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JP2001129590A - 澱粉製造排水の嫌気性処理方法 - Google Patents

澱粉製造排水の嫌気性処理方法

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JP2001129590A
JP2001129590A JP31010099A JP31010099A JP2001129590A JP 2001129590 A JP2001129590 A JP 2001129590A JP 31010099 A JP31010099 A JP 31010099A JP 31010099 A JP31010099 A JP 31010099A JP 2001129590 A JP2001129590 A JP 2001129590A
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wastewater
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protein
tank
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Mikio Kitagawa
幹夫 北川
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洋二 福山
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 嫌気性処理に必要な熱量および薬剤を有効に
利用してメタン生成菌の活性を低下させることなく、澱
粉製造排水を高濃度の状態で高負荷かつ高速で効率よく
嫌気性処理することができる。 【解決手段】 澱粉製造排水の高濃度排水を蛋白質析出
槽1に導入し、蒸気13および/または酸を添加して蛋
白質を熱変性および/または等電点処理により析出さ
せ、反応液を凝集槽3に導入して凝集し固液分離機4で
固液分離し、分離液を嫌気性処理槽5に導入して嫌気性
処理を行い、嫌気性処理液を低濃度排水とともに好気性
処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は澱粉製造排水を嫌気
性処理する方法に関し、特に馬鈴薯から澱粉を製造する
工程から排出される高濃度排水(デカンター排水)の処
理に適した澱粉製造排水の嫌気性処理方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】馬鈴薯から澱粉を製造する際に排出され
る排水は、未回収の微細澱粉粒子や破砕した薯滓、析出
した蛋白質を主成分とするSSが500〜5000mg
/l含まれ、BODは2000〜30000mg/lの
高濃度排水であり、BOD負荷量は1日当たり数千kg
以上に達し、非常に汚濁負荷量の多い排水である。ま
た、澱粉製造期間は年間数ケ月間と短期間に集中してい
る。
【0003】従来の澱粉製造排水の処理方法は、活性汚
泥処理に代表される好気性処理が主流であるが、非常に
負荷量が多いことから大容量の曝気槽、好気性ラグーン
を必要とし、多大な建設費、維持管理費となっている。
さらに、発生する余剰汚泥処理や、排水貯槽、曝気槽等
から発生する臭気対策が大きな課題となっている。好気
性処理に代る方法としては嫌気性処理がある。この嫌気
性処理法の中には、排水の全体を消化槽に滞留させて嫌
気性消化(メタン発酵)を行う嫌気性消化法があるが、
長い滞留時間を必要とするため大容量の消化槽を必要と
するという問題点がある。
【0004】最近、これらの処理法の問題点を解決する
ため、UASB(Upflow Anaerobic
Sludge Blanket・・・・上向流式嫌気性スラ
ッジブランケット)方式、流動床方式、固定床方式など
に代表される高負荷型嫌気性処理の適用が検討されてい
る。この方法は嫌気性微生物をスラッジブランケット、
固定床等に高密度で集積した汚泥に、主として溶解性B
ODを含む被処理液を高負荷かつ高流速で接触させるこ
とにより効率よく有機物を分解する方法である。ところ
が、この方法で澱粉製造排水を処理する場合、高濃度排
水を無希釈または低希釈倍率で処理すると、除去性能が
低下するため、高濃度排水の嫌気性処理は困難である。
【0005】その原因を調べたところ、高濃度排水中に
含まれる蛋白質から嫌気性処理の過程で発生するアンモ
ニア性窒素によるメタン生成菌の阻害により、メタン生
成菌の活性が低下することが原因であることがわかっ
た。アンモニア性窒素がメタン生成菌に与える影響は、
ガス状のアンモニア性窒素濃度が10mg/l付近の低
濃度にても発生する。そこで、窒素濃度の高い排水を嫌
気性処理する際、嫌気性処理槽内に槽内液中のアンモニ
ア性窒素が解離し、ガス状の窒素とならないように槽内
液のpHを中性付近、好ましくは中性以下に調整すると
ともに、排水を希釈し窒素濃度を低減する方法が行われ
る。
【0006】デカンター排水の場合、排水中の窒素の大
部分は、馬鈴薯に含まれている蛋白質に起因し、含有窒
素濃度はCODCr濃度の約10%に達し、澱粉製造工程
の差にもよるが、全窒素として3000〜5000mg
/lである。この蛋白質態窒素(有機態窒素)の大部分
は嫌気性処理反応時に分解されてアンモニア性窒素に転
換するため、嫌気性処理槽内のpHが7.5以上である
場合、アンモニア性窒素が解離してガス状のアンモニア
が発生する。そこで反応槽内のpHをアンモニアの解離
が少ない7.5以下(好ましくは解離が生じない7以
下)に設定する必要がある。しかし、反応槽内のpHを
7以下に調整するには多量の塩酸を必要とし、pHを低
下させた場合、低pHにより解離した有機酸や硫化水素
の影響が生じる可能性もある。従ってデカンター排水処
理の場合、嫌気性処理槽内に流入する排水の全窒素濃度
を約500mg/l以下になるように、他の窒素濃度の
低い排水や工水、井水等で希釈し、メタン反応槽内のp
Hが高まっても、発生するガス状のアンモニア性窒素濃
度を低下させている。
【0007】しかしこのように低濃度に希釈する方法で
は装置が大型化かつ複雑化し、嫌気性処理のメリットが
活かせない。澱粉製造排水処理は余剰汚泥処理や臭気対
策から、好気性処理よりも嫌気性処理の方が有利である
ことは明らかではあるが、蛋白質の多い高濃度排水(デ
カンター排水)を適切に処理する方策の確立が望まれて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、嫌気
性処理に必要な熱量および薬剤を有効に利用して、メタ
ン生成菌の活性を低下させることなく、澱粉製造排水を
高濃度の状態で高負荷かつ高速で効率よく嫌気性処理す
ることができる澱粉製造排水の処理方法を提案すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の澱粉製造排
水の嫌気性処理方法である。 (1) 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法において、
被処理水を加熱して溶解性の蛋白質を変性して析出さ
せ、固液分離により固形分を分離し、分離液を高負荷型
嫌気性処理することを特徴とする澱粉製造排水の嫌気性
処理方法。 (2) 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法において、
被処理水を等電点処理して溶解性の蛋白質を析出させ、
固液分離により固形分を分離し、分離液を高負荷型嫌気
性処理することを特徴とする澱粉製造排水の嫌気性処理
方法。 (3) 蛋白質の析出の際に等電点処理により析出を行
う上記(1)記載の方法。
【0010】本発明で処理対象となる澱粉製造排水は、
澱粉を含む植物から澱粉を分離して製造する工程から排
出される排水である。このような澱粉製造排水として
は、馬鈴薯澱粉製造工程から排出される排水が典型的で
あるが、くず、その他の植物からの澱粉製造排水であっ
てもよい。馬鈴薯澱粉製造工程から排出される排水とし
ては、BOD30000mg/l付近、有機態窒素40
00mg/l付近の高濃度のデカンター排水と、BOD
2000mg/l付近、有機態窒素150mg/l付近
のハイドロサイクロン排水に大別される。有機態窒素は
ほとんどが蛋白質であり、デカンター排水に多く含まれ
ている。
【0011】本発明ではこのうち高濃度のデカンター排
水のみを処理してもよく、また両者を混合して処理して
もよいが、デカンター排水から蛋白質を析出させて分離
し、分離水をハイドロサイクロン排水で低希釈して嫌気
性処理するのが好ましい。
【0012】本発明では上記の澱粉製造排水、特に高濃
度の蛋白質を含むデカンター排水を、加熱変性および/
または等電点処理することにより蛋白質を析出させる。
加熱変性による析出の場合60〜90℃に加熱すること
により蛋白質を変性させ、不溶性の蛋白質として析出さ
せることができる。等電点処理は被処理水に含まれる蛋
白質の等電点(pH3.5〜5)となるように酸を加え
てpH調整し、蛋白質を析出させる。加熱変性では70
℃で50%、80℃で60%、90℃で65%の蛋白質
が析出して除去される。また等電点処理により蛋白質を
析出させる場合、pH5で30%、pH4で45%、p
H3.5で50%の蛋白質が析出して除去される。低p
Hにするには多量の酸を必要とし、高温にするには多量
の熱量を必要とするが、両者を併用することにより、使
用薬剤量および熱量を少なくして効率よく析出を行うこ
とができる。例えばpH5、70℃で75〜80%の蛋
白質を析出させて除去することができる。
【0013】加熱には後の嫌気性処理で発生するメタン
ガスを使用することができ、例えばガスを燃焼させて蒸
気を発生させ、これを被処理液に吹込んで加熱すること
ができる。嫌気性処理ではメタン生成菌の活性を高める
ために嫌気性処理槽を加熱しているが、本発明ではこの
加熱をその前の工程で行うことにより、蛋白質の変性を
行って析出させ、これを分離することができる。同様に
澱粉製造排水の処理では、アンモニア性窒素によるメタ
ン生成菌の阻害を防止するために酸注入によるpH調整
が必要であるが、本発明ではこれも嫌気性処理工程の前
の段階で行って蛋白質を析出させることができる。
【0014】加熱して蛋白質を析出させた反応液は被処
理水または蒸気発生用給水と熱交換して熱を回収し、析
出工程の加熱を効率よく行うことができる。このほか後
工程の嫌気性処理では高温で行うことが好ましいので残
留する熱はそのまま嫌気性処理で利用することができ
る。この場合嫌気性処理の適温よりも高い温度に加熱し
たときは、ハイドロサイクロン排水のような他の低濃度
排水と混合して希釈し、降温するとともに、残留する蛋
白質濃度を低く調整することができる。このような希釈
は次の固液分離後に行うのが好ましい。蛋白質の析出に
酸を添加して等電点処理を行った場合は、そのまま中和
することなく嫌気性処理を行うと、アンモニア性窒素が
残留する場合でも、効率よく嫌気性処理を行うことがで
きる。
【0015】蛋白質を析出した反応液は固液分離により
蛋白質の分離を行うが、固液分離に先立って凝集処理に
より析出した蛋白質その他の固形分を凝集させてフロッ
ク化するのが好ましい。凝集処理に際しては凝集剤を添
加して攪拌し、微細に分散した固形分を凝集させること
ができる。凝集剤としてはアニオン性凝集剤とカチオン
性凝集剤の併用が好ましく、特にトリポリリン酸および
キトサンを主体とする凝集剤が好ましい。また等電点処
理を行った場合には、そのpH領域で凝集性をもつ凝集
剤を用いるのが好ましい。
【0016】固液分離は被処理液から蛋白質を含む固形
分を分離するもので、デカンター型遠心分離機が適して
いるが、他の分離板型遠心分離機、加圧浮上分離、沈降
分離、ろ布等を用いたろ過分離装置などが使用可能であ
る。高負荷型嫌気性処理では溶解性BODが処理の対象
となり、固形物は除去されなければならないが、蛋白質
の分離の際他の固形物も除去される。分離した蛋白質は
栄養価が高いため、必要により乾燥を行い、家畜/家禽
等の飼料に有効利用でき、また肥料としての活用もでき
る。
【0017】分離液はアンモニア性窒素の阻害が生じな
い濃度に蛋白質が除去されている場合はそのまま嫌気性
処理を行うことができるが、残留蛋白質濃度が高い場合
は他の低濃度排水、工水、井水等で希釈し、嫌気性処理
装置へ通水し嫌気性処理を行う。嫌気性処理としては、
UASB、流動床、固定床等を利用した高負荷型嫌気性
処理を行う。高負荷型嫌気性処理はメタン生成菌を高濃
縮した状態で嫌気性処理槽に保持し、被処理液と高負荷
かつ高速で接触させて短時間で嫌気性処理を行う方式の
処理方法である。
【0018】UASB式はメタン生成菌を含む汚泥を高
濃縮して形成したグラニュール汚泥からなるスラッジブ
ランケットに被処理液を上向流で高速に通液して接触さ
せ処理する方式のものである。流動床式は砂等の担体に
汚泥を担持させて流動床を形成し、被処理液と接触させ
る方式のものである。固定床式は担体に汚泥を形成した
固定床に被処理液を通液して接触させる方式のものであ
る。いずれも汚泥を高濃度の状態で保持することによ
り、高負荷かつ高速での処理を可能とする。
【0019】嫌気性処理は酸生成菌により有機物を有機
酸に分解する酸生成工程と、メタン生成菌により有機酸
をメタンに分解するメタン生成工程とからなるが、本発
明ではこれらを同時に行う一相式でもよく、また別々に
行う二相式でもよい。いずれの場合もメタン生成菌を利
用する嫌気性処理は30〜38℃、好ましくは35〜3
6℃で嫌気状態に保つことにより、メタン生成菌の活性
を高くして効率よく処理を行うことができる。
【0020】嫌気性処理工程における負荷は5〜30k
g−CODCr/m3・day、好ましくは10〜15k
g−CODCr/m3・dayとすることができる。被処
理液のアンモニア性窒素は500mg−N/l以下、好
ましくは400mg−N/l以下とするのが好ましく、
これより高い場合は前述のように他の低濃度排水、ある
いは工業用水その他の希釈水により希釈するのが好まし
い。これができない場合、あるいは希釈後も上記濃度を
超える場合には嫌気性処理工程におけるpHを6.6〜
7.5、好ましくは6.8〜7.0に維持することによ
りメタン生成菌の活性を高く維持することができる。蛋
白質析出工程における酸注入で不足する場合にはさらに
酸を注入することができる。
【0021】嫌気性処理により澱粉その他の溶解性有機
物が分解され、メタンおよび炭酸ガスが発生する。ここ
で発生するガスは回収して加熱のための燃料として利用
することができる。処理液はそのまま、または必要によ
り中和して下水道等に放流する場合があるが、一般的に
は他の低濃度排水とともに好気性処理することにより、
残留する有機物を分解する。
【0022】本発明では嫌気処理工程で行う加熱をその
前の工程で行って被処理水を加熱することにより蛋白質
を析出させて分離することができ、これにより嫌気性処
理におけるアンモニア性窒素濃度を低くしてメタン生成
菌の活性を高く、維持し効率よく嫌気性処理を行うこと
ができる。
【0023】また本発明ではアンモニア性窒素による阻
害を防止するために嫌気性処理工程で添加すべき酸を前
工程に添加することにより、蛋白質を析出させて除去す
ることができ、これによりアンモニア性窒素の生成量を
少なくして嫌気性処理の効率を高くすることができる。
そして固液分離のための凝集剤として酸性領域で凝集性
を有する凝集剤を用いることにより、酸を中和すること
なく嫌気性工程に移ることができ、アンモニア性窒素の
残留量が多い場合でもメタン生成菌の活性を高く維持し
て嫌気性処理を行うことができる。
【0024】上記の加熱による蛋白質の変性と酸添加に
よる等電点処理を併用すると熱量および薬剤の使用量を
少なくして、蛋白質の除去率を高くすることができ、さ
らに効率よく嫌気性処理を行うことができる。
【0025】
【発明の効果】以上の通り本発明によれば、加熱変性お
よび/または等電点処理により蛋白質を除去して嫌気性
処理を行うようにしたので、嫌気性処理に必要な熱量お
よび薬剤を有効に利用してメタン生成菌の活性を低下さ
せることなく、澱粉製造排水を高濃度の状態で高負荷か
つ高速で効率よく嫌気性処理することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
より説明する。図1は実施形態の澱粉製造排水処理方法
を示すフロー図である。
【0027】図1において、1は蛋白質析出槽、2は熱
交換器、3は凝集槽、4は固液分離機、5は嫌気性処理
槽、6は好気性処理槽、7は脱水機、8はガス貯槽、9
はボイラである。被処理水は馬鈴薯澱粉製造排水であ
り、デカンター排水のような高濃度排水11、およびハ
イドロサイクロン排水のような低濃度排水12の処理を
組合せて行うようにされている。
【0028】処理方法は高濃度排水11を蛋白質析出槽
1に導入し、蒸気13を吹込んで加熱して蛋白質を変性
させるとともに、酸14を注入して等電点処理を行い蛋
白質を析出させる。加熱と酸の注入はどちらか一方でも
よいが、両方を行うことにより、少ない熱量および少な
い薬剤量で効率よく蛋白質を析出させることができる。
蛋白質が析出した反応液15は熱交換器2を通って給水
16と熱交換して冷却され凝集槽3に導入される。給水
16はボイラ9に送られ、ガス貯槽8からの燃料ガス1
7の燃焼により加熱されて蒸気13を発生し、濃縮水1
8は排出される。
【0029】凝集槽3では凝集剤19を添加し、攪拌機
21で攪拌して凝集を行い、フロックを生成させる。こ
こではpH調整剤を注入してもよいが、できるだけ等電
点処理のpHで凝集する凝集剤を用いるのが好ましい。
凝集を行った反応液22は固液分離機4で固液分離し、
分離液23は嫌気性処理槽5に導入して嫌気性処理を行
う。分離固形分24は脱水機7において脱水し、回収蛋
白質25を得る。固液分離機としてはデカンター型の固
液分離機が用いられるが、他の固液分離機でもよい。
【0030】嫌気性処理槽5へ反応液23を導入する
際、低濃度排水12の一部を混合して、所定の蛋白質濃
度、温度、pHとなるように希釈する。嫌気性処理槽5
はUASB式のものでスラッジブランケット5aが形成
されているが、流動床式、固定床式等の他の高負荷型嫌
気性処理槽でもよい。嫌気性処理槽5で高流速で嫌気性
処理を行うことにより、被処理水に含まれていた澱粉そ
の他の有機物は酸生成菌により有機酸に分解され、さら
にメタン生成菌によりメタンに分解される。蛋白質はす
でに大部分が除去されているので、生成するアンモニア
性窒素の量は少なく、メタン生成菌の活性は高く維持さ
れる。
【0031】嫌気性処理槽5で発生するメタンガスを含
む生成ガス26はガス貯槽8に貯留され、蒸気発生用の
燃料ガス17として利用される。嫌気性処理槽5の嫌気
性処理水27は、低濃度排水12の一部とともに好気性
処理槽6に送られ、ここで導入される空気28により好
気性処理されて処理水29として排出される。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0033】実施例1 馬鈴薯澱粉製造工程からの排水を用いて嫌気性処理を行
った。澱粉製造排水は高濃度排水としてBOD25,0
00〜30,000mg/l、有機態窒素3,700〜
4,500mg/lのデカンター排水と、低濃度排水と
してBOD1,000〜2,000mg/l、有機態窒
素100〜200mg/lのハイドロサイクロン排水に
大別され、蛋白質(有機態窒素)の多くはデカンター排
水に含まれていた。
【0034】有効容量50 literの蛋白質析出槽にデカ
ンター排水を600 liter/日(滞留時間2時間)の液
量で通液し、塩酸を添加して反応槽内pHを5に調整
し、また蒸気を吹き込んで槽内液温を70℃に調整し、
デカンター排水中の蛋白質を等電点処理と熱変性処理に
より析出させた。反応液を凝集槽に導入し、トリポリリ
ン酸主体の高分子凝集剤と、キトサン主体の高分子凝集
剤を注入して析出した蛋白質を凝集させ、デカンター型
遠心分離機を用いて固液分離を行った。遠心分離機の分
離液は、SS400〜600mg/l、BOD1800
0〜20000mg/l、有機態窒素900〜1000
mg/lであり、有機態窒素は75〜78%除去でき
た。
【0035】分離液をハイドロサイクロン排水で2倍に
希釈し、BOD約10000mg/l、有機態窒素約5
50mg/lの混合液を作成し、BOD負荷量10kg
/m 3/d(滞留時間24時間)でUASB方式の嫌気
性処理槽に導入し、嫌気性処理を行った。嫌気性処理槽
は水温35℃に調整したが、槽内液のpH調整は行わな
かった。その結果、pH6.9〜7.2であった。嫌気
性処理水のBODは400〜700mg/l(除去率9
3〜96%)であり、処理水の全窒素は500〜550
mg/lであり、窒素の全てがアンモニア態であった。
【0036】実施例2 実施例1において蛋白質析出槽における酸注入を行わ
ず、加熱変性処理のみにより蛋白質の析出を行ったとこ
ろ、加熱温度と有機態窒素除去率は表1のようになっ
た。
【0037】
【表1】
【0038】実施例3 実施例1において蛋白質析出槽における熱変性を行わ
ず、酸注入による等電点処理のみにより蛋白質の析出を
行ったところ、pHと有機態窒素除去率(%)は表2の
ようになった。
【0039】
【表2】
【0040】比較例1 デカンター排水中の蛋白質除去を行わず、デカンター排
水をハイドロサイクロン排水、または工水や井水を用い
て希釈した後、アンモニア性窒素の阻害を生じない範囲
で嫌気性処理を行うには、8倍程度には希釈する必要が
あった。希釈により嫌気性処理反応槽へ流入する原水B
OD濃度は1200〜3000mg/l(ハイドロサイ
クロン排水で希釈した場合、BOD3000mg/l)
となった。従って、実施例と同等なBOD負荷量10k
g/m3/dで嫌気性処理を行った場合、嫌気性処理設
備の通水量当たり(排水+希釈水量の全量)のメタンガ
ス量は、約1/4となった。そのため、メタンガスのみ
を熱源として嫌気性処理反応内を加温したとき、排水や
希釈水の水温によっては嫌気性処理に適した液温まで加
温することができなくなり、補助熱源として灯油を用い
たり、嫌気性処理水と排水、希釈水を熱交換する必要が
あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の澱粉製造排水の処理方法を示すフロ
ー図である。
【符号の説明】
1 蛋白質析出槽 2 熱交換器 3 凝集槽 4 固液分離機 5 嫌気性処理槽 6 好気性処理槽 7 脱水機 8 ガス貯槽 9 ボイラ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法にお
    いて、 被処理水を加熱して溶解性の蛋白質を変性して析出さ
    せ、 固液分離により固形分を分離し、 分離液を高負荷型嫌気性処理することを特徴とする澱粉
    製造排水の嫌気性処理方法。
  2. 【請求項2】 澱粉製造排水を嫌気性処理する方法にお
    いて、 被処理水を等電点処理して溶解性の蛋白質を析出させ、 固液分離により固形分を分離し、 分離液を高負荷型嫌気性処理することを特徴とする澱粉
    製造排水の嫌気性処理方法。
  3. 【請求項3】 蛋白質の析出の際に等電点処理により析
    出を行う請求項1記載の方法。
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Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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