JP3846131B2 - 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 - Google Patents
澱粉製造排水の嫌気性処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3846131B2 JP3846131B2 JP31010099A JP31010099A JP3846131B2 JP 3846131 B2 JP3846131 B2 JP 3846131B2 JP 31010099 A JP31010099 A JP 31010099A JP 31010099 A JP31010099 A JP 31010099A JP 3846131 B2 JP3846131 B2 JP 3846131B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- anaerobic treatment
- treatment
- wastewater
- protein
- anaerobic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y02W10/12—
Landscapes
- Heat Treatment Of Water, Waste Water Or Sewage (AREA)
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は澱粉製造排水を嫌気性処理する方法に関し、特に馬鈴薯から澱粉を製造する工程から排出される高濃度排水(デカンター排水)の処理に適した澱粉製造排水の嫌気性処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
馬鈴薯から澱粉を製造する際に排出される排水は、未回収の微細澱粉粒子や破砕した薯滓、析出した蛋白質を主成分とするSSが500〜5000mg/l含まれ、BODは2000〜30000mg/lの高濃度排水であり、BOD負荷量は1日当たり数千kg以上に達し、非常に汚濁負荷量の多い排水である。また、澱粉製造期間は年間数ケ月間と短期間に集中している。
【0003】
従来の澱粉製造排水の処理方法は、活性汚泥処理に代表される好気性処理が主流であるが、非常に負荷量が多いことから大容量の曝気槽、好気性ラグーンを必要とし、多大な建設費、維持管理費となっている。さらに、発生する余剰汚泥処理や、排水貯槽、曝気槽等から発生する臭気対策が大きな課題となっている。
好気性処理に代る方法としては嫌気性処理がある。この嫌気性処理法の中には、排水の全体を消化槽に滞留させて嫌気性消化(メタン発酵)を行う嫌気性消化法があるが、長い滞留時間を必要とするため大容量の消化槽を必要とするという問題点がある。
【0004】
最近、これらの処理法の問題点を解決するため、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket・・・・上向流式嫌気性スラッジブランケット)方式、流動床方式、固定床方式などに代表される高負荷型嫌気性処理の適用が検討されている。この方法は嫌気性微生物をスラッジブランケット、固定床等に高密度で集積した汚泥に、主として溶解性BODを含む被処理液を高負荷かつ高流速で接触させることにより効率よく有機物を分解する方法である。ところが、この方法で澱粉製造排水を処理する場合、高濃度排水を無希釈または低希釈倍率で処理すると、除去性能が低下するため、高濃度排水の嫌気性処理は困難である。
【0005】
その原因を調べたところ、高濃度排水中に含まれる蛋白質から嫌気性処理の過程で発生するアンモニア性窒素によるメタン生成菌の阻害により、メタン生成菌の活性が低下することが原因であることがわかった。アンモニア性窒素がメタン生成菌に与える影響は、ガス状のアンモニア性窒素濃度が10mg/l付近の低濃度にても発生する。そこで、窒素濃度の高い排水を嫌気性処理する際、嫌気性処理槽内に槽内液中のアンモニア性窒素が解離し、ガス状の窒素とならないように槽内液のpHを中性付近、好ましくは中性以下に調整するとともに、排水を希釈し窒素濃度を低減する方法が行われる。
【0006】
デカンター排水の場合、排水中の窒素の大部分は、馬鈴薯に含まれている蛋白質に起因し、含有窒素濃度はCODCr濃度の約10%に達し、澱粉製造工程の差にもよるが、全窒素として3000〜5000mg/lである。この蛋白質態窒素(有機態窒素)の大部分は嫌気性処理反応時に分解されてアンモニア性窒素に転換するため、嫌気性処理槽内のpHが7.5以上である場合、アンモニア性窒素が解離してガス状のアンモニアが発生する。そこで反応槽内のpHをアンモニアの解離が少ない7.5以下(好ましくは解離が生じない7以下)に設定する必要がある。しかし、反応槽内のpHを7以下に調整するには多量の塩酸を必要とし、pHを低下させた場合、低pHにより解離した有機酸や硫化水素の影響が生じる可能性もある。従ってデカンター排水処理の場合、嫌気性処理槽内に流入する排水の全窒素濃度を約500mg/l以下になるように、他の窒素濃度の低い排水や工水、井水等で希釈し、メタン反応槽内のpHが高まっても、発生するガス状のアンモニア性窒素濃度を低下させている。
【0007】
しかしこのように低濃度に希釈する方法では装置が大型化かつ複雑化し、嫌気性処理のメリットが活かせない。
澱粉製造排水処理は余剰汚泥処理や臭気対策から、好気性処理よりも嫌気性処理の方が有利であることは明らかではあるが、蛋白質の多い高濃度排水(デカンター排水)を適切に処理する方策の確立が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、嫌気性処理に必要な熱量および薬剤を有効に利用して、メタン生成菌の活性を低下させることなく、澱粉製造排水を高濃度の状態で高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理することができる澱粉製造排水の処理方法を提案することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の澱粉製造排水の嫌気性処理方法である。
(1) 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法において、
被処理水を加熱変性および等電点処理して溶解性の蛋白質を変性して析出させ、
固液分離により固形分を分離し、
分離液を高負荷型嫌気性処理する
ことを特徴とする澱粉製造排水の嫌気性処理方法。
(2) 固液分離に先立って、酸性領域で凝集性を有する凝集剤を添加して凝集処理により析出した蛋白質その他の固形分を凝集させる
ことを特徴とする上記(1)記載の澱粉製造排水の嫌気性処理方法。
(3) 加熱処理の温度が60〜90℃であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の澱粉製造排水の嫌気性処理方法。
【0010】
本発明で処理対象となる澱粉製造排水は、澱粉を含む植物から澱粉を分離して製造する工程から排出される排水である。このような澱粉製造排水としては、馬鈴薯澱粉製造工程から排出される排水が典型的であるが、くず、その他の植物からの澱粉製造排水であってもよい。馬鈴薯澱粉製造工程から排出される排水としては、BOD30000mg/l付近、有機態窒素4000mg/l付近の高濃度のデカンター排水と、BOD2000mg/l付近、有機態窒素150mg/l付近のハイドロサイクロン排水に大別される。有機態窒素はほとんどが蛋白質であり、デカンター排水に多く含まれている。
【0011】
本発明ではこのうち高濃度のデカンター排水のみを処理してもよく、また両者を混合して処理してもよいが、デカンター排水から蛋白質を析出させて分離し、分離水をハイドロサイクロン排水で低希釈して嫌気性処理するのが好ましい。
【0012】
本発明では上記の澱粉製造排水、特に高濃度の蛋白質を含むデカンター排水を、加熱変性および等電点処理することにより蛋白質を析出させる。加熱変性は60〜90℃に加熱することにより蛋白質を変性させ、不溶性の蛋白質として析出させることができる。等電点処理は被処理水に含まれる蛋白質の等電点(pH3.5〜5)となるように酸を加えてpH調整し、蛋白質を析出させる。加熱変性では70℃で50%、80℃で60%、90℃で65%の蛋白質が析出して除去される。また等電点処理により蛋白質を析出させる場合、pH5で30%、pH4で45%、pH3.5で50%の蛋白質が析出して除去される。低pHにするには多量の酸を必要とし、高温にするには多量の熱量を必要とするが、両者を併用することにより、使用薬剤量および熱量を少なくして効率よく析出を行うことができる。例えばpH5、70℃で75〜80%の蛋白質を析出させて除去することができる。
【0013】
加熱には後の嫌気性処理で発生するメタンガスを使用することができ、例えばガスを燃焼させて蒸気を発生させ、これを被処理液に吹込んで加熱することができる。嫌気性処理ではメタン生成菌の活性を高めるために嫌気性処理槽を加熱しているが、本発明ではこの加熱をその前の工程で行うことにより、蛋白質の変性を行って析出させ、これを分離することができる。同様に澱粉製造排水の処理では、アンモニア性窒素によるメタン生成菌の阻害を防止するために酸注入によるpH調整が必要であるが、本発明ではこれも嫌気性処理工程の前の段階で行って蛋白質を析出させることができる。
【0014】
加熱して蛋白質を析出させた反応液は被処理水または蒸気発生用給水と熱交換して熱を回収し、析出工程の加熱を効率よく行うことができる。このほか後工程の嫌気性処理では高温で行うことが好ましいので残留する熱はそのまま嫌気性処理で利用することができる。この場合嫌気性処理の適温よりも高い温度に加熱したときは、ハイドロサイクロン排水のような他の低濃度排水と混合して希釈し、降温するとともに、残留する蛋白質濃度を低く調整することができる。このような希釈は次の固液分離後に行うのが好ましい。蛋白質の析出に酸を添加する等電点処理を行った後、そのまま中和することなく嫌気性処理を行うと、アンモニア性窒素が残留する場合でも、効率よく嫌気性処理を行うことができる。
【0015】
蛋白質を析出した反応液は固液分離により蛋白質の分離を行うが、固液分離に先立って凝集処理により析出した蛋白質その他の固形分を凝集させてフロック化するのが好ましい。凝集処理に際しては凝集剤を添加して攪拌し、微細に分散した固形分を凝集させることができる。凝集剤としてはアニオン性凝集剤とカチオン性凝集剤の併用が好ましく、特にトリポリリン酸およびキトサンを主体とする凝集剤が好ましい。また等電点処理を行った後のpH領域で凝集性をもつ凝集剤を用いるのが好ましい。
【0016】
固液分離は被処理液から蛋白質を含む固形分を分離するもので、デカンター型遠心分離機が適しているが、他の分離板型遠心分離機、加圧浮上分離、沈降分離、ろ布等を用いたろ過分離装置などが使用可能である。高負荷型嫌気性処理では溶解性BODが処理の対象となり、固形物は除去されなければならないが、蛋白質の分離の際他の固形物も除去される。分離した蛋白質は栄養価が高いため、必要により乾燥を行い、家畜/家禽等の飼料に有効利用でき、また肥料としての活用もできる。
【0017】
分離液はアンモニア性窒素の阻害が生じない濃度に蛋白質が除去されている場合はそのまま嫌気性処理を行うことができるが、残留蛋白質濃度が高い場合は他の低濃度排水、工水、井水等で希釈し、嫌気性処理装置へ通水し嫌気性処理を行う。嫌気性処理としては、UASB、流動床、固定床等を利用した高負荷型嫌気性処理を行う。高負荷型嫌気性処理はメタン生成菌を高濃縮した状態で嫌気性処理槽に保持し、被処理液と高負荷かつ高速で接触させて短時間で嫌気性処理を行う方式の処理方法である。
【0018】
UASB式はメタン生成菌を含む汚泥を高濃縮して形成したグラニュール汚泥からなるスラッジブランケットに被処理液を上向流で高速に通液して接触させ処理する方式のものである。流動床式は砂等の担体に汚泥を担持させて流動床を形成し、被処理液と接触させる方式のものである。固定床式は担体に汚泥を形成した固定床に被処理液を通液して接触させる方式のものである。いずれも汚泥を高濃度の状態で保持することにより、高負荷かつ高速での処理を可能とする。
【0019】
嫌気性処理は酸生成菌により有機物を有機酸に分解する酸生成工程と、メタン生成菌により有機酸をメタンに分解するメタン生成工程とからなるが、本発明ではこれらを同時に行う一相式でもよく、また別々に行う二相式でもよい。いずれの場合もメタン生成菌を利用する嫌気性処理は30〜38℃、好ましくは35〜36℃で嫌気状態に保つことにより、メタン生成菌の活性を高くして効率よく処理を行うことができる。
【0020】
嫌気性処理工程における負荷は5〜30kg−CODCr/m3・day、好ましくは10〜15kg−CODCr/m3・dayとすることができる。被処理液のアンモニア性窒素は500mg−N/l以下、好ましくは400mg−N/l以下とするのが好ましく、これより高い場合は前述のように他の低濃度排水、あるいは工業用水その他の希釈水により希釈するのが好ましい。これができない場合、あるいは希釈後も上記濃度を超える場合には嫌気性処理工程におけるpHを6.6〜7.5、好ましくは6.8〜7.0に維持することによりメタン生成菌の活性を高く維持することができる。蛋白質析出工程における酸注入で不足する場合にはさらに酸を注入することができる。
【0021】
嫌気性処理により澱粉その他の溶解性有機物が分解され、メタンおよび炭酸ガスが発生する。ここで発生するガスは回収して加熱のための燃料として利用することができる。処理液はそのまま、または必要により中和して下水道等に放流する場合があるが、一般的には他の低濃度排水とともに好気性処理することにより、残留する有機物を分解する。
【0022】
本発明では嫌気処理工程で行う加熱をその前の工程で行って被処理水を加熱することにより蛋白質を析出させて分離することができ、これにより嫌気性処理におけるアンモニア性窒素濃度を低くしてメタン生成菌の活性を高く、維持し効率よく嫌気性処理を行うことができる。
【0023】
また本発明ではアンモニア性窒素による阻害を防止するために嫌気性処理工程で添加すべき酸を前工程に添加することにより、蛋白質を析出させて除去することができ、これによりアンモニア性窒素の生成量を少なくして嫌気性処理の効率を高くすることができる。そして固液分離のための凝集剤として酸性領域で凝集性を有する凝集剤を用いることにより、酸を中和することなく嫌気性工程に移ることができ、アンモニア性窒素の残留量が多い場合でもメタン生成菌の活性を高く維持して嫌気性処理を行うことができる。
【0024】
上記の加熱による蛋白質の変性と酸添加による等電点処理を併用することにより、熱量および薬剤の使用量を少なくして、蛋白質の除去率を高くすることができ、さらに効率よく嫌気性処理を行うことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の通り本発明によれば、加熱変性および等電点処理により蛋白質を除去して嫌気性処理を行うようにしたので、嫌気性処理に必要な熱量および薬剤を有効に利用してメタン生成菌の活性を低下させることなく、澱粉製造排水を高濃度の状態で高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は実施形態の澱粉製造排水処理方法を示すフロー図である。
【0027】
図1において、1は蛋白質析出槽、2は熱交換器、3は凝集槽、4は固液分離機、5は嫌気性処理槽、6は好気性処理槽、7は脱水機、8はガス貯槽、9はボイラである。被処理水は馬鈴薯澱粉製造排水であり、デカンター排水のような高濃度排水11、およびハイドロサイクロン排水のような低濃度排水12の処理を組合せて行うようにされている。
【0028】
処理方法は高濃度排水11を蛋白質析出槽1に導入し、蒸気13を吹込んで加熱して蛋白質を変性させるとともに、酸14を注入して等電点処理を行い蛋白質を析出させる。加熱と酸の注入はどちらか一方でもよいが、両方を行うことにより、少ない熱量および少ない薬剤量で効率よく蛋白質を析出させることができる。蛋白質が析出した反応液15は熱交換器2を通って給水16と熱交換して冷却され凝集槽3に導入される。給水16はボイラ9に送られ、ガス貯槽8からの燃料ガス17の燃焼により加熱されて蒸気13を発生し、濃縮水18は排出される。
【0029】
凝集槽3では凝集剤19を添加し、攪拌機21で攪拌して凝集を行い、フロックを生成させる。ここではpH調整剤を注入してもよいが、できるだけ等電点処理のpHで凝集する凝集剤を用いるのが好ましい。凝集を行った反応液22は固液分離機4で固液分離し、分離液23は嫌気性処理槽5に導入して嫌気性処理を行う。分離固形分24は脱水機7において脱水し、回収蛋白質25を得る。固液分離機としてはデカンター型の固液分離機が用いられるが、他の固液分離機でもよい。
【0030】
嫌気性処理槽5へ反応液23を導入する際、低濃度排水12の一部を混合して、所定の蛋白質濃度、温度、pHとなるように希釈する。嫌気性処理槽5はUASB式のものでスラッジブランケット5aが形成されているが、流動床式、固定床式等の他の高負荷型嫌気性処理槽でもよい。嫌気性処理槽5で高流速で嫌気性処理を行うことにより、被処理水に含まれていた澱粉その他の有機物は酸生成菌により有機酸に分解され、さらにメタン生成菌によりメタンに分解される。蛋白質はすでに大部分が除去されているので、生成するアンモニア性窒素の量は少なく、メタン生成菌の活性は高く維持される。
【0031】
嫌気性処理槽5で発生するメタンガスを含む生成ガス26はガス貯槽8に貯留され、蒸気発生用の燃料ガス17として利用される。嫌気性処理槽5の嫌気性処理水27は、低濃度排水12の一部とともに好気性処理槽6に送られ、ここで導入される空気28により好気性処理されて処理水29として排出される。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0033】
実施例1
馬鈴薯澱粉製造工程からの排水を用いて嫌気性処理を行った。澱粉製造排水は高濃度排水としてBOD25,000〜30,000mg/l、有機態窒素3,700〜4,500mg/lのデカンター排水と、低濃度排水としてBOD1,000〜2,000mg/l、有機態窒素100〜200mg/lのハイドロサイクロン排水に大別され、蛋白質(有機態窒素)の多くはデカンター排水に含まれていた。
【0034】
有効容量50 literの蛋白質析出槽にデカンター排水を600 liter/日(滞留時間2時間)の液量で通液し、塩酸を添加して反応槽内pHを5に調整し、また蒸気を吹き込んで槽内液温を70℃に調整し、デカンター排水中の蛋白質を等電点処理と熱変性処理により析出させた。反応液を凝集槽に導入し、トリポリリン酸主体の高分子凝集剤と、キトサン主体の高分子凝集剤を注入して析出した蛋白質を凝集させ、デカンター型遠心分離機を用いて固液分離を行った。遠心分離機の分離液は、SS400〜600mg/l、BOD18000〜20000mg/l、有機態窒素900〜1000mg/lであり、有機態窒素は75〜78%除去できた。
【0035】
分離液をハイドロサイクロン排水で2倍に希釈し、BOD約10000mg/l、有機態窒素約550mg/lの混合液を作成し、BOD負荷量10kg/m3/d(滞留時間24時間)でUASB方式の嫌気性処理槽に導入し、嫌気性処理を行った。嫌気性処理槽は水温35℃に調整したが、槽内液のpH調整は行わなかった。その結果、pH6.9〜7.2であった。嫌気性処理水のBODは400〜700mg/l(除去率93〜96%)であり、処理水の全窒素は500〜550mg/lであり、窒素の全てがアンモニア態であった。
【0036】
参考例1
実施例1において蛋白質析出槽における酸注入を行わず、加熱変性処理のみにより蛋白質の析出を行ったところ、加熱温度と有機態窒素除去率は表1のようになった。
【0037】
【表1】
【0038】
参考例2
実施例1において蛋白質析出槽における熱変性を行わず、酸注入による等電点処理のみにより蛋白質の析出を行ったところ、pHと有機態窒素除去率(%)は表2のようになった。
【0039】
【表2】
【0040】
比較例1
デカンター排水中の蛋白質除去を行わず、デカンター排水をハイドロサイクロン排水、または工水や井水を用いて希釈した後、アンモニア性窒素の阻害を生じない範囲で嫌気性処理を行うには、8倍程度には希釈する必要があった。希釈により嫌気性処理反応槽へ流入する原水BOD濃度は1200〜3000mg/l(ハイドロサイクロン排水で希釈した場合、BOD3000mg/l)となった。従って、実施例と同等なBOD負荷量10kg/m3/dで嫌気性処理を行った場合、嫌気性処理設備の通水量当たり(排水+希釈水量の全量)のメタンガス量は、約1/4となった。そのため、メタンガスのみを熱源として嫌気性処理反応内を加温したとき、排水や希釈水の水温によっては嫌気性処理に適した液温まで加温することができなくなり、補助熱源として灯油を用いたり、嫌気性処理水と排水、希釈水を熱交換する必要があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の澱粉製造排水の処理方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 蛋白質析出槽
2 熱交換器
3 凝集槽
4 固液分離機
5 嫌気性処理槽
6 好気性処理槽
7 脱水機
8 ガス貯槽
9 ボイラ
Claims (3)
- 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法において、
被処理水を加熱変性および等電点処理して溶解性の蛋白質を変性して析出させ、
固液分離により固形分を分離し、
分離液を高負荷型嫌気性処理する
ことを特徴とする澱粉製造排水の嫌気性処理方法。 - 固液分離に先立って、酸性領域で凝集性を有する凝集剤を添加して凝集処理により析出した蛋白質その他の固形分を凝集させる
ことを特徴とする請求項1記載の澱粉製造排水の嫌気性処理方法。 - 加熱処理の温度が60〜90℃であることを特徴とする請求項1または2記載の澱粉製造排水の嫌気性処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31010099A JP3846131B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31010099A JP3846131B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001129590A JP2001129590A (ja) | 2001-05-15 |
JP3846131B2 true JP3846131B2 (ja) | 2006-11-15 |
Family
ID=18001193
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31010099A Expired - Fee Related JP3846131B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3846131B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010247049A (ja) * | 2009-04-14 | 2010-11-04 | Ihi Corp | 嫌気性処理設備及び方法並びに澱粉製造排水の処理設備及び方法 |
CN102452740A (zh) * | 2010-10-18 | 2012-05-16 | 中粮集团有限公司 | 一种麸质水的处理方法 |
CN104326621A (zh) * | 2014-10-17 | 2015-02-04 | 润禾粉业南通有限公司 | 利用淀粉废水生产沼气的方法 |
CN104609662A (zh) * | 2015-01-16 | 2015-05-13 | 润禾粉业南通有限公司 | 淀粉废水处理方法 |
CN104609661A (zh) * | 2015-01-16 | 2015-05-13 | 润禾粉业南通有限公司 | 淀粉废水处理方法 |
CN109626636A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-04-16 | 东莞市健源泉水处理科技有限公司 | 一种淀粉废水提取蛋白及净化工艺 |
Families Citing this family (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4593229B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2010-12-08 | 住友重機械エンバイロメント株式会社 | 嫌気性処理方法 |
JP5028746B2 (ja) * | 2005-03-15 | 2012-09-19 | 栗田工業株式会社 | 澱粉製造排水から液肥を製造する方法および装置。 |
KR100764858B1 (ko) * | 2005-11-04 | 2007-10-09 | 명지대학교 산학협력단 | 슬러지 파쇄 및 단백질 제거에 의한 잉여 슬러지의혐기소화효율 및 메탄생성을 증대시키는 방법 |
JP2008188533A (ja) * | 2007-02-05 | 2008-08-21 | Toshiba Corp | 水処理装置 |
JP4807646B2 (ja) * | 2007-03-19 | 2011-11-02 | 小清水町農業協同組合 | ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法 |
JP5158623B2 (ja) * | 2007-03-19 | 2013-03-06 | 小清水町農業協同組合 | ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法 |
US7927491B2 (en) * | 2007-12-21 | 2011-04-19 | Highmark Renewables Research Limited Partnership | Integrated bio-digestion facility |
JP4893647B2 (ja) * | 2008-02-08 | 2012-03-07 | 栗田工業株式会社 | 有機物含有水の処理方法および処理装置 |
JP5151643B2 (ja) * | 2008-04-16 | 2013-02-27 | 株式会社Ihi | 澱粉製造排水の処理設備及び方法 |
CN102690006A (zh) * | 2011-03-23 | 2012-09-26 | 中粮集团有限公司 | 一种麸质水的处理方法 |
CN102689998A (zh) * | 2011-03-23 | 2012-09-26 | 中粮集团有限公司 | 一种麸质水的处理方法 |
WO2015022913A1 (ja) | 2013-08-13 | 2015-02-19 | マルハニチロ株式会社 | 魚肉加工品製造工程で排出される廃水からタンパク質を回収する方法 |
JPWO2017073209A1 (ja) * | 2015-10-28 | 2017-10-26 | 三菱ケミカル株式会社 | 有機性廃水の処理方法、及び、有機性廃水処理用組成物 |
WO2018199330A1 (ja) | 2017-04-28 | 2018-11-01 | 三菱ケミカル株式会社 | 有機性廃水の処理方法及びその利用 |
CN110218239A (zh) * | 2019-06-18 | 2019-09-10 | 安徽省环境科学研究院 | 一种回收红薯淀粉废水蛋白的方法及应用 |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP31010099A patent/JP3846131B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010247049A (ja) * | 2009-04-14 | 2010-11-04 | Ihi Corp | 嫌気性処理設備及び方法並びに澱粉製造排水の処理設備及び方法 |
CN102452740A (zh) * | 2010-10-18 | 2012-05-16 | 中粮集团有限公司 | 一种麸质水的处理方法 |
CN104326621A (zh) * | 2014-10-17 | 2015-02-04 | 润禾粉业南通有限公司 | 利用淀粉废水生产沼气的方法 |
CN104609662A (zh) * | 2015-01-16 | 2015-05-13 | 润禾粉业南通有限公司 | 淀粉废水处理方法 |
CN104609661A (zh) * | 2015-01-16 | 2015-05-13 | 润禾粉业南通有限公司 | 淀粉废水处理方法 |
CN109626636A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-04-16 | 东莞市健源泉水处理科技有限公司 | 一种淀粉废水提取蛋白及净化工艺 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001129590A (ja) | 2001-05-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3846131B2 (ja) | 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 | |
US4765900A (en) | Process for the treatment of waste | |
JP4516025B2 (ja) | リン酸マグネシウムアンモニウムの生成・回収方法及び装置 | |
EP1157972A1 (en) | A method of processing oil-plant wastes | |
JP5211769B2 (ja) | 有機性廃液の生物処理方法及び処理装置 | |
JP5726576B2 (ja) | 有機性廃棄物の処理方法および処理装置 | |
JP3570888B2 (ja) | 廃棄物処理方法 | |
JP3554689B2 (ja) | 廃棄物処理方法 | |
WO2006035594A1 (ja) | 油脂含有排水の生物処理方法及び処理装置 | |
JP3846138B2 (ja) | 澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および装置 | |
JP3844347B2 (ja) | 有機性汚水からのリン除去・回収方法及び装置 | |
JPH11300311A (ja) | 有機性廃棄物の処理方法 | |
KR100750502B1 (ko) | 혐기성 소화를 통한 고농도 유기성 가축분뇨의 처리 장치 및 상기 처리 장치를 통한 고농도 유기성 가축분뇨의 처리방법. | |
JP3970163B2 (ja) | 有機性廃棄物の処理方法及び装置 | |
JPH0698360B2 (ja) | し尿系汚水の処理方法および装置 | |
JP2005185967A (ja) | 有機性廃水の処理方法及び処理装置 | |
JP4004766B2 (ja) | 水熱反応を利用する余剰汚泥生物処理方法 | |
JP2003300095A (ja) | 下水処理方法及び装置 | |
JP5028746B2 (ja) | 澱粉製造排水から液肥を製造する方法および装置。 | |
JP3693320B2 (ja) | 有機性廃棄物のメタン発酵処理方法と装置 | |
JPS6325839B2 (ja) | ||
JP2002224686A (ja) | 澱粉粒子含有液の嫌気性処理方法および装置 | |
JP2002316191A (ja) | 有機性汚水の処理方法及び装置 | |
JP3672175B2 (ja) | 有機性廃水の処理方法及び処理装置 | |
JP4010733B2 (ja) | 有機性排水の処理方法及びその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050316 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060419 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060425 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060623 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060801 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060814 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090901 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100901 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110901 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120901 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130901 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140901 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |