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JP3725277B2 - X線診断システムおよびx線ctスキャナ - Google Patents

X線診断システムおよびx線ctスキャナ Download PDF

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JP3725277B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線CTスキャナとX線透視装置を機能的に組み合わせた複合的なX線診断システム、および、そのようなシステムに好適なX線CTスキャナに係わる。特に、X線CTスキャナのスライス位置をX線透視装置から得たCR(コンピューテッドラジオグラフィ)像を使って決め、その情報をX線CTスキャナに与えるなど、両モダリティ間で撮影位置情報を共有できるようにしたX線診断システムおよびX線CTスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、X線CTスキャナを用いて被検体の診断部位の断層像を得るには、スライス位置を正確に位置決めする必要がある。この位置決めのため、CTスキャナでは通常、最初にスキャノグラムと呼ばれるX線透視像(以下、スキャノ像という)を撮影し、このスキャノ像を見ながらスライス位置の位置決めを行なっている。
【0003】
スキャナ像を得るには、例えばR−R方式のCTスキャナの場合、X線管と検出器とを回転運動させずに固定させ、患者(寝台)を比較的遅い一定速度で、患者の体軸方向の1方向に動かしながらX線を照射する。これにより、図8(a)に示すように、通常のX線透視像に似たスキャノ像が得られる。医師等は、そのスキャノ像を観察して、断層像を撮影したスライス位置(図8(a)では、例えば患部(病変部)を含むスライス位置A)を決定する。この決定したスライス位置をX線撮影することで、例えば図8(b)に示す断層像が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スキャノ像は、上述したように寝台を一定時間掛けて移動させながらX線を照射して得られる像であるため、その寝台の移動時間分だけ撮影時間が多くかかる。つまり、スキャノ像は、X線透視像のような瞬時に得られる像ではないため、動きの速い部位(血管等)を正確に捕捉することは困難な場合が多く、スライス位置の正確な位置決めに支障を来すこともあった。
【0005】
また、従来のスキャノ像を用いる手法の場合、被検体のX線の被曝量は少なくとも上述した寝台の移動時間分だけ多くなる。X線被曝量の低減の観点から考えると、瞬時の曝射のみで被検体の診断部位のX線透視像を得ることが望ましかった。
【0006】
さらに、上述のスキャノ像は、I.I.(イメージ・インテンシファイア)等の2次元検出器とTVカメラとを備えたX線TV装置等により生成されたディジタル処理された透視像(CR(コンピューテッド・ラジオグラフィ)像)等と比べて、コントラストや分解能等が劣るため、病変部を発見し難いという問題があった。したがって、スライス位置の位置決めに時間が掛かるから、スキャン計画全体にも多大な時間を費やし、患者スループットが低下させるとともに、スライス位置の位置決めにも正確さを欠く恐れがあった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、X線CTスキャナのスライス位置の位置決めを、X線被爆量を著しく低減させ、正確かつ短時間に、および操作性良く、行うことのできるシステムを提供することを、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のX線診断システムは、その一態様として、被検体に向けて照射させたコーンビーム状のX線が当該被検体を透視することに伴う透過X線からデジタル量の画素値から成るCR像を得るX線透視装置と、前記被検体の断層像を得るX線CTスキャナと、前記X線透視装置および前記X線CTスキャナの動作を制御する共通の制御装置とを備え、前記制御装置は、前記CR像を使って前記被検体の断層撮影のための位置情報を取得する取得手段と、この取得手段が取得した位置情報に対して前記照射X線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれを補正する補正手段と、前記補正手段により得られた位置情報を前記X線透視装置と前記X線CTスキャナとの間で共有させる共有化手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
好適には、前記取得手段は、前記CR像を使って前記被検体の前記X線CTスキャナによるスライス位置を前記位置情報として求める手段であり、前記補正手段は前記スライス位置を前記曝射X線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれに応じて補正する手段であり、前記共有化手段は、前記スライス位置を前記X線CTスキャナに与える手段である。
【0011】
例えば、前記X線透視装置は、前記X線を照射するX線源と、前記透過X線を検出する撮像ユニットと、この撮像ユニットの出力信号をデジタル量に変換する変換器と、この変換器の出力信号を前記CR像として表示するモニタとを備える。
【0012】
例えば、前記演算手段は、前記モニタに表示された前記CR像の所望位置を手動で指示する入力器と、この入力器を介して指示された所望位置から前記スライス位置を設定する設定手段とを備える。この設定手段は、例えば、前記CR像全体のスライス方向の絶対的な位置情報と前記CR像の各画素の基準画素からの位置情報とに基づいて前記スライス位置を設定する手段である。
【0013】
望ましくは、前記補正手段は、前記設定したスライス位置を前記X線CTスキャナのガントリの回転中心の高さにおけるスライス位置に変換することにより前記位置ずれの補正を行なう手段である
【0014】
例えば、前記X線透視装置および前記X線CTスキャナは、前記被検体を載せる寝台を共有する構造を有する。
また好適には、前記X線CTスキャナは、複数枚の前記断層像を前記スライス位置をインデックスとして記憶している記憶装置を備えるとともに、前記共有化手段は、前記演算手段により求められた前記スライス位置に対応した断層像を前記記憶手段の複数枚の断層像の中から検索する検索手段と、この検索手段が検索した前記断層像を表示する表示手段とを備える、ことである。
【0015】
また、本発明によれば、別の態様として、コーンビーム状のX線を照射するX線源と、このX線が被検体を透視したことに伴う透過X線を検出する接続ユニットと、この撮像ユニットの出力信号をデジタル量の画素値から成るCR像データに変換する変換器と、この変換器により得られるCR像データをCR像として表示するモニタとを有するX線透視装置と、前記被検体の断層像を得るX線CTスキャナと、を備えたX線診断システムにおいて、前記モニタに表示された前記CR像上の所望位置を手動で指示する入力器と、この入力器を介して指示された前記所望位置の情報、前記CR像全体のスライス方向の絶対的な位置情報、前記CR像の各画素の基準画素からの位置情報、及び前記X線CTスキャナのガントリの回転中心の高さ情報に基づいて前記被検体の前記X線CTスキャナによるスライス位置を設定する設定手段と、前記スライス位置の情報を前記X線CTスキャナに与えることを含み、当該スライス位置の情報を前記X線透視装置と前記X線CTスキャナとの間で共有させる共有化手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明においては、X線透視装置により得られた透視像が、ディジタル処理された高い空間分解能のCR像であり、このCR像を使って被検体のスライス位置(撮影上の位置情報)が決められる。このスライス位置は例えばオンラインでX線CTスキャナに送られ、スライス位置制御の目標値になる。これにより、X線被曝量が少なく、短時間で、且つ高精度な位置決めが行われる。
【0019】
さらに、本発明のX線CTスキャナは、被検体に向けて照射させたコーンビーム状のX線が当該被検体を透視することに伴う透過X線からデジタル量の画素値から成るCR像を得るX線透視装置と、前記CR像を使って前記被検体の断層撮影のためのスライス位置情報を取得する取得手段と、この取得手段が取得したスライス位置情報を、前記照射されたX線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれに応じて補正する補正手段とを有するX線診断システムに動作的にリンクしたX線CTスキャナであって、前記スライス位置情を受け取る受取り手段と、この受け取ったスライス位置にてX線断層撮影を行う撮影手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明に係わるX線CTスキャナ及びX線透視装置を機能的に備えたX線診断システムの概略構成図であり、図2は、そのX線診断システムの電気回路構成を概略的に示すブロック図である。
【0022】
図1及び図2に示すX線診断システム1は、X線透視装置2(ここでは、そのその透視本体のみを指す)、X線CTスキャナ3(ここでは、そのガントリ部分を指す)、並びに透視装置2及びX線CTスキャナ3の両方に共通の構成要素である寝台部4、コンソール5、モニタ6および入力装置7を備えている。寝台部4は、寝台4Aと寝台制御部4Bとを備える。
【0023】
寝台4Aの上面には、その長手方向(通常、患者の体軸方向に相当する)にスライド可能に支持された状態で天板4aが配設され、この天板4a上に被検体である患者Pを載置可能になっている。寝台4Aの周りには、その天板4aのスライドストロークの範囲内において、この寝台4Aを共有するX線透視装置2とX線CTスキャナ3とが適宜に離間して配置されている。これにより、天板4aのスライドにより、X線透視装置2及びX線CTスキャナ3間で自在に患者を搬送できる、機能的に複合的なX線診断システム1が形成されている。
【0024】
上記天板4aのスライドは、電動モータにより代表される寝台駆動部4bの作動によって行なわれる。この寝台駆動部4bには、その駆動量から天板4aのスライド量を検出するスライドセンサ4cが設置されている。このセンサ4cの検出信号は寝台制御部4Bに送られる。
【0025】
寝台制御部4Bは、後述するコンソール5のCPUからの制御に応じて寝台駆動部4bを制御する回路を備え、この回路の主要部として例えばコンピュータ回路を搭載している。この寝台制御部4Bは、コンソール5のCPUから指令されたスライド値(目標値)と、スライドセンサ4cが検出した現在のスライド位置を表す検出値(実際値)とに基づいて寝台駆動部4bの駆動を制御する機能を有する。なお、この寝台部4では、寝台4Aの高さも制御可能になっている。
【0026】
X線透視装置2は図1に示すように、支持部10を介して例えば天井から吊設されたCアームやΩアーム等の屈曲アーム(本実施形態ではCアームとして説明する)11を備える。このCアーム11の一端にはX線管12を、もう一端にはI.I.及びコントラスト分解能の高いTVカメラを有するI.I./TV系 (撮像部)13を夫々配設している。これにより、X線管12と撮像部13とが対向して配置され、Cアーム11全体を適宜に位置決めすることで両者が寝台4(患者P)を挟んで対向する。
【0027】
このX線透視装置2において、支持部10は、少なくともCアーム11全体をX,Y,Z軸方向に3次元的に移動自在になっている(この座標系は天板4aの長手方向をZ軸とした直交座標系)。つまり、支持部10の天井取付け部10aにより天井に対してY−Z面内で2次元的に移動可能であり、またその支柱部10bによりX(高さ)方向に移動可能になっている。天井取付け部10aには、その2次元の移動方向および移動量を検出する移動センサ10aaが設置されている。支柱部10bには,その高さ方向の移動量を検出する移動センサ10baが設置されている。これらのセンサ10aa,10baはエンコーダやポテンショメータを有して構成され、デジタル量の移動情報を後述するコンソール5のCPUに出力する。
【0028】
このX線透視撮影は、所定の撮影位置にスライドさせた天板4a上の患者Pに対して、X線管12からX線を曝射することにより行なわれる。曝射により患者Pを透過したX線は、撮像部13のI.I.及びTVカメラによりアナログ量の透視画像として検出される。このアナログ透視画像は、撮像部13に接続されたA/D変換器14により、所定のピクセル数、ピクセルサイズを有する高空間分解能のディジタルCR画像データに変換され、後述するコンソール5のCPUに送られる。X線管12は高電圧発生器15に接続されている。この高電圧発生器15は後述するコンソール5の高電圧制御部に接続されている。ここでは、上記A/D変換器14もX線透視装置2の一コンポーネントを成すとしているが、このA/D変換器は後述するコンソールに設置する構成であってもよい。
【0029】
このX線透視装置2からコンソール5のCPUに送られる画像データは、上述したようにディジタル画像データである。つまり、ピクセルサイズが予め定められているため、このディジタル画像上の位置は、基準となるピクセルからの距離により指定、認識可能である。つまり、CR画像データには、元来、そのCR画像上の位置特定情報が含まれている。例えば、M×Mのピクセルサイズ(マトリクスサイズ)において、図3に示すように、最左上のピクセルを(1,1)とし、このピクセル(1,1)を基準とすれば、CR画像データ上の位置は、この基準ピクセル(1,1)からの行方向あるいは列方向のピクセル数(あるいは、このピクセル数×ピクセルサイズ=距離)により全て表すことができる。したがって、1フレームのCR画像全体が被検体内のどの絶対位置に在るかを認識しておけば、CR画像上の特定部位(1個または複数個のピクセル)の位置を被検体に対して絶対的に指定できる。
【0030】
一方、X線CTスキャナ3は、例えばR/R(Rotate Rotate )方式で駆動するように構成されている。すなわち、スキャナ3は、ガントリ19を備え、このガントリ19には、その撮影用の略円筒状の開口部を挟んで対向配置したX線管20及びX線検出器21を備えている。開口部には、患者Pを載せた天板4aがスライドしてくる。
【0031】
X線CTスキャナ3によるスキャンは、次のように行なわれる。すなわち、患者Pの撮影スライス位置をガントリ19のスリット状のX線曝射位置に合わせる。そして、X線管20からX線ビームを患者Pに照射し、その状態でX線管20及びX線検出器21を、ガントリ移動機構22の駆動により一体に例えば360度回転させる。この回転駆動は、コンソール5からの指令を受けたガントリ制御部23によって制御される。このガントリ制御部は例えばCPUを搭載して構成される。なお、X線管20は高電圧発生器25に接続され、この高電圧発生器が後述するコンソール5の高電圧制御部に接続されている。
【0032】
この回転中に、X線検出器21では、患者Pの撮影スライス位置を透過したX線(X線強度分布)が一定角度毎にX線データ(X線強度に比例した電流データ)として検出される。X線検出器21で検出されたX線データは、データ収集部(DAS;Data Acquisition System)24によりA/D変換処理、信号増幅処理等の前処理が施され、スライス毎の投影データとして収集される。この投影データはコンソール5の画像再構成部に送られる。
【0033】
コンソール5は図2に示すように、システム全体の制御を担うCPU30、このCPU30に接続されたメモリ31および対話表示部32、ならびに画像再構成部33を備える。コンソール5はまた、透視側およびスキャナ側の個別の高電圧制御部34、35を備える。
【0034】
この内、CPU30は、X線透視装置2のA/D変換器14、センサ10aa,10baに接続され、また対話表示部32、メモリ31、高電圧制御部34、35とも接続されている。ガントリ制御部23、寝台制御部4Bとも接続されている。CPU30は一例として、図4の処理を実行する。すなわち、CPU30は、X線透視装置2からCR画像の画像データおよびセンサ10aa,10baの検出信号を読み込み、必要な処理を行う。また、対話制御部32との間で必要な情報の交信を行う。さらに、寝台制御部4Bおよびガントリ制御部23を制御するとともに、寝台制御部4Bが中継した天板4aのスライド位置信号を必要に応じて入力する。さらに、メモリ31との間で画像データなどの格納および読出しを行う。
【0035】
画像再構成部33は、データ収集部24により収集された投影データを読み込み、例えばコンボリューションバックプロジェクション演算等が行なって、スライス位置毎の断層像を再構成するようになっている。画像再構成部33には、対話表示部32と、再構成した断層像の画像データを記憶するメモリ31とが接続されている。なお、画像再構成部33は、コンソール側ではなく、X線CTスキャナ3側のユニットとして組み込む構成も可能である。
【0036】
対話表示部32は、モニタ6および入力装置7に接続され、このモニタ(表示系)および入力装置(入力系)とCPU30(他の処理系)との間でインターフェースの機能を果たすようになっている。この対話制御部32は詳細には、CPUを内蔵しており、入力装置7から入力された数値データや位置データ等をCPU30が処理可能なデータに変換して当該CPU30に送る処理、画像再構成部33あるいはメモリ31から送られてきた再構成画像の表示順序を設定する処理などを実行する。
【0037】
モニタ5は、X線透視像及び再構成画像の表示に使用される。入力装置7は、例えばキーボード、マウス等で構成され、術者からこのX線診断システム1全体に対して種々の情報を入力可能になっている。
【0038】
次に、このX線診断システム全体の動作例を、図4を参照して説明する。
【0039】
最初に、X線CTスキャナ3の撮像に必要なスキャン計画が同図のステップS1〜S4の処理を介して立てられる。
【0040】
まず、CPU30はX線透視装置2によるCR像の撮影を指示する(ステップS1)。具体的には、スライス位置、スキャンピッチ等を決定するため、患者Pの病変部を含むCR像の撮影が透視側の高電圧制御部34および寝台制御部4Bに指示される。この指示に応答して、寝台制御部4Bは、スライドセンサ4cにより検出されるスライド位置情報に基づき寝台駆動部4bを駆動制御して、天板4aをX線透視撮影のための所定撮影位置(少くとも、透視撮影範囲に病変部が含まれる位置)に患者P(天板4a)を位置決めする。この状態で、高電圧制御部34は高電圧発生器15に曝射指令信号を送り、上述した透視撮影を実行させる。この透視撮影により得られた病変部を含むCR画像データは、A/D変換器14からCPU30に送られる。
【0041】
また、このステップS1において、CPU30は、スライドセンサ4cおよび/または移動センサ10aa,10baの検出信号に基づいて、X線透視を行ったときの、被検体の所定基準位置(例えば頭頂部、OMライン)からのCR画像のZ軸方向の距離(被検体に対する絶対距離)を求め、記憶する。
【0042】
次いで、CPU30は透視撮影したCR画像を表示する(ステップS2)。具体的には、CPU30は、送られてきたCR画像データを内部メモリに記憶するとともに、当該CR画像データに対し所要のディジタル画像処理を施し、画像処理されたCR画像データを対話表示部32を介してモニタ6に送る。この結果、モニタ6には、従来のスキャノ像に比べて高い空間分解能の患者Pの病変部を含むCR像が例えば、図5のように表示される。
【0043】
次いで、CPU30は、対話制御部32にスキャン計画データの収集を指示する(ステップS3)。術者はモニタ31に表示されたCR像を見ながら、病変部の大きさ、位置等を目視で認識し、スキャン計画を立てる。具体的には、術者は、CR像を参照しながら、入力装置7のキーボードやマウスを操作し、スキャンピッチやスライス数、スライス位置情報(スライス開始位置、スライス終了位置等)等を入力する。入力装置7から指定(入力)されたスライス位置情報、スキャンピッチ等を含むスキャン計画データは、対話表示部32を介してCPU30に送られる。
【0044】
このスキャン計画において、スライス位置情報として、例えば図5に示すように、CR像上の体軸方向に直交するスライスラインL1(スライス開始位置)及びスライスラインL2(スライス終了位置)を、例えば入力装置7のマウス等を操作して入力する。
【0045】
次いで、CPU30は、CR像上で指定したスライス位置の実距離データへの変換を行う(ステップS4)。具体的には、CPU30は、送られてきたスライス位置情報、スキャンピッチ等を含むスキャン計画データを読み込み、記憶する。これと伴に、そのスキャン計画データの内のスライス位置情報を、内部メモリに記憶されたCR画像データを参照して、基準ピクセルからのピクセル数データ(あるいは距離データ(ピクセル数×ピクセルサイズ))に変換する。これにより、本実施形態では、スライス開始位置L1が基準ピクセルから距離データm
(mm)、スライス終了位置L2が基準ピクセルから距離データn(mm)に変換される。さらに、この変換処理にあっては、透視撮影時にスライドセンサ4cにより検出し記憶していたスライド値に基づく被検体のZ軸方向のCR画像の絶対位置データを距離データn,mに加算する。これにより、距離データn,mは被検体に対して絶対的なスライス開始および終了位置を表すことになる。
【0046】
次いで、CPU30はさらに、変換した距離データn,mを補正して、微調整を図る(ステップS5)。
【0047】
この補正の趣旨は以下のようである。変換したままの距離データn,mに応じてスライス位置を制御するということは、I.I.のX線入射面の高さ位置においてスライス位置を変えることと等価である。しかし、実際には、X線源から曝射されるX線ビームはスライス方向(Z軸方向)で図6に示す如く、コーン状に広がっているから、X線ビームの中心軸以外の被検体の実際のスライス位置とCR像上で指定したスライス位置には多少のずれが発生する。例えば図6の場合、病変部DSに関するスライス位置のずれはΔzとなる。
【0048】
病変部の高さ(X軸方向の位置)は個々に異なるが、その高さはガントリ回転中心の高さにおよそ等しいと見做すことができる。すなわち、図6の例の場合、病変部に関するずれΔzは、ガントリ回転中心Oの高さに関するずれΔz′におよそ等しいと見做す。
【0049】
そこで、本実施形態ではその妥協的で且つ現実的な高さ位置として、ガントリの回転中心Oを採用し、距離データn,mを回転中心Oの高さにおけるスライス位置に対応した距離データn′,m′に換算する。この補正換算は、予め記憶しているジオメトリ・データ(X軸方向における寝台(天板)の高さ位置、ガントリの回転中心の高さ位置、X線源およびI.Iの高さ位置など)に基づいて実行される。
【0050】
次いで、CPU30は、スキャン計画データに基づいてX線CTスキャナ3を作動させてCTスキャン撮影を実行する(ステップS6〜S10)。
【0051】
すなわち、最初にCPU30は、寝台制御部4Bに天板移動指令を送る。寝台制御部4Bは、求められた距離データm′及びセンサ4cにより逐一検出される天板4aの位置データを参照しながら寝台駆動部4bを駆動制御して、ガントリ19のスライス位置が、CR画面上で指定したスライス開始位置L1に一致するように当該天板4aをスライドさせる(ステップS6)。
【0052】
続いて、CPU30は、指定したスキャンピッチ等のスキャン計画データに基づいて、ガントリ制御部23を介してガントリ19を駆動制御し、当該スライス開始位置L1のスキャン撮影を実行する(ステップS7)。
【0053】
この後、CPU30は、次に撮影すべきスライス面が残っているか否かを、計画したスライス枚数を参照して判断する(ステップS8)。未だ撮影スライス面が残っている場合、CPU30は、寝台制御部4Bに再度、天板移動指令を送る。これにより寝台制御部4Bは、センサ4cにより検出される天板4aの位置データを参照しながら寝台駆動部4bを駆動制御して、天板4aをスキャンピッチ分だけスライドさせる(ステップS9)。次いで、同様に、新しいスライス面でスキャンが実行される(ステップS10)。
【0054】
このステップS8〜S10の処理は、求めた距離データn′に対応したスライス終了位置L2においてスキャン撮影が実行されるまで繰り返される。
【0055】
この結果、DAS23を介してスライス開始位置L1〜スライス終了位置L2間の各スライス面の投影データが収集される。そこで、CPU30は画像再構成部33にスキャン終了を知らせると、画像再構成部33は各スライス面の断層像を再構成する(ステップS11)。この再構成画像は、対話表示部32を介してモニタ31により順次表示される(ステップS12)。
【0056】
以上述べたように、本実施形態によれば、従来のスキャノ像よりも格段に高い空間分解能のCR像を見ながら病変部の位置及び大きさ等を的確に把握し、その病変部の位置及び大きさ等からスライス位置、スキャンピッチ等のスキャン計画データを設定できる。そして、そのスキャン計画データをオンラインのままX線CTスキャナ3側に使用する。これにより、X線CTスキャナ3によりスキャン撮影を実行することができる。つまり、X線透視装置により撮影された高分解能のCR像に基づいてスライス位置を含むスキャン計画データを設定し、この設定データに基づいてスライス位置(スライス開始位置、スライス終了位置)を設定できる訳である。この結果、スライス位置を正確且つ短時間に、しかも操作性良く位置決めすることができる。これにより、患者スループットも向上する。
【0057】
また、上述したように、X線透視装置によるCR像撮影は瞬時に行なわれ、従来のスキャノ像撮影のように寝台(天板)をスライドさせる必要無いため、血液等の動きの速い部位も正確にとらえることができる。この点からもスライス位置設定の高精度化、短時間化に貢献できるとともに、患者の曝射量も従来のスキャノ像を使用する場合に比べて著しく軽減する。
【0058】
なお、本実施形態では、CR像を用いてスキャン計画を立てる場合について説明したが、本発明の態様は、これに限定されるものではなく、例えば、次のような第2実施形態にも用いることができる(図7参照)。図7のフローチャートは、この第2実施形態におけるCPU30を中心とした制御系が共同して実施する処理の概略を示す。
【0059】
予め病変部を含む所定の領域の複数枚の断層像(スライス画像)をX線CTスキャナ3により撮影し、そのときのスライス面のZ軸方向の位置(この位置そのものも上述した本発明の位置決めに従って決められる)をインデックスとしてメモリ31に記憶させておく(図7、ステップS20)。この状態を確保した、または確保してある状態で、上述した実施形態のときと同様に、X線透視撮影装置2により病変部を含むCR像を撮影し、モニタ6に表示させる(ステップS21)。
【0060】
このとき、医師などがモニタ6に表示されたCR像を見ながら、所望のスライス位置を、入力装置7のキーボードやマウスを操作して入力する(ステップS22)。この入力データは、上述したように、対話表示部32を介してCPU30に送られる。CPU30は、送られてきたスライス位置データに基づいてメモリ31に記憶された複数枚の断層像を参照し、対応するスライス位置の断層像(一致するスライス位置が無い場合は、最も隣接するスライス位置の断層像)を読み出して、対話表示部32を介してモニタ6に送る(ステップS23)。この結果、モニタ6には、CR像上で指定したスライス位置の断層像が表示される(ステップS24)。
【0061】
すなわち、第2実施形態によれば、CR像で指定した所望スライス位置の断層像を簡単且つ自動的にモニタに表示させることができる。これは各種表示に有効である。例えば、上述したステップS20の処理が体内に抗癌剤を埋める前および抗癌剤を埋めた後の2組の断層像群であるとすると、ステップS21〜S24の処理を実行することで、同一の指定スライス面の抗癌剤埋設前後の断層面を読み出すことができ、これをモニタに分割/比較表示させることができる。これにより、抗癌剤の効き目を比較検討し易くなる。
【0062】
本発明ではさらに、別の実施形態が提案される。従来から提案されているシステムの1つに、IVR(インターベンショナルラジオロジ;Interventional
Radiology)−CTと呼ばれる、CT撮影をしながら治療を行なうX線CTスキャナと循環器系X線TV装置(以下、単にアンギオ装置という)とを組み合わせたシステム(IVR−CT/アンギオシステム)がある。このシステムでは、例えば血管造影法による造影剤の注入等に用いられるカテーテルの血管への挿入は、アンギオ装置によるX線TV透視像と、X線CTスキャナによる断層像とを参照しながら行なわれている。
【0063】
しかしながら、上記システムは、単にアンギオ装置及びX線CTスキャナを隣接して配置し、それぞれで別個に撮影された透視像及び断層像を参照することが行なわれているのみであり、アンギオ装置及びX線CTスキャナ間でスライス位置情報等をやりとりすることは無く、そのため、X線CTスキャナで撮影したい(断層像を取得したい)スライス位置を位置決めするのに相当の時間を要していた。
【0064】
本発明はこのようなX線TV透視系とX線CTスキャナ系とを組み合わせたシステムには全て適用可能であり、上述したIVR−CT/アンギオシステムにおいても適用できる。すなわち、X線透視装置で撮影されたCR像を見ながら、互いに重合しながら複雑に走行する血管やカテーテルの位置関係を把握するのに適したスライス位置情報を入力すると、このスライス位置情報に基づいてIVR−CTで撮影されるスライス位置が自動的に設定され、そのスライス位置の断層像が撮影される。したがって、従来のIVR−CT/アンギオシステムにおいて必要であったX線CTスキャナにおけるスライス位置の位置決め時間が大幅に低減される。
【0065】
なお、本実施形態では、CR像を生成する装置として、I.I./TV系の撮像部を有するX線透視装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、イメージングプレートを用いたX線透視装置等、その他のディジタル処理された透視像が得られる透視装置であれば、どのようなX線透視装置であってもよい。
【0066】
さらに、本実施形態のシステムでは、断層像をCR像を表示したモニタに表示したが、別のモニタに表示してもよい。また、前記単一のモニタのモニタ画面を区画して、CR像及び断層像を同時に表示させてもよい。なお、このような制御は、対話表示部により行なわれる。
【0067】
さらに、本実施形態のシステムでは、前述した図4のステップS4、S5の処理の順序は入れ替えてもよい。すなわち、スライス開始位置L1およびスライス終了位置L2を直ちに図6に基づき補正し、その後に、距離データn,mに変換してもよい。
【0068】
さらにまた、上記各実施形態では、X線透視装置とX線CTスキャナとが予め統合された1つのシステムとして提供されることが前提であるとして説明してきたが、場合によっては、X線透視装置とX線CTスキャナとが分離して製造され、設置現場において統合的に組み立てられるシステムにも同様に適用されるものである。その場合、X線透視装置およびX線CTスキャナに共通の、制御装置
(すなわち、コンソール、モニタ、および入力装置の部分)および寝台部を含む構成要素はX線透視装置またはX線CTスキャナのいずれに属していてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のX線診断システムおよびX線スキャナによれば、デジタル量の画素値から成る被検体のCR像を得るX線透視装置と、被検体の断層像を得るX線CTスキャナとを備え、CR像を使って被検体の断層撮影上の位置情報を、X線CTスキャナのガントリの回転中心の高さを加味した状態で求め、その位置情報をX線透視装置とX線CTスキャナとの間で共有させるようにしている。例えば、CR像が生来的に有するピクセルの位置情報を使って所望のスライス位置を決め、このスライス位置をオンラインでX線CTスキャナに送ったり、また、そのスライス位置でインデックス付けした画像を記憶しておいて、スライス位置をオンラインで参照し、所望スライス位置の断層像を読み出したりするなどの構成が採られる。
【0070】
これにより、X線CTスキャナの断層撮影に必要なスライス位置情報を、その断層撮影のみならず、撮影後の読影時のインデックスとしても使用するなど、スライス位置情報の使用多角化・有効利用を図ることができる。とくに、X線CTスキャナのスライス位置の位置決めを、X線被爆量を著しく低減させ、正確かつ短時間に、および操作性良く行うことができる。この結果、精度の良い位置決めによって必要とする部位の断層像を確実且つ迅速に確保でき、またオペレータにとっては、位置決めのやり直しが殆ど無くなるなどのことから、操作上の労力も著しく軽減でき、さらに、患者スループットも向上させることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるX線診断システムの全体構成を概略的に示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるX線診断システムの回路的なシステム構成を概略的に示すブロック図。
【図3】CR像における基準ピクセルを概念的に示す図。
【図4】CTスキャン計画及び計画されたスキャン実行に伴うX線診断システム全体の処理の一例を示す概略フローチャート。
【図5】CR像上で指定されたスライス開始位置及びスライス終了位置とそれらの基準ピクセルからの距離とを模式的に示す図。
【図6】CR像を使って決めたスライス位置と病変部との対軸方向の位置関係を説明する図。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるX線診断システム全体の処理の一例を示す概略フローチャート。
【図8】(a)は、スキャノ像上で決定されたスライス位置Aを模式的に示す図、(b)は、スライス位置Aの断層像を模式的に示す図。
【符号の説明】
1 X線診断システム
2 X線透視装置
3 X線CTスキャナ
4 寝台部
4A 寝台
4B 寝台制御部
4a 天板
4b 寝台駆動部
4c センサ
5 コンソール
6 モニタ
7 入力装置
10 支持部
10aa,10ba センサ
11 Cアーム
12 X線管
13 撮像部
14 A/D変換器
19 ガントリ
20 X線管
21 X線検出器
22 ガントリ駆動機構
23 ガントリ制御部
24 データ収集部
30 CPU
31 メモリ
32 対話表示部
33 画像再構成部

Claims (10)

  1. 被検体に向けて照射させたコーンビーム状のX線が当該被検体を透視することに伴う透過X線からデジタル量の画素値から成るCR像を得るX線透視装置と、
    前記被検体の断層像を得るX線CTスキャナと、
    前記X線透視装置および前記X線CTスキャナの動作を制御する共通の制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記CR像を使って前記被検体の断層撮影のための位置情報を取得する取得手段と、この取得手段が取得した位置情報に対して前記照射X線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれの補正をする補正手段と、
    前記補正手段により得られた位置情報を前記X線透視装置と前記X線CTスキャナとの間で共有させる共有化手段とを備えたことを特徴とするX線診断システム。
  2. 前記取得手段は、前記CR像を使って前記被検体の前記X線CTスキャナによるスライス位置を前記位置情報として求める手段であり、前記補正手段は前記スライス位置を前記曝射X線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれに応じて補正する手段であり、前記共有化手段は、前記スライス位置を前記X線CTスキャナに与える手段である請求項1記載のX線診断システム。
  3. 前記X線透視装置は、前記X線を照射するX線源と、前記透過X線を検出する撮像ユニットと、この撮像ユニットの出力信号をデジタル量に変換する変換器と、この変換器の出力信号を前記CR像として表示するモニタとを備えた請求項2記載のX線診断システム。
  4. 前記取得手段は、前記モニタに表示された前記CR像上の所望位置を手動で指示する入力器と、この入力器を介して指示された前記所望位置から前記スライス位置を設定する設定手段とを備えた請求項3記載のX線診断システム。
  5. 前記設定手段は、前記CR像全体のスライス方向の絶対的な位置情報と前記CR像の各画素の基準画素からの位置情報とに基づいて前記スライス位置を設定する手段である請求項4記載のX線診断システム。
  6. 前記補正手段は、前記設定したスライス位置を前記X線CTスキャナのガントリの回転中心の高さにおけるスライス位置に変換することにより前記位置ずれの補正を行なう手段である請求項5記載のX線診断システム。
  7. 前記X線透視装置および前記X線CTスキャナは、前記被検体を載せる寝台を共有する構造を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線診断システム。
  8. 前記X線CTスキャナは、複数枚の前記断層像を前記スライス位置をインデックスとして記憶している記憶装置を備えるとともに、前記共有化手段は、前記演算手段により求められた前記スライス位置に対応した断層像を前記記憶手段の複数枚の断層像の中から検索する検索手段と、この検索手段が検索した前記断層像を表示する表示手段とを備えた請求項2記載のX線診断システム。
  9. コーンビーム状のX線を照射するX線源と、こX線が被検体を透視したことに伴う透過X線を検出する接続ユニットと、この撮像ユニットの出力信号をデジタル量の画素値から成るCR像データに変換する変換器と、この変換器により得られるCR像データをCR像として表示するモニタとを有するX線透視装置と、
    前記被検体の断層像を得るX線CTスキャナと、を備えたX線診断システムにおいて、
    前記モニタに表示された前記CR像上の所望位置を手動で指示する入力器と、
    この入力器を介して指示された前記所望位置の情報、前記CR像全体のスライス方向の絶対的な位置情報、前記CR像の各画素の基準画素からの位置情報、及び前記X線CTスキャナのガントリの回転中心の高さ情報に基づいて前記被検体の前記X線CTスキャナによるスライス位置を設定する設定手段と、
    前記スライス位置の情報を前記X線CTスキャナに与えることを含み、当該スライス位置の情報を前記X線透視装置と前記X線CTスキャナとの間で共有させる共有化手段と、を備えたことを特徴とするX線診断システム。
  10. 被検体に向けて照射させたコーンビーム状のX線が当該被検体を透視することに伴う透過X線からデジタル量の画素値から成るCR像を得るX線透視装置と、前記CR像を使って前記被検体の断層撮影のためのスライス位置情報を取得する取得手段と、この取得手段が取得したスライス位置情報を、前記照射されたX線のコーン角に拠るスライス方向の位置ずれに応じて補正する補正手段とを有するX線診断システムに動作的にリンクしたX線CTスキャナであって、
    前記スライス位置情を受け取る受取り手段と、
    この受け取ったスライス位置にてX線断層撮影を行う撮影手段と、を備えたことを特徴とするX線CTスキャナ。
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