JP3767047B2 - 投写型表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光源からの光束を、赤、青、緑の3色光束に分解し、これらの各色光束を液晶パネル等のパネルを通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束を光合成手段によって再合成して、投写手段を介して拡大投写する投写型表示装置に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、この形式の投写型表示装置における光合成手段を構成しているプリズム合成体に対するパネルの取付け機構に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
上記構成の投写型表示装置では、光合成手段であるプリズム合成体の各色光束の光入射面にライトバルブとしての液晶パネルが取付けられている。液晶パネルをプリズム合成体に取り付けるための機構としては、例えば、特開平6−118368号公報に開示された形式のものがある。この形式の取付け機構では、プリズム合成体の光入射面に対してライトバルブとしての液晶パネルが接着剤によって直接に貼り付け固定されている。
【0004】
ライトバルブを接着固定した場合には、特に、赤、緑、青色に分離された光を変調する複数のライトバルブの相互の画素合わせ調整(アライメント調整)のための機構、投写レンズの焦点許容深度内に被写体となる各画像形成面が位置するように調整(フォーカス調整)する機構を省略できる。従って、投写型表示装置の光学系の小型・軽量化、および部品点数の削減を実現できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プリズム合成体の光入射面にライトバルブを直接に接着固定した場合には、次のような解決すべき課題がある。
【0006】
第1に、外部から装置内部に外光が侵入すると、当該外光がライトバルブに入射するおそれがある。このような侵入光を受けるとライトバルブの各素子が誤動作するおそれがある。
【0007】
第2に、ライトバルブに直接に触れた状態で取り扱うことは、それを破損する等の弊害が起きるので好ましくない。例えば、プリズム合成体にライトバルブを接着する際に、ライトバルブを直接に治具によってチャッキングすると、ライトバルブの縁、角等が破損するおそれがある。また、液晶パネルのように静電気に弱いライトバルブを用いる場合は、作業員がライトバルブを直に持ってプリズム合成体に貼り付ける作業を行なうことは好ましくない。
【0008】
第3に、プリズム合成体に接着したライトバルブは、経時変化によりその画素の一部に欠陥等が発生することがある。ライトバルブに欠陥が発生した場合には、それを新しいものに交換する必要がある。しかし、ライトバルブはプリズム合成体に接着固定されているので、欠陥のあるライトバルブのみを交換することが困難である。すなわち、プリズム合成体の光入射面を傷付けることなく、そこに接着固定されている液晶パネルのみを剥がすことは簡単ではない。このため、例えば、プリズム合成体も含めて交換しなければならない場合もあり、経済的でない。
【0009】
本発明の課題は、このような課題を解消可能なライトバルブの取付け機構を備えた投写型表示装置を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、光源からの光束を複数色の光束に分解し、各色光束をパネルを通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束を光合成手段により再合成して、投写手段を介して拡大投写する投写型表示装置において、外光の侵入、破損等が起きないようにパネルの周囲を保護すると共に、パネルを光合成手段に対して直接に接着固定しないで済む構成を採用している。
【0012】
本願の発明は、前記光合成手段の光入射面に固定される固定枠板と、前記パネルを保持するパネル枠板と、前記パネル枠板と前記固定枠板との間に配置される中間枠板と、前記中間枠板を前記固定枠板に着脱可能に固定する固定手段と、前記パネルの位置決めを行う楔と、前記パネルを冷却する冷却風が流れる通気部分が設けられるように、前記パネル枠板の左右両側面の中央位置に形成された三面からなる楔案内面と前記中間枠板とで構成された楔差し込み溝に、前記楔を差し込んで接着することによって前記パネル枠板と前記中間枠板とを接着固定する固定手段とを備える構成を採用している。
【0013】
本願の発明は、前記中間枠板と前記パネル枠板を仮止めするための仮止め手段を有した構成を採用し、当該仮止め手段によって仮止めされた前記中間枠板と前記パネル枠板を前記位置決め手段によって位置決めすることが望ましい。このようにすれば、仮止めされた状態で位置決め作業を行うことができるので、位置決め作業を簡単に行うことができる。
【0014】
前記仮止め手段は、前記中間枠板および前記パネル枠板の何れか一方の枠板に形成した係合突片と、他方の枠板に形成した係合孔とを係合する構成とすることができる。この場合、前記係合孔と前記係合突片との係合部は接着剤により仮止めすればよい。
【0015】
前記楔は、前記パネルの位置を調整するための調整部材を含む構成とすることができる。
【0016】
一方、治具等により前記調整部材を簡単に取り扱うことができるように、前記調整部材は、当該調整部材をチャッキングする際に利用する少なくとも1つの係合部を備える構成とすることができる。
【0018】
また、本発明は、前記パネル枠板は、前記パネルの四周を覆う周囲壁を形成する構成を採用している。
【0019】
また、本発明は、治具等により前記固定枠板および前記パネル枠板を簡単に取り扱うことができるように、前記固定枠板および前記パネル枠板の少なくとも一方の枠板は、当該枠板をチャッキングするための係合部を備えている構成とすることができる。
【0020】
また、本発明は、前記パネル枠板が、第 1 の枠板と第2の枠板とで構成され、前記パネルは前記第1の枠板と第2枠板との間に挟持する構成を採用することもできる。
【0021】
また、本発明は、前記パネルとして液晶装置を用いることができる。本発明は、静電気に弱く、また外光の侵入に対して誤動作を起こしやすい液晶装置の場合に、特に有効である。
【0022】
このように構成した本発明の投写型表示装置においては、パネルがパネル枠板によって保持されている。また、光合成手段の光入射面には固定枠板が固定され、この固定枠板に対して、パネルが保持されたパネル枠板が直接に、あるいは中間枠板を介して着脱可能に固定されている。
【0023】
従って、パネルが経時変化によって欠陥が発生した場合には、パネルを保持しているパネル枠板を、光合成手段に固定されている固定枠板から外して、新たなパネルを保持したパネル枠板を固定枠板に取付ければよい。このように、光合成手段にパネルが直接に固定されていないので、パネルの交換作業を簡単に行なうことができ、また、交換作業時に光合成手段の表面を傷付けてしまうこともない。また、楔は、前記パネル枠板の対向する側部の中央付近に前記パネルを冷却する冷却風が流れる通気部分が設けられるように設ける構成とすることができる。このようにすれば、部材の熱変形による応力集中等を回避できる。
【0024】
また、本発明の投写型表示装置では、パネルはパネル枠板によってその周囲が保護されているので、光合成手段等への取付け時等において、パネルに直接触れた状態で作業を行うことが無い。従って、パネルの破損を防止できる。また、投写型表示装置に組み込まれて使用される状態においては、その外周がパネル枠板によって覆われているので、外光が侵入して誤動作が起きるおそれもない。
【0025】
また、上記のパネルとしては、液晶装置を用いることができる。本発明は、静電気に弱く、また外光の侵入に対して誤動作を起こしやすい液晶装置の場合に、特に有効である。
【0026】
さらに、上記パネルとしては、光透過型のものと光反射型のものとがある。光反射型のパネルを用いる場合には、光合成手段が光源からの光束を複数色の光束に分解する光分離手段としての役割も果たすのが一般的である。
【0027】
投写型表示装置としては、投写面を観察する側から投写が行われる前面投写型表示装置と、投写面を観察する側とは反対の方向から投写が行われる背面投写型表示装置の2種類が存在するが、本発明はいずれのタイプにも適用可能である。
なお、上記光合成手段としてダイクロイックプリズムを用いる場合は、ダイクロイックプリズムの面に固定枠板、パネル枠板、固定手段、位置決め手段を用いてパネルを位置決め固定することになるが、この固定構造は、カメラ等においてCCD等の固体撮像素子を色分解プリズムに位置決め固定する構造に応用することが考えられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を適用した投写型表示装置を説明する。
【0029】
(全体構成)
図1には本発明を適用した投写型表示装置の外観を示してある。本例の投写型表示装置1の外装ケース2は直方体形状をしている。この外装ケース2は、基本的には、アッパーケース3と、ロアーケース4と、装置前面を規定しているフロントケース5から構成されている。フロントケース5の中央からは投写レンズユニット6の先端側の部分が突出している。
【0030】
図2には、投写型表示装置1の外装ケース2の内部における各構成部分の配置を示してある。この図に示すように、外装ケース2の内部において、その後端側には電源ユニット7が配置されている。これよりも装置前側に隣接した位置には、光源ランプユニット8および光学ユニット9が配置されている。光学ユニット9の前側の中央には、投写レンズユニット6の基端側が位置している。一方、光学ユニット9の一方の側には、装置前後方向に向けて入出力インタフェース回路が搭載されたインタフェース基板11が配置され、これに平行に、ビデオ信号処理回路が搭載されたビデオ基板12が配置されている。さらに、光源ランプユニット8および光学ユニット9の上側には、装置駆動制御用の制御基板13が配置されている。装置前端側の左右の角には、それぞれスピーカ14R、14Lが配置されている。
【0031】
光学ユニット9の上面側の中央には冷却用の吸気ファン15Aが配置され、光学ユニット9の底面側の中央には冷却用循環流形成用の循環用ファン15Bが配置されている。また、光源ランプユニット8の裏面側である装置側面には排気ファン16が配置されている。そして、電源ユニット7における基板11、12の端に面する位置には、吸気ファン15Aからの冷却用空気流を電源ユニット7内に吸引するための補助冷却ファン17が配置されている。
【0032】
さらに、電源ユニット7の直上には、その装置左側の位置に、フロッピーディスク駆動ユニット18が配置されている。
【0033】
(光学ユニットおよび光学系)
図3(A)には、光学ユニット9の部分を示してある。この図に示すように、光学ユニット9は、その色合成手段を構成しているプリズムユニット20以外の光学素子が上下のライトガイド901、902の間に上下から挟まれて保持された構成となっている。上ライトガイド901および下ライトガイド902は、それぞれ、アッパーケース3およびロアーケース4の側に固定ねじにより固定されている。また、これらの上下のライトガイド板901、902は、プリズムユニット20の側に同じく固定ねじによって固定されている。
【0034】
プリズムユニット20は、ダイキャスト板である厚手のヘッド板30の裏面に固定ねじよって固定されている。このヘッド板30の前面には、投写手段としての投写レンズユニット6の基端側が同じく固定ねじによって固定されている。したがって、本例では、ヘッド板30を挟み、プリズムユニット20と投写レンズユニット6とが一体となるように固定された構造となっている。このように剛性の高いヘッド板30を挟み、これらの双方の部品が一体化されている。したがって、衝撃等が投写レンズユニット6の側に作用しても、これらの双方の部材に位置ずれが発生することが無い。
【0035】
図3(B)には、投写型表示装置1に組み込まれている光学系の概略構成を示してある。本例の光学系は、光源ランプ805と、均一照明光学素子であるインテグレータレンズ921、922から構成される照明光学系923と、この照明光学系923から出射される白色光束Wを、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系924と、各色光束を変調するライトバルブとしての3枚の液晶パネル40R、40G、40Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてプリズム合成体20と、合成された光束を投写面上に拡大投写する投写レンズユニット6から構成される。また、色分離光学系924によって分離された各色光束のうち、青色光束Bを対応する液晶パネル40Bに導く導光系927を有している。
【0036】
光源ランプ805としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。均一照明光学系923は、反射ミラー931を備えており、照明光学系からの出射光の光軸1aを装置前方向に向けて直角に折り曲げるようにしている。このミラー931を挟み、インテグレータレンズ921、922が前後に直交する状態に配置されている。
【0037】
色分離光学系924は、青緑反射ダイクロックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。白色光束Wは、まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、そこに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射されて、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束の出射部944からプリズム合成体20の側に出射される。ミラー941において反射された青および緑の光束B、Gは、緑反射ダイクロイックミラー942において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部945から色合成光学系の側に出射される。このミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束の出射部946から導光系の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の白色光束の出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離が全て等しくなるように設定されている。
【0038】
色分離光学系924の各色光束の出射部944、945、946の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952、953が配置されている。したがって、各出射部から出射した各色光束は、これらの集光レンズ951、952、953に入射して平行化される。
【0039】
このように平行化された各色光束R、G、Bのうち、赤色および緑色の光束R、Gは液晶パネル40R、40Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶パネル40R、40G、40Bは、不図示の駆動手段によって画像情報に対応する画像信号によってスイッチング制御され、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応する液晶パネル40Bに導かれて、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例の液晶パネル40R、40G、40Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものを使用できる。
【0040】
導光系927は、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの間に配置した中間レンズ973と、液晶パネル40Bの手前側に配置した集光レンズ953から構成される。各色光束の光路長、すなわち、光源ランプ805から各液晶パネルまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、この光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制できる。よって、各色光束の光路長を実質的に等価にすることができる。
【0041】
次に、各液晶パネル40R、40G、40Bを通って変調された各色光束は、プリズム合成体22に入射され、ここで再合成される。本例では、ダイクロイックプリズムからなるプリズム合成体22を用いて色合成光学系を構成している。ここで再合成されたカラー画像は、投写レンズユニット6を介して、所定の位置にある投写面7上に拡大投写される。
【0042】
(プリズムユニットおよびヘッド板の構造)
図4には、ヘッド板30と、このヘッド板30に取り付けたプリズムユニット20とを取り出して示してある。この図に示すように、ヘッド板30は、装置の幅方向に向けて垂直な姿勢で延びる垂直壁31と、この垂直壁31の下端から水平に延びる底壁32から基本的に構成されている。垂直壁31には、プリズムユニット20からの出射光が通過するための矩形の開口31bが形成されている。また、この垂直壁31には、多数の補強リブが形成され、その剛性を高めてある。この垂直壁31を挟み、位置合わせした状態で、プリズムユニット20および投写レンズユニット6が固定されている(図3(A)参照)。従って、これらの一体性が高く、衝撃力等が作用しても、相互の位置ずれが発生するおそれは極めて少ない。
【0043】
ヘッド板30の底壁32の上面にはプリズムユニット20が設置されている。プリズムユニット20は、直角二等辺三角形の断面をした4個のプリズム21を、それらの斜面を相互に接合することによって構成された直方体形状のプリズム合成体22と(図5参照)、プリズム支持板33とを備えている。プリズム合成体22の底部は、プリズム支持板33の表面に接着等の手段により固定されており、プリズム支持板33がヘッド板の底壁32に取付け固定されている。プリズム合成体22の側面のうち光入射面として機能する三方の側面には、それぞれ、同一構造の液晶パネルユニット50R、50G、50Bが取付けられている。各液晶パネルユニット50R、50G、50Bには、それぞれ、液晶パネル40R、40G、40Bが保持されている。
【0044】
(液晶パネルの取付け構造)
図5には、液晶パネルユニット50R、50G、50Bのうち、液晶パネル40Rが保持されている液晶パネルユニット50Rの各構成部品を分解して示してある。この図を参照して液晶パネル40Rをプリズム合成体22に取付けたるための取付け構造を説明する。
【0045】
図5に示すように、液晶パネルユニット50Rは、液晶パネル40Rを保持しているパネル枠板51を備え、このパネル枠体51は第1の枠板52と第2の枠板53を備えている。これらの枠板52、53の間に液晶パネル40Rが挟み込まれた状態で保持されている。
【0046】
液晶パネルユニット50Rは、更に、プリズム合成体22の光入射面22Rに接着固定される固定枠板54を備えている。パネル枠板51は、中間枠板55を介して、この固定枠板54の側に着脱可能な状態で固定される。
【0047】
各部分の構造を詳細に説明する。まず、パネル枠板51について説明すると、その第1の枠板52は、光通過用の矩形開口52aを備えていると共に、四周には一定の厚さの周囲壁52bが形成されている。第2の枠板53にも光通過用の矩形開口53aが形成されている。この第2の枠板53は、第1の枠板52の周囲壁52bの内側に嵌まり込む大きさとなっている。また、第2の枠板53の左右の縁の中央には係合突起53cが形成されている。この係合突起53cが嵌まり込む係合溝52cが、第1の枠板52の左右の周囲壁52bの外側面中央に形成されている。従って、第1および第2の枠板52、53の間に液晶パネル40Rを挟んだ状態で相互に重ね合わせて、それらの係合突起53cを対応する係合溝52cにはめ込めば、これらの枠板52、53の間に液晶パネル40Rが挟み込まれた状態で保持されたパネル枠体51が構成される。
【0048】
中間枠板55は、パネル枠板51の第1の枠板52とほぼ同一か、あるいはこれより一回り大きく形成された矩形枠であり、光通過用の矩形開口55aを備えている。この中間枠板55には、その矩形開口55aの四隅に、枠板表面から垂直に延びる係合突片55dが形成されている。これに対して、パネル枠板51の第1の枠板52の側には、各係合突片55dに対応する位置に、これらを差し込み可能な係合孔52dが形成されている。従って、パネル枠板51の各係合孔52dに、中間枠板55の係合突片55dを合わせて相互に重ね合わせると、各係合孔52dに各係合突片55dが差し込まれた仮止めが可能な状態が形成される。
【0049】
一方、固定枠板54も光通過用の矩形開口54aが形成された矩形の枠板である。この固定枠板54の裏面がプリズム合成体22の光入射面22Rに接着剤によって固定される。この固定枠板54の上側の左右の隅にはねじ孔54cが形成されている。これらのねじ孔54cに対応する中間枠板55にもねじ孔55cが形成されている。
【0050】
また、固定枠板54の下枠部分には、中間枠板55の側に向けて突出した突出枠54bが形成されている。中間枠板55の下枠部分には、この突出枠54bが裏面側から嵌まり込む形状の突出枠55bが形成されている。これらの突出枠54b、55bの上に乗り上げた状態でパネル枠板51が保持される。また、これらの突出枠54b、55bには、左右2箇所にねじ孔54e、55eが形成されている。
【0051】
このように、固定枠板54および中間枠板55には、相互に対応する位置にねじ孔54c、54eおよび55c、55eが形成されており、これらのねじ孔にねじ込まれた4本の皿ねじ56(図においては1本のみ示してある。)によって、これらが締結固定される。すなわち、プリズム合成体22に貼り付けられている固定枠板54に対して中間枠板55がねじ止めされる。
【0052】
さらに、液晶パネルユニット50Rは、位置決め手段として、4個の楔57を備えている。図5においてはそのうちの1個のみを示してある。この楔57の傾斜面57aが当接する楔案内面52eが、パネル枠板51の第1の枠板52の左右の周囲壁の部分に形成されている。中間枠板55にパネル枠板51を仮止めした後に、4個の楔57を、第1の枠板52の左右に打ち込み、これらの楔57の押し込み量を調整して、液晶パネル40Rの位置決めを行なうようになっている。
【0053】
この構成の液晶パネルユニット50Rは次のような手順でプリズム合成体22の光入射面22Rに取付けられる。まず、液晶パネル40Rが保持されたパネル枠板51を用意する。次に、プリズム合成体22の面22Rに、固定枠板54を位置決めして接着固定する。接着剤としては紫外線硬化型接着剤等を用いることができる。次に、接着固定した固定枠板54の表面に、中間枠板55を位置決めして、4本のねじ56によって、当該中間枠板55をねじ止めする。しかる後に、液晶パネル40Rが保持されているパネル枠板51を、中間枠板55に位置決めして、そこに仮止めする。すなわち、中間枠板55の係合突片55dをパネル枠板51の係合孔52dに一致させ、この状態で、パネル枠板51を中間枠板55に向けて押し込む。なお、固定枠板54をプリズム合成体22に接着固定する前に、固定枠板54と中間枠板55をねじ56で予め一体化しておくと位置精度が出しやすくなる。
【0054】
この後は、位置決め手段としての楔57を用いて、プリズム合成体22の面22Rに対して、液晶パネル40Rの位置決めを行なう。すなわち、4個の楔57を、第1の枠板52に形成した楔案内面52eに沿って、仮止めされているパネル枠板51と中間枠板55の間に差し込む。そして、各楔57の差し込み量を調整することにより、液晶パネル40Rのアライメント調整およびフォーカス調整を行なう。
【0055】
位置決めができたところで、これらの楔57を、接着剤を用いて位置決め対象の部材であるパネル枠板51および中間枠板55に接着固定する。この場合に使用する接着剤としても、紫外線硬化型の接着剤を用いることができる。
【0056】
ここで、上記の楔57の位置決め作業および楔57の接着固定作業を、工程順序に従ってより詳しく説明する。
【0057】
まず、投写レンズ6のフォーカス面内に液晶パネル40Gのフォーカス面を専用の調整装置を用いて合わせ込む。この状態で、前述の通り、中間枠板55の係合突片55dがパネル枠板51の係合孔52dに入って形成される隙間に紫外線硬化型の接着剤を注入し、紫外線照射によって、硬化させて仮固定する。次に、中間枠板55と第1の枠板52に設けた楔案内面52eとによって、紫外線硬化型接着剤に楔57の露出端面から紫外線を照射して接着し、本固定を行う。
液晶パネル40G、40R、40Bの中央に配置される液晶パネル40Gを基準として、同様に液晶パネル40R、40Bのフォーカス調整及び相互間の画素合わせ調整をして仮固定および本固定を行う。
【0058】
なお、仮固定作業は、ヘッド板30にプリズム合成体22と投写レンズ6を取り付けた状態で調整装置にセットして行うので、部品個々の特性に合わせた最適調整が可能となる。また、パネル枠板51の調整装置へのチャッキングは第1の枠板52の外形を基準として行っている。
【0059】
液晶パネル40R以外の液晶パネル40G、40Bを保持している液晶パネルユニット50G、50Bも同一構造であるのでその説明は省略する。
【0060】
このようにしてプリズム合成体22の3面22R、22B、22Gに、液晶パネルユニット50R、50G、50Bを取付けた状態が図4に示す状態である。なお、この図4において、各液晶パネルユニット50R、50G、50Bから上方に向けて延びている部材は、配線用のフレキシブルケーブル41R、41G、41Bである。
【0061】
以上のように構成した液晶パネルユニット50Rによれば、次のような効果が得られる。
【0062】
第1に、液晶パネル40Rは、その四周縁の部分が、矩形のパネル枠板51によって覆われて保護された状態にある。従って、液晶パネル40Rに直接触れて、プリズム合成体22の側への取付け作業を行なう必要がない。このため、液晶パネル40Rが他の部分に当たる等して破損あるいは欠損してしまうことを防止できる。また、液晶パネル40Rの周囲はパネル枠板51によって覆われており、外光を遮断できる。従って、外光が侵入して液晶パネル40に誤動作が発生することもない。
【0063】
第2に、液晶パネル40Rを保持したパネル枠板51は、中間枠板55を介して、プリズム合成体22の面22Rに対して、ねじ止めされて着脱可能となっている。従って、例えば、液晶パネル40Rに欠陥が発生した場合には、ねじ56を外すという簡単な作業により、その交換を行なうことができる。また、プリズム合成体22に対して液晶パネル40Rが直接に接着固定されていないので、このような交換時に、プリズム合成体22の側を傷付けてしまうこともなく、しかも高額の部品を無駄なく使用できる。
【0064】
第3に、液晶パネル40Rを保持したパネル枠体51は、中間枠板55に仮止めすることができる。この仮止め状態を形成した後に、楔57を用いて、液晶パネル40Rとプリズム合成体22の面22Rとの位置決めを行なうことができる。このように、仮止め状態を形成できるので、別工程で楔57を用いた位置決め作業を簡単に行なうことができるので、設備のサイクルタイムの向上に資する。ここで、楔57としては、一般にはガラス製のものを使用することができる。しかし、第1の枠板52を樹脂成形品とした場合にはガラスに比べて熱膨張率が大きいため、熱膨張の違いにより楔57がこれらの枠板から剥離しやすくなったり、楔57が温度変化によって破壊される場合がある。これを回避するためには、楔57をアクリル系等の樹脂成形品とすることが望ましい。また、楔57をアクリル系の材質にすることによって、成形加工ができるため、ガラス剤に比して大幅にコスト低減を図れる。なお、楔57の素材として紫外線を透過させる材料を用いることにより、楔57を接着固定するための接着剤として温度上昇が少なく、硬化時間の短い紫外線硬化型接着剤を使用することができる。
【0065】
また、第1の枠板52に楔案内面52eを形成したことにより、その上下には上端面52f、52gが形成されており、これらの三面により楔57が案内される。すなわち、この部分に接着剤を充填して楔57を差し込めば、接着剤の表面張力によって楔57はこれらの三面によって案内されながら自動的に内部に移動する。従って、工程内で遭遇する外乱に対して強くなり、楔57の装着作業が簡単である。
【0066】
なお、本例では、中間枠板55に対するパネル枠板51の仮固定に接着剤を用いているが、この代わりに、半田付け等を用いてもよい。第1の枠板52等が樹脂製である場合には、接合部分に金属部材を貼り付けたもの、あるいは、接合部分にメタライズ層を形成したものを用いればよい。
【0067】
次に、上記の第1の枠板52、中間枠板55、固定枠板54は、ガラスファイバあるいは炭酸カルシウムを混入した熱硬化性樹脂の成形品とすることができる。このような樹脂素材を用いれば、その熱膨張係数が一般の樹脂素材に比べてガラスに近くなる。このため、プリズム合成体22に貼り合わせた状態において熱変形に起因した画素ずれ等を回避できる。
【0068】
ここで、プリズム合成体22に対して固定枠板54を接着固定するための接着剤としては前述したように紫外線硬化型接着剤を用いることができるが、接着性を向上させるために下地処理材料を塗布することが望ましい。すなわち、プリズム合成体22においては、前述したように、赤色光束の入射面22Rと青色光束の入射面22Bが対峙している。青色光束は波長が短いので、その一部がプリズム合成体22の反射膜を透過して反対側の赤色光束の入射面22Rに至る場合がある。このような逆光が液晶パネル40Rに入射すると誤動作を起こしてしまう。これを回避するために、一般的に、赤色光束の入射面22Rにフィルタを取り付けて、このような逆光を遮断している。
【0069】
赤色光束の入射面22Rにのみフィルタを取り付けるのは、青色光束の逆光による影響が最も大きいためであるが、他の光束の逆光による影響が大きい場合には、この限りでない。他の面にフィルタを設けたり、あるいは複数の面にフィルタを設けてもよい。
【0070】
しかしながら、このようなフィルタが存在すると、それによって、接着固定時の紫外線が遮られて、固定枠板54をプリズム合成体22の入射面22R、22G、22Bに接着固定するための紫外線硬化型接着剤が紫外線照射不足の部分が発生するおそれがある。この弊害を回避して固定枠板54を確実に入射面22Rに接着固定するためには、上記のように、これらの接着面に下地処理材料を塗布しておくこと、および嫌気タイプの接着剤を併用することが望ましい。勿論、このようなフィルタが存在しない入射面において同様な処理を施してもよい。
【0071】
なお、接着剤としては、紫外線硬化型接着剤の使用について説明したが、これ以外の接着剤を使用してもよい。例えば、ホットメルトタイプの接着剤を使用して、固定枠板54の接着固定、楔57の接着固定を行うようにすれば、上記のフィルタによる問題を考慮する必要がない。
【0072】
(液晶パネルユニット50Rの第1の変形例)
パネル枠体51を中間枠板55に仮止めする必要がない場合には、図6に示すように、パネル枠体51と中間枠板55の間に形成した仮止め機構を省略すればよい。すなわち、パネル枠板51の側に形成した係合孔52dと、中間枠板55の側に形成した係合突片55dを省略すればよい。この場合、パネル枠体51は楔57のみによって中間枠体55に固定される。
【0073】
図6に示す構成の液晶パネルユニット500Rを用いた場合においても、液晶パネルユニット50Rにより得られる上記の第1および第2の効果を得ることができると共に、プリズムユニット20を小型化するのに有効となる。
【0074】
(液晶パネルユニット50Rの第2の変形例)
図7には液晶パネルユニット50Rの第2の変形例に係る液晶パネルユニット70Rを分解した状態で示してある。なお、図5に示す液晶パネルユニット50Rに対応する部分には同一の符号を付してそれらの説明は省略する。
【0075】
図7に示すように、液晶パネルユニット70Rは、液晶パネル40Rを保持しているパネル枠板71を備えている。このパネル枠板71は、液晶パネルユニット50Rのパネル枠板51と同様に第1および第2の枠板72、73を備え、これらの枠板の間に液晶パネル40Rが挟まれて保持された構造となっている。図においては第1の枠板72のみが表わされており、第2の枠板73および液晶パネル40Rが既に第1の枠板72に側に取付け固定された状態を示してある。液晶パネルユニット70Rは、更に、プリズム合成体22の光入射面22Rに接着固定される固定枠板74を備えている。パネル枠板71は、中間枠板75を介して、この固定枠板74に着脱可能な状態で固定される。
【0076】
パネル枠板71は、基本的には前述した液晶パネルユニット50Rのパネル枠板51と同一である。その第1の枠板72は、光通過用の矩形開口72aを備えていると共に、四周には一定の厚さの周囲壁72bが形成されている。第2の枠板73にも光通過用の矩形開口(図示せず)が形成されている。この第2の枠板73は、第1の枠板72の周囲壁72bの内側に丁度嵌まり込む大きさとなっている。従って、第1および第2の枠板72、73の間に液晶パネル40Rを挟んだ状態で、第2の枠板73の側を第1の枠板72の側にはめ込めば、これらの枠板72、73の間に液晶パネル40Rが挟み込まれた状態で保持されたパネル枠体71が構成される。
【0077】
ここで、第1の枠板72および第2の枠板73の嵌め合わせ構造は基本的には、図5に示すパネル枠板51を構成している第1および第2の枠板52、53と同様である。しかし、本例の場合には、第1の枠板72の案内溝72e〜gを挟む上下の位置にフックおよび当該フックが係合する係合溝が形成されてた構成となっている。これらの部分の図示は省略してある。
【0078】
次に、中間枠板75は、パネル枠板71の第1の枠板72とほぼ同一の大きさの矩形枠であり、光通過用の矩形開口75aを備えている。この中間枠板75には、その矩形開口75aの四隅に、枠板表面から垂直に延びる係合突片75dが形成されている。これに対して、パネル枠板71の第1の枠板72の側には、各係合突片75dに対応する位置に、これらを差し込み可能な係合孔72dが形成されている。従って、パネル枠板71の各係合孔72dに、中間枠板75の係合突片75bを合わせて相互に重ね合わせると、各係合孔72dに各係合突片75dが差し込まれた仮止め状態が形成される。
【0079】
一方、固定枠板74も光通過用の矩形開口74aが形成された矩形の枠板である。この固定枠板74の裏面がプリズム合成体22の光入射面22Rに接着剤にって固定される。この固定枠板74の上枠部分の両隅、および固定枠板74の下枠部分の左右方向の中央位置には、ねじ孔74cが形成されている。これら3個のねじ孔74cに対応する中間枠板75にもねじ孔75cが形成されている。対応するねじ孔74c、75cに、それぞれ締結用の皿ねじ76を挿入することにより、固定枠板74に対して中間枠板75が固定される。なお、本例では3本のねじ76によって固定枠74に対して中間枠板75が固定されている。ねじの本数は図5に示す例の場合のように4本であってもよいし、それ以上であってもよい。一般には、本数が少ない程、ねじ締結の作業工程が少なくなる。
【0080】
ここで、固定枠板74の下枠部分の左右両隅には係合突起74bが形成され、これら2個の係合突起74bに対応する中間枠板75の下枠部分の左右両隅には係合孔75bが形成されている。従って、ねじ76により固定するに際しては、固定枠板74の係合突起74bに対して中間枠板75の係合孔75bを合わせて、中間枠板75を固定枠板74の側に押し込めば、中間枠板75を固定枠板74に仮止めできる。このようにすれば、相互の枠板の位置決め精度を一層向上させることができる。
【0081】
本例の液晶パネルユニット70Rも、パネル枠板71を、固定枠板74に固定した中間枠板75に対して位置決めするための位置決め手段を備えている。この位置決め手段は2個の楔77を備えている。この楔77の傾斜面77aが当接する楔案内面72e〜gが、パネル枠板71の第1の枠板72の周囲壁72aの左右両側面の上下方向の中央位置に形成されている。中間枠板75にパネル枠板71を仮止めすると、第1の枠板72の楔案内面72eと、これに対峙している中間枠板75の枠部分との間に楔差し込み溝が構成される。従って、中間枠板75にパネル枠板71を仮止めした後に、2個の楔77を、第1の枠板72の左右に打ち込み、これらの楔77の押し込み量を調整すれば、液晶パネル40Rの位置決めを行なうことができる。なお、プリズムユニット20を構成する工程は前述と同様であるので、その説明は省略する。
【0082】
以上のように構成した液晶パネルユニット70Rによっても、図5に示す液晶パネルユニット50における場合と同様な効果を得ることができる。
【0083】
また、本例では、図5、図6に示す場合とは異なり、固定枠板74、中間枠板75として、フラットな形状のものを用いている。図2(B)を参照して説明したように、プリズム合成体22の下方にはファン15Bが配置されており、冷却風が下から上方に流れる。この流れに乱れが出来ないようにするためには、ファン15Bの上方位置に整流板を配置することが望ましい。固定枠板74、中間枠板75としてフラットなものを使用しているので、整流板の取付け位置を液晶パネルユニット70Rの直下まで延ばすことが可能になり、従って、冷却風を効果的に下から上に流すことができる。また、これらの枠板の形状が単純なので、部品加工が容易であり、部品精度も向上するという利点もある。
【0084】
これに加えて、液晶パネルユニット70では、位置決め用の楔77を2個用いると共に、それらを第1の枠板72および中間枠板75における左右両側の上下方向の中央位置に取付けて接着固定している。楔77の接着固定位置が適切でないと、第1の枠板72、中間枠板75、あるいは楔77の熱変形に起因して、各部材に過剰な応力集中が発生するおそれがある。また、そのために、楔77が第1の枠板72あるいは中間枠板75から剥離してしまうおそれもある。しかし、上記のように、左右の中央位置に楔77を接着固定してあり、この部分を中心として、第1の枠板72および中間枠板75は上下方向への熱変形が自由である。従って、これらの枠板の熱変形の拘束度合いが低いので、不所望な応力集中、楔の剥離等の弊害を回避できる。
【0085】
更に、本例の楔77は、図7から分かるように、その背面77bに2つの盲孔77cを形成してある。これらの盲孔77cは、楔77を治具を用いてチャッキングして取り扱う場合において、チャッキング用の係合部として機能するものである。このような盲孔77cを形成しておけば、そのチャッキングを簡単にでき、従って、その取扱操作が簡単になる。
【0086】
なお、本例では楔77の背面にチャッキング時の係合用の盲孔77cを形成してある。チャッキング用の係合部は、これ以外の部材に形成してもよい。例えば、パネル枠板71の周囲壁72bの外面に、盲孔等のチャッキング用係合部を形成してもよい。
【0087】
(液晶パネルユニットの別の実施の形態)
図8には、液晶パネルユニットの別の実施の形態を示してある。この図に示す液晶パネルユニット60Rも、液晶パネル40Rを保持したパネル枠板61と、プリズム合成体22の面22Rに接着固定される固定枠板64とを備えている。しかし、前述の例における中間枠板55、75に対応する部分が備わっておらず、パネル枠体61を直接に固定枠板64の側にねじ止めするようになっている。
詳細に説明すると、パネル枠板61の構成は、前述した図5のパネル枠板51の構成と同様であり、第1の枠板62と第2の枠板63を備え、これらの間に液晶パネル40Rが挟み込まれた状態で保持される。これらの第1および第2の枠板62、63を係合状態に保持するために、係合フック63cおよび係合爪62cが形成されている。また、これらの第1および第2の枠板62、63には光通過用の矩形開口62a、63aが形成されている。
【0088】
これに対して、固定枠板64は、矩形枠体部分の四周に、はかま、すなわち一定の幅の周囲壁64eが形成された形状をしている。周囲壁64eの内側に、パネル枠板61がはめ込み可能となっている。また、周囲壁64eの内周側の四隅には、ねじ孔64fが形成されている。これらのねじ孔64fに対応するパネル枠板61の第1の枠板62の四隅にもねじ孔62fが形成されている。これらにねじ66をねじ込むことにより、パネル枠板61は、固定枠板64の側にねじ止め固定される。
【0089】
一方、固定枠板64の周囲壁64eには、その一方の側面の上下2箇所に楔案内面64gが形成されている。他方の側面には上下方向の中央の1箇所に楔案内面64gが形成されている。
【0090】
この構造の液晶パネルユニット60Rは、パネル枠板61をねじ66によって、固定枠板64の側にねじ止めすることによって構成される。しかる後に、プリズム合成体22の面22Rに対して位置を決める。この状態で、3個の楔67を形成された楔案内面64gの中へ差し込み、既に楔の接合面に塗布されている紫外線硬化型の接着剤の表面張力によって、隙間が零になるように位置決めを保持させる。これによって楔67の位置決めがなされた後は、楔67の露出端面から紫外線を照射して接着剤を硬化させて接着固定する。
【0091】
なお、楔67は、固定枠板61の周囲壁64eの両側面の中央位置に、各々1ヵ所ずつ配置する構造としてもよい。固定枠板64が大型化される場合、温度変化に伴う膨張・収縮の影響を最小にすることができ、信頼性向上に資する。
【0092】
この構成の液晶パネルユニット60Rにおいても、液晶パネル40Rがパネル枠板61によって覆われて保護されている。また、液晶パネル40Rを保持したパネル枠板61は固定枠板64の側にねじ止めされている。従って、液晶パネル40Rが保護された状態にあり、また、外光が侵入することもない。さらに、液晶パネルの交換時には、ねじを外すのみで良いので簡単な作業により行なうことができる。また、交換作業時にプリズム合成体の面を傷付けてしまうこともない。
【0093】
また、本例の液晶パネルユニット60Rは、パネル枠板61と固定枠板64から構成されているので、全体的に軽量にすることができ、また薄く構成することができる。特に、液晶パネル60R、G、Bを更に小型化する場合、厚い液晶パネルユニットを三面に貼り付けた場合には、角の部分で双方の液晶パネルユニットが干渉してしまい、プリズム合成体22を含む光学系の部分を小型化できない場合があるが、本例では小型薄型の液晶パネルユニット60を構成できるので、プリズム合成体22を含む光学系の部分の小型化を実現し易い。
【0094】
さらに、固定枠板64および第1の枠板62を樹脂材を用いることが可能となり、軽量化およびプリズム支持板33とプリズムユニット20との接着強度を高められ、耐衝撃性のある商品を実現可能とする。
【0095】
さらにまた、本例の液晶パネルユニット60Rでは、その液晶パネル40Rの交換時には、パネル枠板61のみを取り外して交換すればよいので、作業が簡単である。特に、新たなパネル枠板61の取付け作業においては、このパネル枠板61を固定枠板64の側に直付けにするとそのフォーカス位置が決定される。この取付け時のフォーカス位置の誤差が焦点許容深度内の誤差となるように、各部品を製造しておけば、パネル枠板取付け時にフォーカス調整作業が不要となるので、取付け作業が簡単になる。
【0096】
なお、交換後、ねじ66を使わずに、第1の枠板62の外形の数カ所を固定枠板64に接着固定する方式を用いてもよい。
【0097】
一方、図9に示すように、第1の枠板62の四隅のうちの対角線方向の2箇所の位置に盲孔62gを設け、これを利用して当該第1の固定枠板62を調整用装置によりチャッキングして、プリズム合成体22の面に対して位置決めすることが考えられる。前述のように第1の枠板62を接着固定するための接着剤が完全に硬化した後に調整用装置によるチャッキングを解除すればよい。このようなチャッキング用盲孔を設けておけば、その位置決め作業が簡単になる。
【0098】
なお、チャッキング用盲孔62gは、第1の枠板62の外周部分にノッチ状に設けてもよく、さらに、固定枠板64の側壁64eに干渉しない部分の外形部分にチャッキング部分として係合部を構成してもよい。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投写型表示装置では、光合成手段にパネルを確実に位置決め固定できるので、画素合わせのずれ量を抑え、フォーカス調整を正確に合わせられるので、より高精細化を容易に可能とする。加えて、パネル交換が可能な構造としながらも光合成手段を小型化できるので、商品の小型・軽量化に資するとともに、耐外乱に強い信頼性を高めた製品化を可能とする。パネルと中間枠板もしくは固定枠板との取り付け部分は垂直方向の壁に配置することによって、冷却風の通気部分を設けられ、クーリング性能は確保できる。
【0100】
加えて、製造面においては、光合成手段の光入射面に配置されるパネルを、パネル枠板によってその周囲を保護した状態で保持するようにしている。また、パネルが保持されたパネル枠板を、光合成手段の光入射面に接着固定した固定枠板に対して着脱可能な状態で取付けるようにしている。
従って、本発明によれば、パネルの周囲がパネル枠板で覆われて保護されているので、パネルの取扱い時にそれが破損する等のおそれがない。また、外光が周囲から侵入してパネルに誤動作が発生することもない。
さらには、パネルに不具合が発生した場合には、光合成手段の表面を傷めることなくパネルのみを交換できるので経済的である。さらにまた、パネルの交換作業を同じ製造装置によって簡単にしかも正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した投写型表示装置の外観斜視図である。
【図2】図1の装置の内部の各部品の配置を示す図であり、(A)はその平面的な配置を示す図、(B)はその立体的な配置を示す図である。
【図3】(A)は光学レンズユニットと投写レンズユニットの部分を取り出して示す図であり、(B)は光学系の概略構成図である。
【図4】ヘッド板および、そこに支持されているプリズムユニットおよび液晶パネルユニットの部分を取り出して示す部分斜視図である。
【図5】図4の液晶パネルユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図6】図5の液晶パネルユニットの第1の変形例を示す分解斜視図である。
【図7】図5の液晶パネルユニットの第2の変形例を示す分解斜視図である。
【図8】液晶パネルユニットの別の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図9】図8の第1の固定枠板の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 投写型表示装置
1a 光軸
2 外装ケース
3 アッパーケース
4 ロアーケース
5 フロントケース
6 投写レンズユニット
7 電源ユニット
8 光源ランプユニット
9 光学ユニット
20 プリズムユニット
21 プリズム
22 プリズム合成体
22R、22G、22B 光入射面
30 ヘッド板
40、40R、40G、40B 液晶パネル
50R、50G、50B、60R、70R 液晶パネルユニット
51、61、71 パネル枠体
52、62、72 第1の枠板
52b、64e、72b 周囲壁
53、63、73 第2の枠板
54、64、74 固定枠板
55、75 中間枠板
54c、54e、74c ねじ孔
55c、55e、75c ねじ孔
56、66、76 ねじ
55d、75d 係合突片
52d 係合孔
53c 係合突起
52c、72c 係合溝
52e、64g、72e、72f、72g 楔案内面
57、67、77 楔
Claims (10)
- 光源からの光束を複数色の光束に分解し、各色光束をパネルを通して画像情報に対応させて変調し、変調した後の各色の変調光束を光合成手段により再合成して、投写手段を介して拡大投写する投写型表示装置であって、
前記パネルの取付け機構は、
前記光合成手段の光入射面に固定される固定枠板と、
前記パネルを保持するパネル枠板と、
前記パネル枠板と前記固定枠板との間に配置される中間枠板と、
前記中間枠板を前記固定枠板に着脱可能に固定する固定手段と、
前記パネルの位置決めを行う楔と、
前記パネルを冷却する冷却風が流れる通気部分が設けられるように、前記パネル枠板の左右両側面の中央位置に形成された三面からなる楔案内面と前記中間枠板とで構成された楔差し込み溝に、前記楔を差し込んで接着することによって前記パネル枠板と前記中間枠板とを接着固定する固定手段と
を備えることを特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1において、
前記中間枠板と前記パネル枠板を仮止めするための仮止め手段を有していること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項2において、
前記仮止め手段は、前記中間枠板および前記パネル枠板の一方に形成した係合突片と、他方に形成した係合孔を係合すること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項3において、
前記係合孔と前記係合突片との係合部は接着固定されていること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記楔は、前記パネルの位置を調整する調整部材を含むこと
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記調整部材は、当該調整部材をチャッキングする際に利用する少なくとも1つの係合部を備えていること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記パネル枠板は、前記パネルの四周を覆う周囲壁を備えていること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記パネル枠板および前記固定枠板の少なくとも一方の枠板は、当該枠板をチャッキングするための係合部を備えていること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜8のいずれかにおいて、
前記パネル枠板は第1の枠板と第2の枠板とで構成され、前記パネルは前記第1の枠板と前記第2の枠板との間に挟持されていること
を特徴とする投写型表示装置。 - 請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記パネルは、液晶ライトバルブであること
を特徴とする投写型表示装置。
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