JP3739992B2 - アンギオテンシン変換酵素阻害剤として用いられる新規ペプチド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【従来の技術】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は主にヒトの血管の内皮細胞、肺、腎臓及び脳に存在する。この酵素は、血管の収縮を引き起こし、血圧を上昇させるために、C末端から2つのアミノ酸(His−Leu)を切断することにより、不活性なアンギオテンシンIを活性なアンギオテンシンIIに変換し得る。その間に、ACEは血管の軽減の機能を示すブラジキシンを不活性化し得る。したがって、ACEは血圧を上昇させることができる。
【0002】
アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)のACEへの結合はアンギオテンシンIIの生成及びブラジキニンの不活性化を減少し得る。ACEIを食品に加えると、高血圧症状を減少させるのにプラスの効果を引き起こすだろう。現在のところ、多くのペプチドがACEの阻害についての効果を有することが知られている。それらは異なったアミノ酸配列と長さを有する。ACE阻害活性を有するポリペプチドは食品から単離できる。これらの食品は、動物または植物タンパク質、たとえば、カゼイン(丸山及び鈴木、1982)、コーンタンパク質(三好他、1991)、イワシの肉(松井他、1993)及びカツオ(松村他、1993)並びに発酵食品、たとえば、酒及びワイン残渣(斎藤他、1994)、大豆油(木下他、1993)、チーズ(岡本他、1995)及び発酵ミルク(中村他、1995)等の加水分解物を含む。
【0003】
特開平5−87052号公報及び特開平2−154693号公報はオリゴペプチドを含有する物質を開示する。月刊「食品化学(Food ChemicalMonthly)」1990年6月号第80頁も、血液中のトリグリセリドの濃度の低下を含む、脂質の代謝に改善された効果を有する特異的なオリゴペプチドを開示する。上記特許及び参考文献に記載されたオリゴペプチドを含有するこれらの物質はタンパク質加水分解物の混合物である。しかしながら、それらは、活性成分の混合物のアミノ酸配列を記載していない。ペプチドを含有する上記物質の純度は比較的低く、医薬として用いることができない。さらに、これらの物質が食品の中に含まれている時、食品に含まれている他のペプチドから定量的に検出するのが非常に困難である。これが、品質管理にいくらかの問題を引き起こすだろう。
【0004】
特開平6−298794号公報は、動物源及び植物源、たとえば、魚肉、豚及び鶏のタンパク質からのACEIの製造方法を開示する。この方法はタンパク質ヒドロラーゼ、たとえば、サーモリシン、ペプシンまたはトリプシンを出発物質を分解するのに適切な培地及び適当な条件で利用する。加水分解物を遠心分離、ろ過、濃縮及び樹脂吸収にかけて、ACE阻害活性を有するペプチドを得る。特開平5−331192号公報は、サーモリシンによりカツオブシを加水分解してACE阻害活性を有するペプチドを生成することを開示している。そのペプチドの配列は、H−Tyr−Ser−Trp−Ala−OHである。特開平4−264098号公報は、脂肪を含有しない鶏の肉からのACE阻害活性を有するペプチドの製造を開示する。そのペプチドの配列はGln−Lyn−Pro−Lys−Argである。米国特許第5,854,029号明細書は、ACE阻害活性を示す、ジペプチド、Tyr−Proの製造方法を開示する。この方法においては、Tyr−Proを含有するペプチド及び/またはタンパク質培地中でラクトバシラス(lactobacillus)属をインキュベートして、多量のTyr−Proを含有するインキュベート溶液を得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術の中では、ACE阻害活性を有するペプチドを製造するために、動物のタンパク質、たとえば、魚肉、鶏または豚とは異なったヒドロラーゼ、分離及び精製方法を利用する。しかしながら、出発物質のコストはより高価である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、鶏のエキスの製造により生産された廃棄物の加水分解及びさらなるヒドロラーゼを用いる廃棄物混合物の処理は、強力なACE阻害活性を有する生成物を得ることができることを見い出した。この方法はコストが低く、鶏のエキスの副生物の価値を改善し得る。
本発明の主な目的は、ACE阻害活性を有する新規なペプチドを提供することである。
本発明の他の目的は、ACE阻害活性を有する生成物の製造方法を提供することである。この方法はタンパク質ヒドロラーゼを有する鶏かすの、ACE阻害活性を有する生成物を得るための処理を含む。この生成物は健康食品に用いることができる。
【0007】
ACE阻害活性を有する本発明のペプチドは次の配列:
Val−Leu−Tyr(VLY)
を有する。
【0008】
これらのペプチドは天然物質から単離及び精製できるかまたは公知の化学合成方法で製造することができる。アミノ酸配列によると、それらは、そのペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列を適切なベクターに入れて、クローン化させ、適切な宿主細胞中で発現させることによっても製造することができる。
【0009】
本発明によると、鶏エキスを製造する過程から生産された廃棄物が出発物質として用いられる。それらは不完全に加水分解された鶏肉及び鶏骨かすである。前記物質に適当な量の水とタンパク質ヒドロラーゼを加えて、適当な反応条件で加水分解する。次いで、加水分解物とかすとを分離し、液体を収集する。得られた液体をさらなるろ過及び濃縮後、乾燥させて、粗生成物を得る。生成物を精製してペプチドを得る。そのペプチドのアミノ酸配列を配列決定機で決定する。そのペプチドを医薬、健康食品として用いることができるか、または食品に添加することができる。
【0010】
本発明は、さらにACE阻害活性を有する生成物の製造方法を開示し、それは次の工程、
(a)鶏かすの溶液に反応のためにタンパク質ヒドロラーゼを加える、
(b)工程(a)の反応後、鶏かすと液体を分離させ、分離した液体を収集する、及び
(c)工程(b)から得られた液体を乾燥させて生成物を得る、
を含む。
【0011】
本発明によると、この方法は出発物質として鶏のエキスを製造する方法から生産された廃棄物を利用する。その物質は不完全に加水分解された鶏肉及び鶏の骨かすである。これらの物質は鶏のエキスを製造する工場から得ることができる。その物質に適当な量の水とタンパク質ヒドロラーゼを加える。混合物を適当な反応条件下で反応させる。加水分解物とかすとを分離し、液体を収集する。得られた液体を、生成物を得るために、さらなるろ過及び濃縮後に乾燥させる。生成物をACE阻害活性を示すために検出し、生成物は健康食品に広く用いることができるか、または食品添加物として用いることができる。加水分解生成物をさらに精製すると、ACE阻害活性を有するペプチドが得られる。このペプチドは医薬として用いることができる。
【0012】
工程(a)のタンパク質ヒドロラーゼは、タンパク質加水分解活性を有するもの、たとえば、サーモリシン、ペプシン、トリプシン、ブロメレイン(Bromelain)、アルカラーゼ(Alcalase)、フレーバ−ザイム(Flavorzyme)またはエスペラーゼ、ならいかなるものでもよく、好ましくはアルカラーゼである。
タンパク質ヒドロラーゼのための加水分解反応の温度及び時間は、選択したヒドロラーゼの種に依存する。たとえば、アルカラーゼを鶏かすの加水分解を進めるのに用いるなら、好ましい温度は約50〜70℃で、好ましい反応時間は約1〜5時間である。
【0013】
加水分解後の加水分解物は、次いで液体とかすに分離する。一般に、分離は、当業者に既知の分離のいかなる操作工程によっても実施することができる。加水分解物を乾燥工程を容易にするために、さらに濃縮して水を除去することができる。たとえば、かすを含有する加水分解物をろ過袋に入れ、ろ液を収集するために遠心分離することができる。ろ液を珪藻土と混合し、加圧ろ過にかけ、そして真空濃縮することができる。
【0014】
濃縮された加水分解物をさらに限外ろ過にかけて、高分子量の分子を除去することができる。この工程は、100〜20,000の分子量カットオフを有する膜、好ましくは、10,000の分子量カットオフを有する膜を用いて膜ろ過を進行させる。
本発明に関係する乾燥工程は、当業者に既知のあらゆる方法、たとえば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥機乾燥及び流動床乾燥、特に噴霧乾燥により達成できる。
【0015】
乾燥後の生成物は健康食品に適用できるか、または食品添加剤として用いることができる。それらをさらに精製して、医薬として用いることができるペプチドを得ることができる。精製工程は、当業者に既知のあらゆる方法、たとえば、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー及びアフィニティークロマトグラフィーによって達成できる。
本発明の1つの好ましい態様では、得られた生成物をさらに精製して、ACE阻害活性を有するペプチドを得る。アミノ酸配列は、Val−Leu−Pro(VLP)、Ile−Leu−Pro(ILP)、Val−Leu−Tyr(VLY)、Val−Leu−Pro−Pro(VLPP)及びIle−Leu−Pro−Pro(ILPP)と決定される。
【0016】
ACE阻害活性を有する本発明のペプチドは既知の化学合成により製造することができる。たとえば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カーボイミダゾール法、酸化−還元法、DCC−活性法〔たとえば、Schroder及びLuhke「The Peptide」vol.1(1996)、Academic Press、米国,ニューヨーク州、または泉谷他「Peptide Synthesis」丸善株式会社(1975)参照〕。これらのペプチド合成法は、固相合成または液相合成のいずれかで実施することができる。側鎖官能基を有するアミノ酸、たとえば、チロシン及びトレオニン、は、好ましくは、それらの側鎖官能基において、既知の保護基、たとえば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基またはベンジル基等で保護される。保護基は既知の任意の方法で除去できる。
【0017】
次の例は、本発明の技術内容を具体化するために本発明の可能性の詳細な説明のためであって本発明の範囲を限定するためではない。従来技術の教示に基づいた当業者の本発明に対する任意の変更及び修正は本発明の範囲内である。
【0018】
【実施例】
例1−加水分解鶏かすからのACE阻害活性を有するペプチドの製造
54kgの鶏の骨、43.2kgの水、162gのニュートラーゼ、270gのプロタメックス(Protamex)、162gのポリリン酸塩及び32gのトコフェロールの混合。混合物を62℃で2時間加水分解する。7,480gの骨のかすを加水分解後に得る。加水分解物を遠心分離して11,060gのろ液を得る。11,060gのろ液を4倍の容積の水(44,000g)で希釈し、110gのアルカラーゼを用いて65℃で2.5時間再加水分解する。加水分解物を遠心分離して、ろ過かす6,600gを得る。ろ液に1kgの珪藻土を加え、加圧ろ過で処理し、ブリックス2.0を有する再加水分解物を得る。噴霧乾燥を容易にするために、再加水分解物を濃縮し、分子量カットオフ10,000の膜を用いて限外ろ過する。本例は、混合物をブリックス11.8まで濃縮し、次いで噴霧乾燥を進行させる。噴霧乾燥のための加水分解物は4,850gである。噴霧乾燥後、粉末391.4gを得る。
【0019】
例2−ACE阻害活性の決定方法
1.鶏の骨の加水分解物の再加水分解
例1から得られた鶏ろ液を2倍の容積の水で希釈し、混合し、5つの群に分割する。加水分解物の質量に基づいて、1%のブロメレイン(Bromelain)、アルカラーゼ、フレーバーザイム、エスペラーゼ及び水を各群に加える。これらの混合物を60℃で2.5時間反応させ、次いで、90℃まで10分間加熱して、酵素を不活化する。加水分解物を10,000gで20分間遠心分離する。上方の溶液をACE阻害活性の決定のために収集する。結果を表1に示す。IC50値はACE活性の50%阻害に対して必要なACEIの濃度である。
【0020】
2.ACEI活性の決定
(a)HHL法
この方法はCushman及びCheung「Biochem.Pharmacol.」20、1637(1971)の方法を修正したものである。80μlの加水分解物をHHLインキュベート溶液に加える。インキュベート溶液は5mMのHHL(ヒップリル−ヒスチジル−ロイシン)及び0.1Mのホウ酸ナトリウム緩衝液中の0.3Mの塩化ナトリウムを含有する。この溶液を37℃(予備加熱)で5分間インキュベートする。20μlの0.1U/ml ACE溶液を前記溶液に加え、37℃で30分間インキュベートする。溶液に1Nの塩化水素酸を加える。次いでこの溶液を1.7mlの酢酸エチルで抽出する。次いで、有機部分を真空乾燥にかける。乾燥粉末を1mlの水に再溶解する。吸収値をUV228mmで測定する。
【0021】
鶏の再加水分解物のタンパク質濃度は当業界で既知であるミクロ−ビウレット法により決定される。再加水分解物溶液は別々に50,100,200,300及び400容積の上記5つの濃度まで希釈される。回帰曲線を対数関数としてプロットし、IC50値を対数関数から決定した。
【0022】
b)シグマキット法
この方法はシグマキットのマニュアルを修正する。0.05mlの脱イオン水(対照のための)または0.05mlの試料(試験のため)を1mlの反応溶液(ACE基質)に加える。0.05mlの検量溶液(豚ACE)を前記溶液に加える。溶液を37℃で5分間置く。340nmでの吸収値を決定する(この値を初期A値という)。この測定後、この混合物を水浴に置き直す。5分後、吸収値を再び測定する(この値を最終A値という)。得られたこれらの値を次のように計算する。
【0023】
【数1】
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示された結果から、ACE阻害活性のIC50値をHHL法で測定するかあるいはシグマキット法で測定するかのいずれにせよ、再加水分解物の活性のオーダーは同一であることが分かる。アルカラーゼにより製造された再加水分解物生成物は最も顕著な活性を有する。
【0026】
例3−限外ろ過の方法
さらに、再加水分解物を精製し、噴霧乾燥による生成物の製造を容易にするために、限外ろ過を実施して生成物を濃縮する。選択された限外ろ過膜は、それぞれ、10,000及び500のカットオフ分子量を有するものである。再加水分解物を10,000及び500のカットオフ分子量を有する膜を用いて順にろ過する。透析物のACE阻害活性を上記方法で決定する。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
上表から、10,000のカットオフ分子量を有する膜は高分子量を有する物質(すなわち、短い保留時間のもの)を除去できる。500の分子量カットオフを有する膜を用いる限外ろ過の前後の物質の有意な差を観察する。より低分子量でより純粋な物質が得られる。表2に示されたIC50値との比較で、10,000のカットオフ分子量を有する膜を通過する物質はより顕著なACE阻害活性を有する。500のカットオフ分子量を有する膜については、限外ろ過の前後の物質の活性は有意な差はない。したがって、10,000の分子量カットオフを有する膜を用いる再加水分解物の処理は、高分子量の物質の部分及び再加水分解物の沈澱を除去し、かつ、再加水分解物のIC50値を効果的に増加し得る。
【0029】
例4−ペプチドの精製
1gの前に噴霧乾燥した粉末を50mlの水に溶解する。溶液を0.45μの遠心管でろ過し、精製し、次の工程により特徴づける。
1.サイズ排除カラムを最初の分離段階で用いる。
条件は次のとおりである。
システム:AKTA精製機
分離カラム:Superdex Peptide HR 1030
移動相:0.5μl
溶離液:5%のアルコール水溶液
流量:0.5ml/分
検出器:214、254及び280nmでの検出
結果を図1に示す。
【0030】
上記の画分を、繰り返し、10回収集する。収集した溶液をSpeed Vacを用いて凍結乾燥する。画分2,3及び4の総乾燥質量は、それぞれ、0.054、0.143及び0.019mgである。3つの画分を水に2回再溶解し、2つの濃度、1mg/ml及び10mg/mlに配合する。1mg/ml溶液をACE阻害活性の決定のために用いる。10mg/ml溶液を精製のために用いる。画分2,3及び4(1mg/ml)をシグマキットにより、0%、46.69%及び27.71%のACE阻害活性を有すると決定する。画分3(この後、A3という)を次の精製に進める。
【0031】
2.RP18カラムを第2段階で用いる。条件は次のとおりである。
結果を図2に示す。
【0032】
図2の結果を5つの画分に分離できる。5つの画分を3回収集し、SpeedVacで乾燥する。乾燥固体物質の質量は、それぞれ、0.0085、0.0222、0.0303、0.0432及び0.0214である。前の操作と同様に、5つの画分を1mg/mlの溶液に配合し、ACE阻害活性の決定に用いる。10mg/mlの溶液を精製に用いる。5つの画分のACEの阻害をシグマキットにより決定する。結果は次のとおりである:
【0033】
【表3】
【0034】
表3から、画分A3−B4は最も顕著なACE阻害活性を有することが理解できる。したがって、画分A3−A4をさらに精製する。
【0035】
3.分析クラスのRP18カラムを第3段階で用いる。
条件は次のとおりである。
検出器:214、254及び280nmを用いる検出
結果を図3に示す。
【0036】
図3の結果を8つの画分に分離できる。8つの画分を15回収集し、Speed Vacを用いて真空乾燥する。8つの画分をACE阻害活性の決定のために1mg/mlの溶液に配合する。10mg/mlの溶液を精製に用いる。8つの画分のACE阻害は次のとおりである。
【0037】
【表4】
【0038】
表4は画分A3−B4−C6が最も顕著なACE阻害活性を有することを表わしている。したがって、画分A3−B4−C6をさらに精製する。
【0039】
4.分析クラスのC−18カラムを第4段階に用いる。条件は次のとおりである。
結果を図3に示す。
【0040】
図4における5つのより明らかなピークをA3−B4−C6−D1〜D5という。それらの配列を配列決定機で決定する。5つの短鎖ペプチド、Val−Leu−Pro(VLP)、Ile−Leu−Pro(ILP)、Val−Leu−Tyr(VLY)、Val−Leu−Pro−Pro(VLPP)及びIle−Leu−Pro−Proが得られる。それらのACE阻害活性(IC50)を決定する。結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
例5−動物試験
7週令の20匹の雄のSHR/N(自然の高血圧ラット:岡本−青木SH/N)ラットを購入した。ラットをステンレス製のケージの中で粉末餌で飼育した。8週令のラットを1グループ6〜7匹のラット(体重約157g)の3つのグループにランダムに分割した。3つのグループを通常の餌(対照)、1%のACEI及び3%のACEIで飼育した。これらのラットは食物と水に自由にアクセスできた。ケージを温度24±1℃、相対湿度50〜70%に保った。試験の期間は17週である。試験の期間中、体重及び血圧を1〜2週毎に記録した。
【0043】
ラットの収縮期の血圧及び心拍数をプログラムされた電気フィゴマノメーター(electrophygomanometer,PB98A,Sortron)により測定した。結果を図5及び6に示す。
図5はACEIを含有する餌で飼育することによる自然高血圧ラットの成長を示す。3グループのラットの体重は時間の増加とともに増加する。3グループの中に有意の差はない。餌の量は有意な差がない(対照のための餌の消化量は1%ACEI及び3%ACEIグループは、それぞれ、20.1±1.5、20.3±1.7、19.6±1.3gである)。結果はACEI粉末の添加は食欲及び成長のいずれにも影響しないことを示している。
【0044】
図6は、ACEIを含有する餌で飼育することによる自然高血圧ラットの血圧の変化を示す。全体として、自然発生高血圧ラットの血圧は年とともに次第に増加する。ラットをACEIで飼育しないなら、血圧は約200mmHgに増加するとき、安定値に維持し得る。8週間、ACEIで飼育したラット(16週令)の血圧は、わずかに制御されるが、対照の血圧と異ならない。15週後、ACEIで飼育されたラットの血圧は対照の血圧より有意に低い(P<0.05)。1%及び3%のACEIで飼育されたラットの血圧は、それぞれ、14及び25mmHg低下する。この傾向はラットが24週令になるまで続く。これは、長期間の再加水分解物の消化は、全く、血圧の低下に生理学的な効能を示すことを示している。投与を増加すればするほど、血圧の低下に有意な効能を示す。ACEIでの1週間の飼育の終りに、血圧の低下効能は、さらにある期間なお続くかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【図1】サイズ排除カラムを用いることによる本発明により製造された第1段階のペプチドの単離の結果を示す。
【図2】RP18カラムを用いることによる本発明により製造された第2段階のペプチドの精製の結果を示す。
【図3】分析クラスのC−18カラムを用いることによる本発明により製造された第3段階のペプチドの精製の結果を示す。
【図4】やはり、分析クラスのC−18カラムを用いることによる本発明により製造された第4段階のペプチドの精製の結果を示す。
【図5】ACEIを含有する餌で飼育された自然高血圧ラットの成長を示す。
【図6】ACEIを含有する餌で飼育された自然高血圧ラットの血圧の変化を示す。
Claims (10)
- Val−Leu−Tyr(VLY)で表わされる、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を有するペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドを含むACE阻害剤。
- 請求項1に記載のペプチドの製造方法であって、次のステップ:
(a)反応のために鶏かすの溶液にタンパク質ヒドロラーゼを添加し、
(b)ステップ(a)の反応後、上記鶏かすと液体とを分離し、そして当該分離された液体を回集し、
(c)ステップ(b)から得られた上記液体を乾燥させる、そして
(d)得られたペプチドを精製する、
を含む前記方法。 - 前記タンパク質ヒドロラーゼがアルカラーゼである、請求項3に記載の方法。
- 前記鶏かすを50〜70℃で1〜5時間加水分解する、請求項3に記載の方法。
- 前記鶏かすと前記液体とを加圧ろ過にかけ、そして前記分離された液体を濃縮する、ステップ(b′)さらにを含む、請求項3に記載の方法。
- 分子量カット−オフが10,000である膜を用いて限外ろ過を行うステップ(b″)をさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 請求項1に記載のペプチドを含む、ACE阻害用医薬組成物。
- 請求項1に記載のペプチドを含む、ACE阻害用健康食品。
- 請求項1に記載のペプチドを含む、ACE阻害用食品添加物。
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