JP3861510B2 - 駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、変速機に対して複数種類の動力源の動力を伝達することができるように構成されている駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、エンジンを駆動させる燃料の節約と、エンジンの回転による騒音の低減と、燃料の燃焼により発生する排気ガスの低減とを目的として、エンジンおよび電動機を駆動力源とするハイブリッド車が提案されている。また、このほかに、エンジンの出力軸に電動機を設け、停車時にエンジンを自動停止させる一方、車両の発進時に自動的に電動機によりエンジンを始動させることのできる車両、いわゆるエコラン車も提案されている。
【0003】
このようなハイブリッド車またはエコラン車においては、車速およびアクセル開度などの条件に基づいてエンジンおよび電動機の駆動・停止が制御される。ところで、車両に搭載される変速機としては、歯車変速機構と、クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置とを有する有段式の自動変速機が広く用いられている。このような構成の自動変速機においては、摩擦係合装置の係合・解放を制御することにより変速段が設定される。
【0004】
一方、上記ハイブリッド車またはエコラン車に上記自動変速機が搭載されている車両において、変速機の変速ショックの低減や変速時間の短縮などを目的として、変速機の変速時に、変速機の入力回転数が変速後の出力回転数に同期するように、電動機の回転数制御をおこなうことが知られている。このような技術は、例えば特開平9−308011号公報に記載されている。この公報においては、自動変速機のダウンシフト時には、自動変速機の入力回転数をダウンシフト後の変速比に応じて出力回転数と同期させるために、モータ・ジェネレータを用いて自動変速機の入力回転数を強制的に上昇させる制御がおこなわれている。また、モータ・ジェネレータを使えない場合には、エンジンのスロットル弁の開度制御により、自動変速機の入力回転数を制御するものとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなハイブリッド車またはエコラン車においては、エンジンおよびモータ・ジェネレータが共に、自動変速機に対して動力を伝達することができるように構成されている。このため、上記公報のように、自動変速機の変速時に、その入力回転数が変速後の出力回転数に同期するように、モータ・ジェネレータの制御がおこなわれた場合は、自動変速機の入力回転数を強制的に上昇させるための動力源以外の動力源が、変速機の入力系統に対して回転慣性質量体として作用する。その結果、上記等速シフトに際して、入力系統のイナーシャが大きくなり、自動変速機の変速応答性に悪影響を及ぼす可能性があった。
【0006】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、変速機の変速に際して、動力源により変速機の入力回転数を制御する場合の応答性を向上させることのできる駆動制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するため請求項1の発明は、第1の動力源および第2の動力源と、この第1の動力源および第2の動力源の動力が入力される変速機と、前記第1の動力源と前記変速機との間の動力伝達状態を制御する入力クラッチとを有する駆動制御装置において、前記第2の動力源が連結された動力伝達軸が設けられており、この動力伝達軸と前記第1の動力源との間に前記入力クラッチが設けられており、前記動力伝達軸と前記変速機との間に、ロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置が設けられており、前記変速機の変速に際して、前記ロックアップクラッチを解放状態または半係合状態に制御し、かつ、前記入力クラッチを解放状態または半係合状態に制御するとともに、前記第2の動力源の回転数を制御することにより、前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる変速制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1の発明によれば、変速機の変速に際して、ロックアップクラッチが解放状態または半係合状態に制御され、かつ、この変速機の入力回転数を制御することに関与していない第1の動力源と変速機との間の入力クラッチが解放状態または半係合状態に制御される。したがって、第2の動力源により変速機の入力回転数を制御する際には、第1の動力源が回転慣性質量体として作用しにくくなる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記変速制御手段は、前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる制御が終了した後、前記入力クラッチおよび前記ロックアップクラッチを係合状態に制御する手段を含むことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の作用が生じるほか、変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる制御が終了した後、入力クラッチおよびロックアップクラッチが係合状態に制御される。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第2の動力源が、バッテリの電力により駆動される電動機を有するとともに、前記変速制御手段は、前記バッテリの充電量が所定値以上であるか否かの判断で肯定的に判断された場合は、前記電動機の回転数を制御することにより前記変速機の入力回転数を制御する手段と、前記バッテリの充電量が前記所定値以上であるか否かの判断で否定的に判断されて、前記電動機により前記変速機の入力回転数を制御することができない場合は、前記入力クラッチを係合状態に制御し、かつ、前記第1の動力源により前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる手段とを更に含むことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、バッテリの充電量が所定値以上であるか否かの判断で否定的に判断されて、電動機により変速機の入力回転数を制御することができない場合には、第1の動力源により変速機の入力回転数が制御される。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図2はこの発明の一実施例であるハイブリッド車のパワープラントを示している。すなわち、内燃機関1の出力側に電動機(MG)2が接続されており、内燃機関1および電動機2を、車両を走行させるための駆動力源として機能させることができる。その内燃機関1は、要は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを採用することができ、またその形式は、レシプロタイプのもの以外にタービン型のエンジンであってもよい。なお、以下の説明では、内燃機関1をエンジン1と記す。
【0016】
このエンジン1は、電子スロットルバルブ1Aの開度や燃料噴射量あるいは点火時期などを電気的に制御できるように構成されているとともに、エンジン1を始動させるスタータ1Bが設けられている。そして、エンジン1を制御するための電子制御装置(E/G−ECU)8が設けられている。この電子制御装置8は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。以下、各種の電子制御装置が説明されているが、その構成はこれとほぼ同様である。そして、この電子制御装置8において、アクセル開度や車速、変速信号、エンジン水温などの入力データに基づいて予め記憶しているプログラムに従って演算をおこない、その演算結果に基づいて制御信号を出力するように構成されている。
【0017】
また、電動機2は、要は、電力が供給されてトルクを出力する装置であり、直流モータや交流モータを採用することができ、さらには固定永久磁石型同期モータなどの発電機能を兼ね備えたいわゆるモータ・ジェネレータを使用することができる。なお、以下の説明では、電動機2をモータ・ジェネレータ2と記す。また、モータ・ジェネレータ2の回転数および回転角度を検出するレゾルバ2Aが設けられている。さらに、モータ・ジェネレータ2には、インバータ9を介してバッテリ10が接続されている。
【0018】
そして、モータ・ジェネレータ2を制御するコントローラとしての電子制御装置(MG−ECU)11が設けられている。この電子制御装置11に入力されるデータに基づいて演算をおこなって、モータ・ジェネレータ2に供給する電流や周波数、モータ・ジェネレータ2からバッテリ10に充電する電力、モータ・ジェネレータ2を発電機として機能させる場合の回生制動トルクなどを制御するように構成されている。また、モータ・ジェネレータ2の出力側には自動変速機3が設けられており、この自動変速機3は、トルクコンバータ(T/C)4および変速機構5ならびに油圧制御部7を有している。
【0019】
図3は、この発明のハイブリッド車のパワープラントを示すスケルトン図である。エンジン1のクランクシャフト1Cと、トルクコンバータ4のフロントカバー120が接続された動力伝達軸121との間には、入力クラッチ122が配置されている。この入力クラッチ122は、エンジン1と動力伝達軸121との間の動力伝達状態を制御する機能を有している。この実施形態では、入力クラッチ122として公知の摩擦式クラッチが用いられている。すなわち、入力クラッチ122は、シリンダおよびピストンならびにリターンスプリング(いずれも図示せず)などを有する。そして、入力クラッチ12は、ピストンに作用する油圧により、入力クラッチ12の係合(完全係合)・半係合(スリップ)・解放が制御されるように構成されている。また、この動力伝達軸121に対して、モータ・ジェネレータ2のロータ(図示せず)が取り付けられている。
【0020】
トルクコンバータ4は油圧によりその動作が制御されるように構成されており、フロントカバー120に一体的に結合されたポンプインペラ47と、変速機構5の入力軸57に取り付けられたタービンランナ61と、トルクコンバータ4の内部のオイルの流れを変えるステータ56と、フロントカバー120と入力軸57との間に動力伝達状態を切り換えるロックアップクラッチ62とを有している。
【0021】
ロックアップクラッチ62が解放されると流体による動力伝達状態になり、ロックアップクラッチ63が係合されると機械的な動力伝達状態になる。なお、ロックアップクラッチ62が解放された状態では、ステータ56の機能により、ポンプインペラ47からタービンランナ61に伝達されるトルクを増幅することができる。
【0022】
また、トルクコンバータ4と変速機構5との間には、機械式オイルポンプ6が配置されている。この機械式オイルポンプ6の回転軸は、ポンプインペラ47に接続されている。したがって、この機械式オイルポンプ6は、エンジン1またはモータ・ジェネレータ2の動力により駆動することができる。機械式オイルポンプ6は、入力クラッチ122や、変速機構5の変速段を設定するためのクラッチあるいはブレーキなどの摩擦係合装置(後述)を、油圧サーボ機構によって係合・半係合・解放の各状態を制御する油圧の元圧を発生する機能を有している。
【0023】
一方、図3に示す自動変速機3は、前進5段・後進1段の変速段を設定することができるように構成されている。すなわちここに示す自動変速機3は、トルクコンバータ4およびオイルポンプ6に続けて副変速部81と、主変速部82とを備えている。その副変速部81は、いわゆるオーバードライブ部であって1組のシングルピニオン型遊星歯車機構83によって構成され、キャリヤ84が前記入力軸57に連結され、またこのキャリヤ84とサンギヤ85との間に一方向クラッチF0 と一体化クラッチC0 とが並列に配置されている。なお、この一方向クラッチF0 はサンギヤ85がキャリヤ84に対して相対的に正回転(入力軸57の回転方向の回転)する場合に係合するようになっている。またサンギヤ85の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。そしてこの副変速部81の出力要素であるリングギヤ86が、主変速部82の入力要素である中間軸87に接続されている。
【0024】
したがって副変速部81は、一体化クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊星歯車機構83の全体が一体となって回転するため、中間軸87が入力軸57と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ85の回転を止めた状態では、リングギヤ86が入力軸57に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0025】
他方、主変速部82は三組の遊星歯車機構88,89,90を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構88のサンギヤ91と第2遊星歯車機構89のサンギヤ92とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機構88のリングギヤ93と第2遊星歯車機構89のキャリヤ94と第3遊星歯車機構90のキャリヤ95との三者が連結され、かつそのキャリヤ95に出力軸96が連結されている。この出力軸96が、動力伝達装置(図示せず)を介して車輪96Aに接続されている。にがさらに第2遊星歯車機構89のリングギヤ97が第3遊星歯車機構90のサンギヤ98に連結されている。
【0026】
この主変速部82の歯車列では後進段と前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されている第2遊星歯車機構89のリングギヤ97および第3遊星歯車機構90のサンギヤ98と中間軸87との間に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第1遊星歯車機構88のサンギヤ91および第2遊星歯車機構89のサンギヤ92と中間軸87との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0027】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構88および第2遊星歯車機構89のサンギヤ91,89の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ91,89(すなわち共通サンギヤ軸)とトランスミッションハウジング20との間には、第1一方向クラッチF1 と多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されており、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ91,89が逆回転(入力軸57の回転方向とは反対方向の回転)しようとする際に係合するようになっている。多板ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構88のキャリヤ99とトランスミッションハウジング20との間に設けられている。
【0028】
そして第3遊星歯車機構90のリングギヤ100の回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブレーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがトランスミッションハウジング20との間に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ100が逆回転しようとする際に係合するようになっている。上述した各変速部81,82の回転部材のうち副変速部81のクラッチC0 の回転数を検出するタービン回転数センサ101と、出力軸96の回転数を検出する出力軸回転数センサ102とが設けられている。
【0029】
上記の自動変速機3では、各クラッチやブレーキを図4の作動図表に示すように係合・解放することにより前進第1段ないし第5段の変速段と、後進1段の変速段とを設定することができる。すなわち、自動変速機3は、その変速比を段階的に変更することのできる、いわゆる有段式の自動変速機である。なお、図4において○印は係合されることを意味し、空欄は解放されることを意味し、◎印はエンジンブレーキ時に係合されることを意味し、△印は係合されるものの動力伝達に関係しないことを意味している。
【0030】
一方、図2に示すように、自動変速機3の変速比の制御範囲を設定するシフトレバー127が設けられており、シフトレバー127と油圧制御部7とが機械的に連結されている。このシフトレバー127の操作により選択されるシフトポジションが図5に示されている。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションを選択することができる。
【0031】
ここで、Dポジションは車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて、自動変速機3で前進第1速ないし第5速のいずれかを設定するためのポジションであり、また4ポジションは、第1速ないし第4速のいずれか、3ポジションは第1速ないし第3速のいずれか、2ポジションは第1速または第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するためのポジションである。3ポジションないしLポジションは、エンジンブレーキレンジを設定するポジションであり、それぞれのポジションで設定可能な変速段のうち最も高速側の変速段でエンジンブレーキを効かせるように構成されている。
【0032】
また、この実施形態においては、自動変速機3の変速比を、電子制御装置12に入力される信号に基づいて自動的に制御することのできる自動変速制御状態と、手動操作により制御することのできる手動変速制御状態とを相互に切り換えることができる。図6は、スポーツモードスイッチ76を示し、このスポーツモードスイッチ76は、例えばインストルメントパネル(図示せず)付近またはコンソールボックス(図示せず)付近などに配置されている。このスポーツモードスイッチ76がオンされると、前記手動変速制御状態が設定され、スポーツモードスイッチ76がオフされると、手動変速制御状態が解除される。
【0033】
図7はダウンシフトスイッチ78およびアップシフトスイッチ80の配置位置の一例を示す図である。このダウンシフトスイッチ78およびアップシフトスイッチ80は、手動変速制御状態において、実際に自動変速機3の変速段をダウンシフトまたはアップシフトさせるためのものである。具体的には、ステアリングホイール79の表面側にダウンシフトスイッチ78が設けられており、ステアリングホイール79の裏面側にアップシフトスイッチ80が設けられている。なお、図7においては便宜上、ダウンシフトスイッチ78およびアップシフトスイッチ80を共にステアリングホイール79の表面側に表示している。そして、シフトレバーにより例えばDポジションが選択され、かつ、スポーツモードスイッチ76がオンされた状態において、アップシフトスイッチが操作されると変速機構5の変速段がアップシフトされ、ダウンシフトスイッチ78が操作されると変速機構5の変速段がダウンシフトされる。
【0034】
ところで、図2に示すハイブリッド車には、前記機械式オイルポンプ6とは別の電動オイルポンプ110が設けられている。また、電動オイルポンプ110を駆動するための電動機110Aが設けられているとともに、電動機110Aにはインバータ110Cを介してバッテリ110Bが接続されている。そして、インバータ110Cおよびバッテリ110Bを制御するコントローラとしての電子制御装置(ECU)110Dが設けられている。この電子制御装置110Dは、マイクロコンピュータを主体に構成され、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、電動機110Aを制御するように構成されている。そして、電動オイルポンプ110は、エンジン1の停止時などに駆動されるもので、機械式オイルポンプ6の機能と同じ機能を有している。
【0035】
つまり、機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110は、共に、自動変速機3および入力クラッチ122に対する油圧源となっており、そのための油圧回路が図8に示すように構成されている。すなわち、オイルパン123に貯留されているオイルが機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110により汲み上げられるように構成されている。また、機械式オイルポンプ6および電動オイルポンプ110とプライマリレギュレータバルブ124との間には、チェックボール機構150が設けられている。そして、吐出圧の高いポンプの油圧が、チェックボール機構150を経由してプライマリレギュレータバルブ124の入力ポートに供給されるように構成されている。プライマリレギュレータバルブ124により、ライン圧が、スロットル開度あるいはアクセル開度に応じた圧力に調圧される。またプライマリレギュレータバルブ124の出力ポートに対しては、マニュアルバルブ125および入力クラッチコントロールソレノイド(リニアソレノイド)126が並列に接続されている。
【0036】
このマニュアルバルブ125はシフトレバー127の操作により動作し、マニュアルバルブ125の動作により、マニュアルバルブ125と第1クラッチC1 および第2クラッチC2 とを接続するポートが開閉される。一方、入力クラッチコントロールソレノイド126は、入力クラッチ122とプライマリレギュレータバルブ124とを接続する油路に設けられており、入力クラッチ126に作用する油圧が、入力クラッチコントロールソレノイド126の機能により直接的に制御される。したがって、入力クラッチコントロールソレノイド126以外に格別の部品を設ける必要がなく、自動変速機3の製造コストを低減することができる。
【0037】
一方、図2に示すように、エンジン1のクランクシャフト1Cに対して、駆動装置127を介してモータ・ジェネレータ(MG)128が連結されている。モータ・ジェネレータ128は、エンジン1に動力を伝達する機能と、エアコン用コンプレッサなどの補機を駆動する機能と、エンジン1の動力により駆動される発電機としての機能とを有している。この駆動装置127は、遊星歯車機構(図示せず)、およびこの遊星歯車機構によるトルク伝達状態を切り換える摩擦係合装置(図示せず)ならびに一方向クラッチ(図示せず)などを有する減速装置(図示せず)を備えている。また、駆動装置127は、エンジン1とモータ・ジェネレータ128との間の動力伝達経路を接続・遮断するクラッチ機構を備えている。また、モータ・ジェネレータ128には、インバータ129を介してバッテリ130が電気的に接続されているとともに、インバータ129およびバッテリ130を制御する電子制御装置(MG−ECU)131が設けられている。
【0038】
図9には、上記ハイブリッド車のシステムを総合的に制御する総合制御装置(ECU)104が示されている。そして、図2に示された各種の電子制御装置8,11,12,110D,131と総合制御装置104とが相互にデータ通信可能に接続されている。そして、エンジン1、駆動装置127の減速装置、モータ・ジェネレータ2,128、自動変速機3、ロックアップクラッチ62、入力クラッチ122などの各装置は、車両の状態を示す各種のデータに基づいて制御される。
【0039】
具体的には、総合制御装置104に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。この総合制御装置104には、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッションスイッチからの信号、バッテリ19のSOC(State of Charge:充電状態)を含むモータ・ジェネレータ2の機能検出信号などが入力される。モータ・ジェネレータ2の機能検出信号には、モータ・ジェネレータ2の温度を検出する温度検出センサの信号などが含まれている。
【0040】
また、総合制御装置104には、ヘッドライトのオン・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速(出力軸回転数)信号、自動変速機(AT)油温、シフトポジションセンサの信号、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフト(スポーツモードスイッチ76およびダウンシフトスイッチ78ならびにアップシフトスイッチ80の操作を示す)信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサからの信号、レゾルバ2Aの信号などが入力される。
【0041】
また、出力信号の例を挙げると、点火信号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータ1Bへの信号、前記モータ・ジェネレータ2,128を制御するコントローラとしての電子制御装置11,131への信号、駆動装置127の減速装置またはクラッチ機構に対する制御信号、ATソレノイドへの信号、ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、入力クラッチコントロールソレノイド126に対する制御信号、電子スロットルバルブ1Aに対する制御信号、スポーツモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックアップコントロールバルブへの信号、電動オイルポンプ110を制御する電子制御装置110Dに対する信号などである。
【0042】
ここで、この発明の構成と実施形態の構成との対応関係を説明する。すなわち、エンジン1がこの発明の第1の動力源に相当し、モータ・ジェネレータ2がこの発明の第2の動力源および電動機に相当し、変速機構5がこの発明の変速機に相当し、トルクコンバータ4がこの発明の流体式動力伝達装置に相当する。
【0043】
つぎに、上記ハード構成を有するハイブリッド車の制御例を図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、各種の電子制御装置8,11,12,13,110Dおよび総合制御装置104により、入力信号の処理がおこなわれる(ステップS1)。そして、車両の状態に基づいて、エンジン1またはモータ・ジェネレータ2のいずれか一方を動力源として走行する制御がおこなわれる。この実施形態においては、シフトレバー127により選択される各シフトポジションに対応して、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止を切り換えるための制御態様、すなわち、駆動力源切り換えマップが予め設定されている。
【0044】
図10〜図13には、各シフトポジションに対応する駆動力源切り換えマップ、の一例と、各シフトポジションで自動変速機3の変速段を制御するための変速マップ(変速線図)の一例とが総括的に示されている。これらの駆動力源切り換えマップにおいては、車両の状態、具体的には車速およびアクセル開度をパラメータとし、かつ、実線で示す状態を境界として、エンジン駆動領域(運転領域)とモータ・ジェネレータ駆動領域とが設定され、車速およびアクセル開度をパラメータとして、破線で示す状態を境界として、自動変速機3の変速点(変速線)が設定されている。
【0045】
まず図10の駆動力源切り換えマップは、Dポジションまたは4ポジションまたは3ポジションに対応している。すなわち、車速V5以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機3が第1速〜第3速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V3の領域では第2速が設定され、車速V3〜車速V5の領域では第3速が設定される。なお、車速V3は車速V1よりも高速であり、車速V5は車速V3よりも高速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機ATが第1速〜第5速のうちのいずれかの変速段に制御される。
【0046】
また、図11の駆動力源切り換えマップは2ポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V4以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域においては、自動変速機3が第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。具体的には車速零〜車速V1の領域では第1速が設定され、車速V1〜車速V4の領域では第2速が設定される。なお、車速V4は前記車速V3よりも高速であり、かつ、前記車速V5よりも低速である。これに対して、エンジン駆動領域においては、自動変速機3が第1速または第2速のいずれかの変速段に制御される。
【0047】
さらに、図12の駆動力源切り換えマップはLポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。このモータ・ジェネレータ駆動領域およびエンジン駆動領域においては、自動変速機3の変速段が第1速に固定される。
【0048】
さらにまた、図13の駆動力源切り換えマップはRポジションに対応するものであり、この駆動力源切り換えマップにおいては、車速V2以下であり、かつ、所定のアクセル開度以下の領域に、モータ・ジェネレータ駆動領域が設定され、モータ・ジェネレータ駆動領域以外の領域に、エンジン駆動領域が設定されている。
【0049】
このように、図10〜図13の変速マップにおいて、所定の変速比、例えば第2速が設定される領域(車速)は、各シフトポジション毎に相違しており、高速側の変速段の設定がなくなると(言い換えれば設定できる最小変速比が大きくなることに比例して)、第2速の設定される領域が広くなっている。具体的には図10の変速マップよりも図11の変速マップの方が、第2速の設定される領域が広くなっている。このように設定することにより、モータ・ジェネレータ駆動領域が可及的に増やされ、騒音および排気ガスを低減することができる。また、電子制御装置12には、ロックアップクラッチ62の状態を制御するロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップは、車速およびアクセル開度をパラメータとしてロックアップクラッチ62の係合・半係合(スリップ)・解放を設定している。
【0050】
このようにして、車速およびアクセル開度に基づいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が制御され、その動力が車輪96Aに伝達されて車両が走行する。また、車両の減速時には、車輪96Aから入力される動力が自動変速機3を経由して動力伝達軸121に伝達されるとともに、この動力によりモータ・ジェネレータ2を発電機として機能させ、発生した電力をバッテリ10に充電することができる。なお、この実施形態においては、停止中のエンジン1をスタータモータ1Bにより始動させる制御と、入力クラッチ122を係合させるとともに、モータ・ジェネレータ2の動力によりエンジン1を始動させることもできる。
【0051】
上記ステップS1についで、等速シフト制御をおこなうべき状態が発生しているか否かが判断される(ステップS2)。ここで、等速シフト制御とは、自動変速機3の変速にともない、エンジン1またはモータ・ジェネレータ2により、自動変速機3の入力回転数を変速後の入力回転数に強制的に同期させる制御である。この等速シフト制御は、自動変速機3の変速時間を短縮することなどを目的としておこなわれる。したがって、例えば、アクセルペダルが閉じられている惰力走行状態、いわゆる、コースト状態において、エンジンブレーキ力を強めるために、ダウンシフトスイッチ78がオンされた場合は、ステップS2で肯定的に判断されてステップS3に進む。なお、ステップS2で否定的に判断された場合はそのままリターンされる。
【0052】
上記ステップS3では、バッテリ10の充電量(SOC)が所定値Lo%以上であるか否かが判断される。すなわち、このステップS3においては、自動変速機3をダウンシフトさせる際に、モータ・ジェネレータ2により自動変速機3の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させるために必要な最低限度の電力が、バッテリ10に残っているか否かを判断しているのである。
【0053】
ステップS3で否定的に判断された場合は、モータ・ジェネレータ2の制御により等速シフト制御をおこなうことが困難であるため、つぎのようにしてエンジン1により等速シフト制御がおこなわれる。まず、ロックアップクラッチ62を半係合状態または解放状態に制御するとともに(ステップS4)、入力クラッチ122を係合状態に制御する(ステップS5)。ついで、エンジン1の電子スロットルバルブ1Aの開度を増加させ、エンジン回転数を自動変速機3のダウンシフト後の同期回転数まで強制的に上昇させる(ステップS6)。
【0054】
そして、自動変速機3のダウンシフトが終了したか否かが判断される(ステップS7)。自動変速機3のダウンシフトが終了したか否かは、タービン回転数がダウンシフト後の同期回転数に到達したか否か、またはダウンシフトが開始されてからの経過時間をタイマーにより計測し、ダウンシフトが終了すると推定される所定時間が経過したか否かにより判断することができる。ステップS7で否定的に判断された場合はステップS6,7が繰り返され、ステップS7で肯定的に判断された場合はロックアップクラッチ62を係合状態に制御し(ステップS8)、リターンされる。なお、ステップS8においては、前述したロックアップクラッチ制御マップによりロックアップクラッチ62を制御する状態に切り換えてもよい。
【0055】
一方、前記ステップS3で肯定的に判断された場合は、モータ・ジェネレータ2による自動変速機3の等速シフト制御が、つぎのようにしておこなわれる。まず、ロックアップクラッチ62を半係合状態または解放状態に制御し(ステップS9)、かつ、入力クラッチ122を半係合状態または解放状態に制御する(ステップS10)。ついで、モータ・ジェネレータ2の回転数を上昇させることにより、自動変速機3の入力回転数を強制的に上昇させ、この入力回転数をダウンシフト後の入力回転数に同期させるように制御する(ステップS11)。
【0056】
そして、自動変速機3のダウンシフトが終了したか否かが判断される(ステップS12)。このステップS12の判断は、ステップS7と同様にしておこなわれる。ステップS12で否定的に判断された場合は、ステップS11,12が繰り返され、ステップS12で肯定的に判断された場合は、入力クラッチ122が係合状態に制御される(ステップS13)。また、このステップS13において、モータ・ジェネレータ128の動力をエンジン1に伝達することにより、エンジン回転数をダウンシフト後の同期回転数まで上昇させて、入力クラッチ122の係合によるショックを抑制することもできる。ついで、ロックアップクラッチ62を係合状態に制御し(ステップS14)、リターンされる。
【0057】
図14には、上記等速シフト制御に対応するタイムチャートの一例が示されている。このタイムチャートでは、等速シフト判断が成立する以前には、ロックアップクラッチ62の油圧が高圧P2に制御されてロックアップクラッチ62が係合状態に制御され、入力クラッチ122が解放されている。また、自動変速機3の入力回転数は一定の低回転数に制御されている。そして、時刻t1に等速シフト(ダウンシフト)判断が成立すると、ロックアップクラッチ62を半係合状態または解放状態に制御するために、ロックアップクラッチ62の油圧を徐々に低下する制御がおこなわれる。
【0058】
ついで、時刻t2において変速制御信号が出力され、時刻t3においてモータ・ジェネレータ2の回転数を上昇させる指令が出力され、自動変速機3の入力回転数Niが上昇を開始する。ここで、ロックアップクラッチ62を解放状態に制御する場合は、時刻t3以降にロックアップクラッチ62の油圧が一定の低圧P0に制御されている。また、ロックアップクラッチ62を半係合状態に制御する場合は、時刻t2以降にロックアップクラッチ62の油圧が、油圧P0よりも高圧の油圧P1に制御されている。
【0059】
そして、時刻t4で自動変速機3の変速が終了したか否かの判定がおこなわれ、かつ、入力クラッチ122の油圧が上昇が開始されている。ついで、時刻t5において、自動変速機3の入力回転数がダウンシフト後の同期回転数に到達することによりダウンシフト終了判断が成立し、その後、入力クラッチ122の油圧が所定の高圧に制御されて入力クラッチ122が係合される。一方、ロックアップクラッチ62が解放されていた場合は、時刻t6からロックアップクラッチ62の油圧を上昇させる制御がおこなわれる。また、ロックアップクラッチ62が半係合されていた場合は、時刻t6よりも遅れた時点でロックアップクラッチ62の制御油圧の上昇が開始される。そして時刻t7以降はロックアップクラッチ62の制御油圧がP2に制御されてロックアップクラッチ62が係合状態に制御される。
【0060】
ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。ステップS1ないしステップS14がこの発明の変速制御手段に相当する。上記のように、この実施形態によれば、ダウンシフトスイッチ78の操作に基づいて自動変速機3をダウンシフトするにあたり、モータ・ジェネレータ2により自動変速機3の入力回転数をダウンシフト後の入力回転数に強制的に同期させる前に、入力クラッチ122が半係合状態または解放状態に制御される。このため、自動変速機3の入力回転数を上昇させる場合に、エンジン1が回転慣性質量体として作用しにくくなるため、自動変速機3の入力系統(動力伝達軸121およびトルクコンバータ4ならびに入力軸57)のイナーシャが可及的に小さくなる。したがって、等速シフト制御の応答性が向上し、ダウンシフトに要する時間を短縮することができる。また、モータ・ジェネレータ2は電流値によりその回転数が制御されるものであるため、その特性により回転数の制御が比較的容易である。したがって、エンジン1により入力回転数を制御する場合に比べて、モータ・ジェネレータ2により入力回転数を制御する方が、応答性に優れている。
【0061】
また、バッテリ10の充電量が所定値Lo%以下である場合は、エンジン1により等速シフト制御がおこなわれる。したがって、モータ・ジェネレータ2により自動変速機3の入力回転数を上昇させることができない状況であっても、自動変速機3の等速シフト制御をおこなうことができる。さらに、自動変速機3の入力回転数を上昇させる前に、ロックアップクラッチ62を半係合または解放させて、トルクコンバータ4を流体による動力伝達状態に切り換えている。したがって、変速途中のトルク変動、特に、エンジン1の電子スロットルバルブ1Aを開いた場合のトルク変動が、自動変速機3に伝達されにくく、変速ショックを抑制することができる。なお、車両がコースト状態にある際に、上記のように等速シフト制御をおこなった場合は、変速の終了後にロックアップクラッチ62が係合されて機械的な動力伝達状態に切り換わることにより、エンジンブレーキ力が強められる。
【0062】
なお、図1のフローチャートのステップS3において、モータ・ジェネレータ3の温度を温度検出センサなどにより判断し、その温度が所定値以下である場合はステップS9に進み、その温度が所定値を越えている場合はステップS4に進むような制御を採用することもできる。すなわち、モータ・ジェネレータ2の設定回転数は、その温度により制約される場合もある。そこで、この制御を採用することにより、モータ・ジェネレータ2の温度に基づく異常や故障により、モータ・ジェネレータ2の回転数を所定値以上に上昇させることができない場合でも、エンジン1により等速シフト制御をおこなうことができる。
【0063】
さらに、入力クラッチ122に用いられる摩擦式クラッチには、乾式クラッチおよび湿式クラッチが含まれる。この乾式クラッチおよび湿式クラッチには、単板クラッチおよび多板クラッチが含まれる。さらにまた、入力クラッチ122は、摩擦式クラッチ代えて電磁式クラッチを用いることもできる。さらに、この発明においては、流体式動力伝達装置として、トルクを増幅する機能のないフルードカップリングを用いることもできる。
【0064】
なお、上記実施形態においては、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2を共に、車両の駆動力源として機能させることのできるハイブリッド車について説明しているが、エンジンを車両の駆動力源として機能させる一方、モータ・ジェネレータを車両の駆動力源として用いない構成の車両に対して、この発明を適用することができる。例えば、この発明は、モータ・ジェネレータを、エンジンを始動させる場合の動力源(始動装置)として用いる車両に対しても適用することができる。このような車両の具体例としては、所定のエンジン停止条件に基づいてエンジンを自動的に停止させるとともに、所定のエンジン始動条件に基づいてモータ・ジェネレータによりエンジンを始動させる制御をおこなうことのできる、いわゆるエコラン車を挙げることができる。また、この発明を、エンジンを駆動力源として用い、モータ・ジェネレータをエアコン用のコンプレッサなどの補機装置の動力源として用いている車両に対して適用することもできる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、変速機の変速時に、第2の動力源により、変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に強制的に同期させる制御をおこなう前に、ロックアップクラッチを半係合状態または解放状態に制御し、かつ、入力クラッチを半係合状態または解放状態に制御することができる。このため、変速機の入力回転数を制御することに関与していない第1の動力源が、変速機の入力系統に対して回転慣性質量体として作用しにくくなる。したがって、変速機の入力系統のイナーシャが可及的に小さくなり、変速機の変速応答性が向上する。
【0066】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるほか、変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる制御が終了した後、入力クラッチおよびロックアップクラッチを係合状態に制御できる。
【0067】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られるほか、バッテリの電力不足により電動機の回転数を制御できない状況であっても、第1の動力源により変速機の入力回転数を強制的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置で実行される制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 この発明で対象とするパワートレーンおよび制御系統の一例を模式的に示すブロック図である。
【図3】 図2に示すパワープラントを具体化したスケルトン図である。
【図4】 図3の自動変速機の各変速段を設定するためのクラッチおよびブレーキの係合・解放を示す図表である。
【図5】 図2に示す自動変速機を制御するシフトレバーの操作により選択されるシフトポジションを示す概念図である。
【図6】 図2に示す自動変速機の変速段を手動操作により変更できる状態を設定・解除するためのスポーツモードスイッチを示す概念図である。
【図7】 図6に示されたスポーツモードスイッチのオン状態において、自動変速機をダウンシフトまたはアップシフトするために、ステアリングホイールに設けられているスイッチの一例を示す図である。
【図8】 自動変速機の油圧回路の要部を示す図である。
【図9】 この発明の一例における総合制御装置における入出力信号を示す図である。
【図10】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図11】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図12】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図13】 図2に示されたハイブリッド車のエンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動・停止を制御する制御態様と、自動変速機の変速段を制御する変速線図と総括的に示すマップである。
【図14】 図1に示す制御に対応するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…モータ・ジェネレータ、 3…自動変速機、 4…流体式動力伝達装置、 10…バッテリ、 62…ロックアップクラッチ、 122…入力クラッチ。
Claims (3)
- 第1の動力源および第2の動力源と、この第1の動力源および第2の動力源の動力が入力される変速機と、前記第1の動力源と前記変速機との間の動力伝達状態を制御する入力クラッチとを有する駆動制御装置において、
前記第2の動力源が連結された動力伝達軸が設けられており、この動力伝達軸と前記第1の動力源との間に前記入力クラッチが設けられており、前記動力伝達軸と前記変速機との間に、ロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置が設けられており、
前記変速機の変速に際して、前記ロックアップクラッチを解放状態または半係合状態に制御し、かつ、前記入力クラッチを解放状態または半係合状態に制御するとともに、前記第2の動力源の回転数を制御することにより、前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる変速制御手段を備えていることを特徴とする駆動制御装置。 - 前記変速制御手段は、前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる制御が終了した後、前記入力クラッチおよび前記ロックアップクラッチを係合状態に制御する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
- 前記第2の動力源が、バッテリの電力により駆動される電動機を有するとともに、
前記変速制御手段は、
前記バッテリの充電量が所定値以上であるか否かの判断で肯定的に判断された場合は、前記電動機の回転数を制御することにより前記変速機の入力回転数を制御する手段と、
前記バッテリの充電量が前記所定値以上であるか否かの判断で否定的に判断されて、前記電動機により前記変速機の入力回転数を制御することができない場合は、前記入力クラッチを係合状態に制御し、かつ、前記第1の動力源により前記変速機の入力回転数を変速後の入力回転数に同期させる手段と
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
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