JP3761276B2 - 成形型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性プラスチックからなるシート状の表皮を加熱軟化させ凸状の成形部に向けて加圧成形する成形型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のものとしては図3〜図5に開示されたものが知られている。
【0003】
図3には、従来技術に係る成形型及びその成形型を介して表皮から形成した成形表皮を示しいる。
【0004】
まず、成形型2について説明すると、製品部であるトリム線2dよりも上側の凸状の成形部2aとベース板2eを1体に組み付け成形型2としたものである。また、この成形型2には、適宜な位置に多数の小孔2fを設け表皮1の吸引孔としている。
【0005】
そして、このような成形型2を用いて表皮1を成形するには、表皮1を加熱・軟化させ成形型2に向けて押し当てて真空吸引(圧空又は圧空と真空との併用としてもよい)すると、表皮1は成形部2aに沿い密着するように形成される。そして、冷却保形して脱型し成形表皮4を得る。
【0006】
この成形時に、成形型2の凸状の成形部2aの側面が交差する角部2bには表皮1に余りが出て、この余り表皮が角部頂部2cからベース板2eに橋渡しをするようにほぼ三角形状に重なった、一般にブリッジ6と呼ばれる重なり部を有する成形表皮4が形成される。
【0007】
この成形表皮4を発泡成形型12に挿着して行なう発泡成形は、図4に示すように、ミキシングヘッド11より発泡材13をキャビティ型7内に適量注入してコアー型8を矢印P方向に型締めする。型締めした発泡成形型12の中ではすぐ発泡反応が進み膨張しながら発泡成形型12内を充満する。そして、この反応が完了した時点で芯材9と成形表皮4とが発泡材13を介して一体に形成される。
【0008】
この発泡成形型12への成形表皮4の挿着は、図5に示すように、キャビティ型7にブリッジ6形状の窪み部7aを設け成形表皮4を挿着している。この挿着された成形表皮4は、ブリッジ6の内面側(成形表皮の裏面側)にシールテープ5を貼付けている。
【0009】
更に、芯材9上に周回するシール材10を設け、型締めするとシール材10はシールテープ5と側接させ発泡材13の洩れる間隙がない状態にして発泡成形を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の成形型2では、成形時に角部2bにできたブリッジ6の表皮は誘導板23から外したままで融着していない間隙のある状態であり、この状態では発泡成形時に発泡材13が侵入し洩れを起こすので、発泡材13が侵入しないように工数をかけてシールテープ5の貼付けを行なう必要があるという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記のような従来技術の課題を解決するため、発泡材の洩れ止め用シールテープの貼付けが省略できる表皮の成形型を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、熱可塑性プラスチックからなるシート状の表皮を加熱軟化させた状態で凸状の成形部に向けて加圧することで該成形部に沿った表皮に成形する成形型において、
前記成形部の角部に表皮の一部の余り表皮を誘導成形する誘導板を設け、かつ該誘導板は前記成形部の角部頂部より下方の製品端部を示すトリム線の位置から前記余り表皮を誘導するように設けたことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る成形型及びその成形型を介して表皮から成形表皮を形成した状態を示す説明図である。
【0015】
図1において、1はシート状の表皮、22は成形型、2aは成形型22の凸状の成形部、2bは成形部2aの側面が交差するの角部、2cは角部2bの角部頂部、2dは成形部2aの製品端部を示すトリム線、2eは成形型22のベース板、2fは吸引用の小孔、23は側面が交差する角部2bに沿って設け余り表皮相当の面積を有するほぼ台形状の誘導板であり、24は成形型22を介して形成された成形表皮である。
【0016】
図2は、同実施の形態に係る成形表皮を発泡成形型内に挿着し、発泡成形している状態を示す説明図である。
【0017】
図2において、12Aはコア型8とキャビティ型27よりなる発泡成形型で、このキャビティ型27内には成形表皮24を挿着させている。そして、27aは窪み部でブリッジ26を挿入させている。
【0018】
また、このブリッジ26において、誘導板23に位置するところは間隙を有しているが誘導板24を欠除した部分は成形時に加熱軟化させられた成形表皮24の内面が融着し一枚の表皮となって表皮融着部26aを形成し、間隙が消滅したものとなっている。
【0019】
したがって、図2の斜視図で示しているように、窪み部27aに挿着されたブリッジ26部は、誘導板23の欠除部23aが融着しているため従来のようにシールテープ5を貼付ける必要がない。そして、融着していないブリッジ部26にはコア型8を型締めた時点で、シール材10が側接して成形表皮24の間隙を塞ぎ、発泡材13の侵入を防ぎ発泡材13の洩れが防止できる構成としている。
【0020】
以上のように構成された成形型22を用いて行なう表皮成形及びこの成形表皮を用いて行なう発泡成形について説明する。
【0021】
先ず、成形表皮24の形成に付いて図1に基づいて説明すると、成形型22は加熱され軟化した表皮1を成形部2aに向けて押し当て、同時に小孔2fから吸引して成形型22に吸着させる。続いて冷却し保形できた時点で脱型して成形表皮24を得る。このとき余り表皮は、誘導板23を介してブリッジ状に常に同じ位置に同じ形状に形成される。
【0022】
また、誘導板23は、側面が交差する角部2bに沿ってベース板2eまで、角部頂部2cから製品のトリム線2dの近傍までを欠除させたほぼ台形状の薄板に設けているので、余り表皮を誘導し引っ張るように吸着すると、欠除部23aには小さいブリッジ状が発生し、加熱・軟化されている表皮1は拝合するように重なって融着する。したがって、誘導板23の欠除部23aは間隙のないように融着した表皮融着部26aを得ることができる。
【0023】
次に、この成形表皮24を用いた発泡成形について説明する。
【0024】
図2は、成形表皮24を挿着し発泡材13を注入している状態を示している。この成形表皮24の挿着に当たっては、キャビティ型26に溝状に設けた窪み部27aにブリッジ26を挿入し、成形表皮24全体を発泡成形型12内に押し広げながら挿着する。
【0025】
また、ミキシングヘッド11からは、キャビティ型27内に装着された成形表皮24上に、発泡材13であるA液とB液との2液をミキシングヘッド11内で撹拌しながら適量注入する。
【0026】
そして直ちに、芯材9が着脱自在に装着され、この装着された芯材9の周縁にはシール材10を接合して設けているコアー型6を矢印Y方向に下降させて型締めを行なう。
【0027】
この発泡成形型12A内に注入された発泡材13は急速に反応して膨張し発泡成形型12A内を充満する。このとき、発泡成形型12A内は発泡材13の発泡圧がかかるが、ブリッジ26は融着しておりまた融着していないところはシール材10で間隙が塞がれ、シールテープ5を用いることなく発泡成形される。そして、発泡材13の反応が完了した時点で発泡型11Aから脱型して発泡材13で芯材9と成形表皮24とが一体化された樹脂成形品が形成される。
【0028】
ここで、表皮1とは、ABS樹脂と塩化ビニールをブレンドした樹脂材料を押し出し成形機やカレンダーロール装置でシート状としたもので、表面側はしぼ模様をロール転写し外観品質を向上させたものが多く使われている。表皮厚さは0.7mmや0.8mmのものが車両用内装材としては一般的である。
【0029】
また、ここで、発泡材13とは、ウレタン発泡材を指しており、A液であるポリオールとB液であるイソシアネートとをミキシングヘッド11で混合撹拌させて型内形状に沿って発泡層を形成させて行くものである。この2液は極めて短時間に激しく反応し高速な流動と膨張をして狭い隙間にも入り込んで行く性質を有している。
【0030】
また、ここで、シール材10とは、一般にウレタンの発泡成形材を丸や四角形等の断面を有する紐状にスライスしたものを指している。このシール材10は発泡状態で軟らかく成形品の凹凸面に沿わせて接合することが容易にできる。また、発泡体13圧力を受けると押された方向に変形して間隙を埋めて発泡材13の洩れ防止を行なうことができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1記載の発明によれば、成形部の角部に表皮の一部の余り表皮を誘導成形する誘導板を設け、かつ該誘導板は前記成形部の角部頂部より下方の製品端部を示すトリム線の位置から前記余り表皮を誘導するように設けている。
【0032】
したがって、余り表皮は引っ張られるように誘導板に沿って成形され一定の安定した形状のブリッジとなる。また、この表皮を使用することで発泡型に正確に挿着できるので成形不良の低減が図れる。
【0033】
さらに、成形部の角部と誘導板との間の余り表皮が融着し間隙のない一枚のシートとなり、シールテープを貼付けて発泡材の洩れ防止をする必要がない。
【0034】
よって、シールテープが不要な上に貼付け作業が不要となって製造コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る表皮成形を示す説明図である。
【図2】 同実施の形態に係る成形表皮を使用した発泡成形を示す説明図である。
【図3】 従来技術の表皮成形を示す説明図である。
【図4】 同従来技術に係る成形表皮を使用した発泡成形を示す断面図である。
【図5】 図4に係るQ部の斜視図である。
【符号の説明】
22…成形型
23…誘導板
1…表皮
2a…成形部
2b…角部
2c…角部頂部
Claims (1)
- 熱可塑性プラスチックからなるシート状の表皮を加熱軟化させた状態で凸状の成形部に向けて加圧することで該成形部に沿った表皮に成形する成形型において、
前記成形部の角部に表皮の一部の余り表皮を誘導成形する誘導板を設け、かつ該誘導板は前記成形部の角部頂部より下方の製品端部を示すトリム線の位置から前記余り表皮を誘導するように設けたことを特徴とする成形型。
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