JP3862874B2 - 繊維製品処理剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維製品処理剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、家庭で着用された衣料の洗濯には通常弱アルカリ性重質洗剤が使用されており、また、おしゃれ着等の洗濯には軽質洗剤が使用されている。また、これらの衣料は好みによって、衣料を柔らかく仕上げる柔軟剤や硬く仕上げる糊料が使用されている。
【0003】
しかしながら衣料の洗浄を繰り返すと、繊維の傷みによる襟や袖口の縮みが生じ、また張りがなくなり見た目や着心地が悪くなる。また、このような衣料を柔軟剤や糊剤で処理を行うと衣料の形がくずれたり、本来の風合いを損なう等の問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は衣料本来の形状と風合いを回復させる処理剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A)下記i)〜iii)から選ばれる水溶性高分子化合物の少なくとも1種 0.1〜20重量%
i)重量平均分子量5000〜500000のポリ酢酸ビニルの鹸化物及びその誘導体(以下ポリマーiという場合もある)
ii)重量平均分子量1000〜6000000のポリスチレンスルホン酸塩並びにスチレンスルホン酸塩及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系モノマーの共重合物(以下ポリマーiiという場合もある)
iii)重量平均分子量1000〜6000000のN−ビニル−2−ピロリドンの重合物並びにN−ビニル−2−ピロリドン及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系モノマーの共重合物(以下ポリマーiii という場合もある)
(B)4級アンモニウム化合物、3級アミンの無機又は有機の酸塩及びシリコーン化合物から選ばれる柔軟化剤 0.1〜20重量%
(C)下記一般式(I)で表される非イオン性界面活性剤 0.1〜5重量%
R−(OC2H4)n−OH (I)
〔式中、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基、nは5〜30の数であり、RとnはHLBが12〜18の範囲になるように調整される。〕
を含有する繊維製品処理剤組成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
(A)成分のポリ酢酸ビニルの鹸化物は、完全鹸化物はポリビニルアルコールであり、部分鹸化物はビニルアルコールと酢酸ビニルの共重合体である。これらの中で鹸化度(ポリ酢酸ビニル中で鹸化された部分のmol%)は70〜100mol%、好ましくは85〜100mol%が好適である。このような鹸化度のポリマーに、更に置換基を導入することができる。置換基としてはカルボン酸基、カチオン基が好適である。また、これらポリマーiの重量平均分子量は5000〜500000、好ましくは10000〜100000が良好である。
【0007】
(A)成分のポリマーiiに用いられるスチレンスルホン酸塩と共重合可能なビニル系モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸、エチレン、プロピレン、、n−ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2−メチルー1ブテン、n−ヘキセン、2−メチルー1−ペンテン、2−エチルー1−ブテン、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンを挙げることができ、これらの中でも特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸又はこれらの塩もしくはスチレンが好ましい。また、このような共重合可能な化合物は共重合物中にモノマー単位として30mol%以上、特に50mol%以上含まれることが好ましい。ポリマーiiの塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。ポリスチレンスルホン酸塩並びにスチレンスルホン酸塩及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系モノマーの共重合物は、水溶性であれば中和度100%でなくてもよい。なお、このポリスチレンスルホン酸は、スチレンをスルホン化処理して得られたものでもよく、この場合、スチレンが多少残存しても水溶性であれば問題ない。
【0008】
これらポリマーiiは、本発明の効果と粘度の点から、重量平均分子量1000〜6000000、好ましくは5000〜1000000、特に好ましくは10000〜500000のものが用いられる。
【0009】
(A)成分のポリマーiii に用いられるN−ビニル−2−ピロリドンと共重合可能なビニル系モノマーとしては、ポリマーiiで例示したものを挙げることができるが、更に、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,Nージアルキル(炭素数1〜4)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(炭素数1〜4)メタクリルアミドなどのアミド化合物も使用することができる。更に下記一般式(II)の化合物又はその酸塩もしくは4級化物も好適である。
CH2=C(R')CONH(CH2)m−N(R'')2 (II)
〔式中、R' は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、R''は水素、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキレン基を示し、mは2〜5の数を示す。〕
一般式(II)の化合物は塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸やp−トルエンスルホン酸、グリコール酸、クエン酸、こはく酸などの有機酸の酸塩として使用することができ、更にはメチルクロライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル化剤で公知の方法で4級アンモニウム塩化して使用してもよい。
【0010】
ポリマーiii において、このような共重合可能な化合物は共重合物中にモノマー単位として30mol%以上、好ましくは50mol%以上である。
【0011】
これらポリマーiii は、本発明の効果と粘度の点から、重量平均分子量1000〜6000000、好ましくは2000〜1000000のものが用いられる。
【0012】
これら水溶性高分子化合物(A)の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定されたものである。
【0013】
また、本発明において、水溶性高分子化合物とは、80℃の水100gに対し水溶性高分子化合物1gを加えたときにその液が濁らずに澄明になるものをいう。
【0014】
(B)成分の4級アンモニウム化合物又は3級アミンの無機もしくは有機の酸塩としては、特に分子中に少なくとも1つのエステル基有する4級アンモニウム化合物もしくは3級アミン化合物の無機又は有機酸塩が好ましい。このような化合物としては、一般式(III) 及び一般式(IV)の化合物を挙げることができる。
【0015】
【化1】
【0016】
〔式中、R1 、R3 は同一か又は異なっていても良い炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、X、Yは、−COO−、−CONR7−、−OCO−、−NR7CO−であり、同一でも異なっていても良く、また、X、Yの少なくとも1つは−COO−もしくは−OCO−である。ここでR7 はH、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2 、R4 は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R5 、R6 は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキレン基又はR1−X−R2−である。〕
具体的には以下の化合物(V)〜(VIII)を挙げることができる。
【0017】
【化2】
【0018】
また、一般式(III) 、(IV)の化合物以外にも下記化合物(IX)が好適である。
【0019】
【化3】
【0020】
また、(B)成分のシリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等を挙げることができ、特にジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが良好である。シリコーン化合物の重量平均分子量は、1000〜1000000、好ましくは2000〜100000である。シリコーン化合物の重量平均分子量は、分子量が既知のジメチルポリシロキサンを基準にゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めることができる。また、シリコーン化合物は粒子が分散した水性エマルジョンの形態で配合することが好ましく、分散粒子の平均粒径は0.01〜10μm、特に0.01〜0.5μm、更には0.05〜0.1μmが良好である。
【0021】
(C)成分の非イオン性界面活性剤は、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル型非イオン性界面活性剤である。これはグリフィン法によるHLBが12〜18である。
R−(OC2H4)n−OH (I)
〔式中、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基、nは5〜30の数であり、RとnはHLBが12〜18の範囲になるように調整される。〕。
【0022】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、良好な衣料の形態回復効果と風合い付与効果が得られることから、(A)成分を0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%含有する。また、貯蔵安定性と形態回復効果が良好である点で、(B)成分を0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、更に(C)成分を0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%含有する。
【0023】
本発明では更にエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、プロパノールから選ばれる少なくとも1種を配合すると更に安定性を向上させることができる。これらの中でも特にエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。これらは組成物中に0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%配合されるのが好ましい。
【0024】
本発明の繊維製品処理剤組成物には、通常の柔軟剤や糊剤に使用されている成分を配合しても差し支えない。このような成分としては香料、色素、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム等の無機塩等が挙げられる。
【0025】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、pH2〜8、好ましくは2.2〜7に調整される。pHの調整には、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸、こはく酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ホスホン酸等の有機酸から選ばれる酸性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、(B)成分以外のアミン化合物、脂肪酸石鹸等の有機塩基から選ばれるアルカリ性物質が使用できる。
【0026】
本発明の繊維製品処理剤組成物は、上記(A)〜(C)成分及び任意成分を含有し、通常、残部は水である。また、本発明の組成物は、適度な濃度に希釈して使用される。例えば、衣料を通常の洗濯を行い、すすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、また、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れてを浸漬処理する方法が考えられる。繊維製品の処理は何れの方法で行っても良いが、(A)成分の処理浴中の濃度が10ppm〜1000ppm、特に20ppm〜500ppmとなるようにするのが好ましく、浴比(衣料に対する処理液の比率)は1/3〜1/100、特に1/5〜1/50が好ましい。
【0027】
【実施例】
実施例1
<繊維製品処理剤組成物の調製>
表1に示した組成物を調製した。なお、各成分については以下の通りである。また、組成物のpHは、1/10N塩酸水溶液又は1/10N水酸化ナトリウム水溶液で、全て6に調整した。
・ポリビニルアルコール A−1
〔クラレ社製、PVA105、鹸化度98.5±0.5、重量平均分子量25000〕
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム A−2
〔ライオン(株) 製、ポリティPS、重量平均分子量20000〕
・N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマー A−3
(重量平均分子量35000)
・酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体水分散エマルション A−4
(有効分40%、水不溶性高分子)
・シリコーン B−1
〔東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、SM8705、平均粒径0.03〜0.04μm、重量平均分子量80000〕
・一般式(V)の化合物 B−2
〔RはC18:C16=60/40(硬化牛脂由来の飽和アルキル鎖)〕
・非イオン性界面活性剤 C−1
〔ポリオキシエチレン(平均付加モル数30)アルキル(炭素数12)エーテル、HLB17.75〕
・非イオン性界面活性剤 C−2
〔ポリオキシエチレン(平均付加モル数13)アルキル(炭素数12)エーテル、HLB15.54〕
・非イオン性界面活性剤 C−3
〔ポリオキシエチレン(平均付加モル数5)アルキル(炭素数12)エーテル、HLB13.2〕
・非イオン性界面活性剤 C−4
〔ポリオキシエチレン(平均付加モル数51)アルキル(炭素数12)エーテル、HLB18.6〕
・プロピレングリコール D−1
・エチレングリコール D−2
なお、A−1〜A−3の水への溶解度は、1g/100g(80℃)以上であり、澄明性を示した。また、A−4の水への溶解度は、0.01g/100g(80℃)未満であり、エマルションであった。
【0028】
<被処理繊維製品の調製>
青色の木綿100%のポロシャツを5枚用意し、4枚をナショナル製洗濯機NA−F60Eを用い、市販の重質洗剤を用いて20回繰り返し洗濯処理をした。これら4枚の衣料の襟、袖口は張りがなく、繊維が伸びたような形状がみられ、新品から見るとかなり劣化している。
【0029】
<処理方法>
5Lのたらいに水5Lを入れ、表1の組成物20gを溶解させた(A−1又はA−2濃度400ppm、浴比=1/30)。上記の洗濯処理したポロシャツの1枚を10分間浸漬させ、その後洗濯機で脱水し、陰干しをした。
【0030】
<評価基準>
訓練された評価者により、上記で用いたポロシャツの新品と上記処理を行ったポロシャツの形態を比較し、以下の基準で判定した。結果を表1に併せて示した。
新品と同等の形態にまで回復した;+2
新品までは回復しないが、満足できるレベルまで回復した;+1
未処理品と同等であった;0
【0031】
【表1】
【0032】
実施例2
実施例1の本発明品4の組成のうち、B−2の代わりに一般式(VI)、(VII) 、(VIII)、(IX)の4級アンモニウム化合物又は3級アミン塩〔何れも式中のRはC18:C16=60/40(硬化牛脂由来の飽和アルキル鎖)〕を用い、化合物(VI)、(IX)を用いた組成物はpHを4.0に、化合物(VII) 、(VIII)を用いた組成物はpHを2.5に、それぞれ調整して得た繊維製品処理剤組成物の効果を実施例1と同様に調べたところ、何れも好適な形態回復性を示した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば劣化した衣料の形態を回復させる繊維製品処理剤組成物を提供することができる。
Claims (1)
- (A)下記i)〜 iii) から選ばれる水溶性高分子化合物の少なくとも1種 0.1〜20重量%
i)重量平均分子量5000〜500000のポリ酢酸ビニルの鹸化物及びその誘導体
ii )重量平均分子量1000〜6000000のポリスチレンスルホン酸塩並びにスチレンスルホン酸塩及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系モノマーの共重合物
iii) 重量平均分子量1000〜6000000のN−ビニル−2−ピロリドンの重合物並びにN−ビニル−2−ピロリドン及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系モノマーの共重合物
(B)4級アンモニウム化合物、3級アミンの無機又は有機の酸塩及びシリコーン化合物から選ばれる柔軟化剤 0.1〜20重量%
(C)下記一般式(I)で表される非イオン性界面活性剤 0.1〜5重量%
R− ( OC 2 H 4 ) n −OH (I)
〔式中、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基、nは5〜30の数であり、RとnはHLBが12〜18の範囲になるように調整される。〕
を含有する繊維製品処理剤組成物をすすぎ水に溶解させた、(A)の濃度が10ppm〜1000ppmである処理浴を用いて、すすぎの段階で繊維製品を処理する方法。
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