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JP3784890B2 - インクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法 - Google Patents

インクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法 Download PDF

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    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
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    • B41M5/5209Coatings prepared by radiation-curing, e.g. using photopolymerisable compositions

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  • Printing Methods (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録材料を用いた表示物に関し、特に記録後の耐水性に優れた表示物の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、種々のインク(記録液)吐出方式により、インクの小滴を発生、飛翔させ、それらの一部または全部を紙などの被記録材料に吸収させ記録を行うものであり、稼働音が小さく、高速であり、かつ高品質印字や多色記録が行えるものである。
【0003】
このようなインクジェット記録に使用される記録用インクは、安全性、記録特性の面から、水を主成分とする水性インクが使用され、さらにインクジェット記録装置のインク通路及びインク吐出口の目詰まり防止のためや吐出安定性の向上のために多価アルコール等が添加されていることが多い。
【0004】
このような事情により、従来よりインクジェット記録に使用される記録材料としては、水溶性樹脂からなるインク受容層を有するものがほとんどである(特開昭61−188181号、特開平3−281384号等)。
【0005】
一方、近年の技術レベルの向上により、インクジェット記録方法のカラー化が一段と進み、ポスターや看板等のディスプレイ用やプレゼンテーション用等に用いられるようになってきている。特に屋外ディスプレイとして使用する場合、記録後のインク受容層には、風雨や湿度等によっても、また濡れたり汗ばんだ手で触れることによっても損傷を受けることがない程度の耐水性が要求される。
【0006】
しかしながら、上述の如く、従来のインクジェット記録材料はインク受容層に水溶性樹脂を用いているものがほとんどであったため、耐水性が低いという欠点があった。
【0007】
そこで、かかる耐水性を改良する手段として、種々の手段が開示されている。
【0008】
例えば、特開昭63−183873号公報には変性ポリビニルアルコールと耐水化剤を含有するインク受容層を設ける方法が開示されているが、この方法は耐水性の改良に伴ってインク吸収性が低下する難点が付随する。
【0009】
また、特開昭59−190885号公報にはインクジェット記録後に光硬化性樹脂をインク受容層上に塗布、あるいはインク受容層中に含浸させて硬化させるようにした記録材料が開示されているが、これはインクジェット記録後に後処理をする関係上、その作業が煩雑となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、インクジェット記録後の後処理を要せずに、かつインク吸収性を低下させることなく耐水性に優れたインクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層とからなり、前記インク受容層がジアゾ基を含む未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法は、基材と、前記基材の一方の面に設けられたインク受容層ならびに他方の面に設けられた紫外線吸収層または紫外線遮光層とからなり、前記インク受容層が未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とするものである。
また、本発明のインクジェット記録材料を用いた表示物の作成方法は、実質的に透明であり、紫外線吸収性または紫外線遮光性である基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層とからなり、前記インク受容層が未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成のインクジェット記録材料上に、印字記録した後、前記インク受容層を硬化させることにより、耐水性に優れた表示物を製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
基材としては、例えばポリエステル、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等からなるプラスチックフィルム、並びに洋紙、和紙、布等が挙げられるが、透過材料として用いる場合は実質的に透明なプラスチックフィルムを使用することが好ましい。本発明において実質的に透明とは基材を通して印字部を目視できる程度の透明性をいう。厚みは、使用目的に応じて適宜選択でき、通常は5〜500μmの厚みが適当である。
【0014】
基材の少なくとも一方の面に設けられるインク受容層は、インク吸収性を低下させず耐水性を向上させるために、水溶性の感光性樹脂を含有するものとする。
【0015】
本発明のインク受容層に用いられる水溶性の感光性樹脂は、可視光線、紫外線等の活性光線の照射により反応を起こし硬化する水溶性の樹脂であり、硬化反応前には水溶性であるが、硬化反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。但し、かかる水溶性の感光性樹脂は硬化後も親水性を有し、インク吸収性、インク定着性を含む十分なインク受容性を維持するものである。
【0016】
このような水溶性の感光性樹脂としては光橋かけ型、光分解型、光解重合型、光変性型、光重合型等のものが使用可能であり、中でも光橋かけ型のものが好ましい。光橋かけ型のものによれば、光重合開始剤を用いたラジカル重合に見られるいわゆる酸素障害、その他硬化に関連する問題を生じることなく十分な硬化を得ることができるからである。
【0017】
水溶性の光橋かけ型の感光性樹脂としては、光二量化型、ジアゾ型が取扱いの点で好ましく、光二量化型の中でもシンナモイル基、スチルバゾリウム基またはスチリルキノリウム基を導入したものが、耐水性及びインク吸収性の点でさらに好ましい。
【0018】
これら感光性基が樹脂中に導入されたものではなく、ジアゾ型樹脂のように橋かけを行う材料は、それ単独の硬化では塗膜が脆くなる場合が多いので、必要に応じて、官能基と反応し硬化する親水性の樹脂を混合することが好ましい。
【0019】
このような樹脂としては、例えば、でんぷん、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ(メタ)アクリル酸、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸アミド等の樹脂やこれらの共重合体や変性物を少なくとも1種類以上混合したものが挙げられる。
【0020】
なお、感光性基が樹脂中に導入されたものであっても、本発明で目的とするインク受容層の特性を阻害しない限り、前記親水性樹脂を添加することができる。
【0021】
また、本発明のインク受容層には、上述した樹脂の他にブロッキング防止、筆記性向上または隠蔽性付与等のための顔料、その他酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、pH調節剤等を添加してもよい。
【0022】
顔料としては、シリカ、クレー、スメクタイト、雲母、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ等の無機顔料やアクリル、シリコーン、セルロース、ポリスチレン等の有機顔料等が挙げられる。
【0023】
インク受容層の厚みは、下限としては1μm、好ましくは2μm、上限としては50μm、好ましくは20μmが適当である。下限を1μmとしたのはこれより薄いと十分なインク吸収性を得ることができないからであり、上限を50μmとしたのは感光させる際の活性光線のエネルギー効率をよくするためである。
【0024】
本発明のインクジェット記録材料は、プラスチックフィルム等からなる基材上に、上述の感光性樹脂等を水、アルコール、ケトン、セロソルブ等に溶解又は分散して得られたインク受容層用塗布液をロール、バー、エアナイフ、スプレー等の公知のコーティング方法により塗布、乾燥させて製造することができる。
【0025】
このようにして得られたインクジェット記録材料の当該インク受容層上にインクジェット、ペンプロッター、ペン等の筆記用具などを用いて印字記録した後、当該インク受容層に光エネルギー、例えば、紫外線、可視光線、赤外線、遠赤外線、アルファ線、ベータ線、ガンマー線、エックス線等の感光材料の硬化反応に必要な活性光線を必要量照射(露光)することにより、インク受容層を硬化させる。露光は人工光源を用いて行うこともできるし、記録後に直射日光等にあてることで行うことも可能である。
【0026】
このように印字記録後、記録部を有するインク受容層を硬化させることにより、高耐水性で、かつ記録画像の定着性に優れた表示物を得ることができる。
【0027】
なお、インク受容層は、基材の片面あるいは両面のいずれに設けたものであってもよいが、片面のみにインク受容層を設ける場合には、その反対面にカーリング防止のために、あるいは滑性、搬送性向上のために、バックコート層を設けることができる。
【0028】
また、基材やバックコート層には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤を添加し、感光剤を含むインク受容層を光源の反対に向けて、即ち下向きにして保存すれば、当該基材あるいはバックコート層が当該インク受容層の保護層的役割を果たし、露光前の硬化反応(かぶり)を防止することができる。なお、ロール状にて保存する場合は、当該インク受容層側が内側になるよう、即ち、インク受容層を内巻きにして保存することが好ましい。感光剤のかぶりを防止でき、記録性能に悪影響を及ぼすことがないからである。
【0029】
本発明のインクジェット記録材料により耐水性に優れた表示物を得ることができるが、インク自体は低耐光性のものが多いため、特に記録後の表示物を屋外で使用する場合には、経時的に記録画像の退色が起きてしまう。このような不都合を解消するために、前記紫外線吸収剤の添加は有用である。特にインク受容層が基材の片面に設けられている場合、鏡像(逆像)印字を行い、基材及び任意にバックコート層を介して印字部分を見るようにすれば、記録インク自体の低耐光性を補うことができ、表示物を屋外で使用するに際して有効である。
【0030】
【作用】
本発明の表示物の作成方法で用いるインクジェット記録材料は、インク受容層を水溶性の感光性樹脂により構成したので、十分なインク吸収性を有する。また、記録後に当該インク受容層を活性光線により露光し、硬化させることにより、高耐水性で、かつ記録画像の定着性に優れた表示物を得ることができる。
【0031】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0032】
[実施例1]
インク受容層塗布液としてポリビニルアルコール(ゴーセノールNH−05:日本合成化学工業社)20重量部とジアゾレジン(フォトスピリットB:東京応化工業社)1重量部を水199重量部に溶解する。基材として100μmのポリエステルフィルム(ルミラーQ81:東レ社)を用い、この片面に前述塗布液を乾燥後の厚さが5μmになるようにバーコーターで塗布し、乾燥機にて100℃で3分間乾燥させて未硬化の水溶性感光性樹脂を含むインク受容層を有するインクジェット記録材料を得た。
【0033】
参考例1]実施例1のインク受容層塗布液をポリビニルアルコール(ゴーセノールNH−05)2重量部、スチルバゾリウム基(SbQ基)を導入したポリビニルアルコール誘導体(SSP−H13:東洋合成工業社)8重量部、水115重量部からなる塗布液にした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を得た。
【0034】
参考例2参考例1のインク受容層の厚みを50μmにした以外は参考例1と同様にしてインクジェット記録材料を得た。
【0035】
[比較例1]
実施例1のインク受容層塗布液をポリビニルアルコール(ゴーセノールNH−05)10重量部、水115重量部からなる塗布液にした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録材料を得た。
【0036】
[比較例2]参考例1のインク受容層の厚みを0.5μmにした以外は参考例1と同様にしてインクジェット記録材料を得た。
【0037】
実施例1及び参考例1、2並びに比較例1〜2において得られたインクジェット記録材料にインクジェットプリンター(BJC600J:キャノン社)で印字後、及び実施例1及び参考例1、2並びに比較例2の材料については、さらに高圧水銀灯により300mJ/cmの露光を行い、表示物を得た。得られた表示物のインク乾燥特性、にじみ特性、耐水性、インク定着性についての評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003784890
【0039】
(インク乾燥性):全面にベタ印字を行い、印字後、一定時間経過後に印字部分を指で擦ったところインクの転写が起こらなかったもの及び実質的に起こらなかったものをそれぞれ「◎」及び「○」で示し、乾燥していなかったものを「×」とした。
【0040】
(にじみ):全面に細線の印字を行い、細線を目視にて評価し、にじみのなかったもの及び実質的になかったものをそれぞれ「◎」及び「○」で示し、にじみがあるものを「×」とした。
【0041】
(耐水性):全面を水に浸け、インク受容層を擦った際に、当該インク受容層が溶出せず、あるいは剥がれなかったもの及び実質的に溶出せず、あるいは剥がれなかったものをそれぞれ「◎」及び「○」で示し、溶出し、あるいは剥がれてしまったものを「×」とした。
【0042】
(インク定着性):プリンターで印字後、全面を約20℃の水に浸し、2時間静置後に印字した画像がどのようになったかを目視評価する。画像が変化のないもの及び実質的に変化のないものをそれぞれ「◎」及び「○」とし、かなり退色したが画像が判別出来るものを「△」、画像の判別が出来ないものを「×」、耐水性がなく測定できないものを「不可」とした。
【0043】
[実施例参考例2で得られたインクジェット記録材料のインク受容面の反対面に、ポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡績社)40重量部、紫外線吸収剤(UVINAL:ISP社)8重量部、メチルエチルケトン70重量部、トルオール70重量部、アノン20重量部からなる塗布液を乾燥後の厚さが3μmになるようにバーコーターで塗布、乾燥して紫外線遮光層を設けたインクジェット記録材料を製造した。
【0044】
実施例により得られたインクジェット記録材料に、前記と同様にインクジェットプリンター(BJC600J:キャノン社)で印字後、高圧水銀灯により300mJ/cmの露光を行い、得られた表示物についてフェードメーターFAL−3(スガ試験機社)で耐光性試験を行った。紫外線遮光層のないもの(参考例2)は3時間で初期濃度の約10%が退色したのに対し、紫外線遮光層のある実施例のものは24時間でも5%以下の退色だった。
【0045】
表1に示すとおり実施例1及び参考例1、2は印字特性、耐水性等全般において良好である。特にインク受容層を50μmと厚めにした参考例2は中でもインク吸収速度が著しく速かった。さらに、実施例もバックコート層に紫外線吸収剤を入れてあるため、紫外線を照射した後の印字画像の退色は少なかった。
【0046】
一方、水溶性樹脂のみをインク受容層にした比較例1では、印字特性はよいが耐水性は全くない。また、比較例2のように参考例1と材料は同じでも塗膜厚が薄いとインクの吸収性が低下し乾燥性も悪く、にじみが生じてしまう。
【0047】
【発明の効果】
本発明の表示物の作成方法で用いるインクジェット記録材料は、インク受容層を水溶性の感光性樹脂により構成したので、十分なインク吸収性を有する。また、記録後にインク受容層を露光し硬化させるので、高耐水性で、かつ記録画像の定着性に優れた表示物を得ることができる。
【0048】
即ち、本発明のインクジェット記録材料を用いて作製した表示物は、耐水性に優れ、屋外ディスプレイ材料として大変有用である。

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層とからなり、前記インク受容層がジアゾ基を含む未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とする表示物の作成方法。
  2. 基材と、前記基材の一方の面に設けられたインク受容層ならびに他方の面に設けられた紫外線吸収層または紫外線遮光層とからなり、前記インク受容層が未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とする表示物の作成方法。
  3. 実質的に透明であり、紫外線吸収性または紫外線遮光性である基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層とからなり、前記インク受容層が未硬化の水溶性の感光性樹脂を含有するインクジェット記録材料にインクジェットプリンターで印字記録した後、活性光線を照射して前記インク受容層全体を硬化させることを特徴とする表示物の作成方法。
  4. インク受容層が、でんぷん、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ(メタ)アクリル酸、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸アミドまたはこれらの共重合体もしくは変性物を少なくとも1種類以上含有することを特徴とする請求項1ないし3何れか1項記載の表示物の作成方法。
  5. インク受容層の厚みが、1〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし4何れか1項記載の表示物の作成方法。
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