JP3842253B2 - ハトムギ食品の製造方法 - Google Patents
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Description
この従来の穀類食品の製造方法は、米,麦,ハトムギ,ヒエ,アワ等の穀類を用い、この穀類を蒸す蒸し工程と、蒸した穀類を乾燥する乾燥工程と、乾燥した穀類を焙煎する焙煎工程と、焙煎した穀類を粉末化する粉末化工程とを備えている。
蒸し工程は、殻付きの穀類、例えば籾米を約8時間水に浸した後、温度95℃〜100℃で2時間蒸して行なわれる。次に、乾燥工程では、穀類を温度60℃〜70℃で約10時間乾燥させる。焙煎工程は、鉄窯の中に穀類とセラミックスの粒を入れ、温度170℃〜180℃で約20分間焙煎する。焙煎した穀類を粉末化する工程は、機械的に焙煎した穀類を微粉化する。また、その後、穀類の粉体を造粒化することも行なっている。
このハトムギ食品を用いるときは、例えば、そのまま食し、湯に溶いてお茶として飲用に供しあるいは種々の食品に添加して用いる。この場合、このハトムギ食品は、殻が煮られてからろ過により除去されてペースト状になるので、殻に起因した渋みが抑制されて、ハトムギのエキス分が抽出されることから、食味の向上が図られる。また、ペースト状なので食したときの食感が向上させられる。更に、ペースト状なので、他の食品との混合性が向上させられる。
20重量%を超えると抽出の効率が悪くなり、ペースト量も少なくなる。
これらの範囲で、適正な抽出が行なわれ、十分なペースト量が得られる。
次にハトムギ食品の製造方法の各工程を説明する。
ハトムギを外殻付きのまま、仕上がり温度を220〜230℃に達するまで焙煎する。
ついで、ミキサー等を用いて焙煎したハトムギを破砕する。ハトムギは荒破砕としている。ハトムギ粒径φは、0.1mm≦φ≦5.6mmとし、望ましくはハトムギ粒径φを0.2mm≦φ≦0.9mmとしている。
破砕工程で荒破砕したハトムギを煮て、エキス分を熱水中に抽出する。煮工程で使用する荒破砕したハトムギの添加量は、湯に対して1重量%〜20重量%、望ましくは、2重量%〜15重量%、より望ましくは、3重量%〜10重量%にしている。熱湯の温度を95〜120℃、煮出し時間5分以上として煮る。即ち、ハトムギは熱湯に入れ、加熱する。荒破砕したハトムギを煮て抽出したエキス分には、ハトムギのデンプンを含む成分が抽出される。
煮工程で生成された煮汁とハトムギをろ過する。ろ過は、搾汁であっても良い。ろ過に使用する網は、20〜100メッシュ目の網を用いる。ろ過工程でろ過したろ液のBrix値は0.5〜20%となっている。
次に、ろ液を加熱して濃縮する。ろ過工程でろ過したろ液を、そのBrix値が3〜50%となるまで加熱濃縮する。加熱濃縮により、ハトムギ茶の成分濃度が高く濃縮され、ハトムギ茶の粘度が上がり、ペースト状になる。
ペースト状ハトムギを加熱殺菌し、製品とする。更に、−20℃以下で急速冷凍することにより、風味や粘性を損なわずに長期保存が可能となる。
焙煎破砕ハトムギの加水量について試験を行なった。
煮工程において、湯に対する焙煎し荒破砕したハトムギの割合を1重量%から30重量%までの範囲で変化させて、目的とするペースト状ハトムギ茶(Brix値25%に調整)の製造量を調べた。尚、ハトムギの焙煎条件は、仕上がり時の焙煎機内温度が220〜230℃とした。焙煎ハトムギの破砕条件は、20〜60メッシュとし、加熱条件は98℃、10分間及び20分間の2段階とした。
焙煎ハトムギの破砕条件について試験を行なった。焙煎ハトムギの破砕条件については、(1)未破砕のままのもの、(2)破砕し5〜20メッシュ(5メッシュパスから20メッシュ上まで)に粒度をそろえたもの、(3)破砕し20〜60メッシュ(20メッシュパスから60メッシュ上まで)に粒度をそろえたもの、(4)微粉砕し60メッシュのふるいをとおるもの(60メッシュパスから300メッシュ上まで)の4水準に調整した。この4水準の粒度の焙煎破砕ハトムギを用いて煮だし、煮詰めによりBrix値25%のペースト状ハトムギを製造し、その製造量を試験した。ハトムギの焙煎条件は仕上がり時の焙煎機内温度が220〜230℃としている。煮工程での条件は、98℃、20分であった。
即ち、ハトムギ粒径φを0.2mm≦φ≦0.9mmにすることが好適である。
尚、(4)微粉砕60メッシュパス条件で製造したペースト状ハトムギは、静置中に沈殿分離が起こり、指で触るとざらざらした触感で(1),(2),(3)については沈殿分離や触感がざらつくことがなかった。これは微粉砕した焙煎破砕ハトムギがふるいを通過してペーストに混ざりこんだためだといえる。また、ペースト状ハトムギ自体がざらついていると、他の食品に添加した際に混合性が悪くなり製造においては機械等に負荷がかかり、舌触りにざらつきが生じ食感が落ちるという問題が生ずるので、(4)の微粉砕60メッシュパス条件で製造したペースト状ハトムギは、他食品への添加には適さないことがいえる。
次に、ペースト状ハトムギを食品に添加した場合についての食味比較試験を行なった。この試験では、ペースト状ハトムギを添加した食品をアイスクリームとした。このペースト状ハトムギを添加したアイスクリームは、牛乳,植物性ホイップクリーム,砂糖,卵黄を原料としてイエローベースを調合し、作成した。
これによると、Brix値3.6%,混合比10重量%のアイスクリームに比べ、Brix値36.6%,混合比1重量%のアイスクリームが適度の風味となめらかさがあり、食味が優った。
更に、アイスクリームに液状のハトムギをそのまま添加すると、アイスクリーム中に氷結がおこる。このアイスクリーム中の氷結は、製造ラインへ負荷を与えるため作業性が低下したり、アイスクリームの食感を損なうという問題を引き起こす。本例のように、ハトムギをペースト状にしてアイスクリームに添加した場合には、製造中の氷結もなく、滑らかで風味豊かなアイスクリームの製造が可能となった。
(2)破砕工程
(3)煮工程
(4)ろ過工程
(5)濃縮工程
(6)殺菌工程
Claims (2)
- ペースト状のハトムギ食品を製造するハトムギ食品の製造方法において、
殻付きのハトムギを焙煎する焙煎工程と、上記焙煎工程で焙煎したハトムギを破砕する破砕工程と、上記破砕工程で破砕したハトムギを湯で煮る煮工程と、上記煮工程で煮たハトムギと湯をろ過するろ過工程と、上記ろ過工程でろ過したろ液を濃縮する濃縮工程とを備え、
上記破砕工程で、ハトムギを荒破砕し、ハトムギ粒径φを0.2mm≦φ≦0.9mmとし、
上記煮工程で、湯に対するハトムギの添加量を2重量%〜15重量%とし、
上記濃縮工程で、ろ液をBrix値が3〜50%になるペースト状にすることを特徴とするハトムギ食品の製造方法。 - 上記煮工程で、湯に対するハトムギの添加量を3重量%〜10重量%としたことを特徴とする請求項1記載のハトムギ食品の製造方法。
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