JP3751378B2 - 塗布具の筆穂取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、塗布液を貯留する本体軸の先端部に先軸を介して筆穂を取り付けるようにした塗布具の筆穂取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛筆などを模して筆記を行うようにした所謂筆ペンなどをはじめ、画筆、化粧筆、などの塗布具においては、使用時に把持する軸部を筒状に形成し、ここに塗布液を貯蔵して、必要に応じて塗布液を筆穂へと供給するものが知られている。一般にこの種の塗布具では、合成樹脂などからなる多数の線材を束ねて構成し、先軸内へと直接的に挿入して固定するものと、先軸内にこれより小形の筒状部材(中筒)を固定し、その中筒内に筆穂を固定するようにするものの2種類がある。
【0003】
このうち、前者のような筆穂取付構造としては、例えば図7に示すものがある。
同図において、aは塗布液を貯蔵する本体軸であり、この本体軸aの先端部a1には、先軸bが嵌着固定されており、この先軸bの先方部に形成された筆穂挿入孔b1には先細り形状をなす筆穂cが挿入され、次のような構造によって固定されている。すなわち、前記筆穂cの後端部には、円板状の鍔部c1が形成されており、この鍔部c1が前記筆穂挿入孔b1の開口部周縁に係止され、先方への抜脱を防止するようになっている。また、前記先軸bには、吸入筒d及びこれに連通する固定筒eとが嵌着されており、各筒d,eに形成されている導入流路d1,e1によって本体軸a内の塗布液を前記筆穂cへと供給するようになっている。
そして、前記固定筒eは、その先端部によって前記筆穂cの鍔部c1を前記筆穂挿入孔b1の開口部端縁との間で挟持するようになっており、これによって筆穂cは後方への抜脱も阻止され、完全に固定される。
【0004】
しかしながら、上記のような筆穂取付構造にあっては、先軸bの開口部b1の径と筆穂cの穂首c2の外径との関係が極めて重要になる。すなわち、先軸bの開口部b1の径に比べて筆穂cの穂首c2の径が大きい場合には、開口部b1と穂首c2との間に全く空間が存在しないため、空気の流通が妨げられ、流出する塗布液と空気との置換が阻害されて塗布液の円滑な吐出性が損なわれるという問題が発生する。
また、筆穂cの穂首c2の径が小さい場合には、先軸bの開口部b1との間に形成される空間が大きくなり過ぎ、筆穂cの固定状態が不安定になって、筆記時に筆穂ががたつくため使用感覚が極めて悪いものとなり、精緻な筆記、描画などには使用し得ないという問題が生じる。
【0005】
一方、筆穂を直接先軸に固定するものとしては、例えば図8に示すものがある。図において、Aは塗布液を貯蔵する本体軸であり、その先端部A1には先軸Bが固定され、さらにこの先軸Bの先端部内面には、これより小形の中筒Cが一体成形されている。また、前記先軸B内には前記中筒Cより後方(図では右方)に、前後一対の固定筒D,Eが嵌着されるようになっており、これによって前記筆穂Fが固定されている。すなわち、前記筆穂Fを先軸B内に固定する場合には、先軸B内に一方の固定筒Dを固定した後、その中央部に形成した挿通孔D1及び中筒C内に後方から筆穂Fを挿入し、筆穂Fの後端部に形成した鍔部F1を前記固定筒Dの開口部D1の端縁に係止させる。
【0006】
この後、他方の固定筒Eを先軸B内に嵌着させ、その先端部にて筆穂Fの鍔部F1を挟持固定する。これにより、筆穂Fは前後両方向への抜脱移動を阻止されると共に、その穂首F2が中筒によって保持される。
なお、Gは前記本体軸A内に設けられた塗布液流出機構であり、前記本体軸A内に貯蔵された塗布液を固定筒D,Eの中心部に形成された塗布液導入路Hへと流入させ、筆穂Bへと供給するようになっている。また、Iは前記筆穂の後方部に設けた筒状の塗布液保留部で、ここに塗布液を保留させながら穂首へと塗布液を供給することにより、塗布液供給の安定化を図り得るものとなっている。
【0007】
このように、先軸Bによって直接筆穂Fを保持させず、中筒Cを介して筆穂Fの穂首F2を保持させるようにした上記塗布具においては、中筒Cの保持力によって穂首F2を安定して保持することができ、しかも、中筒Cと先軸Bとの間に筒状の空間Sが形成され、この空間Sが塗布液と空気との置換を行う空気通路となるため、円滑に塗布液を吐出させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示す従来の塗布具の筆穂取付構造において、粘性の高い塗布液を使用した場合には、塗布液が筆穂Fだけでなく前記空気流路S内へも流出することがあり、この際に塗布液が中筒の外周面から外部へと滴下され、用紙や手などが汚れたり、塗布液が無駄になったりするという問題があり、極めて扱いにくいものとなっていた。
また、上記のように外部へと塗布液が滴下された場合には、筆穂への塗布液の供給量が減少するため、筆記追従性に欠けるという問題も生じる。殊に、近年、頻繁に使用される傾向にある顔料系のインクを塗布液として使用したものにあっては、その粘度の高さから筆記追従性の低下は顕著なものとなる。
【0009】
本願発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたもので、筆穂を安定して保持することができると共に、高粘度の塗布液を使用した場合にも塗布液を無駄にすることなく確実に筆穂へと供給することができる安価に製造可能な塗布具の筆穂取付構造の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明は以下の手段を備える。
すなわち、本願発明は、塗布液を貯蔵する筒状の本体軸と、前記本体軸の先端部に連結されると共に、本体軸の内部空間に連通する筒状の先軸と、前記先軸の先方部内方に一体形成された中筒と、前記中筒の後端より挿入されて穂首が前端より突出すると共に、後端部に前記中筒後端に係止される鍔部を有する筆穂と、前記先軸内に嵌合固定され、その先端部と前記中筒後端との間で前記筆穂の鍔部を挟持固定すると共に、内部に前記本体軸の内部空間と連通する塗布液導入路を形成してなる筒状の固定部材と、前記中筒外面と先軸内面との間に形成される間隙を前記塗布液導入路に連通させてなる空気通路とを備え、前記本体軸から塗布液導入路へと塗布液を圧送することにより、前記空気通路にて塗布液導入路と外部空間との空気の流通を行いつつ、塗布液を前記筆穂へと送給するようにする一方、前記空気通路の先端部を構成する前記中筒の先端部を前記先軸の先端より内方に位置させることにより、前記空気通路の内部に流入した塗布液を前記空気通路の先端部から筆穂へと導く還流部を形成したことを特徴とする塗布具の筆穂取付構造である。
【0011】
このように、上記構成を有する本願発明によれば、先軸内に一体に形成された中筒が筆穂をがたつきなく保持することができ、良好な筆記感覚を得ることができ、しかも、筆記によって行うべき塗布液と空気との置換は、先軸と中筒との間の空気通路によって確実に行うことができるため、塗布液の供給も円滑に行うことができる。また、前記筆穂の鍔部は、先軸に一体形成された中筒の後端部と先軸内に嵌着された固定部材とによって挟持固定するものとなっているため、鍔部のための取付構造を極めて単純化することができ、その組み立て作業も簡略化される。
【0012】
さらに、塗布液が高粘度であり空気通路内に塗布液が侵入したとしても、その塗布液を、空気通路に設けた還流部によって再び筆穂へと還流させるようにすれば、塗布液が外部へと無駄に滴下することもなくなるため、筆記距離が向上すると共に、用紙や使用者の手が汚れることもなくなり、使用し易いものとなる。
還流部としては、前記中筒の先端部を前記先軸の先端より内方に位置させることにより形成し、前記空気通路先端に達した流体を筆穂へと導くようにしても良いし、前記中筒の後方部に形成したスリットによって形成し、空気通路後方に流入した液体を筆穂へと導くようにしても良い。
【0013】
また、前記筆穂の穂首としては、ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂などの合成樹脂からなる多数本の線材によって先細り形状に形成すると共に、後端部を溶融させて円板状に形成し、その後端部中央に前記固定部位の塗布液供給路に連通する塗布液導入穴を形成することが考えられ、さらに筆穂を構成する各線材の外面部に複数の突条を形成することにより、液体の保留性を高めるようにすることも考えられる。
さらに、先軸によって設けられる前記中筒を、筆穂の先細り形状に沿ってテーパ形状をなすよう形成すれば、筆穂の保持状態が極めて安定する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1ないし図3は本願発明の第1の実施形態を示す図で、図1はこの第1の実施形態を示す一部縦断側面図、図2(a)及び(b)は図1に示した先軸の形状を示す縦断側面図及び背面図、図3(a)及び(b)は図1に示した筆穂の一部縦断側面図及び背面図である。
【0015】
この第1の実施形態における塗布具は、図1に示すように、塗布液を内蔵してなる有底筒状の本体軸1と、この本体軸1の先端部に固定された先軸2と、この先軸2の内方に挿入固定された筆穂3とを備え、これらによってその外郭が形成されている。
そして、前記先軸2は、図2(a),(b)に示すような形状をなしている。すなわち、先軸2の後方部(図では右方部)2aは円筒形状をなし、その内面には雌ねじ部2a1が形成されている。この雌ねじ部2a1は、前記本体軸1の先端部1aに形成された雄ねじ部1a1と螺合し、本体軸1に固定されるようになっている。なお、本体軸1の先端部1aは他の部分1bより小径に形成されているが、他の部分(外面部)1bの外径は前記先軸2と同径となっているため、本体軸1と先軸2とを螺合させた状態で両部材による外面形状は滑らかに連続したものとなる。
【0016】
また、先軸2の先方部2bの内方には、前記後方部2aと同心に円筒状の中筒2cが設けられている。この中筒2cは、円周方向に沿って90度の角度間隔毎に形成されたリブ2dによって先軸2の内面に連結されており、この中筒2c及びリブ2dは前記先軸2に一体成形されたものとなっている。そして、前記先軸2の内面と中筒2cとの間には、中筒2cの後方に形成される空間S1と連通する空気通路S3が形成されている。また、前記中筒2cの挿通孔S2は、前記筆穂3の穂首3aの後部の横断面積より若干小径に形成されており、ここに挿入した筆穂3の後部と隙間なく接するようになっている。
また、前記筆穂3は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂によって形成された多数の線材を束ねてなり、全体として図3に示すように先細り形状をなすと共に、その後端部には円板状の鍔部3bが形成されている。この鍔部3bは、筆穂3の後端部を熱によって溶融させて成形することにより形成されており、その中央部には液体供給穴3cが形成されている。なお、鍔部3bは円環状の部材を接着することによって形成しても良い。
【0017】
一方、前記空気通路S3は、その先端部が内部の流体を筆穂3側へと導く形状をなしている。すなわち、前記空気通路S3の先端部を構成する中筒2cの先端2c1は、先軸2の先端2b1より内方に位置し、筆穂3を先軸2内で露呈させるものとなっており、これによって、空気通路S3の先端部S31から排出される流体を筆穂3に向けて流出させるようになっている。この空気通路S3内に流入する流体としては、空気の外に、本体軸1内から流入する塗布液である場合もあり、その場合には、空気通路S3の先端部S31は塗布液を筆穂3の先端部へと還流させる還流部として作用する。
【0018】
前記中筒2c内に挿入された筆穂3は、その鍔部3bが前記中筒2cの端面に当接して前方への抜脱を阻止すると共に、後方への抜脱を中筒2cの後方に位置する空間S1内に挿入された固定部材5によって阻止するようになっている。すなわち、この固定部材5は円筒形状をなし、その中央部には、円形の横断面形状をなす塗布液導入路5aが形成されると共に、その塗布液導入路(液体導入路)5aの先端部周縁部には、環状の嵌合凸部5bが形成されている。この嵌合凸部5bは、先軸2内の前記空間S1内に前記固定部材5を挿入することにより、前記筆穂3の鍔部3b後面に当接するようになっており、これによって筆穂3の後方への抜脱を阻止する。また、固定部材5の先端部には、前記塗布液導入路5aと前記空気通路S3とを連通させる微小な空気流通溝5cが所定の間隔を介して複数個形成されている。
なお、前記空間S1内に挿入された固定部材5は、先軸2と本体軸1との螺合により、本体軸1内に収納された後述のバルブ機構6によって後端部を押圧され、前記嵌合凸部5bが筆穂3の鍔部に圧接した状態で固定されるようになっている。
【0019】
また、前記本体軸1に収納されたバルブ機構6は、次のように構成されている。
すなわち、前記本体軸1の先端部1aの内方には、有底筒状をなすと共に底部に塗布液導入口(塗布液流入口)7aを形成してなる弁座7が固定され、さらにこの弁座7には、鍔部8aを有する筒状のバネ受け8が固定されている。また、前記弁座7の塗布液導入口7aには、弁体9が挿通されている。この弁体9は円錐台状の弁頭9aと棒状の弁棒9bとよりなり、弁棒9bは、本体軸1の中心部に固定された筒状の中継軸10内に進退可能に挿入されている。また、弁頭9aは前記弁座7内に位置し、前記ばね受け8との間に介在させた圧縮ばね11によって常には前記塗布液導入口7aを閉塞するよう付勢されている。
以上、弁座7、バネ受け8、および弁体9によってバルブ機構6が構成されている。
【0020】
また、前記本体軸1の後端部には、前記バルブ機構6におけるバルブ9の開閉及び液体の送給、遮断を行うために、次のような構成を有するノック機構が設けられている。
このノック機構において、前記本体軸1の後端部には、先側尾端軸12の先端部12aが挿入固定されており、その先側尾端軸12の外周面には、後側尾端軸13の前端部13aが螺合している。そして、先側尾端軸12の後端部内面に形成された突起部12bには、開傘形状をなす弾性体14の周縁部が密着固定されている。この弾性体14の中央部14aは前側尾端軸12の後端より後方へと突出しており、弾性体14における中央部14bの内面には、中継軸10の後端部が挿入されている。
また、前記後側尾端軸13には、内外両筒部15a,15bを一体形成してなるノックキャップ15が軸線方向に沿って移動可能に挿入されている。このノックキャップ15の内筒部15bの先端部内には、弾性体14の中央部14aが挿入固定されている。
以上、前記中径軸10、圧縮ばね11、先側尾端軸12、後側尾端軸13、弾性体14、およびノックキャップ15によりノック機構が構成されている。
なお、ノック操作を行い易くするため、後側尾端軸13の後端部には斜めに形成された切欠部16bが形成されている。
なお、図中、4は前記筆穂3の周囲を覆うための円筒状のキャップであり、前記先軸2の先方部に着脱可能に合するようになっており、嵌合時には、先軸2の後方部の外周面と前記キャップの外周面とが連続した滑らかな外面形状を呈するものとなっている。
【0021】
上記のように構成された第1の実施形態において、本体軸1内の塗布液を筆穂3へと供給、遮断する場合には、ノックキャップ15を指などで押圧、解放することによって行うことができる。すなわち、ノックキャップ15を押圧すると、中継軸10を介して弁体9が圧縮ばね11に抗して先方へと移動する。これにより、弁頭9aが弁座7の塗布液導入口7aを開状態とすると共に、弾性体14がノックキャップ15に押圧されて変形し、本体軸1内の圧力を高めるため、塗布液は弁座7内へと流入する。そして、固定部材5内に流入した塗布液は、ばね受け8の内方及びこれに連通する固定部材5の塗布液導入路5a内を通過して筆穂3に供給され、筆穂3は塗布液が浸透した状態となり筆記可能となる。また、ノックキャップ15への押圧力を解除すれば、弁体9が圧縮ばね11の付勢力によって初期位置に復帰するため、中継軸10を介して弾性体14及びノックキャップ15も初期位置に復帰する。これにより、弁体9塗布液導入口7aを閉塞するため、本体軸1からの塗布液の流出は遮断される。
【0022】
ところで、本体軸1内に貯蔵されている塗布液が粘性の高いものであった場合には、筆穂3への塗布液の浸透時に生じる抵抗が増大し、塗布液導入路5aにおける塗布液の圧力が高まるため、塗布液が固定部材5の空気流通溝5cを経由して前記空気通路S3内へも流入することがある。この塗布液は空気通路S3の先端部S31から流出されるが、この第1の実施形態においては、前述のように空気通路S3の先端部S31に達した流体がこの空気通路S3の先端部(還流部)S31を経て筆穂3へと導かれ、筆穂3に吸収される。このため、塗布液が不用意に周辺に滴下し、用紙が汚れたり、塗布具周面が汚れて使用者の手が汚れたりすることはなくなり、極めて取り扱い易いものとなる。また、塗布液は全て筆記に供されることとなるため、塗布液が無駄に消費されることもなくなり、予め設定した所望の筆記距離が得られる。
【0023】
また、この第1の実施形態においては、筆穂3を、先軸2に一体形成した中軸と固定部材5との僅か二部材で保持、固定するものとなっているため、極めて安価に製造し得ると共に、筆穂3の固定作業も極めて容易に行うことができる。すなわち、筆穂3を固定する場合には、中筒2c内にその後方から筆穂3を挿入した後、固定部材5を中軸の後方に形成される空間S1内に挿入し、その状態で弁機構を収納した本体軸1の先端部を先軸2の後方部に螺合させれば良く、これによって筆穂3の鍔部3bは固定部材5の凸部5bと中筒2cの開口部端縁との間で挟持され、抜脱不能に確固に固定される。しかも、中筒2cには筆穂3の後部が隙間なく挿入されたものであるため、がたつきのない安定した保持状態を得ることができる。
【0024】
さらに、中筒2cと先軸2との間には固定部材5の塗布液導入路5aと連通する空気通路S3が形成されており、塗布液の使用に伴う空気の流通が可能となっているため、塗布液と空気との置換をこの空気流路を用いて適正に行うことができ、塗布液を円滑に筆穂3へと供給することができる。
このように、筆穂3の安定した固定状態と塗布液の円滑な供給とが得られるため、この第1の実施形態では良好な筆記感覚を得ることができる。
【0025】
次に、本願発明の第2の実施の形態を図4及び図5に基づき説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における先軸2に替えて、図4及び図5に示すような先軸20を設けたものとなっている。なお、各図中、上記第1の実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。
図示のように、この第2の実施の形態における先軸2には、第1の実施形態と同様にリブ2dを介して連結される中筒2cが先軸2と一体形成されているが、ここに示す中筒20cは、その前方部内面20c1が筆穂3の穂首に合致するようテーパ形状に形成すると共に、後端部から内方ヘ向けて所定の長さ及び幅を有するスリットS32を複数箇所(ここでは4箇所(図5(b)参照))に形成し、このスリットS32を他方の還流部としたものとなっている。
なお、先軸20と中筒20cとの間に空気通路S3が形成される点、及び先軸20の先端より中筒20cの先端が内方に位置して空気通路S3の先端部(還流部)S31を形成する点などをはじめ、その他の構成は上記第1の実施形態と同様である。
【0026】
上記のような先軸20を有するこの第2の実施形態によれば、中筒20cにおけるテーパ形状によって、中筒20cの内面全体が筆穂3を保持するため、上記第1の実施形態に比し、一層、安定した筆穂保持状態を得ることができる。また、中筒20cに形成した複数のスリットS32が、空気流路内に流入した塗布液を空気通路S3の先端部(環流部)S31に到達する手前で筆穂3へと導くため、より迅速かつ確実に塗布液を筆穂3に吸収させることができ、空気通路S3からの不用意な塗布液の漏出を防止することができる。また仮に、空気通路S3の先端部( 環流部)S31に塗布液が到達したとしても、この塗布液は、上記第1の実施の形態と同様に空気通路の先端に形成した一方の先端部(還流部)S31によって筆穂3へと導かれ、ここでも塗布液の吸収を行うため、塗布液が外部へと滴下されることは完全に防止される。
【0027】
なお、上記各実施の形態においては、テーパ形状をなす断面円形の筆穂3を用いた塗布具を例にとり説明したが、筆穂の断面形状を円形以外の形状に形成することも可能であり、本願発明は、筆穂を有するものであれば種々の塗布具に有効である。
また、筆穂を形成する各線材31に関しても、通常用いられる円形の横断面形状をなすものに限らず、その他の断面形状をなすものを適用することもできる。
例えば、図6(b)に示すように、各線材31の外面に複数の突条32を形成し、その断面形状を星形に形成した線材31を適用しても良く、このような表面積の大なる形状の線材を用いれば、塗布液の保留量が各線材31の突条32間などに保留されて増大するため、筆穂3の乾燥を抑えることができ、記載可能状態を長期に亘って維持することができる。また、顔料等の固形成分が含まれた高粘度の塗布液を使用した場合には、各突条31a間に塗布液が保留されるため、塗布液の追従性が良くなり、筆記感覚の向上を期待できる。なお、図6において、(a)は筆穂3に用いられる線材31の先端部付近における側面形状を示し、同図(b)は同図(a)に示した線材31のx1−x1線断面、x2−x2線断面、x3−x3線断面、及びx4−x4線断面をそれぞれ示している。
【0028】
また、上記各実施の形態においては、筆穂3の鍔部3bを挟持する固定部材5を、本体軸1に固定されたばね受け8にて押圧固定するようにしたが、固定部材5は先軸2に接着剤などを用いて固定しても良いし、先軸2と固定部材5とに互いに嵌合可能な凹部及び凸部を設け、両者の嵌合によって固定部材5と先軸2とを抜脱不能に固定するようにしても良く、固定部材5の固定手段としてはいかなる手段も適用可能である。
この他、本願発明は、上記各実施形態に示したバルブ機構及びノック機構を備えた塗布具に限らず、他の構成を有するバルブ機構及びノック機構を備えた塗布具にも適用可能であり、さらにはバルブ機構及びノック機構を備えていない塗布具にも適用可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願発明によれば、先軸内に中筒を一体に形成し、かつ先軸と中筒との間に形成される空間によって空気通路を形成するようにしたため、中筒によって筆穂をがたつきなく保持することができ、しかも塗布液の消費に伴う塗布液と空気との置換を前記空気通路によって確実に行うことができるため、塗布液の供給を円滑に行うことができ、優れた筆記感覚を得ることができる。また、前記筆穂の鍔部は、先軸に一体形成された中筒の後端部と先軸内に嵌着された固定部材とによって挟持固定するものとなっているため、鍔部の固定構造を単純化することができ、その組み立て作業も簡略化されるため、製造コストを大幅に低減することができる。
【0030】
さらに、上記空気通路に、その内部に流入した塗布液を筆穂に還流させる還流部を設ければ、例え塗布液が高粘度であったとしても、空気通路内に侵入した塗布液が外部へと滴下されるなどして無駄に消費されることもなくなり、塗布具としての筆記距離を事実上増大させることができると共に、使用者の手や用紙などが汚れることもなくなり、取り扱い易いものとなる。
【0031】
また、筆穂を構成する各線材の外面部にその長手方向に沿って複数の突条を形成すれば、塗布液の保留性を高めることができ、格別に塗布液貯留部材などを筆穂に設けなくとも十分な筆記距離が得られると共に、塗布液の追従性も高まり、塗布感覚は一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の塗布具の筆穂取付構造に係る第1の実施の形態を示す一部縦断側面図である。
【図2】 (a)は図1に示した先軸の形状を示す縦断側面図、(b)は同図(a)に示したものの背面図である。
【図3】 (a)は本願発明の塗布具の筆穂取付構造に適用する筆穂の一部縦断側面図、(b)は同図(a)に示したものの背面図である。
【図4】 本願発明の塗布具の筆穂取付構造に係る第2の実施の形態を示す一部縦断側面図である。
【図5】 (a)は図4に示した先軸の形状を示す縦断側面図、(b)は同図(a)に示したものの背面図である。
【図6】 (a)は図1または図4に示した筆穂に用いられる線材の一部縦断側面図、(b)同図(a)に示したものx1−x1線断面、x2−x2線断面、x3−x3線断面、及びx4−x4線断面を示す図である。
【図7】 従来用いられている塗布具の筆穂取付構造の一例を示す一部縦断側面図である。
【図8】 従来用いられている塗布具の筆穂取付構造の他の例を示す一部縦断側面図である。
【符号の説明】
1 本体軸
1a 先端部
2 先軸
2c 中筒
3 筆穂
3a 穂首
3b 鍔部
3c 塗布液導入穴
5 固定部材
5a 塗布液導入路
6 バルブ機構
7 弁座
7a 塗布液導入口
20 先軸
20c 中筒
31 線材
32 突条
S3 空気通路
S31 空気通路の先端部(還流部)
S32 スリット(還流部)
Claims (6)
- 塗布液を貯蔵する筒状の本体軸と、
前記本体軸の先端部に連結されると共に、本体軸の内部空間に連通する筒状の先軸と、
前記先軸の先方部内方に一体形成された中筒と、
前記中筒の後端より挿入されて穂首が前端より突出すると共に、後端部に前記中筒後端に係止される鍔部を有する筆穂と、
前記先軸内に嵌合固定され、その先端部と前記中筒後端との間で前記筆穂の鍔部を挟持固定すると共に、内部に前記本体軸の内部空間と連通する塗布液導入路を形成してなる筒状の固定部材と、
前記中筒外面と先軸内面との間に形成される間隙を前記塗布液導入路に連通させてなる空気通路とを備え、
前記本体軸から塗布液導入路へと塗布液を圧送することにより、前記空気通路にて塗布液導入路と外部空間との空気の流通を行いつつ、塗布液を前記筆穂へと送給するようにする一方、
前記空気通路の先端部を構成する前記中筒の先端部を前記先軸の先端より内方に位置させることにより、前記空気通路の内部に流入した塗布液を前記空気通路の先端部から筆穂へと導く還流部を形成したことを特徴とする塗布具の筆穂取付構造。 - 還流部は、前記空気通路の先端部を構成する前記中筒の先端部を前記先軸の先端より内方に位置させることにより形成される他、前記中筒の後方部に形成したスリットによって形成され、空気通路後方に流入した流体を筆穂へと導くことを特徴とする請求項1記載の塗布具の筆穂取付構造。
- 筆穂は、その穂首を合成樹脂からなる多数本の線材によって先細り形状に構成すると共に後端部を溶融させて円板状に成形し、その後端部中央に前記固定部材の塗布液導入路に連通する塗布液導入穴を形成してなることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布具の筆穂取付構造。
- 筆穂を構成する各線材の外周面にその長手方向に沿って複数の突条を形成したことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の塗布具の筆穂取付構造。
- 筆穂を構成する各線材は、ポリエステル樹脂、またはポリアミド樹脂によって形成されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の塗布具の筆穂取付構造。
- 中筒の内面は、筆穂の先細り形状に沿ってテーパ形状をなすことを特徴とする請求項3ないし5いずれか記載の塗布具の筆穂取付構造。
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