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JP3842542B2 - ステアリングホイール製造方法 - Google Patents

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JP3842542B2
JP3842542B2 JP2000325848A JP2000325848A JP3842542B2 JP 3842542 B2 JP3842542 B2 JP 3842542B2 JP 2000325848 A JP2000325848 A JP 2000325848A JP 2000325848 A JP2000325848 A JP 2000325848A JP 3842542 B2 JP3842542 B2 JP 3842542B2
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久男 山田
裕司 田尻
恵三 鈴木
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木製部品で芯金を被覆したステアリングホイール製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等の操舵装置に用いられるステアリングホイールは、リング状のリム部、このリム部の中央側に形成されるボス部、及び、リム部とボス部とを一体的に連結するスポーク部により構成された金属製の芯金を備えている。また、この芯金のリム部並びにスポーク部の一部には、通常、外皮が取り付けられており、ステアリングホイールを把持した際の感触を向上させている。さらには、このような外皮に木材を使用した構成もあり、ステアリングホイールを車両室内の装飾にマッチさせたり等、ユーザの様々な要望に応じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、外皮の一部に木材(木製外皮)を適用してこの木材の外皮を装着していない部位をウレタン等の合成樹脂材で被覆するような場合、整形、塗装等が施された木製外皮をリム部に装着した状態で芯金を射出整形用の金型に装着し、この状態でウレタン樹脂を金型内に射出して木製外皮以外の部位をウレタン樹脂で被覆している。
【0004】
しかしながら、このようにしてウレタン樹脂の射出整形を行なうと、金型内に芯金を装着する際に木製外皮の表面に金型が接触して木製外皮の表面に傷がついてしまう可能性が高い。このため、このような方法では金型に木製外皮を接触させないように細心の注意をはらって作業しなくてはならず、作業効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、部分的に木製の外皮を適用するステアリングホイールにおいて木製の外皮に傷等をつけることなく、且つ、作業効率のよいステアリングホイール製造方法を得ることが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のステアリングホイール製造方法は、リング状に形成された芯金の一部に木の無垢材により形成された木部材を装着する木部材装着工程と、前記芯金の前記木部材が装着された部分以外の所定部位の周囲に合成樹脂材によって外皮芯材を形成する芯材形成工程と、前記芯金に装着された前記木部材の外形を整形する整形工程と、前記木部材と前記外皮芯材との間で前記芯金に制限部材を装着して前記芯金の周方向に沿った前記外皮芯材に対する前記木部材の相対変位を制限する制限部材装着工程と、の各工程を有している。
【0007】
上記構成のステアリングホイール製造方法では、先ず、木部材装着工程でリング状に形成された芯金の一部に木の無垢材により形成された木部材が装着される。次いで、芯材形成工程では、この木部材が装着された芯金の木部材が装着された部分以外の所定部位の周囲に合成樹脂材によって外皮芯材が形成される。
【0008】
さらに、この芯材形成工程を経た後に整形工程で木部材の外形が整形される。ここで、本製造方法では、仮に、外皮芯材を形成する際に木部材の外表面に傷がついても外皮芯材を形成した後に木部材の整形がなされるため、最終的な木部材の外観品質を低下させることはない。
【0009】
次いで、制限部材装着工程では外皮芯材と整形された木部材との間で芯金に制限部材を装着され、この制限部材によって芯金の周方向に沿った外皮芯材に対する木部材の相対変位が制限される。すなわち、本製造方法では、上述したように木部材の整形が外皮芯材を形成した後に行なわれるため、木部材を整形するにあたり、木部材と外皮芯材との間に最低限の隙間が必要となるが、本製造方法では木部材の整形後に制限部材が装着されることで、この隙間が埋められるため、外観を低下させることがなく、且つ、木部材の変位を制限できる。
【0010】
請求項2記載のステアリングホイール製造方法は、請求項1記載の本発明において、前記芯金に装着された前記外皮芯材及び前記制限部材の双方の外側から被覆部を装着して前記外皮芯材及び前記制限部材を被覆する被覆部装着工程を有することを特徴としている。
【0011】
上記構成のステアリングホイール製造方法では、被覆部装着工程で被覆部が外皮芯材と制限部材の双方に装着され、被覆部によって制限部材と外皮芯材とが被覆される。これにより、制限部材と外皮芯材との一体感が生じるうえ、外見では制限部材の存在を気付かせないため、外観が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施の形態に係るステアリングホイール製造方法により製造されたステアリングホイール10の構成が平面図によって示されており、図2には図1の矢印A方向から見た本ステアリングホイール10の正面図が示されている。なお、各図において矢印R1は後述するリム部14の半径方向外方側を示し、矢印R2はリム部14の半径方向内方側を示す。また、矢印Z1は本ステアリングホイール10を車両に搭載した状態でのリム部14の軸方向乗員側を示し、矢印R2はリム部14の軸方向反乗員側を示す。
【0017】
図1に示されるように、ステアリングホイール10は全体がマグネシウム等の金属を例えば鋳造成形することにより形成された芯金12を備えている。この芯金12はリム部14を備えている。リム部14は全体的にリング状に形成されていると共に、図3乃至図5に示されるように、軸方向に沿って切った断面が車両への取付状態で軸方向反乗員側(図3乃至図5の矢印Z2方向)へ向けて開口した凹形状(逆「U」字形状)とされている。
【0018】
図1及び図2に示されるように、リム部14の中心の軸方向反乗員側にはボス部16が設けられている。ボス部16は略厚肉筒形状に形成されており、車両の操舵装置(ステアリング装置)を構成するステアリングシャフト(符号無きものは何れも図示省略)へ嵌合可能とされている。
【0019】
また、図1に示されるように、ボス部16とリム部14との間には3本のスポーク部18が設けられている。図2に示されるように、各スポーク部18は概ねリム部14の半径方向に沿って長手方向で且つその長手方向中間部が適宜にクランク状に屈曲若しくは湾曲した板状に形成されており、その長手方向一方の端部はリム部14へ一体に連結され、長手方向他方の端部はボス部16へ一体に連結されている。これにより、ボス部16とリム部14とがスポーク部18を介して一体に連結され、リム部14をその軸線周りに回転させることでボス部16が嵌合したステアリングシャフトをその軸周りに回転させることができ、その結果、操舵装置を操作できるようになっている。なお、本実施の形態はスポーク部18を3本とした構成であるが、リム部14とボス部16との連結という観点からすればスポーク部18は少なくとも1本以上であればよい。
【0020】
また、図1に示されるように、この芯金12には外皮芯材としての芯26が取り付けられている。図4に示されるように、芯26は各スポーク部18のリム部14側部分並びにリム部14の各スポーク部18近傍部分である各外皮装着部位に設けられている。芯26は、例えば、ウレタン系の合成樹脂材により形成されており、外皮装着部位に対応したリム部14並びに各スポーク部18を外側から被覆している。また、この芯26の周囲には皮や合成樹脂材により形成された被覆部28が形成されており、芯26をも含めて外皮装着部位に対応したリム部14並びに各スポーク部18を外側から被覆している。
【0021】
一方、図1に示されるように、リム部14のうち、上記の芯26が取り付けられていない部分に対応した範囲は装着部位としての木部材装着部位とされており木部材40が装着される。ここで、図3に示されるように、木部材40はリム部14の軸方向に沿って互いに対向した一対の表側部分片42と裏側部分片44とにより構成されている。
【0022】
図1に示されるように、表側部分片42は天然木の無垢材からリム部14の内外周に沿って円弧状に湾曲した棒形状に削り出されている。図3に示されるように、表側部分片42の乗員側表面46は乗員側(図3の矢印Z1方向側)へ向けて円弧状に張り出すように形成されている。一方、表側部分片42の乗員側表面46とは反対側の接合面48は、面方向が反乗員側(図3の矢印Z2方向側)へ向いた平面とされており、その幅方向中央側には反乗員側へ向けて開口した溝状のリム収容溝50が表側部分片42の長手方向(すなわち、リム部14の周方向)に沿って一様に形成されている。
【0023】
これに対し、裏側部分片44は表側部分片42を削り出した天然木の無垢材と同一の無垢材から表側部分片42と同様にリム部14の内外周に沿って円弧状に湾曲した棒形状に削り出されている。図3に示されるように、裏側部分片44の反乗員側表面52は反乗員側(図3の矢印Z2方向側)へ向けて円弧状に張り出すように形成されている。一方、裏側部分片44の反乗員側表面52とは反対側の接合面54は、面方向が乗員側(図3の矢印Z1方向側)へ向いた平面とされており、リム部14の軸方向に沿って表側部分片42の接合面48と対向して接した状態で、接着剤等の固着手段により表側部分片42と裏側部分片44とが一体的に接合される。
【0024】
また、裏側部分片44の接合面54の幅方向中央側には乗員側へ向けて開口した溝状のリム収容溝56が裏側部分片44の長手方向(すなわち、リム部14の周方向)に沿って一様に形成されている。リム収容溝50の開口端は、表側部分片42と裏側部分片44とが接合された状態でリム収容溝56の開口端と略一致するように形成されている。このため、木部材40全体としては中空の筒状となり、図3に示されるように、その内側(すなわち、リム収容溝50とリム収容溝56の内部)にはリム部14を収容する。リム部14はリム収容溝50、56の内周部に嵌合し、或いは、リム収容溝50、56内にも設けられた図示しない充填剤等によってリム収容溝50、56内で固定される。
【0025】
また、図1に示されるように、本ステアリングホイール10では、芯26と木部材40との間には隙間60が形成されており、この隙間60ではリム部14に樹脂ピース62が組み付けられている。図5に示されるように、樹脂ピース62は相対的にリム部14の軸方向乗員側(図5の矢印Z1方向側)に位置する表側ピース64とこの表側ピース64の反乗員側(図5の矢印Z2方向側)に位置する裏側ピース66とにより構成されている。
【0026】
図5に示されるように、表側ピース64は、例えば、ウレタン樹脂若しくはその他合成樹脂材により成形された断面形状が反乗員側へ向けて開口した凹形状に形成されている。この表側ピース64の乗員側の表面は木部材40を構成する表側部分片42の乗員側表面46よりもリム部14の軸方向に沿って反乗員側に位置するように形成されている。一方、表側ピース64の反乗員側の面は平面とされており、この面には木部材40を構成する表側部分片42に形成されたリム収容溝50と同様のリム収容溝68が形成されている。
【0027】
これに対して、裏側ピース66は、例えば、ウレタン樹脂若しくはその他合成樹脂材により成形された断面形状が乗員側へ向けて開口した凹形状に形成されている。この裏側ピース66の反乗員側の表面は木部材40を構成する裏側部分片44の反乗員側表面52よりもリム部14の軸方向に沿って乗員側に位置するように形成されている。一方、裏側ピース66の乗員側の面は平面とされており、この面には木部材40を構成する裏側部分片44に形成されたリム収容溝56と同様のリム収容溝70が形成されている。表側ピース64と裏側ピース66とはリム収容溝68、70の開口方向が互いに対向し、且つ、リム収容溝68、70にリム部14が入り込んだ状態でリム部14へ組み付けられている。この表側ピース64と裏側ピース66とによって構成される樹脂ピース62は、リム部14の周方向に沿った一方の端面が木部材40に当接して他方の端面が芯26に当接し、リム部14の周方向に沿った芯26に対する木部材40の相対変位を制限している。
【0028】
さらに、図1に示されるように、この樹脂ピース62の外側は芯26を被覆した被覆部28により被覆されており、外側からは芯26並びに樹脂ピース62を見ることはできず、また、芯26と樹脂ピース62との境目も見ることはできない。
【0029】
次に、本実施の形態の作用並びに効果について本ステアリングホイール10の製造方法の説明に基づいて説明する。
【0030】
上記構成のステアリングホイール10の製造方法では、先ず、図6に示されるように、原材整形工程で表側部分片42の基となる原材80が形成されると共に裏側部分片44の基となる原材82が整形される。これらの原材80、82にはリム収容溝50、56が形成されているものの、外形状は表側部分片42及び裏側部分片44の各々の外形状よりも大きく、この原材80、82の外表面を削ったうえで塗装等を施すことにより表側部分片42及び裏側部分片44となる。
【0031】
次に、木部材装着工程としての原材装工程で原材80、82がリム部14の所定位置(すなわち、木部材40の装着位置)に装着される。
【0032】
さらに、原材装着工程を経た芯金12で芯材形成工程としての成形工程で芯26を成形するための射出成形用金型内に装着され、この状態で、例えば、ウレタン樹脂の射出成形が行なわれる。これにより、リム部14のうち、芯26の形成部位に芯26が形成される。ここで、この状態においては、芯26と原材80、82との間に隙間60が形成されている。
【0033】
次いで、整形工程では原材80、82の外表面が削られると共に塗装等が施されて木部材40を構成する表側部分片42及び裏側部分片44が形成される。ここで、上述したように、形成された芯26と原材80、82との間には隙間60が形成されているため、原材80、82の整形加工等が容易にできる。なお、本実施の形態では、この整形工程にて原材80、82の整形の後に塗装を施すが、塗装に関しては別工程にて行なってもよいし、不要であれば塗装を行なわなくてもよい。
【0034】
さらに、この整形工程を経た芯金12の隙間60に樹脂ピース62を構成する表側ピース64と裏側ピース66が装着される。これにより、リム部14の周方向に沿った芯26に対する木部材40の相対変位が制限される。
【0035】
次いで、被覆部装着工程で被覆部28が芯26と樹脂ピース62の双方に亘り装着され、これにより、芯26並びに樹脂ピース62が被覆される。上述したように、被覆部28を装着することで、芯26と樹脂ピース62とを外側から見ることはできず、また、芯26と樹脂ピース62との境目も見ることはできない。このため、外観が向上する。
【0036】
以上の工程を経て本ステアリングホイール10は形成されるわけであるが、仮に芯金12を金型に装着する際に原材80、82の表面に傷がつこうとも、上記のように、整形工程が成形工程よりも後になるため、整形工程にて原材80、82の外表面が削られることで傷が消滅することになる。このため、外観品質の向上並びに維持が容易となり、しかも、金型に装着する際に傷等の心配をしなくてもよいため、作業効率が向上し、製造コストの軽減に寄与する。
【0037】
なお、本実施の形態では、樹脂ピース62を表側ピース64と裏側ピース66の2部品で構成したが、例えば、図7に示されるように、リム部14へ装着可能な程度の開口部86を形成した樹脂ピース88であれば樹脂ピース62を1部品で構成することも可能であることを附言しておく。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、木製の外皮に傷等をつけることなく製造でき、しかも、作業効率をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るステアリングホイールの平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るステアリングホイールの正面図である。
【図3】木部材装着部分におけるステアリングホイールの断面図である。
【図4】芯材装着部分におけるステアリングホイールの断面図である。
【図5】制限部材装着部分におけるステアリングホイールの断面図である。
【図6】木部材を整形する前の状態を示す断面図である。
【図7】制限部材の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ステアリングホイール
12 芯金
26 芯(外皮芯材)
28 被覆部
40 木部材
62 樹脂ピース(制限部材)

Claims (2)

  1. リング状に形成された芯金の一部に木の無垢材により形成された木部材を装着する木部材装着工程と、
    前記芯金の前記木部材が装着された部分以外の所定部位の周囲に合成樹脂材によって外皮芯材を形成する芯材形成工程と、
    前記芯金に装着された前記木部材の外形を整形する整形工程と、
    前記木部材と前記外皮芯材との間で前記芯金に制限部材を装着して前記芯金の周方向に沿った前記外皮芯材に対する前記木部材の相対変位を制限する制限部材装着工程と、
    の各工程を有するステアリングホイール製造方法。
  2. 前記芯金に装着された前記外皮芯材及び前記制限部材の双方の外側から被覆部を装着して前記外皮芯材及び前記制限部材を被覆する被覆部装着工程を有することを特徴とする請求項1記載のステアリングホイール製造方法。
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