留することが多い。これらの高沸点で低分子量の不純物のうち、、該ポリカーボネート系樹脂の製造時に用いる1分子中に2個以上の水酸基を有する単量体(例えば二価フェノール類)および該ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する分子量1000以下の成分(ポリカーボネートオリゴマーや水酸基を1分子中に2個以上有する化合物と1価フェノールなどの重合停止剤が炭酸を介してエステル結合した化合物)を多く含有するトナーを製造した場合、トナーの帯電量の低下(画像濃度低下やカブリ増加)、トナーの環境安定性の低下、フェノール系不純物の空気酸化による着色(画像の変色)、定着時の不純物臭気、不純物の結晶化によるOHP透過性の低下、粉砕法におけるトナー製造工程の一つである溶融混練工程での結着樹脂の予期せぬ架橋、重合法トナーの製造時のフェノール系不純物の重合禁止作用など、様々な重大な問題が生じることが、本発明者らの行ったトナーの分析および画像評価により判明した。
【0060】
本発明のトナーにおいては、THF可溶分のPGC測定による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位の構造中に有する成分(すなわち、ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する分子量1000以下の成分)の含有量を、トナーに対して15.0重量%以下にしたものである。前記した様に、トナーの様々な性能、特性に悪影響を与える化合物は、ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する分子量1000以下の成分だけではなく、ポリカーボネート系樹脂の単量体についてもあてはまるが、前記単量体の含有量は、ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する分子量1000以下の成分の含有量と比例関係があり、さらにこのポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を有する分子量1000以下の成分の含有量をトナーに対して15.0重量%以下にしておけば、前記の諸問題を生じないことが本発明者らの種々の検討により判明した。さらに、トナーの性能、特性をさらに高めるためには、ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を有する分子量1000以下の成分の含有量を10.0重量%以下にすることがより好ましく、特に好ましくは5.0重量%であることが良い。もちろんトナーの分析を種々行っても、ポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する分子量1000以下の成分が、全く検出されないほど再沈殿により精製されたポリカーボネート系樹脂を、結着樹脂として使用することが最も望ましい。
【0061】
トナーがGPC測定による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれるポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を15.0重量%より多く含有する場合には、トナーの耐久性が低下し、保存安定性の悪化や多数枚プリントアウトした際の画像濃度変化が大きくなる。また、環境変化に伴う転写効率の変動やカブリの増加を生じる。
【0062】
本発明において、THF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれるポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分の定性および定量分析は、様々な方法で実施することができる。例えば、トナーを該磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR、13C−NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、ラマンスペクトル、紫外吸収スペクトル(UV)、質量スペクトル(MS)等のスペクトル分析、元素分析、GPC、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(HPLC)、その他の化学分析により分析すればよい。トナー自体では分析が困難な場合には、テトラヒドロフラン、トルエンの如き結着樹脂を溶解する溶剤でトナーをソックスレー抽出し、濾液をエバポレーターで濃縮後、前記の分析を行えばよい。さらに、液体クロマトグラフィーやGPCにより分子量1000以下の成分を分散したサンプルや、単独の、あるいは混合した溶媒で抽出したサンプルについて上記分析を行うなど、様々な分析手段の採用が可能である。これらの分析手段は単独で、また必要に応じて組み合わせて用いることが可能である。
【0063】
さらに、トナー中の分子量1000以下の成分をGPCにより分取し、この分取した成分を例えばアルカリで完全に加水分解した後、1 H−NMR、13C−NMRおよびIRの如き分析手段で該ポリカーボネート系樹脂の製造時に用いた1分子中に2個以上の水酸基を有する単量体(例えば二価フェノール類)の定性および定量分析を行うという方法もある。この際に定量される単量体の含有量は、分子量1000以下のポリカーボネートオリゴマーや水酸基を1分子中に2個以上有する化合物と1価フェノールの如き重合停止剤とが炭酸を介してエステル結合した化合物の加水分解により生成した単量体と、もともと該ポリカーボネート系樹脂中に含有されていた(重合時の)残留単量体の総和である。この総和の含有量を(別途に重合停止剤の定性、定量を行った後に)ポリカーボネートオリゴマー、および単量体と重合停止剤とが炭酸を介してエステル結合した化合物の含有量に換算した値が、トナーに対して15.0重量%以下であれば、結果としてポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有するGPC分子量1000以下の化合物の含有量も15.0重量%を越えることはありえず、本発明によるトナーの分析方法の一つの手段として採用することができる。
【0064】
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。具体的なGPCの測定方法としては、結着樹脂またはトナーをテトラヒドロフラン(THF)に室温で24時間かけて溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6重量%になるようにTHFの量を調整する。
装置:高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0065】
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソ−社製TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
【0066】
本発明において用いられるポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限されないが、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において測定した分子量分布において、ピーク分子量が1000〜500000の領域にあるものが好ましく、さらに好ましくは分子量2000〜100000の領域にあることが良い。ピーク分子量が分子量1000よりも低いと帯電特性に悪影響がでる場合があり、分子量500000よりも高いと溶融粘度が高くなりすぎ、定着性に問題を生じる場合がある。本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂を製造するに際し、適当な分子量調節剤、粘弾性改善のための分岐剤、反応を促進するための触媒等必要に応じて使用することができる。
【0067】
本発明においては、ポリカーボネート系樹脂の含有量が結着樹脂の重量を基準として0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜40重量%、さらに好ましくは0.5〜30重量%であり、ポリカーボネート系樹脂とともに結着樹脂として併用する他の樹脂の含有量が好ましくは60〜99.8重量%、より好ましくは70〜99.5重量%、50〜99.9重量%であることが良い。トナーは、ピーク分子量が5000000を越えるような高分子量樹脂や架橋樹脂とピーク分子量1000〜50000程度の低分子量樹脂とを結着樹脂として併用することにより、トナーの粘弾性の設計を行って、低温および高温のオフセットを防止することが好ましく行われるが、結着樹脂中のポリカーボネート系樹脂の含有量が50重量%を超えてしまうと、この様な設計のトナーを製造することが困難となり問題を生じる。結着樹脂中のポリカーボネート系樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、本発明の効果である優れた耐久性および転写効率が達成されない。
【0068】
本発明においてポリカーボネート系樹脂と併用される他の樹脂としては、一般に用いられているスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられ、特にスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエポキシ系樹脂が好適に使用される。これらの樹脂はあらゆる公知の方法により製造すればよく、例えばスチレン−アクリル系樹脂は、それらを形成するための単量体を重合することにより得ることができる。具体的には、スチレン、o(m−,p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレンの如きスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらは単独、または一般的には出版物ポリマーハンドブック第2版III−p139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。特にフルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性に乏しく、さらにOHP画像の透明性が低下するため好ましくない。
【0069】
本発明においては、ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在していることが、トナーの耐久性をより向上させることができることからより好ましい。
【0070】
本発明のトナーは、ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在していることが好ましいが、トナー粒子の表面にポリカーボネート系樹脂が存在することの確認はあらゆる分析手段を用いて実施することができる。一例を挙げれば、まずTEMによりトナー粒子の断層面観察を行い、トナー粒子表面部分にコントラストがついているか確認する。表面にポリカーボネート系樹脂が存在する場合には、その部分にコントラストがつく。次いで、光音響分光法(PAS=Photoacoustic Spectorscopy)を用い、可動鏡のスキャンスピードを変えることで、得られたトナー粒子の表面の組成を赤外線吸収スペクトル(IR)/PASにより分析する。前記のTEM観察でトナー粒子表面に連続に、又は不連続にコントラストが観察され、かつ、IR/PASによる分析でポリカーボネート系樹脂が確認されれば、トナー粒子表面にポリカーボネート系樹脂が存在していると判断できる。IR/PASの他にもラマン分光法と上記PASを組み合わせたトナー粒子表面の組成分析、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)によるトナー粒子表面の元素分析、エネルギー分散型X線分光器や電子線エネルギー分析器を取り付けた電子顕微鏡によるトナー粒子表面の元素分析など様々な分析手段がある。これらの分析手段は単独で、また必要に応じて組み合わせて用いられる。
【0071】
後述する重合法により本発明のトナーを製造する場合には、得られたトナー粒子のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において分子量5000〜10万の領域にメインピークを有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)2〜300を有することが好ましい。
【0072】
本発明に係るトナーは、画像解析装置で測定した形状係数SF−1の値が100〜160、かつ、形状係数SF−2の値が100〜140であることが好ましく、形状係数SF−1の値が100〜140、かつ、形状係数SF−2の値が100〜120であるとさらに好ましい。さらに、(SF−2)/(SF−1)の値が1.0以下であれば特に好ましい。
【0073】
本発明において、形状係数を示すSF−1とは、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いた倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)を導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF−1と定義する。
【0074】
【外4】
Figure 0003869950
〔式中、MXLNGはトナーの絶対最大長を示し、AREAトナーの投影面積を示す〕。
【0075】
さらに、形状係数SF−2は、下記式より算出し得られた値をいう。
【0076】
【外5】
Figure 0003869950
〔式中、PERIは、トナーの周長を示し、AREAはトナーの投影面積を示す〕。
【0077】
形状係数SF−1は、トナーの丸さの度合いを示し、形状係数SF−2は、トナーの凹凸の度合いを示している。
【0078】
従来、トナーの形状係数SF−1およびSF−2が小さくなった場合、クリーニング不良が発生し易くなったり、長期間使用した際に外添剤がトナー表面に埋没し易くなったりし、結果的に画質の劣化を招くことが多かった。しかし、本発明においては、結着樹脂の0.1〜50重量%がポリカーボネート系樹脂であるため、トナーの耐久性が非常に良好であり、結果として画質劣化を未然に防止することが可能である。SF−1が160を超える場合、トナーの形状が不定形となるため、静電像担持体から転写材、静電像担持体から中間転写体、および中間転写体から転写材への転写時におけるトナー像の転写効率の低下も認められる場合があるため、好ましくない。SF−2が140を超える場合、トナーの帯電分布がブロードになるとともに、現像器内でトナー表面が磨砕されやすくなるため、画像濃度低下や画像カブリの一因となることもある。
【0079】
トナー像の転写効率を高めるためには、トナーの形状係数SF−2は、100〜140であり、(SF−1)/(SF−2)の値が1.0以下であるのが良い。トナーの形状係数SF−2が140を超え(SF−1)/(SF−2)の値が1.0を超える場合、トナーの表面が滑らかではなく、多数の凹凸をトナーが有しており、静電像担持体から中間転写体への転写時及び中間転写体から転写材への転写時に転写効率が低下する傾向にある。
【0080】
特に上記の如き傾向は、複数のトナー像を現像/転写せしめるフルカラー複写機を用いた場合に顕存化する。すなわち、フルカラー画像の生成においては4色のトナー像が均一に転写されにくく、さらに、中間転写体を用いる場合には、色ムラやカラーバランスの面で問題が生じやすく、高画質のフルカラー画像を安定して出力することが困難となる。
【0081】
更に、通常の不定形トナーを用いた場合には、感光体とクリーニング部材との間や中間転写体とクリーニング部材との間、及び/又は、感光体と中間転写体間でのズリ力や摺擦力のために感光体表面や中間転写体表面にトナーの融着やフィルミングが発生して画像形成装置とのマッチングに支障をきたす場合もある。
【0082】
本発明においては、多種の転写材に対応させるために、中間転写体を設けることができる。その場合、転写工程が実質2回行われるため、転写効率の低下は著しくトナーの利用効率の低下を招き問題となる。デジタルフルカラー複写機やプリンターにおいては、色画像原稿を予めB(ブルー)フィルター、G(グリーン)フィルター、R(レッド)フィルターを用い色分解した後、感光体上に20〜70μmのドット潜像を形成しY(イエロー)トナー、M(マゼンタ)トナー、C(シアン)トナー、B(ブラック)トナーの各色トナーを用いて原色混合作用を利用し原稿に忠実な多色カラー画像を再現する必要がある。この際、感光体上又は中間転写体上には、Yトナー、Mトナー、Cトナー、Bトナーが原稿やCRTの色情報に対応して多量にトナーが乗るため本発明に使用される各カラートナーは、極めて高い転写性が要求され、それを実現させる為にはトナーの形状係数SF−1およびSF−2が上記条件を満足しているトナー粒子が好ましい。
【0083】
更に高画質化のため微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーは、重量平均径が2μm〜10μm、好ましくは、2μm〜9μm、より好ましくは、4μm〜8μmであり、個数分布における変動係数(A)が35%以下であることが好ましい。重量平均径が2μm未満のトナーにおいては、転写効率の低下から感光体や中間転写体上に転写残のトナーが多く、さらに、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすく本発明で使用するトナーとして好ましくない。トナーの重量平均径が10μmを超える場合には、感光体表面、中間転写材等の部材への融着が起きやすい。トナーの個数分布における変動係数が35%を超えるとさらにその傾向が強まる。
【0084】
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できる。本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
【0085】
例えば、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数分布および体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを持続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製する。例えばISOTON II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして例えば100μmアパチャーを用い、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それらか本発明に係る値を求める。
【0086】
トナーの個数分布における変動係数Aは下記式から算出される。
【0087】
変動係数A=〔S/D1 〕×100
〔式中、Sは、トナー粒子の個数分布における標準偏差値を示し、D1 は、トナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す〕。
【0088】
本発明のトナーに用いられるワックス成分としては、例えばパラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックスおよびその誘導体、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコール、高級脂肪族エステル、脂肪族アミドワックス、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムが挙げられる。誘導体は、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
【0089】
これらのワックス成分は、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に40〜130℃、好ましくは50〜100℃領域に最大吸熱ピークを有する。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。該最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化するとともに、グロスが高くなりすぎる。一方、該最大吸熱ピークが130℃を超えると定着温度が高くなるとともに、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となるため、特にカラートナーに用いた場合には混色性低下の点から好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと主に造粒中にワックス成分が析出する等の問題を生じ好ましくない。
【0090】
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで温度10℃〜180℃まで昇温し、測定を行う。
【0091】
本発明においては、これらのワックス成分の添加量は特に限定されないが、一般にトナーに対して好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%が好ましい。ワックス成分の含有量が0.1重量%未満の場合にはオフセット抑制効果が充分に発現されにくく、50重量%を超える場合には、長期の保存性が低下すると共に、他のトナー材料の分散性が低下し、画質特性の低下が生じることがある。
【0092】
本発明に用いられる着色剤は、以下に示すイエロー着色剤、マゼンタ着色剤およびシアン着色剤が挙げられ、黒色着色剤としてカーボンブラック、磁性体または以下に示すイエロー着色剤/マゼンタ着色剤/シアン着色剤を混合して黒色に調色されたものが利用される。
【0093】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180が好適に用いられる。
【0094】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0095】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用できる。
【0096】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー粒子中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂成分100重量部に対し1〜20重量部使用するのが好ましい。
【0097】
さらに本発明のトナーは黒色着色剤として磁性材料を使用し、磁性トナーとしても使用し得る。この際使用することのできる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドニウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物があげられる。
【0098】
本発明に用いられる磁性体は、表面改質された磁性体であることがより好ましく、重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を例示することができる。
【0099】
これらの磁性体は平均粒径2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものである。トナー粒子中に含有させる磁性体の量としては樹脂100重量部に対し20〜200重量部、特に好ましくは40〜150重量部である。10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)50〜200emu/g、残留磁化(σr)2〜20emu/gの磁性体が好ましい。
【0100】
本発明に用いられる荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法を用いる場合には、重合阻害性が無く水系分散媒体への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。具体的化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物;アゾ染料又はアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。該荷電制御剤は、トナー中の樹脂100重量部に対し0.5〜10重量部含有されていることが好ましい。しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリヤーとの摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においては、ブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0101】
本発明によるトナーの製造方法としては様々な方法が挙げられるが、例えば粉砕法により製造する場合には、ポリカーボネート系樹脂を含む結着樹脂、ワックス成分、着色剤および/または磁性体、荷電制御剤またはその他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルのごとき混合機により充分混合し、加圧ニーダーやエクストルーダーのごとき熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後に固形物を機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化する。その後、必要に応じてトナー粒子の平滑化及び球形化処理を行う。次いで、分級工程を経て粒度分布をシャープにする。さらに、分級粉を微粒子シリカ微粒子のごとき流動化剤とヘンシェルミキサーのごとき混合機により充分混合することで本発明のトナーを得ることができる。上記粉砕法による製造方法を採用する場合に、ポリカーボネート系樹脂と他の樹脂をキシレンの如き有機溶剤に(必要により加熱)溶解して均一に混合し、その後溶剤を除去した結着樹脂混合物を原料として用いれば、ガラス転移温度の高いポリカーボネート系樹脂であってもトナー中への分散が良好となり、特に好ましい製造方法となる。
【0102】
さらに、その他のトナーの製造方法として、分級粉に流動化剤とともに超微粉化したポリカーボネート系樹脂を加えて充分混合し、トナー表面にポリカーボネート系樹脂を固着させる方法もある。この場合、分級粉中の結着樹脂には、ポリカーボネート系樹脂が含まれていてもよいし、全く含まれていなくてもよい。さらに、固着させた後にトナー粒子の平滑化および球形化処理を行ってもよい。
【0103】
さらに、重合法により本発明のトナーを製造する場合には、重合系にポリカーボネート系樹脂を添加し、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられているような懸濁重合方法を用いて直接トナーを製造する方法、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを製造する分散重合方法又は水溶性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを製造するソープフリー重合法に代表される乳化重合方法等により本発明のトナーを得ることができる。重合法によりポリカーボネート系樹脂を含有しない重合体粒子を製造し、その後、重合体粒子の表面に微粒子状のポリカーボネート系樹脂を付着させ、必要に応じて粒子の平滑化および球形化処理を行う方法も採用することができる。その他の方法として、特公昭56−13945合公報に記載のディスク又は多流体ノズルを用いポリカーボネート系樹脂を含有するトナー原料混合物を空気中に霧化し球形トナーを得る方法が例示される。
【0104】
前記したトナーの製造方法のうち、溶融スプレー法はルーゼックスで測定したトナー粒子の球状係数であるSF−1値を100〜160に納めることができても、得られたトナー粒子の粒度分布が広くなりやすい。他方、分散重合法は、得られるトナー粒子は極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置で複雑で煩雑化しやすい。乳化重合方法は、トナー粒子の粒度分布が比較的揃うという利点はあるが、一般に生成する粒子の粒度は非常に細かく、トナー粒子としてそのまま使用することは困難である。さらに、使用した水溶性重合開始剤の末端や乳化剤がトナー粒子表面に存在し、環境特性を悪化させることがある。一方、トナー粒子の平滑化および球形化処理による製造方法、および重合方法による製造方法は、SF−1の値を100〜160、SF−2の値を100〜140の範囲に収めることが容易であり、好ましい製造方法といえる。
【0105】
特に、重合法とトナー粒子の平滑化および球形化処理を組み合わせた製造方法、重合法により直接ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在しているトナーを製造する方法は、SF−1の値を100〜140、SF−2の値を100〜120、(SF−2)/(SF−1)のを1.0以下に制御することが容易であり、さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた前記トナーの断層面観察において、ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在しており、その内部にビニル系単量体から得られる結着樹脂とワックス成分が存在し、ワックス成分が結着樹脂中に実質的に球状および/また紡錘形の島状に分散されているため、環境による帯電特性の変動が少なく、転写性、現像性、低温定着性、耐ブロッキング性に優れたトナーを得ることができ、より好ましい製造方法である。
【0106】
重合法により直接ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在しているトナーを製造する方法は、前記した長所の他に、例えば溶融温度の高いポリカーボネート系樹脂であっても使用する単量体組成物中に該ポリカーボネート系樹脂を溶解して使用すればよいので、製造方法として容易であり、また、使用できるポリカーボネート系樹脂の種類も多く、特に好ましい製造方法である。
【0107】
本発明のトナーに含有されるポリカーボネート系樹脂は、トナー中に如何なる形状、状態で含有されていてもよく、他の結着樹脂と相溶した状態であっても、相分離した状態であってもよい。例えば、前記した粉砕法でポリカーボネート系樹脂と他の結着樹脂を溶融混練する場合、この溶融混練工程で必ずしもポリカーボネート系樹脂も溶融されている必要はなく、溶融された他の結着樹脂の中に分散した状態であってもよい。このような場合には、トナー中のポリカーボネート系樹脂は併用される他の結着樹脂中に分散された状態となる。ポリカーボネート系樹脂と他の結着樹脂をキシレンの如き有機溶剤を用いてあらかじめ均一に溶融混合した場合には、ポリカーボネート系樹脂が他の樹脂中に微分散、または場合により相溶化されるため問題はないが、この様な均一化操作を実施せずにポリカーボネート系樹脂の粉末と他の結着樹脂を混練し、かつ該ポリカーボネート系樹脂の溶融温度未満で混練を行う場合には、ポリカーボネート系樹脂粉末がトナー中に分散されることとなるため、例えば1μm以下、好ましくは0.5μm以下に微粉砕したポリカーボネート系樹脂を用いるのがよい。
【0108】
本発明において、トナーの断層面観察の具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を充分分散させた後40℃の雰囲気下で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出して透過電子顕微鏡を用いトナーの断層面を観察する。本発明においては、用いるワックス成分と外殻を構成する結着樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストをつけるため四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な一例を図1a、1bおよび1cに示す。
【0109】
後記の実施例12、14および16で得られたトナー粒子(13)、(15)および(17)をTEMにて断層面観察したところ、トナー粒子(13)の場合には、ポリカーボネート系樹脂がトナー粒子の表面に存在しており(図1a)、トナー粒子(15)の場合には、不連続にポリカーボネート系樹脂が該トナーの表面に存在していた(図1b)。また、トナー粒子(17)の場合には、ポリカーボネート系樹脂が連続的に該トナーの表面に存在しており、その内部にビニル系単量体から得られる結着樹脂、ポリカーボネート系樹脂およびワックス成分が存在し、ワックス成分が結着樹脂中に実質的に球状および紡錘形の島状に分散されている様子が観察された(図1c)。
【0110】
トナーの製造方法として重合方法を利用する場合、トナー粒子の粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件(例えばローターの周速、パス回数、撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状)又は、水溶液中での固形分濃度を制御することにより所定のトナー粒子を得ることができる。
【0111】
直接重合法によりトナーを製造する際、用いられる重合開始剤として例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが一般的には重合性単量体に対し、0.5〜20重量%用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合して使用される。
【0112】
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いても良い。
【0113】
トナーの製法として分散安定剤を用いた懸濁重合法を利用する場合、用いる分散安定剤としては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ及びアルミナが挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,ポリアクリル酸及びその塩及びデンプンが挙げられる。これらを水相に分散させて使用できる。これら分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜20重量部を使用することが好ましい。
【0114】
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒体中にて該無機化合物の微粒子を生成しても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合すると良い。
【0115】
これら分散安定剤の微細な分散の為に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用してもよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進するためのものであり、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0116】
本発明で使用するトナーの製造方法として直接重合法を用いる場合においては、以下の如き製造方法が可能である。
【0117】
重合性単量体中に、ワックス成分、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度,撹拌時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。重合反応後半に昇温しても良く、更に、本発明における画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を反応系から留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0118】
本発明のトナーは、結着樹脂の0.1〜50重量%がポリカーボネート系樹脂であることが必須であるが、該ポリカーボネート系樹脂の定性及び定量分析は様々な方法で実施することができる。例えば、トナーを該磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR、13C−NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)、ラマンスペクトル、紫外吸収スペクトル(UV)、質量スペクトル(MS)の如きスペクトル分析、元素分析、その他の化学分析など様々な方法により分析すればよい。トナー自体では分析が困難な場合には、テトラヒドロフラン、トルエン等の結着樹脂を溶解する溶剤でトナーをソックスレー抽出し、濾液をエバボレーターで濃縮後、前記の分析を行えばよい。さらに、GPCにより分取したサンプルや単独の、あるいは混合した溶媒で分別抽出したサンプルについて上記分析を行うなど、様々な分析手段の採用が可能である。これらの分析手段は単独で、また必要に応じて組み合わせて用いることが可能である。
【0119】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の為、無機微粉体を添加剤としてトナー粒子と混合して用いることが好ましい。
【0120】
本発明に用いられる無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ微粉体が挙げられる。この中でもBET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2 /g以上(特に50〜400m2 /g)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して無機微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが良い。
【0121】
本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されていることも好ましい。
【0122】
他の添加剤としては、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤(なかでもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);ケーキリング剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤;トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子の如き現像性向上剤が挙げられる。
【0123】
本発明において、無機微粒子や他の添加剤をトナー粒子に撹拌、混合して製造されたトナーの場合には、トナー粒子の有する各種物性値の測定は、これらの無機微粒子や他の添加剤を除去した後のトナー粒子を用いて行なうことができる。これらの無機微粒子や他の添加剤を除去する方法は特に限定されないが、例えば以下のようにしてトナーを水洗することにより行なうことができる。
【0124】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如き界面活性剤を添加した水の中に、トナーを加えて充分に撹拌、混合する。この操作で、比較的粒径の大きな無機微粒子や他の添加剤がトナーから遊離し、水中にトナー粒子と無機微粒子や他の添加剤が別々に分散される。次いでこの混合分散液からトナー粒子を単離する。単離方法としては、例えば、適度な目開きを持つ濾紙を用いて濾過操作を行うことにより、濾紙上にトナー粒子、濾液に無機微粒子や他の添加剤を含む水溶液として分離することができる。他の単離方法としては、混合分散液を湿式分級することによりトナー粒子を単離する方法も採用することができる。
【0125】
本発明においては、トナーを一成分系現像剤として、又はキャリアと併用して二成分系現像剤として使用することができる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉、ガラスビーズ及び磁性粉を樹脂中に分散させたものが挙げられる。これらのキャリアは、必要に応じて表面を樹脂で被覆しても良く、この場合に使用される樹脂としてはフッ素含有樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの被覆樹脂は単独または、2種類以上併用して使用しても良い。トナーとキャリアとの混合比率は、現像剤中のトナー濃度として1乃至15重量%、好ましくは2乃至13重量%とすると良好な結果が得られる。
【0126】
次に本発明のトナーが適用される画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0127】
図2に示す装置システムにおいて、現像機4−1、4−2、4−3、4−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性−成分方式等によって静電潜像担持体(例えば感光体ドラム)1に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体ドラム1上に形成される。
【0128】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合し、例えば、例えば図3に示すような二成分系現像方式の現像手段を用い現像を行なうことができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが感光体ドラム13に接触している状態で現像を行なうことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)11と感光体ドラム13の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁石S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まったりキャリア付着が生じやすくなる。
【0129】
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)は、好ましくは500〜5000Vが好ましく、周波数(f)は、好ましくは500〜10000Hz、より好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角形、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形を選択して用いることができる。ピーク間電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。ピーク間電圧が5000Vを超える場合には磁気ブラシを会して、静電像を乱してしまい、画像低下を招く場合がある。
【0130】
周波数(f)が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためにキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。周波数(f)10000Hzを超えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0131】
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ましくは100V以下が良い。
【0132】
コントラスト電位としては、十分画像濃度がでるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
【0133】
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行なうために現像スリーブ11上の磁気ブラシの感光体ドラム13との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材18と現像スリーブ11との距離Aを調整したり、現像スリーブ11と感光体ドラム13との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
【0134】
特にハーフトーンを重視するようなフルカラー画像の出力において、マゼンタ用、シアン用、及びイエロー用の3個以上の現像器が使用され、本発明の現像剤及び現像方法を用い、特にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、磁気ブラシの影響がなく、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。転写工程においても本発明トナーを用いることで高転写率が達成でき、したがって、ハーフトーン部、ベタ部共に高画質を達成できる。
【0135】
さらに初期の高画質化と併せて、本発明のトナーを用いることで多数枚の複写においても画質低下のない本発明の効果が十分に発揮できる。
【0136】
本発明のトナーは一成分系現像方式の現像手段にも好適に用いることが出来る。静電潜像担持体上に形成された静電潜像を一成分系現像剤で現像する装置の一例を示すが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0137】
図4において、25は静電潜像担持体(感光体ドラム)であり、潜像形成は電子写真プロセス手段又は静電記録手段によりなされる。24はトナー担持体(現像スリーブ)であり、アルミニウムあるいはステンレスからなる非磁性スリーブによって形成される。
【0138】
現像スリーブ24の略右半周面はトナー容器21内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブ面近傍のトナーが現像スリーブ面にスリーブ内の磁気発生手段の磁力で及び/又は静電気力により付着保持される。
【0139】
本発明においては、トナー担持体の表面粗度Ra(μm)を1.5以下となるように設定することが好ましく、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.5以下であることが良い。
【0140】
該表面粗度Raを1.5以下とすることでトナー担持体の有するトナー粒子の搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなる為、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。
【0141】
該トナー担持体の表面粗度Raが1.5を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。
【0142】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JISB0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸,縦倍率の方向をY軸,粗さ曲線をy=f(x)で表わした時、次式によって求められる値をミクロメートル(μm)で表わしたものをいう。
【0143】
【外6】
Figure 0003869950
【0144】
本発明に用いられるトナー担持体としては、たとえばステンレス、アルミニウムの如き非磁性金属から成る円筒状、あるいはベルト状部材が好ましく用いられる。必要に応じ表面を金属,樹脂のコートをしても良く、樹脂や金属類,カーボンブラック,帯電制御剤の微粒子を分散した樹脂をコートしても良い。
【0145】
本発明では、トナー担持体の表面移動速度を静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05〜3.0倍となるように設定することで、該トナー担持体上のトナー層は適度な撹拌効果を受ける為、静電潜像の忠実再現が一層良好なものとなる。
【0146】
トナー担持体の表面移動速度が、静電潜像担持体の表面移動速度に対し1.05倍未満であると、該トナー層の受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像形成が行なわれにくくなり、さらに、ベタ黒画像のような広い面積にわたって多くのトナー量を必要とする画像を現像する場合、静電潜像へのトナー供給量が不足し画像濃度が薄くなる。トナー担持体の表面移動速度が3.0を超える場合、上記の如きトナーの過剰な帯電によって引き起こされる種々の問題の他に、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生しやすくなり、好ましくない。
【0147】
トナーTはホッパー21に貯蔵されており、供給部材22によって現像スリーブ24上へ供給される。供給部材として、多孔質弾性体、例えば軟質ポリウレタンフォームの如きの発泡材より成る供給ローラが好ましく用いられる。該供給ローラを現像スリーブに対して、順または逆方向に0でない相対速度をもって回転させ、現像スリーブ上へのトナー供給と共に、スリーブ上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りをも行なう。この際、供給ローラの現像スリーブへの当接幅は、トナーの供給及びはぎ取りのバランスを考慮すると、2.0〜10.0mmが好ましく、4.0〜6.0mmがより好ましい。その一方で、トナーに対する過大なストレスを余儀なくされ、トナーの劣化による凝集の増大、あるいは現像スリーブ及び供給ローラのトナーの融着・固着が生じやすくなるが、本発明の現像法に用いれるトナーは、流動性,離型性に優れ、耐久安定性を有しているので、該供給部材を有する現像法においても好ましく用いられる。供給部材としては、ナイロン、レーヨンの如き樹脂繊維より成るブラシ部材を用いてもよい。尚、これらの供給部材は磁気拘束力を利用できない非磁性一成分トナーを使用する非磁性一成分現像方法において極めて有効であるが、磁性一成分トナーを使用する磁性一成分現像方法に使用してもよい。
【0148】
現像スリーブ上に供給されたトナーは規制部材によって薄層かつ均一に塗布される。トナー薄層化規制部材は、現像スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレードの如きドクターブレードである。あるいは、ドクターブレードの代りに、金属、樹脂、セラミックなどを用いた剛体ローラやスリーブを用いても良く、それらの内部に磁気発生手段を入れても良い。
【0149】
トナー薄層化の規制部材としてトナーを圧接塗布する為の弾性ブレードや弾性ローラの如き弾性体を用いても良い。例えば図4において、弾性ブレード23はその上辺部側である基部をホッパー(現像剤容器)21側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗して現像スリーブ24の順方向或は逆方向にたわめ状態にしてブレード内面側(逆方向の倍には外面側)をスリーブ24表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対しても安定で、緻密なトナー層が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、該弾性体によって現像スリーブ表面と強制的に摩擦される為トナーの環境変化による挙動の変化に関係なく常に同じ状態で帯電が行なわれる為と推測される。
【0150】
その一方で帯電が過剰になり易く、現像スリーブや弾性ブレード上にトナーが融着し易いが、本発明に用いられるトナーは離型性に優れ摩擦帯電性が安定しているので好ましく用いられる。
【0151】
該弾性体には所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体、それらの複合体が使用できる。
【0152】
弾性体とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当るように貼り合わせたり、コーティング塗布したものが好ましい。
【0153】
弾性体中に有機物や無機物を添加しても良く、溶融混合させても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料又は界面活性剤を添加することにより、トナーの帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア及び酸化亜鉛の如き金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤を含有させることも好ましい。
【0154】
さらに、規制部材である現像ブレード,供給部材である供給ローラ,ブラシ部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため現像スリーブ上の規制部位においては、均一薄層塗布性,均一帯電性がより向上し、供給部位においては、トナーの供給/はぎとりがよりスムーズになされ、十分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
【0155】
該弾性体とトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体の母線方向の線圧として、0.1kg/m以上、好ましくは0.3〜25kg/m、更に好ましくは0.5〜12kg/mが有効である。これによりトナーの凝集を効果的にほぐすことが可能となり、トナーの帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。当接圧力が0.1kg/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり。トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となる。当接圧力が大きすぎる場合には、トナーに大きな圧力がかかり、トナーが劣化したり、トナーの凝集物が発生することがあり、さらに、トナー担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。
【0156】
静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αは50〜500μmに設定され、ドクターブレードとトナー担持体との間隙は、50〜400μmに設定されることが好ましい。
【0157】
トナー担持体上のトナー層の層厚は、静電潜像担持体とトナー担持体との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合によりトナー層を構成する多数のトナーの穂のうち、一部は静電潜像担持体に接する程度にトナー層の層厚を規制してもよい。
【0158】
トナー担持体には、バイアス電源26により静電潜像との間に交番電界を印加することによりトナー担持体から静電潜像担持体へのトナーの移動を容易にし、更に良質の画像を得ることが出来る。交番電界のVppは100V以上、好ましくは200〜3000V、更に好ましくは300〜2000Vで用いるのが良い。周波数fは好ましくは500〜5000Hz、より好ましくは1000〜3000Hz、更に好ましくは1500〜3000Hzで用いられることが良い。この場合の波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波が適用でき、さらに、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。さらに直流バイアスに交流バイアスを重畳した現像バイアスを用いることも好ましい。 静電潜像担持体1はa−Se、Cds、ZnO2 ,OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。静電潜像担持体1は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
【0159】
静電潜像担持体1としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0160】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0161】
有機感光層の結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいことから好ましく用いられる。
【0162】
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる静電潜像担持体1とは非接触である非接触型の帯電方式と、静電潜像担持体1と接触する帯電ローラの如き接触帯電部材を用いる接触型の帯電方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図2に示す如く接触帯電方式のものが好ましく用いられる。
【0163】
帯電ローラ2は、中心の芯金2bとその外周を形成した導電性弾性層2aとを基本構成とするものである。帯電ローラ2は、静電潜像担持体1面に押圧力をもって圧接され、静電潜像担持体1の回転に伴い従動回転する。
【0164】
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電バイアスを印加する時には、交流電圧は0.5〜5kVpp、交流周波数50Hz〜5kHz、直流電圧は±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧のみの帯電バイアスを印加する時には、直流電圧は±0.2〜±5kVであることが良い。
【0165】
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0166】
接触帯電手段としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。 静電潜像担持体上のトナー画像は、電圧(例えば、±0.1〜5kV)が印加されている中間転写体5に一次転写される。静電潜像担持体表面は、クリーニングブレード8を有するクリーニング手段9でクリーニングされる。
【0167】
中間転写体5は、パイプ状の導電性芯金5bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層5aからなる。芯金5bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
【0168】
中抵抗の弾性体層5aは、シリコーンゴム、テフロンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105 〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0169】
中間転写体5は静電潜像担持体1に対して並行に軸受けさせて静電潜像担持体1の下面部に接触させて配設してあり、静電潜像担持体1と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
【0170】
静電潜像担持体1の面に形成担持された第1色のトナー画像が、静電潜像担持体1と中間転写体5とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体5に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体5の外面に対して順次に中間転写されていく。
【0171】
必要により、着脱自在なクリーニング手段10により、記録材へのトナー画像の一次転写後に、中間転写体5の表面がクリーニングされる。中間転写体上にトナー画像がある場合、トナー画像を乱さないようにクリーニング手段10は、中間転写体表面から離される。
【0172】
中間転写体5に対して並行に軸受けさせて中間転写体5の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段7は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体5と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段7は直接中間転写体5と接触するように配設されていても良く、或はベルトが中間転写体5と転写手段7との間に接触するように配置されても良い。
【0173】
転写ローラの場合、中心の芯金7bとその外周を形成した導電性弾性層7aとを基本構成とするものである。
【0174】
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー画像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
【0175】
例えば、転写ローラ7の導電性弾性層7bはカーボンの如き導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)の如き体積抵抗106 〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられている。芯金7aには定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
【0176】
記録材6上のトナー画像は加熱加圧定着手段によって定着される。加熱加圧定着手段としては、ハロゲンヒーターの如き発熱体を内蔵した加熱ローラとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラを基本構成とする熱ロール方式や、フィルムを介してヒーターにより加熱定着する方式(図5及び図6)が挙げられるが、本発明のトナーは定着性と耐オフセット性に優れるので上記の如き加熱加圧定着手段と良好なマッチングを示す。
【0177】
本発明のトナーは、転写工程での転写効率が高く、転写残トナーが少ない上に、クリーニング性に優れているので、静電潜像担持体上にフィルミングを生じにくい。さらに、多数枚耐久試験を行っても従来のトナーよりも、本発明のトナーは外添剤のトナー粒子表面への埋没が少ないため、良好な画質を長期にわたって維持し得る。従って、図5に示す静電潜像担持体や中間転写体上の転写残トナーをクリーニングブレードの如きクリーニング手段で除去し、回収された該転写残トナーを再度利用するいわゆるリユース機構を有する画像形成装置に好ましく用いることができる。
【0178】
図5において、40は、静電潜像担持体としての感光体ドラムであり、49は、感光体ドラム40の表面に形成されるトナー画像を記録材50に転写するための転写部材としての転写ローラであり、41は、転写後の感光体ドラム40の表面に残存するトナーをクリーニングブレードとしての弾性ブレード42でかき落して回収するためのクリーナーである。43は、クリーナー41に回収されたトナーをクリーナー43間で搬送するためのクリーナースクリューであり、44は、クリーナースクリュー43で搬送されたトナーをトナーホッパー45に搬送するための搬送スクリューを内部に設けた供給用パイプである。46は、現像器であり、48は現像器内の現像剤を担持搬送するための現像剤担持体としての現像スリーブである。47は、感光体ドラム40を一次帯電するための帯電ローラである。
【0179】
この画像形成装置においては、感光体ドラム40を一次帯電ローラ47で一次帯電し、不図示の露光手段によって静電潜像を形成した後、この静電潜像を現像器46の現像スリーブ48に担持されているトナーを有する現像剤によって現像してトナー画像を形成する。感光体ドラム40に形成されたトナー画像は、転写ローラ49によって記録材50に転写され、記録材50に転写されたトナー画像は加熱定着装置としての熱ローラ定着器51により記録材50に加熱加圧定着される。一方転写後に感光体ドラム40の表面に残存する転写残トナーは、弾性ブレード42によってかき落され、クリーナー41に一旦回収された後、クリーナーローラによってクリーナー内部へ送られ、更にクリーナースクリュー43を経て搬送スクリューを設けた供給用パイプによってホッパー45を介して現像器46に戻り、再度静電潜像の現像に用いられる。図5に示す画像形成装置は、上述したようにトナーをリュースするものである。
【0180】
さらに本発明のトナーは、特定のポリカーボネート樹脂を含有していることでトナーの耐久性に優れていることから、トナーの高い耐久性が要求される接触現像方式を用いる画像形成方法に適用することができる。
【0181】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
【0182】
樹脂(1)の製造例
反応容器にキシレン200重量部を入れ還流温度まで昇温した。これにスチレン85重量部、アクリル酸−n−ブチル15重量部、及び、ジ−tert−ブチルパーオキサイド2重量部の混合液を滴下後、キシレン還流下、7時間で重合を完了し、低分子量樹脂溶液を得た。
【0183】
一方、スチレン70重量部、アクリル酸ブチル25重量部、マレイン酸モノブチル5重量部、ポリビニルアルコール0.2重量部、脱気水200重量部、過酸化ベンゾイル0.1重量部を混合懸濁分散させた。上記懸濁分散溶液を加熱し、窒素雰囲気下において85℃に24時間保持して重合を完結させ、高分子樹脂を得た。
【0184】
該高分子量樹脂30重量部を前記の低分子量樹脂70重量部を含有する溶液重合終了時の溶液中に投入し、溶媒中に完全に溶解せしめ混合を行い、その後、溶媒を留去して樹脂(1)を得た。
【0185】
得られた樹脂(1)を分析したところ、GPCによる分子量分布において、低分子量側ピーク分子量は10000、高分子量側ピーク分子量は750000、重量平均分子量(Mw)は360000、数平均分子量(Mn)は6000、Mw/Mnは60であり、さらに、ガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
【0186】
樹脂(2)の製造例
スチレン83重量部、アクリル酸ブチル17重量部、ポリビニルアルコール0.2重量部、脱気水200重量部、AIBN3.0重量部を混合懸濁分散させた。上記懸濁分散溶液を加熱し、窒素雰囲気下において85℃に24時間保持して重合を完結させ、樹脂(2)を得た。
【0187】
得られた樹脂(2)を分析したところ、GPCによる分子量分布において、ピーク分子量は40000、重量平均分子量(Mw)は42000、数平均分子量(Mn)は12000、Mw/Mnは3.5であり、さらに、ガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
【0188】
実施例1
・樹脂(1) 100重量部
・1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネート(ピーク分子量:5000,Mw:6000,Mn:1700) 10重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=85m2 /g) 10重量部
・負電荷性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0189】
上記材料を均一に分散、混合後、溶融混練したものを微粉砕し、さらに得られた粒子の表面改質処理を行い、平滑化及び球形化を行った。
【0190】
次いで、得られた粒子を分級してトナー粒子(1)を調製し、トナー粒子(1)100重量部と疎水性シリカ微粉体(BET:200m2 /g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、トナー(1)を得た。得られたトナー(1)6重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均径:50μm)94重量部とを混合して磁気ブラシ現像用二成分現像剤(1)を調製した。
【0191】
トナー粒子(1)は、表1に示す通り、SF−1の値が135、SF−2の値が118、(SF−2)/(SF−1)の値が0.87、重量平均径が7.3μm、高分子量側ピーク分子量が65万、低分子量側ピーク分子量が1.0万であった。
【0192】
トナー(1)は、表1に示す通り、THF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分をGPCにより分取し、これを1 H−NMR、13C−NMR及びIRにて分析を行ったところ、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分の含有量は、トナーを基準として1.0重量%であった。
【0193】
トナー粒子(1)の製造に用いた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートは、メチレンクロライドとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し、低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0194】
さらに、トナー粒子(1)について以下の様にして保存安定性の評価を行ったところ、表1に示す通り、トナー粒子の流動性が損なわれることはなく、良好な結果となった。
【0195】
〈保存安定性の評価方法〉
トナー粒子(1)5.0gを50mlのプラスチック製カップに入れ、50.0℃に設定した熱風乾燥器中に静置する。3日後に取り出して室温まで放冷し、目視により次の基準で判断した。
A:流動性が損なわれない。
B:流動性が落ちているが、カップを回転させると流動性を回復する。
C:分級粉の凝集や粗粒化が見られる。
D:ケーキング
【0196】
実施例2
ポリカーボネート系樹脂として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートを使用するかわりに1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンポリカーボネート(ピーク分子量:4500,Mw:5000,Mn:1500)を用いた以外は前記実施例1と同様にして、トナー粒子(2)、トナー(2)及び現像剤(2)を調製した。トナー粒子(2)及びトナー(2)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0197】
トナー粒子(2)の製造に用いた1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンポリカーボネートは、メチレンクロライドとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物を減少するように精製したものである。
【0198】
実施例3
ポリカーボネート系樹脂として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートを使用するかわりに2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネート(ピーク分子量:4000,Mw:4500,Mn:1200)を用いた以外は前記実施例1と同様にして、トナー粒子(3)、トナー(3)及び現像剤(3)を調製した。トナー粒子(3)及びトナー(3)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0199】
トナー粒子(3)の製造に用いた2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネートは、メチレンクロライドとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0200】
実施例4及び5
表面改質処理条件を変更した以外は前記実施例1と同様にして、トナー粒子(4)と(5)、トナー(4)と(5)及び現像剤(4)と(5)を調製した。トナー粒子(4)と(5)及びトナー(4)と(5)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0201】
実施例6
表面改質処理を実施しない以外は前記実施例1と同様にして、トナー粒子(6)、トナー(6)及び現像剤(6)を調製した。トナー粒子(6)及びトナー(6)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0202】
実施例7
樹脂(1)を樹脂(2)に変更する以外は、前記実施例1と同様にして、トナー粒子(7)、トナー(7)及び現像剤(7)を調製した。トナー粒子(7)及びトナー(7)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0203】
実施例8
実施例1で用いたサリチル酸系鉄錯体に代えて、モノアゾ染料と鉄との化合物を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてトナー粒子(8)、トナー(8)及び現像剤(8)を調製した。トナー粒子(8)及びトナー(8)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0204】
比較例1
ポリカーボネート系樹脂を使用しない他は実施例1と同様にして、比較用トナー粒子(9)、比較用トナー(9)及び比較用現像剤(9)を調製した。比較用トナー粒子(9)及び比較用トナー(9)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0205】
比較例2
p−ターシャリーブチルフェノールと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが炭酸を介してエステルを結合した化合物を25重量部さらに添加した他は実施例1と同様にして、比較用トナー粒子(10)、比較用トナー(10)及び比較用現像剤(10)を調製した。比較用トナー粒子(10)及び比較用トナー(10)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0206】
比較例3
・ビスフェノールA−ビフェノール−ジエチレングリコール共重合ポリカーボネート(ピーク分子量:12000,Mw:13000,Mn:4000、Tg:50℃) 100重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=85m2 /g) 10重量部
・負電荷性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0207】
上記材料を均一に混合、溶融した後微粉砕した。その後、実施例1と同様にして、比較用トナー粒子(11)、比較用トナー(11)及び比較用現像剤(11)を調製した。トナー粒子(11)及び比較用トナー(11)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0208】
トナー粒子(11)の製造に用いたビスフェノールA−ビフェノール−ジエチレングリコール共重合ポリカーボネートは、再沈殿による精製をしなかったものである。
【0209】
比較例4
・樹脂(1) 50重量部
・1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネート(ピーク分子量:3000,Mw:3500,Mn:1000) 50重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=85m2 /g) 10重量部
・負電荷性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0210】
上記材料を均一に分散、混合後、溶融混練したものを微粉砕し、さらに得られた粒子の表面改質処理を行い、平滑化及び球形化を行った。
【0211】
次いで、得られた粒子を分級して比較用トナー粒子(12)を調製し、比較用トナー粒子(12)100重量部と疎水性シリカ微粉体(BET:200m2 /g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、比較用トナー(12)を得た。得られた比較用トナー(12)6重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均径:50μm)94重量部とを混合して比較用二成分現像剤(12)を調製した。トナー粒子(12)及びトナー(12)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0212】
トナー粒子(12)の製造に用いた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートは、再沈殿による精製をしなかったものである。
【0213】
【表1】
Figure 0003869950
【0214】
上記の実施例1〜8及び比較例1〜4で製造したトナー(1)〜(8)及び比較トナー(9)〜(12)を有する現像剤(1)〜(8)及び比較現像剤(9)〜(12)を用いて以下の通り評価を行った。
【0215】
本実施例に用いた画像形成装置について説明する。図2は本実施例に適用される画像形成装置の断面の概略図であり、図3は画像形成装置の現像製造図である。
【0216】
感光体ドラム1は、基材1a上に有機光半導体を有する感光層1bを有し、矢印方向に回転し、対抗し接触回転する帯電ローラ2(導電性弾性層2a、芯金2b)により感光体ドラム1上に約−600Vの表面電位に帯電させる。露光3は、ポリゴンミラーにより感光体上にデジタル画像情報に応じてオン−オフさせることで露光部電位が−100V、暗部電位が−600Vの静電荷像が形成される。複数の現像器4−1を用いブラックトナーを感光体1上に反転現像方法を用いトナー画像を得た。該トナー画像は、中間転写体5上に転写され、感光体1上の転写材トナーはクリーナー部材8により、残トナー容器9中に回収される。
【0217】
中間転写体5は、パイプ状の芯金5b上にカーボンブラックの導電付与部材をニトリル−ブタジエンラバー(NBR)中に十分分散させた弾性層5aをコーティングした。該コート層5aの硬度は、「JIS K−6301」に準拠し30度で且つ体積固有抵抗値は、109 Ω・cmであった。感光体1から中間転写体5への転写に必要な転写電流は約5μAであり、これは電源より+500Vを芯金5b上に付与することで得られた。
【0218】
転写ローラ7の外径は20mmであり、該転写ローラ7は直径10mmの芯金7b上にカーボンの導電性付与部材をエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)の発泡体中に十分分散させたものをコーティングすることにより生成した弾性層7aを有し、弾性層7aの体積固有抵抗値は、106 Ω・cmで、「JIS K−6301」の基準の硬度は35度の値を示すものを用いた。転写ローラには電圧を印加して15μAの転写電流を流した。
【0219】
加熱定着装置Hにはオイル塗布機能のない熱ロール方式の定着装置を用いた。この時上部ローラ、下部ローラ共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は50mmであった。定着温度は180℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0220】
以上の設定条件で、常温常湿(25℃、60%RH)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で現像剤(1)〜(8)及び比較用現像剤(9)〜(12)の各々を逐次補給しながら単色での連続モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で100枚のプリントアウト試験を行った。次に低温低湿(15℃,10%RH)環境下、同じ印刷様式の画像5000枚のプリントアウト試験を行った。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0221】
また、同時に用いた画像形成装置と上記現像剤のマッチングについても、プリントアウト試験終了評価した。
【0222】
以上の評価結果を表2及び表3にまとめる。
【0223】
【表2】
Figure 0003869950
【0224】
【表3】
Figure 0003869950
【0225】
実施例9及び比較例5
図3に示す画像形成装置の現像装置を図4に示すものに交換し、トナー担持体面の移動速度が静電潜像担持体面の移動速度に対し、3.0倍となるように設定し、実施例1で製造したトナー(1)と、比較例1で製造した比較用トナー(9)の各々を逐次補給しながら単色での間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)により前記実施例と同様に評価を行った。
【0226】
ここで用いたトナー担持体の表面粗度Raは1.5であり、トナー規制ブレードは、リン青銅ベース板にウレタンゴムを接着し、トナー担持体との当接面をナイロンによりコートしたものを用いた。評価結果を表4及び表5にまとめる。
【0227】
【表4】
Figure 0003869950
【0228】
【表5】
Figure 0003869950
【0229】
実施例10及び比較例6
本実施例では市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付け改造し、再設定して用いた。即ち、図5において、感光体ドラム40上の未転写トナーを該感光体ドラムに当接しているクリーナー41の弾性ブレード42によりかき落した後、クリーナーローラによってクリーナー内部へ送り、更にクリーナースクリュー43を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ44によってホッパー45を介して現像器46に戻し、再度、回収トナーを利用するシステムを取り付け、一次帯電ローラ47としてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラ(直径12mm,当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体にレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD =−700V、明部電位VL =−200Vを形成した。トナー担持体として表面にカーボンブラックを分散した樹脂をコートした表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブ48を感光ドラム面の移動速度に対して1.1倍となる様に設定し、次いで、感光体ドラムと該現像スリーブとの間隙(S−D間)を270μmとし、トナー規制部材としてウレタンゴム製ブレードを当接させて用いた。現像バイアスとして直流バイアス成分に交流バイアス成分を重畳して用いた。
【0230】
加熱定着装置Hには図6及び図7に示した定着装置を用い、加熱体31の検温素子31dの表面温度は170℃、加熱体21−シリコーンゴムの発泡体を下層に有するスポンジ加圧ローラ33間の総圧は8kg、加圧ローラとフィルムのニップは6mmとし、定着フィルム32には、転写材との接触面にPTEF(高分子量タイプ)に導電性物質を分散させた低抵抗の離型層を有する厚さ60μmの耐熱性ポリイミドフィルムを使用した。
【0231】
以上の設定条件で、常温常湿(25℃,60%RH)環境下、6枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施例1で製造したトナー(1)と、比較例2で製造した比較用トナー(10)の各々を逐次補給しながら間歇モード(すなわち、1枚のプリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)で100枚のプリントアウト試験を行った。その後、低温低湿(15℃,10%RH)環境下、同じ印刷様式の画像5000枚のプリントアウト試験を行った。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0232】
同時に用いた画像形成装置と上記トナーとのマッチングについても評価した。
【0233】
以上の評価結果を表6及び表7にまとめる。
【0234】
【表6】
Figure 0003869950
【0235】
【表7】
Figure 0003869950
【0236】
実施例11
図5のトナーリユース機構を取り外した以外は、実施例10と同様にし、実施例2で製造したトナー(2)を逐次補給しながら連続モード(すなわち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行った。
【0237】
得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価すると共に、用いた画像形成装置とのマッチングについても評価した。その結果、いずれの項目についても良好であった。
【0238】
本発明の実施例、並びに、比較例中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0239】
〔プリントアウト画像評価〕
〈1〉画像濃度
100枚目のプリントアウト画像について、画像濃度により評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.00以上、1.35未満
D:1.00未満
【0240】
〈2〉画像濃度変化
低温低湿環境下でプリントアウトした100枚目および5000枚目の画像の画像濃度を測定し、下記式より画像濃度変化を算出した。画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
画像濃度変化=100枚目の濃度−5000枚目の濃度
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.15未満
D:0.15以上
【0241】
〈3〉画像カブリ
常温常湿における100枚目のプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。尚、カブリ濃度は「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した。
A:1.5%未満
B:1.5%以上、2.5%未満
C:2.5%以上、4.0%未満
D:4.0%以上
【0242】
〈4〉画像中抜け
常温常湿における100枚目のプリントアウト画像において、図8(a)に示した「驚」文字パターンの文字の中抜け(図8(b)の状態)を目視で評価した。
A:ほとんど発生せず。
B:軽微な中抜けが見られる。
C:若干の中抜けが見られる。
D:顕著な中抜けが見られる。
【0243】
〔画像形成装置マッチング評価〕
〈1〉現像スリーブとのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とを目視で評価した。
A:未発生。
B:ほとんど発生せず。
C:多少固着がある。
D:固着が多い。
【0244】
〈2〉感光ドラムとのマッチング
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とを目視で評価した。
A:未発生。
B:わずかに傷の発生が見られる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0245】
〈3〉中間転写体とのマッチング
プリントアウト試験終了後、中間転写体表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生。
B:表面に残留トナーの存在が認められる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0246】
〈4〉定着装置とのマッチング
プリントアウト試験終了後、定着フィルム表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生。
B:わずかに固着が見られる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0247】
実施例12
・樹脂(1) 100重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=104m2 /g) 10重量部
・負電荷性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0248】
上記材料をブレンダーにて混合し、これを130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した後、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕した。
【0249】
次に微粉砕した粒子100重量部と微粉末状の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネート(ピーク分子量:5000,Mw:5600,Mn:1600)20重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合した後40℃で固定化処理を行い、微粉砕した粒子の表面に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネート微粉末が付着した粒子を得た。さらにこの粒子を、ローターを回転して機械的衝撃力を与える装置を用いて表面改質を行った。次いで、得られた粒子を分級してトナー粒子(13)とした。
【0250】
TEMによりトナー粒子(13)の断層面観察を行ったところ、トナー粒子表面には連続にコントラストが観察された。また、PASを用い、可動鏡のスキャンスピードを変えることで、トナー粒子表面の組成分析をFT−IR/PASにより行ったところ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートに由来するスペクトルが得られ、トナー粒子の表面に連続的にポリカーボネート系樹脂が存在していることが確認された。
【0251】
トナー粒子(13)100重量部と疎水性シリカ微粉体(BET:200m2 /g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、トナー(13)とした後、該トナー(13)6重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均径:50μm)94重量部とを混合して磁気ブラシ現像用二成分現像剤(13)を調製した。
【0252】
トナー粒子(13)のSF−1の値は145、SF−2の値は130、(SF−2)/(SF−1)の値は0.90、重量平均径は6.9μm、高分子量側ピーク分子量は70万、低分子量側ピーク分子量は1.0万であった。
【0253】
トナー(13)のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分をGPCにより分取し、これを1 H−NMR、13C−NMR及びIRにて分析を行ったところ、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分の含有量は、トナーを基準として1.2重量%であった。
【0254】
トナー(13)の製造に用いた、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0255】
さらに、トナー粒子(13)について実施例1と同様にして保存安定性の評価を行ったところ、トナー粒子の流動性が損なわれることはなく、良好な結果となった。トナー粒子(13)及びトナー(13)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0256】
実施例13
ポリカーボネート系樹脂として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートを使用するかわりにビスフェノールA−ビフェノール−ヘキサメチレングリコール共重合ポリカーボネート(ピーク分子量30000,Mw32000,Mn10000,Tg60℃)20重量部を用いた以外は前記実施例12と同様にして、トナー粒子(14)、トナー(14)及び現像剤(14)を調製した。
【0257】
トナー(14)の製造に用いた、ビスフェノールA−ビフェノール−ヘキサメチングリコール共重合ポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0258】
トナー粒子(14)及びトナー(14)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0259】
実施例14
・樹脂(1) 100重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=104m2 /g) 10重量部
・負帯電性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0260】
上記材料をブレンダーにて混合し、これを130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕した後、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕した。
【0261】
次にこの粒子を、ローターを回転して機械的衝撃力を与える装置を用いて表面改質を行い、その後分級を行った。さらに、分級粉100重量部と微粉末状のビスフェノールAポリカーボネート(ピーク分子量:5000,Mw:5600,Mn:1600)5重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合した後40℃で固定化処理を行い、微粉砕した粒子の表面にビスフェノールAポリカーボネート微粉末が付着したトナー粒子(15)を得た。
【0262】
TEMによりトナー粒子(15)の断層面観察を行ったところ、トナー粒子表面には不連続にコントラストが観察された。また、PASを用い、可動鏡のスキャンスピードを変えることで、トナー粒子表面の組成分析をFT−IR/PASにより行ったところ、ビスフェノールAポリカーボネートに由来するスペクトルが得られ、該トナー粒子の表面に不連続にポリカーボネート系樹脂が存在していることが確認された。
【0263】
該トナー粒子(15)100重量部と疎水性シリカ微粉体(BET:200m2 /g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、トナー(15)とした後、該トナー(15)6重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均径:50μm)94重量部とを混合して磁気ブラシ現像用二成分現像剤(15)を調製した。
【0264】
トナー(15)の製造に用いた、ビスフェノールAポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0265】
トナー粒子(15)及びトナー(15)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0266】
実施例15
ポリカーボネート系樹脂としてビスフェノールAポリカーボネートを使用するかわりに2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ピーク分子量:4000,Mw:4500,Mn:1200)を用いた以外は前記実施例14と同様にして、トナー粒子(16)、トナー(16)及び現像剤(16)を調製した。
【0267】
トナー(16)の製造に用いた、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0268】
トナー粒子(16)及びトナー(16)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0269】
実施例16
高速撹拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を備えた2リットル用4つ口セパラブルフラスコ中にイオン交換水650gと0.1mol/リットル−Na3 PO4 水溶液500gを投入し、回転数を12000rpmに調整し、70℃に加温した。ここに1.0mol/リットル−CaCl2 水溶液70重量部を徐々に添加し、微少な難水溶性分散安定剤Ca3 (PO4 )を含む水系連続相を調製した。
【0270】
一方、分散質として
・スチレン 83重量部
・n−ブチルアクリレート 17重量部
・ジビニルベンゼン(純度55%) 0.3重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=104m2 /g) 10重量部
・負電荷性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
【0271】
上記混合物をアトライター(三井三池化工製)を用い3時間分散したものに、・1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネート(ピーク分子量:8000,Mw:8600,Mn:2800) 5重量部
・最大吸熱ピーク70℃のパラフィンワックス 5重量部
・2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 5重量部
を添加して70℃に加熱し、重合性単量体組成物を調製した。
【0272】
次に前記水系分散媒中に該重合性単量体組成物を投入し、窒素雰囲気下液温70℃で高速撹拌機の回転数を12000rpmに維持しつつ15分間撹拌し、該重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌機をプロペラ型撹拌翼にかえて50rpmで撹拌しながら70℃で10時間保持して懸濁液を得た。
【0273】
その後懸濁液を冷却し、次いで希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに水洗浄を数回繰り返した後乾燥し、得られた重合体粒子をトナー粒子(17)とした。
【0274】
トナー粒子(17)は、SF−1の値が127、SF−2の値が106、(SF−2)/(SF−1)の値が0.83、重量平均径が6.2μm、ピーク分子量が2.0万であった。
【0275】
トナー粒子(17)1.0gを精秤して円筒濾紙に仕込み、テトラヒドロフラン(THF)200mlにて20時間ソックスレー抽出し、円筒濾紙を40℃で12時間真空乾燥して残渣重量を測定することにより、THF不溶分を算出したところ、重合体粒子を基準として40重量%であった。
【0276】
上記トナー粒子(17)100重量部と疎水性シリカ微粉体(BET:200m2 /g)2重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、トナー(17)とした後、該トナー(17)6重量部と樹脂コート磁性フェライトキャリア(平均径:50μm)94重量部とを混合して磁気ブラシ現像用二成分現像剤(17)を調製した。
【0277】
トナー(17)のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量1000以下の成分をGPCにより分取し、これを1 H−NMR,13C−NMR及びIRにて分析を行ったところ、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分の含有量は、トナーを基準として0.5重量%であった。
【0278】
トナー(17)の製造に用いた、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0279】
トナー粒子(17)及びトナー(17)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0280】
実施例17
重合性単量体組成物中に不飽和ポリエステル(プロポキシ化ビスフェノールAとフマル酸を縮合した得られたポリエステル、ピーク分子量10000)を1重量部さらに添加した以外は前記実施例16と同様にして、トナー粒子(18)、トナー(18)及び現像剤(18)を調製した。トナー粒子(18)及びトナー(18)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0281】
実施例18
ポリカーボネート系樹脂として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートを使用するかわりに1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンポリカーボネート(ピーク分子量20000,Mw26000,Mn6500)を用いた以外は前記実施例16と同様にして、トナー粒子(19)、トナー(19)及び現像剤(19)を調製した。
【0282】
トナー(19)の製造に用いた、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量成分及び不純物が減少するように精製したものである。
【0283】
トナー粒子(19)及びトナー(19)の分析結果及び評価結果を表1に示す。
【0284】
実施例19
ポリカーボネート系樹脂として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンポリカーボネートを使用するかわりに2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネート(ピーク分子量8000,Mw7800,Mn2500)を用いた以外は前記実施例16と同様にして、トナー粒子(20)、トナー(20)及び現像剤(20)を調製した。
【0285】
トナー(20)の製造に用いた、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネートは、ジクロロメタンとイソプロパノールを用いて再沈殿をくり返し低分子量及び不純物が減少するように精製したものである。
【0286】
トナー粒子(20)及びトナー(20)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0287】
実施例20
樹脂(1)を樹脂(2)に変更する以外は、前記実施例11と同様にして、トナー粒子(21)、トナー(21)及び現像剤(21)を調製した。トナー粒子(21)及びトナー(21)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0288】
実施例21
実施例16で用いたサリチル酸系鉄錯体に代えて、モノアゾ染料と鉄との化合物を用いたことを除いては、実施例16と同様にしてトナー粒子(22)、トナー(22)及び現像剤(22)を調製した。トナー粒子(22)及びトナー(22)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0289】
比較例7
ポリカーボネート系樹脂を使用しない他は実施例12と同様にして、比較用トナー粒子(23)、比較用トナー(23)及び比較用現像剤(23)を調製した。比較用トナー粒子(23)及び比較用トナー(23)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0290】
比較例8
ポリカーボネート系樹脂を使用しない他は実施例16と同様にして、比較用トナー粒子(24)、比較用トナー(24)及び比較用現像剤(24)を調製した。トナー粒子(24)及び比較用トナー(24)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0291】
比較例9
・ビスフェノールA−ビフェノール−ジエチレングリコール共重合ポリカーボネート(ピーク分子量:12000,Mw:13000,Mn:4100,Tg:50℃) 100重量部
・カーボンブラック(BET比表面積=85m2 /g) 10重量部
・負荷電性制御剤(サリチル酸系鉄錯体) 2重量部
・最大吸熱ピーク107℃の低分子量ポリエチレン 5重量部
【0292】
上記材料を均一に混合、溶融した後微粉砕した。その後、実施例1と同様にして、比較用トナー粒子(25)、比較用トナー(25)及び比較用現像剤(25)を調製した。
【0293】
比較用トナー(25)の製造に用いた、ビスフェノールA−ビフェノール−ジエチレングリコール共重合ポリカーボネートは、再沈殿による精製を行わなかったものである。
【0294】
比較用トナー粒子(25)及び比較用トナー(25)の分析結果及び評価結果を表8に示す。
【0295】
【表8】
Figure 0003869950
【0296】
上記の実施例12〜22及び比較例7〜9で製造したトナー(13)〜(22)及び比較トナー(23)〜(25)をそれぞれ有する現像剤(13)〜(22)及び比較現像剤(23)〜(25)を用いて実施例1〜8及び比較例1〜4で用いたのと同じ画像形成装置を用い、プリントアウト試験方法のみ以下の通り変更することを除いては、同様にして各種評価を行った。
【0297】
プリントアウト試験は、常温常湿(25℃,60%RH)環境下に現像剤を1週間放置後、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で現像剤(13)〜(22)及び比較用現像剤(23)〜(25)の各々を逐次補給しながら単色での連続モード(すなわち、現像器を休止させることなくトナーの消費を促進させるモード)で1000枚のプリントアウト試験を行い、次いで、高温高湿(30℃,80%RH)環境下に現像剤を1週間放置した後、上記と同様にして1000枚のプリントアウト試験を行った。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。評価結果を表9及び表10に示す。
【0298】
【表9】
Figure 0003869950
【0299】
【表10】
Figure 0003869950
【0300】
実施例22及び比較例10
図3に示す画像形成装置の現像装置を図4に示すものに交換し、トナー担持体面の移動速度が静電潜像担持体面の移動速度に対し、3.0倍となるように設定し、実施例11で製造したトナー(13)と比較例7で製造した比較用トナー(23)の各々を逐次補給しながら単色での間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)により前記実施例と同様に評価を行った。
【0301】
ここで用いたトナー担持体の表面粗度Raは1.5であり、トナー規制ブレードは、リン青銅ベース板にウレタンゴムを接着し、トナー担持体との当接面をナイロンによりコートしたものを用いた。評価結果を表11及び表12にまとめる。
【0302】
【表11】
Figure 0003869950
【0303】
【表12】
Figure 0003869950
【0304】
実施例23及び比較例11
本実施例では市販のレーザービームプリンターLBP−EX(キヤノン社製)にリユース機構を取り付け改造し、再設定した用いた。即ち、図5において、感光体ドラム40上の未転写トナーを該感光体ドラムに当接しているクリーナー41の弾性ブレード42によりかき落した後、クリーナーローラによってクリーナー内部へ送り、更にクリーナースクリュー43を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ44によってホッパー45を介して現像器46に戻し、再度、回収トナーを利用するシステムを取り付け、一次帯電ローラ47としてナイロン樹脂で被覆された導電性カーボンを分散したゴムローラ(直径12mm、当接圧50g/cm)を使用し、静電潜像担持体にレーザー露光(600dpi)により暗部電位VD =−700V、明部電位VL =−200Vを形成した。トナー担持体として表面にカーボンブラックを分散した樹脂をコートした表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブ48を感光ドラム面の移動速度に対して1.1倍となる様に設定し、次いで、感光体ドラムと該現像スリーブとの間隙(S−D間)を270μmとし、トナー規制部材としてウレタンゴム製ブレードを当接させて用いた。現像バイアスとして直流バイアス成分に交流バイアス成分を重畳して用いた。
【0305】
加熱定着装置Hには図6及び図7に示した定着装置を用い、加熱体31の検温素子31dの表面温度は170℃、加熱体21−シリコーンゴムの発泡体を下層に有するスポンジ加圧ローラ33の間の総圧は8kg、加圧ローラとフィルムのニップは6mmとし、定着フィルム32には、転写材との接触面にPTEF(高分子量タイプ)に導電性物質を分散させた低抵抗の離型層を有する厚さ60μmの耐熱性ポリイミドフィルムを使用した。
【0306】
以上の設定条件で、常温常湿(25℃,60%RH)環境下に現像剤を1週間放置後、4枚(A4サイズ)/分のプリントアウト速度で、実施例16で製造したトナー(18)と比較例8で製造した比較用トナー(24)の各々を逐次補給しながら間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)で1000枚のプリントアウト試験を行い、次いで、高温高湿(30℃,80%RH)環境下に現像剤を1週間放置した後、上記と同様にして1000枚のプリントアウト試験を行った。そして、得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価した。
【0307】
同時に用いた画像形成装置と上記現像剤とのマッチングについても、プリントアウト試験終了後評価した。
【0308】
以上の評価結果を表13及び表14にまとめる。
【0309】
【表13】
Figure 0003869950
【0310】
【表14】
Figure 0003869950
【0311】
実施例24
図5のトナーリユース機構を取り外した以外は、実施例23と同様にし、実施例16で製造したトナー(17)を逐次補給しながら連続モード(すなわち、現像器を休止させることなく、トナーの消費を促進させるモード)でプリントアウト試験を行った。
【0312】
得られたプリントアウト画像を後述の項目について評価すると共に、用いた画像形成装置とのマッチングについても評価した。その結果、いずれの項目についても良好であった。
【0313】
本発明の実施例、並びに、比較例中に記載の評価項目の説明とその評価基準について述べる。
【0314】
〔プリントアウト画像評価〕
〈1〉画像濃度
通常の複写機用普通紙(75g/m2 )に常温常湿において1000枚のプリントアウトを行い、1000枚目のプリントアウト画像の画像濃度により評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
A:1.40以上
B:1.35以上、1.40未満
C:1.00以上、1.35未満
D:1.00未満
【0315】
〈2〉画像濃度変化
通常の複写機用普通紙(75g/m2 )に常温常湿、次いで高温高湿において各1000枚のプリントアウトを行い、常温常湿及び高温高湿それぞれの1000枚目の画像の画像濃度を測定し、下記式より画像濃度変化を算出した。画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
画像濃度変化=常温常湿の濃度−5000枚目の濃度
A:0.05未満
B:0.05以上、0.10未満
C:0.10以上、0.15未満
D:0.15以上
【0316】
〈3〉画像カブリ
通常の複写機用普通紙(75g/m2 )に常温常湿において1000枚のプリントアウトを行い、「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した1000枚目のプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。
A:1.5%未満
B:1.5%以上、2.5%未満
C:2.5%以上、4.0%未満
D:4.0%以上
【0317】
〈4〉画像中抜け
常温常湿において、図8(a)に示した「驚」文字パターンの文字の中抜け(図8(b)の状態を目視で評価した。
A:ほとんど発生せず。
B:軽微な中抜けが見られる。
C:若干の中抜けが見られる。
D:顕著な中抜けが見られる。
【0318】
〔画像形成装置マッチング評価〕
〈1〉現像スリーブとのマッチング評価
プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留トナーの固着の様子とを目視で評価した。
A:未発生。
B:ほとんど発生せず。
C:多少固着がある。
D:固着が多い。
【0319】
〈2〉感光ドラムとのマッチング
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とを目視で評価した。
A:未発生。
B:わずかに傷の発生が見られる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0320】
〈3〉中間転写体とのマッチング
プリントアウト試験終了後、中間転写体表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生。
B:表面に残留トナーの存在が認められる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0321】
〈4〉定着装置とのマッチング
プリントアウト試験終了後、定着フィルム表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:未発生。
B:わずかに固着が見られる。
C:固着や傷がある。
D:固着が多い。
【0322】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トナー組成物中の結着成分を特定することにより、耐久性や転写効率の良好なトナーが得られる。さらに、接触帯電部材、感光体ドラム及び中間転写体へのトナー粒子を融着させることなく高効率で転写することが可能となり、画像形成装置とのマッチングも好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトナーの断層面の模式図である。
【図2】本発明に好適な画像形成装置の概略的説明図である。
【図3】本発明の実施例に用いた二成分現像剤用の現像装置の要部の拡大横断面図である。
【図4】本発明の実施例に用いた一成分現像剤用の現像装置の要部の拡大横断面図である。
【図5】未転写トナーをリユースする画像形成装置の概略的説明図である。
【図6】本発明の実施例に用いた定着装置の要部の分解斜視図である。
【図7】本発明の実施例に用いた定着装置の非駆動時のフィルム状態を示した要部の拡大横断面図である。
【図8】文字画像の中抜けの状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 感光体(静電潜像担持体)
2 帯電ローラ
3 露光
4 4色現像器(4−1、4−2、4−3、4−4)
5 中間転写体
6 転写材
7 転写ローラ
11 現像剤担持体
13 感光体ドラム
30 ステー
31 加熱体
31a ヒーター基板
31b 発熱体
31c 表面保護層
31d 検温素子
32 定着フィルム
33 加圧ローラ
34 コイルばね
35 フィルム端部規制フランジ
36 給電コネクター
37 断電部材
38 入口ガイド
39 出口ガイド(分離ガイド)

Claims (34)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーにおいて、
    該結着樹脂は、結着樹脂の重量を基準として、ポリカーボネート系樹脂0.1乃至50.0重量%及びポリカーボネート系樹脂以外の樹脂50.0乃至99.9重量%を有し、
    該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として15.0重量%以下含有していることを特徴とするトナー。
  2. 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として10.0重量%以下含有していることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として5.0重量%以下含有していることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 該ポリカーボネート系樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000〜500000の領域にピーク分子量を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 該ポリカーボネート系樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量2000〜100000の領域にピーク分子量を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  6. 該ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエポキシ系樹脂からなるグループから選択される1種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 該トナーは、画像解析装置による形状係数SF−1が100〜160及び形状係数SF−2が100〜140を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 該トナーは、画像解析装置による形状係数SF−1が100〜140及び形状係数SF−2が100〜120を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  9. 該トナーは、画像解析装置による形状係数SF−1と形状係数SF−2との比(SF−2/SF−1)が1.0以下を有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. 該トナーは、2μm〜10μmの重量平均粒径を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
  11. 該トナーは、4μm〜8μmの重量平均粒径を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
  12. 該トナーは、下記式:
    変動係数(A)=〔S/D 〕×100
    から算出される個数分布による変動係数(A)35%以下を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
  13. 該トナーは、該ワックスをトナーの重量基準で0.1〜50重量%含有していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
  14. 該トナーは、該ワックスをトナーの重量基準で0.5〜30重量%含有していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー。
  15. 該ワックスは、示差走査熱量計によるDSC曲線において、40〜130℃の温度領域に昇温時の最大吸熱ピークを有していることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のトナー。
  16. 該ワックスは、示差走査熱量計によるDSC曲線において、50〜100℃の温度領域に昇温時の最大吸熱ピークを有していることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のトナー。
  17. 該トナーは、トナー粒子の表面に該ポリカーボネート系樹脂が存在していることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のトナー。
  18. 該トナーは、トナー粒子の表面に該ポリカーボネート系樹脂が存在しており、該トナー粒子の内部には、該ワックスが分散されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のトナー。
  19. 該ポリカーボネート系樹脂は、トナー粒子の表面に連続的に存在していることを特徴とする請求項17又は18に記載のトナー。
  20. 該ポリカーボネート系樹脂は、トナー粒子の表面に不連続に存在していることを特徴とする請求項17又は18に記載のトナー。
  21. 該トナーは、重合性単量体、着色剤、ワックス及びポリカーボネート系樹脂を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で重合することにより製造される重合トナー粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のトナー。
  22. 外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体を帯電する帯電工程;帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;該潜像担持体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程;該静電潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに記録材に転写する転写工程;及び該記録材上に転写されたトナー画像を該記録材に加熱定着する定着工程;を有する画像形成方法において、
    該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有しており、
    該結着樹脂は、結着樹脂の重量を基準として、ポリカーボネート系樹脂0.1乃至50.0重量%及びポリカーボネート系樹脂以外の樹脂50.0乃至99.9重量%を有し、
    該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、分子量1000以下の成分中に含まれているポリカーボネート系樹脂の繰り返し単位を構造中に有する成分を、該トナーの重量を基準として15.0重量%以下含有していることを特徴とする画像形成方法。
  23. 該トナーは、請求項2乃至21のいずれかに記載されたトナーであることを特徴とする請求項22に記載の画像形成方法。
  24. 現像工程において、該トナーが、トナー担持体表面に担持されて現像されるものであり、
    該トナー担持体の表面の移動速度が、該静電潜像担持体の表面の移動速度に対して、1.05〜3.0倍に設定されており、
    該トナー担持体は、1.5μm以下の表面粗度(Ra)を有していることを特徴とする請求項22または23に記載の画像形成方法。
  25. 現像工程において、該トナーが、トナー担持体表面に担持されて現像されるものであり、
    該トナー担持体の表面に弾性ブレードを当接させることにより、該トナー担持体上にトナー層を形成することを特徴とする請求項22乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
  26. 現像工程において、該トナーが、トナー担持体表面に担持されて現像されるものであり、該トナー担持体の表面と該静電潜像担持体の表面とは、間隙を有して配置されており、該間隔よりもトナー担持体上に担持されているトナー層の層厚の方が薄く、現像時には、トナー担持体に交流バイアスを有する現像バイアスが印加されることを特徴とする請求項22または23に記載の画像形成方法。
  27. 帯電工程において、外部より電圧が印加されている帯電部材を該静電潜像担持体の表面に当接させて該静電潜像担持体を帯電することを特徴とする請求項22乃至26のいずれに記載の画像形成方法。
  28. 定着工程において、オフセット防止剤が定着部材に供給されていない加熱定着装置を用いて該記録材への該トナー画像の定着が成し遂げられることを特徴とする請求項22乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
  29. 定着工程において、該記録材の表面に転写されている該トナー画像をフィルムに当接させた状態で熱及び圧力を付与する加熱定着装置を用いて該記録材への該トナー画像の定着が成し遂げられることを特徴とする請求項22乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
  30. 現像工程において、該静電潜像の現像は、該トナーを保有している現像手段によって成し遂げられるものであり、
    転写後の該静電潜像担持体表面に残存するトナーを回収してクリーニングし、回収された回収トナーを該現像手段に供給し、該回収トナーを現像手段に保有させて再度静電潜像の現像に用いるトナーリユース方式を用いて画像形成が成し遂げられることを特徴とする請求項22乃至29のいずれかに記載の画像形成方法。
  31. 転写工程において、該静電潜像担持体上に形成されたトナー画像が中間転写体を介さずに該静電潜像担持体上から該記録材に転写されることを特徴とする請求項22乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
  32. 転写工程において、外部より電圧が印加されている転写部材を該記録材を介して該静電潜像担持体の表面に当接させて、該トナー画像が該記録材に転写されることを特徴とする請求項31に記載の画像形成方法。
  33. 転写工程において、該静電潜像担持体上に形成されたトナー画像が中間転写体に一次転写され、該中間転写体に一次転写されたトナー画像が該記録材に二次転写されることを特徴とする請求項22乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
  34. 転写工程において、外部より電圧が印加されている転写部材を該記録材を介して該中間転写体の表面に当接させて、該トナー画像が該記録材に二次転写されることを特徴とする請求項33に記載の画像形成方法。
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