JP3759678B2 - ガスバリア性フィルムの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品等の包装に適したガスバリア性フィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品包装用フィルムとして、アルミニウム蒸着層に代表される金属蒸着層をガスバリア性層として設けたフィルムが知られている。
【0003】
たとえば、「食品包装講座、株式会社日報発行、発行日:昭和58年4月20日」の196頁には、真空蒸着フィルムに関し、
・真空蒸着フィルムは、PET、OPP、CPPフィルムにアルミを真空蒸着したものであり、蒸着されるアルミ膜は500オングストロームの厚さであること、
・このフィルムは7μm のアルミ箔と同程度のガスバリヤー性をもっており、PET12μm のアルミ蒸着フィルムの酸素透過率は0.8cc/m2・24hr・atm であること、
・緑茶ではONY/PET12蒸着アルミ/PEが、コーヒーではPET/ONY蒸着アルミ/PEが、粉末スープではPET/CPP蒸着アルミが使われていること、
などの記載がある。ここで、PETはポリエステル(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、OPPは二軸延伸ポリプロピレン、CPPは無延伸ポリプロピレン、ONYは二軸延伸ナイロン、PEはポリエチレン、下付きの数字は膜厚 (μm)である。
【0004】
「工業材料、8月臨時増刊号、株式会社日刊工業新聞社発行、発行日:平成2年8月20日発行」の39〜43頁には、積層フィルムに関し、
・PET12/Al VM−PE30、
・PET/VM/PE、
・OPP/VM/PE、
の層構成が示されている。なおVMとあるのはアルミニウムの真空蒸着層、下付きの数字は膜厚 (μm)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に工業的に製造した上述の真空蒸着フィルムの酸素透過率の保証値は基材フィルムとしてOPPを用いた場合で2〜3 cc/m2・24hr・atm 程度であり、これを1 cc/m2・24hr・atm 以下、さらには0.5cc/m2・24hr・atm のものを工業的に安定して得ることは容易ではなかった。また製造直後は低い酸素透過率を示しても、製袋、内容物の充填、保管工程、流通過程に供した後に測定すると、期待するほどのガスバリア性を示さない傾向があった。これは、これらの工程を経るうちに蒸着層に微細なクラックやピンホールを生ずることにあるのではないかと思われる。
【0006】
ガスバリア性を向上させる方法の一つとして、蒸着層の厚みを増すことが考えられるが、実際には500オングストローム程度が限界となる。というのは、それ以上蒸着層の厚みを増してもガスバリア性がほとんど上がらない上、そのように厚みを増すと、蒸着面を手で擦っただけでぽろぽろと蒸着層が剥離し、またその蒸着層の上から他の樹脂層を積層しても層間密着性が劣るからである。
【0007】
そこで本発明者らは、ベースフィルム/印刷層/蒸着層の層構成を有する第1フィルムの蒸着層側に、接着剤層を介して、ヒートシール性樹脂層/蒸着層の層構成を有する第2フィルムの蒸着層側を貼着した積層フィルムにつき検討を加えた。このように工夫すれば、接着剤層を挟んで蒸着層が2層存在することになるのでガスバリア性が上がり、しかもたとえ一方または双方の蒸着層に欠陥があったり損傷を生じたりしても、他方の蒸着層によりその欠陥位置や損傷位置がずれるので、ガスバリア性が確保できるのではないかと考えたからである。
【0008】
しかしながら、この積層フィルムから製袋した袋を実際に使用した場合には、期待に反しガスバリア性の低下が見られ、信頼性を欠くことが判明した。真空蒸着フィルムのガスバリア性不足の主たる原因は他の点にあるようである。
【0009】
この経験に基き本発明者らは、真空蒸着フィルムのガスバリア性不足の主たる原因は印刷層にあるのではないかとの推測を立てて研究を行った結果、次のような知見を得た。すなわち、ベースフィルム上に蒸着層を設けるときにはベースフィルム上にまず印刷を施し、ついでその印刷層の上から直接またはアンカー層を介して蒸着層を設けるのが通常であるところ、アンカー層を設けないときあるいは印刷層の上から設けるアンカー層が薄いときには印刷層の凹凸を塞ぐことができないため平滑性が不足し、かと言って印刷層の上から設けるアンカー層を凹凸を塞ぐほど厚くすると、今度はアンカー層の残留溶剤によりその上に形成する蒸着層の密着性が不充分となり、結局いずれの場合も蒸着層の密着性が劣る結果となってしまって、ガスバリア性の低下を招くのである。
【0010】
本発明は、このような背景下において、蒸着層を設けたフィルムにおいて、すぐれたガスバリア性を有し、しかも実際の使用条件下においてもガスバリア性が損なわれないような信頼性の高いフィルムを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のガスバリア性フィルムの製造法は、
ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)上に、直接または第1アンカーコーティング層(AC1) を介してアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第1蒸着層(VM1) を形成する工程A、その第1蒸着層(VM1) 上に厚み 0.05 〜1μ m の第2アンカーコーティング層(AC2) を形成する工程B、さらにその第2アンカーコーティング層(AC2) 上にアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第2蒸着層(VM2) を形成する工程Cをこの順に実施することにより、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) を得ること、および、
上記の第1蒸着層 (VM 1 ) および第2蒸着層 (VM 2 ) を連続真空蒸着装置により形成するこ と、
を特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明においては、まず、ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)上に直接または第1アンカーコーティング層(AC1) を介してアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第1蒸着層(VM1) を形成する工程Aを実施する。第1フィルム(11)上に直接第1蒸着層(VM1) を形成するときには、予め第1フィルム(11)の表面にコロナ放電処理などの密着性向上手段を講じておくことが望ましい。
【0014】
第1フィルム(11)としては、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、無延伸ポリプロピレンなどのヒートシール性フィルムが用いられる。ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)の厚みに特に限定はないが、15〜70μm 程度、殊に20〜50μm とすることが多い。
【0015】
第1アンカーコーティング層(AC1) としては、ニトロセルロース系、ポリウレタン系、ポリエステルウレタン系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、アクリル共重合体系、あるいはこれらの混合物をはじめとするアンカーコーティング剤の塗布層があげられる。アンカーコーティング層(AC1) の厚みは、0.05〜1μm 程度とすることが多い。
【0016】
第1蒸着層(VM1) は、アルミニウムの蒸着層とする。第1蒸着層(VM1) の厚みは、200〜600オングストロームとし、殊に300〜550オングストロームとすることが好ましい。その厚みが余りに薄いときはガスバリヤー性が不足し、一方その厚みが過度に厚くなると、蒸着層の剥落や層間密着性の低下を招きやすくなる。
【0017】
アルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第1蒸着層(VM1) を形成した後は、さらにその第1蒸着層(VM1) 上に第2アンカーコーティング層(AC2) を形成する工程Bを実施する。このときの第2アンカーコーティング層(AC2) としては、上述の第1アンカーコーティング層(AC1) の場合と同様の種類のものが用いられ、厚みについては、この第2アンカーコーティング層 (AC 2 ) が第1蒸着層 (VM 1 ) と次に述べる第2蒸着層 (VM 2 ) との間に位置することを考慮して、 0.05 〜1μ m に設定される。
【0018】
そして本発明においては、上記のようにして形成した第2アンカーコーティング層(AC2) 上に、さらにアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第2蒸着層(VM2) を形成する工程Cを実施する。このときの第2蒸着層(VM2) の好ましい厚みは、上述の第1蒸着層(VM1) の場合と同様である。
【0019】
上記の工程A、工程B、工程Cをこの順に実施することにより、ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)/[第1アンカーコーティング層(AC1) /]アルミニウムによる第1蒸着層(VM1) /第2アンカーコーティング層(AC2) /アルミニウムによる第2蒸着層(VM2) の層構成を有する二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) が得られる。[ ]内は任意層である。
【0020】
この二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) における第1蒸着層(VM1) と第2蒸着層(VM2) とのトータル厚みは、400〜1200オングストローム程度、殊に600〜1100オングストロームであることが望ましい。この範囲において、蒸着層の剥落や層間密着性の低下などのトラブルを生ずることなく、最もすぐれたガスバリア性が得られるからである。
【0021】
そして、上記の第1蒸着層(VM1) および第2蒸着層(VM2) の形成は、本発明においては、連続真空蒸着装置により行う。連続真空蒸着装置とは、フィルムを連続的に供給すると共に、多数のロール対により段階的に真空度を上げて所定の真空度にもたらした状態で蒸着を行うことができるようにした装置であり、現在世界でも唯一本出願人の工場においてのみ設置されかつ稼動している。そしてこの連続真空蒸着装置には、本体装置の前後にアンカーコーティング用やトップコート用のコーティング装置が標準装備されているので、アンカーコーティングを含めた蒸着を実質的に一工程で行うことができる。従って、上述の二重蒸着層付き積層フィルム(1) の層構成は、一見複雑そうに見えるが、連続真空蒸着装置を用いれば2度真空蒸着操作を行えば足りる。
【0022】
上記の二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) の第2蒸着層(VM2) 側の面には、少なくとも内面側(接着剤層(AD)側)に印刷層(PR)を有する第2フィルム(21)からなる基材フィルム(2) を接着剤層(AD)を介して積層することができる。上市するガスバリア性フィルムは、上記の二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) の形態であることもあるが、その二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) に基材フィルム(2) を接着剤層(AD)を介して積層した積層フィルムの形態であることが多い。
【0023】
第2フィルム(21)としては、たとえば、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)などがあげられ、単層のみならず複層であってもよい。第2フィルム(21)の厚みに特に制限はないが、通常は6〜120μm 程度、殊に8〜80μm のものを用いることが多い。
【0024】
第2フィルム(21)には、その少なくとも内面側(接着剤層(AD)側)に、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの通常の印刷法により印刷層(PR)を形成する。印刷層(PR)の形成は、商品の包装目的に欠くことができないことが多いからである。
【0025】
接着剤層(AD)としては、ドライラミネート法による接着剤の層、エクストルージョンコーティング法による接着性樹脂の層などがあげられる。接着剤層(AD)の厚みは、ドライラミネート法の場合で 0.5〜4μm 程度、エクストルージョンコーティング法の場合で10〜30μm 程度とすることが多いが、必ずしもこれらの範囲に限定されるものではない。
【0026】
このようにして得られたガスバリア性フィルムの層構成は、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) /接着剤層(AD)/基材フィルム(2) となる。このうち代表的な層構成の詳細は、ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)/第1アンカーコーティング層(AC1) /アルミニウムによる第1蒸着層(VM1) /第2アンカーコーティング層(AC2) /アルミニウムによる第2蒸着層(VM2) /接着剤層(AD)/印刷層(PR)/第2フィルム(21)となる。
【0027】
本発明の方法により得られたガスバリア性フィルムは、食品包装用フィルムとして好適であり、そのほか、医薬品、工業薬品、肥料、香気性物質、電子部品、機械器具部品をはじめとする種々の製品の包装用に用いることができる。
【0028】
〈作用〉
本発明の方法によれば、ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)→[第1アンカーコーティング層(AC1) ]→アルミニウムによる第1蒸着層(VM1) →第2アンカーコーティング層(AC2) →アルミニウムによる第2蒸着層(VM2) が、この順に形成された二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) からなるガスバリア性フィルムが製造される。なお、第1蒸着層 (VM 1 ) および第2蒸着層 (VM 2 ) は連続真空蒸着装置により形成する。
【0029】
すなわち、薄膜の第2アンカーコーティング層(AC2) を挟んでアルミニウムによる第1蒸着層(VM1) とアルミニウムによる第2蒸着層(VM2) とが積層しているので、各蒸着層自体の厚みは薄くすることができ、厚みの過度の増加による蒸着層の剥落や層間密着性の低下のおそれがない。加えて薄膜を挟んで両蒸着層が対峙しているので、たとえ一方または双方の蒸着層にピンホールやクラック等の欠陥があったり、流通過程などにおいて事後的に損傷を生ずるような事態を生じても、対峙した両蒸着層における欠陥ないし損傷位置がずれるので、他方の蒸着層によりガスバリア性が確保できる。そのため、予期せぬ取り扱いを受けることのある実際の使用条件下においても、ガスバリア性が確保され、信頼性の高いものとなる。
【0030】
また、そのようにして得た二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) を用いて、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) /接着剤層(AD)/印刷層(PR)/基材フィルム(2) の層構成を有するガスバリア性フィルムを製造したときは、基材フィルム(2) の内面側に形成した印刷層(PR)の上から蒸着層を設ける方式を採用していないので、印刷層(PR)による平滑性低下(印刷インクに含まれる顔料に基く微細な凹凸の発生)や印刷層(PR)の残留溶剤に基く蒸着層の密着性低下の問題は解消し、すぐれたガスバリア性が得られる。
【0031】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0032】
実施例1
図1は本発明のガスバリア性フィルムの製造工程の一例を示した説明図である。
【0033】
ヒートシール性フィルムの一例としての厚み30μm の無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムからなる第1フィルム(11)上に、ポリウレタン系アンカーコーティング剤を塗布、乾燥して厚み 0.5μm の第1アンカーコーティング層(AC1) を形成させると共に、引き続き連続真空蒸着装置に供給して、その第1アンカーコーティング層(AC1) 上に厚み450オングストロームのアルミニウム蒸着層からなる第1蒸着層(VM1) を形成させた。
【0034】
ついで連続真空蒸着装置から導出されたフィルムの第1蒸着層(VM1) 上に、ポリウレタン系アンカーコーティング剤を塗布、乾燥して厚み 0.5μm の第2アンカーコーティング層(AC2) を設けると共に、再び連続真空蒸着装置に供給して、その第2アンカーコーティング層(AC2) 上に厚み450オングストロームのアルミニウム蒸着層からなる第2蒸着層(VM2) を形成させた。
【0035】
これにより、ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)/第1アンカーコーティング層(AC1) /第1蒸着層(VM1) /第2アンカーコーティング層(AC2) /第2蒸着層(VM2) の各層がこの順に形成された、厚み31μm の二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) が製造された。
【0036】
別途、厚み20μm の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)からなる第2フィルム(21)を準備し、その片面にグラビア印刷法(またはフレキソ印刷法)によりインクを塗布、乾燥して、厚み約1μm の白ベタの印刷層(PR)を形成させた。これにより、第2フィルム(21)/印刷層(PR)の層構成を有する基材フィルム(2) が得られた。
【0037】
上記で得た基材フィルム(2) の印刷層(PR)側の面にポリウレタン系接着剤を塗布した後、乾燥して厚み2μm の接着剤層(AD)を形成し、その接着剤層(AD)がまだタックを有する間に、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) の第2蒸着層(VM2) 側の面を重層しつつ熱圧着して、接着剤層(AD)の完全キュアを行った。このドライラミネート操作により、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) /接着剤層(AD)/基材フィルム(2) の層構成を有するガスバリア性フィルム、さらに詳しくは、第1フィルム(11)/第1アンカーコーティング層(AC1) /第1蒸着層(VM1) /第2アンカーコーティング層(AC2) /第2蒸着層(VM2) /接着剤層(AD)/印刷層(PR)/第2フィルム(21)の層構成を有するガスバリア性フィルムが得られた(図1参照)。このガスバリア性フィルムのトータル厚みは54μm であった。
【0038】
このようにして得たガスバリア性フィルムの第1フィルム(11)側を内面側にして、常法によりヒートシールを行うことにより250mm×350mmの大きさの袋を作製し、内部に被包装物としての食品を充填してから開口部をヒートシールにより閉じた。
【0039】
食品充填包装後の製品を種々のルートで流通に供してから、6ケ月後に店頭にある商品を抜き取り回収して開封し、酸素透過度と透湿度とを測定した。試験数は、25店舗50サンプルとした。酸素透過度の測定は、モコン・コントロール社の測定装置「MOCON」を使用し、25℃、100%RHの条件で行った。透湿度の測定は、JIS Z0208に準拠し、40℃、90%RHの条件で行った。なお対照として、製造直後のガスバリア性フィルムの酸素透過度も測定した。
【0040】
酸素透過度および透湿度の測定結果を次に示す。
・酸素透過度
製造直後のフィルム: 0.2 cc/m2・24hr・atm
50サンプルの平均値: 0.4 cc/m2・24hr・atm
50サンプルの最大値: 0.9 cc/m2・24hr・atm
酸素透過度が1.0cc/m2・24hr・atm を越えるサンプルの数:0個
・透湿度
製造直後のフィルム: 0.06 g/m2・24hr
50サンプルの平均値: 0.15 g/m2・24hr
50サンプルの最大値: 0.3 g/m2・24hr
透湿度が1.0 g/m2・24hrを越えるサンプルの数:0個
【0041】
比較例1
厚み20μm の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の片面に、グラビヤ印刷法(またはフレキソ印刷法)によりインクを塗布、乾燥して、厚み1μm の白ベタの印刷層を形成させた。
【0042】
厚み30μm の無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム上に、ポリウレタン系アンカーコーティング剤を塗布、乾燥して厚み 0.5μm のアンカーコーティング層を形成させると共に、そのアンカーコーティング層上にアルミニウムの真空蒸着による厚み900オングストロームの蒸着層を形成させた。
【0043】
上記の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの印刷層側の面にポリウレタン系接着剤を塗布した後、乾燥して厚み2μm の接着剤層を形成し、その接着剤層がまだタックを有する間に、上記で得た後者のフィルムの蒸着層側の面を重層しつつ熱圧着して、接着剤層の完全キュアを行った。このドライラミネート操作により、無延伸ポリプロピレンフィルム/アンカーコーティング層/蒸着層/接着剤層/印刷層/二軸延伸ポリプロピレンフィルムよりなる層構成を有するガスバリア性フィルムが得られた。このガスバリア性フィルムのトータル厚みは53〜54μm であった。
【0044】
このようにして得たガスバリア性フィルムにつき、実施例1の場合と同じ条件で、製袋および食品充填を行うと共に、流通に供した。
【0045】
得られたガスバリア性フィルムの酸素透過度は製造直後で 6.0 cc/m2・24hr・atm であり、流通に供した後は酸素透過度が15 cc/m2・24hr・atm を越えるものが半分以上もあった。またこのガスバリア性フィルムの透湿度は製造直後で1.0 g/m2・24hrであり、流通に供した後は透湿度が3g/m2 ・24hrを越えるものが半分以上もあった。このガスバリア性フィルムの層間密着性も満足すべきものではなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の方法により得られるガスバリア性フィルムは、すぐれたガスバリア性を有し、しかも実際の使用条件下においてもガスバリア性が確保され、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガスバリア性フィルムの製造工程の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム、
(11)…ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム、
(AC1) …第1アンカーコーティング層、
(VM1) …アルミニウムによる第1蒸着層、
(AC2) …第2アンカーコーティング層、
(VM2) …アルミニウムによる第2蒸着層、
(2) …基材フィルム、
(21)…第2フィルム、
(PR)…印刷層、
(AD)…接着剤層
Claims (2)
- ヒートシール性フィルムからなる第1フィルム(11)上に、直接または第1アンカーコーティング層(AC1) を介してアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第1蒸着層(VM1) を形成する工程A、その第1蒸着層(VM1) 上に厚み 0.05 〜1μ m の第2アンカーコーティング層(AC2) を形成する工程B、さらにその第2アンカーコーティング層(AC2) 上にアルミニウムによる厚み200〜600オングストロームの第2蒸着層(VM2) を形成する工程Cをこの順に実施することにより、二重アルミニウム蒸着層付き積層フィルム(1) を得ること、および、
上記の第1蒸着層 (VM 1 ) および第2蒸着層 (VM 2 ) を連続真空蒸着装置により形成すること、
を特徴とするガスバリア性フィルムの製造法。 - 請求項1の二重蒸着層付き積層フィルム(1) の第2蒸着層(VM2) 側の面に、少なくとも内面側(接着剤層(AD)側)に印刷層(PR)を有する第2フィルム(21)からなる基材フィルム(2) を接着剤層(AD)を介して積層することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造法。
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