JP3780585B2 - ディジタル信号記録再生装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタル信号記録再生装置、特に、再生信号のレベルの変動がデータ検出の基準値に与える影響を除去し、それによってデータ検出の信頼性を向上することが可能なディジタル信号記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
データ記録媒体の一つである光磁気ディスクへのデータの記録方法の一つとして、磁界変調方式が知られている。これは、レーザビームを照射すると共に、磁界を印加することによって、キューリ点以上となった時に印加されている磁界の方向で磁化される。また、データを読出す時には、所定偏波面のレーザビームを照射し、その反射光をP波成分およびS波成分に分解し、受光する。P波成分およびS波成分は、磁化極性に応じて相補的に強度が変化し、P波成分およびS波成分の受光結果を減算することによって、レーザビームの照射位置の磁化極性に応じて信号レベルが変化する再生信号(差信号、MO信号と称される)が得られる。
【0003】
光磁気ディスクは、ポリカーボネート等の基板上に垂直磁化膜を形成する構造を有している。光ディスクの成形時において膜厚にばらつきが生じることにより、基板の各部で複屈折の大きさが変化する。基板の複屈折の大きさは、ディスク上で一定ではなく、この複屈折の変動によって、P波成分およびS波成分の強度が変化する。その結果、再生信号のレベル変動が生じる問題があった。
【0004】
また、光磁気ディスク装置の一つとして、パーシャル・レスポンス方式を適用して、ディジタルデータを記録し、再生データに対してビタビ復号を適用することによって、データの記録密度を高くし、また、エラーレートを改善するようにしたものが知られている。ビタビ復号回路に対して入力される再生信号の直流レベルが上述したような複屈折によって変動すると、再生データの検出の誤差が増加する。従って、パーシャル・レスポンス方式およびビタビ復号を使用する光ディスク再生装置では、レベル変動をより強力に抑える必要がある。
【0005】
光磁気ディスクの再生回路では、セクタ毎に設けられたリファレンスエリアの信号によって、データのレベル検出のスレッショルドを設定するものが提案されている。しかしながら、リファレンスエリアは、セクタ毎に設けられているので、上述した複屈折の変動に伴う直流変動を除去するのが不充分であった。そこで、セクタを構成する複数のセグメントのそれぞれの先頭にクランプ用エリア(プリライトエリアPR)を設け、このエリアに`0' のデータを記録し、このプリライトエリアの再生信号のローレベル‘L’が一定となるように、再生信号をクランプする方式が提案されている。このセグメント毎のプリライトエリアを使用してレベル制御を行う方式は、リファレンスエリアを使用したレベル制御と併用される。
【0006】
リファレンスエリアの信号によって、レベル検出のスレッショルドを設定する技術について図12を参照して説明する。図12は、光磁気ディスクの記録フォーマットの一例を示す。1セクタが複数のセグメントから構成され、各セグメントの先頭には、斜線領域で示すように、サーボエリアが設けられている。また、1セクタ中の例えば一つのセグメントがリファレンスエリアに割り当てられ、他の一つのセグメントがアドレスセグメントに割り当てられ、残りのセグメントがデータセグメントに割り当てられる。サーボエリアおよびアドレスセグメントには、エンボス加工等によって、予めピットが形成されている。サーボエリアには、トラッキング制御およびクロック抽出のためのピットが形成される。アドレスセグメントには、セクタアドレス等のアドレスを示すピットが形成される。データセグメントに対して、データが記録される。
【0007】
リファレンスエリアには、位相合わせ用のデータとレベル検出用のデータが記録される。位相合わせ用のデータは、`0' および`1' のデータが2ビットずつ連続するデータが形成される。この位相合わせ用のデータを基準として再生時にクロックの位相ずれを補正するようにしている。レベル検出用のデータは、`0' および`1' のデータが所定ビット数連続するデータである。このレベル検出用のデータの再生結果を基準としてデータ検出時のスレッショルドが設定される。
【0008】
レベル検出用のデータを再生すると、`0' のビットと対応して所定期間ローレベルとなり、次に、`1' に対応して所定期間ハイレベルとなる再生信号が得られる。この再生信号が位相合わせ用のデータに基づいて形成されたサンプリングパルスによってサンプリングされ、信号レベルL1、L2、L3、L4、H1、H2、H3、H4が検出される。この検出レベルから次式の演算がなされる。
【0009】
AVLOW=(L1+L2+L3+L4)/4 ・・・(1)
AVHIGH=(H1+H2+H3+H4)/4 ・・・(2)
S=(AVHIGH−AVLOW)/2 ・・・(3)
CEN=(AVHIGH+AVLOW)/2 ・・・(4)
Yk=(RFk−CEN) ・・・(5)
【0010】
上述の演算によって、再生信号のローレベルAVLOW、再生信号のハイレベルAVHIGH、再生信号の平均振幅S、再生信号のセンターレベルCEN、再生信号の振幅値Ykが求められる。これらの値を基準として再生信号のデータ検出がなされる。例えばNRZIでデータを記録している場合では、上述した値を使用して3値化がなされ、そして、ビタビ復号がなされる。従って、これらの値が複屈折の変化に起因した直流変動に影響されないことが必要とされる。
【0011】
リファレンスエリアにおいて、上述したように、復調に必要なレベルを検出し、スレッショルドを設定しても、その後に直流変動が生じるので、その対策として、各セグメントにクランプ用エリア(プリライトエリア)を設けるものが提案されている。ディジタルクランプ回路の構成が特開平7−21615号公報に開示され、ディスク上のディフェクトに影響されずに直流レベルを検出するように考慮されたアナログクランプ回路の構成が特開平7−320402号公報、特開平7−334928号公報、特開平7−334929号公報に開示されている。
【0012】
図13は、データセグメントの先頭に設けられているサーボエリアの構成の一例を拡大して示す。図13の例では、サーボエリアが24SCK(SCKは、サーボエリアの読取り信号に基づいて生成されたサーボクロックを意味する)長さとされている。サーボクロックにより規定される位置を第1、第2、第3、・・・・、第24の位置で表すと、第3の位置から第7の位置を利用してセグメントマークが形成され、第11および第12の位置にマーク1が形成され、第16および第17の位置にマーク2が形成される。これらのマーク1およびマーク2をトラックマークと称する。
【0013】
マーク1は、トラックセンターに対してディスク径方向の一の方向(例えば内側)に1/4・Tp(Tp:トラックピッチ)ずれた場所にエンボス加工により形成され、マーク2は、トラックセンターに対してディスク径方向の他の方向(例えば外側)に1/4・Tp(Tp:トラックピッチ)ずれた場所にエンボス加工により形成される。これらのマーク1およびマーク2がウォブリングピットである。レーザビームがこれらのマークを横切った時の再生信号のレベルが等しくなるように、レーザビームの読み取り位置を制御することによって、読み取り位置をトラックセンターに一致させることができる。
【0014】
また、1フレームが複数のセグメント例えば14セグメントからなり、14セグメント中の1個のセグメントがアドレスデータが予め記録されているアドレスセグメントとされ、他の13個のセグメントがデータ記録可能なデータセグメントとされる。そして、1セクタは、所定のサイズ例えば2Kバイトのサイズとされ、1セクタが複数のアドレスセグメントおよびデータセグメントにより構成される。セグメントマークは、セグメントの種類の識別と、データセグメントがセクタの先頭の場合、データセグメントがセクタの最後の場合、それ以外の場合とを識別するために設けられている。
【0015】
さらに、サーボエリアの前にデータセグメントのポストライトエリアPO(4DCK)が位置し、サーボエリアの後に、そのデータセグメントのプリライトエリアPR(12DCK)が位置している。プリライトエリアPRには、上述した文献に記載のように、`0' のデータが記録される。ポストライトエリアPOまでは、データクロックDCKを基準として、データが記録され、サーボエリアでは、サーボクロックSCKを基準として、予めピットが形成され、プリライトエリアPRより後では、データクロックDCKを基準として、データが記録される。なお、グルーブは、データ記録可能なエリアにおいて、トラックと平行して設けられている。
【0016】
図13には、サーボエリアの再生RF信号も示されている。プリライトエリアPRに相当する再生RF信号は、ローレベル‘L’となり、このローレベル‘L’の期間でクランプパルスCLM1が発生し、アナログ回路またはディジタル回路で構成されたクランプ回路によって、ローレベル‘L’が一定となるように、クランプ動作がなされる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、先に提案されているセグメント毎のクランプは、再生信号のローレベルが一定となるようにクランプするものであった。その結果、1セクタの再生信号のローレベル‘L’の変動は、図14に示すように抑えることができる。さらに、図14において、1点鎖線で示すように、データ検出のためのスレッショルドは、リファレンスエリアにおいて設定された所定値Th0 に固定されている。しかしながら、ディスク媒体の複屈折の変動等によって、再生信号のゲインが変動する。正しくデータ検出を行うためには、スレッショルドも図14において破線で示すように、ゲイン変動に追従して変化すべきである。従って、先に提案されている方法では、データ検出にとって重要なスレッショルドを適切に設定できず、誤差が増加する問題があった。また、先に提案されているセグメント毎のクランプする方式では、セグメントの直流レベルを完全に一定とすることができず、図15に示すように、クランプ誤差が残る。このクランプ回路の特性上で残る誤差がそのままデータ検出の誤差に反映する問題があった。さらに、再生信号のゲイン変動がデータ検出あるいはビタビ復号に必要とされる基準値の設定に対して、悪影響を与える問題があった。
【0018】
従って、この発明の目的は、再生信号をクランプした後に残る基準値の誤差がデータ検出に与える影響が低減されたディジタル信号記録再生装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセグメントによりセクタが構成され、セグメントにそれぞれクランプ用エリアが設けられ、セクタ毎にリファレンスエリアが設けられたデータ構成を有するようにされたディジタル信号記録再生装置において、
記録媒体からデータを読み取る読取り手段と、
読み取り手段から再生信号が供給され、リファレンスエリアの再生信号のハイレベルとローレベルの平均値をスレッショルドの設定値とし、クランプ用エリアに記録されている、データクロックに同期してローレベルとハイレベルを交互に繰り返すデータの平均的なレベルを、セクタ毎にスレッショルドの設定値にクランプするクランプ手段と、
クランプ手段によりクランプされた再生信号を受け取り、セグメント毎にスレッショルドおよびゲインの値を補正する補正手段を有し、補正手段により補正された再生信号からデータを検出するデータ検出手段とを備え、
補正手段は、スレッショルドの設定値とセグメント毎に検出されたスレッショルドとのスレッショルド差分を検出すると共に、セクタ毎に検出されたゲイン設定値とセグメント毎に検出されたゲインとのゲイン差分を検出し、
セグメント毎のスレッショルドをスレッショルド差分で補正すると共に、セグメント毎のゲインをゲイン差分で補正することを特徴とするディジタル信号記録再生装置である。
【0020】
リファレンスエリアにおいて、ローレベルおよびハイレベルが検出され、これらの値の中間のスレッショルドに基づいてデータ検出がなされる。また、再生信号のゲインもデータ検出あるいはデータ復号に使用される。第1のデータ単位(セクタ)が複数の第2のデータ単位(セグメント)により構成されている。各セグメントのクランプ用エリアには、クランプ用の所定のデータが記録されている。クランプ手段は、各セグメントで、直流レベル変動を抑えるように、再生信号をクランプする。このクランプ後の再生信号において、スレッショルドおよびゲインの変動分がモニタされる。そして、変動分を設定されたスレッショルドおよびゲインに加算することによって、これらの値が補正される。従って、スレッショルドおよびゲインの変動がデータ検出に与える影響を除くことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。最初にこの一実施例における光ディスク媒体について説明する。光ディスクは、例えば3.5インチの径のMO(光磁気)ディスクであって、その一面に渦巻き状にトラックが形成されたものである。なお、この発明は、MOディスクに限らず、相変化型の光ディスク等の他の種類の光ディスクの記録再生装置に対しても適用でき、また、トラックが同心円状に形成されていても良い。さらに、この発明は、1枚の光ディスクの一面に記録可能なエリアおよび再生専用のエリアを独立に有する光ディスク、両面光ディスク等の記録再生装置に対しても適用できる。さらに、この発明は、ディスク状記録媒体に限らず、光磁気テープのような光学的に記録、再生が可能なテープ状記録媒体を使用する場合にも適用することができる。よりさらに、この発明は、磁気記録媒体を使用したディジタル信号記録再生装置に対しても適用することができる。
【0022】
この発明の一実施例におけるMOディスクは、サンプルサーボ方式のものである。すなわち、図示しないが、ディスク上では、トラックのそれぞれに、トラック方向において間欠的に且つディスク径方向において揃った位置に、アドレスセグメントおよびサーボエリアが設けられる。この一実施例では、1セクタのユーザデータの量が2Kバイト(2,048バイト)と規定されている。
【0023】
図1は、この一実施例においてディスク上に記録されるデータの物理的なデータ構造の一例を示している。図1に示すように、1トラックが100フレーム(フレーム0〜フレーム99)で構成され、各フレームは、14個のセグメント(1個のアドレスセグメントと13個のデータセグメント)により構成される。従って、1フレームが1400セグメントである。各フレームの先頭がアドレスセグメントであり、残りの13個のセグメントがデータセグメントである。1トラックには、データセグメント0〜データセグメント1299の1300個のデータセグメントと、100個のアドレスセグメントとが含まれる。
【0024】
アドレスセグメントは、サーボクロックSCKを基準として、216SCKの長さのものである。セグメントの先頭にサーボエリア(24SCK)が位置し、次の10SCKがブランクとされ、その次の84SCKがアドレスのエリアとされ、アドレスセグメントの最後に、ALPC(Automatic Laser Power Control) エリア(98SCK)が設けられている。アドレスセグメントは、エンボス加工等により予めディスク上に形成されている。ALPCエリアは、読み取りレーザパワーを所定のものに制御するために使用される。
【0025】
データセグメントも、アドレスセグメントと同じ長さ(216SCK)とされており、エンボス加工等で形成されたサーボエリア(24SCK)が先頭に位置している。サーボエリアの後に、データクロックをDCKで表すと、12DCKの長さのプリライトエリアPRと、データエリアと、4DCKの長さのポストライトエリアPOとが配されている。
【0026】
プリライトエリアPRは、ディスクがデータ記録に対して安定な温度となるように予熱するのに必要な距離を確保すると共に、複屈折などによるDC変動を抑えるクランプ用エリアとして機能する。ポストライトエリアPOは、オーバーライト時において、記録されていたデータの消し残りを無くすと共に、グルーブのエッジによって生じるデータの干渉を避ける距離を確保するために設けられている。なお、このグルーブは、トラッキング制御用のものではなく、ディスク成形上の悪影響を軽減するためのもので、例えばλ/8(λ:レーザの波長)の深さとされる。
【0027】
図2は、セクタフォーマットを示す。各セクタのデータとしては、2,048バイトのユーザデータと、エラー訂正符号の冗長コード(256バイト)と、エラー検出用のCRCコード(8バイト)と、ユーザデファインドデータ(40バイト)との合計2,352バイトが含まれる。そして、データエリアの前に、アドレスセグメントと66バイトのリファレンスデータが付加され、1セクタが2,418バイトのサイズとされている。
【0028】
リファレンスデータは、その再生RF信号の波形を示すように、4バイト分の8Tパターンと、12バイト分の2Tパターンを4回繰り返し、さらに検出された情報を設定するための余裕分として2バイトのオール`0' のパターンとからなる。このリファレンスデータは、ユーザデータと同様に、記録される。2Tパターンは、記録パワー変動等による直流的なピット位置のずれを再生時に補正するために用いられる。8Tパターンは、再生信号の3値検出の時のスレッショルドを設定するために用いられる。
【0029】
図3を参照して、例えばデータセグメントに設けられたサーボエリアについて説明する。上述したように、サーボエリアは、24SCKの長さを有する。サーボエリアの前にデータセグメントのポストライトエリアPO(4DCK)が位置し、サーボエリアの後に、そのデータセグメントのプリライトエリアPR(12DCK)が位置している。ポストライトエリアPOまでは、データクロックDCKを基準として、データが記録され、サーボエリアでは、サーボクロックSCKを基準として、予めピットが形成され、プリライトエリアPRより後では、データクロックDCKを基準として、データが記録される。なお、グルーブは、データ記録可能なエリアにおいて、トラックと平行して設けられている。
【0030】
アドレスセグメントおよびデータセグメントは、同一のサーボエリアの構成を有している。すなわち、サーボエリア内の位置をサーボクロックSCKに基づいて第1の位置〜第24の位置と規定する時に、第3の位置から第7の位置にセグメントマークが記録され、第11および第12の位置にマーク1が記録され、第16および第17の位置にマーク2が記録される。これらのマーク1およびマーク2は、トラックマークを形成する。トラックマークは、トラッキングエラーの検出とクロック再生のために使用される。また、セグメントマークは、アドレスセグメントとデータセグメントを区別し、また、セクタの先頭、セクタの最後、その他のデータセグメントを区別する。
【0031】
マーク1およびマーク2の長さが2サーボクロック分としているのは、ピットの形成されていないミラー部分を少なくすることによって、ディスク成形時にゴーストピットが発生し難くするためであり、また、ピットと対応して再生RF信号を安定に得るためである。しかも、マーク1およびマーク2の間隔を所定間隔例えば5SCK以上離すことによって、各ピットと対応する再生RF信号間の干渉を小さくすることができる。
【0032】
先に提案されているセグメント毎のクランプを行う方式では、図13に示すように、プリライトエリアPRに`0' のデータを記録するのに対して、この発明の一実施例では、プリライトエリアPRにデータクロックに同期して`0' と`1' とが交互に繰り返す、12ビットのパターンのデータ(010101010101)を記録する。従って、このプリライトエリアPRを読み取った時に得られる再生信号は、略正弦波状のものとなる。実際の装置では、再生時の周波数帯域の制限によって、図示したような正弦波と異なって、直流に近い非常に低い周波数の再生信号が発生する場合もある。
【0033】
プリライトエリアPRのデータが`0' と`1' を繰り返すパターンとされているので、後述するクランプ回路によってその平均的なレベルを一定とすることができる。平均的なレベルは、レベル検出用のスレッショルドThである。セグメント毎のクランプ回路では、プリライトエリアPRの再生信号をサンプルホールドする。そのためのサンプリングパルスCLM1は、S/Nを良くするために、2DCK以上のパルス幅が好ましい。図3の例では、4DCKの幅のサンプリングパルスが示されている。
【0034】
プリライトエリアPRの再生信号に基づいてなされるクランプ処理の後では、1セクタ内のリファレンスエリアで設定されたスレッショルドの設定値をTh0 で表すと、図4に示すように、ゲイン変動によって再生信号のハイレベル‘H’およびローレベル‘L’がこのスレッショルドTh0 を中心として変化する。このように、プリライトエリアPRのデータパターンとして、その平均値がハイレベル‘H’とローレベル‘L’との中間になるものを記録すれば、ゲイン変動に影響されずに、レベル検出用のスレッショルドを適切に設定することが可能となる。なお、プリライトエリアPRに記録するデータのパターンとしては、上述した`0' と`1' とを繰り返すパターンに限定されないが、データパターンの変形については、後述する。
【0035】
図5は、MOディスクに対してこの発明を適用した場合の光ディスク装置の構成を示す。図5において、1が上述したフォーマットを有する光ディスクである。光ディスク1は、スピンドルモータ2およびスピンドル制御部3によって、一定の回転速度(例えば2400rpm )で回転される。光ディスク1に対して、光ピックアップ4からのレーザ光が照射される。光ピックアップ4は、図示しないが、レーザ源、対物レンズ、ビームスプリッタ等の光学系、光ディスク1で反射された光を検出するディテクタ等からなる。レーザ源からのレーザ光は、レーザ制御部5によってその光量が制御される。また、記録時では、レーザ光がパルス発光される。
【0036】
この一実施例は、光ディスク1がMOディスクであり、磁界変調方式を採用しているので、磁気ヘッド6が設けられ、磁気ヘッド6を駆動するマグネットドライバ7に対して記録データが供給される。記録データは、データエンコーダ9により生成される。外部のホストコンピュータ10からインターフェース例えばSCSIを介して転送されたデータがコントローラ9を介してデータエンコーダ8に供給される。コントローラ9には、ホストコンピュータ10からライト、リード等のコマンドも供給される。そして、磁気ヘッド6によって記録データがNRZI方式でもって記録される。なお、この一実施例は、NRZI方式を採用しており、これは、パーシャル・レスポンス方式のクラスIVのPR(1,−1)に対応する。NRZI方式の場合では、再生データが(1,0,−1)の3値をとる。そして、再生側では、ビタビ復号を適用することによってエラーの訂正を可能としている。
【0037】
なお、ディジタル信号をMOディスクに対して記録する方法としては、光変調方式、磁界変調方式がある。光変調方式は、一定方向に外部磁界を印加した状態で、レーザ光を記録データで変調する方式である。磁界変調方式としては、一定の光量のレーザ光を照射した状態で、外部磁界を記録データで変調する単純磁界変調方式と、記録データにより磁界を変調すると共に、レーザ光をパルス発光させる、レーザストローブ磁界変調方式とがある。この発明の一実施例は、レーザストローブ磁界変調方式であるが、この発明は、これらの何れの記録方法も使用することができる。
【0038】
光ピックアップ4による読み取り位置は、径方向に変位可能とされている。具体的には、径方向の大きな変位を受け持つ粗調整手段と、小さな変位を受け持つ微調整手段とがある。リニアモータ等によって、粗調整手段が構成され、回動ミラー、可動対物レンズ等によって、微調整手段(トラッキング手段)が構成される。また、光ピックアップ4の位置を固定し、光ディスク1を変位させるようにしたトラッキング手段も採用しても良い。さらに、光ピックアップ4からのレーザ光が正しくディスク上にフォーカスするように、光ディスク1と光ピックアップ4間の対向距離を調整するフォーカス手段も設けられている。
【0039】
光ディスク1が図示しないローディング機構により装着されると、スピンドルモータ2による回転駆動が開始し、光ディスク1が規定の回転速度に達すると、光ピックアップ4が光ディスク1の内周側あるいは外周側のGCPエリアを読み取るように、読み取り位置が制御される。このGCPエリアにおいて、フォーカスの引込みがなされ、その後、記録あるいは再生動作がなされる。
【0040】
光ピックアップ4のディテクタにより検出された再生RF信号がI−V変換およびマトリクス演算部11に供給される。ディテクタの出力信号が電流として発生するので、I−V変換により電圧出力が形成される。さらに、マトリクス演算を行うことによって、和信号(RF信号とも呼ばれる)RFs、差信号(MO信号とも呼ばれる)RFd、フォーカスエラー信号FE等が生成される。フォーカスエラー信号FEがサーボコントロール部12に供給される。サーボコントロール部12は、レーザ光のフォーカスを適切なものとするために、光ピックアップ4内のフォーカス手段を駆動する信号を発生する。
【0041】
和信号RFsは、クランプ回路13を介してA/D変換器14に供給され、A/D変換器14の出力信号がPLL部15に供給される。PLL部15は、サーボエリア内のトラックマークの再生信号に同期したサーボクロックSCKと、記録データと同期したデータクロックDCKとを生成する。サーボクロックSCKおよびデータクロックDCKがタイミング生成部22に供給される。また、サーボクロックSCKがA/D変換器14に対してサンプリングクロックとして供給される。
【0042】
差信号RFdがクランプ回路16を介してA/D変換器17に供給される。A/D変換器17のサンプリングクロックとして、データクロックDCKが供給され、A/D変換器17の出力信号がデータ検出部18に供給される。データ検出部18には、タイミング生成部22からデータ同期信号DSYが供給される。データ検出部18では、ディジタルイコライザによる波形等化処理がなされ、再生信号の3値化がされ、ビタビ復号によって検出信号の誤りが訂正される。さらに、データ検出部18では、ディジタル変調の復調がなされ、復調出力が2値化される。データ検出部18の出力に取り出された再生データがコントローラ9を通じてホストコンピュータ10に転送される。
【0043】
和信号RFsのディジタル出力がトラッキングエラー生成部23に対して供給される。トラッキングエラー生成部23に対してタイミング生成部22からのサンプリングパルスが供給される。トラッキングエラー生成部23は、サーボエリア内のトラックマーク(マーク1およびマーク2)の再生信号(和信号RFs)のレベルをサンプリングし、マーク1およびマーク2と対応する再生信号の振幅の差をトラッキングエラー信号TEして出力する。トラッキングエラー信号TEがサーボコントロール部12に供給される。サーボコントロール部12は、トラッキングエラー信号TEが0となるように、光ピックアップ4内のトラッキング手段を駆動するトラッキング駆動信号を発生する。
【0044】
クランプ回路16の構成の一例を図6に示す。クランプ回路13も同様の構成である。31は、差信号RFdが供給される入力端子を示し、32は、入力差信号RFdが供給されるバッファ回路である。バッファ回路32を介された再生信号が差動アンプ33の一方の入力端子に供給されると共に、破線で囲んで示すサンプルホールド回路34に供給される。
【0045】
サンプルホールド回路34は、スイッチ回路35と、スイッチ回路35の出力側と接地間に接続された抵抗36およびコンデンサ37の直列回路と、コンデンサ37の端子電圧を取り出すためのバッファ回路38とにより構成される。サンプルホールド回路34に対して、破線で囲んで示すサンプルホールド回路44が接続される。サンプルホールド回路44は、サンプルホールド回路34と同様に、スイッチ回路45、抵抗46およびコンデンサ47およびバッファ回路48により構成される。サンプルホールド回路44のバッファ回路48を介された出力信号が差動アンプ33の他方の入力端子に供給される。
【0046】
差動アンプ33の出力には、直流レベルの変動が抑えられた差信号が得られる。この差信号がA/D変換器17に供給され、A/D変換器17の出力信号が出力端子39に取り出される。上述したように、このA/D変換器17の出力信号がデータ検出部18に供給される。さらに、A/D変換器17の出力信号がディジタルコンパレータ40および平均値生成回路41に供給される。
【0047】
平均値生成回路41の出力がディジタルコンパレータ40の他方の入力として供給される。ディジタルコンパレータ40は、A/D変換器17からのサンプルデータの値と平均値との差を求め、その絶対値をしきい値と比較する構成とされている。差の絶対値がしきい値より小さい時には、`1' の比較出力を発生し、差の絶対値がしきい値以上の時には、`0' の比較出力を発生する。
【0048】
ディジタルコンパレータ40の出力がANDゲート42に対して、一方の入力として供給される。ANDゲート42の他方の入力には、タイミング生成部22で生成されたクランプパルスCLM2が供給される。ANDゲート42を通過したクランプパルスCLM2’によってスイッチ回路45が制御される。クランプパルスCLM2は、クランプ用エリアとしてのプリライトエリアPRを再生している期間内で発生し、例えば2クロック以上のパルス幅を有する。
【0049】
さらに、クランプパルスCLM2がDフリップフロップ43によって、データクロックDCKの1クロック分遅延される。クランプパルスCLM2を1クロック遅延することによって、クランプパルスCLM1が形成される。クランプパルスCLM1の例は、図3に示されている。このクランプパルスCLM1によってスイッチ回路35が制御される。また、クランプパルスCLM1が平均値生成回路41に供給され、A/D変換器17の出力信号の内で、クランプパルスCLM1と一致するタイミングのものを平均値生成回路41に取り込むようになされる。平均値生成回路41は、取り込まれた複数個のデータの平均値を生成する。
【0050】
上述したクランプ回路16の動作を図7のタイミングチャートを参照して説明する。光ディスク1に記録されているデータは、図7Aに示すように、データセグメントが連続するもので、各セグメントの先頭に斜線で示すように、サーボエリアが付加されている。セグメントとしては、アドレスセグメントの場合もある。このサーボエリア内にクランプ用エリアとしてのプリライトエリアPRが設けられている。説明の便宜上、図7に示されるプリライトエリアについて、n−3、n−2、n−1、n、n+1、n+2の番号付けを行う。図7は、n番目のプリライトエリア中に、ディフェクトが存在している場合のタイミングチャートである。ディフェクトは、ディスクに付いた傷、指紋等によって生じた再生信号のレベルの急激な変動を意味する。クランプ回路16は、クランプ動作に加えてディフェクトに対する対策も行うものである。
【0051】
クランプ回路16の入力端子31には、図7Bに示す差信号RFdが供給される。信号RFdは、直流レベルの変動を有し、また、ディフェクトに対応する急激なレベル変化DFを含む。図7Cに示すクランプパルスCLM1によってスイッチ回路35がオンするように制御され、図7Dに示すような出力信号をサンプルホールド回路34が発生する。ディフェクトによるレベル変化DFもサンプルホールドされるので、n番目のプリライトエリアの後に異常なレベルのサンプルホールド出力が発生している。
【0052】
ディジタルコンパレータ40では、平均値生成回路41の出力とA/D変換器17からのプリライトエリアの再生レベルとが比較される。平均値生成回路41では、連続する複数個例えば4個の再生レベルの平均値が生成される。例えばn−4番目、n−3番目、n−2番目、n−1番目のプリライトエリアの再生レベルの平均値が形成され、この平均値とn−1番目のプリライトエリアの再生レベルとがディジタルコンパレータ40において比較される。この二つの再生レベルの差がしきい値より小さいので、図7Eに示すように、`1' の比較出力が発生する。
【0053】
この比較出力がANDゲート42に供給されるので、ANDゲート42の出力にクランプパルスCLM2’が図7Fに示すように発生する。このクランプパルスCLM2’によりスイッチ回路45がオンする。従って、サンプルホールド回路34の出力がサンプルホールド回路44によってサンプルホールドされる。すなわち、サンプルホールド回路34の出力がサンプルホールド回路44に転送される。
【0054】
次のセグメントにおいては、n番目のプリライトエリアにディフェクトによる異常なレベルが存在する。ディジタルコンパレータ40では、異常なレベルとn−3番目、n−2番目、n−1番目、n番目のプリライトエリアの再生レベルの平均値との差がしきい値より大きくなる。その結果、図7Eに示すように、ディジタルコンパレータ40の比較出力が`0' となり、クランプパルスCLM2がANDゲート42により禁止され、図7Fに示すように、クランプパルスCLM2’が発生しない。従って、スイッチ回路45がオンとならず、サンプルホールド回路44の出力のレベルは、図7Gに示すように、ホールドされている以前のレベルである。
【0055】
このようにして、サンプルホールド回路44から差動アンプ33に対して供給されるサンプルホールド出力は、ディフェクトに影響されないものとなる。差動アンプ33に対して、図7Gに示すサンプルホールド回路44の出力が供給されることによって、差動アンプ33の出力には、図7Hに示すように直流レベルの変動が抑えられた差信号が得られる。
【0056】
前述したように、この発明の一実施例では、プリライトエリアPRのデータパターンとして、その平均値がハイレベル‘H’とローレベル‘L’との中間になるものを記録しているので、この中間のレベルの変動が抑えられた差信号をクランプ回路16から得ることができる。この中間のレベルは、レベル検出用のスレッショルドとして使用されるので、スレッショルドがゲイン変動の影響を受けることを防止することが可能となる(図4参照)。
【0057】
なお、この発明では、クランプ回路13および16の構成は、図6に示すものに限定されるものではない。例えばディフェクト対策は、必ずしも必要ではなく、一つのサンプルホールド回路を使用する構成も可能である。さらに、A/D変換された後で、クランプを行うディジタル回路の構成も使用できる。
【0058】
A/D変換器17に接続されるデータ検出部18では、上述したように、ディジタルイコライザによる波形等化処理がなされ、再生信号を3値化し、ビタビ復号によって検出信号の誤りが訂正され、また、ディジタル変調の復調がなされる。データ検出部18は、リファレンスエリアの再生信号の中心レベルをスレッショルドTh0 として設定する。リファレンスエリアは、図2に示したようにセクタ単位で配されている。セクタ内の直流レベルの変動は、上述したクランプ回路16によって、抑えるようになされている。
【0059】
しかしながら、セグメント毎のプリライトエリアの再生レベルに基づいてなされるクランプ動作によって、中心レベルと設定されたスレッショルドTh0 とを完全に一致させることは難しく、クランプの誤差が残る。また、クランプ回路16は、直流レベルの変動を抑えるものであって、ゲインの変動を補正することはできず、ゲイン変動がデータ検出あるいはビタビ復号の誤差を増加させる原因となる。これらの点を考慮して、この発明の一実施例では、データ検出部18においては、スレッショルドの補正とゲインの補正を行い、データ検出部18におけるビタビ復号を正しく行うようにしている。
【0060】
図8は、データ検出部18においてなされるスレッショルド補正およびゲイン補正の処理を示すフローチャートである。なお、フローチャートで表されるソフトウェア処理に限らず、ハードウエア、またはソフトウェアおよびハードウエアの組合せによって、スレッショルド補正およびゲイン補正を行うことも可能である。
【0061】
図8におけるステップST1において、セクタの再生動作が開始されることによって補正処理が開始する。次に、1セクタのリファレンスエリアにおいて、スレッショルドTh0 およびゲインG0 (平均振幅)が検出される(ステップST2)。これらの値は、リファレンスエリア内の8Tパターンに基づいて、従来と同様に検出できる。
【0062】
次に、セグメント番号iがインクリメントされ、各セグメントにおいて、スレッショルドの変動分ΔThi およびゲインの変動分ΔGi が検出される。図9Aは、再生信号(差信号)のエンベロープの変化を示している。図9では、簡単のため、1セクタがi=0〜iend の番号付けされた複数のセグメントにより構成され、セクタの先頭のセグメント(i=0)にリファレンスエリアが含まれ、各セグメントの先頭にプリライトエリアPR0 、PR1 、・・・・が位置する例が示されており、また、サーボエリアに対応する再生信号については無視されている。
【0063】
プリライトエリアPR0 、PR1 、・・・のデータに基づくクランプ動作によって、i=1より後のセグメントでは、スレッショルドがTh0 と一致するように制御される。i=1のセグメントでは、Th1 −Th0 =ΔTh1 の演算によってスレッショルドの変動分が検出され、G1 −G0 =ΔG1 の演算によってゲインの変動分が検出される。以下同様にして、スレッショルドの変動分ΔThi およびゲインの変動分ΔGi が各セグメントで検出される。図9Cは、スレッショルドの変動分ΔThi の一例を示している。
【0064】
図8のステップST4では、セグメント番号iとセクタの最終の番号iend に対して+1されたものと比較され、i<iend +1かどうかが決定される。若し、この関係が満たされない場合(すなわち、セグメント番号iがiend +1以上の場合)では、最終のセグメントまでの補正処理が完了しているので、セクタの再生動作が終了する(ステップST5)。
【0065】
ステップST4において、i<iend +1の関係が成立する場合では、処理がステップST6に移り、そのセグメントのデータ検出用のスレッショルドとゲインが決定される。ステップST6では、リファレンスエリアが含まれるセグメントの次の(i=1)のセグメントの処理と、(i>1)のセグメントの処理とがそれぞれなされる。すなわち、(i=1)の場合では、リファレンスエリアでスレッショルドTh0 およびゲインG0 を検出した直後であるため、これらの変動が充分に小さいとみなして、そのセグメントのスレッショルドTh1 およびゲインG1 をそれぞれTh0 およびゲインG0 と等しいものとする。
【0066】
ステップST6において、(i>1)の関係を満たすi番目のセグメントでは、次式に従ってスレッショルドおよびゲインが補正される。
Thi ’=Th0 +ΔThi /n ・・・(6)
Gi ’=G0 +ΔGi /n ・・・(7)
これらの式で、1/nは、ノイズの影響を低減するために、オフセットの実際の値をより小さくするための係数である。この係数は、再生信号のS/N等を考慮して適宜設定される。
【0067】
このように補正されたスレッショルドThi ’およびゲインGi ’を使用して、データ検出部18において、i番目のセグメントのデータのデータ検出およびビタビ復号の処理がなされる。なお、データ検出部18は、再生信号の直流レベルおよびゲインを実際に補正するのではなく、データ検出あるいはビタビ復号の基準値としてのスレッショルドおよびゲインを補正する。若し、再生信号の直流レベルおよびゲインを補正したと仮定すると、図9Dに示すように、再生信号が補正される。この図9Dから分かるように、各セグメントの補正後のスレッショルドTh1 ’、Th2 ’、・・・およびゲインG1 ’、G2 ’、・・・・は、リファレンスエリアで設定された値Th0 およびG0 との誤差がより小さいものとなる。
【0068】
上述した一実施例では、プリライトエリアPRに記録するデータのパターンを(010101010101)としている。データパターンの他の例を図10に示す。この他の例では、1セクタ内のセグメントの順番において、奇数番目のセグメントに全て`0' のデータ(00・・0)を記録し、偶数番目のセグメントに全て`1' のデータ(11・・・1)を記録する。
【0069】
クランプ回路では、奇数番目のセグメントのプリライトエリアPRのデータに基づいて、再生された差信号のローレベル‘L’を一定にクランプする。また、奇数番目のセグメントにおいてローレベル‘L’がモニタされ、偶数番目のセグメントにおいてハイレベル‘H’がモニタされる。それによって、連続する二つのセグメントの単位に関して、(H+L)/2の演算によってスレッショルドThが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたTh0 との差(スレッショルドの変動分)ΔThが検出される。さらに、(H−L)/2の演算によって、連続する二つのセグメントの単位に関して、ゲインGが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたG0 との差(ゲインの変動分)ΔGが検出される。これらの変動分によって、上述したのと同様にスレッショルドおよびゲインが補正される。
【0070】
図11は、プリライトエリアPRのデータパターンのさらに他の例を示す。各セグメントのプリライトエリアPRには、前半に`0' のデータが記録され、後半に`1' のデータが記録される。従って、プリライトエリアPRには、(000000111111)のパターンのデータが記録される。
【0071】
クランプ回路では、各セグメントの前半の`0' のデータを使用して再生された差信号のローレベルを一定にクランプする。また、各セグメントにおいて、ローレベル‘L’およびハイレベル‘H’がモニタされる。それによって、各セグメントの単位に関して、(H+L)/2の演算によってスレッショルドThが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたTh0 との差(スレッショルドの変動分)ΔThが検出される。さらに、(H−L)/2の演算によって、連続する二つのセグメントの単位に関して、ゲインGが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたG0 との差(ゲインの変動分)ΔGが検出される。これらの変動分によって、上述したのと同様にスレッショルドおよびゲインが補正される。
【0072】
なお、プリライトエリアPRに記録するデータパターンとしては、上述した例に限らず、データ検出方式に適応したものを採用することができる。
【0073】
【発明の効果】
この発明では、セクタ内のリファレンスエリアにおいて、データ検出用のスレッショルドを検出し、セクタ内の各セグメントに設けられたプリライトエリアPRのデータを使用して直流分の変動を補正する場合に、プリライトエリアPRにローレベルとハイレベルの値を検出することが可能なデータパターンを記録しているので、クランプ後に残るスレッショルドの誤差をモニタし、その誤差を除去することが可能となる。また、データ検出あるいはビタビ復号に必要なゲインの誤差も除去することができる。従って、この発明は、ビタビ復号において発生する誤差を少なくすることができる。この発明によれば、光磁気ディスクの場合であれば、複屈折の許容範囲を拡げることができ、光磁気ディスクの歩留りを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例におけるデータ構造を説明するための略線図である。
【図2】この発明の一実施例におけるセクタ構造およびリファレンス信号の説明に用いる略線図である。
【図3】この発明の一実施例におけるサーボエリアの構成を拡大して示す略線図である。
【図4】この発明の一実施例におけるクランプ動作の説明に用いる略線図である。
【図5】この発明が適用された光ディスク装置の一実施例のブロック図である。
【図6】この発明の一実施例におけるクランプ回路の一例のブロック図である。
【図7】この発明の一実施例におけるクランプ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】この発明の一実施例におけるスレッショルドおよびゲインの補正動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の一実施例におけるスレッショルドおよびゲインの補正動作を説明するための略線図である。
【図10】この発明におけるプリライトエリアのデータパターンの他の例を示す略線図である。
【図11】この発明におけるプリライトエリアのデータパターンのさらに他の例を示す略線図である。
【図12】先に提案されている光ディスク装置のリファレンスエリアのデータパターンとその再生信号の波形を示す略線図である。
【図13】先に提案されている光ディスク装置のサーボエリアの構成を拡大して示す略線図である。
【図14】先に提案されている光ディスク装置における問題点を説明するための略線図である。
【図15】先に提案されている光ディスク装置における問題点を説明するための略線図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、4・・・光ピックアップ、6・・・磁気ヘッド、13,16・・・クランプ回路、15・・・PLL部
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタル信号記録再生装置、特に、再生信号のレベルの変動がデータ検出の基準値に与える影響を除去し、それによってデータ検出の信頼性を向上することが可能なディジタル信号記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
データ記録媒体の一つである光磁気ディスクへのデータの記録方法の一つとして、磁界変調方式が知られている。これは、レーザビームを照射すると共に、磁界を印加することによって、キューリ点以上となった時に印加されている磁界の方向で磁化される。また、データを読出す時には、所定偏波面のレーザビームを照射し、その反射光をP波成分およびS波成分に分解し、受光する。P波成分およびS波成分は、磁化極性に応じて相補的に強度が変化し、P波成分およびS波成分の受光結果を減算することによって、レーザビームの照射位置の磁化極性に応じて信号レベルが変化する再生信号(差信号、MO信号と称される)が得られる。
【0003】
光磁気ディスクは、ポリカーボネート等の基板上に垂直磁化膜を形成する構造を有している。光ディスクの成形時において膜厚にばらつきが生じることにより、基板の各部で複屈折の大きさが変化する。基板の複屈折の大きさは、ディスク上で一定ではなく、この複屈折の変動によって、P波成分およびS波成分の強度が変化する。その結果、再生信号のレベル変動が生じる問題があった。
【0004】
また、光磁気ディスク装置の一つとして、パーシャル・レスポンス方式を適用して、ディジタルデータを記録し、再生データに対してビタビ復号を適用することによって、データの記録密度を高くし、また、エラーレートを改善するようにしたものが知られている。ビタビ復号回路に対して入力される再生信号の直流レベルが上述したような複屈折によって変動すると、再生データの検出の誤差が増加する。従って、パーシャル・レスポンス方式およびビタビ復号を使用する光ディスク再生装置では、レベル変動をより強力に抑える必要がある。
【0005】
光磁気ディスクの再生回路では、セクタ毎に設けられたリファレンスエリアの信号によって、データのレベル検出のスレッショルドを設定するものが提案されている。しかしながら、リファレンスエリアは、セクタ毎に設けられているので、上述した複屈折の変動に伴う直流変動を除去するのが不充分であった。そこで、セクタを構成する複数のセグメントのそれぞれの先頭にクランプ用エリア(プリライトエリアPR)を設け、このエリアに`0' のデータを記録し、このプリライトエリアの再生信号のローレベル‘L’が一定となるように、再生信号をクランプする方式が提案されている。このセグメント毎のプリライトエリアを使用してレベル制御を行う方式は、リファレンスエリアを使用したレベル制御と併用される。
【0006】
リファレンスエリアの信号によって、レベル検出のスレッショルドを設定する技術について図12を参照して説明する。図12は、光磁気ディスクの記録フォーマットの一例を示す。1セクタが複数のセグメントから構成され、各セグメントの先頭には、斜線領域で示すように、サーボエリアが設けられている。また、1セクタ中の例えば一つのセグメントがリファレンスエリアに割り当てられ、他の一つのセグメントがアドレスセグメントに割り当てられ、残りのセグメントがデータセグメントに割り当てられる。サーボエリアおよびアドレスセグメントには、エンボス加工等によって、予めピットが形成されている。サーボエリアには、トラッキング制御およびクロック抽出のためのピットが形成される。アドレスセグメントには、セクタアドレス等のアドレスを示すピットが形成される。データセグメントに対して、データが記録される。
【0007】
リファレンスエリアには、位相合わせ用のデータとレベル検出用のデータが記録される。位相合わせ用のデータは、`0' および`1' のデータが2ビットずつ連続するデータが形成される。この位相合わせ用のデータを基準として再生時にクロックの位相ずれを補正するようにしている。レベル検出用のデータは、`0' および`1' のデータが所定ビット数連続するデータである。このレベル検出用のデータの再生結果を基準としてデータ検出時のスレッショルドが設定される。
【0008】
レベル検出用のデータを再生すると、`0' のビットと対応して所定期間ローレベルとなり、次に、`1' に対応して所定期間ハイレベルとなる再生信号が得られる。この再生信号が位相合わせ用のデータに基づいて形成されたサンプリングパルスによってサンプリングされ、信号レベルL1、L2、L3、L4、H1、H2、H3、H4が検出される。この検出レベルから次式の演算がなされる。
【0009】
AVLOW=(L1+L2+L3+L4)/4 ・・・(1)
AVHIGH=(H1+H2+H3+H4)/4 ・・・(2)
S=(AVHIGH−AVLOW)/2 ・・・(3)
CEN=(AVHIGH+AVLOW)/2 ・・・(4)
Yk=(RFk−CEN) ・・・(5)
【0010】
上述の演算によって、再生信号のローレベルAVLOW、再生信号のハイレベルAVHIGH、再生信号の平均振幅S、再生信号のセンターレベルCEN、再生信号の振幅値Ykが求められる。これらの値を基準として再生信号のデータ検出がなされる。例えばNRZIでデータを記録している場合では、上述した値を使用して3値化がなされ、そして、ビタビ復号がなされる。従って、これらの値が複屈折の変化に起因した直流変動に影響されないことが必要とされる。
【0011】
リファレンスエリアにおいて、上述したように、復調に必要なレベルを検出し、スレッショルドを設定しても、その後に直流変動が生じるので、その対策として、各セグメントにクランプ用エリア(プリライトエリア)を設けるものが提案されている。ディジタルクランプ回路の構成が特開平7−21615号公報に開示され、ディスク上のディフェクトに影響されずに直流レベルを検出するように考慮されたアナログクランプ回路の構成が特開平7−320402号公報、特開平7−334928号公報、特開平7−334929号公報に開示されている。
【0012】
図13は、データセグメントの先頭に設けられているサーボエリアの構成の一例を拡大して示す。図13の例では、サーボエリアが24SCK(SCKは、サーボエリアの読取り信号に基づいて生成されたサーボクロックを意味する)長さとされている。サーボクロックにより規定される位置を第1、第2、第3、・・・・、第24の位置で表すと、第3の位置から第7の位置を利用してセグメントマークが形成され、第11および第12の位置にマーク1が形成され、第16および第17の位置にマーク2が形成される。これらのマーク1およびマーク2をトラックマークと称する。
【0013】
マーク1は、トラックセンターに対してディスク径方向の一の方向(例えば内側)に1/4・Tp(Tp:トラックピッチ)ずれた場所にエンボス加工により形成され、マーク2は、トラックセンターに対してディスク径方向の他の方向(例えば外側)に1/4・Tp(Tp:トラックピッチ)ずれた場所にエンボス加工により形成される。これらのマーク1およびマーク2がウォブリングピットである。レーザビームがこれらのマークを横切った時の再生信号のレベルが等しくなるように、レーザビームの読み取り位置を制御することによって、読み取り位置をトラックセンターに一致させることができる。
【0014】
また、1フレームが複数のセグメント例えば14セグメントからなり、14セグメント中の1個のセグメントがアドレスデータが予め記録されているアドレスセグメントとされ、他の13個のセグメントがデータ記録可能なデータセグメントとされる。そして、1セクタは、所定のサイズ例えば2Kバイトのサイズとされ、1セクタが複数のアドレスセグメントおよびデータセグメントにより構成される。セグメントマークは、セグメントの種類の識別と、データセグメントがセクタの先頭の場合、データセグメントがセクタの最後の場合、それ以外の場合とを識別するために設けられている。
【0015】
さらに、サーボエリアの前にデータセグメントのポストライトエリアPO(4DCK)が位置し、サーボエリアの後に、そのデータセグメントのプリライトエリアPR(12DCK)が位置している。プリライトエリアPRには、上述した文献に記載のように、`0' のデータが記録される。ポストライトエリアPOまでは、データクロックDCKを基準として、データが記録され、サーボエリアでは、サーボクロックSCKを基準として、予めピットが形成され、プリライトエリアPRより後では、データクロックDCKを基準として、データが記録される。なお、グルーブは、データ記録可能なエリアにおいて、トラックと平行して設けられている。
【0016】
図13には、サーボエリアの再生RF信号も示されている。プリライトエリアPRに相当する再生RF信号は、ローレベル‘L’となり、このローレベル‘L’の期間でクランプパルスCLM1が発生し、アナログ回路またはディジタル回路で構成されたクランプ回路によって、ローレベル‘L’が一定となるように、クランプ動作がなされる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、先に提案されているセグメント毎のクランプは、再生信号のローレベルが一定となるようにクランプするものであった。その結果、1セクタの再生信号のローレベル‘L’の変動は、図14に示すように抑えることができる。さらに、図14において、1点鎖線で示すように、データ検出のためのスレッショルドは、リファレンスエリアにおいて設定された所定値Th0 に固定されている。しかしながら、ディスク媒体の複屈折の変動等によって、再生信号のゲインが変動する。正しくデータ検出を行うためには、スレッショルドも図14において破線で示すように、ゲイン変動に追従して変化すべきである。従って、先に提案されている方法では、データ検出にとって重要なスレッショルドを適切に設定できず、誤差が増加する問題があった。また、先に提案されているセグメント毎のクランプする方式では、セグメントの直流レベルを完全に一定とすることができず、図15に示すように、クランプ誤差が残る。このクランプ回路の特性上で残る誤差がそのままデータ検出の誤差に反映する問題があった。さらに、再生信号のゲイン変動がデータ検出あるいはビタビ復号に必要とされる基準値の設定に対して、悪影響を与える問題があった。
【0018】
従って、この発明の目的は、再生信号をクランプした後に残る基準値の誤差がデータ検出に与える影響が低減されたディジタル信号記録再生装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセグメントによりセクタが構成され、セグメントにそれぞれクランプ用エリアが設けられ、セクタ毎にリファレンスエリアが設けられたデータ構成を有するようにされたディジタル信号記録再生装置において、
記録媒体からデータを読み取る読取り手段と、
読み取り手段から再生信号が供給され、リファレンスエリアの再生信号のハイレベルとローレベルの平均値をスレッショルドの設定値とし、クランプ用エリアに記録されている、データクロックに同期してローレベルとハイレベルを交互に繰り返すデータの平均的なレベルを、セクタ毎にスレッショルドの設定値にクランプするクランプ手段と、
クランプ手段によりクランプされた再生信号を受け取り、セグメント毎にスレッショルドおよびゲインの値を補正する補正手段を有し、補正手段により補正された再生信号からデータを検出するデータ検出手段とを備え、
補正手段は、スレッショルドの設定値とセグメント毎に検出されたスレッショルドとのスレッショルド差分を検出すると共に、セクタ毎に検出されたゲイン設定値とセグメント毎に検出されたゲインとのゲイン差分を検出し、
セグメント毎のスレッショルドをスレッショルド差分で補正すると共に、セグメント毎のゲインをゲイン差分で補正することを特徴とするディジタル信号記録再生装置である。
【0020】
リファレンスエリアにおいて、ローレベルおよびハイレベルが検出され、これらの値の中間のスレッショルドに基づいてデータ検出がなされる。また、再生信号のゲインもデータ検出あるいはデータ復号に使用される。第1のデータ単位(セクタ)が複数の第2のデータ単位(セグメント)により構成されている。各セグメントのクランプ用エリアには、クランプ用の所定のデータが記録されている。クランプ手段は、各セグメントで、直流レベル変動を抑えるように、再生信号をクランプする。このクランプ後の再生信号において、スレッショルドおよびゲインの変動分がモニタされる。そして、変動分を設定されたスレッショルドおよびゲインに加算することによって、これらの値が補正される。従って、スレッショルドおよびゲインの変動がデータ検出に与える影響を除くことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。最初にこの一実施例における光ディスク媒体について説明する。光ディスクは、例えば3.5インチの径のMO(光磁気)ディスクであって、その一面に渦巻き状にトラックが形成されたものである。なお、この発明は、MOディスクに限らず、相変化型の光ディスク等の他の種類の光ディスクの記録再生装置に対しても適用でき、また、トラックが同心円状に形成されていても良い。さらに、この発明は、1枚の光ディスクの一面に記録可能なエリアおよび再生専用のエリアを独立に有する光ディスク、両面光ディスク等の記録再生装置に対しても適用できる。さらに、この発明は、ディスク状記録媒体に限らず、光磁気テープのような光学的に記録、再生が可能なテープ状記録媒体を使用する場合にも適用することができる。よりさらに、この発明は、磁気記録媒体を使用したディジタル信号記録再生装置に対しても適用することができる。
【0022】
この発明の一実施例におけるMOディスクは、サンプルサーボ方式のものである。すなわち、図示しないが、ディスク上では、トラックのそれぞれに、トラック方向において間欠的に且つディスク径方向において揃った位置に、アドレスセグメントおよびサーボエリアが設けられる。この一実施例では、1セクタのユーザデータの量が2Kバイト(2,048バイト)と規定されている。
【0023】
図1は、この一実施例においてディスク上に記録されるデータの物理的なデータ構造の一例を示している。図1に示すように、1トラックが100フレーム(フレーム0〜フレーム99)で構成され、各フレームは、14個のセグメント(1個のアドレスセグメントと13個のデータセグメント)により構成される。従って、1フレームが1400セグメントである。各フレームの先頭がアドレスセグメントであり、残りの13個のセグメントがデータセグメントである。1トラックには、データセグメント0〜データセグメント1299の1300個のデータセグメントと、100個のアドレスセグメントとが含まれる。
【0024】
アドレスセグメントは、サーボクロックSCKを基準として、216SCKの長さのものである。セグメントの先頭にサーボエリア(24SCK)が位置し、次の10SCKがブランクとされ、その次の84SCKがアドレスのエリアとされ、アドレスセグメントの最後に、ALPC(Automatic Laser Power Control) エリア(98SCK)が設けられている。アドレスセグメントは、エンボス加工等により予めディスク上に形成されている。ALPCエリアは、読み取りレーザパワーを所定のものに制御するために使用される。
【0025】
データセグメントも、アドレスセグメントと同じ長さ(216SCK)とされており、エンボス加工等で形成されたサーボエリア(24SCK)が先頭に位置している。サーボエリアの後に、データクロックをDCKで表すと、12DCKの長さのプリライトエリアPRと、データエリアと、4DCKの長さのポストライトエリアPOとが配されている。
【0026】
プリライトエリアPRは、ディスクがデータ記録に対して安定な温度となるように予熱するのに必要な距離を確保すると共に、複屈折などによるDC変動を抑えるクランプ用エリアとして機能する。ポストライトエリアPOは、オーバーライト時において、記録されていたデータの消し残りを無くすと共に、グルーブのエッジによって生じるデータの干渉を避ける距離を確保するために設けられている。なお、このグルーブは、トラッキング制御用のものではなく、ディスク成形上の悪影響を軽減するためのもので、例えばλ/8(λ:レーザの波長)の深さとされる。
【0027】
図2は、セクタフォーマットを示す。各セクタのデータとしては、2,048バイトのユーザデータと、エラー訂正符号の冗長コード(256バイト)と、エラー検出用のCRCコード(8バイト)と、ユーザデファインドデータ(40バイト)との合計2,352バイトが含まれる。そして、データエリアの前に、アドレスセグメントと66バイトのリファレンスデータが付加され、1セクタが2,418バイトのサイズとされている。
【0028】
リファレンスデータは、その再生RF信号の波形を示すように、4バイト分の8Tパターンと、12バイト分の2Tパターンを4回繰り返し、さらに検出された情報を設定するための余裕分として2バイトのオール`0' のパターンとからなる。このリファレンスデータは、ユーザデータと同様に、記録される。2Tパターンは、記録パワー変動等による直流的なピット位置のずれを再生時に補正するために用いられる。8Tパターンは、再生信号の3値検出の時のスレッショルドを設定するために用いられる。
【0029】
図3を参照して、例えばデータセグメントに設けられたサーボエリアについて説明する。上述したように、サーボエリアは、24SCKの長さを有する。サーボエリアの前にデータセグメントのポストライトエリアPO(4DCK)が位置し、サーボエリアの後に、そのデータセグメントのプリライトエリアPR(12DCK)が位置している。ポストライトエリアPOまでは、データクロックDCKを基準として、データが記録され、サーボエリアでは、サーボクロックSCKを基準として、予めピットが形成され、プリライトエリアPRより後では、データクロックDCKを基準として、データが記録される。なお、グルーブは、データ記録可能なエリアにおいて、トラックと平行して設けられている。
【0030】
アドレスセグメントおよびデータセグメントは、同一のサーボエリアの構成を有している。すなわち、サーボエリア内の位置をサーボクロックSCKに基づいて第1の位置〜第24の位置と規定する時に、第3の位置から第7の位置にセグメントマークが記録され、第11および第12の位置にマーク1が記録され、第16および第17の位置にマーク2が記録される。これらのマーク1およびマーク2は、トラックマークを形成する。トラックマークは、トラッキングエラーの検出とクロック再生のために使用される。また、セグメントマークは、アドレスセグメントとデータセグメントを区別し、また、セクタの先頭、セクタの最後、その他のデータセグメントを区別する。
【0031】
マーク1およびマーク2の長さが2サーボクロック分としているのは、ピットの形成されていないミラー部分を少なくすることによって、ディスク成形時にゴーストピットが発生し難くするためであり、また、ピットと対応して再生RF信号を安定に得るためである。しかも、マーク1およびマーク2の間隔を所定間隔例えば5SCK以上離すことによって、各ピットと対応する再生RF信号間の干渉を小さくすることができる。
【0032】
先に提案されているセグメント毎のクランプを行う方式では、図13に示すように、プリライトエリアPRに`0' のデータを記録するのに対して、この発明の一実施例では、プリライトエリアPRにデータクロックに同期して`0' と`1' とが交互に繰り返す、12ビットのパターンのデータ(010101010101)を記録する。従って、このプリライトエリアPRを読み取った時に得られる再生信号は、略正弦波状のものとなる。実際の装置では、再生時の周波数帯域の制限によって、図示したような正弦波と異なって、直流に近い非常に低い周波数の再生信号が発生する場合もある。
【0033】
プリライトエリアPRのデータが`0' と`1' を繰り返すパターンとされているので、後述するクランプ回路によってその平均的なレベルを一定とすることができる。平均的なレベルは、レベル検出用のスレッショルドThである。セグメント毎のクランプ回路では、プリライトエリアPRの再生信号をサンプルホールドする。そのためのサンプリングパルスCLM1は、S/Nを良くするために、2DCK以上のパルス幅が好ましい。図3の例では、4DCKの幅のサンプリングパルスが示されている。
【0034】
プリライトエリアPRの再生信号に基づいてなされるクランプ処理の後では、1セクタ内のリファレンスエリアで設定されたスレッショルドの設定値をTh0 で表すと、図4に示すように、ゲイン変動によって再生信号のハイレベル‘H’およびローレベル‘L’がこのスレッショルドTh0 を中心として変化する。このように、プリライトエリアPRのデータパターンとして、その平均値がハイレベル‘H’とローレベル‘L’との中間になるものを記録すれば、ゲイン変動に影響されずに、レベル検出用のスレッショルドを適切に設定することが可能となる。なお、プリライトエリアPRに記録するデータのパターンとしては、上述した`0' と`1' とを繰り返すパターンに限定されないが、データパターンの変形については、後述する。
【0035】
図5は、MOディスクに対してこの発明を適用した場合の光ディスク装置の構成を示す。図5において、1が上述したフォーマットを有する光ディスクである。光ディスク1は、スピンドルモータ2およびスピンドル制御部3によって、一定の回転速度(例えば2400rpm )で回転される。光ディスク1に対して、光ピックアップ4からのレーザ光が照射される。光ピックアップ4は、図示しないが、レーザ源、対物レンズ、ビームスプリッタ等の光学系、光ディスク1で反射された光を検出するディテクタ等からなる。レーザ源からのレーザ光は、レーザ制御部5によってその光量が制御される。また、記録時では、レーザ光がパルス発光される。
【0036】
この一実施例は、光ディスク1がMOディスクであり、磁界変調方式を採用しているので、磁気ヘッド6が設けられ、磁気ヘッド6を駆動するマグネットドライバ7に対して記録データが供給される。記録データは、データエンコーダ9により生成される。外部のホストコンピュータ10からインターフェース例えばSCSIを介して転送されたデータがコントローラ9を介してデータエンコーダ8に供給される。コントローラ9には、ホストコンピュータ10からライト、リード等のコマンドも供給される。そして、磁気ヘッド6によって記録データがNRZI方式でもって記録される。なお、この一実施例は、NRZI方式を採用しており、これは、パーシャル・レスポンス方式のクラスIVのPR(1,−1)に対応する。NRZI方式の場合では、再生データが(1,0,−1)の3値をとる。そして、再生側では、ビタビ復号を適用することによってエラーの訂正を可能としている。
【0037】
なお、ディジタル信号をMOディスクに対して記録する方法としては、光変調方式、磁界変調方式がある。光変調方式は、一定方向に外部磁界を印加した状態で、レーザ光を記録データで変調する方式である。磁界変調方式としては、一定の光量のレーザ光を照射した状態で、外部磁界を記録データで変調する単純磁界変調方式と、記録データにより磁界を変調すると共に、レーザ光をパルス発光させる、レーザストローブ磁界変調方式とがある。この発明の一実施例は、レーザストローブ磁界変調方式であるが、この発明は、これらの何れの記録方法も使用することができる。
【0038】
光ピックアップ4による読み取り位置は、径方向に変位可能とされている。具体的には、径方向の大きな変位を受け持つ粗調整手段と、小さな変位を受け持つ微調整手段とがある。リニアモータ等によって、粗調整手段が構成され、回動ミラー、可動対物レンズ等によって、微調整手段(トラッキング手段)が構成される。また、光ピックアップ4の位置を固定し、光ディスク1を変位させるようにしたトラッキング手段も採用しても良い。さらに、光ピックアップ4からのレーザ光が正しくディスク上にフォーカスするように、光ディスク1と光ピックアップ4間の対向距離を調整するフォーカス手段も設けられている。
【0039】
光ディスク1が図示しないローディング機構により装着されると、スピンドルモータ2による回転駆動が開始し、光ディスク1が規定の回転速度に達すると、光ピックアップ4が光ディスク1の内周側あるいは外周側のGCPエリアを読み取るように、読み取り位置が制御される。このGCPエリアにおいて、フォーカスの引込みがなされ、その後、記録あるいは再生動作がなされる。
【0040】
光ピックアップ4のディテクタにより検出された再生RF信号がI−V変換およびマトリクス演算部11に供給される。ディテクタの出力信号が電流として発生するので、I−V変換により電圧出力が形成される。さらに、マトリクス演算を行うことによって、和信号(RF信号とも呼ばれる)RFs、差信号(MO信号とも呼ばれる)RFd、フォーカスエラー信号FE等が生成される。フォーカスエラー信号FEがサーボコントロール部12に供給される。サーボコントロール部12は、レーザ光のフォーカスを適切なものとするために、光ピックアップ4内のフォーカス手段を駆動する信号を発生する。
【0041】
和信号RFsは、クランプ回路13を介してA/D変換器14に供給され、A/D変換器14の出力信号がPLL部15に供給される。PLL部15は、サーボエリア内のトラックマークの再生信号に同期したサーボクロックSCKと、記録データと同期したデータクロックDCKとを生成する。サーボクロックSCKおよびデータクロックDCKがタイミング生成部22に供給される。また、サーボクロックSCKがA/D変換器14に対してサンプリングクロックとして供給される。
【0042】
差信号RFdがクランプ回路16を介してA/D変換器17に供給される。A/D変換器17のサンプリングクロックとして、データクロックDCKが供給され、A/D変換器17の出力信号がデータ検出部18に供給される。データ検出部18には、タイミング生成部22からデータ同期信号DSYが供給される。データ検出部18では、ディジタルイコライザによる波形等化処理がなされ、再生信号の3値化がされ、ビタビ復号によって検出信号の誤りが訂正される。さらに、データ検出部18では、ディジタル変調の復調がなされ、復調出力が2値化される。データ検出部18の出力に取り出された再生データがコントローラ9を通じてホストコンピュータ10に転送される。
【0043】
和信号RFsのディジタル出力がトラッキングエラー生成部23に対して供給される。トラッキングエラー生成部23に対してタイミング生成部22からのサンプリングパルスが供給される。トラッキングエラー生成部23は、サーボエリア内のトラックマーク(マーク1およびマーク2)の再生信号(和信号RFs)のレベルをサンプリングし、マーク1およびマーク2と対応する再生信号の振幅の差をトラッキングエラー信号TEして出力する。トラッキングエラー信号TEがサーボコントロール部12に供給される。サーボコントロール部12は、トラッキングエラー信号TEが0となるように、光ピックアップ4内のトラッキング手段を駆動するトラッキング駆動信号を発生する。
【0044】
クランプ回路16の構成の一例を図6に示す。クランプ回路13も同様の構成である。31は、差信号RFdが供給される入力端子を示し、32は、入力差信号RFdが供給されるバッファ回路である。バッファ回路32を介された再生信号が差動アンプ33の一方の入力端子に供給されると共に、破線で囲んで示すサンプルホールド回路34に供給される。
【0045】
サンプルホールド回路34は、スイッチ回路35と、スイッチ回路35の出力側と接地間に接続された抵抗36およびコンデンサ37の直列回路と、コンデンサ37の端子電圧を取り出すためのバッファ回路38とにより構成される。サンプルホールド回路34に対して、破線で囲んで示すサンプルホールド回路44が接続される。サンプルホールド回路44は、サンプルホールド回路34と同様に、スイッチ回路45、抵抗46およびコンデンサ47およびバッファ回路48により構成される。サンプルホールド回路44のバッファ回路48を介された出力信号が差動アンプ33の他方の入力端子に供給される。
【0046】
差動アンプ33の出力には、直流レベルの変動が抑えられた差信号が得られる。この差信号がA/D変換器17に供給され、A/D変換器17の出力信号が出力端子39に取り出される。上述したように、このA/D変換器17の出力信号がデータ検出部18に供給される。さらに、A/D変換器17の出力信号がディジタルコンパレータ40および平均値生成回路41に供給される。
【0047】
平均値生成回路41の出力がディジタルコンパレータ40の他方の入力として供給される。ディジタルコンパレータ40は、A/D変換器17からのサンプルデータの値と平均値との差を求め、その絶対値をしきい値と比較する構成とされている。差の絶対値がしきい値より小さい時には、`1' の比較出力を発生し、差の絶対値がしきい値以上の時には、`0' の比較出力を発生する。
【0048】
ディジタルコンパレータ40の出力がANDゲート42に対して、一方の入力として供給される。ANDゲート42の他方の入力には、タイミング生成部22で生成されたクランプパルスCLM2が供給される。ANDゲート42を通過したクランプパルスCLM2’によってスイッチ回路45が制御される。クランプパルスCLM2は、クランプ用エリアとしてのプリライトエリアPRを再生している期間内で発生し、例えば2クロック以上のパルス幅を有する。
【0049】
さらに、クランプパルスCLM2がDフリップフロップ43によって、データクロックDCKの1クロック分遅延される。クランプパルスCLM2を1クロック遅延することによって、クランプパルスCLM1が形成される。クランプパルスCLM1の例は、図3に示されている。このクランプパルスCLM1によってスイッチ回路35が制御される。また、クランプパルスCLM1が平均値生成回路41に供給され、A/D変換器17の出力信号の内で、クランプパルスCLM1と一致するタイミングのものを平均値生成回路41に取り込むようになされる。平均値生成回路41は、取り込まれた複数個のデータの平均値を生成する。
【0050】
上述したクランプ回路16の動作を図7のタイミングチャートを参照して説明する。光ディスク1に記録されているデータは、図7Aに示すように、データセグメントが連続するもので、各セグメントの先頭に斜線で示すように、サーボエリアが付加されている。セグメントとしては、アドレスセグメントの場合もある。このサーボエリア内にクランプ用エリアとしてのプリライトエリアPRが設けられている。説明の便宜上、図7に示されるプリライトエリアについて、n−3、n−2、n−1、n、n+1、n+2の番号付けを行う。図7は、n番目のプリライトエリア中に、ディフェクトが存在している場合のタイミングチャートである。ディフェクトは、ディスクに付いた傷、指紋等によって生じた再生信号のレベルの急激な変動を意味する。クランプ回路16は、クランプ動作に加えてディフェクトに対する対策も行うものである。
【0051】
クランプ回路16の入力端子31には、図7Bに示す差信号RFdが供給される。信号RFdは、直流レベルの変動を有し、また、ディフェクトに対応する急激なレベル変化DFを含む。図7Cに示すクランプパルスCLM1によってスイッチ回路35がオンするように制御され、図7Dに示すような出力信号をサンプルホールド回路34が発生する。ディフェクトによるレベル変化DFもサンプルホールドされるので、n番目のプリライトエリアの後に異常なレベルのサンプルホールド出力が発生している。
【0052】
ディジタルコンパレータ40では、平均値生成回路41の出力とA/D変換器17からのプリライトエリアの再生レベルとが比較される。平均値生成回路41では、連続する複数個例えば4個の再生レベルの平均値が生成される。例えばn−4番目、n−3番目、n−2番目、n−1番目のプリライトエリアの再生レベルの平均値が形成され、この平均値とn−1番目のプリライトエリアの再生レベルとがディジタルコンパレータ40において比較される。この二つの再生レベルの差がしきい値より小さいので、図7Eに示すように、`1' の比較出力が発生する。
【0053】
この比較出力がANDゲート42に供給されるので、ANDゲート42の出力にクランプパルスCLM2’が図7Fに示すように発生する。このクランプパルスCLM2’によりスイッチ回路45がオンする。従って、サンプルホールド回路34の出力がサンプルホールド回路44によってサンプルホールドされる。すなわち、サンプルホールド回路34の出力がサンプルホールド回路44に転送される。
【0054】
次のセグメントにおいては、n番目のプリライトエリアにディフェクトによる異常なレベルが存在する。ディジタルコンパレータ40では、異常なレベルとn−3番目、n−2番目、n−1番目、n番目のプリライトエリアの再生レベルの平均値との差がしきい値より大きくなる。その結果、図7Eに示すように、ディジタルコンパレータ40の比較出力が`0' となり、クランプパルスCLM2がANDゲート42により禁止され、図7Fに示すように、クランプパルスCLM2’が発生しない。従って、スイッチ回路45がオンとならず、サンプルホールド回路44の出力のレベルは、図7Gに示すように、ホールドされている以前のレベルである。
【0055】
このようにして、サンプルホールド回路44から差動アンプ33に対して供給されるサンプルホールド出力は、ディフェクトに影響されないものとなる。差動アンプ33に対して、図7Gに示すサンプルホールド回路44の出力が供給されることによって、差動アンプ33の出力には、図7Hに示すように直流レベルの変動が抑えられた差信号が得られる。
【0056】
前述したように、この発明の一実施例では、プリライトエリアPRのデータパターンとして、その平均値がハイレベル‘H’とローレベル‘L’との中間になるものを記録しているので、この中間のレベルの変動が抑えられた差信号をクランプ回路16から得ることができる。この中間のレベルは、レベル検出用のスレッショルドとして使用されるので、スレッショルドがゲイン変動の影響を受けることを防止することが可能となる(図4参照)。
【0057】
なお、この発明では、クランプ回路13および16の構成は、図6に示すものに限定されるものではない。例えばディフェクト対策は、必ずしも必要ではなく、一つのサンプルホールド回路を使用する構成も可能である。さらに、A/D変換された後で、クランプを行うディジタル回路の構成も使用できる。
【0058】
A/D変換器17に接続されるデータ検出部18では、上述したように、ディジタルイコライザによる波形等化処理がなされ、再生信号を3値化し、ビタビ復号によって検出信号の誤りが訂正され、また、ディジタル変調の復調がなされる。データ検出部18は、リファレンスエリアの再生信号の中心レベルをスレッショルドTh0 として設定する。リファレンスエリアは、図2に示したようにセクタ単位で配されている。セクタ内の直流レベルの変動は、上述したクランプ回路16によって、抑えるようになされている。
【0059】
しかしながら、セグメント毎のプリライトエリアの再生レベルに基づいてなされるクランプ動作によって、中心レベルと設定されたスレッショルドTh0 とを完全に一致させることは難しく、クランプの誤差が残る。また、クランプ回路16は、直流レベルの変動を抑えるものであって、ゲインの変動を補正することはできず、ゲイン変動がデータ検出あるいはビタビ復号の誤差を増加させる原因となる。これらの点を考慮して、この発明の一実施例では、データ検出部18においては、スレッショルドの補正とゲインの補正を行い、データ検出部18におけるビタビ復号を正しく行うようにしている。
【0060】
図8は、データ検出部18においてなされるスレッショルド補正およびゲイン補正の処理を示すフローチャートである。なお、フローチャートで表されるソフトウェア処理に限らず、ハードウエア、またはソフトウェアおよびハードウエアの組合せによって、スレッショルド補正およびゲイン補正を行うことも可能である。
【0061】
図8におけるステップST1において、セクタの再生動作が開始されることによって補正処理が開始する。次に、1セクタのリファレンスエリアにおいて、スレッショルドTh0 およびゲインG0 (平均振幅)が検出される(ステップST2)。これらの値は、リファレンスエリア内の8Tパターンに基づいて、従来と同様に検出できる。
【0062】
次に、セグメント番号iがインクリメントされ、各セグメントにおいて、スレッショルドの変動分ΔThi およびゲインの変動分ΔGi が検出される。図9Aは、再生信号(差信号)のエンベロープの変化を示している。図9では、簡単のため、1セクタがi=0〜iend の番号付けされた複数のセグメントにより構成され、セクタの先頭のセグメント(i=0)にリファレンスエリアが含まれ、各セグメントの先頭にプリライトエリアPR0 、PR1 、・・・・が位置する例が示されており、また、サーボエリアに対応する再生信号については無視されている。
【0063】
プリライトエリアPR0 、PR1 、・・・のデータに基づくクランプ動作によって、i=1より後のセグメントでは、スレッショルドがTh0 と一致するように制御される。i=1のセグメントでは、Th1 −Th0 =ΔTh1 の演算によってスレッショルドの変動分が検出され、G1 −G0 =ΔG1 の演算によってゲインの変動分が検出される。以下同様にして、スレッショルドの変動分ΔThi およびゲインの変動分ΔGi が各セグメントで検出される。図9Cは、スレッショルドの変動分ΔThi の一例を示している。
【0064】
図8のステップST4では、セグメント番号iとセクタの最終の番号iend に対して+1されたものと比較され、i<iend +1かどうかが決定される。若し、この関係が満たされない場合(すなわち、セグメント番号iがiend +1以上の場合)では、最終のセグメントまでの補正処理が完了しているので、セクタの再生動作が終了する(ステップST5)。
【0065】
ステップST4において、i<iend +1の関係が成立する場合では、処理がステップST6に移り、そのセグメントのデータ検出用のスレッショルドとゲインが決定される。ステップST6では、リファレンスエリアが含まれるセグメントの次の(i=1)のセグメントの処理と、(i>1)のセグメントの処理とがそれぞれなされる。すなわち、(i=1)の場合では、リファレンスエリアでスレッショルドTh0 およびゲインG0 を検出した直後であるため、これらの変動が充分に小さいとみなして、そのセグメントのスレッショルドTh1 およびゲインG1 をそれぞれTh0 およびゲインG0 と等しいものとする。
【0066】
ステップST6において、(i>1)の関係を満たすi番目のセグメントでは、次式に従ってスレッショルドおよびゲインが補正される。
Thi ’=Th0 +ΔThi /n ・・・(6)
Gi ’=G0 +ΔGi /n ・・・(7)
これらの式で、1/nは、ノイズの影響を低減するために、オフセットの実際の値をより小さくするための係数である。この係数は、再生信号のS/N等を考慮して適宜設定される。
【0067】
このように補正されたスレッショルドThi ’およびゲインGi ’を使用して、データ検出部18において、i番目のセグメントのデータのデータ検出およびビタビ復号の処理がなされる。なお、データ検出部18は、再生信号の直流レベルおよびゲインを実際に補正するのではなく、データ検出あるいはビタビ復号の基準値としてのスレッショルドおよびゲインを補正する。若し、再生信号の直流レベルおよびゲインを補正したと仮定すると、図9Dに示すように、再生信号が補正される。この図9Dから分かるように、各セグメントの補正後のスレッショルドTh1 ’、Th2 ’、・・・およびゲインG1 ’、G2 ’、・・・・は、リファレンスエリアで設定された値Th0 およびG0 との誤差がより小さいものとなる。
【0068】
上述した一実施例では、プリライトエリアPRに記録するデータのパターンを(010101010101)としている。データパターンの他の例を図10に示す。この他の例では、1セクタ内のセグメントの順番において、奇数番目のセグメントに全て`0' のデータ(00・・0)を記録し、偶数番目のセグメントに全て`1' のデータ(11・・・1)を記録する。
【0069】
クランプ回路では、奇数番目のセグメントのプリライトエリアPRのデータに基づいて、再生された差信号のローレベル‘L’を一定にクランプする。また、奇数番目のセグメントにおいてローレベル‘L’がモニタされ、偶数番目のセグメントにおいてハイレベル‘H’がモニタされる。それによって、連続する二つのセグメントの単位に関して、(H+L)/2の演算によってスレッショルドThが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたTh0 との差(スレッショルドの変動分)ΔThが検出される。さらに、(H−L)/2の演算によって、連続する二つのセグメントの単位に関して、ゲインGが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたG0 との差(ゲインの変動分)ΔGが検出される。これらの変動分によって、上述したのと同様にスレッショルドおよびゲインが補正される。
【0070】
図11は、プリライトエリアPRのデータパターンのさらに他の例を示す。各セグメントのプリライトエリアPRには、前半に`0' のデータが記録され、後半に`1' のデータが記録される。従って、プリライトエリアPRには、(000000111111)のパターンのデータが記録される。
【0071】
クランプ回路では、各セグメントの前半の`0' のデータを使用して再生された差信号のローレベルを一定にクランプする。また、各セグメントにおいて、ローレベル‘L’およびハイレベル‘H’がモニタされる。それによって、各セグメントの単位に関して、(H+L)/2の演算によってスレッショルドThが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたTh0 との差(スレッショルドの変動分)ΔThが検出される。さらに、(H−L)/2の演算によって、連続する二つのセグメントの単位に関して、ゲインGが求められ、この値とリファレンスエリアで設定されたG0 との差(ゲインの変動分)ΔGが検出される。これらの変動分によって、上述したのと同様にスレッショルドおよびゲインが補正される。
【0072】
なお、プリライトエリアPRに記録するデータパターンとしては、上述した例に限らず、データ検出方式に適応したものを採用することができる。
【0073】
【発明の効果】
この発明では、セクタ内のリファレンスエリアにおいて、データ検出用のスレッショルドを検出し、セクタ内の各セグメントに設けられたプリライトエリアPRのデータを使用して直流分の変動を補正する場合に、プリライトエリアPRにローレベルとハイレベルの値を検出することが可能なデータパターンを記録しているので、クランプ後に残るスレッショルドの誤差をモニタし、その誤差を除去することが可能となる。また、データ検出あるいはビタビ復号に必要なゲインの誤差も除去することができる。従って、この発明は、ビタビ復号において発生する誤差を少なくすることができる。この発明によれば、光磁気ディスクの場合であれば、複屈折の許容範囲を拡げることができ、光磁気ディスクの歩留りを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例におけるデータ構造を説明するための略線図である。
【図2】この発明の一実施例におけるセクタ構造およびリファレンス信号の説明に用いる略線図である。
【図3】この発明の一実施例におけるサーボエリアの構成を拡大して示す略線図である。
【図4】この発明の一実施例におけるクランプ動作の説明に用いる略線図である。
【図5】この発明が適用された光ディスク装置の一実施例のブロック図である。
【図6】この発明の一実施例におけるクランプ回路の一例のブロック図である。
【図7】この発明の一実施例におけるクランプ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】この発明の一実施例におけるスレッショルドおよびゲインの補正動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の一実施例におけるスレッショルドおよびゲインの補正動作を説明するための略線図である。
【図10】この発明におけるプリライトエリアのデータパターンの他の例を示す略線図である。
【図11】この発明におけるプリライトエリアのデータパターンのさらに他の例を示す略線図である。
【図12】先に提案されている光ディスク装置のリファレンスエリアのデータパターンとその再生信号の波形を示す略線図である。
【図13】先に提案されている光ディスク装置のサーボエリアの構成を拡大して示す略線図である。
【図14】先に提案されている光ディスク装置における問題点を説明するための略線図である。
【図15】先に提案されている光ディスク装置における問題点を説明するための略線図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、4・・・光ピックアップ、6・・・磁気ヘッド、13,16・・・クランプ回路、15・・・PLL部
Claims (3)
- 複数のセグメントによりセクタが構成され、上記セグメントにそれぞれクランプ用エリアが設けられ、上記セクタ毎にリファレンスエリアが設けられたデータ構成を有するようにされたディジタル信号記録再生装置において、
上記記録媒体からデータを読み取る読取り手段と、
上記読み取り手段から再生信号が供給され、上記リファレンスエリアの再生信号のハイレベルとローレベルの平均値をスレッショルドの設定値とし、上記クランプ用エリアに記録されている、データクロックに同期してローレベルとハイレベルを交互に繰り返すデータの平均的なレベルを、上記セクタ毎に上記スレッショルドの設定値にクランプするクランプ手段と、
上記クランプ手段によりクランプされた再生信号を受け取り、上記セグメント毎にスレッショルドおよびゲインの値を補正する補正手段を有し、上記補正手段により補正された再生信号からデータを検出するデータ検出手段とを備え、
上記補正手段は、上記スレッショルドの設定値と上記セグメント毎に検出されたスレッショルドとのスレッショルド差分を検出すると共に、上記セクタ毎に検出されたゲイン設定値と上記セグメント毎に検出された上記ゲインとのゲイン差分を検出し、
上記セグメント毎のスレッショルドを上記上記スレッショルド差分で補正すると共に、上記セグメント毎のゲインを上記ゲイン差分で補正することを特徴とするディジタル信号記録再生装置。 - 複数のセグメントによりセクタが構成され、上記セグメントにそれぞれクランプ用エリアが設けられ、上記セクタ毎にリファレンスエリアが設けられたデータ構成を有するようにされたディジタル信号記録再生装置において、
上記記録媒体からデータを読み取る読取り手段と、
上記読み取り手段から再生信号が供給され、上記リファレンスエリアの再生信号のハイレベルとローレベルの平均値をスレッショルドの設定値とし、上記クランプ用エリアに記録されている、セグメント毎にローレベルとハイレベルを交互に繰り返すデータの平均的なレベルを、2セクタ毎に上記スレッショルドの設定値にクランプするクランプ手段と、
上記クランプ手段によりクランプされた再生信号を受け取り、上記セグメント毎にスレッショルドおよびゲインの値を補正する補正手段を有し、上記補正手段により補正された再生信号からデータを検出するデータ検出手段とを備え、
上記補正手段は、上記スレッショルドの設定値と上記セグメント毎に検出されたスレッショルドとのスレッショルド差分を検出すると共に、上記セクタ毎に検出されたゲイン設定値と上記セグメント毎に検出された上記ゲインとのゲイン差分を検出し、
上記セグメント毎のスレッショルドを上記上記スレッショルド差分で補正すると共に、上記セグメント毎のゲインを上記ゲイン差分で補正することを特徴とするディジタル信号記録再生装置。 - 複数のセグメントによりセクタが構成され、上記セグメントにそれぞれクランプ用エリアが設けられ、上記セクタ毎にリファレンスエリアが設けられたデータ構成を有するようにされたディジタル信号記録再生装置において、
上記記録媒体からデータを読み取る読取り手段と、
上記読み取り手段から再生信号が供給され、上記リファレンスエリアの再生信号のハイレベルとローレベルの平均値をスレッショルドの設定値とし、上記クランプ用エリアを分割して、ローレベルとハイレベルが記録されているデータの平均的なレベルを、上記セクタ毎に上記スレッショルドの設定値にクランプするクランプ手段と、
上記クランプ手段によりクランプされた再生信号を受け取り、上記セグメント毎にスレッショルドおよびゲインの値を決定する補正手段を有し、上記補正手段により補正された再生信号からデータを検出するデータ検出手段とを備え、
上記補正手段は、上記スレッショルドの設定値と上記セグメント毎に検出されたスレッショルドとのスレッショルド差分を検出すると共に、上記セクタ毎に検出されたゲイン設定値と上記セグメント毎に検出された上記ゲインとのゲイン差分を検出し、
上記セグメント毎のスレッショルドを上記上記スレッショルド差分で補正すると共に、上記セグメント毎のゲインを上記ゲイン差分で補正することを特徴とするディジタル信号記録再生装置。
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