JP3755459B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば老人や身障者等(着座者)が車両への乗降を楽に行うことができるようにした車両用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆる福祉車両用のシートとして様々な改良が施された車両用のシートが提供されている。例えば特開平11−309175号公報に開示された車両用シートは、シート本体と折り畳み可能な前後の車輪を有するシート装置と、車両室内に設置され、該シート装置を連結して前記シート本体の着座姿勢を保持しつつ該シート装置を車両室内と車両室外との間で移動するためのシート移動装置を備え、該シート移動装置により前記シート装置を車両室内に移動して該シート装置を車両室内用のシートとして使用可能、かつ前記シート移動装置により前記シート装置を車両室外に移動した後、前記シート移動装置から切り離して当該シート装置を車椅子として単独で使用可能な構成となっている。
この車両用シートによれば、着座者はシート装置のシート本体に着座したまま車両に乗り込むことができ、又シート装置のシート本体に着座したまま室外に出た後、当該シート装置をシート移動装置から切り離して通常の車椅子として使用することができるので、着座者は車両室内用のシートと車椅子との間の乗り移り動作を全く行う必要がなく、従って着座者及びその介護者の負担を大幅に低減することができた。また、車両室内と車両室外との間のシート装置の移動をシート移動装置により行うことができるので、この点でも介護者の負担を大幅に低減することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用シートにもさらに改善すべき点があった。すなわち、上記従来の車両用シートにおけるシート装置をシート移動装置から分離して車椅子として単独で使用する場合に、路面状況あるいは着座者の体格や姿勢等によっては当該シート装置の特に後転方向の接地状態が不安定になるおそれがあり、この問題に対する対策としては補助輪を設けることが効果的である。しかも、この補助輪は、当該シート装置を車室外において車椅子として使用する際には所定位置に取り出し、車室内においてシートして使用する際にには邪魔にならない位置に収納可能とすることが望ましい。
ところが、取り出し、収納可能な補助輪の場合、補助輪を収納位置に収納し忘れて使用位置に取り出した状態のまま、当該シート装置をシート移動装置に連結して車室内へ移動させてしまうおそれがあり、この場合には補助輪が車室内等の他部位に干渉して、当該補助輪あるいは車室内の他部位に損傷を与えるおそれがある。
本発明は、この問題に鑑みなされたもので、補助輪を使用位置に取り出した状態のままシート装置がシート移動装置に連結されてしまうことを防止できる車両用シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、前記各請求項に記載した構成の車両用シートとした。
請求項1記載の車両用シートによれば、転倒防止装置に連動して連結規制装置がシート装置のシート移動装置に対する連結を規制する状態と許容する状態とに切り換わる。このことから、転倒防止装置を使用位置に取り出した状態のままでは、シート装置をシート移動装置に連結することができない。このため、転倒防止装置と車両室内側の他部位との干渉を防止してこれらの損傷等を未然に防止することができる。
請求項2記載の車両用シートによれば、転倒防止装置を収納位置に収納した状態では、シート装置の連結分離位置への移動が許容されるので、シート装置をシート移動装置に連結することができ、これによりシート装置を車室内へ移動させることができる。
一方、転倒防止装置を使用位置に取り出した状態では、シート装置をシート移動装置に連結しようとして連結分離位置に接近させると、連結規制装置によってシート装置を連結分離位置にまで移動させることができず、従って当該シート装置をシート移動装置に連結することができない。
このことから、シート装置は、転倒防止装置を使用位置に取り出した状態のままではシート装置を連結分離位置まで移動させることができないのでシート装置をシート移動装置に連結することができず、転倒防止装置を収納位置に収納した状態でのみシート装置を連結分離位置まで移動させてシート装置をシート移動装置に連結して車室内側へ移動させることができるので、転倒防止装置が車両側の他部位に干渉することが防止され、従って当該転倒防止および車両側の他部位の損傷等を防止することができる。
請求項3記載の車両用シートによれば、簡易な構成で請求項1記載の構成による場合と同様の作用効果を得ることができる。
請求項4記載の車両用シートによれば、上記作用効果に加えて転倒防止装置がシートバックの背面に沿った位置に収納されるので、シート装置の下面側に収納する場合に比して収納用のスペースを比較的容易に確保することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る車両用シート1の全体を示している。この車両用シート1は、シート装置10と、車両室内に設置されてこのシート装置10を車両室内と車両室外との間で移動させるためのシート移動装置50を備えている。シート移動装置50にシート装置10を連結して当該シート移動装置50を作動させることにより、シート装置10をその着座姿勢を保持しつつ車室内から車室外へ、逆に車室外から車室内に移動させることができる。車室内に移動させることにより当該シート装置10は通常の車両用シートとして使用される一方、車室外に移動してシート移動装置50から分離することにより車椅子として単独で使用することができる。この明細書では、車室外の位置であって、シート装置がシート移動装置に対して連結され、逆に分離される位置をシート装置10の連結分離位置という。
【0006】
先ず、シート装置10は、シート本体11と折り畳み可能な前後の車輪60,60,70,70を備えている。シート本体11は、シートクッション11aと、シートバック11bを有し、シートフレーム20の上面に固定されている。図3はシート装置10のうちシート本体11を除いた状態を示している。シートフレーム20に、上記前輪60,60及び後輪70,70が連動機構35を介して折り畳み可能に取り付けられている。
すなわち、シートフレーム20の左右側枠21,21の後部には、後輪ステー71,71の上端部がそれぞれ支軸71aを介して上下に回転可能に支持されている。この両後輪ステー71,71の下端部に、それぞれホイールインモータ160を内蔵した後輪70が取り付けられている。このホイールインモータ160は図示省略した電気配線を経てバッテリから供給される直流電源により駆動する。電源用のバッテリは、シートバック11bの背面に搭載されている。このバッテリは、シート装置10をシート移動装置50に連結した状態(車室内に搭載した状態)では該シート移動装置50側に設置した充電器により充電される。
【0007】
シートバック11bの上部に設けたハンドル部104には、ホイールインモータ160,160の起動・停止操作、低速・高速切り換え操作及び正転・逆転切り換え操作をするための操作スイッチ(図示省略)が配置されている。この操作スイッチは、ハンドル部104を把持して当該シート装置10を移動操作する介護者が迅速かつ楽に操作できる位置に配置されている。
さらに、図示は省略したがシート本体11のアームレスト11cには、着座者が当該シート装置10の移動・停止操作、低速・高速切り換え操作及び前後進切り換え操作等の各種操作をするためのジョイスティック形式の操作レバーが設けられている。
このように構成したホイールインモータ160,160により両後輪70,70を回転駆動させることができ、これによりシート装置10を自走させることができる。
【0008】
次に、図3に示すように両後輪ステー71,71は、連結ロッド72により連結されている。このため、両後輪ステー71,71は一体で上下に回転する。連結ロッド72の長手方向中央には、支軸73を介して後輪リンクアーム74の後端部が上下に回転可能に連結されている。後輪リンクアーム74の前端部は支軸75を介して移動枠80の長手方向中央に回転可能に連結されている。この移動枠80については後述する。
シートフレーム20の両側枠21,21間には、前側から前枠23と中枠22と後ろ枠24がそれぞれ掛け渡し状に取り付けられている。前枠23にはフットレスト支持枠100が取り付けられており、このフットレスト支持枠100の中央に平板形状のフットレスト101が取り出し・収納可能に取り付けられている。フットレスト支持枠100の両側にはL型の支持枠102,102が取り付けられており、この両支持枠102,102間には連結ロッド103が掛け渡し状に取り付けられている。この連結ロッド103の両端部に、それぞれ前輪ステー91のほぼ中央部が支軸91aを介して上下に回転可能に取り付けられている。この両前輪ステー91,91の下部には、それぞれ当該前輪ステー91の軸芯回りに回転可能な二股形状の前輪ブラケット96が取り付けられており、この前輪ブラケット96に前輪60が回転自在に取り付けられている。従って、前輪60,60は、前輪ステー91に対して首振り可能に取り付けられている。
一方、両前輪ステー91,91の上端部には、それぞれ支軸92を介して前輪リンクアーム93の前端部が回転可能に連結されている。両前輪リンクアーム93,93の後端部は、それぞれ支軸94及びL型ブラケット95を介して前記移動枠80の端部に回転可能に連結されている。
【0009】
次に、シートフレーム20の前枠23と中枠22との間には、2本のスライドバー81,81が相互に平行に取り付けられている。この2本のスライドバー81,81を介して前記移動枠80が前後にスライド可能に取り付けられている。この移動枠80のほぼ中央にはナット82が取り付けられており、このナット82にはねじ軸83が噛み合い状態で挿入されている。このねじ軸83の後端部は中枠22に回転可能に支持され、前端部はギヤボックス84を経て電動モータ85に接続されている。電動モータ85が正転又は逆転すると、ギヤボックス84を経てねじ軸83が正転又は逆転し、該ねじ軸83とナット82の噛み合い作用を通じて移動枠80が前方に平行移動し、又は後方に平行移動する。この移動枠80を平行移動させるための機構、すなわち主として電動モータ85、ねじ軸83及びその周辺機器が、前後輪60,60,70,70を折り畳むための前後輪折り畳み駆動装置86を構成する。
【0010】
この前後輪折り畳み駆動装置86によれば、電動モータ85を正転させて移動枠80を前方に平行移動させると、前輪リンクアーム93,93が前方に移動するので、両前輪ステー91,91がそれぞれ支軸91aを中心にして図示時計回り方向(前輪60を後方へ移動させる方向)に回動し、これにより両前輪60,60が後方へ折り畳まれる。
一方、電動モータ85が正転して移動枠80が前方に平行移動すると、後輪リンクアーム74が同じく前方に移動するので、連結ロッド72が前方に移動し、従って両後輪ステー71,71が図示反時計回り方向に回動して両後輪70,70が前方に折り畳まれる。以下、電動モータ85を正転させた場合における移動枠80の移動方向(前方)、前輪リンクアーム93,93の移動方向(前方)、前輪ステー91,91の回動方向(図3において時計回り方向)、後輪リンクアーム74の移動方向(前方)、後輪ステー71の回動方向(図3において反時計回り方向)をそれぞれ「折り畳み方向」ともいう。
【0011】
逆に、電動モータ85が逆転すると、移動枠80が後方へ平行移動するので、前輪リンクアーム93,93が後方へ移動して両前輪ステー91,91が支軸91a,91aを中心にして図示反時計回り方向に回動し、これにより両前輪60,60が折り畳み位置から下方へ取り出される。又、移動枠80が後方へ平行移動すると、後輪リンクアーム74が後方へ移動するため両後輪アーム71,71がそれぞれ支軸71aを中心にして図示時計回り方向に回動し、これにより両後輪70,70が折り畳み位置から下方へ取り出される。以下、電動モータ85が逆転した場合における各部の移動方向又は回動方向を「取り出し方向」ともいう。
このように、前後輪折り畳み駆動装置86により移動枠80が移動すると、連動機構35により前輪60,60及び後輪70,70が連動して上方へ折り畳まれ、又は下方へ取り出される。
【0012】
次に、図4に示すようにシート装置10の後部左右には、当該シート装置10の後方への転倒を防止するための転倒防止装置200,200が取り付けられている。この左右一対の転倒防止装置200,200は左右対称に構成されているので、以下着座者から見て右側の転倒防止装置200について説明する。図4は、この右側の転倒防止装置200のみを示している。
この転倒防止装置200は、シート装置10をシート移動装置50から分離して車室外において車椅子として用いる際に、主として当該シート装置10の後方への転倒を防止する機能を有している。この転倒防止装置200は、シートフレーム20に支軸203を介して上下に回動可能に支持した補助輪ステー201と、この補助輪ステー201の先端に回転自在に取り付けた補助輪202を備えている。本実施形態において、この補助輪ステー201と補助輪202と後述する回動プレート206が、特許請求の範囲に記載した転倒防止部材を構成している。
図7には、補助輪ステー201の支持構造が示されている。シートフレーム20の後部には、略L字形の第1側板41が立ち上げ状に設けられており(図11参照)、この第1側板41の基部付近には、台座ブロック204を介して固定プレート205が固定されている。台座ブロック204により、固定プレート205は、第1側板41との間に適度な隙間を空けた状態で、かつ第1側板41と平行な状態に固定されている。この固定プレート205のほぼ中央に上記支軸203が側方へ突き出すように設けられている。この支軸203を介して回動プレート206が上記固定プレート205とほぼ平行な状態で回転可能に支持されている。この回動プレート206の端部に補助輪ステー201の上部が固定されている。
【0013】
回動プレート206の内面(固定プレート205に対向する面、図7において左面)には、ロックアーム210が支軸211を介して上下に回動可能に設けられている。このロックアーム210の先端部は固定プレート205の側方に位置している。固定プレート205の支軸203を中心とする円周上の2箇所にはロック凹部205a,205bが形成されている。図4〜図5において右側のロック凹部205aが使用位置用のロック凹部であり、左側のロック凹部205bが収納位置用のロック凹部に設定されている。
回動プレート206を介して補助輪ステー201を図4において実線で示すように下側の使用位置に位置させるとロックアーム210の先端部が使用位置用のロック凹部205aに嵌り込み、これにより補助輪ステー201が使用位置にロックされる。これに対して、図4において二点鎖線で示すように上側の収納位置に位置させると、ロックアーム210の先端部が収納位置用のロック凹部205bに嵌り込み、これにより補助輪ステー201が収納位置にロックされる。
回動プレート206とロックアーム210との間には、引っ張りばね207が介装されている。このため、ロックアーム210は、その先端部を使用位置用のロック凹部205aまたは収納位置用のロック凹部205bに嵌め込む方向(ロック側、図4〜図7において反時計回り方向)に付勢されている。従って、ロックアーム210のアンロック操作はこの引っ張りばね207に抗してなされる。引っ張りばね207に抗してロックアーム210をアンロック操作すれば、補助輪ステー201を使用位置と収納位置との間で上下に回動させることができ、これにより当該転倒防止装置200を使用位置に取り出し、また収納位置に収納することができる。
【0014】
補助輪ステー201は、基片201aと斜め片201bからなる断面略L字形を有している。基片201aには、鋼線をアーチ形状に屈曲させた規制バー215と、ローラキャッチ220の受け部材220a,220aが取り付けられている。規制バー215は、基片201aの長手方向中程の位置と先端側とに跨って取り付けられている。この規制バー215が特許請求の範囲に記載した連結規制装置の一実施形態に相当する。
図9に示すようにローラキャッチ220の受け部材220a,220aは、それぞれ圧縮ばね220cにより付勢された鋼球220dを備えており、鋼球220d,220dを相互に対向させた状態に配置されている。一方、シートフレーム20の第2側板42の後端部には、ローラキャッチ220の係合部材220bが取り付けられている。補助輪ステー201をシートバック11bの背面に沿った収納位置に位置させると、係合部材220bが受け部材220aに係合され、これによっても補助輪ステー201が収納位置に保持される。係合部材220bは、受け部材220a,220aの鋼球220d,220dにより両側から弾性的に挟み込まれるので、転倒防止装置220をがたつきなく収納位置に保持することができる。これによれば、シート装置10を車室内でシートとして使用する際に、車両走行時の振動等による当該転倒防止装置200のがたつきおよびこれに伴う異音の発生等を防止することができる。第2側板42については後述する。
この補助輪ステー201の先端側には補助輪支持部材216が取り付けられ、この補助輪支持部材216の先端に補助輪202が取り付けられている。この補助輪支持部材216の詳細が図8に示されている。この補助輪支持部材216は、外筒216aとその内周側に軸方向移動可能かつ回転可能に挿通された内筒216bを備えている。外筒216aと内筒216bとの間には引っ張りばね216cが介装されている。この引っ張りばね216cの上端側は軸受け216dを介して外筒216aの上端に回転可能かつ軸方向へは移動不能に固定されている。引っ張りばね216cの下端側は軸216eを介して内筒216bに固定されている。この引っ張りばね216cにより、内筒216bは外筒216bに対して引っ張り上げられる方向(図8において上方)に付勢されている。
【0015】
外筒216aの下端には、2つの係合溝216f,216gが相互に対向して形成されている。両係合溝216f,216gは、外筒216aの下端から相互に異なる深さで切り込み形成されている。図では、係合溝216fが係合溝216gよりも深くなっている。この係合溝216fには、内筒216bに取り付けた係合ピン216hが嵌り込んでいる。この係合ピン216hが係合溝216fまたは係合溝216gに嵌り込むことにより、内筒216bの外筒216aに対する軸方向の相対位置が位置決めされる。内筒216bを引っ張りばね216cに抗して外筒216aから抜き出す方向(図示下方)に移動させて係合ピン216hを係合溝216f(または216g)から離脱させれば、内筒216bは外筒216aに対してその軸回りに回転させることができる。内筒216bを外筒216aに対して回転させることにより、係合ピン216hを挿入する係合溝216f(または216g)を任意に選択することができる。
【0016】
図示するように係合ピン216hが深さの深い係合溝216fに挿入された状態では、内筒216bの外筒216aの下端からの突き出し寸法が小さくなって当該補助輪支持部材216は短くなる。これに対して、係合ピン216hが深さの浅い係合溝216gに挿入されると、内筒216bの外筒216aの下端からの突き出し寸法が大きくなって当該補助輪支持部材216が長くなる。
内筒216bの下端に補助輪ブラケット202aを介して補助輪202が回転自在に支持されている。図示は省略したが、補助輪ブラケット202aは内筒216bの下端に対して軸回りに回転可能に支持されている。このため、補助輪202はいわゆる首振り自在に支持されている。上記したように補助輪支持部材216の長さを2段階に切り換えること(2段伸縮機構)により、補助輪202の地面Gに対する位置を2段階に切り換えることができる。
【0017】
補助輪ステー201を使用位置に位置させて当該転倒防止装置200を使用位置に位置させると、補助輪202が後輪70の後方において地面Gからやや浮いた位置に位置される。上記したように補助輪支持部材216の長さを変更することにより、補助輪202と地面Gとの間隔を2段階に調整することができる。補助輪ステー201を使用位置にロックすることにより、当該シート装置10の後方への転倒が防止される。
また、補助輪ステー201を使用位置に位置させた状態では、規制バー215が後方へ張り出した状態に位置される。この規制バー215の後方へ張り出した位置が特許請求の範囲に記載した連結規制位置の一形態に相当する。規制バー215がこの連結規制位置に位置されると、当該転倒防止装置200を使用位置に位置させた状態のまま、シート装置10をシート移動装置50に連結することが防止される。すなわち、図4に示すように転倒防止装置200を使用位置に位置させて規制バー215を連結規制位置に位置させた状態のまま、シート装置10と後退させつつシート移動装置50に接近させると、規制バー215が車両ボディBのステップ部に干渉してシート装置10をシート移動装置50に連結するための位置にまで移動させることができないようになっている。
【0018】
ロックアーム210をアンロック操作して補助輪ステー201を上方へ回動させ、これにより、図4において二点鎖線で示すようにシートバックの背面に沿った収納位置に位置させることにより、当該転倒防止装置200を収納することができる。
補助輪ステー201を収納位置に位置させると、ロックアーム210の先端が収納位置用のロック凹部205bに嵌り込んで補助輪ステー201ひいては転倒防止装置200が収納位置にロックされる。また、前記したように補助輪ステー201の収納位置は、図9に示すようにローラキャッチ220によっても保持される。さらに、図10に示すように補助輪ステー201が収納位置にロックされると、その斜め片201bが、後述する連結部40を構成する第2側板42のガイド縁42aの内側に入り込む。このことから、この斜め片201bは、シート装置10を連結分離位置まで後退させてシート移動装置50にシート装置10を連結する際に、連結部40に対する連結板56の案内ガイドとして機能する。
また、補助輪ステー201を収納位置に位置させると、図4において二点鎖線で示すように規制バー215が、前記連結規制位置よりも上方へ変位してシートバック11bの側面に沿った位置に位置される。この規制バー215のシートバック11bの側面に沿った位置が特許請求の範囲に記載した連結許容位置の一形態に相当する。転倒防止装置200が収納位置に収納されて規制バー215がこの連結許容位置に位置されると、前記したように規制バー215が車両ボディBに当接することがないのでシート装置10の連結分離位置までの後退が許容され、これによりシート装置10をシート移動装置50に連結できる。
【0019】
次に、図1および図2に示すようにシート装置10の両側部にはカバー体30,30が取り付けられている。この両カバー体30,30には、それぞれシートバック11bの側部に沿った立ち上がり部30bが設けられており、この立ち上がり部30bの内部には、当該シート装置10をシート移動装置50に連結するための連結部40が設けられている。この連結部40の詳細が図13及び図14に示されている。
この両連結部40,40は左右対称に構成されているので、図11及び図12に示すように着座者から見て左側の連結部40について説明する。前記第1側板41の上部には前記した第2側板42が一定の間隔をおいて相互に平行に固定されている。両側板41,42間の前端縁は上前板43と下前板44により閉塞されている。上前板43の上部は逆U字状に折り曲げられて、当該連結部40の上部に、連結した連結板56の上部56cを抱え込み状に保持するための引き掛け凹部40aが形成されている。
【0020】
両側板41,42及び上下の前板43,44により後方及び下方に開放する略箱体形状の連結部40が形成されており、この後部及び下部の開口部を経てシート移動装置50の連結板56が嵌め込まれる。図示するように第2側板42の後端縁には、ほぼ一定の幅で外側に折り曲げられたガイド縁42aが形成されており、このガイド縁42aは当該連結部40にシート移動装置50の連結板56を嵌め込む際の案内板として機能する。
このように設けた左右一対の連結部40,40に、それぞれシート移動装置50の連結板56,56が嵌め込まれることにより、当該シート装置10がシート移動装置50に連結される。
両側板41,42間の上部にはロックバー45が掛け渡し状に固定されており、このロックバー45がシート移動装置50の連結板56に係合することにより、該連結板56の連結部40への連結状態がロックされるようになっている。この点についての詳細は後述する。
【0021】
次に、車室内に設置したシート移動装置50について説明する。このシート移動装置50は、図14に示すように車両室内のフロアFに設置したスライドレール51,51を介して車両前後方向に移動可能なメインベース52と、このメインベース52上に取り付けた回転盤53と、該回転盤53上に取り付けたスイングベース54と、該スイングベース54の両側部に取り付けた左右一対の四節平行リンク機構55,55を備えている。
回転盤53は内輪53aと外輪53bを相互に回転自在に組み付けたもので、外輪53bがメインベース52上に固定され、内輪53aがスイングベース54の下面に固定されている。この回転盤53によりスイングベース54が車両前方向きと車両側方向き(ドア開口部D側、図1及び図2参照)との間で約90度回転可能に支持されている。このスイングベース54は車両前方向きと車両側方向きの2位置において、図示省略した回転ロック機構により位置保持されるようになっている。
又、図示は省略したがスイングベース54と車両フロアFとの間には、該スイングベース54の回転と車両前後方向へのスライド動作を連動させるための連動機構が介装されている。この連動機構は、スイングベース54の下面に取り付けた円弧形状のピニオンギヤと、メインベース52に回転可能に支持されてこのピニオンギヤに噛み合う中間ギヤと、車両室内側のスライドレール51に沿ってフロアF上に取り付けられて、該中間ギヤに噛み合うラックを備えている。
また、上記連動機構は駆動源としての電動モータを備えている。この電動モータを駆動源として、スイングベース54ひいてはシート装置10の車両前後方向の移動および回転動作を電動により行うことができる。
【0022】
次に、両四節平行リンク機構55,55はそれぞれ2本のリンクアーム55a,55bを備え、前側の両リンクアーム55a,55aの下端部は支軸55d,55dを介してスイングベース54の側壁部54cに上下に回転可能に連結されている。一方、後ろ側の両リンクアーム55b,55bの下端部は、左右の側壁部54c,54c間に軸回りに回転可能に支持した1本の連結軸57に固定されている。このため後ろ側の両リンクアーム55b,55bは、連結軸57を介して相互に一体でスイングベース54の両側壁部54c,54cに上下に回動可能に連結されている。
上記連結軸57に、両四節平行リンク機構55,55を室外側に振り出し動作させるための駆動源としての電動シリンダ90が連結されている。
両四節平行リンク機構55,55の先端に、それぞれ前記した連結板56が取り付けられている。この両連結板56,56に対して前後のリンクアーム55a,55bの上端部は支軸56a,56bを介して回動可能に連結されている。
両連結板56,56は、図12に示すようにそれぞれ前記シート装置10の連結部40にほぼ隙間なく嵌め込み可能な略平板形状を有している。この連結板56の上部56cが、連結部40の引き掛け凹部40a内に嵌め込まれると、当該上部56cの外れ方向(図12において右方)への変位が規制される。
両連結板56,56の下部にはそれぞれロック爪58が設けられており、このロック爪58が連結部40の下前板44に対して下側から引き掛けられることによっても当該連結板56の後方への変位が規制される。
【0023】
又、両連結板56,56の前側にはロック凹部56dが下方に向けて切り込み状に形成されている。一方、図11及び図12に示すように四節平行リンク機構50の後ろ側のリンクアーム55b,55bの支軸56b寄りの位置には、それぞれストッパブロック55cが取り付けられている。図12に示すように連結板56,56をそれぞれ連結部40に対して下方から挿入して連結すると、上記ロック凹部56dに連結部40のロックバー45が嵌まり込み、これによっても連結板56の後方への変位が規制される。しかも、当該シート移動装置50の作動によりシート装置10を室内に移動すると、図中実線で示すように前後のリンクアーム55a,55bがほぼ直立状態に位置するため、上記ストッパブロック55cがロックバー45の上側に張り出し、これによりロックバー45のロック凹部56dにおける相対移動および抜け出しが禁止され、ひいては車室内における当該シート装置10に対するシート移動装置50の連結状態が確実に維持される。
両連結板56,56の両側面には、それぞれ所定の板厚を有する摺動板56e,56eが貼り付けられている。この摺動板56e,56eにより連結板56,56は、連結部40に対して板厚方向(当該シート装置10の幅方向)にガタツキなく、かつ面方向には滑らかに移動可能に嵌め込まれるようになっている。
【0024】
次に、上記両連結板56,56の下端部間は、受け枠59により連結されている。シート装置10がシート移動装置50に連結された状態では、この受け枠59が、シート装置10のシートフレーム20の後ろ枠24の下面側に沿ってほぼ重ね合わせ状に位置する。
図13に示すように上記後ろ枠24の左右側枠21,21寄りの2カ所には、シート移動装置50に対する位置決め用の位置決めピン105が下方へ突き出し状に取り付けられている。この左右一対の位置決めピン105,105に対して受け枠59には位置決め孔59a,59aが形成されている。両位置決め孔59a,59aにそれぞれ位置決めピン105が挿入されることにより、シート装置10に対するシート移動装置50の位置決めがなされる。
又、シートフレーム20の後ろ枠24には、電源コネクタ(いわゆるジャンクションコネクタ)110のオス側110aが取り付けられている。これに対して、受け枠59には上記電源コネクタ110のメス側110bが取り付けられている。このため、シート装置10がシート移動装置50に連結されると、シートフレーム20の後ろ枠24が受け枠59にほぼ重ね合わせ状に位置決めされるとともに、電源コネクタ110のオス側110aがメス側110bに連結されて、シート装置10とシート移動装置50との間が電気的にも接続される。電源コネクタ110のオス側110aは、前記した前後輪折り畳み駆動装置86の電動モータ85及び前記ホイールインモータ160,160の電源バッテリの充電回路に接続されている。このため、電源コネクタ110のオス側110aとメス側110bが接続されると、前後輪折り畳み駆動装置86の電動モータ85に電源が供給され、これにより前輪60,60及び後輪70,70を折り畳み可能、又は取り出し可能な状態になると共に、ホイールインモータ160,160の電源バッテリを、車室内に搭載した充電器に接続した状態となり、これにより電源バッテリは車両走行中十分な時間充電することができる。
【0025】
以上のように構成した車両用シート1によれば、シート装置10をシート移動装置50から分離することにより(図1参照)、該シート装置10を車椅子として単独で使用することができる。シート装置10は、シート移動装置50から分離した状態では、前輪60,60及び後輪70,70が下方に取り出されて地面Gに接地した状態となっている。
また、この分離状態では、転倒防止装置200を使用位置に取り出しておくことにより、主としてシート装置10の後方への転倒が防止される。シートバック11bの背面に沿った状態に収納されている転倒防止装置200を使用位置に取り出すには、介護者がロックアーム210を引っ張りばね207に抗してアンロック方向に回動させ、これによりロックアーム210の先端部を収納位置用のロック凹部205bから外し、然る後補助輪ステー201をその基片201aを把持して下方へ回動させる。補助輪ステー201を使用位置まで回動させると、ロックアーム210の先端が引っ張りばね207の付勢力により使用位置用のロック凹部205aに嵌り込み、これにより補助輪ステー201ひいては当該転倒防止装置200が使用位置にロックされる。
【0026】
転倒防止装置200が使用位置にロックされると、補助輪202が後輪70よりも後方の位置において、地面Gとの間に若干間隔をおいた位置に保持される。このため、着座者の着座姿勢あるいは路面状況等により当該シート装置10が後方へ傾いた場合であっても、補助輪202が地面Gに当接してシート装置10の後方への転倒が防止される。なお、補助輪202の地面Gとの間の間隔は補助輪支持部材216の長さを変更することにより2段階に切り換えることができ、また、補助輪202を予め地面Gに接地させておけば、シート装置10の後方への傾きそのものが防止される。
このシート装置10の分離状態において、介護者がハンドル部104の操作スイッチを起動操作することにより、又は着座者がアームレスト11cに配置したジョイスティック形式の操作スイッチを起動操作することにより、ホイールインモータ160,160が起動して、両後輪70,70が回転駆動される。このため、介護者はより小さな力でシート装置10を移動させることができ、この点で介護者の負担が大幅に低減される。また、着座者がアームレスト11cの操作スイッチを操作して、当該シート装置10を自走させることにより介護者の援助を受けることなく着座者自身が単独で移動することができる。
さらに、ハンドル部104の操作スイッチ又はアームレスト11cの操作スイッチを操作して、両左右ホイールインモータ160,160を逆転させることによりシート装置10を後退させることができ、又両ホイールインモータ160,160の回転数を変化させることによりシート装置10を低速で移動させたり、高速で移動させたりすることができ、又両ホイールインモータ160,160の回転数を相互に相違させることによりシート装置10を左旋回又は右旋回させることができる。
【0027】
このようなシート装置10の分離状態からシート装置10をシート移動装置50に連結して車両室内に搭載するためには、シート装置10を後ろ向きでシート移動装置50に接近させて(後退)、シートフレーム20の後ろ枠24の下方に受け枠59が位置する状態とする。この時、転倒防止装置200が使用位置に取り出した状態のままでは規制バー215が連結規制位置に位置しているので、シート装置10を後退させて連結分離位置に接近させると、規制バー215が車両ボディBに干渉してシート装置10を連結分離位置(後ろ枠24の下方に受け枠59が位置することとなる位置)まで後退させることができない。これにより、転倒防止装置200を使用位置に取り出し状態のままでシート装置10をシート移動装置50に連結し、ひいては車室内へ移動されてしまうことが防止される。このため、シート装置10をシート移動装置50に連結させるための位置(連結分離位置)まで後退させるには、転倒防止装置200を予め収納位置に収納して、規制バー215を連結許容位置に退避させておく必要がある。
予め、転倒防止装置200を収納して規制バー215を連結許容位置に位置させておくことによりシート装置10を連結分離位置まで後退させて、両連結板56,56がそれぞれ連結部40内に入り込んだ状態とする。
然る後、シート移動装置50の電動シリンダ90を起立側に起動して両四節平行リンク機構55,55をわずかに起立方向に移動させることにより、両連結板56,56及び受け枠59を一体で上昇させ、これにより受け枠59をシートフレーム20の後ろ枠24に対して下方から重ね合わせる。その過程で、位置決めピン105,105が位置決め孔59a,59aに挿入されることにより、シート移動装置50がシート装置10に対して位置決めされ、また電源コネクタ110のオス側110aがメス側110bに接続されて、前後輪折り畳み駆動装置86に電源が供給される。
又、両連結板56,56が上昇することにより、該連結板56,56がシート装置10の連結部40,40内に嵌め込まれる。両連結板56,56の上端部56c,56cがそれぞれ連結部40の引き掛け凹部40aにはまり込むと、両連結板56,56のロック爪58,58がそれぞれ連結部40の下前板44の下縁に下方から引き掛けられるとともに、連結板56のロック凹部56d内にロックピン45がはまり込む。この段階で、両連結板56,56が、それぞれシート装置10の連結部40に対して左右方向及び後方へ相対移動不能に連結される。
【0028】
こうしてシート移動装置50の四節平行リンク機構55,55を起立側(室内側)に移動させつつ両連結板56,56を連結部40,40に連結し、その後引き続き電動シリンダ90を逆転させて四節平行リンク機構55,55を起立側に移動させることにより、シート装置10を地面Gから浮き上がらせることができる。この段階で一旦シート移動装置50を停止させる。こうしてシート装置10を地面Gから浮き上がらせた状態とした後、前後輪折り畳み駆動装置86の電動モータ85を正転側に起動させることにより前輪60,60及び後輪70,70を折り畳むことができる。なお、この段階で前後輪折り畳み駆動装置86の電動モータ85には電源コネクタ110を経て電源が供給されている。
移動枠80がスライド前端位置に至って前輪60,60及び後輪70,70の折り畳みが完了すると、移動枠80のスライド前端位置がセンサにより検知され、このセンサの出力信号に基づいて電動モータ85が停止する。逆に、移動枠80が後端位置に至って前輪60,60及び後輪70,70が取り出されると、移動枠80の後端位置がセンサにより検知され、これに基づいて電動モータ85が自動的に停止する。
【0029】
こうして前後輪60,60,70,70の折り畳みが完了した後、再度シート移動装置50を車室内側に作動させることにより、シート装置10を車室内に収容することができる。両四節平行リンク機構55,55が起立位置に移動してシート装置10がほぼスイングベース54上に位置する状態になった段階で、電動シリンダ90が停止して当該シート移動装置50が停止する。なお、この段階で両四節平行リンク機構55,55は図示省略したスイングロック機構により起立位置にロックされ、従ってシート装置10がスイングベース54の上方に位置保持される。
又、シート装置10がスイングベース54上に位置して両四節平行リンク機構55,55の後ろ側のリンクアーム55b、55bがほぼ直立状態になると、図12に示すようにブロック55cがロックバー45の上方に張り出す状態となり、これによりシート装置10のシート移動装置10に対する連結状態がロックされて上方への移動が規制される。
こうしてシート装置10を室内に移動させた後、当該シート装置10及びスイングベース54を一体で約90度回転させて車両前方向きの着座位置に位置させる。なお、前記した連動機構によりシート装置10は車両前方向きの位置に回転しつつ後方へスライドして着座位置に至る。以上で、単独で使用可能な状態のシート装置10を車室内の着座位置に位置させるまでの一連の操作が完了する。
【0030】
逆に当該シート装置10を車室内の着座位置から車室外に移動させ、車椅子として単独で使用可能な状態にするには上記と逆の操作をすればよい。すなわち、先ず車室内においてシート装置10をドア開口部D側に回転させつつ前方へ所定距離移動させる。シート装置10をドア開口部D側に向けた状態で、シート移動装置50の電動シリンダ90を逆転方向に起動して両四節平行リンク機構55,55を室外側に作動させる。これによりシート装置10をドア開口部Dを経て車室内から車室外に移動させることができる。
シート移動装置50が室外側に作動すると、両四節平行リンク機構55,55のリンクアーム55a,55bが倒れ方向に傾動するため、図12において二点鎖線で示すようにリンクアーム55a,55bがそれぞれ連結板56に対して支軸56a,56bを中心にして反時計回り方向に回転する。後ろ側のリンクアーム56b,56bがそれぞれ連結板56に対して反時計回り方向に回転することにより、ブロック55cがロックピン45の上方から退避し、これによりロックピン45が相対的にロック凹部56dから離脱可能な状態となる。
【0031】
シート装置10を車室外に移動させて、未だ地面Gに接地しない段階で、折り畳まれている前輪60,60及び後輪70,70を取り出す。これは、前後輪折り畳み駆動装置86の電動モータ85を逆転側に起動させればよい。電動モータ85を逆転させると、移動枠80が取り出し側(図3において左方)に平行移動し、これにより両前輪リンクアーム93,93及び後リンクアーム74が取り出し側に移動する。両前輪リンクアーム93,93が取り出し側に移動すると、両前輪ステー91,91がそれぞれ支軸91aを中心にして取り出し側(図6において時計回り方向)に回動し、これにより両前輪60,60が下方に取り出される。また、これとともに両後輪ステー71,71が取り出し側に回動して、両後輪70,70が下方へ取り出される。
【0032】
このようにして、前輪60,60および後輪70,70を取り出した後、シート移動装置50を更に室外側に作動(四節平行リンク機構55,55を室外側に傾動させる)させることにより当該シート装置10を地面Gに接地させることができる。この時のシート装置10の位置が連結分離位置に相当する。シート装置10を接地させた後、シート移動装置50を引き続き室外側に作動させると、連結部40,40から連結板56,56が抜き出される。
すなわち、この段階では前記したようにストッパブロック55cがロックピン45の上方から退避して相対的にロックピン45がロック凹部56dから離脱可能な状態となっており、これによりシート装置10の連結部40に対して連結板56が下方へ移動可能な状態となっている。このため、シート装置10を接地させた後、さらにシート移動装置50を室外側に作動させることにより、両連結板56,56を連結部40,40に対して下方へ変位させることができる。これにより、ロック爪58,58が下前板44の下端縁から外れ、又ロックピン45がロック凹部56d内から離脱し、さらに連結板56の上端部56cが引き掛け凹部40aから外れて、両連結板56,56を相対的に連結部40から抜き出すことができる状態となる。
【0033】
又、連結分離位置において、シート移動装置50の両連結板56,56がシート装置10の連結部40,40に対して下方に変位すると、受け枠59がシートフレーム20の後ろ枠24から離脱し、これにより位置決めピン105,105が位置決め孔59a,59aから抜き出され、かつ電源コネクタ110のオス側110aとメス側110bが切り離されて、シート装置10に対する電源供給が遮断される。
こうして両連結板56,56が連結部40,40に対して下方へ変位した状態とした後、シート装置10を例えば前方へ移動させれば、当該シート装置10がシート移動装置50から完全に分離された状態となる。以後、このシート装置10を車椅子として単独で使用することができる。
一方、シート装置10を切り離したシート移動装置50は、四節平行リンク機構55,55を室内側に戻す方向に作動して車室内に収容される。
連結分離位置において、シート装置10をシート移動装置50から分離した後、シート装置10の両転倒防止装置200,200を使用位置に取り出しておく。この作業は、前記したように介護者等がロックアーム210をアンロック位置に回動操作して、補助輪ステー201,201を下方の使用位置まで回動させることにより行う。この操作を左右の転倒防止装置200,200について繰り返すことにより、両後輪70,70の後方にそれぞれ補助輪202を位置させることができ、これによりシート装置10の後方への転倒が防止される。
【0034】
以上のように構成した車両用シート1によれば、シート装置10をシート移動装置50から分離して、車室外において車椅子として単独で用いる場合において、両転倒防止装置200,200を使用位置に取り出しておくことにより、着座者がバランスを崩したり、当該シート装置10により坂道を上ることにより当該シート装置10に対して後方へ転倒させる外力が負荷された場合であっても、当該シート装置10の後方への転倒を防止することができる。
【0035】
また、転倒防止装置200,200には、それぞれ連結規制装置としての規制バー215が設けられている。この規制バー215は、転倒防止装置200,200を使用位置に取り出した状態のまま、シート装置10を後退させて連結分離位置に接近させると車両ボディBに当接して、シート装置10の連結分離位置までの後退が規制される。このため、転倒防止装置200,200を使用位置に取り出した状態のままでは、シート装置10をシート移動装置50に連結することができないので、転倒防止装置200,200を収納し忘れたまま、シート装置10を車室内へ移動させることができず、これにより当該転倒防止装置200,200と車両側の他部位との干渉を防止してこれらの損傷等を未然に防止することができる。
転倒防止装置200の収納取り出し操作を、前後輪60,70の折り畳み、取り出し動作に連動して自動的に行われるようにすることによっても同様の目的を達成することができるが、例示した連結規制装置(規制バー215)は、この場合の部品点数の増加やコストアップといった問題を発生することなく、簡易かつ安価な構成で前記した目的を達成することができる点で有益な技術といえる。
【0036】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、転倒防止装置200を左右一対設ける構成を例示したが、左側または右側の片側のみ、あるいはシート装置10の幅方向中央の一箇所にのみ転倒防止装置を設ける構成としてもよい。
また、補助輪支持部材216の2段伸縮機構は、省略してもよい。
さらに、ローラキャッチ220に代えて、他の形態のロック機構を用いてもよい。また、補助輪202を省略して、当該転倒防止装置を単なる脚部(後傾時のつっかえ棒)として機能させることもできる。
また、補助輪ステー201を上下に回動する形態の転倒防止装置200を例示したが、シート装置10の下面側に適当なスペースを確保できる場合には、図4において実線で示す使用位置から図示反時計回り方向に回動させてシート装置10の下面に沿って収納する構成としてもよい。
さらに、補助輪ステー201を固定された支軸203を中心にして回動させる形態を例示したが、回動支点を移動可能に設けることにより適宜上下方向のスライド動作を組み合わせて収納、取り出しする構成とすることもできる。
また、連結規制装置としての規制バー215を転倒防止装置200に設けて、転倒防止装置200の移動を利用して、連結規制位置と連結許容位置とに移動させる構成を例示したが、この連結規制装置は、例えばシート装置10のシートフレーム20にリニアモータ等のアクチュエータを取り付け、このアクチュエータを駆動源として規制部材がシート装置10の連結分離位置への移動を規制する連結規制位置と、許容する連結許容位置との間を移動可能に設け、このアクチュエータを転倒防止装置200の移動に連動して作動させることにより、転倒防止装置200が使用位置にある状態では上記規制部材が連結規制位置に位置してシート装置10の連結分離位置への移動が規制される構成としてもよい。
さらに、シート装置10の連結分離位置への移動を規制することにより、シート装置10のシート移動装置50への連結を規制する構成を例示したが、シート装置10の連結分離位置への移動は許容し、例えば連結板56,56の連結部40,40への挿入を規制することによりシート装置10のシート移動装置50への連結を規制する構成、あるいは連結板56,56の連結部40,40への挿入までは許容されるが、その後の連結板56,56の上昇を規制することによりシート装置10のシート移動装置50への連結を規制する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。本図は、シート移動装置からシート装置を切り離した状態を示している。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用シートを示す斜視図である。本図は、シート移動装置にシート装置を連結してドア開口部を通過させる状態を示している。
【図3】シート装置の全体斜視図である。本図では、シート本体の図示は省略されている。
【図4】シート装置の後部側面図であって、転倒防止装置の側面図である。
【図5】補助輪ステーの支持部の側面図である。本図は、補助輪ステーが使用位置に取り出された状態を示している。
【図6】補助輪ステーの支持部の側面図である。本図は、補助輪ステーが収納位置に収納された状態を示している。
【図7】補助輪ステーの支持部の後面図である。本図は、補助輪ステーが使用位置に取り出された状態を示している。
【図8】補助輪支持部の内部構造を示す断面図である。
【図9】ローラキャッチの側面図である。
【図10】図4の(10)-(10)線断面矢視図であって、連結部に対する補助輪ステーの位置関係を示す図である。
【図11】シート装置の連結部周辺とシート移動装置の連結板周辺の斜視図である。
【図12】連結部に連結板が連結された状態の側面図である。
【図13】シートフレームの後ろ枠がシート移動装置の受け枠に連結される状態を示す斜視図であり、電源コネクタのオス側がメス側に接続される状態及び位置決めピンが位置決め孔に挿入される状態を示す図である。
【図14】シート移動装置の全体斜視図である。
【符号の説明】
1…車両用シート
10…シート装置
11…シート本体
20…シートフレーム
35…連動機構
40…連結部
50…シート移動装置
55…四節平行リンク機構
56…連結板
60…前輪
70…後輪
71…後輪ステー
86…前後輪折り畳み駆動装置
200…転倒防止装置
201…補助輪ステー
202…補助輪
215…規制バー(連結規制装置)
210…ロックアーム
Claims (4)
- 前輪および後輪を備えるシート装置と、車両の室内側に設けられ、該シート装置を連結分離可能で、該シート装置を連結することにより前記シート装置を車室内と車室外との間で移動させることができるシート移動装置を備え、前記シート装置は、車室内に移動させることにより該車室内用のシートとして使用でき、車室外に移動させ、前記シート移動装置から分離させることにより車椅子として使用できる車両用シートであって、
前記シート装置は、使用位置に取り出し可能かつ収納位置に収納可能で、使用位置に取り出した状態で当該シート装置の後方への転倒を防止する転倒防止装置と、該転倒防止装置が前記使用位置に取り出された状態では、当該シート装置の前記シート移動装置に対する連結を規制し、前記転倒防止装置が前記収納位置に収納された状態では、当該シート装置の前記シート移動装置に対する連結を許容する連結規制装置を備えており、
前記転倒防止装置が収納位置にあるときは、前記シート装置が前記シート移動装置と連結された後、車室内まで移動させられる途中で、前記転倒防止装置及び前記連結規制装置が前記車両と干渉しない位置に配置されることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1記載の車両用シートであって、連結規制装置は、シート装置をシート移動装置に連結するための連結分離位置への前記シート装置の移動を規制することにより、該シート装置の前記シート移動装置に対する連結を規制する構成である車両用シート。
- 請求項1記載の車両用シートであって、連結規制装置は、転倒防止装置に設けられ、該転倒防止装置の移動を利用して、シート装置のシート移動装置に対する連結を規制する連結規制位置と、許容する連結許容位置とに移動する構成である車両用シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載した車両用シートであって、転倒防止装置は、上下に回動可能に支持された転倒防止部材を備え、該転倒防止部材は、下方に回動させることによりその先端が前記後輪よりも後方の位置で、地面との間に若干間隔をおいた状態または地面に設置する状態となる使用位置に位置させることができ、上方へ回動させることによりシート装置のシートバック背面に沿った収納位置に位置させることができる構成である車両用シート。
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