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JP3782112B2 - ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を含有するリポソームの作成方法 - Google Patents

ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を含有するリポソームの作成方法 Download PDF

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Description

本発明の分野
本発明は、ポルフィリン光増感剤を取り込んだリポソームを含む改良された薬学的組成物、およびこれらリポソームの作成のための方法に関する。特に、本発明はヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を含有する薬学的リポソーム組成物、ならびに卵ホスファチジルグリセロール(「EPG」)およびジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)を含有するリン脂質の混合物(光増感剤:リン脂質モル比が約1:7.0以上のリン脂質)を含有する、薬学的リポソーム組成物について記載する。このリポソームは粒子サイズが約150〜300nmの範囲になるような方法で作成される。
光増感リポソーム組成物は、照射によって望ましくない細胞または組織あるいは他の所望されない物質の破壊を媒介するのに、または蛍光を通じてその存在を検出するのに有用である。本発明の実施における、特に好ましいヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤は、670〜780nmの範囲にひとつ以上の光吸収極大を有するものを包含する。
関連技術の説明
ポルフィリン化合物、そして特にヘマトポルフィリンおよびヘマトポルフィリン誘導体(HPD)の使用は、光と組み合わせた場合、悪性細胞の治療および診断のために全身的に有用であることがかなり長い間知られてきた。ポルフィリンは、悪性細胞に「局在する」天然の傾向を有し、悪性細胞は照射した場合に特定の波長の光を吸収するので、蛍光の位置により腫瘍を検出する手段を提供する。従って、ポルフィリンを含有する製剤は腫瘍組織の診断および検出に有用である(例えば、「Porphyrin Photosensitization」、Plenum Press(Kesselら編1983)を参照せよ)。さらに、適切な波長の光に曝した場合、ポルフィリンは、それが局在する細胞または他の組織における細胞障害効果を示す能力を有する(例えば、Diamondら、Lancet2:1175-77(1972);Doughertyら、「The Science of Photo Medicine」、625-38(Reganら編1982);およびDoughertyら、「Cancer:Principles and Practice of Oncology」、1836-44(DeVita Jr.ら編1982)を参照せよ)。ポルフィリンの細胞傷害効果は、光に曝された場合に一重項酸素を形成するためであると推定されている。(Weishauptら、Cancer Research36:2326-29(1976))。精製された形態のHPDであるPhotofrin▲R▼(ポルフィマーナトリウム)による、AIDS関連の口のカポージ肉腫の成功した治療は、Schwietzerら、「Otolaryngology--Head and Neck Surgery」、102:639-49(1990)に記載された。
腫瘍の診断および治療のための全身的使用に加えて、ポルフィリンは他の多様な治療用途に使用され得る。例えば、光増感剤は、米国特許第4,517,762号および同第4、577、636号に開示されるように、アテローム硬化性プラークの検出および治療に有用である。米国特許第4,500,507号および同第4,485806号は、腫瘍イメージングのための放射性標識されたポルフィリン化合物の使用について記載する。ポルフィリン化合物はまた、米国特許第4,753,958号に開示されるように、多様な皮膚疾患の治療に局所的に使用される。
多くのポルフィリン光増感剤の製剤が、治療用途のために開示されている。検出および治療の両方のための光力学的治療の初期段階で広く使用される光増感剤の製剤は、ヘマトポルフィリンの粗誘導体(ヘマトポルフィリン誘導体(「HPD」)またはリプソン(Lipson)誘導体とも言う)であり、Lipsonら、J.Natl.Cancer Inst.26:1-8(1961)に記載されるように、調製される。HPDの活性成分の精製形態は、Doughertyおよび共同発明者により、米国特許第4,649,151号;同第4,866,168号;同第4,889,129号;および同第4,932,934号に記載されるように、pHを調整して凝集を起こし、次いで凝集物を回収することにより調製された。この生成物の精製形態は、商標名Photofrin▲R▼(ポルフィマーナトリウム)として臨床的に使用されている。
本発明に関連して特に興味がもたれるのは、約670〜780nmの間にひとつ以上の光吸収極大を有する修飾されたポルフィリンのグループ(「グリーンポルフィリン」(Gp)として知られる)である。これらGp化合物は、標的細胞に対する細胞傷害性を、ヘマトポルフィリンまたはHPDで要求されるよりも低い濃度で与えることが示されている。Gp化合物は、適切な条件下でのプロトポルフィリンと多様なアセチレン誘導体とのDiels-Alder反応を使用して得られ得る。Gpの好適な形態はヒドロ−モノベンゾポルフィリン誘導体(「BPD」)である。GpおよびBPD化合物の調製および使用は、米国特許第4,920,143号、および同第4,883,790号に開示され、本明細書中で本出願の開示に参考として援用される。
ポルフィリン化合物は、正常の周辺組織から浄化される一方で、新生物組織に局在する天然の能力を有するが、ポルフィリン光増感剤の選択性はまだいくらか制限されている。なぜなら腫瘍組織は一般に多くの異なる成分(例えば、悪性細胞、血管系、マクロファージ、および繊維芽細胞など)を含有し、腫瘍組織内部の光増感剤の分布は非常に不均一であり得るからである。これは、均一でなく、そして水溶性または油溶性の度合いが異なる成分の混合物を含む光増感剤について特にあてはまる。Zhouら、Photochemistry and Photobiology48:487-92(1988)。腫瘍局在化剤としてのこれら薬剤のうちのいくつかの低い選択性は、光に対する望ましくない全身的知覚過敏のような副作用を導き得る。従って、活発な研究領域は、既知のポルフィリン光増感剤の腫瘍選択性を増大すること、およびより大きい腫瘍選択性を示し得るポルフィリン光増感剤を同定することである。一般に、光増感剤はそれが親油性であればあるほどより大きな腫瘍標的化能力を示す傾向にある。Spikesら、Lasers in Medical Science2:3,3-15(1986)。
投与に先立って、特定の薬物をリポソームに被包することは、薬物動態、組織分配、代謝および治療剤の効力に著しく影響することが最近示されている。ポルフィリン光増感剤の腫瘍選択性を増大させる努力において、ポルフィリン化合物を単層リポソームに取り込み、その結果、培養した悪性細胞およびインビボでの実験的腫瘍の両方で、光増感剤をより多く蓄積し、およびより長く保持した。Joriら、Br.J.Cancer48:307-309(1983);Cozzaniら「In Porphyrins in Tumor Phototherapy」177-183、Plenum Press(Andreoniら編、1984)。リポソームに関連したポルフィリンによる腫瘍組織に対する標的化の、このさらなる効果は、一部は、血清リポタンパク質へのリン脂質小胞の特異的送達のためである。血清リポタンパク質は、好ましくは腫瘍のような過剰増殖組織と、レセプター媒介エンドサイトーシスを通じて相互作用することが示されている。この様式において、腫瘍によるポリフィリンの取り込みの選択性は、水溶液中に溶解した光増感剤と比較して、増大する。Zhouら、上記を参照せよ。
従って、ヘマトポルフィリンおよびヘマトポルフィリンジメチルエステルが、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)の単ラメラ小胞、ならびにジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)のリポソーム中に処方された。Zhouら、上記;Ricchelli、New Directions in Photodynamic Therapy847:101-106(1987);Milanesi、Int.J.Radiat.Biol.55:59-69(1989)。同様に、HP、Photofrin▲R▼、ポリフィマーナトリウム、およびテトラベンゾポルフィリンが、卵ホスファチジルコリン(EPC)から構成されるリポソーム中に処方された。Johnsonら、Proc.Photodynamic Therapy:Mechanisms II、Proc.SPIE-Int.Soc.Opt.Eng.、1203:266-80(1990)。さらに、ポルフィリン光増感剤、二糖または多糖、ならびにひとつ以上のリン脂質(例えばEPGおよびDMPC)を含有する凍結乾燥薬学的処方物が作成された。これら処方物は、適切な水性ビヒクルで再構成すると、ポルフィリン光増感剤の有効量を含有するリポソームを形成し、そしてこれはDesaiら、1992年2月6日出願の米国特許出願第07/832,542(現在、米国特許法施行規則1.62下で出願された継続出願により、放棄されている)に記載される。
Desaiらのプロセスを大きいバッチ(例えば5〜10リットル以上、約100〜200リットルまで)に適用する場合、滅菌濾過工程の間の生成物の損失のために、効力がある程度減少するのが観測される。この損失は粒子サイズ減少化工程に関連する。よって、癌治療における光力学的治療の重要性のために、安定であり、かつ光増感剤を標的組織に選択的に送達し得るだけでなく、大規模な生産が容易でもある、新しい光増感剤処方物を同定する必要性が引き続き存在する。
Farmerら、米国特許第4,776,991号は、狭いリポソームサイズ分布を有するリポソーム中へのヘモグロビンの大規模な被包を開示し、これはリン脂質として、
(1)水素添加大豆ホスファチジルコリン(「HSPC」;適切な組成は85%ジステアロイルホスファチジルコリンおよび15%ジパルミトイルホスファチジルコリン);
(2)コレステロール;
(3)負に荷電したDMPC;および
(4)α−トコフェロール
を含有する(Farmerら、第3欄、52〜69行目)。これらの脂質を、クロロホルム中で混合して、溶液を形成する;クロロホルムを蒸発させて除去し、脂質膜を形成する;そして滅菌したヘモグロビンを、35℃(30〜37℃)で45分間ゆるやかに撹拌しながら膜に添加して、多層リポソームを形成する。4℃(2〜6℃)で10〜16時間継続してリポソームを回転撹拌し、そしてリポソームをMicrofluidizerTMに通して多層リポソームを破壊させ、そして大きな単層リポソームを生産する。MicrofluidizerTMの相互作用チャンバーを5〜7℃に維持する。(第4欄、1〜14行目;第7欄、3〜9行目および19〜21行目。)しかしながら、リポソームを作成するために選択された脂質は、標準的な0.22 1m滅菌フィルターを通じての加圧濾過による滅菌に先立って加えられる生理食塩水での高浸透圧の衝撃により、一時的に縮小するはずである。(第4欄、18〜22行目;第9欄、55〜58行目。)
Kappasら、1991年4月23日発行の米国特許第5,010,073号は、脂質として使用される卵ホスファチジルコリン(「EPC」)と共にメタロポリフィリンを含有するリポソームの調製を開示する。EPCをクロロホルムに溶解し、メタロポリフィリンを添加し、そして溶液を蒸発乾燥させる。リン酸緩衝化生理食塩水を室温で使用して、脂質膜を水和し、そして混合物に「激しくボルテックスをかける(vortexed vigorously)」。固体を4℃での遠心分離により集める。EPCのメタロポルフィリンに対する重量比は10より大きくなり得る。(Kappasら、第6欄、46〜65行目。)しかしながら、Kappasらは、大きな凝集物の生成を妨げるために、生成したメタロポリフィリンリポソームを、注入に先立って、超音波処理するように奨めている。(第6欄、66行目〜第7欄1行目。)
Schneiderら、1993年12月14日発行の米国特許第5,270,053号は、固体粒子、およびより大きな脂質凝集物を含まないとされるリポソーム処方物を開示する。(Schneiderら、第3欄、52〜54行目。)しかしながら、特定の合成脂質の存在が要求される。(第2欄、51〜66行目。)例えば、第13欄および第14欄の実施例21において、そのようなふたつの合成脂質の混合物の50gを三級ブタノールに溶解し、次いでこれを0.5gの亜鉛−フタロシアニンの溶液と混合する。ダイナミックミキサーを使用して、この溶液を4℃に冷却した10リットルのラクトース媒体に混合して、青く、わずかに乳白光を発する分散体を生成した。小さいリポソームからの大きいリポソームの分離および単離が、必要である場合には、ゲル濾過または沈降のような従来の分離方法により、実施される。(第7欄、11〜17行目。)
よって、光増感剤を含有するDMPC/EPGリポソームを、そのリポソームを含有する大量の薬学的組成物が標準的な0.22Tm滅菌フィルターを効率的な様式で通って容易に無菌濾過されるほどに十分に小さい粒子サイズで、そしてKappasらの合成脂質を調製する必要なしで生産する大規模な方法に対する必要性が引き続き存在する。
発明の要旨
本発明はリポソームを含有する薬学的組成物を作成するための方法を包含する。このリポソームは、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤、ならびに卵ホスファチジルグリセロール(「EPG」)およびジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)を含むリン脂質の混合物の治療的に受容可能な量を含有する。このようなリポソームを作成する方法は以下の工程を含む:
a.光増感剤およびリン脂質を、モル比約1:7.0以上のリン脂質で、有機溶媒の存在下で組み合わせる工程;
b.有機溶媒を除去して脂質膜を形成する工程;
c.脂質膜を30℃より低い温度で水溶液で水和して、光増感剤−リン脂質複合体を含有する粗製リポソームを形成する工程;および
d.粗製リポソームの粒子サイズを、約30℃よりも低い温度で、約150〜300nmの粒子サイズ範囲までホモジナイズまたは減少化させる工程。
本発明の、水和工程およびホモジナイズ/減少化工程である「c.」および「d.」は、好ましくは、光増感剤:DMPC/EPG混合物複合体のガラス転移温度より低い温度で行われる。
水和温度、およびホモジナイズ/減少化工程を30℃より低い温度で維持することで、より小さい粒子サイズの生成は予想されなかった。実際、本発明は、小粒子サイズはこれらの温度を低下させるよりもむしろ上昇させることにより達成されるという通常の知識に反する。例えば、M.Leeら、「流れ場(flow field)−流れ分画によるリポソームのサイズ分布」、J.Pharm.& Biomed.Analysis11:10、911-20(1993)を参照すると、式(6)は粒子径「d」が温度「T」と逆相関することを示し、図6bはリポソーム調製物I(約70℃で調製)が調製物II(約23℃で調製)よりも小さい粒子サイズを有することを示している。
本発明はまた、薬学的組成物そのものを意図し、これは、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤、ならびにDMPCおよびEPGリン脂質の混合物を、光増感剤−リン脂質をモル比約1:7.0以上のリン脂質で含むリポソームを含有する、そしてこのリポソームは約150〜300nmの粒子サイズを有する。
これらのリポソーム組成物はヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤の100%に近い被包を提供する。ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤は高価であり得、そして通常、生成するための複雑な合成手順を必要とする。よって、再加工が不必要であり、そして光増感剤の廃棄物がほとんどない。さらに、その小さい粒子サイズのために、本発明のリポソームは、500ml〜リットル単位またはそれより大きい大規模バッチの生産において重要な、改良された濾過能力(filterability)を示し、ならびに改良された光増感剤保持効力を示す。
【図面の簡単な説明】
他の目的、特徴、および利点は、以下の多様な実施例の記載および添付の図面から生じ、ここで、
図1は、本発明のリポソーム処方物に使用されるグリーンポルフィリン(Gp)化合物の構造を示す。
図2は、図1における式3および4のヒドロ−モノベンゾポルフィリン誘導体(BPD)の4つの好ましい形態の構造を示す。
図3は、濾過能力の脂質濃度に対する関係のグラフ表現である。
図4は、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤の凝集に対する温度の効果についての提案される機構を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、腫瘍の光力学的治療または診断における使用のため、または種々の他の治療の適用のための、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤の薬学的リポソーム処方物に関する。リポソームは完全に閉じられた、取り込まれた水体積を含む脂質二分子膜である。典型的には、リポソームは、水性溶液を乾燥脂質膜に添加すると同時に形成される。
本発明のリポソームは、単一の二重層膜を有する単ラメラ小胞、または複数の二重層膜を有する多重ラメラ小胞であり得、各二重層膜は隣接するそれから水性膜により分離される。リポソーム二重層膜は、疎水性の「尾」領域および親水性の「頭」領域を有する、ふたつの脂質単分子膜からなる。二重層膜の構造は、脂質単分子層の疎水性(無極性)の「尾」が、それ自身二重層膜の中央の方向に配向し、その一方、親水性の「頭」は、それ自身水相方向に配向するようになっている。単層または多層または他の型のリポソームのいずれかが、本発明の実施に使用され得る。
リポソーム−薬剤送達系において、親水性治療剤は、リポソームの水相に取り込まれ得、次いで患者に投与され得る。あるいはまた、治療剤が親油性である場合、それは脂質二重層膜と会合し得る。リポソームは、薬剤を活性部位に「標的化」するのを助けるため、または非経口投与のために疎水性薬剤を可溶化するために使用され得る。典型的には、本発明のヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤は、相対的に疎水性であり、そして安定な光増感剤−脂質複合体を形成する。
本発明のリポソームは、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を送達するようにそれらを良く適合させるという、特定の性質を有する。本発明で形成されるリポソームは、光増感剤−リポソーム複合体がインビボで安定であるが、インビボで投与される場合、光増感剤は、血清リポタンパク質と関連する血流中へ急速に放出されるという点で「速い切断(fast breaking)」である。これは、光増感剤が肝臓のような非標的組織に蓄積されることを阻害すると考えられる。
光増感剤
本発明の実施において有用な光増感剤は、米国特許第4,920,143号および同第4,883,790号に開示されるヒドロ−モノベンゾポルフィリン(いわゆる「グリーンポルフィリン」または「Gp」化合物)を含む。典型的には、これらの化合物は、約670〜780nmの間にひとつ以上の光吸収極大を有し、そしてほとんど水に溶けない(1mg/ml未満)か、または水不溶である。好ましくは、Gpは、図1に示した式1〜6のうちのひとつ、その混合物、ならびにその金属化および標識化形態を有する、これら化合物からなる群から選択される。
図1において、R1およびR2は、カルボアルコキシ(2-6C)、アルキル(1-6C)スルホニル、アリール(6-10C)スルホニル、アリール(6-10C)、シアノ、および-CONR5CO-(ここでR5はアリール(6-10C)またはアルキル(1-6C)である)からなる群から独立して選択され得る。しかし、好ましくは、R1およびR2のそれぞれはカルボアルコキシ(2-6C)である。
図1において、R3は、独立して、カルボキシアルキル(2-6C)あるいは、その塩、アミド、エステルまたはアシルヒドラゾンであり得るか、またはアルキル(1-6C)である。好ましくは、R3は-CH2CH2COOHまたはその塩、アミド、エステルまたはアシルヒドラゾンである。
R4は、-CHCH2;-CHOR4'(ここでR4'はHまたはアルキル(1-6C)であり、必要に応じて親水性基で置換される);-CHO;-COOR4';-CH(OR4')CH3;-CH(OR4')CH2OR4';-CH(SR4')CH3;-CH(NR4' 2)CH3;-CH(CN)CH3;-CH(COOR4')CH3;-CH(OOCR4')CH3;-CH(ハロ)CH3;-CH(ハロ)CH2(ハロ);ビニル基の直接的または間接的誘導体化から生成される12Cより少ない有機基であるか;またはR4は、式-L-Pの1-3テトラピロール型核からなり、ここで-L-は、
Figure 0003782112
からなる群から選択され、およびPは第二のGpまたは他のポルフィリン基であり、これは式1〜6のうちのひとつであるがR4を欠き、そしてR4により占められるように示される位置を通じてLに結合される。Pが他のポルフィリン基である場合、好ましくは、Pは、以下の式を有し、:
Figure 0003782112
ここで:各Rは独立してHまたは低級アルキル(1-4C)であり;
隣接環に占有されない4つの結合のうちの2つはR3に結合される;
隣接環に占有されない残りの結合の1つはR4に結合される;および
他の結合はLに結合される;
但し、R4が-CHCH2の場合、R3基の両方ともカルボアルコキシエチルであり得ない。このような化合物の調製および使用は、米国特許第4,920,143号および同第4,883,790号に開示され、これは本明細書中で参考として援用される。
さらにより好ましくは、ベンゾポルフィリン誘導体(「BPD」)として示される、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン化合物である。BPDは、式1〜3または式1〜4の転位生成物の加水分解された形態または部分的に加水分解された形態であり、ここでR3の保護されたカルボキシル基のひとつまたは両方が加水分解される。特に好ましくは、図2のBPD-MAとして参照される化合物であり、これは2つの等しく活性な位置異性体を有する。
多くの望ましいヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤(例えばBPD-MA)は、生理学的pHで水に不溶であるだけでなく、また(1)薬学的に受容可能な水性−有機共溶媒、(2)水性重合体溶液、および(3)界面活性剤/ミセル溶液に、不溶である。しかしながら、このような光増感剤は、リポソーム組成物を使用することにより、非経口投与に適した形態で「可溶化」され得る。例えば、BPD-MAは、リン脂質の適切な混合物を使用して、水性溶液中に約2.0mg/mlの濃度で「可溶化」され、被包リポソームを形成し得る。
脂質
本発明のリポソームは、一般的に遭遇する脂質ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)および卵ホスファチジルグリセロール(「EPG」)の混合物を含む。DMPCの存在は、DMPCが、不溶性ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を脂質二重層膜に可溶化し、そして被包し得るリポソームを形成するための、組成物中の主要構成成分であるので、重要である。EPGの存在は、この脂質の負に帯電した、極性頭部基がリポソームの凝集を妨げ得るので、重要である。
DMPCおよびEPGに加えて、他のリン脂質もまた存在し得る。適切なさらなるリン脂質の例(これはまた本発明のリポソーム中に取り込まれ得る)は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)およびジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)の混合物を含む、ホスファチジルコリン(PC)を含む。適切なホスファチジルグリセロール(PG)の例は、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、DLPGなどを含む。
含有され得る、適切な脂質の他の型は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジル酸(PA)、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールである。
ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤のDMPC/EPGリン脂質混合物に対するモル比は、1:7.0程度の低さであり得るか、またはより高い割合のリン脂質(例えば1:7.5)を含み得る。好ましくは、このモル比は、1:8またはそれより多いリン脂質(例えば1:10、1:15、または1:20)である。このモル比は、使用される正確な光増感剤に依存するが、大部分のヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤分子と安定な複合体を形成するに十分な数のDMPCおよびEPG脂質分子の存在を保証する。脂質分子の数が安定な複合体を形成するのに十分でない場合、脂質二重層膜の親油性相は、光増感剤分子で飽和される。次いで、プロセス条件における任意の微少変化により、前もって被包された光増感剤のいくらかが、小包の外部に、脂質二重層膜の表面上に、または水相中にまでも、強制的に漏出させられ得る。
ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤の濃度が十分に高い場合、これは実際に水性層から沈澱し、そしてリポソームの凝集を促進し得る。被包されていない光増感剤が存在すればするほど、凝集の程度がより高くなる。凝集の増加につれて平均粒子サイズが増大し、そして無菌または滅菌濾過がより困難になる。よって、以下の実施例1に記載するように、モル比の微少な変化でさえ、本発明に記載する改良濾過能力の達成において重要であり得る。
従って、脂質含有量の微少な増加が、小さい粒子を形成し、そして維持する能力を増加させることにより、リポソーム組成物の濾過能力を著しく増加させ得る。これは、約100〜500mlまたはそれ未満のより小さいバッチとは対照的に、500ml、1リットル、5リットル、40リットル、またはそれ以上の大容積で作業する場合において特に有利である。この体積効果は、より大きいホモジナイズ装置が、小規模では容易に達成され得る凝集よりも有効でない凝集を提供する傾向にあるために生じると考えられる。例えば、大きいサイズのMicrofluidizerTMは、小さいサイズのものよりもより有効でない相互作用チャンバーを有する。
1.05:3:5のBPD-MA:EPG:DMPCのモル比(すなわち光増感剤:リン脂質1:8.0よりもわずかに少ないリン脂質)は、500mlまでの小バッチにおいて受容可能な限界の濾過能力を提供し得る。しかしながら、より大量の組成物を作製する場合、リン脂質のモル比が高くなるにつれて、信頼できる無菌濾過能力の保証をよりいっそう提供する。さらに、少なくとも一部は濾過能力の問題による、大規模バッチに共通する実質的な能力の損失は、よって回避され得る。
凍結保護剤および等張剤
凍結乾燥処方物を調製する当該分野において有用であると知られている、任意の凍結保護剤(例えば、二糖類または多糖類、またはリジンのような他のバルキング剤)が、本発明に使用され得る。さらに、体液との等モル濃度を維持するために典型的に添加される等張剤が使用され得る。好ましい実施態様において、二糖類または多糖類が、使用され、そして凍結保護剤および等張剤の両方として機能する。
特に好ましい実施態様において、リン脂質、DMPCおよびEPG、ならびに二糖類または多糖類の、特定の配合が、特に狭い粒子サイズ分布のリポソームを有するリポソーム組成物を形成する。脂質膜を水和するプロセスが長引いた場合、より大きいリポソームが形成される傾向にあるか、または光増感剤まで沈澱し始め得る。二糖類または多糖類の添加は、瞬間的な水和、および薬剤−リン脂質複合体の薄膜を配置するための最も広大な表面積を提供する。この薄膜は、より速い水和を提供し、このため、リポソームが水相の添加によりまず形成される場合、形成されたリポソームはより小さく、そしてより均一な粒子サイズを有する。これは、製造の容易さの点において著しい利点を提供する。
しかしながら、糖類が本発明の組成物中に存在する場合、糖類が、乾燥脂質膜形成後に、水和において使用される水性溶液の一部分として添加されることもまた可能である。特に好ましい実施態様において、糖類は、水和中に、本発明の乾燥脂質膜に添加される。
二糖類または多糖類は、この目的に対して、単糖類よりも好ましい。本発明のリポソーム組成物の浸透圧を、血液の浸透圧と類似の浸透圧に保持するために、4〜5%より多くない単糖類しか添加され得なかった。対照的に、約9〜10%の二糖類が受容可能でない浸透圧を生成することなく使用され得る。より多量の二糖類は、より広い表面積を提供し、その結果、脂質膜の水和の間により小さいサイズの粒子が形成される。
従って、本発明の好ましいリポソーム組成物は、光増感剤ならびにDMPCおよびEPGリン脂質の混合物に加えて、二糖類または多糖類を含有する。二糖類または多糖類は、存在する場合、好ましくは、ラクトース、トレハロース、マルトース、マルトトリオース、パラチノース、ラクツロース、またはスクロースからなる群から選択される。ラクトースまたはトレハロースが好ましい。さらにより好ましくは、リポソームはラクトースまたはトレハロースを含む。
また、二糖類または多糖類は、存在する場合、0.5〜6.0のDMPC/EPGリン脂質混合物に対して、約10〜20の糖類の好ましい比で(さらにより好ましくは、1.5〜4.0に対して約10の比で)それぞれ処方される。ひとつの実施態様において、好ましい処方は、ラクトースまたはトレハロースならびにDMPCおよびEPGの混合物であり、それぞれ約10:0.94〜1.88から約0.65〜1.30の濃度比であるが、これに限定されない。
組成物における二糖類または多糖類の存在は、極端に小さく、そして狭い粒子サイズ範囲を有するリポソームを生じる傾向にあるだけでなく、またヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤が効果的な様式(すなわち、80〜100%に達する被包効率)で、特に安定に取り込まれ得るリポソーム組成物を提供する。さらに、糖類で作製されるリポソームは典型的に、改善された物理的および化学的安定性を示し、このため、これらは取り込まれたヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤化合物を、長期保存において漏出することなく、再構成されたリポソーム懸濁液としてか、または低温乾燥粉末としてかのいずれかで保持し得る。
賦形剤
他の付加成分は、リポソーム組成物中に少量の無害で補助的な物質を含み得る。例えば、抗酸化剤(例えばブチル化ヒドロキシトルエン、α−トコフェロールおよびアスコルビルパルミテート)およびpH緩衝剤(例えば、ホスフェートおよびグリシンなど)である。
調製
本明細書中で記載されるように、選択されたヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤を含有するリポソームは、光増感剤ならびにDMPCおよびEPGリン脂質(および任意の他の付加的なリン脂質または抗酸化剤のような賦形剤)を有機溶媒の存在下で組み合わせることにより、調製され得る。適切な有機溶媒は、任意の揮発性有機溶媒、例えば、ジエチルエーテル、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、ピペリジン、ピペリジン−水混合物、メタノール、tert-ブタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、およびその混合物を含む。好ましくは、有機溶媒は、例えば塩化メチレンのように水と非混和性であるが、水との非混和性は要求されない。いずれにしても、選択された溶媒は、すべての脂質膜構成成分を溶解させ得るべきだけでなく、また、有意な程度でこれら構成成分と反応する(またはそうでなければこれらに有害に影響する)べきでない。
次いで、乾燥脂質膜および光増感剤に有害でない、任意の公知の研究室技術により、有機溶媒は得られる溶液から除去され、乾燥脂質膜を形成する。好ましくは、溶媒は、有機溶媒が蒸発するまで真空下に溶液を静置することにより、除去される。固体残渣が、本発明の乾燥脂質膜である。脂質膜の厚みは重要ではないが、通常約30〜約45mg/cm2で変化し、固体残渣の量およびフラスコのガラス壁の総面積に依存する。一旦形成されると、膜は、水和の前に、延長された期間(好ましくは4〜21日より多くない)保持され得る。一方、脂質膜の保持期間中の温度もまた、重要な因子ではないが、温度は好ましくは室温より低く、最も好ましくは約-20〜約4℃の範囲にある。
次いで、乾燥脂質膜は水性溶液(好ましくは二糖類または多糖類を含有する)に拡散され、そしてホモジナイズされて、所望のサイズの粒子を形成する。水和工程の間に使用される、有用な水性溶液の例は、滅菌水;カルシウムおよびマグネシウムを含まないホスフェート緩衝(pH7.2〜7.4)塩化ナトリウム溶液;9.75%w/vラクトース溶液;ラクトース−生理食塩水溶液;5%ブドウ糖溶液;またはひとつ以上の電解質の、任意の他の生理学的に受容可能な水溶液を含む。しかしながら、好ましくは、水性溶液は無菌である。水和の間に使用される水性溶液の体積は、大きく変化し得るが、約98%以上であるべきでなく、かつ約30〜40%以下であるべきでない。典型的な有用な体積の範囲は、約75%〜約95%であり、好ましくは約85%〜約90%である。
水和すると、粗リポソームが形成され、このリポソームは、治療有効量のヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤−リン脂質複合体を取り込む。「治療有効量」は、治療される組織に依存し、そして標的特異的リガンド(例えば、抗体または免疫学的に活性なフラグメント)に結合しているかどうかに依存して、広範に変化し得る。選択的光力学的治療に使用される多様なパラメーターは相互に関係することが、注意されるべきである。従って、治療有効量はまた、他のパラメーター(例えば、光力学的治療に使用される光の流量、照射量、持続時間、および光増感剤の投与と治療照射との間隔時間)を考慮して調整されるべきである。一般には、これらすべてのパラメーターは調整されて、周辺の組織を有意に損傷することなく、望ましくないと考えられる組織(例えば、新生血管組織または腫瘍組織)に有意な損傷を与えるか、または周辺の組織を有意に損傷することなく、このような望ましくない組織の観測を可能にする。
典型的には、治療有効量は、約0.1〜約20mg/kg、好ましくは約0.15〜2.0mg/kg、さらにより好ましくは約0.25〜約0.75mg/kgの範囲内の、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤の用量を生成するような量である。混合物が通常の手段で取り扱うか、また被験体に投与することが出来ないような濃いゲルになる場合、好ましくは、組成物中の光増感剤のw/v濃度は、約0.1〜約(8.0〜10.0)g/Lの範囲である。最も好ましくは、その濃度は、約2.0〜2.5g/Lである。
水和工程は、約30℃を越えない温度(好ましくは、形成された光増感剤−リン脂質複合体のガラス転移温度より低い温度、さらにより好ましくは、室温またはそれより低い温度(例えば、15〜20℃))で実施すべきである。光増感剤−リン脂質複合体のガラス転移温度は、示差走査型熱量計を使用して計測され得る。
物質の水性溶解度は、使用される温度が高くなるにつれて増加すべきであるという、通常の予測に一致して、複合体の転移温度の周辺温度で、脂質膜は「固体」ゲル状態からプレ転移状態へ、そして最終的にはさらなる「流体」液晶状態へと、相転移する傾向にある。しかしながら、これらより高温において、流動性が増加するだけでなく、相分離の程度および膜欠損の割合もまた増加する。この結果、光増感剤が膜内部から界面へ、およびさらに水性相へと漏出する程度が増加する。顕著な量のリポソームの漏出が起こると、条件の微少変化(例えば、温度のわずかな降下)でさえ、光増感剤の沈澱のために水性「溶解度」から平衡をシフトさせ得る。さらに、典型的に水不溶性の光増感剤が沈澱し始めると、これを脂質二重層膜内部に再び被包することは不可能である。この沈澱は濾過能力の課題に顕著に寄与すると考えられる。
さらに、「固体」ゲル状態にある脂質二重層膜の通常の厚み(約47/)は、「液晶」状態への転移において、約37/まで減少する。よって、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤が占有するのに有効な取り込み体積が縮小する。より小さい「部屋」は、大量の光増感剤を含有できず、次いで光増感剤は飽和脂質二重層膜の間隙から絞り出され得る。光増感剤の滲出プロセスにおいて、任意の2つ以上の小胞は、互いに凝集し得、粒子サイズの減少および滅菌濾過の容易さに対して、さらなる困難を導入する。光増感剤リポソームの凝集における、この驚くべき温度効果を説明するための、ひとつの提案機構を例示する図4を参照のこと。さらに、より高い水和温度(例えば、約35〜45℃)の使用はまた、無菌濾過中に光増感剤が沈澱するかまたは凝集するかのいずれかの、光増感剤の能力の損失を生じ得る。
水和において第一に形成される粗リポソームの粒子サイズは、次いで、好ましくはまた、約30℃を越えない(好ましくは、水和工程で形成された光増感剤−リン脂質複合体のガラス転移温度よりも低い)温度で、さらに好ましくは約25℃の室温より低い温度で約150〜300nmまでのより均一なサイズにホモジナイズされるか、約150〜300nmまでのより小さいサイズの範囲に縮小される(またはその両方)。ホモジナイズ工程において、多様な高速攪拌装置が使用され得る。例えば、MicrofluidizerTM(例えば、MicrofluidicsTM Model 110F);超音波処理器;高剪断ミキサー;ホモジナイザー;または研究室の標準的振盪器である。
ホモジナイズ温度は、室温またはそれより低い温度(例えば、15〜20℃)とすべきことが見い出されている。より高いホモジナイズ温度(例えば、32〜42℃のような)にて、リポソーム組成物の相対濾過能力は、予測されるように初期には流動性が増加されるために改善され得るが、しかし次いで、予測されず、粒子サイズが増大するために、撹拌の継続とともに減少する傾向にある。
好ましくは、MicrofluidizerTMのような高圧装置が撹拌に使用される。マイクロフルイダイゼーションにおいて、流体が高圧相互作用チャンバーを通過する間の短時間に、大量の熱が発生する。相互作用チャンバー内で、流体の2つの流れが、高速で、900度でお互いに衝突する。マイクロフルイダイゼーション温度の増加につれて、膜の流動性もまた増加し、このため初期には、予測されるように、粒子サイズの減少がより容易になる。例えば、濾過能力は、MicrofluidizerTM装置を通る最初の数回の通過により、4倍程度増加し得る。二重層膜の流動性の増加は、粒子サイズの減少を促進し、これにより最終組成物の濾過がより容易になる。初期の数回の通過において、この増加した流動性の機構は、プロセスを有利に支配する。
しかしながら、通過の回数および温度の両方が増加するにつれて、より多くの疎水性ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤分子が、リポソームから絞り出され、リポソームが凝集してより大きな粒子となる傾向が増大する。小胞の凝集がプロセスを支配し始める時点で、サイズはよりいっそう減少され得ない。驚くべきことに、次いで粒子サイズは実際に、凝集を通じて増大する傾向にある。
この理由により、本発明の方法において、組成物が最大の撹拌ゾーン(例えば、MicrofluidizerTM装置の相互作用チャンバー)を通過した後に、ホモジナイズ温度は、室温を超えない温度に冷却され、そして維持される。適切な冷却システムは、ホモジナイズが実施される、任意の標準的な撹拌装置(例えば、MicrofluidizerTM)に、例えば、混合チャンバーまたは他の最大の乱流ゾーンを取り囲む適切な冷却ジャケット中に冷却水を循環させることにより、容易に提供され得る。このような高圧装置に使用される圧力は重要ではなく、約10,000〜約16,000psiの圧力は珍しくない。
最終工程として、本発明の組成物は好ましくは、極端に小さい細孔サイズ(すなわち0.22Tm)を有するフィルターを通して無菌濾過される。無菌濾過の間に使用されるフィルター圧力は、組成物の体積、密度、温度、フィルターの型、フィルターの細孔サイズ、およびリポソームの粒子サイズに依存して広範に変化し得る。しかしながら、指標として、典型的な濾過条件の組は、以下である:濾過圧力15〜25psi;濾過ロード0.8〜1.5ml/cm2;および濾過温度約25℃。
典型的な、一般的手順を、さらなる例示の詳細とともに、以下に記載する:
(1)有機溶媒の、疎水性の0.22Tmフィルターを通す、無菌濾過。
(2)EPG、DMPC、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤、および賦形剤の、濾過した有機溶媒への添加、賦形剤および光増感剤の両方の溶解。
(3)生成溶液の、0.22Tm疎水性フィルターを通す、濾過。
(4)濾液の、ロータリーエバポレーター装置(例えば、Rotoevaporatorの名称で市販で入手できるもの)への、移動。
(5)有機溶媒を除去して乾燥脂質膜を形成する。
(6)脂質膜を分析して有機溶媒濃度のレベルを測定する。
(7)10%ラクトース溶液の調製。
(8)ラクトース溶液の、0.22Tm親水性フィルターを通す、濾過。
(9)10%ラクトース溶液で脂質膜を水和して粗リポソームを形成する。
(10)粗リポソームをMicrofluidizerTMに3回通すことによる、粗リポソームの粒子サイズの減少。
(11)減少したリポソームの粒子サイズ分布の測定。
(12)リポソーム組成物の、0.22Tm親水性フィルターを通す、無菌濾過(必要に応じて、最初に、溶液は5.0lmプレフィルターでプレ濾過され得る)。
(13)光増感剤効力の分析。
(14)リポソーム組成物でのバイアルの充填。
(15)凍結乾燥。
凍結乾燥
一旦処方されると、本発明のリポソーム組成物は、所望であれば長期間の保存のために凍結乾燥され得る。例えば、好ましいヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤であるBPD-MAは、低温乾燥(cryodesiccate)されたリポソーム組成物では、室温で少なくとも9カ月間その有効性が維持され、そして少なくとも2年の貯蔵寿命が設計されている。この組成物が凍結乾燥された場合、その後の適切な水溶液(例えば、滅菌水、または糖類および/もしくは他の賦形剤を含む滅菌水)を用いる投与(例えば、注射)前の再構築のためにバイアル中にパッケージングされ得る。
好ましくは、凍結乾燥されるべきリポソームは、水和の間に、二糖類または多糖類を含む水性ビヒクルを添加する時に形成される。次いで、組成物が集められ、バイアル中に配置され、凍結乾燥され、そして貯蔵される(理想的には冷蔵)。凍結乾燥した組成物は、次いで、投与直前に注射用の水を単純に添加することによって再構築され得る。
粒子サイズ
本発明のリポソーム組成物は、フィルターの重大な目詰まりを起こすことなく効率的かつ500mlから1リットル以上の大容量で0.22Tm親水性フィルターを通す組成物の無菌濾過が達成され得るのに十分小さくかつ細い粒子サイズのリポソームを提供する。特に好ましい粒子サイズ範囲は約300nm未満であり、より好ましくは約250nm未満である。最も好ましくは、粒子サイズは約220nm未満である。
上記のように、本発明は、予想されない程度に粒子サイズを減少させることの容易さに影響し得る3つの主要なパラメーターを制御する。結果として、濾過能力(filterability)(特に標準的な無菌濾過)は、本発明のリポソーム組成物において著しく改善される。これらのパラメーターは、(1)DMPC-EPG脂質混合物に対するヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤の適切なモル比;(2)水和工程の間の温度;および(3)ホモジナイズ工程またはサイズ減少工程の間の温度である。これらの3つのパラメーターに関して、光増感剤/脂質モル比が最も大きな効果を有すると考えられる。
濾過能力は、リポソーム組成物をMicrofluidizerTMに3回通し、そしてシリンジでサンプルを回収することによって試験され得る。シリンジは0.22Tm親水性フィルターに接続され、次いでシリンジポンプ中に配置される。ピストン運動の一定速度を10ml/分に設定し、そしてリポソームが大きく凝集することによってフィルターが固まるまで濾液を集める。次いで濾液の容積を測定し、そしてml/cm2またはg/cm2単位(平方センチメートルは有効濾過領域である)で記録する。従って、本発明の目的のための濾過能力は、0.22Tmフィルターを通して濾過され得るリポソーム組成物の最大容量または最大重量として定義される。
投与および使用
本発明のリポソーム中に組み込まれるヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤の使用は、代表的には、ガンの診断または処置用途である。リポソーム組成物は、新生物細胞または他の異常組織(感染因子を含む)を、光(好ましくは可視光)での曝露による破壊に対して感受性にするのに有用である。光活性化の際に、一重項酸素(これは、細胞傷害性効果の原因である)の形成を促進するために光増感剤が考慮される。本発明のリポソーム中に光増感剤を組込むことにより、腫瘍組織のより効率的な感度が得られ得る。
さらに、本発明の光増感剤が適切な励起波長によって光活性化される場合、これらは、代表的には、目に見える蛍光を発し得る。次いで、この蛍光は腫瘍または他の標的組織を局在化するために使用され得る。
一般的に言えば、リポソーム中のヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤の濃度は、用いられる光増感剤の性質に依存する。例えば、BPD-MAが用いられる場合、光増感剤は一般的には約0.10%〜0.5%w/vの濃度でリポソーム中に組み込まれる。凍結乾燥されそして再構築された場合、代表的には、これにより約5.0mg/mlまでの光増感剤が再構築された溶液を得る。
本発明のリポソーム組成物は、代表的には、非経口的に投与される。注射は、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、くも膜下腔内注射であり得るか、または心膜内注射でさえもあり得る。しかし、リポソームはまた、エアロゾルによって鼻腔内投与され得るかまたは肺内投与され得る。
投与されるべきヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤リポソーム処方物の量は、活性成分の選択、処置されるべき状態、投与の様式、それぞれの被検体、および医者の判断に依存する。しかし、一般的に言えば、0.05〜10mg/kgの範囲の用量が必要とされ得る。個々の処置レジメに対する可変数が多いので、上記の範囲はもちろん単に示唆的なものである。従って、かなりの可動域がこれらの推奨値から予想される。
局在化する腫瘍組織または局在化するアテローム硬化型プラークにおける診断として使用するために、本発明の薬学的組成物が、光力学的治療に関して知られているのと同じ一般方法で全身に投与される。薬物を組織から浄化する(clear)(薬物はそこに蓄積されない)待ち時間はほぼ同様であり、例えば、約30分〜10時間である。本発明の組成物を局在化させた後、光増感剤の存在を検出することにより標的組織の位置が決定される。
診断のために、リポソームに組み込まれたヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤化合物は、放射性同位体または他の検出手段と共に用いられ得るかまたはそれで標識され得る。その場合、検出手段は標識の性質に依存する。テクネチウムまたはインジウムのようなシンチグラフィー標識は、エクソビボスキャナーを用いて検出され得る。特定の発光標識もまた使用され得るが、光増感剤それ自身の蛍光に基づく検出のように、これらの標識は先行する照射を必要とし得る。
本発明の光増感剤ヒドロ-モノベンゾポルフィリンの活性のために、任意の適切な吸収波長が用いられる。これは、細胞傷害性または蛍光発光を媒介することに関して当該分野で公知の種々の方法を用いて供給され得る(例えば、可視光線(白熱光もしくは蛍光の供給源または発光ダイオードのような光ダイオードを包含する))。レーザー光もまた、局在化した光増感剤へ光をインサイチュ送達するために使用され得る。例えば、代表的なプロトコルにおいて、照射の数時間前に、約0.5〜1.5mg/kgの緑色ポルフィリン(green porphyrin)光増感剤を静脈内注射し、次いで、適切な波長で励起させる。
本発明のリポソーム組成物の調製方法、この組成物自身、および光力学的処置におけるこの組成物の使用方法が、以下の実施例にさらに詳細に記載される。これらの実施例は、適切なヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤の単純な置換、さらなるリン脂質の単純な置換、または別の方法により、同様に記載されるリポソームの製造および使用に容易に適合する。以下の実施例は、本発明の、好適な実施態様、好適な利用および好適な性質を提示するが、これらは、本発明を制限することを意味しない。例えば、リポソーム形成のために、ヒドロ-モノベンゾポルフィリン光増感剤としてBPD-MAを使用するが、本発明は、この特定の光増感剤に限定されることを意図しない。
実施例1
濾過能力に対するモル比の効果
以下の一般的手順を用い、3つのBPD-MAリポソーム(100mlバッチ)を室温(約20℃)で調製した。BPD-MA、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、アスコルビルパルミテート、ならびにリン脂質DMPCおよびEPGを、塩化メチレンに溶解し、得られた溶液を0.22Tmフィルターを通して濾過した。次いで、この溶液を、固形残渣中の塩化メチレンの量がガスクロマトグラフィーで検出できなくなるまでロータリーエバポレーターを用いて真空下で乾燥した。
次いで、注射用の10%ラクトース/水溶液を調製し、0.22Tmフィルターを通して濾過した。このラクトース/水溶液を、光増感剤/リン脂質の固形残渣を含むフラスコに添加した。固形残渣を10%ラクトース/水溶液中に分散させ、そして約1時間撹拌し、冷却し、そしてホモジナイザーを通した。次いで、この溶液を0.22Tm Durapore(親水性フィルター)を通して濾過した。
上記の手順を用いて、BPD-MAのリポソーム組成物の異なる3つの調製物(それぞれが異なる光増感剤:EPG:DMPCのモル比を有する)を以下のように調製した:
Figure 0003782112
これら3つのバッチの濾過能力を以下の方法に従って試験した:リポソーム組成物をMicrofluidizerTMに3回通した後、サンプルをシリンジで回収した。回収されたサンプルの容積は、組成物の濾過能力の視覚的な見積もりに依存した。シリンジを0.22Tm親水性フィルターに接続し、次いで、シリンジポンプ中に配置した。ピストン運動の速度を10ml/分に設定し、そして大きいリポソームが凝集することによってフィルターが固まるまで濾液を集めた。濾液の容量を測定し、そしてml/cm2で記録した。結果を以下の表2にまとめた。
Figure 0003782112
表1は、第1の処方物(光増感剤/DMPC-EPG脂質混合物(1:8.0)よりやや少ないリン脂質)の濾過能力が、第2の処方物(1:8.0のモル比を有する)より約2.3倍小さく、そして第3の処方物(モル比1:10.0)より約8倍小さいことを示す。図3は、濾過能力に関する、g/cm2対総脂質濃度(%、w/v)のプロットを示す。その関係は、驚くべきことに、0.9985のr2乗を有する直線であった。このプロットから以下の実験式が得られた:
濾過能力=[23.36総脂質濃度(%、w/v)]−[35.51]
この式の傾きによれば、存在するDMPCまたはEPG脂質が1グラム増加する毎に、リポソーム処方物の濾過能力が23(23-fold)改善される。このプロットはさらに、総脂質濃度が1.52%未満(BPD-MA光増感剤の濃度2.1mg/ml)になった場合、リポソーム組成物は0.22Tmフィルターを通る濾過は全く不可能である。
実施例2
スケールアップさせたバッチの濾過能力および有効性
より多量のBPD-MAリポソームのバッチ(1.2リットル、すなわち、100mlバッチ(実施例1)の12倍)を、モル比1:3:5(光増感剤:EPG:DMPC)を用いて室温(約20℃)で調製した。組成物の成分を以下の表3に記載する:
Figure 0003782112
モル比1:8.0についてのより熱心な研究を提供するために、このより多いバッチにおいて2倍の厚さの脂質膜を用いた。その結果は、以下の表4に示されるように、DMDCおよびEPG脂質がわずかに少ないだけの、サイズが1/12倍のバッチと比較して、濾過能力が著しく改善されたことを示した。
Figure 0003782112
脂質含量のわずかな増加により、リポソーム組成物の濾過能力は著しく増加した。さらに、収率はほぼ100%であり、99.5%(HPLC分析による)の光増感剤の有効性が無菌濾過の後にも維持される。
実施例3
水和温度
BPD-MAのリポソーム組成物の4つのバッチ(それぞれが同じ光増感剤:DMPC-EPG脂質の同じモル比(1.05:3:5)を有する)を、異なる膜水和温度で調製した。これら4つのバッチについてのデータ(以下の表5に示す)を比較して、有効性のロスと膜水和温度との関係を示した。
Figure 0003782112
これらの結果は、室温よりも高く水和温度が増加することが、光増感剤の有効性の望まれない著しいロスと関連することを示した。
実施例4
ホモジナイズ温度増加の効果
1対の0.53リットルのバッチ(光増感剤:EPG:DMPC=1.05:3:5)を用いて、濾過能力とホモジナイズ温度との関係を研究した。組成物を、45℃の水和温度およびMicrofluidizerTM(出口温度を35℃に設定)を用いて上記の実施例1のように調製した。そのデータは以下のことを示した:以下に示すように、高い水和温度および高いホモジナイズ温度では、BPD-MAリポソーム組成物の相対的な濾過能力が、予想されるように、MicrofluidizerTMへの最初の通過(#1〜#2)後には増加するが、さらなる通過(#2〜#4)については減少する。
Figure 0003782112
第2の0.53リットルのバッチ(光増感剤:EPG:DMPC=1.05:3:5)を用いて、MicrofluidizerTMへの通過数と、濾過能力と、粒子サイズ分布との関係を研究した。このバッチにおいて、高い水和温度(40℃)と、高いホモジナイズ温度(MicrofluidizerTMの出口温度を42℃に設定)を用いた。そのデータを以下の表7に列挙する。
Figure 0003782112
このデータは、濾過能力は予想通りに通過#3から#5までは増加するが、通過#6〜#9においては、減少して元来の値に戻ることを示す。対照的に、組成物中のリポソームの平均粒子サイズは通過#1での710nmから通過#6での247nmまで小さく減少する。しかし、さらに通過させると、粒子サイズは驚くべきことに約300nmに増加した。
実施例5
本発明のリポソームの調製
以下の一般的手順を用い、BPD-MAリポソーム(100mlバッチ)を室温(約20℃)で調製する。BPD-MA、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、アスコルビルパルミテート、ならびにリン脂質DMPCおよびEPGを、塩化メチレンに溶解する。光増感剤:EPG:DMPCのモル比は1.0:3:7であり、そして以下の組成を有する:
Figure 0003782112
上記の処方物を用いると、総脂質濃度は(%w/v)は約2.06である。得られた溶液を0.22Tmフィルターを通して濾過し、次いで、ロータリーエバポレーターを用いて真空下で乾燥する。乾燥は、固形残渣中の塩化メチレンの量がガスクロマトグラフィーで検出できなくなるまで続ける。
次いで、注射用の10%ラクトース/水溶液を調製し、0.22Tmフィルターを通して濾過する。温度を約35℃に加温する代わりに、このラクトース/水溶液を、光増感剤/リン脂質の固形残渣を含むフラスコに添加するために室温(約25℃)で維持する。固形残渣を、室温で10%ラクトース/水溶液中に分散させ、約1時間撹拌し、そしてMicrofluidizerTMホモジナイザー(出口温度を約20〜25℃に制御)に3〜4回通す。次いで、この溶液を0.22Tm Durapore(親水性フィルター)に通して濾過する。
バッチの濾過能力を以下の手順で試験する:リポソーム組成物をMicrofluidizerTMに3回通した後、サンプルをシリンジで回収する。回収されたサンプルの容積は約20mlであり、組成物の濾過能力の視覚的な見積もりおよびリポソーム量の評価に依存する。シリンジを0.22Tm親水性フィルターに接続し、次いで、シリンジポンプ中に配置する。ピストン運動の速度を10ml/分に設定し、そして大きいリポソームが凝集することによってフィルターが固まるまで濾液を集める。濾液の容量を測定し、そしてml/cm2またはg/cm2で記録する。
g/cm2単位での組成物の濾過能力は、典型的には約10より大きい。さらに、収率は約100%(HPLC分析による)であり、光増感剤の有効性は、典型的には無菌濾過後でさえ維持される。平均粒子サイズは、約150nmから約300nmまで変化する(±50nm)。
開示された主題の改変および/または変化が以下にクレームされる本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが当業者には明白である。

Claims (5)

  1. リポソームを含有する薬学的組成物を作成する方法であって、該リポソームは、ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤、ならびに卵ホスファチジルグリセロール(「EPG」)およびジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)の混合物を含むリン脂質の治療的に受容可能な量を含有し、該方法は以下の工程を含む:
    a.光増感剤およびリン脂質を、モル比1:7.0以上のリン脂質で、有機溶媒の存在下で組み合わせる工程;
    b.該有機溶媒を除去して脂質膜を形成する工程;
    c.該脂質膜を30℃以下の温度で水溶液で水和して、光増感剤−リン脂質複合体を含有する粗製リポソームを形成する工程;および
    d.該粗製リポソームの粒子サイズを、30℃以下の温度で、300nmより下の粒子サイズ範囲までホモジナイズまたは減少化させる工程。
  2. 前記温度が前記光増感剤−リン脂質複合体のガラス転移温度であり;および/または
    ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤のリン脂質に対する前記モル比が1:8.0以上のリン脂質であり;および/または
    前記有機溶媒が塩化メチレンであり;および/または
    前記有機溶媒が工程「b.」で減圧下でのエバポレーションにより除去され;および/または
    前記水溶液が、二糖または多糖を含み;および/または
    該ヒドロ−モノベンゾポルフィリン光増感剤が、以下に示す式1〜6のうちのひとつを有し、そして670〜780nmの間にひとつ以上の光吸収極大を有し、またはその金属化あるいは標識化形態であり:
    Figure 0003782112
    ここで、各R1およびR2が、カルボアルコキシ(2-6C)、アルキル(1-6C)スルホニル、アリール(6-10C)スルホニル、アリール(6-10C)、シアノ、および-CONR5CO-(ここでR5はアリール(6-10C)またはアルキル(1-6C))からなる群から独立して選択され;
    各R3が、独立して、カルボキシアルキル(2-6C)あるいはその塩、アミド、エステル、またはアシルヒドラゾンであるか、またはアルキル(1-6C)であり;そして
    各R4が、-CHCH2;-CHOR4'(ここでR4'はHまたはアルキル(1-6C)であり、任意に親水性置換基で置換される);-CHO;-COOR4';-CH(OR4')CH3;-CH(OR4')CH2OR4';-CH(SR4')CH3;-CH(NR4' 2)CH3;-CH(CN)CH3;-CH(COOR4')CH3;-CH(OOCR4')CH3;-CH(ハロ)CH3;-CH(ハロ)CH2(ハロ);ビニル基の直接または非直接の誘導体化から生成される12C未満の有機基であり;またはR4が式-L-Pの1-3テトラピロール型核であり、ここで-L-が、
    Figure 0003782112
    からなる群から選択され、
    そしてPが、第二のグリーンポルフィリン(Gp)であり、これは式1〜6のうちのひとつであるがR4を欠き、そしてR4により占められるように示す位置を通じてLに結合され、または他のポルフィリン基であり;および/または
    前記水和工程「c.」が室温またはそれ以下の温度で達成され;および/または
    前記ホモジナイズまたは減少化工程「d.」が室温またはそれ以下の温度で達成され;および/または
    前記粒子サイズが250nmより小さい範囲まで減少させられる、
    請求項1に記載の方法。
  3. 各R3が、-CH2CH2COOH、あるいはその塩、アミド、エステルまたはアシルヒドラゾンであり、そして各R1およびR2がカルボアルコキシ(2-6C)である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記光増感剤が以下の式を有するBPD-MAである、請求項3に記載の方法:
    Figure 0003782112
    ここで、はアルキルである。
  5. 前記二糖類または多糖類が、ラクトースまたはトレハロースから選択され;および/または前記リン脂質の混合物に対する二糖類または多糖類の濃度比が10−20〜0.5−6.0である、請求項2に記載の方法。
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