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JP3700824B2 - 回転速度検出装置 - Google Patents

回転速度検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転速度検出装置、特に、車輪速検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転速度検出装置は、特開平9−281125号公報に記載されている。 この装置は、回転速度センサから出力される交流信号から回転速度に対応した角周波数情報を含む信号を抽出している。すなわち、正弦波又は余弦波等の交流信号の微分によって、角周波数情報は信号の振幅成分に含まれることとなるので、これを抽出することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転速度センサの振幅は回転速度に応じて変化するため、回転速度が低下した場合には、振幅成分中に含まれる角速度情報の成分がノイズに比べて減少し、低速においては精密な回転速度検出を行うことができない。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、回転速度検出精度を向上可能な回転速度検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、回転速度センサから出力される交流信号から回転速度に対応した角周波数情報を含む信号を抽出する回転速度検出装置において、交流信号の振幅は略定数であって、角周波数情報が抽出できるようにこの交流信号の3回微分値を1回微分値で除算することを特徴とする。
【0006】
本装置によれば、正弦波又は余弦波等の交流信号の微分によって、角周波数情報は信号の振幅成分に含まれることとなる。複数回の微分によって角周波数情報の含まれた振幅は変化するが、時間変化項は同一となる。ここで、回転速度センサから出力される交流信号の振幅は略定数であるため、この交流信号の3回微分値を1回微分値で除算することにより角周波数情報を抽出することができる。本装置は、交流信号の振幅を略一定とし、且つ、上記演算を行うこととしたので、少なくとも従来では振幅出力が小さくなり過ぎて信号精度が停止するような極低速時においても回転速度検出精度を向上させることができる。
【0007】
交流信号が、ノイズ成分や高調波成分を含んだ正弦波である場合には、この信号の波形は厳密な正弦波ではないが、近似的には正弦波である。本装置においては、交流信号は近似的に正弦波又は余弦波であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、これを排除するものではないが、従来の演算に不可避であった積分器の使用を抑制することができるため、信号の時定数を減少させ、精度の高い停止判定や停止までの回転速度検出精度を向上させることができる。
【0009】
また、電導体又は磁性体からなり所定間隔で配列した複数の部位が外周を構成する被検出回転体の近傍に回転速度センサは配置され、且つ、回転速度センサは、その磁界内に回転に応じて部位が近づいた場合に、部位内に発生する渦電流又は磁性体の導磁率変化に応じて上記交流信号を出力するコイルを備えることが好ましい。
【0010】
特に、回転速度センサが車輪速センサである場合には、被検出回転体としての車輪の回転速度を極低速まで応答性良く正確に検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る回転速度検出装置について説明する。同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は実施の形態に係る回転速度検出装置を搭載した車両の概略構成図である。なお、本回転速度検出装置は車輪速検出装置である。
【0013】
本車両は、車体BDYに対して回転可能に設けられた4つの車輪(前輪WFL,WFR、後輪WRL,WRR)を備えている。車輪WFL,WFR,WRL,WRRにそれぞれ対応して車輪速センサ10、10x、10y、10zがそれぞれ設けられており、その出力は左右輪速度に比例している。ここでは、車輪速センサ10、10x、10y、10zは、車輪の回転速度を検出し、回転速度に応じた交流信号を出力する。なお、交流信号の周波数又は繰り返し周波数は回転速度に比例する、
各センサ10、10x、10y、10zからの出力は、車両内部に配置されたECU(電子制御ユニット)100に入力され、ECU100は入力された情報に基づいて各車輪の車輪速を演算し、演算された各車輪速から算出される車速を表示器上に表示したり、また、必要に応じて車輪速に基づいて車体挙動を制御する駆動手段(例えば、ブレーキ、サスペンション等)を制御する。例えば、ECU100は、各車輪速に基づいてABS(アンチロックブレーキシステム)における車輪WFL,WFR,WRL,WRRの制動油圧の制御やTRC(トラクションコントロール)を実行する。
【0014】
車輪速の演算方法は、いずれのセンサ10、10x、10y、10zからの信号においても同一であるので、本例では簡単のため、4つのセンサを代表してセンサ10の出力信号から車輪速(車輪速情報)を求める構成について説明する。
【0015】
車輪速センサ10から出力される交流信号は、A/Dコンバータ12を介してプロセッサ24に入力される。すなわち、A/Dコンバータ12は、車輪速センサ10からの交流信号を所定のサンプリングタイミングでサンプリングしてデジタル信号に変換し、プロセッサ24に供給する。
【0016】
プロセッサ24は、ROM16に格納されたプログラムを用いてデジタル信号を処理し、車輪速情報を検出して出力する。なお、プロセッサ24やROM16、RAM18はマイクロコンピュータで構成することができる。ここで、センサについて若干の説明をしておく。
【0017】
図2は、車輪WFLに対して同軸に設けられたロータ(被検出回転体)Rとセンサ10との関係を示す説明図である。ロータRの周囲には歯面が形成されており、その回転に応じてセンサ10との間の最短距離がパルス的に変動する。センサ10は、この距離変動に応じて信号Vwを出力する。
【0018】
詳説すれば、電導体又は磁性体からなり所定間隔で配列した複数の部位Pが外周(歯面)を構成するロータ(被検出回転体)Rの近傍に車輪速センサ10及びそのコイルが配置される。車輪速センサ10は、その磁界内に回転に応じて上記部位Pが近づいた場合に、この部位P内に発生する渦電流又は磁性体の導磁率変化に応じて交流信号Vwを出力する上記コイルを備えている。この交流信号Vwから角周波数ωを抽出し、これをロータの歯数Nで割れば、車輪の回転速度が算出される。
【0019】
図3は、プロセッサ24の内部構成を示すブロック図である。車輪速センサ10からA/Dコンバータ12を介して入力された上記交流信号の角周波数ωの情報を含む信号Vwは、デジタルの状態ではあるが、Vw=Asinωtで表されるものとする。なお、プロセッサ24はアナログの状態の信号Vwを処理できるように構成してもよい。なお、実際の信号Vwは、位相成分やオフセット成分を有するため、Vw=Asinωt+Bsin(ωt/N)+Cで表されるものとする。ここで、A、B及びCは略定数である。略定数とは±10%の変動を含むものとする。ここで、上記交流信号をsin関数の代わりにcos関数で表してもよく、この場合の交流信号も上記と同様に処理を行う。
【0020】
この角周波数ωは車輪の回転数に比例し、角周波数ωが高ければ車輪速は大きく、低ければ車輪速は小さいということになる。
【0021】
プロセッサ24は、交流信号Vwから角周波数ωを抽出し、抽出されたωをロータRの歯数Nで除算して車輪速(回転数ω/N/s)を算出するが、ここでは主要構成として角周波数ωの抽出部について説明する。プロセッサ24の角周波数抽出部(24とする)は、交流信号Vwを3回微分する微分器群24a,24b,24cを備えており、初段の微分器24aは交流信号Vwの1回微分にも用いられる。これらの3回及び1回微分値は除算器24dに入力され、符号を反転させる増幅器24eに入力された後、平方根を演算する平方根演算器24fに入力される。
【0022】
正弦波等の交流信号Vwの微分によって、角周波数情報ωは信号の振幅成分に含まれることとなる。複数回の微分によって角周波数情報の含まれた振幅は変化するが、時間変化項は同一となる。ここで、回転速度センサから出力される交流信号Vwの振幅A(又はA及びBの関数)は略定数であるため、その比を求めることにより角周波数情報ωを抽出することができる。
【0023】
すなわち、入力信号Vw、1回微分値Vw’、2回微分値Vw”、3回微分値Vw'''、除算値D(=Vw'''/Vw’)、反転値r(−D)、平方根S(=(−D)1/2)は以下のように表される。但し、A≫Bω/Nであり、ωcosωt≠0であるものとする。
【0024】
【数1】
Figure 0003700824
なお、ωcosωt=0の場合はVw’≒Aωcosωt+εである(ε≒0)。
【0025】
以上、説明したように、上記装置は、回転速度センサ10から出力される交流信号Vwから回転速度に対応した角周波数情報ωを含む信号を抽出する回転速度検出装置において、交流信号Vwの振幅A(又はA及びBの関数)は略定数であって、交流信号Vwを微分し、この交流信号の3回微分値を1回微分値で除算することによって角周波数情報ωを抽出することができる。
【0026】
交流信号Vwが、ノイズ成分や高調波成分を含んだ正弦波である場合には、この信号の波形は厳密な正弦波ではないが、近似的には正弦波である。本装置においては、交流信号Vwは近似的に正弦波であり、換言すれば、本実施の形態に示される車輪速センサ10以外でも、正弦波又は余弦波(三角関数)に近似される出力を発生する回転速度センサであれば、本装置に適用することができる。
【0027】
本装置によれば、極低速時においても回転速度を精密に検出することができる。
【0028】
また、本装置は、これを排除するものではないが、従来の演算に不可避であった積分器の使用を抑制することができるため、信号の時定数を減少させ、精度の高い停止判定や停止までの回転速度検出精度を向上させることができる。但し、必要に応じて高周波ノイズを除去するローパスフィルタ等を用いてもよい。
【0029】
また、回転速度センサは車輪速センサであるので、被検出回転体としての車輪の回転速度を正確に検出することができる
更に、上述の構成は、簡易であるにも拘わらず、従来のF/V変換よりも高精度の車輪速検出を行うことができる。また、求められた車輪速を微分することによって、高精度の加速度を求めても良く、これらを用いた車両挙動制御、車体変位、車両停止判定等の車両挙動判定を高精度に行うことができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、特に、極低速から停止までの回転速度検出精度を向上可能な回転速度検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る車輪速検出装置を搭載した車両の概略構成図。
【図2】車輪WFLに対して同軸に設けられたロータRと及びセンサ10との関係を示す説明図。
【図3】プロセッサ24の内部構成を示すブロック図。
【符号の説明】
24a,24b,24c…微分器群、24d…除算器、24e…増幅器、24f…平方根演算器。

Claims (3)

  1. 回転速度センサから出力される交流信号から回転速度に対応した角周波数情報を含む信号を抽出する回転速度検出装置において、前記交流信号の振幅は略定数であって、前記角周波数情報が抽出できるように当該交流信号の3回微分値を1回微分値で除算することを特徴とする回転速度検出装置。
  2. 電導体又は磁性体からなり所定間隔で配列した複数の部位が外周を構成する被検出回転体の近傍に前記回転速度センサは配置され、且つ、前記回転速度センサは、その磁界内に回転に応じて前記部位が近づいた場合に、前記部位内に発生する渦電流又は磁性体の導磁率変化に応じて前記交流信号を出力するコイルを備えることを特徴とする請求項1に記載の回転速度検出装置。
  3. 前記回転速度センサは車輪速センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転速度検出装置。
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