JP3767017B2 - 自動車用ウェザーストリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする自動車用ウェザーストリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5及び図6に示すように、自動車ボディのドア開口縁には、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする自動車用ウェザーストリップ20が取り付けられている。この自動車用ウェザーストリップ20は押出成形部21と型成形部22とから構成され、押出成形部21は芯金27を埋設した取付基部21Aとそれに一体成形された中空シール部21Bとからなり、また型成形部22は押出成形部21の取付基部21Aとそれに一体成形されたシール面22Aとからなる。なお、図6は図5のP部を示す拡大斜視図である。
【0003】
図7に、図6のC−C線拡大断面図を示す。このように、型成形部22のシール面22Aの肉厚は型成形部22のすべての範囲Rにおいて均一であり、かつ中芯板穴Hもあることから剛性不足であるため、経時的劣化によって、図8に示すようにシール面22Aの略真中の部分が凹み、シール切れやメクレが発生してシール機能を発揮しないとともに外観不良になるという問題があった。
【0004】
そこで、凹みを防止するために、図9及び図10に示すように、シール面22Aにプレート状の副資材23をはりつけて形状の変形を防止するようにしたり、あるいは、図11及び図12に示すように、コーナー部の中央位置に集中的にブリッジ24を設けるようにすることが知られている。なお、図10は図9のD−D線拡大断面図であり、図12は図11のE−E線拡大断面図である
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プレート状の副資材23の使用は材料費およびはりつけ工数が必要となるためコスト高になるとともに、副資材23のある部分とない部分とでは反力差が大きいため両者の境界部分、特に押出成形部21と型成形部22との接続部分においてシール切れ等が発生するという問題があった。
【0006】
一方、ブリッジ24を設けたものによれば、コーナー部の中央位置内側に段差が生じるため、図11に示すように中芯分割ラインl(Lの小文字)’は型成形部中央線と重なり中芯部材25,25’の抜きの方向が斜め方向(図11のX1,X2方向)に決まってしまう。そのため、中芯部材25,25’を抜くためのスリット部26を広く設定する必要があるので、押出成形部21にまで設定しなければならなかった。したがって、中芯部材25,25’を抜いた後にスリット部26を接着する工数が大きくなり、コスト高になるという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、特にコスト高となることなく経時的劣化によるシール切れ等の発生を防止しうる自動車用ウェザーストリップを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の自動車用ウェザーストリップ(10)は、自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする押出成形部(11)と型成形部(12)とからなる自動車用ウェザーストリップ(10)において、型成形されたコーナー部の、シール面(12A)の肉厚を、押出成形部(11)と型成形部(12)との接続位置(m)の肉厚(a)を最も薄くし、その接続位置(m)からコーナー部の中央位置(n)に向けて徐々にかつ段差なく滑らかに厚く形成し、その中央位置の肉厚を最も厚くして、型成形部(12)のシール面(12A)形成時に使用される中芯部材(15)を抜く時にひっかかりが生じないようにするとともに、中芯部材(15)の抜きのためのスリット部(16)を、前記型成形されたコーナー部の外側に設け、そのスリット部(16)の幅を、押出成形部(11)にまで及ぶことがない中芯部材(15)の横幅程度に設定し、かつ、2分割された中芯部材(15)の抜きの方向を、接続位置(m)から押出成形部(11)が延びる方向とは逆の方向(図1のY 1 ,Y 2 方向)にしたものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする押出成形部(11)と型成形部(12)とからなる自動車用ウェザーストリップ(10)において、型成形されたコーナー部の、シール面(12A)の肉厚を、押出成形部(11)と型成形部(12)との接続位置(m)の肉厚(a)を最も薄くし、その接続位置(m)からコーナー部の中央位置(n)に向けて徐々にかつ滑らかに厚く形成し、しかも型成形部(12)の中央位置付近の肉厚を一定の厚さに形成して、型成形部(12)のシール面(12A)形成時に使用される中芯部材(15)を抜く時にひっかかりが生じないようにするとともに、中芯部材(15)の抜きのためのスリット部(16)を、前記型成形されたコーナー部の外側に設け、そのスリット部(16)の幅を、押出成形部(11)にまで及ぶことがない中芯部材(15)の横幅程度に設定し、かつ、2分割された中芯部材(15)の抜きの方向を、接続位置(m)から押出成形部(11)が延びる方向とは逆の方向(図1のY 1 ,Y 2 方向)にしたものである。
【0010】
なお、カッコ内の記号は図面に示し後述する発明の実施の形態の対応要素又は対応事項を示す。
【0011】
本発明の自動車用ウェザーストリップによれば、コーナー部の中央位置におけるシール面の肉厚が厚いため経時的劣化によりシール面の略真中の部分が凹むことが防止されるので確実にシール機能が発揮される。その上、シール面の肉厚は徐々に滑らかに厚く形成されているので、段差はなく型成形部に使用される中芯部材の抜きの時にひっかかりはない。よって、中芯分割ラインl(Lの小文字)は図6と同じ位置に設定可能であり、中芯部材の抜きのためのスリット部を例えば中芯部材の横幅程度に小さく設定することができる。
【0012】
また好ましくは、型成形部の中央位置付近の肉厚を一定の厚さに形成するため、中央位置付近が略山形になるのではなく略台形になる。よって、シール機能がさらに向上し見栄えもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ10について説明する。図1は本実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ10を示す拡大斜視図であり、図2は図1のA−A線拡大断面図であり、そして、図3は図1のB−B線拡大断面図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ10は、従来例で示した自動車用ウェザーストリップ20と同様に、自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールするものであり、押出成形部11と型成形部12とから構成され、押出成形部11は芯金17を埋設した断面略U字状の取付基部11Aとそれに一体形成された中空シール部11Bからなり、また型成形部12は押出成形部11の取付基部11Aとそれに一体成形されたシール面12Aからなるものである。
【0015】
ここで、型成形部12のシール面12Aの肉厚は、押出成形部11と型成形部12との接続位置mからコーナー部の中央位置nに向けて徐々にかつ滑らかに厚く形成されている。すなわち、図2に示すようにコーナー部の中央位置nにおけるシール面12Aの肉厚(a+b)が最も厚く、図3に示すように押出成形部11と型成形部12との接続位置mにおけるシール面12Aの肉厚(a)が最も薄く形成されその間は段差なく滑らかに傾斜している。
これによれば、コーナー部の中央位置nにおけるシール面12Aの肉厚(a+b)が厚いため経時的劣化によりシール面12Aの略真中の部分が凹むことが防止されるので確実にシール機能が発揮される。その上、シール面12Aの肉厚には段差がないため中芯部材15の抜きの時にひっかかりはなく抜き方向を例えば図1のY1,Y2方向にすることができる。よって、スリット部16を図1に示すように中芯部材15の横幅程度に小さく設定することができる。
【0016】
なお、型成形部12の中央位置n付近の肉厚は、約2〜5mmの幅Fにわたり一定の厚さに形成してある。これによれば、中央位置n付近が略山形になるのではなく略台形になるので見栄えがよい。
更に、図2の断面にかえて、図4に示すように断面の中央部を一層厚く(a+b+c)すれば経時的劣化によりシール面12Aの略真中の部分が凹むことが一層防止される。
【0017】
また、本発明の実施の形態では、押出成形部11の中空シール部11Bを切り欠きした取付基部11Aに、型成形部12のシール面12Aを一体成形する例を主に示したが、図13に示すように2本の押出成形部の両端を型成形部12の取付基部12Bとシール面12Cにて一体成形する場合にも適用可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の自動車用ウェザーストリップによれば、特に高価な副資材等を使用することなく、コーナー部の中央位置におけるシール面の肉厚を厚くすることにより経時的劣化によるシール面の凹みが防止されるのでシール切れやメクレ等が発生することなく、確実にシール機能が発揮される。
その上、シール面の肉厚を徐々に滑らかに厚く形成することにより、中芯部材の抜きのためのスリット部は中芯分割ラインl(Lの小文字)を図1の様に出来るため中芯部材の横幅程度に小さく設定することができ、スリット部が押出成形部にまで及ぶことなくスリット部の接着に大きな工数をかけることはなくコストの低減が図られる。
【0019】
また好ましくは、型成形部の中央位置付近の肉厚を一定の厚さに形成するため、中央位置付近が略山形ではなく略台形になるのでシール機能がさらに向上し見栄えもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る自動車用ウェザーストリップ10を示す拡大斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線拡大断面図である。
【図4】断面の中央部を一層厚くした状態を示す図1のA−A線拡大断面図である。
【図5】自動車ボディのドア開口縁に取り付けられた従来例に係る、自動車用ウェザーストリップ20を示す側面図である。
【図6】図5のP部を示す拡大斜視図である。
【図7】図6のC−C線拡大断面図である。
【図8】図7に示すシール面22Aが凹んだ状態を示す拡大断面図である。
【図9】図6に示す自動車用ウェザーストリップ20に副資材23が設けられた状態を示す拡大斜視図である。
【図10】図9のD−D線拡大断面図である。
【図11】図6に示す自動車用ウェザーストリップ20にブリッジ24が設けられた状態を示す拡大斜視図である。
【図12】図11のE−E線拡大断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態例を示す図2に相当する拡大断面図である。
【符号の説明】
10 自動車用ウェザーストリップ
11 押出成形部
11A 取付基部
11B 中空シール部
12 型成形部
12A シール面
12B 取付基部
12C シール面
15 中芯部材
16 スリット部
17 芯金
20 自動車用ウェザーストリップ
21 押出成形部
21A 取付基部
21B 中空シール部
22 型成形部
22A シール面
23 副資材
24 ブリッジ
25 中芯部材
26 スリット部
27 芯金
Claims (2)
- 自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする押出成形部と型成形部とからなる自動車用ウェザーストリップにおいて、型成形されたコーナー部の、シール面の肉厚を、押出成形部と型成形部との接続位置の肉厚を最も薄くし、その接続位置からコーナー部の中央位置に向けて徐々にかつ段差なく滑らかに厚く形成し、その中央位置の肉厚を最も厚くして、前記型成形部のシール面形成時に使用される中芯部材を抜く時にひっかかりが生じないようにするとともに、前記中芯部材の抜きのためのスリット部を、前記型成形されたコーナー部の外側に設け、そのスリット部の幅を、前記押出成形部にまで及ぶことがない前記中芯部材の横幅程度に設定し、かつ、2分割された中芯部材の抜きの方向を、前記接続位置から前記押出成形部が延びる方向とは逆の方向にしたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
- 自動車ボディのドア開口縁に取り付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールする押出成形部と型成形部とからなる自動車用ウェザーストリップにおいて、型成形されたコーナー部の、シール面の肉厚を、押出成形部と型成形部との接続位置の肉厚を最も薄くし、その接続位置からコーナー部の中央位置に向けて徐々にかつ滑らかに厚く形成し、しかも前記型成形部の中央位置付近の肉厚を一定の厚さに形成して、前記型成形部のシール面形成時に使用される中芯部材を抜く時にひっかかりが生じないようにするとともに、前記中芯部材の抜きのためのスリット部を、前記型成形されたコーナー部の外側に設け、そのスリット部の幅を、前記押出成形部にまで及ぶことがない前記中芯部材の横幅程度に設定し、かつ、2分割された中芯部材の抜きの方向を、前記接続位置から前記押出成形部が延びる方向とは逆の方向にしたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
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