JP3734456B2 - 電池パック及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電池パック及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、その他の移動情報機器、電子機器、OA機器等においては、携帯用電源として、取り外し自在な電池パックが用いられるようになっている。この電池パックは、電池セルとその電池セルを保護する硬質或いは軟質のカバー(包装)からなる。
前記の各機器においては、電池自身のエネルギー容量も増加する一方であり、連続使用時間も延びて使用領域も大きく拡大されている。これらの機器は持ち歩いて使用する場合が多いことから、機器の小型化、軽量化がますます重要な課題となってきている。
そして機器の重量に占める電池の重量は非常に大きく、各企業において電池パックの軽量化、小型化、よって電池パックを構成する電池セルやその保護カバーの小型化、軽量化が大きな課題となっている。
このような電池パックの小型化、軽量化の要請の下に、前記電池セルは、例えば電解液や電極とそれらを内部に収容するセルケースからなるが、そのセルケースは厚みをより薄くした金属製セルケースや軽金属によるセルケース、更には樹脂製セルケース、或いは軟質な樹脂フィルムによるセルケース等、薄くて軽いセルケースへと移行する傾向にある。
以上のような状況において、従来の電池パックの系統として、電池セルの周囲を熱収縮チューブにより封止、被覆することで電池セルを電気絶縁し、また外的衝撃から保護するようにした、いわゆるチューブパック方式と、ハードケースの中に電池セルを収容、固定することで、電池セルを電気絶縁し、また外的衝撃から保護するようにした、いわゆるハードパック方式とが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記熱収縮チューブを用いたチューブパック方式による場合は、電池パックの小型化、軽量化には適しているが、その反面、機械的な強度が得られ難く、電池パックを落としたりした場合に電池パックが破損する等の問題がある。このため熱収縮チューブを施した後に樹脂成形品で更に上から被せて接着する等の補強を図ったものもあるが、材料コスト及び作業コストの大きな増加となっている。
また熱収縮チューブは、それ自体がコスト高であり、更に電池セルに熱収縮チューブを覆い被せた後に熱処理をしなければならないというマイナス面がある。一方、前記ハードパック方式による場合には、機械的強度は得られ易いが、その反面、外形寸法の低減や軽量化が困難である。保護ケースを予め成形しておくための金型、プレス機械が必要になる等、コストが高くなる問題がある。
【0004】
そこで本発明は上記従来のチューブパック方式やハードパック方式による問題点を解消し、前記チューブパック方式やハードパック方式とは異なる全く新しい方式により、機械的強度や電気絶縁性を良好に保持しつつ、且つ軽量化、小型化を十分に図ることができ、しかも低コストを実現することができる電池パック及びその製造方法の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため種々の実験と研究を重ねた結果、従来のように電池セルに熱収縮チューブを被せたりすることなく、また保護ケース等を用いることなく、裸地の電池セルの表面に直接、必要な樹脂を必要なだけ印刷等することにより保護層を形成することで、電池パックを構成し、これによって電池パックの従来の機械的な強度や電気絶縁性を十分に維持しつつ、且つ軽量化、小型化、低コスト化を実現できることを知得し、本発明を完成した。
即ち、本発明の電池パックは、電池セルの周囲を樹脂の印刷によるコーティング保護層でカバーした電池パックであって、前記コーティング保護層は複数の層で構成すると共に各層毎に異なる特性の樹脂により前記複数の層を構成していることを第1の特徴としている。
また本発明の電池パックは、上記第1の特徴に加えて、コーティング保護層の樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRのうちから各層毎に異なる樹脂としていることを第2の特徴としている。
また本発明の電池パックの製造方法は、それぞれ異なる特性の樹脂を溶剤で溶かしてインキ化し、この複数種類のインキを用いて電池セルの周囲に複数回印刷することにより電池セルのコーティング保護層を構成することを第3の特徴としている。
また本発明の電池パックの製造方法は、上記第3の特徴に加えて、インキに使用する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRの各樹脂のうちの少なくとも2種以上からなることを第4の特徴としている。
また本発明の電池パックの製造方法は、上記第3又は第4の特徴に加えて、グラビアオフセット印刷により印刷を行うことを第5の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に説明する。
図1は本発明の電池パックの第1の実施形態を示す全体斜視図、図2は同じく断面図、図3は本発明の電池パックの第2の実施形態を示す断面図、図4は本発明の電池パックの第3の実施形態を示す要部の断面図である。
【0007】
先ず図1、2を参照して、電池パックPは、電池セル10とその周囲をカバーするコーティング保護層20とからなる。
前記電池セル10は、その外形が特に限定されるものではないが、コーティング保護層20を印刷により形成する場合には、その印刷に適した形状が好ましい。例えばシート状に電池セル10を構成した場合は、表裏の2面を印刷するだけで、実質的に電池セル10の周囲をコーティング保護層20でカバーすることができる。
本実施形態では、厚みの薄い長方形状としている。印刷は原則的には各表面(6面)に施すことになるが、厚みが十分に薄い場合には、その表面と裏面とを印刷するだけで、実質的に電池セル10の周囲をコーティング保護層20でカバーすることが可能である。本発明はこのような場合も、その範囲に含むものとする。
勿論、前記電池セル10の形状は、上記の扁平な形状に限らず、立方体形状や直方体形状のもの、円柱形状のもの等、その他、表面に印刷が可能な形状のものであれば可能である。
【0008】
電池セル10は、セルケース11、該セルケース11内に充填される電解物質12、電極13等からなる。電池セル10が構成する電池の種類は、例えばリチウム電池とすることができる。が、電池の種類は特に限定されない。よってまた電解物質12や電極13の材質等の特に限定されるものではない。
前記セルケース11は電解物資12の種類等により、アルミニウム合金、その他の電解物質に対して耐性を有する軽金属、その他の金属、合成樹脂、その他の材料によることが可能である。好ましくは軽く、薄くて強度があり、充填される電解物資に対して耐性のある材料を選択する。
本発明の第1の実施形態では、セルケース11は適当な剛性を有することで一定形状が保持されたものを用いている。
【0009】
前記セルケース11に対して、その周囲にコーティング保護層20が印刷により形成される。コーティング保護層20はセルケース11の全面に施される。勿論、外部接続に必要な部分等、コーティングをしてはならない部分については、コーティング保護層20が省かれることになる。
コーティング保護層20は電気絶縁性と機械的強度が良好な樹脂をセルケース11の表面に印刷することにより構成する。
前記電気絶縁性と機械的強度が良好な樹脂として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレン三量体)、CR(クロロプレン)の1種類乃至複数種類を用いることができる。
コーティング保護層20は、勿論、前記した樹脂に限定されるものではなく、その他の電気絶縁性と機械的強度が良好な樹脂(ゴムを含む)を含む。
【0010】
前記樹脂の印刷は、樹脂を予め溶剤で溶かしてインキ化することにより行う。前記溶剤は使用する樹脂に対応して、その樹脂を溶かし易い溶剤を選択することになる。
インキ化した樹脂でセルケース11の全面を印刷し、溶剤を乾燥させることで、電池セル10の全面にわたって、樹脂による電気絶縁性と機械的強度とが良好なコーティング保護層20で保護される。インキとして用いる樹脂は必要最少量のみの使用でコーティング保護層20の形成が可能である。このため材料コストも熱収縮チューブと比べて非常に安価である。またコーティング保護層20の厚みを印刷時に調整することも可能であり、コーティング保護層20の機械的強度、重量等を考慮して、最適な厚みを設定することが可能となる。
また従来の熱収縮チューブやハードケースを用いて保護層を形成するのに代わって、印刷により保護層を形成して電池パックPを構成するため、製造するための工程を十分に少なく簡略することができ、また材料の使用量も少ないため、製造コストを従来のチューブパック方式やハードパック方式に比べて格段に低減することができる。
【0011】
インキ化した樹脂の印刷は、例えばオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、その他の印刷法でも可能である。が、グラビアオフセット印刷で好ましく行うことができる。
グラビアオフセット印刷の場合には、使用できるインキの種類が多いため、樹脂を溶かしたインキであっても容易に印刷ができる。また蒸発乾燥型のインキを用いるので、容易に乾燥でき、何度も印刷を重ねることができる。よって同一或いは異なる種類の樹脂を次々と積層して、コーティング保護層20を容易に構成することができる。また印刷を重ねることでコーティング保護層20の厚み調整も正確に且つ容易に行うことができるメリットがある。
【0012】
オフセット印刷の場合には、転写胴のゴムブランケットによって、印刷の良し悪しが決まる。ゴム硬度が高いとゴムが変形せずにインキを十分転移させることが難しい。また低いとゴムの変形が大きくなり、精度良く印刷を行うことが難しい。ゴム硬度はJIS−Aで70〜20とあるが、好ましくは60〜30である。またブランケットの表面形状は印刷物の表面形状に大きく影響を及ぼすことがわかっている。表面粗度は10点平均粗さで10μm以下が好ましく、5μm以下の平滑な表面がより好ましい。
【0013】
前記インキに含まれる溶剤は、印刷特性を支配する重要な因子である。特にインキの沸点はインキの乾燥度合いに大きく影響を及ぼす。インキ溶剤の沸点が低すぎると、印刷中にインキが乾燥し、インキの粘度が高くなるために印刷がうまくできなくなる。またインキ溶剤の沸点が高すぎると、印刷後のインキの乾燥に非常に時間かかかるという問題が生じる。
本発明では乾燥温度に影響を受けないインキとして、紫外線照射で硬化するUVインキ(UVインキ溶剤)、或いは電子線照射で硬化するEBインキ(EVインキ溶剤)を好ましく使用することができる。
樹脂を溶かしたインキを印刷後に紫外線照射や電子線照射によって素早く硬化させることで、その上から更に、同じ種類のインキ又は特性の異なる樹脂を溶かしたインキを重ねて印刷して、異なる特性を併せ持ったコーティング保護層20を形成することができる。
【0014】
前記コーティング保護層20の印刷による厚みは、勿論、使用する樹脂の種類や組み合わせ等によっても変更されることになるが、0.003〜10mmの範囲とすることができる。好ましくは0.05〜1.0mmの範囲とする。
印刷によるコーティング保護層20の厚みは、これを薄くすればするほど電池パックPの軽量化、コスト低減化には良いが、その一方、機械的強度が低下し、また電気絶縁性も低下することになる。従って使用する樹脂の種類も考慮して、コーティング保護層20の厚みは上記の範囲とする。
【0015】
図3を参照して本発明の電池パックの第2の実施形態を説明する。
この実施形態においては、電池セル10のセルケース111を樹脂フィルム、金属フィルム等からなる柔軟性のあるフィルムで構成している。即ち、柔軟性のあるフィルムからなるセルケース111内に電解物質12と電極13等を封入して電池セル10としている。この電池セル10のセルケース111は、例えば一対の樹脂フィルムの周縁部を熱圧着或いはその他の接着、その他によって接合して構成することができることから、硬質のケースを金型などの設備を用いて製造しておく場合とは異なり、簡単に且つ容易に低コストで用意することができる。
本実施形態では、前記セルケース111は厚みの薄い扁平な状態に構成され、且つ全体の形状が柔軟に変形し得るものであって、機器への実装の柔軟性が高く、重量も大いに軽減される。
そして電解物質12と電極13等を封入したセルケース111の上から印刷を行って、コーティング保護層20を形成する。セルケース111は形状の柔軟性があるので、印刷にも対応可能である。
前記、電解物質12、電極13の材料等は既述した第1の実施形態と同様である。またコーティング保護層20の材料やインキ化、印刷法等も記述した第1の実施形態と同様である。
樹脂や金属からなるフィルムを用いてセルケース111を構成し、更に印刷によってコーティング保護層20を構成することで、電池パックPの軽量化を大きく促進することができると共に、金型等の不要化に伴う製造コストの大幅な低減か期待できる。
【0016】
図4を参照して本発明の電池パックの第3の実施形態を説明する。
この実施形態においては、電池セル10のセルケース11(111)に印刷して構成するコーティング保護層20を複数の印刷層21、22、23から形成するようにしている。例えば第1の印刷層21は絶縁性の良い樹脂を印刷した層とし、第2の印刷層22は機械的強度に優れた樹脂からなる印刷層とし、最表面の印刷層23は文字印刷に適した樹脂からなる印刷層とすることができる。
なお図面においては、印刷層は3層から構成されているが、これに限定されものではなく、2層以上の複数層から構成することができる。
例えば電池セル10に接する側から、絶縁性に適した印刷層、衝撃吸収に適した印刷層、色選択ができる印刷層、最表面を表面硬化層の順に積層することができる。
更に前記各印刷層の厚みも使用する樹脂の種類(同種または異なる種類)等によって変更調整することができる。
【0017】
上記の各実施形態においては、コーティング保護層20を印刷によって構成するようにしているが、印刷以外の手段でコーティング保護層20を構成することも可能である。例えば樹脂を溶かした液への浸漬によるコーティング、樹脂を溶かした液による塗装等によるコーティング、その他の公知のコーティング技術によるコーティングであっても可能である。
【0018】
実施例
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の末端をアクリル変性したエポキシアクリレート樹脂[日立化成ヒタロイド7851]97重量部に対して、光重合開始剤(ベンジルジメチルケタール)[第一工業製薬BDK]を3重量部配合してUVインキを作製した。このUVインキを角形平板状のリチウムイオン二次電池の電池セル表面に膜圧0.003mmでグラビアオフセット印刷し、80W/cmの高圧水銀灯(300〜390nm)の紫外線をコンベア速度25m/分で40mJ/cm2照射して硬化させた。得られた電池パックの絶縁性テストを行った結果、絶縁性は良好であった。
また硬化被膜のスパン長さ50mm、幅10mmの試片を用いて機械的強度を測定した。結果は、
鉛筆硬度 : H〜2H
伸び : <5%
抗張力 : 350kgf/cm2(引張り速度 : 50mm/分)
であった。これらの値からして、機械的強度も十分に良好であることが判った。
【0019】
比較例
角形平板状のリチウムイオン二次電池の電池セルの全面を覆うようにポリエチレン製の熱収縮チューブを被せ、そこに加熱処理を行うことで、約0.05mm厚のポリエチレン樹脂で覆われた電池パックを構成した。結果として、電池パックの小型化は実現できるが、外部衝撃に弱く、強い衝撃に対して保護の役割を果たさず、電池セルの破損を許容してしまう。
また製造に際しては、熱収縮チューブに必要なデザインの印刷を行い、必要なサイズで両端を接着して筒状に加工し、電池セルに被せ、時間と熱を加えてチューブを収縮させる工程が必要となる。これらの工程を必要とするため、材料コスト、製造コストが高くなる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上の構成、作用よりなり、請求項1に記載の電池パックによれば、電池セルの周囲を樹脂の印刷によるコーティング保護層でカバーした電池パックであって、前記コーティング保護層は複数の層で構成すると共に各層毎に異なる特性の樹脂により前記複数の層を構成しているので、
電池セルの周囲を樹脂でじかに積層したコーティング保護層によって保護されるので、より少ない樹脂量、樹脂厚みで確実に且つ緻密に電池セルの周囲を覆うことができる。
しかもハードパック方式に比べて、硬質のケース等を用いる必要なく電池セルを保護することができるので、軽量化、小型化を十分に図ることができる。金型等も不要となり、製造コストの低減の効果も大きい。
またチューブパック方式に比べても、電池セルに直接積層されたコーティング保護層により、樹脂によるより緻密な電気絶縁性を発揮することができると共に、耐衝撃性強度をより少ない樹脂量、樹脂厚みで実現することができる。また樹脂チューブ等を用いないので、コスト低減ができる。
加えて、電池セルの周囲を印刷によるコーティング保護層でカバーすることにしてあるので、印刷の特性を用いて、コーディング保護層を薄い厚みから厚い厚みに至るまで正確に調整されたものとすることができる。またコーティング保護層をより緻密で、且つ電池セルに十分に密着された層にすることができ、耐電気絶縁性、耐衝撃性等の特性をその分だけ良好にすることができる。
勿論、印刷によりコーティング保護層を構成することで、チューブパック方式の場合のように高温による熱処理や付属の作業をする必要がなく、作業の容易さ、コストの低減を図ることができる。またハードパック方式に比べて、印刷による密着したコーティング保護層を構成することができ、軽量化、小型化の効果が大きい。
加えて、コーティング保護層は複数の層で構成してあるので、
コーティング保護層に要求される厚みに応じて、複数層の厚みを自由に、正確に調整することができる。
特に、各層毎に異なる特性の樹脂により複数層を構成してあるので、
コーティング保護層に要求される特性に応じて、それぞれ異なる特性を持つ樹脂により複数層として必要な特性の全てを満たすようにすることが簡単にできる。
また請求項2の記載の電池パックによれば、上記請求項1の記載による効果に加えて、コーティング保護層の樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRのうちから各層毎に異なる樹脂としたので、
各層毎に要求に対して好適な異なる樹脂によるコーティング保護層を容易に構成することができる。
また請求項3に記載の電池パックの製造方法によれば、それぞれ異なる特性の樹脂を溶剤で溶かしてインキ化し、この複数種類のインキを用いて電池セルの周囲に複数回印刷することにより電池セルのコーティング保護層を構成することにしているので、
インキ化した樹脂を電池セルの周囲に印刷することで、樹脂による緻密で直接的なコーティング保護層を電池セルの周囲に容易に構成することができる。
しかも印刷による作業であるので、熱収縮チューブを用いるチューブパック方式等に比べて高熱による熱収縮処理やそれに付属する多数の工程を必要とすることなく、また硬質ケースを用いるハードパック方式等に比べて硬質ケースの成形加工や電池セルを前記硬質ケース内に納めて封止する複数の組立作業工程を必要とすることなく、よって非常に簡素化された少ない製造工程で電池パックを製造することができる。
また樹脂をインキにして使用するため、無駄な樹脂の使用が無くなり、最少限の樹脂量により十分軽量の電池パックを製造することができる。
勿論、高価な製造設備が不要となり、製造コストを従来の方式に比べて十分に低減することができる。
特に、それぞれ異なる特性の樹脂を溶剤で溶かしてインキ化し、この複数種類のインキを用いて、電池セルの周囲に複数回印刷することにより電池セルのコーティング保護層を構成することにしているので、
コーティング保護層に種々の特性が併せて要求される場合であっても、その種々の特性のそれぞれに応じた特性を持つ複数の樹脂を各インキ化して、それぞれ印刷することで、非常に容易にそれらの種々の特性を満たした電池パックを製造することができる。
また請求項4に記載の電池パックの製造方法によれば、請求項3に記載の構成による効果に加えて、インキに使用する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRの各樹脂のうちの少なくとも2種以上からなるようにしたので、
それらの樹脂を複数種類用いて、要求される特性に対して好適に対応できるコーティング保護層をもつ電池パックを容易に製造することができる。
また請求項5に記載の電池パックの製造方法によれば、請求項3又は4に記載の構成による効果に加えて、グラビアオフセット印刷により印刷を行うことにより、
使用できるインキの種類が多く、樹脂を溶かしたインキであっても容易に印刷ができる。また蒸発乾燥型のインキを用いるので、容易に乾燥でき、何度も印刷を重ねることができる。よって同一或いは異なる種類の樹脂を次々と積層して、複数層からなるコーティング保護層を備えた電池パックを容易に且つ短時間で製造することができる。また印刷を重ねることでコーティング保護層の厚みを正確に調整した電池パックを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池パックの第1の実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】同じく本発明の電池パックの第1の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の電池パックの第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の電池パックの第3の実施形態を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
10 電池セル
11 セルケース
12 電解物質
13 電極
20 コーティング保護層
21 印刷層
22 印刷層
23 印刷層
111 セルケース
P 電池パック
Claims (5)
- 電池セルの周囲を樹脂の印刷によるコーティング保護層でカバーした電池パックであって、前記コーティング保護層は複数の層で構成すると共に各層毎に異なる特性の樹脂により前記複数の層を構成していることを特徴とする電池パック。
- コーティング保護層の樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRのうちから各層毎に異なる樹脂としていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
- それぞれ異なる特性の樹脂を溶剤で溶かしてインキ化し、この複数種類のインキを用いて電池セルの周囲に複数回印刷することにより電池セルのコーティング保護層を構成することを特徴とする電池パックの製造方法。
- インキに使用する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビリニデン、ブチルゴム、SBR、NBR、EPDM、CRの各樹脂のうちの少なくとも2種以上からなることを特徴とする請求項3に記載の電池パックの製造方法。
- グラビアオフセット印刷により印刷を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池パックの製造方法。
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