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JP3845261B2 - 自動車用電気負荷駆動制御装置 - Google Patents

自動車用電気負荷駆動制御装置 Download PDF

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JP3845261B2
JP3845261B2 JP2001055280A JP2001055280A JP3845261B2 JP 3845261 B2 JP3845261 B2 JP 3845261B2 JP 2001055280 A JP2001055280 A JP 2001055280A JP 2001055280 A JP2001055280 A JP 2001055280A JP 3845261 B2 JP3845261 B2 JP 3845261B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車に搭載された電気負荷を通電制御する例えば、パワーFETのような電力スイッチング素子を過大電流より保護する機能を有した自動車用電気負荷駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に搭載した電気負荷を駆動制御するパワーMOS−FETを過電流より保護する回路として、例えば特開2000−193692号公報に示す「過電流検出回路及び過電流検出・保護回路」がある。
【0003】
図21は従来回路の構成を示す回路図である。
この回路図に従って、本願発明に関連のある事柄に注目して従来技術を説明する。
負荷L及びパワーMOS−FETQAの直列回路に並列に接続された負荷L及びパワ−MOS−FETQAに等価の基準抵抗Rrと基準MOS−FETQBとの直列回路が基準回路を構成する。基準電流の流れる基準MOS−FETQBのドレイン−ソース間電圧と、過電流によって電流の大きさが変化するパワーMOS−FETQAのドレイン−ソース間電圧との差に基づいて、パワーMOS−FETQAに流れる過電流を検出している。
【0004】
この様な過電流検出回路はIC化され、基準MOS−FETQBとパワーMOS−FETQAは同一のプロセスにて同一のチップ上に作成され、共に複数のトランジスタで構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の過電流検出回路では、スイッチング素子であるパワーMOS−FETQAに対し、同じくスイッチング素子である基準パワ−MOS−FETQBを集積してIC化過電流検出回路を製造するため、素子の構造が複雑になり、制御回路の構成が複雑になるという問題点があった。
【0006】
また、図21の回路図において負荷Lのグランド電位と基準抵抗Rrのグランド電位に差が出ると、電流検出値に誤差が生じスイッチング素子を、過電流から保護できなくなるという問題点がある。
【0007】
また、パワーMOS−FETQA,QBのゲート制御回路(MOS−FETQ1,MOS−FETQ2、コンパレータCP等で構成される。)と負荷ラインが端子T3を通して直接つながっているため、負荷ラインからのノイズにより制御回路が誤動作したり破壊される可能性がある。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、回路構成を簡易化し、しかも過大電流保護の点および外来ノイズの影響を排除し得る点からも安全性及び信頼性を向上させることができる自動車用電気負荷駆動制御装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置は図1の(a)の基本構成図に示すように、電源Bに対し負荷Lと共に直列接続され、前記負荷Lに対する電源供給をON/OFF制御するパワーMOS−FETに、このパワーMOS−FETへの通電による発熱で電圧が低下する熱電素子Dを内蔵し、この電圧の低下量変化に基づいて前記パワーMOS−FETのゲート駆動信号をON/OFF制御する制御手段COTを備え、前記電圧の安定化後、前記ゲート駆動信号を一定値にするものである。
この発明によれば、パワーMOS−FETに内蔵された熱電素子の温度変化を電圧変化で検出することでパワーMOS−FETに流れる電流による発熱を検出し、パワーMOS−FETのゲート駆動信号をON/OFF制御して熱電素子における電圧の安定化後にゲート駆動信号を一定値にする。
【0010】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の制御手段COTは、前記電圧低下の時間変化率に基づいて前記負荷への突入電流を検出し、パワーMOS−FETのゲート駆動信号の遮断信号を出力する突入電流検出部DTI1を備えたものである。
この発明によれば、負荷への電源投入初期に負荷に流れる定格電流の約10倍の突入電流によるパワーMOS−FETの急激な温度上昇に伴う急激な熱電素子の電圧低下を検出時に、ゲート駆動信号を遮断し熱電素子の電圧レベルが定常状態に上昇後にゲート駆動信号を出力する。
【0011】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の制御手段COTは、突入電流検出部DTI1による突入電流検出回数が所定回数以上の場合に配線不良による過電流異常を判定し、パワーMOS−FETのゲート駆動信号の遮断信号を出力する異常電流検出部DTI2を備えたものである。
この発明によれば、パワーMOS−FETへのゲート駆動信号出力毎に急激な熱電素子の電圧低下を検出時には配線の短絡と判定してパワーMOS−FETのゲート駆動信号を遮断する。
【0012】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の突入電流検出部DTI1は、前記熱電素子Dの電圧の所定値低下後、負荷電流を所定値以下に抑えながら所定時間毎にゲート駆動信号を出力してパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返し、このパワーMOS−FET内部の熱放散を行い前記電圧を一定に上昇させる。
この発明によれば熱電素子Dの電圧低下後に、負荷電流を所定値以下に抑えながらパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返してパワーMOS−FET内部の熱放散を行うことで熱電素子への熱集中を拡散し、電圧を一定に上昇させることで異常電流検出を解除してパワーMOS−FETに一定のゲート駆動信号を出力する。
【0013】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の突入電流検出部DT1は、前記電圧の所定値低下後、負荷電流を所定値以下に抑えながら所定時間毎にゲート駆動信号を出力してパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返して負荷Lへの通電のON/OFFを繰り返し、前記負荷Lの発熱を安定化させ抵抗値を定常化する。
この発明によれば突入電流検出後、負荷電流を所定値以下に抑えながらパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返して負荷Lへの通電のON/OFFを繰り返し、前記負荷Lの発熱を安定化させ抵抗値を定常化することで、負荷の初期低抵抗による突入電流を阻止する。
【0016】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の熱電素子Dは、周囲温度の上昇に伴い順方向電圧が低下する半導体によるダイオードである。
この発明によれば熱電素子をPN接合からなるダイオードで構成することで、同一ペレット上にMOS−FETと同一製造工程でダイオードを作成することができる。
【0017】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の制御手段COTは、複数の負荷LM1〜LM4をそれぞれ駆動する各負荷対応のパワーMOS−FET1〜4を備え、これらパワーMOS−FET1〜4に対して時間差を置いてゲート駆動信号を出力する。
この発明によれば電源ラインの電流が平均化されるためバッテリの負担が低減すると共に、電線における損失も低減する。更に、電流変動による放射ノイズも低減する。
【0018】
この発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の制御手段COTは、パワーMOS−FETに対してPWM信号に基づくゲート駆動信号を出力する。
この発明によれば電源電圧レベルに応じてPWM信号のデューティ比を制御することで、電源電圧を負荷の電圧レベルに容易に調整することができると共に、突入電流検出後、間欠的にゲート駆動信号をMOS−FETに出力する際にタイマ動作を不要としてPWM信号に基づいて出力することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を、各添付図面を参照して説明する。図2は実施の形態1に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。本装置は図2に示すように、車両搭載のバッテリBの+V端子とグランド間に負荷と共に直列接続温度検知ダイオードD10,D20(直列ダイオードと略記する。)内蔵のパワーMOS−FETQと、このパワーMOS−FETQに制御信号を出力する共に、MOS−FETの発熱により順方向電圧が変わる直列ダイオードD10,D20の順方向電圧Vfに基づいてパワーMOS−FETQの過渡熱保護、過熱保護および過電流保護を行う制御回路COと、この制御回路COに対して負荷駆動用の信号を入力するスイッチSWとから構成されている。
【0020】
本実施の形態におけるパワーMOS−FETQの構成としては、図3に示すように、縦型DMOS構造MOS−FETを構成している。
そして、シリコン半導体基板SiはN−、N+と二層のn形半導体基板より構成され、n形半導体基板N+の裏面にはメタル配線が蒸着され、このメタル配線Mはドレイン電極Dが施されている。また、n形半導体基板N−の表面には離隔してP−ウェル領域が形成され、且つ、双方のP−ウェル領域においては、それぞれP+ウェルを挟んで2つのN+ウェル領域が形成されている。
【0021】
各P−ウェル領域においては個々のN+ウェル領域にかかるゲート領域に絶縁膜ISを介してゲート電極が多結晶シリコンPSにて形成されている。各P−ウェル領域に形成されたゲート電極はリードに接続されゲート端子Gに延設されている。
【0022】
また、各P−ウェル領域においては絶縁膜が成膜されていないN+,P+,N+ウェル領域と左右に形成されたゲート領域に成膜された絶縁膜ISにメタル配線Mを施してソース電極を形成し、同じく2つのソース電極をリードで接続してソース端子Sに延設している。各P−ウェル領域における一方のゲート電極の間にはn形半導体基板N−上に絶縁膜ISを介してN+(カソード)とP+(アノード)の多結晶シリコン膜で形成されてダイオードが作り込まれている。
【0023】
ダイオードは1個または複数個を直列接続したものが用いられ、MOS−FETの内部で発生する熱に対して応答性がよくなるように熱抵抗および熱容量が小さく作られる。
更に、ダイオードはスイッチ素子を構成するゲート電極、ソース電極と電気的に絶縁されているためソース電極に接続される負荷ラインからの伝送ノイズが制御回路に伝わる危険性が少ない。
【0024】
MOS−FETはU溝構造やV溝構造を持つものでよい。また、ダイオードはN−層中に拡散法で形成してもよい、更に、MOS−FETは図4に示すように通常動作時は線形領域で動作し、車両用ランプへの突入電流時や配線ショート異常時は飽和領域で動作するようになされる。従って、大電流が流れようとしてもMOS−FETが飽和領域に移ることにより電流は設定した値に抑えられる。
【0025】
このときドレイン−ソース間電圧が大きくなりMOS−FET内部の発熱が増すことで、内蔵されたダイオードに熱が伝わりVf(順方向電圧)が低下する。この順方向電圧Vf低下量から異常発熱が検出される。飽和領域に移るためにはMOS−FETのドレイン−ソース間電圧Vdsは以下の関係になればよい。
【0026】
Vds=Vgs−Vt
Vgs: MOS−FETのゲート−ソース間電圧
Vt: MOS−FETの動作しきい値電圧
【0027】
このような特性を持たせるためにはVgsおよびVtを適当な値に制御すると共に、MOS−FETのオン抵抗が以下のようになるようにすれば良い。
【0028】
Vds=Rdson×ILlim
Rdson:MOS−FETのON抵抗
ILlim:MOS−FETの負荷電流制限値
【0029】
詳細にはMOS−FETの特性式より、ILlim=0.5k(Vgs−Vt)2となるようにMOS−FETの構造パラメータを合わせ込む必要がある。
尚、kは伝達係数である。
【0030】
上記関係式よりMOS−FETQのゲート電圧VG、ソース電圧VSを出力制御制する御回路COは、MOS−FETQに内蔵のダイオードD10,D20に定電流を流す定電流回路I、ダイオードD10,D20に定電流回路Iより順方向電流を流した状態でダイオードD10,D20の順方向電圧Vfを検出するバッファアンプから構成されるVf検出回路DT3、Vf検出回路DT3で検出された順方向電圧Vfの絶対値が、図10に示すように設定された過熱遮断しきい値より低下時に過熱異常を検出し過熱異常遮断信号をゲート制御回路GCに出力する過熱検出回路DT1、順方向電圧Vfの時間変化が図8に示すように過渡熱遮断しきい値を超えたとき過度遮断信号をゲート制御回路GCに出力する過渡熱検出回路DT2、ゲート制御回路GCより出力されるゲート駆動信号の電位をMOS−FETのドレインに印加されるバッテリ電圧より高いレベルに昇圧して適切なVgsが得られるようにしてMOS−FETのゲート−ソース間に出力するレベルシフト回路LSより構成されている。
【0031】
尚、図示していないが、制御回路COは過渡熱遮断検出回路DT2より出力される過渡熱遮断信号を計数し、図9に示すようにその計数値より異常電流遮断信号を出力する機能を備える。
【0032】
過熱検出回路の構成としては図6に示すように演算増幅器より構成されるシステリシス機能付のコンパレータCMPの反転入力端子(−)に抵抗R21を介してダイオードの順方向電圧の絶対値(Vf絶対値)を印加し、非反転入力端子(+)に抵抗R22を介して基準電圧(MOS−FETの過熱異常を判断する電圧)VrfをバッテリB2より印加し、更に、反転入力端子と出力端子間には抵抗R23が接続されている。従って、この回路によればVf絶対値が基準電圧Vrfより低下すればコンパレータCOPの出力はHレベルとなって過熱遮断信号が出力される。
【0033】
そして、Vf絶対値が再び上昇すればコンパレータCOPの出力である過熱遮断信号は、Lレベルに反転する。しかし、Vf検出回路DT3の出力にノイズ成分が混入し、Vf絶対値が基準電圧Vrfを超えて過熱遮断信号がLレベルに反転するのを防止する意味でこのコンパレータはシステリシス特性を有している。
【0034】
即ち、コンパレータCMPの出力がHレベルとなると、この出力は抵抗R23を通して帰還されるため、基準電圧は抵抗R22,23による電圧降下分上昇する。この結果、Vf絶対値が上昇した基準電圧レベル(システリシス分)を超えて初めて過熱遮断信号がLレベルに反転して過熱遮断信号をOFFする。
【0035】
過渡熱検出回路DT2は図5に示される回路構成となる。そしてこの回路はVf信号の時間変化が設定値を超えたら過渡熱遮断信号を出力する。
【0036】
この回路の動作としては、入力されるダイオードVf信号は時間とともにアナログ的に変化する信号であり、この信号は抵抗R2とコンデンサCで形成されるフィルタ回路で過去分として記憶される。演算増幅器AMPの非反転入力端子+にはVfの現在値が入力され、反転入力端子−にはフィルタに記憶された過去分が入力される。従って、演算増幅器AMPより現在分と過去分のVfとの差が抵抗R1〜R5の組み合わせで決まる増幅率で増幅されて出力される。
【0037】
演算増幅器AMPの増幅出力はコンパレータCMPの反転入力端子−に入力される。Vfの過去分は抵抗R3とR5との抵抗比で決められた分だけレベルが下げられてコンパレータCMPの非反転入力端子+に入力される。この結果、コンパレータCMPは増幅出力が設定されたレベル(Vfの過去分の抵抗R3とR5との抵抗比による分圧値)を超えるとHレベルの過渡熱遮断信号を出力する
【0038】
次にレベルシフト回路の構成としては、先ず、バッテリの+電源ラインに+電源端子みてダイオードD1,D2が2つ順方向に直列に挿入されている。ダイオードD1,D2の接続点にはコンデンサC11の一端が接続され、このコンデンサC11の他端にはオシレータOSの発振信号を入力するインバータINVが接続されている。
【0039】
また、+電源ラインにおいて直列接続されたダイオードD2のカソード側とグランド側にはコンデンサC12が接続される。これら回路素子により昇圧が構成される。コンデンサC12には、コンデンサC11に一端チャージされた電荷がコンデンサC12に充電されることでバッテリ電圧以上のコンデンサ電圧となる。尚、各コンデンサC11,C12に充電された電荷はダイオードD1,D2より電源端子に逆流することはない。
【0040】
昇圧回路の出力側の電源ラインとグランド間にトランジスタ(NPN)Q1のコレクタとエミッタが接続され、ベースには抵抗R16を通してインバータINV2の出力が接続され、このインバータINVの入力端子にはゲート駆動信号が入力される。
【0041】
トランジスタQ1のコレクタにはトランジスタ(NPNP)Q2,(PNP)Q3のベースが接続され、各トランジスタQ2,Q3のエミッタはそれぞれ抵抗R11,R12を介して接続されている。トランジスタQ2のコレクタは+電源ラインに、トランジスタQ3のコレクタはグランドラインに接続されている。
【0042】
抵抗R11とR12との接続点には抵抗R13を通してトランジスタ(PNP)Q4のエミッタに接続され、且つ、MOS−FETQのゲートに接続される。トランジスタQ4のコレクタはバッテリB1を通してMOS−FETQのソースに接続される。
トランジスタQ4のベースには抵抗R14を通してトランジスタQ5のコレクタが接続され、トランジスタQ5のエミッタはグランド側に接続され、ベースは抵抗R11を通してゲート駆動信号入力用のインバータINV2の入力端子に接続される。
【0043】
このレベルシフト回路LSの動作としては、通常昇圧回路ではオシレータOSの発信に伴いバッテリよりダイオードD1を通して間欠的にコンデンサに電荷を充電し、更にこの電荷をコンデンサC12に充電してバッテリ電圧より高い充電電圧を用意する。次にこの状態でHレベルのゲート駆動信号がインバータINV2に印加されたならば、インバータINV2の出力はLレベルとなるためトランジスタQ1はOFFとなる。この結果、トランジスタQ2のベースにはコンデンサC12のプラス電圧がかかりON状態となる。
【0044】
この時、トランジスタQ5,Q4はHレベルのゲート駆動信号によりON状態となっているためトランジスタQ2,抵抗R11、R13、トランジスタQ4を通してコンデンサ12に充電された電荷がゲート電圧VGとしてMOS−FETQのゲートに印加される。また、ソースにはコンデンサC12の充電電荷にバッテリB1の電圧VSが重畳された電圧が印加されるため、MOS−FETQのゲート、ソース間にはONさせるのに十分な電圧が印加される。
【0045】
ここで、ゲート駆動電圧がLレベルとなると、ゲート駆動電圧はインバータINV2によりHレベルに反転され、トランジスタQ1がONするためトランジスタQ3のベースはグランドレベルとなりON状態となる。この結果、レベルシフト回路LSのゲート電圧端子は、トランジスタQ3を通してグランドレベルとなることで、ゲート電圧VGもグランドレベルとなりMOS−FETQはOFF状態となる。
【0046】
次に本実施の形態に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の動作について説明する。
(1) 通常動作
負荷起動用のスイッチSWをONするとゲート制御回路GCはゲート駆動信号を図7にその詳細な構成を示したレベルシフト回路LSに出力する。レベルシフト回路LSはゲート駆動信号を入力すると、その電圧レベルをバッテリ電圧よりも高くして確実にMOS−FETQをONできるゲート電圧VGとソース電圧VSをMOS−FETQに出力する。この結果、MOS−FETQは確実にONし、負荷にバッテリBより電流を流し駆動する。
このように、MOS−FETQにレベルシフトLSを通してゲート、ソース間電圧を印加するため、専用の電源を使用せずにMOS−FETQの駆動電源電圧を確保できる。
【0047】
(2) 保護動作
1.突入電流制限動作
ランプやモータといった電気負荷は最初の立ち上がりで定常電流の10倍程度の突入電流が流れる。この突入電流でMOS−FETが破壊しないようにするため、MOS−FETの電流容量を大きくしたり電線の径を大きくしたりしていた。
【0048】
しかし、本発明によればMOS−FETの電流容量や電線の径を最適化し小さくすることでも突入電流を小さくすることができる。
図8に突入電流制限動作を示す。
スイッチSWの入力によりゲート駆動信号が出力されるとMOS−FETQがオンし、負荷電流が突入電流として流れるようとする。しかし、MOS−FETQは図4に示すように飽和領域に移行し、負荷電流は図8に示すように予め設定された電流制限値に制限される。
【0049】
このとき、MOS−FETQに内蔵されたダイオードD10,D20は、MOS−FETQの発熱に応答して順方向電圧Vfは急激に低下する。Vf検出回路より順方向電圧Vfを入力している過渡検出回路DT1は、順方向電圧Vfの低下量が過渡熱遮断しきい値に達すると過渡熱遮断信号がゲート制御回路GCに出力し、ゲート駆動信号を遮断する。尚、過渡熱遮断しきい値はMOS−FETおよび負荷回路の配線が感熱破壊する十分手前の発熱量に設定される。
【0050】
以上のようにゲート駆動信号を遮断するとMOS−FETQはオフしてソース電流(負荷電流)は遮断される。負荷電流の遮断により、MOS−FETQの発熱は止まりMOS−FETを形成するチップの表面の熱も放散して行くため、ダイオードの順方向電圧Vfは上がって行き次にゲート駆動信号の出力までにはほぼ初期値まで回復する。設定されたタイマ時間tdの後に再びゲート駆動信号が出力されると同様な電流制限動作を繰り返す。
【0051】
突入電流制限動作を何度か繰り返すと負荷Lの状態は徐々に定常状態に近づき順方向電圧Vfの急激な低下は解消される。この結果、過渡熱遮断信号はOFFとなって電流制限動作は止まり、通常動作となりゲート駆動信号は連続的に出力される。過渡熱遮断しきい値は、突入電流制限動作がMOS−FETQの定格温度の範囲で行われるよう小さな値に設定される。
【0052】
電球を繰り返し点滅させるときなど、フィラメントが既に暖まった状態で再点灯した場合は、最初から電流値が低く突入電流が流れることはないので電流制限動作はかからず即座に点灯する。このように、本電流制限動作は発熱量を用いたクローズドループ制御によるスロースタート動作なので、負荷の温度や電源、電圧変動、負荷のばらつき等に影響されることなく安定して負荷を駆動させることができ、なおかつ電流制限およびロースタートにより負荷の長寿命化も計れる。
【0053】
過渡熱遮断しきい値は、突入電流の流れる時間だけ定常時と異なる値に設定してもよい。また、突入期間はゲート−ソース電圧Vgsを制御して電流制限値を定常時と異なる値に設定してもよい。更に、負荷の種類によっては突入期間中、上記のように負荷電流をオンオフ動作をさせないようにして、負荷の立ち上がりを早めるようにしてもよい。
【0054】
2.ショート保護動作
次に負荷回路のショートによる異常電流が流れたときの動作例を示す。動作中にMOS−FETと負荷との間の配線がシャーシグランドにショートしたときや負荷の両端がショート故障を起こしたとき、図9に示すように大きな負荷電流が異常電流として流れようとするが、過大負荷電は前述の電流制限動作が働き設定された電流制限値に抑えられる。
【0055】
ショート時は突入時よりもさらに負荷抵抗が低い状態になるのでMOS−FETは突入時よりも深い飽和状態になる。そのため、発熱による温度上昇速度も急激になり、突入時よりもさらに短時間で電流は遮断される。
【0056】
タイマ時間tdの後再びゲート駆動信号によりMOS−FETQはオンされるが、ショート状態が続いていると順方向電圧Vfは過渡熱遮断しきい値を超えることを繰り返し過渡熱遮断信号を出力される。過渡熱遮断信号が過渡熱検出回路DT2で設定回数連続してカウントされるとショートによる異常電流と判断し、以降はスイッチSWがオンされていてもゲート駆動信号を遮断して負荷電流を遮断したままの状態が保たれる。遮断状態の解除はスイッチのオン、電源のオフ、リセットスイッチ操作等により行われる。
【0057】
ショート遮断を判定するためのカウント数は通常の突入電流制限動作で起こる過渡熱遮断信号の発生回数よりも十分長く設定される。その結果、特に突入時の過渡熱遮断動作とショート時の過渡熱遮断動作とを区別するために過渡熱遮断信号のカウントを一定時間禁止する複雑な処理をしなくても、安定してショート異常遮断動作を行わせることができる。
【0058】
(3) 過熱保護動作
MOS−FETが異常過熱したときの保護動作タイミングを図10に示す。
負荷の異常により負荷電流が電流制限値にかからない範囲で異常に増加したとき、MOS−FETの温度は徐々に上昇する。この温度上昇により、順方向電圧Vfの絶対値が過熱遮断しきい値を低下すると、過熱検出回路DT1は過熱異常遮断信号をゲート制御回路GCに出力してゲート駆動信号を停止する。過熱遮断しきい値はMOS−FETが過電流により熱破壊を起こさない温度に設定される。
【0059】
過熱遮断状態からの復帰は電源再投入によるゲート制御回路GCのゲート駆動信号停止状態の維持解除や、順方向電圧Vfの絶対値が過熱遮断しきい値を上昇し始めて過熱検出回路DT1を構成するコンパレータCMPの出力である過熱異常遮断信号がLに反転し、ゲート駆動信号が出力されることで自動復帰する。
尚、コンパレータCMPは入力にシステリシス特性を有しているため、順方向電圧Vfがノイズ等により過熱遮断しきい値を多少超えてもゲート駆動信号が出されることはない。
【0060】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、負荷をソースとグランド間に配置したが、図11に示すように、負荷をヒューズFを通して+電源ラインとドレイン間に配置してもよい。この場合、MOS−FETのゲートにはグランドレベルに対して十分に高い電圧を加えればよいので、レベルシフト回路LSはチャージポンプ等の昇圧回路は不要となる。ただし、このような場合、配線ショートに対する保護機能はなくなるので、ヒューズ等の保護機能が必要となる。
【0061】
実施の形態3.
上記実施の形態は負荷に一定電流を連続的に流して駆動したが、MOS−FETのゲートに所定デューティ比のPWM信号を入力し高速スイッチング動作を行い、負荷である自動車用ランプを点灯制御する装置に本発明を適用することもできる。
【0062】
図12は本実施の形態2に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成図である。図中、図2と同一符号は同一又は相当部分を示す。図においてCOAは本実施の形態に係る制御回路である。この制御回路COAは実施の形態1に係る制御回路の構成に加えて負荷である自動車用ランプ駆動用のスイッチSWをオンするとランプ点灯信号を出力する入力処理回路INと、ランプ点灯信号を入力するとMOS−FETを高速スイッチング動作させるためのPWM信号を発生するPWM信号発生回路PWMSと、PWM信号に基づいてパルス化されたMOS−FETQのゲート駆動信号を出力すると共に、外部からの遮断信号入力時にゲート駆動信号を遮断するゲート遮断回路GCと、ゲート駆動信号の電圧レベルを電源電圧レベル以上にシフトするレベルシフト回路LS、過渡熱遮断信号をカウントし、過渡熱遮断状態が所定回数連続したときに電流異常遮断信号を出力する電流異常検出回路DT4、他に実施の形態1で説明した過熱検出回路DT1、過渡熱検出回路DT2、そして各検出回路DT1,DT2,DT4より出力された遮断信号をパワーオンリセットまたは外部からのリセット命令によりリセットするリセット回路REより構成される。
【0063】
尚、PWM信号発生回路PWMSは、オシレータ等からなり、ランプの実行電力が定格に等しくなるようなデューティー比のPWMパルスを出力する。例えば、バッテリ2個直列(24V)ならばデューティー比25%、3個直列(36V)ならばデューティー比11%程度に設定される。
【0064】
過渡熱遮断回路としては図13にその構成を示す回路がある。
この過渡熱遮断回路は、ダイオード努Vf信号の時間変化が設定値を超えたら過渡熱遮断信号を出力し、外部からリセット命令が入力されるまで過渡熱遮断信号を保持する回路である。
ダイオードVf信号は時間と共に変化するアナログ信号であり、この信号は抵抗R41とR42の抵抗比により分圧された後に、抵抗R43とコンデンサC40で形成されるフィルタ回路でダイオードVf信号の過去分が記憶される。コンパレータCMPの反転入力端子−にはダイオードVf信号の現在分が入力され、非反転入力端子+にはフィルタに記憶されたダイオードVf信号が入力されるため、ダイオードVf信号の現在分がダイオードVf信号の過去分を超えると、コンパレータCMPからHレベルの出力信号がD型フリップフロップDFFに入力される。この結果、D型フリップフロップDFFのQ端子からはHレベルの過渡熱遮断信号がゲート遮断回路GCに出されてゲート駆動信号がランプに出力され点灯制御する。
【0065】
次に、過渡熱遮断回路は、PWM信号によるゲート駆動信号をMOS−FETに入力する毎にVf検出回路Vfにて順方向電圧Vfの時間変化率を調べ、その時間変化率が大きく、順方向電圧Vfが過渡熱遮断しきい値より低下したならばコンパレータCMPよりHレベル信号をD型フリップフロップDFFに入力する。D型フリップフロップDFFは、D端子に印加されたグランドレベルであるLレベルの過渡熱遮断信号をQ端子からゲート遮断回路GCに出力する。
【0066】
このような動作を、図15に示すようにPWM信号入力に同期したゲート駆動信号がMOS−FETに入力される毎に行われ、順方向電圧Vfの時間変化率が過渡熱遮断しきい値を上回るまでPWM信号に同期して過渡熱遮断信号が出力される。過渡熱遮断しきい値を上回ると過渡熱遮断信号はOFFとなり、PWM信号に同期してゲート駆動信号がMOS−FETQに入力されることで安定したランプ点灯となる。
【0067】
過渡熱遮断信号のOFF制御は、ANDゲートAN1にパワーオンンリセット信号の入力期間に、PWM信号をANDゲートAN1に入力するとANDゲートAN1はPWM信号に同期してD型フリップフロップDFFのプリセット端子にLレベル信号が入力され、Q端子に現れた過渡熱遮断信号はLレベルとなり過渡熱遮断信号は解除される。
【0068】
また回路構成は図示しないが、電流異常検出回路DT4の動作としては図16のタイミングチャートに示すように、過渡熱検出回路DT2より出力される過渡熱遮断信号をカウントし、このカウント値が所定数に至った時にHレベル信号として図示しないD型フリップフロップDFFに入力する。この結果、Q端子からはD端子に印加されたグランドレベルであるLレベルの電流異常遮断信号がゲート遮断回路GCAに出される。
【0069】
電流異常遮断信号のOFF制御はANDゲートAN1よりパワーオンンリセット信号の入力期間に電流異常遮断解除信号を、リセット回路REよりD型フリップフロップDFFのプリセット端子に入力することで行われる。
【0070】
過熱遮断回路の動作としては、図14に示すようにコンパーレタCMPの反転入力端子(−)に抵抗R21を通して印加された順方向電圧Vfが、図17に示すように非反転入力端子(+)に抵抗R22を介して印加された過熱遮断しきい値B2を下回った時に、コンパーレタCMPよりHレベル信号がD型フリップフロップDFFに入力され、Q端子からはD端子に印加されたグランドレベルであるLレベルの過熱異常遮断信号がゲート遮断回路GCに出される。
【0071】
過熱異常遮断信号のOFF制御は、ANDゲートAN1にパワーオンリセット信号を入力期間に、リセット回路REよりANDゲートAN1に過熱遮断解除信号を入力すると、ANDゲートAN1D型フリップフロップDFFのプリセット端子にLレベル信号が入力されQ端子における過熱異常遮断信号はHレベルにリセットされる。
【0072】
本実施の形態においても実施の形態1と同様に突入電流制限動作、ショート保護動作、加熱保護動作を実施するが、ショート保護動作および加熱保護動作に関しては実施の形態1と同様であるため、突入電流制限動作について説明する。
【0073】
図15に突入電流制限動作のタイミングを示す。
スイッチSWのONに伴い入力処理回路INよりPWM信号発生回路PWMSにランプ点灯信号が入力されると、PWM信号発生回路PWMSよりゲート遮断回路GCにPWM信号が入力される。
【0074】
ゲート遮断回路GCはPWM変調されたゲート駆動信号をレベルシフト回路を通してMOS−FETQのゲートに入力する。すると、MOS−FETQは高速スイッチング動作することでランプLMに電源電圧が加わり電流が流れる。当初、ランプLMのフィラメントは冷えていて低抵抗状態なため、突入電流が流れようとする。しかし、図4に示すようにMOS−FETQは飽和領域に移行し、図15に示すように電流は予め設定された値に制限される。
【0075】
しかし、通電によるMOS−FETQの発熱に応答して内蔵されたダイオードD10,D20の順方向電圧Vfは急激に低下する。順方向電圧Vfが過渡熱遮断しきい値を低下すると過渡熱検出回路DT2より過渡熱遮断信号が出力されてゲート駆動信号は遮断される。過渡熱遮断しきい値はランプLMのフィラメントが切れる発熱量よりも十分手前の発熱量に設定される。
【0076】
ゲート駆動信号は遮断によりMOS−FETQはOFFしランプLMへの負荷電流が遮断されることでMOS−FETの発熱が止まり、チップ表面の熱も放散して行くので、ダイオードD10,D20の順方向電圧Vfは上昇して行き次のPWM信号までには初期値に回復する。
【0077】
次のPWM信号でも同様な電流制限動作を繰り返すが、フィラメントの温度が徐々に上昇して行くため、フィラメントの抵抗値は定常値に近づいていく。そのため、突入電流はPWM信号が入力される毎にその値が低下して行き、発熱による順方向電圧の低下量が過渡熱遮断しきい値を下回ったところで、過渡熱遮断信号による電流制限動作が停止し、PWM信号による定常のデューティ比でMOS−FETをON−OFF動作させてランプLMを点灯制御する。
【0078】
実施の形態4.
実施の形態3では、ランプをソースとグランド間に配置したが、図18に示すように、ランプLMはヒューズFを通して+電源ラインとドレイン間に配置してもよい。この場合、MOS−FETのゲートにはグランドレベルに対して十分に高い電圧を加えればよいので、レベルシフト回路LSはチャージポンプ等の昇圧回路は不要となる。ただし、このような場合、配線ショートに対する保護機能はなくなるので、ヒューズ等の保護機能が必要となる。
【0079】
実施の形態4.
上記実施の形態1,3ではドレイン電流を飽和領域に持って行き各種制御動作を行ったが、図4に示すように線形領域において制御動作を行うことも可能である。即ち、線形領域動作のままでも、電流が増加するとMOS−FETの発熱が増えるので順方向電圧Vf低下量は大きくなり、所定のしきい値で遮断をかけるとことにより異常発熱を抑えることができる。しかし、この場合、電流制限機能はなくなるので、負荷あるいはランプの寿命を延ばす効果が減少する。
【0080】
実施の形態5.
実施の形態3では単一のランプをMOS−FETQにて点灯制御する例を示したが、図19に示すように複数のランプLM1〜LM4を僅かに時間差をおいて制御回路COで同時点灯制御することも可能である。図19に示す回路の構成としては図12にその構成を示す制御回路を各ランプ毎に設けてもよく、あるいは単一のPWM信号に基づくゲート駆動信号を図示しない遅延回路を通して僅かに時間をずらしながら各ゲート出力チャネルch1〜ch4よりMOS−FETQ1〜Q14のゲートに入力するようにしてもよい。
【0081】
図20のタイミングチャートに示されるようにスイッチSW1〜SW4の全てがONされると、各ゲート出力ch1〜ch4は僅かに時間差をおいてPWM変調されたゲート駆動信号が各MOS−FETQ1〜Q4に入力されて高速ON/OFF動作を開始し、各ランプLM1〜LM4は点灯を開始する。
このように複数のランプを点灯制御する場合、各ゲート駆動信号を重ならないように時間差をおいて出力することで、電源ラインの電流が平均化されるためバッテリの負担が低減すると共に、電線における損失も低減する。更に、電流変動による放射ノイズも低減する効果がある。
【0082】
【発明の効果】
この発明によれば、パワーMOS−FETに内蔵された熱電素子の温度変化を電圧変化で検出することでパワーMOS−FETに流れる電流による発熱を検出し、パワーMOS−FETのゲート駆動信号をON/OFF制御して熱電素子の電圧の安定化後にゲート駆動信号を一定値にすることで、パワーMOS−FETの過電流よる破壊を簡易な構成で阻止できるという効果がある。
【0083】
この発明によれば、負荷への電源投入初期に負荷に流れる定格電流の数10倍の突入電流にパワーMOS−FETの急激な温度上昇に伴う急激な熱電素子の電圧低下を検出時に、ゲート駆動信号を遮断し熱電素子の電圧レベルが定常状態に上昇後にゲート駆動信号を出力することで、パワーMOS−FETを始動時に発生する過大な突入電流よる破壊から簡易な構成で阻止できるという効果がある。
【0084】
この発明によれば、パワーMOS−FETへのゲート駆動信号出力毎に急激な熱電素子の電圧低下を検出時には配線の短絡と判定してパワーMOS−FETのゲート駆動信号の遮断することで、パワーMOS−FETを配線のショート時に発生する過電流よる破壊から簡易な構成で阻止できるという効果がある。
【0085】
この発明によれば熱電素子Dの電圧低下後に、負荷電流を一定値以下に抑えながらパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返してパワーMOS−FET内部の熱放散を行うことで熱電素子への熱集中を拡散し、電圧を一定に上昇させることで異常電流検出を解除してパワーMOS−FETに一定のゲート駆動信号を出力することで、パワーMOS−FETの動作復旧を即座に、しかも円滑に行うことができるという効果がある。
【0086】
この発明によれば突入電流検出後、負荷電流を一定値以下に抑えながらパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返して負荷Lへの通電のON/OFFを繰り返し、前記負荷Lの発熱を安定化させ抵抗値を定常化することで、負荷の初期低抵抗による突入電流を阻止することができると共に、パワーMOS−FETの動作復旧を即座に、しかも円滑に行うことができるという効果がある。
【0089】
この発明によれば熱電素子をPN接合からなるダイオードで構成することで、同一ペレット上にMOS−FETと同一製造工程でダイオードを作成することで、過電流によるMOS−FETの過熱を効果的に検出できるという効果がある。
【0090】
この発明によれば、複数の負荷LM1〜LM4をそれぞれ駆動する各負荷対応のパワーMOS−FET1〜4を備え、これらパワーMOS−FET1〜4に対して時間差を置いてゲート駆動信号を出力することで、電源ラインの電流が平均化されるためバッテリの負担が低減すると共に、電線における損失も低減する。更に、電流変動による放射ノイズも低減するという効果がある。
【0091】
この発明によれば電源電圧レベルに応じてPWM信号のデューティ比を制御することで、電源電圧を負荷の電圧レベルに容易に調整することができると共に、突入電流検出後、間欠的にゲート駆動信号をMOS−FETに出力する際にタイマ動作を不要としてPWM信号に基づいて出力することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の基本構成を示す図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3は本発明に係る自動車用電気負荷駆動制御装置に用いる温度検知ダイオード内蔵のMOS−FETの断面構造である。
【図4】図4は図3に示すMOS−FETのVds−ID特性を示す図である。
【図5】図5は図2に示す過渡熱検出回路の構成図である。
【図6】図6は図2に示す過熱検出回路の構成図である。
【図7】図7は図2に示すレベルシフト回路の構成図である。
【図8】図8は実施の形態1における突入電流制限時におけるVf変化量による制御タイミング波形図である。
【図9】図9は実施の形態1におけるショート保護時におけるVf変化量による制御タイミング波形図である。
【図10】図10は実施の形態1におけるVf絶対値によるMOS−FET過熱保護タイミング波形図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態2に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態2に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。
【図13】図13は図12に示す過渡熱検出回路の構成を示す図である。
【図14】図14は図12に示す過熱検出回路の構成を示す図である。
【図15】図15は実施の形態2における突入電流制限時におけるVf変化量による制御タイミング波形図である。
【図16】図16は実施の形態2におけるショート保護時におけるVf変化量による制御タイミング波形図である。
【図17】図17は実施の形態2におけるVf絶対値によるMOS−FET過熱保護タイミング波形図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態3に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態5に係る自動車用電気負荷駆動制御装置の構成を示す図である。
【図20】図20は実施の形態5における制御回路のゲート駆動信号の出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図21】図21は従来の過電流検出回路および保護回路の構成図である。
【符号の説明】
COT 制御手段
MOS−FET 温度検知ダイオード内蔵MOS−FET
L 負荷
B 電源
DTI1 突入電流検出部
DTI2 異常電流検出部
DTI3 過熱検出部

Claims (7)

  1. 電源に対し負荷Lと共に直列接続され、前記負荷に対する電源供給をON/OFF制御するパワーMOS−FETに、このパワーMOS−FETへの通電による発熱で電圧が低下する熱電素子を内蔵し、この電圧の低下の時間変化率が予め定められた設定値を超えたときに前記パワーMOS−FETのゲート駆動信号をON/OFF制御する制御手段を備え、前記ゲート駆動信号のON/OFF制御による前記電圧の安定化後、前記ゲート駆動信号を一定値にすることを特徴とする自動車用電気負荷駆動制御装置。
  2. 前記制御手段は、突入電流検出部による突入電流検出回数が所定回数以上の場合に配線不良による過電流異常を判定し、パワーMOS−FETのゲート駆動信号の遮断信号を出力する異常電流検出部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
  3. 前記突入電流検出部は、前記熱電素子の電圧の所定値低下後、負荷電流を所定以下に抑えながら所定時間毎にゲート駆動信号を出力してパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返し、このパワーMOS−FET内部の熱放散を行い前記電圧を一定値に上昇させることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
  4. 前記突入電流検出部は、前記電圧の所定値低下後、負荷電流を所定以下に抑えながら所定時間毎にゲート駆動信号を出力してパワーMOS−FETのON/OFF動作を繰り返して負荷Lへの通電のON/OFFを繰り返し、前記負荷の発熱を安定化させ抵抗値を定常化することを特徴とする請求項1に記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
  5. 前記熱電素子は周囲温度の上昇に伴い順方向電圧が低下する半導体素子によるダイオードであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
  6. 前記制御手段は複数の負荷をそれぞれ駆動する各負荷対応の複数のパワーMOS−FETを備え、これらパワーMOS−FETに対して時間差を置いてゲート駆動信号を出力することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
  7. 前記制御手段はパワーMOS−FETに対してPWM信号に基づくゲート駆動信号を出力することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自動車用電気負荷駆動制御装置。
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