JP3711276B2 - Dc−dcコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に用いられ、バッテリ等の直流電圧を入力して負荷に制御された直流電圧を供給するDC−DCコンバータであり、特に入出力非反転で昇圧及び降圧が可能なDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
バッテリ等の直流電源から入力される直流電圧を、入出力非反転(入力直流電圧と出力直流電圧の極性が同じであること)で昇圧又は降圧した直流電圧を負荷に供給するDC−DCコンバータの従来例としては、図10の(a)及び(b)に示す従来技術がある(例えば特許文献1参照)。昇圧とは、入力直流電圧より高い電圧の出力直流電圧を出力することであり、降圧とはその逆である。図10の(a)は特許文献1に開示されたDC−DCコンバータの回路図であり、図10の(b)はその動作時の各部の信号の波形図である。
【0003】
図10の(a)に示すように、このDC−DCコンバータには、電圧Eiの入力直流電源31が接続されており、第1のスイッチ32、第1のダイオード33とインダクタ34からなる降圧コンバータ部、インダクタ34を共有して第2のスイッチ35と第2のダイオード36からなる昇圧コンバータ部および出力コンデンサ37が設けられている。出力コンデンサ37の電圧Eoは出力直流電圧として負荷38に印加されている。
図10の(b)に示すように、第1のスイッチ32及び第2のスイッチ35は同じスイッチング周期Tでオンオフ動作する。第1のスイッチ32及び第2のスイッチ35の1スイッチング周期におけるそれぞれのオン時間の割合を、時比率δ1、時比率δ2とする。図に示すように時比率δ1は時比率δ2より大きくしてある(δ1>δ2)。
【0004】
第1のスイッチ32及び第2のスイッチ35が共にオンしている時、入力直流電源31の電圧Eiはインダクタ34に印加される。この印加時間は時比率δ2とスイッチング周期Tとの積(δ2・T)である。この時、入力直流電源31からインダクタ34に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄積される。次に、第2のスイッチ35がオフになると、第2のダイオード36が導通し、インダクタ34には入力直流電圧Eiと出力直流電圧Eoの差の電圧(Ei−Eo)が印加される。この印加時間は、時比率δ1とスイッチング周期Tとの積と、時比率δ2とスイッチング周期Tとの積の差(δ1・T−δ2・T)である。この印加時間中、インダクタ34を経て入力直流電源31から出力コンデンサ37へ電流が流れる。さらに、第1のスイッチ32がオフになると、第1のダイオード33が導通し、インダクタ34には出力直流電圧Eoが逆方向に印加される。この印加時間は時間(T−δ1・T)であり、インダクタ34から出力コンデンサ37へ電流が流れ、蓄積された磁気エネルギーは放出される。
【0005】
以上のように磁気エネルギーの蓄積と放出の動作を繰り返すことにより、出力コンデンサ37から負荷38へ電力が供給される。インダクタ34の磁気エネルギーの蓄積と放出が均衡する安定動作状態においては、式(1)に示すように、インダクタ34への印加電圧と印加時間の積の和はゼロである。
【0006】
Ei・δ2・T+(Ei−Eo)(δ1・T−δ2・T)
−Eo(T−δ1・T)=0 (1)
【0007】
この式を整理すると式(2)に示す変換特性式が得られる。
【0008】
Eo/Ei=δ1/(1−δ2) (2)
【0009】
時比率δ2が零のとき(δ2=0)、出力直流電圧Eoと入力直流電圧Eiとの比Eo/Eiはδ1となり(Eo/Ei=δ1)、降圧コンバータとして動作する。また、また時比率δ1が1のとき(δ1=1)、比Eo/Eiは1/(1−δ2)となり(Eo/Ei=1/(1−δ2))、昇圧コンバータとして動作する。第1及び第2のスイッチ32、35の時比率をそれぞれ制御することにより、入出力の電圧の比δ1/(1−δ2)を0から無限大まで設定可能である。即ち、理論上は任意の入力直流電圧Eiから任意の出力直流電圧Eoを得ることができる昇降圧コンバータとしてDC−DCコンバータは動作する。
上記のDC−DCコンバータの制御は、例えば図11の(a)に示す制御回路50を有するDC−DCコンバータにより行うことができる(例えば特許文献2参照)。図11の(a)に示した回路図は特許文献2のFIG.9に記載されている回路を、説明の便宜上、図10の(a)に示す構成のDC−DCコンバータに適用して書き直したものである。その各部の動作波形を図11の(b)に示す。以下に図11の(a)に示したDC−DCコンバータの動作を図11の(b)を参照して説明する。
【0010】
図11の(a)において、制御回路50の基準電圧源40は基準電圧Vrを出力し、誤差増幅器41に印加する。誤差増幅器41は、出力直流電圧Eoと基準電圧Vrとを比較して第1の誤差電圧Ve1を出力する。発振回路42は所定の周期で発振する発振電圧Vtを出力する。オフセット回路44は、第1の誤差電圧Ve1を入力とし、第1の誤差電圧Ve1に所定のオフセット電圧を加算して第2の誤差電圧Ve2を出力する。
図11の(b)に、発振電圧Vt、2つの誤差電圧Ve1とVe2、及び2つの駆動信号Vg32及び駆動信号Vg35の波形を示す。第1の比較器43は、第1の誤差電圧Ve1と発振電圧Vtとを比較し、第1の誤差電圧Ve1が発振電圧Vtより大きい(Ve1>Vt)期間に“H”となる駆動信号Vg35を出力する(”H”は論理レベル「高」を示す)。駆動信号Vg35が“H”の時に第2のスイッチ35はオン状態、“L”の時にオフ状態になるものとする(”L”は論理レベル「低」を示す)。第2の比較器45は、第2の誤差電圧Ve2と発振電圧Vtとを比較し、第2の誤差電圧Ve2が発振電圧Vtより大きい(Ve2>Vt)期間に“H”となる駆動信号Vg32を出力する。駆動信号Vg32が“H”の時に第1のスイッチ32はオン状態、“L”の時にオフ状態になるものとする。
【0011】
入力直流電圧Eiが制御目標の出力直流電圧Eoより充分高い場合、出力直流電圧Eoの安定状態では第1の誤差電圧Ve1及び第2の誤差電圧Ve2は低くなる。図11の(b)においてAで示す期間において、第1の誤差電圧Ve1が発振電圧Vtよりも常時低いと、駆動信号Vg35は常時“L”となり第2のスイッチ35は常時オフ状態となる。一方、第2の誤差電圧Ve2と発振電圧Vtとの比較によって設定される駆動信号Vg32は、第1のスイッチ32をオンオフ駆動する。即ち、図11の(b)の期間Aにおいては、降圧コンバータとして動作する。
入力直流電圧Eiが制御目標の出力直流電圧Eoの近傍の電圧を有する場合、図11の(b)のBで示す期間のように、第1の誤差電圧Ve1と第2の誤差電圧Ve2の波形はいずれも発振電圧Vtの波形と交差する。従って、第1のスイッチ32は駆動信号Vg32によりオンオフ駆動され、第2のスイッチ35は駆動信号Vg35によりオンオフ駆動される。即ち、図11の(b)の期間Bにおいては、昇降圧コンバータとして動作する。
【0012】
さらに、入力直流電圧Eiが制御対象の出力直流電圧Eoよりも低い場合、図11の(b)のCで示す期間のように、第2の誤差電圧Ve2が発振電圧Vtよりも常時高くなると、駆動信号Vg32は常時“H”となり第1のスイッチ32は常時オン状態となる。一方、第1の誤差電圧Ve1と発振電圧Vtとの比較によって設定される駆動信号Vg35は、第2のスイッチ35をオンオフ駆動する。即ち、図11の(b)の期間Cにおいては、昇圧コンバータとして動作する。
【0013】
図11の(b)に示した第1のスイッチ32と第2のスイッチ35のオンオフのタイミングは、図10の(b)に示した第1のスイッチ32と第2のスイッチ35のオンオフのタイミングとは異なる。この差異は図10と図11で示した制御回路の構成及びその機能の差異によるものである。DC−DCコンバータにおける、第1のスイッチ32と第2のスイッチ35のオンオフの組合わせは、第1のスイッチ32と第2のスイッチ35がともにオンの状態、第1のスイッチ32がオンで第2のスイッチ35がオフの状態、第1のスイッチ32と第2のスイッチ35がともにオフの状態の3種類が基本となる。第1のスイッチ32がオフ状態で第2のスイッチ35がオン状態の場合には、インダクタ34は短絡されて入出力間における電力伝達には関与しないので、この動作状態は避けるようにする。上記3種類の動作状態をどのように組合わせたとしても、1スイッチング周期に占める第1のスイッチ32のオン時間の割合をδ1、1スイッチング周期に占める第2のスイッチ35のオン時間の割合をδ2とすると、インダクタ34に流れる電流が零になることはない条件下において、入出力電圧間には下記の式(3)の関係が成立する。このことは、図10の(b)の波形間で示す各スイッチのオンオフ動作のタイミングにおいても、図11の(b)の波形間で示す各スイッチのオンオフのタイミングにおいても同様である。
【0014】
Eo/Ei=δ1/(1−δ2) (3)
【0015】
昇降圧可能なDC−DCコンバータの制御方法としては、他の制御方法も考えられている(例えば特許文献3、4参照)。これらはいずれも発振電圧と誤差電圧との比較において、発振電圧もしくは誤差電圧にオフセット電圧を加算もしくは減算する。これにより、第1のスイッチを駆動する駆動信号と第2のスイッチを駆動する駆動信号を形成するものである。
【0016】
【特許文献1】
特公昭58−40913号公報
【特許文献2】
米国特許4,395,675号
【特許文献3】
米国特許5,402,060号
【特許文献4】
米国特許6,166,527号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来のDC−DCコンバータにおいては、複数の誤差電圧Ve1、Ve2が必要であり、制御回路が複雑化するという問題点があった。
また、第1のスイッチ32及び第2のスイッチ35がともにオンオフ動作する昇降圧動作時においては、降圧動作や昇圧動作の時に比べてスイッチング損失が増加するという問題がある。これを解決するために昇降圧動作をする領域を狭くするためには、誤差電圧に加えるオフセット電圧を発振電圧の振幅に近い電圧にする必要がある。しかし、オフセット電圧を発振電圧の振幅に近い電圧にすると、降圧動作や昇圧動作での制御範囲を確保するための誤差電圧の変動幅が大きくなる。そのため制御回路の電源電圧が低い場合には設計が困難になるといった問題があった。
本発明は、上記の問題を解決し、昇圧動作、昇降圧動作及び降圧動作の制御を簡単な構成で可能とし、さらには損失を低減した高効率なDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための、本発明に係るDC−DCコンバータは、第1のスイッチを有する降圧コンバータ部と、第2のスイッチを有する昇圧コンバータ部と、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをそれぞれオンオフする制御部とを備え、入力直流電圧が印加されて出力直流電圧を負荷へ出力する昇降圧型のDC−DCコンバータである。
前記制御部は、前記出力直流電圧を所定の電圧と比較して誤差電圧を出力する誤差増幅回路、発振回路及びパルス幅制御回路を有する。
前記発振回路は、第1の設定電圧と前記第1の設定電圧より低い第2の設定電圧の間を周期的に変化する発振電圧であって、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差の増加に応じて前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合もしくは下降時間の割合が増加する発振電圧を生成し、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差の増加に応じて前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合もしくは下降時間の割合が増加する発振電圧を生成する。
前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧と前記発振電圧とを比較し、前記誤差電圧と前記発振電圧が一致することがない場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定して、前記第1のスイッチをオンオフする動作をさせる降圧動作モードの制御をするか、又は前記第1のスイッチをオン状態に固定して、前記第2のスイッチをオンオフする動作をさせる昇圧動作モードの制御をする。前記パルス幅制御回路はさらに前記誤差電圧と前記発振電圧が一致することがある場合には、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチを共にオンオフする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をするように、前記第1のスイッチのオンオフ時間と前記第2のスイッチのオンオフ時間を制御する。
【0019】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記誤差増幅回路は、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成される。
前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくするように構成される。
前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低い場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第1のスイッチをオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせる降圧動作モードの制御をする。前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高い場合には、前記第1のスイッチをオン状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第2のスイッチをオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇圧動作モードの制御をする。さらに前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記発振電圧と一致することがある場合には、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より低い期間では前記第1のスイッチのオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせ、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より高い期間では前記第2のスイッチのオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をする。
【0020】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、所定の周期を有するパルス信号に応じて充放電されることにより、前記発振電圧を出力する発振コンデンサを有する。
前記発振回路は、前記発振電圧を前記第2の設定電圧に維持している状態のとき、前記パルス信号が入力されると前記発振コンデンサを充電し、前記発振電圧が第1の設定電圧に至ると前記発振コンデンサを放電し、前記発振電圧が前記第2の設定電圧に至ると前記発振コンデンサを充放電せずに前記発振電圧を前記第2の設定電圧付近に維持するように構成してもよい。
【0021】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、第1の設定電圧と前記第1の設定電圧より低い第2の設定電圧の間を周期的に上昇または下降する三角波状の発振電圧であって、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差の増加に応じて周期が減少する発振電圧を生成し、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差の増加に応じて周期が減少する発振電圧を生成するように構成してもよい。
【0022】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記誤差増幅回路は、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成される。
前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくするように構成される。
前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低い場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第1のスイッチをオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせる降圧動作モードの制御をする。前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高い場合には、前記第1のスイッチをオン状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第2のスイッチをオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇圧動作モードの制御をする。さらに前記パルス幅制御回路は、前記誤差電圧が前記発振電圧と一致することがある場合には、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より低い期間を前記第1のスイッチのオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせ、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より高い期間を前記第2のスイッチのオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をする。
【0023】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記発振電圧の上昇速度を前記誤差電圧の変化にかかわらず一定とし、前記発振電圧の下降速度を、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いほど速くし、また前記第2の設定電圧より低いほど速くなるように構成される。
前記パルス幅制御回路は、前記発振電圧の下降期間では、前記第1のスイッチをオン状態とし、前記第2のスイッチをオフ状態とし、前記発振電圧の上昇期間では、前記誤差電圧が前記発振電圧より高い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオン状態とし、前記誤差電圧が前記発振電圧より低い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオフ状態とするように構成してもよい。
【0024】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記誤差増幅回路は、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成される。
前記発振回路は、前記発振電圧の下降速度を前記誤差電圧の変化にかかわらず一定とし、前記発振電圧の上昇速度を、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いほど速くし、また前記第2の設定電圧より低いほど速くなるように構成される。
前記パルス幅制御回路は、前記発振電圧の上昇期間では、前記第1のスイッチをオン状態とし、前記第2のスイッチをオフ状態とし、前記発振電圧の下降期間では、前記誤差電圧が前記発振電圧より高い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオン状態とし、前記誤差電圧が前記発振電圧より低い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオフ状態とするように構成してもよい。
【0025】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記降圧動作モードにおいて、所定の第3の設定電圧を前記誤差電圧と比較して、前記誤差電圧が前記出力直流電圧を下降させる方向において前記第3の設定電圧を越えた場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の周期を長くするように構成してもよい。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の周期を長くするように構成してもよい。
【0026】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の下降速度を遅くするように構成してもよい。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の上昇速度を遅くするように構成してもよい。
【0027】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記第3の設定電圧は、前記入力直流電圧が低いほど前記第2の設定電圧に近づくように設定してもよい。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記制御部において、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との比較動作において所定のヒステリシス特性を有するように構成してもよい。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高くなるとき、前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を小さくするようにように構成してもよい。
【0028】
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記制御部において、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との比較動作において所定のヒステリシス特性を有するように構成してもよい。
本発明のDC−DCコンバータにおいて、前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低くなるとき、前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を小さくするようにように構成してもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るDC−DCコンバータの好適な実施の形態について添付の図1から図9を参照しつつ説明する。
【0031】
《実施の形態1》
本発明の実施の形態1を図1から図3を参照して説明する。
図1は本発明に係る実施の形態1のDC−DCコンバータの構成を示す回路図である。図1において、実施の形態1のDC−DCコンバータ50は、電圧Eiの入力直流電源1が接続された、PチャネルMOSFETからなる第1のスイッチ2とダイオードである第1の整流部3とインダクタ4とで構成される降圧コンバータ部51、インダクタ4を共有してNチャネルMOSFETからなる第2のスイッチ5とダイオードである第2の整流部6とで構成される昇圧コンバータ部52、及び出力コンデンサ7を備えている。出力コンデンサ7の両端子間の電圧Eoは出力直流電圧として負荷8に印加されている。
【0032】
第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のスイッチ5は直列に接続されて直流電源1の正極1Aと負極1B間に接続されている。第1のスイッチ2と第2のスイッチ5が共にオンになると、インダクタ4に入力直流電圧Eiが印加される。第1の整流手段3、インダクタ4及び第2の整流手段6は直列に接続され、第1の整流手段3と第2の整流手段6が共にオンになるとインダクタ4の電圧が出力コンデンサ7に印加される。
第1のスイッチ2と第2のスイッチ5をオンオフ制御する制御部53は、誤差増幅回路10、発振回路11及びパルス幅制御回路12を備えている。誤差増幅回路10は、出力直流電圧Eoを検出して誤差電圧Veを出力する。発振回路11は、発振電圧Vtを出力する。パルス幅制御回路12は誤差電圧Veと発振電圧Vtとを入力し、第1のスイッチ2をオンオフ駆動する駆動電圧Vg2と、第2のスイッチ5をオンオフ駆動する駆動電圧Vg5とを出力する。
【0033】
図2は制御部53の誤差増幅回路10、発振回路11及びパルス幅制御回路12の詳細な回路図である。
図2において、誤差増幅回路10は、基準電圧源100、出力直流電圧Eoを分圧する2つの直列接続されてた抵抗101、102、基準電圧源100の電圧Erと検出電圧とを比較し比較結果の誤差を増幅して誤差信号Veを出力する誤差増幅器103を有している。
発振回路11は、静電容量Cを有する発振コンデンサ110及び定電流回路111を有し、定電流回路111に流れる定電流I1で発振コンデンサ110を充電するPNPトランジスタ112とPNPトランジスタ113からなるカレントミラー回路とを有する。また入力直流電圧Eiを分圧して第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2とを出力する抵抗114、ダイオード115及び抵抗116の直列回路を有する。発振コンデンサ110を放電するNPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とからなるカレントミラー回路を更に有し、第1の設定電圧E1の出力点にベース端子が接続されたNPNトランジスタ130を有する。このNPNトランジスタ130のエミッタ端子と誤差増幅器103の出力端子の間に抵抗131が接続されている。
【0034】
PNPトランジスタ132とPNPトランジスタ133からなるカレントミラー回路は、抵抗131に流れる電流を、NPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とからなるカレントミラー回路に供給するように構成されている。PNPトランジスタ134はそのベース端子に第2の設定電圧E2が印加されており、コレクタ端子はNPNトランジスタ117のベース端子に接続されている。PNPトランジスタ134のエミッタ端子と誤差増幅器103の出力端子との間には抵抗135が接続されている。比較器136は第1の設定電圧E1と発振コンデンサ110の電圧Vtとを比較する。比較器137は第2の設定電圧E2と発振コンデンサ110の電圧Vtとを比較する。NOR回路138には比較器136の出力が入力され、NOR回路139はNOR回路138とともにフリップフロップを構成する。
【0035】
クロック信号源140は周期TのワンショットパルスをNOR回路139へ入出力する。PチャネルMOSFET141は、NOR回路138の出力Vxで駆動されて、PNPトランジスタ112とPNPトランジスタ113とからなるカレントミラー回路のエミッタ−ベース間を短絡する。NOR回路138の出力Vxと比較器137の出力が入力されるNOR回路142の出力はNチャネルMOSFET143のゲートに印加されこれを駆動する。
NチャネルMOSFET143及びこれに接続された抵抗144を経て、発振コンデンサ110は放電する。NOR回路139の出力がゲートに印加されて駆動されるNチャネルMOSFET145は、NPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118からなるカレントミラー回路のベース−エミッタ間を短絡する。
【0036】
パルス幅制御回路12は、誤差増幅器103の出力電圧Veと発振コンデンサ110の電圧Vtとを比較する比較器120を有する。この比較器120の出力VyとNOR回路139の出力はOR回路121に入力される。比較器120の出力VyとNOR回路138の出力VxがAND回路122に入力される。OR回路121の出力は、インバータ123を経て、第1のスイッチ2に入力される。第1のスイッチ2の駆動電圧Vg2となる。AND回路122の出力は、第2のスイッチ5の駆動電圧Vg5である。
【0037】
上記のように構成された実施の形態1のDC−DCコンバータの動作を以下に説明する。
第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5は制御部53により同じスイッチング周期Tでオンオフ動作をする。第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5の1スイッチング周期におけるそれぞれのオン時間の割合である時比率を、それぞれδ1、δ2とする。第2のスイッチ5がオン状態となる期間は第1のスイッチ2もオン状態であり、時比率δ1は時比率δ2より大きいものとする(δ1>δ2)。説明の便宜上、第1の整流部及び第2の整流部のオン状態における順方向電圧降下は無視する。
【0038】
まず、第1のスイッチ2と第2のスイッチ5が共にオン状態の時、入力直流電源1の電圧Eiがインダクタ4に印加される。印加期間は時比率δ2と周期Tとの積(δ2・T)で表される。この期間に、入力直流電源1からインダクタ4に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄積される。
次に、第1のスイッチ2と第2のスイッチ5が共にオフ状態の時、第1の整流部3と第2の整流部6がオン状態となり、インダクタ4には出力直流電圧Eoが逆方向に印加される。印加期間は周期Tから時比率δ1と周期Tの積を差引いた値(T−δ1・T)で表され、インダクタ4から出力コンデンサ7へ電流が流れ、蓄積された磁気エネルギーは放出される。
最後に、第1のスイッチ2がオン状態で第2のスイッチ5がオフ状態の時、第2の整流部6がオン状態となり、インダクタ4には入力直流電圧Eiと出力直流電圧Eoの差の電圧(Ei−Eo)が印加される。この期間は式(δ1・T−δ2・T)で表され、インダクタ4を経て入力直流電源1から出力コンデンサ7へ電流が流れる。
【0039】
以上のように磁気エネルギーの蓄積と放出の動作を繰り返すことにより、出力コンデンサ7から負荷8へ電力が供給される。インダクタ4の磁気エネルギーの蓄積と放出が均衡する安定動作状態においては、インダクタ4の印加電圧と印加時間の積の和はゼロであるから、下記の式(4)が成り立つ。
【0040】
Ei・δ2・T+(Ei−Eo)(δ1・T−δ2・T)
−Eo(T−δ1・T)=0 (4)
【0041】
上記の式(4)を整理すると、下記の式(5)に示される変換特性式が得られる。
【0042】
Eo/Ei=δ1/(1−δ2) (5)
【0043】
上記の式(5)の変換特性式からわかるように、時比率δ1、δ2を制御することにより、理論上は任意の入力直流電圧Eiから任意の出力直流電圧Eoを得ることができ、DC−DCコンバータを昇降圧コンバータとして動作させることが可能となる。
第2のスイッチ5が常時オフ状態となる時比率δ2が零(δ2=0)の場合は、下記の式(6)に示すように降圧コンバータとして動作する降圧動作モードとなる。
【0044】
Eo/Ei=δ1 (6)
【0045】
また、第1のスイッチ2が常時オン状態となる時比率δ1が1に等しい(δ1=1)場合は、下記の式(7)に示すように昇圧コンバータとして動作する昇圧動作モードとなる。
【0046】
Eo/Ei=1/(1−δ2) (7)
【0047】
図3の(a)から(c)は、図2に示す制御部53の各部波形図である。図3の(a)から(c)において、クロック信号源140からのパルス出力Vc、発振コンデンサ110の発振電圧Vt、誤差増幅回路10からの誤差電圧Ve、NOR回路138の出力Vx、パルス幅制御回路12における比較器120の出力Vy、OR回路121の出力V121、及び第2のスイッチ5の駆動電圧Vg5の波形を示す。尚、図3において、第1のスイッチ2の駆動電圧Vg2ではなく、その反転電圧であるOR回路121の出力V121を示したのは、以下の理由による。
【0048】
第1のスイッチ2はPチャネルMOSFETであるので、ゲートに印加される駆動電圧Vg2が“L”(論理レベルの「低」)でオン、“H”(論理レベルの「高」)でオフ状態となる。従って通常のスイッチのように”L”でオフ、”H”でオンとなるものとはオンオフ状態を表す波形の意味が反対となり混乱を起こす恐れがある。図2で比較器120の出力VyとNOR回路139の出力との論理否定和をとって駆動電圧Vg2とすればよいが、理解を容易にするためにOR回路121とインバータ123による構成とし、OR回路121の出力V121を図3に示した。すなわち図3では、OR回路121の出力V121を示すことにより、第1のスイッチ2のオンオフ状態が”H”でオン、”L”でオフとなるようにして容易に理解できるようにした。図3の(a)は発振電圧Vtが誤差電圧Veより大きい場合、(b)は発振電圧Vtと誤差電圧Veの波形が交差する場合、すなわち一致することがある場合(c)は発振電圧Vtが誤差電圧Veより小さい場合を示す。
【0049】
制御部53の動作を図2及び図3を参照しながら説明する。説明の便宜上、ダイオードの順方向電圧降下、すなわちオン状態にあるNPNトランジスタのベース−エミッタ間の電圧とPNPトランジスタのエミッタ−ベース間の電圧は等しいものとしこれを電圧Vdで表す。電圧Vdは第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2との差に等しい。
誤差増幅回路10の出力する誤差電圧Veについて、出力直流電圧Eoを抵抗101と抵抗102で分圧して検出された電圧が、基準電圧源100の基準電圧Erより高くなると誤差電圧Veは下降し、低くなると上昇する。即ち、入力直流電圧Eiが高くなったり、負荷8が軽くなって出力直流電圧Eoが上昇しようとすると、誤差電圧Veは下降する。逆に、入力直流電圧Eiが低くなったり、負荷8が重くなって出力直流電圧Eoが下降しようとすると、誤差電圧Veは上昇する。図3の(a)は誤差電圧Veが発振電圧Vtより低い状態を示し、入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより高い場合である。図3の(b)は誤差電圧Veと発振電圧Vtの波形が交差している状態を示し、入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoに近い場合である。図3の(c)は誤差電圧Veが発振電圧Vtより高い状態を示し、入力直流電圧Eiが低い場合である。
【0050】
発振回路11の発振コンデンサ110は、第1の設定電圧E1と第2の設定電圧 E2(E2<E1)との間で充放電され、発振電圧Vtを出力する。この充電期間は、クロック信号源140からのパルス信号Vcを受けることにより始まる。
まず、NOR回路139が“L”を出力し、NOR回路139と組み合わされてフリップフロップを構成するNOR回路138の出力Vxが“H”となる。このため、FET141はオフ状態となって、定電流源111の電流I1がPNPトランジスタ112とPNPトランジスタ113のカレントミラー回路を経て発振コンデンサ110に流れ、発振コンデンサ110は充電される。FET143はオフ状態であるので抵抗144による放電は行われない。しかし、FET145はオフ状態なのでNPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とのカレントミラー回路による放電は行われる。NPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とのカレントミラー回路による放電電流は、誤差電圧Veによって決定される。
【0051】
図3の(b)に示すように、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2の間にある場合、NPNトランジスタ130とPNPトランジスタ134とはともにオフ状態となる。従って、NPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118によるカレントミラー回路を経て、発振コンデンサ110から放電する電流はなく、発振コンデンサ110は、定電流I1で充電される。従って、発振コンデンサ110の充電速度、即ち発振電圧Vtの上昇速度は一定である。
図3の(a)に示すように、誤差電圧Veが第2の設定電圧E2より低い場合、PNPトランジスタ134はオフ状態となるが、NPNトランジスタ130はオン状態となり、抵抗131に電流が流れる。抵抗131には第1の設定電圧E1から電圧Vdと誤差電圧Veを差し引いた電圧(E1−Vd−Ve)が印加される。第2の設定電圧E2は第1の設定電圧E1と電圧Vdとの差に等しいので(E2=E1−Vd)、抵抗131の抵抗値をR131とすると、抵抗131に流れる電流は式(E2−Ve)/R131 で計算される値となる。この電流が発振コンデンサ110からPNPトランジスタ132とPNPトランジスタ133とを含むカレントミラー回路、及びNPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とを含むカレントミラー回路を経て流れ、発振コンデンサ110は放電する。但し、この電流は電圧Veが最も低くなったときでも定電流I1よりは大きくならないように設定される。従って、発振コンデンサ110は、下記の式(8)で表される電流I131で充電される。
【0052】
I131=I1−(E2−Ve)/R131 (8)
【0053】
充電電流I131は、誤差電圧Veが第2の設定電圧E2より低いほど少なくなり、発振コンデンサ110の充電速度、即ち発振電圧Vtの上昇速度は遅くなる。
図3の(c)に示すように、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1より高い場合には、NPNトランジスタ130はオフ状態となるが、PNPトランジスタ134はオン状態となり、抵抗135に電流が流れる。抵抗135には式(Ve−(E2+Vd))で表される電圧が印加される。第1の設定電圧E1は、第2の設定電圧E2と電圧Vdとの和(E1=E2+Vd)であるから、抵抗135の抵抗値をR135とすると、抵抗135に流れる電流は、式(Ve−E1)/R135 で表される値となる。この電流がNPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118とを含むカレントミラー回路を経て流れ発振コンデンサ110は放電する。但し、この電流は誤差電圧Veが最も高くなったときでも定電流I1よりは大きくならないように設定される。従って、発振コンデンサ110は、下記の式(9)で表される電流I135で充電される。
【0054】
I135=I1−(Ve−E1)/R135 (9)
【0055】
充電電流I135は、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1より高いほど少なくなり、発振コンデンサ110の充電速度、即ち発振電圧Vtの上昇速度は遅くなる。
発振コンデンサ110の充電が進み、発振電圧Vtが第1の設定電圧E1に至ると、比較器136の出力は“H”になり、フリップフロップのNOR回路138の出力Vxは“L”となる。同時にNOR回路139の出力Vxは“H”となる。出力Vxが“L”のときのFET141はオン状態になり、PNPトランジスタ113はオフ状態になって、発振コンデンサ110への充電電流を停止する。NOR回路142の出力は“H”であるので、FET143がオン状態となり、発振コンデンサ110を抵抗144で放電する。NOR回路139から“H”の出力を受けたFET145はオン状態となる。そのためNPNトランジスタ118はオフ状態になり、NPNトランジスタ118による発振コンデンサ110の放電は停止する。従って、発振コンデンサ110は抵抗144のみを経て放電し、発振電圧Vtは下降する。
【0056】
発振コンデンサ110の放電が進み、発振電圧Vtが第2の設定電圧E2に至ると、比較器137の出力は“H”になり、NOR回路142の出力は“L”となる。これにより、FET143がオフ状態となり、発振コンデンサ110の放電は停止する。この状態では、発振コンデンサ110は充電も放電もされないので、発振電圧Vtは第2の設定電圧E2よりわずかに低い電圧を維持する。この状態において、クロック信号源140から次のパルス信号が入力されるのを待つ。クロック信号源140からのパルス信号が入力されると、NOR回路138とNOR回路139によるフリップフロップの出力が反転する。これにより、再び充電が開始される。
以上のように、発振コンデンサ110は第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2との間で充放電され、発振電圧Vtを出力する。第1実施例の場合、第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2との電位差はVdであるので、発振電圧Vtの上昇期間Tcは下記の式(10)〜式(12)によって表される。
【0057】
Ve<E2 の時、Tc=C・R131・Vd/(E2−Ve) (10)
【0058】
E2≦Ve≦E1 の時、Tc=C・Vd/I1 (11)
【0059】
Ve>E1 の時、Tc=C・R135・Vd/(Ve−E1) (12)
【0060】
パルス幅制御回路12において、比較器120の出力VyとNOR回路139の出力がOR回路121に入力されて得られた論理和の出力V121はインバータ123に入力されて反転し、出力の駆動電圧Vg2が得られる。駆動電圧Vg2が“H”となるのは、出力Vxが“H”となる発振電圧Vtの上昇期間中であり、且つ出力Vyが“L”となる電圧Veが発振電圧Veより小さい(Ve<Vt)期間である。即ち、第1のスイッチ2がオフ状態のなるのは、発振電圧Vtの上昇期間内において上記(Ve<Vt)の期間のみである。
一方、比較器120の出力VyとNOR回路138の出力VxがAND回路122に入力されて、論理積である駆動電圧Vg5が得られる。駆動電圧Vg5が“H”となるのは、出力Vxが“H”となる発振電圧Vtの上昇期間であり、且つ出力Vyが“H”となる電圧Veが電圧Vtより大きい(Ve>Vt)期間である。即ち、第2のスイッチ5がオン状態となるのは、発振電圧Vtの上昇期間内において前記(Ve>Vt)の期間のみである。
【0061】
図3の(a)に示すように、入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより高く、誤差電圧Veが発振電圧Vtより低い場合、比較器120の出力Vyは常時“L”であるので、駆動電圧Vg5も常時“L”であり第2のスイッチ5は常時オフ状態となる。一方、OR回路121の出力V121、即ち駆動電圧Vg2の反転電圧は、発振電圧Vtの上昇期間中は“L”となるので、第1のスイッチ2は発振電圧Vtの上昇期間中はオフ状態、他の期間はオン状態となる。この第1のスイッチ2がオフ状態であるオフ期間(1−δ1)Tは、下記の式(13)で表される。
【0062】
(1−δ1)T=Tc=C・R131・Vd/(E2−Ve) (13)
【0063】
この場合、実施の形態1のDC−DCコンバータは、下記の式(14)に示す時比率δ1で動作する降圧動作モードとなる。
【0064】
δ1=1−C・R131・Vd/(E2−Ve)/T (14)
【0065】
第1のスイッチ2の時比率δ1は、誤差電圧Veが低下するほど小さくなる。入力直流電圧Eiが高くなるほど、誤差電圧Veが低下して、時比率δ1が小さくなるように制御することにより、出力直流電圧Eoを安定化することができる。
図3の(b)に示すように、入力直流電圧Eiの値が出力直流電圧Eoの値に近く、誤差電圧Veの波形が発振電圧Vtの波形と交差している場合、すなわち誤差電圧Veと発振電圧Vtが一致することがある場合、発振電圧Vtの上昇期間Tc内において誤差電圧Veが発振電圧Vtより大きいときのみ(Ve>Vt)、第2のスイッチ5はオン状態となる。また発振電圧Vtの上昇期間Tc内において誤差電圧Veが発振電圧Vtより小さいときのみ(Ve<Vt)、第1のスイッチ2はオフ状態となる。発振電圧Vtの上昇期間Tc内において、(Ve>Vt)の期間は、式 C(Ve−E2)/I1 によって表され、Ve<Vtの期間は、式 C(E1−Ve)/I1 によって表される。従って、実施の形態1のDC−DCコンバータは、第1のスイッチ2が下記の式(15)に示す時比率δ1でオンオフ動作し、第2のスイッチ5が下記の式(16)に示す時比率δ2でオンオフ動作する昇降圧動作モードである。
【0066】
δ1=1−C(E1−Ve)/I1/T (15)
【0067】
δ2=C(Ve−E2)/T (16)
【0068】
入力直流電圧Eiが高くなるほど、誤差電圧Veは低下し、第1のスイッチ2の時比率δ1が小さくなると共に第2のスイッチ5の時比率δ2も小さくなる。これにより、出力直流電圧Eoを安定化する制御ができる。
図3の(c)に示すように、入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより低く、誤差電圧Veが発振電圧Vtより高い場合、比較器120の出力Vyは常時“H”である。従って、OR回路121の出力V121、即ち駆動電圧Vg2の反転電圧は常時“H”であり、第1のスイッチ2は常時オン状態となる。駆動電圧Vg5は、発振電圧Vtの上昇期間は“H”であるので、第2のスイッチ5は発振電圧Vtの上昇期間はオン状態、他の期間はオフ状態となる。第2のスイッチ5がオン状態となるオン期間δ2・Tは、下記式(17)で表される。
【0069】
δ2・T=Tc=C・R135・Vd/(Ve−E1) (17)
【0070】
この場合、本実施の形態1のDC−DCコンバータは、下記の式(18)に示す時比率δ2で動作する昇圧動作モードとなる。
【0071】
δ2=C・R135・Vd/(Ve−E1)/T (18)
【0072】
第2のスイッチ5のオン期間を決める時比率δ2は、誤差電圧Veが上昇するほど大きくなる。誤差電圧Veは入力直流電圧Eiが低くなるほど上昇し、時比率δ2が大きくなる。これにより、出力直流電圧Eoを安定化する制御ができる。
以上のように、実施の形態1のDC−DCコンバータは、1つの発振電圧Vtと1つの誤差電圧とを比較することによって、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンオフ動作する2つの駆動信号を送出する。これにより、降圧動作、昇降圧動作及び昇圧動作の制御をすることが可能となる。
【0073】
上記の実施の形態1において、誤差増幅回路11の出力の誤差電圧Veは、出力直流電圧Eoが上昇しようとすると下降し、逆に出力直流電圧Eoが下降しようとすると上昇するものとして説明した。しかし本発明はこの動作に限定されるものではなく、上記の動作とは逆の動作も駆動信号Vg2とVg5を逆転することにより可能である。この場合でも本発明の実施の形態1のDC−DCコンバータと同様の動作を行う。
本発明の実施の形態1のDC−DCコンバータでは、入力直流電圧Eiを抵抗114とダイオード115と抵抗116とで電圧分割することにより第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2を得る構成である。実施の形態1において、このように構成したのは、入力直流電圧Eiの変動に対し、高電位側と低電位側にカレントミラー回路のための電圧を確保できるとともに、発振電圧Vtの振幅を固定にできるからである。しかし、第1及び第2の設定電圧E1及びE2をそれぞれの差基準電圧源等を用いて設定しても本発明の効果に変わりは無く、本発明は電圧分割の方法に限定されるものではない。
【0074】
本発明の実施の形態1のDC−DCコンバータの制御方法では、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1より高いほど、又は誤差電圧Veが第2の設定電圧E2より低いほど、発振電圧Vtの上昇時間を長くしている。一方、誤差電圧Veが第2の設定電圧E2以上で、第1の設定電圧E1以下のとき(E2≦Ve≦E1)には発振電圧Vtの上昇時間を最小値に固定している。しかし本発明は上記の制御方法に限定されるものではない。例えば、第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2との間の電圧を有する別の設定電圧Exを設け、誤差電圧Veと設定電圧Exとを比較し、誤差電圧Veが設定電圧Exと等しいとき(Ve=Ex)発振電圧Vtの上昇時間を最小とし、誤差電圧Veと設定電圧Exとの電位差が大きくなるほど発振電圧Vtの上昇時間を長くする構成も本発明に含まれる。
本発明の実施の形態1のDC−DCコンバータでは、クロック信号源140からのパルス信号によって発振コンデンサ110を充電するタイミングを規定したが、クロック信号源140を本発明のDC−DCコンバータの外部に設けた構成でも構わない。即ち、本発明の実施の形態1のDC−DCコンバータにおいて、外部信号を受信する受信手段を設けた構成とし、その外部信号に同期して動作する外部同期型のDC−DCコンバータとしても動作させることができる。なお、実施の形態1のDC−DCコンバータでは、発振電圧Vtの上昇期間を誤差電圧Veによって変化させて制御したが、下降期間を誤差電圧Veによって変化させて制御してもかまわない。このことは、第3の実施の形態から第6の実施の形態についても同様である。
【0075】
《実施の形態2》
本発明の実施の形態2のDC−DCコンバータについて図4及び図5を参照しつつ説明する。
図4は本発明に係る実施の形態2のDC−DCコンバータの制御部53Aの構成を示す回路図である。制御部53Aは、図1に示すコンバータ部50に制御部53の代わりに組み込まれて、本実施の形態2のDC−DCコンバータが構成される。実施の形態2のDC−DCコンバータの制御部53Aにおいて、誤差増幅回路10とパルス幅制御回路12は、実施の形態1のDC−DCコンバータの制御部53と同じである。また発振回路11Aは次に詳しく説明するように、一部分を除き前記制御部53の発振回路11と同じである。図4において、実施の形態1と同じ機能及び構成を有する要素には同じ符号を付しその説明を省略する。
【0076】
図4に示す実施の形態2のDC−DCコンバータの制御部53Aの発振回路11Aには、定電流I2を供給する定電流回路146が設けられている。定電流回路146はNPNトランジスタ117とNPNトランジスタ118を含むカレントミラー回路に電流を供給している。図2のクロック信号源140の代わりに比較器137の出力がフリップフロップを構成するNOR回路139に入力されている。NPNトランジスタ117のベースエミッタ間に接続されたNチャネルMOSFET145のゲートにはNOR回路138の出力Vxが入力されている、図2におけるNOR回路142、NチャネルMOSFET143及び抵抗144は、図4の発振回路11Aには設けられていない。制御部53Aのその他の構成は前記制御部53と同じである。以上のように構成された実施の形態2のDC−DCコンバータについて図1及び図4を参照して説明する。DC−DCコンバータは下記の式(19)に示す変換特性を有する。
【0077】
Eo/Ei=δ1/(1−δ2) (19)
【0078】
第2のスイッチ5が常時オフ状態となる時比率δ2が零(δ2=0)の場合は、式(19)は下記の式(20)のようになり、降圧コンバータとして動作する降圧動作モードとなる。
【0079】
Eo/Ei=δ1 (20)
【0080】
また、第1のスイッチ2が常時オン状態となる時比率δ1が1(δ1=1)の場合は、式(19)が下記の式(21)となり、昇圧コンバータとして動作する昇圧動作モードとなる。
【0081】
Eo/Ei=1/(1−δ2) (21)
【0082】
上記のように実施の形態2において、入出力の変換特性式に関しては前述の実施の形態1と同様である。
図5の(a)から(c)は図4に示す制御部53Aの各部の波形図である。図5の(a)から(c)において、発振電圧Vt、誤差電圧Ve、NOR回路138の出力Vx、比較器120の出力Vy、OR回路121の出力V121、即ち第1のスイッチ2の駆動電圧Vg2の反転電圧、第2のスイッチ5の駆動電圧Vg5の各波形を示す。図5の(a)は発振電圧Vtが誤差電圧Veより大きい場合、(b)は発振電圧Vtと誤差電圧Veの波形が交差する場合、(c)は発振電圧Vtが誤差電圧Veより小さい場合を示す。
【0083】
図4に示す制御部53Aの動作を図5の(a)から(c)を参照しながら説明する。
誤差増幅回路10から出力される誤差電圧Veは、実施の形態1のDC−DCコンバータのものと同様であり、入力直流電圧Eiが高くなったり、負荷8が軽くなって出力直流電圧Eoが上昇しようとすると下降する。逆に、誤差電圧Veは、入力直流電圧Eiが低くなったり、負荷8が重くなって出力直流電圧Eoが下降しようとすると上昇する。図5の(a)は入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより高く、誤差電圧Veは発振電圧Vtより低い状態を示している。図5の(b)は入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoに近く、誤差電圧Veと発振電圧Vtとの波形が交差している状態を示す。図5の(c)は入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより低く、誤差電圧Veは発振電圧Vtより高い状態を示している。
【0084】
発振回路11Aの発振コンデンサ110は、第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2(E2<E1)との間で充放電をし、発振電圧Vtを出力する。この発振電圧Vtは、定電流源111の電流I1を、PNPトランジスタ112とPNPトランジスタ113を含むカレントミラー回路を経て発振コンデンサ110に供給して充電することにより上昇し、その上昇速度は一定である。この充電期間において、比較器136と比較器137の出力はいずれも“L”であり、2つの“L”の出力信号が入力される、NOR回路138、139を含むフリップフロップの出力は、NOR回路138の出力Vxが“H”、NOR回路139の出力が“L”である。“H”の信号VxはFET145をオン状態にし、発振コンデンサ110を放電するNPNトランジスタ118をオフ状態としている。発振コンデンサ110の静電容量をCとすると、充電期間、即ち発振電圧Vtの上昇期間Tcは次の式(22)で表される。
【0085】
Tc=C(E1−E2)/I1=C・Vd/I1 (22)
【0086】
発振コンデンサ110の電圧Vtが第1の設定電圧E1に達すると、比較器136の出力は“H”になり、フリップフロップを形成する、NOR回路138の出力Vxは“L”になり、NOR回路139の出力が“H”に反転する。“L”の出力VxはFET141をオン状態にしてPNPトランジスタ113をオフ状態にするとともに、FET145をオフ状態にしてNPNトランジスタ118をオン状態にする。これにより、発振コンデンサ110が放電する。NPNトランジスタ117と組み合わされてカレントミラー回路を構成するNPNトランジスタ118を流れる放電電流は、定電流回路146からの定電流I2とPNPトランジスタ133及びPNPトランジスタ134のコレクタ電流との和となる。発振電圧Vtの下降期間は誤差電圧Veによって次のように設定される。
【0087】
まず、図5の(a)に示すように誤差電圧Veが第2の設定電圧E2より低い場合、抵抗131には第1の設定電圧E1から電圧Vdと誤差電圧Veを差し引いた電圧(E1−Vd−Ve)が印加される。第1の設定電圧E1から電圧Vdを差し引いた電圧は第2の設定電圧E2に等しいので(E1−Vd=E2)、抵抗131の抵抗値をR131とすると、NPNトランジスタ130から抵抗131に流れる電流は式(E2−Ve)/R131 で表示される値となる。この電流がPNPトランジスタ132とPNPトランジスタ133とのカレントミラー回路によってNPNトランジスタ117のベース端子に供給され、一定の電流I2と共に発振コンデンサ110の放電電流となる。この場合の放電期間、即ち発振電圧Vtの下降期間Td1は次の式(23)で表され、第2の設定電圧E2から電圧Veを差し引いた電圧(E2−Ve)が大きいほど短くなる。
【0088】
Td1=C・Vd/{I2+(E2−Ve)/R131} (23)
【0089】
次に、図5の(b)に示すように、電圧Veが第2の設定電圧E2以上で第1の設定電圧以下の場合、(E2≦Ve≦E1)、NPNトランジスタ130とPNPトランジスタ134は共にオフ状態となる。従って、発振コンデンサ110の放電電流はI2のみとなる。この場合の放電期間、即ち発振電圧Vtの下降期間Td2は次の式(24)で表され、誤差電圧Veに依存しなくなる。
【0090】
Td2=C・Vd/I2 (24)
【0091】
さらに、図5の(c)に示すように、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1より高い場合(Ve>E1)、抵抗135には式(Ve−(E2+Vd))で表される電圧が印加される。第2の設定電圧E2と電圧Vdとの和は第1の設定電圧E1に等しいので(E2+Vd=E1)、抵抗135の抵抗値をR135とすると、PNPトランジスタ134から抵抗135に流れる電流は式(Ve−E1)/R135 で表される値となる。この電流がトランジスタ117のベース端子に供給され、一定の電流I2と共に発振コンデンサ110の放電電流となる。この場合の放電期間、即ち発振電圧Vtの下降期間Td3は次の式(25)で表され、電圧Veから第1の設定電圧E1を差し引いた電圧(Ve−E1)が大きいほど短くなる。
【0092】
Td3=C・Vd/{I2+(Ve−E1)/R135} (25)
【0093】
パルス幅制御回路12の動作は実施の形態1のものと同様であり、第1のスイッチ2がオフ状態のなるのは、発振電圧Vtの上昇期間内において電圧Veが発振電圧Vtより小さい(Ve<Vt)期間のみである。また、第2のスイッチ5がオン状態のなるのは、発振電圧Vtの上昇期間内において電圧Veが発振電圧Vtよりより大きい(Ve>Vt)期間のみである。
入力直流電圧Eiが出力直流電圧より高く、図5の(a)に示すように誤差電圧Veが発振電圧Vtより低い場合、比較器120の出力Vyは常時“L”であるので、駆動電圧Vg5は常時“L”であり第2のスイッチ5は常時オフ状態となる。一方、駆動電圧Vg2の反転電圧であるOR回路121の出力V121は、発振電圧Vtの上昇期間に“L”、発振電圧Vtの下降期間に“H”となる。従って第1のスイッチ2は発振電圧Vtの上昇期間Tcにオフ状態、下降期間Td1にオン状態となる。これにより、実施の形態2のDC−DCコンバータは、第1のスイッチ2がオン期間 δ1・T(=Td1)、オフ期間(1−δ1)T(=Tc)でオンオフ動作する降圧動作モードとなる。この時、第1のスイッチ2のオン期間である下降期間Td1は、前記のように誤差電圧Veが低下するほど小さくなる。入力直流電圧Eiが高くなるほど、誤差電圧Veは低下し、第1のスイッチ2のオン期間δ1Tを短くすることにより、出力直流電圧Eoを安定化する制御ができる。
【0094】
入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoに近く、図5の(b)に示すように誤差電圧Veが発振電圧Vtの波形と交差している場合、発振電圧Vtの上昇期間Tc内において電圧Veが発振電圧Vtより大きい(Ve>Vt)時のみ第2のスイッチ5はオン状態となる。また発振電圧Vtの上昇期間Tc内において電圧Veが発振電圧Vtより小さい(Ve<Vt)時のみ第1のスイッチ2はオフ状態となる。発振電圧Vtの上昇期間Tc内において、電圧Veが発振電圧Vtより大きい状態(Ve>Vt)の期間は、下記の式(26)で表される。
【0095】
Tc(Ve−E2)/(E1−E2)=Tc(Ve−E2)/Vd (26)
【0096】
また、電圧Veが発振電圧Vtより小さい状態(Ve<Vt)の期間は、下記の式(27)で表される。
【0097】
Tc(E1−Ve)/(E1−E2)=Tc(E1−Ve)/Vd (27)
【0098】
従って、実施の形態2のDC−DCコンバータの上記の動作は、第1のスイッチ2が下記の式(28)と式(29)で表されるオン期間δ1・Tとオフ期間(1−δ1)Tでオンオフ動作し、第2のスイッチ5が下記の式(30)と式(31)で表されるオン期間δ2・Tとオフ期間(1−δ2)Tでオンオフ動作する昇降圧動作モードである。
【0099】
δ1・T=Td2+Tc(Ve−E2)/Vd (28)
【0100】
(1−δ1)T=Tc(E1−Ve)/Vd (29)
【0101】
δ2・T=Tc(Ve−E2)/Vd (30)
【0102】
(1−δ2)T=Td2+Tc(E1−Ve)/Vd (31)
【0103】
スイッチング周期Tは、上昇期間Tcと下降期間Td2の和(T=Tc+Td2)であり一定となる。入力直流電圧Eiが高くなるほど、誤差電圧Veは低下する。第1のスイッチ2のオン期間δ1・Tを短くすると共に第2のスイッチ5のオン期間δ2・Tを短くすることにより、出力直流電圧Eoを安定化する制御を行うことができる。
図5の(c)に示すように、入力直流電圧Eiが低く、誤差電圧Veが発振電圧Vtより高い場合、比較器120の出力Vyは常時“H”であるので、OR回路121の出力V121は常時“H”となり第1のスイッチ2は常時オン状態となる。一方、駆動電圧Vg5は、発振電圧Vtの上昇期間に“H”、発振電圧Vtの下降期間に“L”となるので、第2のスイッチ5は発振電圧Vtの上昇期間Tcにオン状態、下降期間Td3にオフ状態となる。従って、実施の形態2のDC−DCコンバータの上記の動作は、第2のスイッチ2がオン期間δ2・T(=Tc)、及びオフ期間(1−δ2)T(=Td3)でオンオフ動作をする昇圧動作モードである。第2のスイッチ5のオン期間 δ2・T(=Tc)は一定であるが、オフ期間(1−δ2)T(=Td3)は前記のように誤差電圧Veが上昇するほど小さくなる。入力直流電圧Eiが低くなるほど、誤差電圧Veは上昇する。第2のスイッチ2のオフ期間(1−δ2)Tを短くすることにより、出力直流電圧Eoを安定化する制御を行うことができる。
【0104】
以上のように、実施の形態2のDC−DCコンバータにおいても、1つの発振電圧波形と1つの誤差電圧との比較によって、第1のスイッチ及び第2のスイッチをオンオフ動作する2つの駆動信号を送出することにより、降圧動作、昇降圧動作、及び昇圧動作の制御をすることが可能である。
実施の形態2のDC−DCコンバータでは周波数変動型の制御を行う。すなわち、降圧動作モードにおいては入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより高いほどスイッチング周波数が高くなり、昇圧動作モードにおいては入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoより低いほど、スイッチング周波数が高くなる。2つのスイッチがオンオフ動作する昇降圧動作モードにおいてはスイッチング周波数が最低となる。周波数変動型の制御を行うことにより、周波数固定型の場合に増大する昇降圧動作モードでのスイッチング損失を低減することができる。
実施の形態2のDC−DCコンバータでは、発振電圧Vtの下降期間を誤差電圧Veによって変化させて制御したが、実施の形態1のDC−DCコンバータと同様に、発振電圧Vtの上昇期間を誤差電圧Veによって変化させて制御してもかまわない。
【0105】
《実施の形態3》
図6は本発明の実施の形態3のDC−DCコンバータの制御部53Bのブロック図及び回路図である。図1に示すコンバータ部50の制御部53を前記の制御部53Bに代えることにより、本実施の形態3のDC−DCコンバータが構成される。図6において、誤差増幅回路10及びパルス幅制御回路12は図2または図4のものと同じであるのでブロック図で示している。発振回路11Bにおいて、図4で示した発振回路11Aと同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付与し、その説明を省略する。実施の形態3のDC−DCコンバータの制御部53Bが図4に示した実施の形態2のDC−DCコンバータの制御部53Aと異なるのは、発振回路11Bにおいて、前記図4の発振回路11Aに対して回路C1を付加した点である。以下に、回路C1の構成を説明する。
【0106】
回路C1において、第2の設定電圧E2よりも低い第3の設定電圧E3がPNPトランジスタ161のベースに印加されている。トランジスタ161のエミッタには抵抗162を経て直流電源1の入力電圧Eiが印加されている。トランジスタ161のエミッタはNPNトランジスタ163のべースに接続され、トランジスタ163のエミッタには、抵抗164を経て誤差増幅回路10から誤差電圧Veが印加されている。トランジスタ163のコレクタにはPNPトランジスタ165を経て入力直流電圧Eiが印加されている。トランジスタ165と166はカレントミラー回路を構成し、共通に接続されたベース端子はトランジスタ165のコレクタに接続されている。トランジスタ166のエミッタはNPNトランジスタ167のコレクタ端子及びベース端子に接続されている。トランジスタ167とNPNトランジスタ168はカレントミラー回路を構成している。トランジスタ168のコレクタ端子は発振コンデンサ110に接続され、発振コンデンサ110はトランジスタ168を経て放電する。ゲート端子がNOR回路139の出力端に接続され、NOR回路139の出力で駆動されるNチャネルMOSFET169がトランジスタ167とトランジスタ168のベース−エミッタ間に接続されている。
【0107】
以上のように構成された実施の形態3のDC−DCコンバータの動作を図1及び図6を参照して説明する。誤差電圧Veが第3の設定電圧E3以上の場合は、前記の実施の形態2のDC−DCコンバータと同様である。負荷8が軽くて出力電流が小さく、誤差電圧Veが第3の設定電圧E3より低い場合について説明する。
【0108】
昇降圧型のDC−DCコンバータ等のように、インダクタへの磁気エネルギーの蓄積と放出を繰返すスイッチングコンバータは、出力電流がある程度大きい場合にはインダクタを流れる電流はゼロにならない。このような動作を「電流連続モード」と呼ぶ。例えば降圧動作モードでの入出力電圧の関係が式(Eo=δ1・Ei)で表せるのは、電流連続モードの場合である。降圧動作モードの場合に出力電流が小さくなると、インダクタを流れる電流は、第1のスイッチ2のオフ期間中に減少してやがてゼロになり、第1の整流部3はオフ状態になる。このように、インダクタを流れる電流がゼロになる期間を有する動作を「電流不連続モード」と呼ぶ。電流不連続モードにおいては、降圧動作モードの入出力電圧の関係を表す式(Eo=δ1・Ei)は成立しない。出力直流電圧Eoを安定化するには、出力電流が小さくなるほど第1のスイッチ2のオン期間(δ1・T)を小さくしなければならない。本発明の実施の形態3のDC−DCコンバータでは誤差電圧Veを低下する動作を行う。これは、昇圧動作モードや昇降圧動作モードにおいても同様である。
【0109】
出力電流が小さい場合において生じるスイッチングコンバータの電力損失は、主としてスイッチがターンオンする際に発生するスイッチング損失である。このスイッチング損失を減らしてスイッチングコンバータの効率向上を図るには、出力電流が小さい場合にはスイッチング周波数を低下させればよい。
前記の実施の形態2のDC−DCコンバータの場合、入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoよりも低くなると、昇圧動作モードもしくは昇降圧動作モードで動作する。この状態で出力電流が小さくなって電流不連続モードとなると、誤差電圧Veは低下するが、スイッチング周波数が低く設定された昇降圧動作モードを保つ。しかし入力直流電圧Eiが出力直流電圧Eoよりも高く、かつ出力電流が小さくなって電流不連続モードとなると、降圧動作モードにおいて誤差電圧Veが低下する。この時、スイッチング周波数は高くなるので効率が低下するという問題が生じる。
【0110】
図6に示した制御部53Bを有する実施の形態3のDC−DCコンバータは、特に降圧動作モードの軽負荷時において、誤差電圧Veが低下するに従い、スイッチング周波数を低下させることを特徴とする。以下にその動作を説明する。
ベース端子に第3の設定電圧E3が印加されているトランジスタ161は、トランジスタ163のベース端子の電圧を、第3の設定電圧E3にトランジスタ161のエミッタ−ベース電圧Vdを加えた電圧(E3+Vd)に固定する。誤差電圧Veが低下して第3の設定電圧E3を下回ると、トランジスタ163のベース−エミッタ間電圧として電圧Vdが発生し、抵抗162を介してベース電流が供給されるトランジスタ163は導通状態になる。従ってトランジスタ163のエミッタ端子の電圧は第3の設定電圧E3にほぼ等しくなる。抵抗164には第3の設定電圧E3と誤差電圧Veとの差の電圧(E3−Ve)が印加される。抵抗164の抵抗値をR164とすると、トランジスタ163を経て抵抗164に流れる電流I4は、下記の式(32)で表される。
【0111】
I4=(E3−Ve)/R164 (32)
【0112】
この電流I4はトランジスタ165とトランジスタ166のカレントミラー回路と、トランジスタ167とトランジスタ168のカレントミラー回路を経て流れる発振コンデンサ110の放電電流となる。FET169は、NOR回路139の出力が“H”の時にオンとなり、トランジスタ167とトランジスタ168のカレントミラー回路をオフ状態にする。即ち、トランジスタ168がオン状態となって放電電流I4が流れるのは、NOR回路139の出力が“L”となる発振電圧Vtの上昇期間中である。放電電流I4はトランジスタ113からの充電電流I1よりも小さくなるように設定する。発振電圧Vtの上昇期間での充電電流は、充電電流I1と放電電流I4との差(I1−I4)である。
【0113】
放電電流I4は誤差電圧Veが第3の設定電圧E3よりも低くなるほど大きくなる。従って発振電圧Vtの上昇期間での充電電流は、誤差電圧Veが第3の設定電圧E3よりも低くなるほど小さくなる。そのため、発振電圧Vtの上昇期間、即ち、降圧動作モードにおける第1のスイッチ2のオフ期間は、誤差電圧Veが第3の設定電圧E3よりも低くなるほど長くなり、結果としてスイッチング周波数が低下する。
【0114】
以上のように、本発明の実施の形態3のDC−DCコンバータでは、前記の実施の形態2で説明した特徴に加え、降圧動作モードにおいて、負荷が軽くて出力電流が小さい場合、誤差電圧Veが低下するに従いスイッチング周波数が低下するのでスイッチング損失が減少し、効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0115】
《実施の形態4》
図7は本発明の実施の形態4のDC−DCコンバータの制御部53Cの回路図である。図1に示すコンバータ部50の制御部53を前記の制御部53Cに代えることにより、本実施の形態4のDC−DCコンバータが構成される。図7において、図6に示した実施の形態3のDC−DCコンバータの制御部53Bと同じ機能、構成の要素には、同じ符号を付与し、その説明を省略する。実施の形態4のDC−DCコンバータの制御部53Cが図6に示した実施の形態3のDC−DCコンバータの制御部53Bと異なるのは、発振回路11Cにおいて、前記図6の発振回路11Bに対して回路C2が付加された点である。以下に回路C2の構成を説明する。
【0116】
コレクタ端子が入力電圧Eiの直流電源1に接続されたNPNトランジスタ170のベース端子は抵抗114とダイオード115の接続点に接続されている。トランジスタ170のエミッタ端子は抵抗171を介してトランジスタ161のベースとNPNトランジスタ172のコレクタ端子に接続されている。トランジスタ172とNPNトランジスタ173はカレントミラー回路を構成し、トランジスタ173のコレクタ端子はそのベース端子に接続されるとともに、抵抗174を経て直流電源1に接続されている。
【0117】
抵抗114と抵抗116の抵抗値を等しくすると、第1の設定電圧E1及び第2の設定電圧E2はそれぞれ式(33)、(34)で表される。
【0118】
E1=(Ei+Vd)/2 (33)
【0119】
E2=(Ei−Vd)/2 (34)
【0120】
実施の形態2で説明したように、電流連続モードにおける第1のスイッチ2のオン期間 δ1・T とオフ期間(1−δ1)T はそれぞれ下記の式(35)、(36)で表される。
【0121】
δ1・T=Td1=C・Vd/{I2+(E2−Ve)/R131}(35)
【0122】
(1−δ1)T=Tc=C・Vd/I1 (36)
【0123】
時比率δ1は出力直流電圧Eoと入力直流電圧Eiの比(Eo/Ei)に等しいので、上記の各式を整理して誤差電圧Veを求めると、式(37)のようになる。
【0124】
Ve=E2−R131・{(Ei/Eo)・I1−I1−I2} (37)
【0125】
実施の形態4のDC−DCコンバータにおいて、第2の設定電圧E2は入力直流電圧Eiから得ているので入力電圧依存性を有している。従って誤差電圧Veの入力電圧依存性を知ることはできない。しかし、出力直流電圧Eoを安定化させる動作において、降圧動作モードかつ電流連続モードにおける誤差電圧Veは、入力直流電圧Eiが高いほど第2の設定電圧E2に近づく。軽負荷となって電流不連続モードになると、誤差電圧Veは式(37)で与えられる値よりも低下する。つまり、第3の設定電圧E3が固定された値であると、入力直流電圧Eiが低いほどスイッチング周波数が低下を始める負荷は小さくなる。スイッチング周波数が低下しない範囲では第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5のオン期間のみを小さくするのでスイッチング周波数は高い周波数のままである。そこで第3の設定電圧E3を第2実施例の式(32)で与えられる値よりわずかに低い値に設定して、入力直流電圧Eiが低いほど第3の設定電圧E3が高くなるような入力依存性を持たせれば良いことが分かる。
【0126】
図7に示すDC−DCコンバータの発振回路11Cにおいて、第3の設定電圧E3を得る回路C2について説明する。抵抗174の抵抗値をR174とすると、抵抗174を経てトランジスタ173に流れる電流I5は下記の式(38)のようになる。
【0127】
I5=(Ei−Vd)/R174 (38)
【0128】
この電流I5がカレントミラー回路のトランジスタ172を経て抵抗171に流れるので、抵抗171の抵抗値をR171とするとその電圧降下は下記の式(39)のようになる。
【0129】
(R171/R174)・(Ei−Vd) (39)
【0130】
一方、抵抗171が接続されたトランジスタ170のエミッタ端子は、第1の設定電圧E1からトランジスタ170のベース−エミッタ電圧Vdを差引いた値(E1−Vd)であるから、下記式(40)のように第2の設定電圧E2に等しくなる。
【0131】
E1−Vd=E2 (40)
【0132】
従って第3の設定電圧E3は下記式(41)で表される。
【0133】
E3=E2−(R171/R174)・(Ei−Vd) (41)
【0134】
ここで、抵抗比 R171/R174 を電圧比 R131・I1/Eo に等しくなるように設定し、電圧 (R171/R174)・Vd を電圧 R131・(I1+I2)よりわずかに小さく設定する。そうすれば第3の設定電圧E3を、降圧動作モードかつ電流連続モードにおける誤差電圧Veの式(37)に示す値よりわずかに低い値に設定することになる。
実施の形態4のDC−DCコンバータにおいては、実施の形態2の特徴に加え、実施の形態3の特徴をも有する。すなわち降圧動作モードにおいて、負荷が軽く出力電流が小さい場合に誤差電圧Veが低下すると、それに従ってスイッチング周波数が低下する。これによりスイッチング損失が低減されるので効率を向上させることができる。さらに第3の設定電圧を入力直流電圧Eiに応じて変化させることにより、スイッチング周波数が低下し始める出力電流が入力直流電圧Eiの変化に依存しないようにし、電流不連続モードとなる出力電流よりわずかに小さい値に設定することができる。
【0135】
《実施の形態5》
上記の実施の形態1及び実施の形態2においては、誤差電圧Veを第1の設定電圧E1及び第2の設定電圧E2と比較して、各々の一致点において動作モードを変更している。例えば、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2の間にあり、入力直流電圧Eiの低下に伴い誤差電圧Veが上昇して第1の設定電圧E1に達した場合、昇降圧動作モードから昇圧動作モードに切り換る。この動作モードの切り換りに伴い、オンオフ動作するスイッチの数が減ってDC−DCコンバータの消費電力が僅かに低減したとすると、その分だけ出力直流電圧Eoは上昇する。その結果上昇した出力直流電圧Eoを所望値とするように誤差電圧Veは下降する。下降した誤差電圧Veが第1の設定電圧E1に戻った場合、昇圧動作モードから昇降圧動作モードに切り換る。すると、DC−DCコンバータの消費電力が僅かに増加し、その分だけ出力直流電圧Eoは下降して誤差電圧Veは上昇するので、再び昇降圧動作モードから昇圧動作モードに切り換る。以上のような動作が繰り返し行われると動作モードが安定せず、出力リップル電圧の増加やノイズ発生といった悪影響の発生が考えられる。このような現象を回避する手段としては、誤差電圧Veと第1の設定電圧E1との比較動作がヒステリシスを有するようにすればよい。これは、誤差電圧Veと第2の設定電圧E2との比較動作においても同様である。
【0136】
図8は本発明に係る実施の形態5のDC−DCコンバータの制御部53Dの発振回路11Dの構成を示す回路図である。図1に示すコンバータ部50の制御部53を制御部53Dに代えることにより、本実施の形態5のDC−DCコンバータが構成される。実施の形態5のDC−DCコンバータにおいて、図2で示した実施の形態1のDC−DCコンバータの制御部53と異なる点は発振回路11Dである。発振回路11D以外の基本的な構成及び動作は同じである。図8の発振回路11Dにおいて、図2の発振回路11と同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付与し、その説明は省略する。
【0137】
図8の制御部53Dにおいて、図2に示した実施の形態1のDC−DCコンバータの制御部53の構成と異なる部分である発振回路11Dは、図2に示す発振回路11の構成に更に回路C3を付加している。以下に回路C3の構成を説明する。
比較器147は第1の設定電圧E1と誤差電圧Veとを比較し、比較器148は第2の設定電圧E2と誤差電圧Veとを比較する。NチャネルMOSFET149は、そのゲート端子に比較器147の出力が入力され、第1の設定電圧E1が誤差電圧Veより大きくなり(E1>Ve)、比較器147の出力が“H”になるとオン状態になる。また、NチャネルMOSFET170は、そのゲート端子に比較器148の出力が入力され、第2の設定電圧E2が誤差電圧Veより小さくなり(E2<Ve)、比較器148の出力が“H”になるとオン状態になる。さらに実施の形態5の発振回路11Dには、定電流源151が設けられており、NPNトランジスタ118のベース端子にFET149とFET170を経て定電流I3を供給している。
【0138】
以上のように構成された実施の形態5のDC−DCコンバータの発振回路11Dでは、誤差電圧Veが第1の設定電圧E1と第2の設定電圧E2の間にある時、即ち昇降圧動作モードの時、FET149及びFET170がともにオン状態となり、定電流I3がNPNトランジスタ118のベース端子に供給される。NPNトランジスタ118はNPNトランジスタ117とともにカレントミラー回路を構成しているので、この定電流I3は発振コンデンサ110の放電電流に加算される。この期間において、発振コンデンサ110は発振電圧Vtが上昇期間にある充電期間中であり、その充電電流は定電流源111の電流I1から定電流源151の電流I3を差し引いた電流(I1−I3)となる。
【0139】
次に、入力直流電圧Eiの低下に伴い、誤差電圧Veが上昇して第1の設定電圧E1に達するときの、昇降圧動作モードから昇圧動作モードに切換わる場合の動作について説明する。
前記のように昇降圧動作モードにある時、発振コンデンサ110の充電電流は電流(I1−I3)であるから、発振電圧Vtの上昇期間Tcは、下記の式(42)で表される。
【0140】
Tc=C・Vd/(I1−I3) (42)
【0141】
この状態で誤差電圧Veが第1の設定電圧E1に近ずくと、第1のスイッチ2のオフ時間はほとんどゼロに近くなり、第2のスイッチ5のオン時間は上昇期間Tcに近くなる。
誤差電圧Veが第1の設定電圧E1に達すると、比較器147の出力は“L”に反転する。そのためFET149はオフ状態となるので定電流源151からの電流I3は流れなくなり、同時に第1のスイッチ2は常時オン状態となって昇圧動作モードとなる。この時、第2のスイッチ5のオン時間は、式 C・Vd/(I1−I3)で表される値から、式 C・Vd/I1 で表される値へ変わり短くなる。これは出力直流電圧Eoを低下させる方向なので、誤差電圧Veはさらに上昇して昇圧動作モードの動作が確定する。
【0142】
次に、入力直流電圧Eiの上昇に伴い誤差電圧Veが下降して第2の設定電圧E2に達したときの、昇降圧動作モードから降圧動作モードに切換わる場合の動作について説明する。
昇降圧動作モードで動作している時、発振電圧Vtの上昇期間Tcは、下記の式(43)で表される。
【0143】
Tc=C・Vd/(I1−I3) (43)
【0144】
この状態で誤差電圧Veが第2の設定電圧E2に近付くと、第1のスイッチ2のオフ時間は上昇期間Tcに近付き、第2のスイッチ5のオン時間はほとんどゼロに近付く。
誤差電圧Veが第2の設定電圧E2に達すると、比較器148の出力は“L”に反転する。これによりFET170はオフ状態となるので定電流源151からの電流I3は流れなくなる。このとき第2のスイッチ5は常時オフ状態となり、降圧動作モードとなる。この時、第1のスイッチ2のオフ時間は、式 C・Vd/(I1−I3)で表される値から式 C・Vd/I1 で表される値へ変化して短くなる。これは出力直流電圧Eoを上昇させる方向なので、誤差電圧Veはさらに下降して降圧動作モードの動作が確定する。
【0145】
以上のように、実施の形態5のDC−DCコンバータによれば、動作モードをスムーズに切換えることができる。特に昇降圧動作モードから昇圧動作モードに切換わるときに安定な切換動作を行うことができる効果を有する。昇圧動作モードに切換わる際にオンオフ動作をするスイッチの数が減ることによりスイッチング損失が低減する結果生じる現象に対する対策として有効である。すなわち出力直流電圧Eoが上昇したとき誤差電圧Veが下降して昇降圧動作モードに再帰し、さらに昇圧動作モードに移行する、といったように動作モードが不意に変化して安定しなくなる現象を回避することができるからである。
【0146】
《実施の形態6》
前記の実施の形態5で説明した動作モードの切換をスムーズに行う方法は、図4に示した実施の形態2のDC−DCコンバータにも適用できる。
図9は本発明に係る実施の形態6のDC−DCコンバータの制御部53Eの構成を示す回路図である。図1に示すコンバータ部50の制御部53を制御部53Eに代えることにより、本実施の形態6のDC−DCコンバータが構成される。本実施の形態6は図4に示す実施の形態2のDC−DCコンバータの発振回路11Aに、前記の実施の形態5で説明した切換をスムーズに行う方法を適用したものである。
【0147】
図9に示す発振回路11Eを含むDC−DCコンバータの制御部53Eの基本的な構成及び動作は、図4に示した実施の形態2の制御部53と同じであり、同じ機能、構成を有する要素には同じ符号を付与してその説明を省略する。
図9に示す実施の形態6のDC−DCコンバータの制御部53Eにおいて、図4に示したDC−DCコンバータの制御部53Aと異なるところは発振回路11Eである。発振回路11Eは図4の発振回路11Aに回路C4が付加されて構成されている。以下に回路C4の構成と動作について説明する。
比較器152は第1の設定電圧E1と誤差電圧Veとを比較し、比較器153は第2の設定電圧E2と誤差電圧Veとを比較する。NチャネルMOSFET154は、そのゲート端子に比較器152の出力が入力されており、第1の設定電圧E1が誤差電圧Veより小さくなり(E1<Ve)比較器152の出力が“H”になるとオン状態になる。NチャネルMOSFET155は、そのゲート端子に比較器153の出力が入力されて、第2の設定電圧E2が誤差電圧Veより大きくなり(E2>Ve)比較器153の出力が“H”になるとオン状態になる。さらに、図9のDC−DCコンバータの制御部においては、定電流源156が設けられており、NPNトランジスタ118のベース端子にFET154とFET155の並列回路を介して定電流I4が供給されている。
【0148】
以上のように構成することにより、昇圧動作モードまたは降圧動作モードで動作中に、定電流I4がNPNトランジスタ118のベース端子に供給され、発振コンデンサ110の放電電流に加算される。
定電流I4が発振コンデンサ110の放電電流に加算される期間を発振電圧Vtの下降期間とすることにより、実施の形態2のDC−DCコンバータは、図8で説明した実施の形態1のDC−DCコンバータの効果と同様の効果を奏する。
以上の各実施の形態1から6において、発振電圧Vtの上昇期間を誤差電圧Veによって変化させて制御してもかまわないし、下降期間を誤差電圧Veによって変化させて制御してもかまわない。
【0149】
【発明の効果】
以上、各実施の形態において詳細に説明したところから明らかなように、本発明は次の効果を有する。
本発明のDC−DCコンバータでは、昇圧から昇降圧さらに降圧に至る制御を、1つの発振電圧波形と1つの誤差電圧との比較によって生成する、第1及び第2のスイッチをオンオフ動作する2つの駆動信号によって行う。これにより、降圧動作、昇降圧動作、及び昇圧動作を制御することが可能であるので、制御部の構成を簡素化することができる。
【0150】
降圧動作または昇圧動作においては入出力電圧の差が大きくなるほどスイッチング周波数を高くし、昇降圧動作においてはスイッチング周波数を低くする。これにより、昇降圧動作において2つのスイッチがオンオフ動作することによるスイッチング損失を低減できる。
上記のようにスイッチング周波数が変動する降圧動作において、第3の設定電圧を設け、誤差電圧が第3の設定電圧を越えてさらに出力直流電圧を下降させる場合、誤差電圧と第3の設定電圧との電圧差が大きいほどスイッチング周波数を低くする。これにより、負荷が軽くて出力電流が小さい場合にスイッチング損失を低減することができる。
【0151】
上記の第3の設定電圧に入力直流電圧依存性を持たせることにより、電流不連続モードに至ってスイッチング周波数が低下を始めるポイントが、入力直流電圧の変化によって変動することを抑制することができる。
本発明のDC−DCコンバータは、動作モードが切換わる際に、動作モードの移行を促進する方向に発振電圧の上昇もしくは下降速度を変化させることにより、動作モードがスムーズに移行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるDC−DCコンバータの構成を示す回路図。
【図2】本発明の実施の形態1におけるDC−DCコンバータの制御部の構成を示す回路図。
【図3】(a)から(c)は、本発明の実施の形態1におけるDC−DCコンバータの制御部の各部の動作を示す波形図。
【図4】本発明の実施の形態2におけるDC−DCコンバータの制御部の構成を示す回路図。
【図5】(a)から(c)は本発明の実施の形態2におけるDC−DCコンバータの制御部の各部の動作を示す波形図。
【図6】本発明の実施の形態3におけるDC−DCコンバータの制御部の回路図。
【図7】本発明の実施の形態4におけるDC−DCコンバータの制御部の回路図。
【図8】本発明の実施の形態5におけるDC−DCコンバータの制御部の回路図。
【図9】本発明の実施の形態6におけるDC−DCコンバータの制御部の回路図。
【図10】(a)は従来のDC−DCコンバータの構成を示す回路図。
(b)は従来のDC−DCコンバータの動作を示す波形図。
【図11】(a)は従来のDC−DCコンバータの構成を示す回路図。
(b)は従来のDC−DCコンバータの動作を示す波形図。
【符号の説明】
1 直流入力電源
2 第1のスイッチ
3 第1の整流部
4 インダクタ
5 第2のスイッチ
6 第2の整流部
7 出力コンデンサ
8 負荷
10 誤差増幅回路
11 発振回路
12 パルス幅制御回路
Claims (16)
- 第1のスイッチを有する降圧コンバータ部と、第2のスイッチを有する昇圧コンバータ部と、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをそれぞれオンオフする制御部とを備え、入力直流電圧が印加されて出力直流電圧を負荷へ出力する昇降圧型のDC−DCコンバータであって、
前記制御部は、
前記出力直流電圧を所定の電圧と比較して誤差電圧を出力する誤差増幅回路、
第1の設定電圧と前記第1の設定電圧より低い第2の設定電圧の間を周期的に変化する発振電圧であって、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差の増加に応じて前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合もしくは下降時間の割合が増加する発振電圧を生成し、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差の増加に応じて前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合もしくは下降時間の割合が増加する発振電圧を生成する発振回路、及び
前記誤差電圧と前記発振電圧とを比較し、前記誤差電圧と前記発振電圧が一致することがない場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定して、前記第1のスイッチをオンオフする動作をさせる降圧動作モードの制御をするか、又は前記第1のスイッチをオン状態に固定して、前記第2のスイッチをオンオフする動作をさせる昇圧動作モードの制御をし、前記誤差電圧と前記発振電圧が一致することがある場合には、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチを共にオンオフする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をするように、前記第1のスイッチのオンオフ時間と前記第2のスイッチのオンオフ時間を制御するパルス幅制御回路
を有するDC−DCコンバータ。 - 前記誤差増幅回路は、
前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成され、
前記発振回路は、
前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくするように構成され、
前記パルス幅制御回路は、
前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低い場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第1のスイッチをオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせる降圧動作モードの制御をし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高い場合には、前記第1のスイッチをオン状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第2のスイッチをオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇圧動作モードの制御をし、前記誤差電圧が前記発振電圧と一致することがある場合には、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より低い期間では前記第1のスイッチのオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせ、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より高い期間では前記第2のスイッチのオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をするように構成された
請求項1記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
所定の周期を有するパルス信号に応じて充放電されることにより、前記発振電圧を出力する発振コンデンサを有し、
前記発振電圧を前記第2の設定電圧に維持している状態のとき、前記パルス信号が入力されると前記発振コンデンサを充電し、前記発振電圧が第1の設定電圧に至ると前記発振コンデンサを放電し、前記発振電圧が前記第2の設定電圧に至ると前記発振コンデンサを充放電せずに前記発振電圧を前記第2の設定電圧付近に維持するように構成された
請求項2記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
第1の設定電圧と前記第1の設定電圧より低い第2の設定電圧の間を周期的に上昇または下降する三角波状の発振電圧であって、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差の増加に応じて周期が減少する発振電圧を生成し、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差の増加に応じて周期が減少する発振電圧を生成するように構成された
請求項1記載のDC−DCコンバータ。 - 前記誤差増幅回路は、
前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成され、
前記発振回路は、
前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いときは、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いときは、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との差が大きいほど前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を大きくするように構成され、
前記パルス幅制御回路は、
前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低い場合には、前記第2のスイッチをオフ状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第1のスイッチをオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせる降圧動作モードの制御をし、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高い場合には、前記第1のスイッチをオン状態に固定するとともに、前記発振電圧の上昇期間では前記第2のスイッチをオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇圧動作モードの制御をし、前記誤差電圧が前記発振電圧と一致することがある場合には、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より低い期間では前記第1のスイッチのオフ状態とし、それ以外の期間をオン状態とする動作をさせ、前記発振電圧の上昇期間内において前記誤差電圧が前記発振電圧より高い期間では前記第2のスイッチのオン状態とし、それ以外の期間をオフ状態とする動作をさせる昇降圧動作モードの制御をするように構成された、
請求項4記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
前記発振電圧の上昇速度を前記誤差電圧の変化にかかわらず一定とし、前記発振電圧の下降速度が、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いほど速くなり、また前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低いほど速くなるように構成され、
前記パルス幅制御回路は、
前記発振電圧の下降期間では、前記第1のスイッチをオン状態とし、前記第2のスイッチをオフ状態とし、前記発振電圧の上昇期間では、前記誤差電圧が前記発振電圧より高い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオン状態とし、前記誤差電圧が前記発振電圧より低い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオフ状態とするように構成された、
請求項5記載のDC−DCコンバータ。 - 前記誤差増幅回路は、
前記出力直流電圧が前記所定の電圧より低くなるほど上昇し、前記出力直流電圧が前記所定の電圧より高くなるほど下降する誤差電圧を出力するように構成され、
前記発振回路は、
前記発振電圧の下降速度を前記誤差電圧の変化にかかわらず一定とし、
前記発振電圧の上昇速度を、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高いほど速くし、また前記第2の設定電圧より低いほど速くなるように構成され、
前記パルス幅制御回路は、
前記発振電圧の上昇期間では、前記第1のスイッチをオン状態とし、前記第2のスイッチをオフ状態とし、
前記発振電圧の下降期間では、前記誤差電圧が前記発振電圧より高い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオン状態とし、前記誤差電圧が前記発振電圧より低い場合に前記第1のスイッチと前記第2のスイッチをともにオフ状態とするように構成された、
請求項4記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
前記降圧動作モードにおいて、所定の第3の設定電圧を前記誤差電圧と比較して、前記誤差電圧が前記出力直流電圧を下降させる方向において前記第3の設定電圧を越えた場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の周期を長くするように構成された請求項4記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の周期を長くするように構成された請求項5記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の下降速度を遅くするように構成された請求項6記載のDC−DCコンバータ。 - 前記発振回路は、
前記第2の設定電圧より低い電圧の第3の設定電圧に対して、前記誤差電圧が前記第3の設定電圧より低い場合、前記誤差電圧と前記第3の設定電圧との電圧の差が大きいほど前記発振電圧の上昇速度を遅くするように構成された請求項7記載のDC−DCコンバータ。 - 前記第3の設定電圧は、
前記入力直流電圧が低いほど前記第2の設定電圧に近づくように設定される請求項9、10、11のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。 - 前記制御部において、前記誤差電圧と前記第1の設定電圧との比較動作において所定のヒステリシス特性を有する請求項1記載のDC−DCコンバータ。
- 前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第1の設定電圧より高くなるとき、前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を小さくするように構成された請求項2または請求項5記載のDC−DCコンバータ。
- 前記制御部において、前記誤差電圧と前記第2の設定電圧との比較動作において所定のヒステリシス特性を有する請求項1記載のDC−DCコンバータ。
- 前記発振回路は、前記誤差電圧が前記第2の設定電圧より低くなるとき、前記発振電圧の1周期に占める上昇時間の割合を小さくするように構成された請求項2または請求項5記載のDC−DCコンバータ。
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