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JP3632778B2 - (2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体 - Google Patents

(2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体 Download PDF

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JP3632778B2
JP3632778B2 JP30483894A JP30483894A JP3632778B2 JP 3632778 B2 JP3632778 B2 JP 3632778B2 JP 30483894 A JP30483894 A JP 30483894A JP 30483894 A JP30483894 A JP 30483894A JP 3632778 B2 JP3632778 B2 JP 3632778B2
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政志 大澤
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的液晶表示用、特にネマチック液晶表示用材料として有用な(2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体である新規液晶性化合物及びその製造中間体に関し、更にそれを含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があり、また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクティブマトリックス方式が実用化されている。これらの表示方式、駆動方式に応じて、液晶材料としても種々の特性が要求されているが、(1)温度範囲が広いこと、及び(2)粘性が小さいことはすべての方式に共通して重要な要求特性である。このうち(1)には(1a)ネマチック相上限温度(TN−I)が高いこと、及び(1b)融点が低く、結晶化あるいは析出等の相分離を生じ難いことが含まれる。
【0003】
現在までのところ、こうした要求特性を単独で満たす液晶化合物は知られておらず、多種の液晶化合物の混合物として用いられているのが実情である。これまで開発されてきた液晶化合物は多岐に及ぶが、上記(1)、(2)の条件を比較的満足できる3環性の化合物として、4−(2−フェニルエチル)ビシクロヘキサン(CCEP)骨格を有する化合物が比較的よく用いられている。
【0004】
このCCEP骨格を有する化合物は、TN−Iが比較的高く、その粘性も3環性化合物としては比較的小さいといった特長を有する。しかしながら、その低温特性に関しては、他の液晶化合物と比較して特に優れていたわけではなかった。
【0005】
液晶材料の融点を降下させるためには、多数の化合物を混合し、液晶組成物の構成成分数を多くすることが効果的であり、例えばCCEP骨格の特性を有しながら、その成分数を増加するために、末端アルキル基の炭素原子数を変化させた同族体を用いる方法が使われている。しかしながら、同族体はその炭素原子数の違いによりそのTN−Iや粘性が互いに異なるうえに、同族体のみの混合だけでは、低温において結晶の析出をしにくくすることは、極めて困難であるのが実状である。また、低粘性の2環性液晶化合物として、2−シクロヘキシルエチルベンゼン(CEP)骨格を有する化合物もよく用いられているが、相溶性の点ではこれまた決して充分満足できるものではない。更に4環性高温液晶として用いられる4−(2−フェニルエチル)ターシクロヘキサン(CCCEP)骨格を有する化合物においても同様の性質を示す傾向にあった。
【0006】
従って、CCEP骨格(あるいはCEP、CCCEP骨格)を有する液晶化合物と同等の特性を有しながらその融点が低下するか、あるいは低温でも結晶化し難く、他の液晶化合物の相溶性が改善された液晶性化合物が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、以上の目的に応じるため、(2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体である液晶性化合物を提供し、更にこれを用いて低粘性で液晶温度範囲が広い、特に低温で析出、相分離等が生じにくい液晶組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0009】
【化3】
Figure 0003632778
【0010】
(式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、nは0、1又は2の整数を表わし、X、X及びXはそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Yは水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−R、−OR、−OCN、−CF、−OCF、−OCFH又は−OCHCFを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表わされる(2−シクロヘキシル)プロピルベンゼン誘導体を提供する。
【0011】
本発明に係わる一般式(I)の化合物のうち、Xが水素原子であることが好ましく、このとき、Yはフッ素原子、塩素原子、−R、−CF、−OCF、−OCFH又は−OCHCFを表わすことが好ましく、フッ素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は−OCFを表わすことが更に好ましい。
【0012】
また、X及びXが共に水素原子であることが好ましく、X、X及びYのうち、少なくとも2個がフッ素原子であることが同様に好ましい。
更に、nが1であることが好ましく、また、Rが炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基であることが好ましい。
【0013】
一般式(I)はそのR、n、X、X、X及びYの選択により多数の化合物を含みうるわけであるが、その中でも以下に記載する一般式(Ia)〜(Im)
【0014】
【化4】
Figure 0003632778
【0015】
【化5】
Figure 0003632778
【0016】
(式中、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表わす。)で表わされる化合物が好ましく、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)が特に好ましい。
【0017】
一般式(I)の化合物はそのR、n、X、X、X及びY、特にYに応じて以下のようにして製造することができる。なお、以下に示す製造方法において、Rは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。
イ) 一般式(I)において、Y=水素原子、フッ素原子、R、−OR、−CF、−OCF、−OCHCFの場合
Yが上記の場合、これらの基はグリニヤール反応剤あるいはフェニルリチウム反応剤に対して不活性であるので、一般式(III)
【0018】
【化6】
Figure 0003632778
【0019】
(式中、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Yは水素原子、フッ素原子、R、−OR、−CF、−OCF又は−OCHCFを表わし、MはMgBr、MgI又はLi原子を表わす。)で表わされる有機金属反応剤を直接、一般式(II)
【0020】
【化7】
Figure 0003632778
【0021】
(式中、R及びnは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるアルデヒド誘導体と反応させることにより得ることができる。
【0022】
【化8】
Figure 0003632778
【0023】
即ち、一般式(II)及び一般式(III)の化合物を反応させ、酸触媒存在下に脱水させた後に、接触還元により水素添加することにより得ることができる。
【0024】
あるいは有機金属反応剤として、上記製造方法において、一般式(III)に換えて一般式(III’)
【0025】
【化9】
Figure 0003632778
【0026】
(式中、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Y及びMは一般式(III)におけると同じ意味を表わす。)を用い、一般式(II)のアルデヒド誘導体に換えて、一般式(II’)
【0027】
【化10】
Figure 0003632778
【0028】
(式中、R及びnは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるアセチルシクロヘキサン誘導体を用いることによっても、一般式(I)において、Y=水素原子、フッ素原子、R、−OR、−CF、−OCF、−OCHCFの化合物を得ることができる。しかしながら、後者の方法では脱水及び水素添加の工程においてシクロヘキサン環が一部異性化するので、前者の方法がより好ましい。
ロ) 一般式(I)において、Y=−OR、−OCHCFの場合
【0029】
【化11】
Figure 0003632778
【0030】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Yは−OR、−OCHCFを表わす。)
イ)において、一般式(III)あるいは一般式(III’)において、Y=−OCHである化合物を用い、同様にして一般式(I)において、Yが−OCHである化合物を得ることができる。これを脱メチル化(ヨウ化トリメチルシリル、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、臭化水素酸等を用いることができる。)して、一般式(Ioh)のフェノール誘導体を得る。この一般式(Ioh)を塩基存在下に、RWあるいはWCHCF(式中、Wは臭素原子、ヨウ素原子又はp−トルエンスルホニル基等の脱離基を表わす。)と反応させることにより、一般式(I)において、Y=−OR及び−OCHCFの化合物を得ることができる。
【0031】
あるいは、一般式(Ioh)のフェノール誘導体は、後述の一般式(Inh)のアニリン誘導体を、硫酸水溶液中で亜硝酸ナトリウムと反応させてジアゾニウム塩とし、これを分解することによっても得ることができる。
ハ) 一般式(I)において、Y=−OCFHの場合
【0032】
【化12】
Figure 0003632778
【0033】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
ロ)で得た一般式(Ioh)を蟻酸エステルとし、これを三フッ化ジメチルアミノ硫黄(DAST)等によりフッ素化することにより得ることができる。
ニ) 一般式(I)において、Y=−CNの場合
【0034】
【化13】
Figure 0003632778
【0035】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
一般式(I)において、Yが水素原子である一般式(Ih)の化合物を、ルイス酸存在下にシュウ酸クロリドと反応させて酸クロリドとし、次いでアンモニアと反応させることにより一般式(Iam)のアミド誘導体が得られる。これを塩化チオニル等で脱水することにより、一般式(I)において、Y=−CNの化合物を得ることができる。
【0036】
【化14】
Figure 0003632778
【0037】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
あるいはこの中間体である酸クロリドは、一般式(Ih)の化合物をアセチル化した後、アルカリ水溶液中、臭素で酸化して一般式(Ica)のカルボン酸誘導体とし、次いで塩化チオニル等の塩素化剤と反応させても得ることができる。
【0038】
【化15】
Figure 0003632778
【0039】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
あるいは一般式(Ih)の化合物を、ヨウ素及び過ヨウ素酸により直接ヨウ素化し、次いでシアン化銅(I)と反応させることによっても、一般式(I)において、Y=−CNの化合物を得ることができる。
ホ) 一般式(I)において、Y=Clの場合
【0040】
【化16】
Figure 0003632778
【0041】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
塩素の活性度が低い場合にはイ)と同様にして得ることもできる。しかしながら、より一般的には、前記の一般式(Iam)のアミド誘導体をアルカリ水溶液中で臭素と反応させることにより、一般式(Inh)のアニリン誘導体を得て、これを塩酸存在下に亜硝酸ナトリウムと反応させてジアゾニウム塩とし、更にこれを塩化銅(I)により分解することにより、一般式(I)において、Y=Clの化合物を得ることができる。
ヘ) 一般式(I)において、Y=−OCNの場合
【0042】
【化17】
Figure 0003632778
【0043】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
前記の一般式(Ioh)のフェノール誘導体を、トリエチルアミン等の塩基性物質存在下に臭化シアンと反応させることにより、一般式(I)において、Y=−OCNの化合物を得ることができる。
【0044】
上記の各製造工程において、X及びXの少なくとも一方がフッ素原子である場合に、イ)の工程では、対応する一般式(II)の化合物が入手しにくい場合がある。あるいはニ)の工程では、Yで表わされる置換基を必ずしも望みの位置に選択的に導入しにくい場合もある。こうした場合には、下記の製造方法によって得ることができる。
【0045】
【化18】
Figure 0003632778
【0046】
(式中、R、n、X、X及びXは一般式(I)におけると同じ意味を表わす。)
前記の一般式(Ih)をブチルリチウム等でリチオ化して、一般式(Ili)のフェニルリチウム誘導体とし、ここで例えば一般式(I)において、Yがアルキル基の場合、これを直接アルキル化すればよい。
【0047】
また、例えば、一般式(Ih)の化合物を二酸化炭素と反応させることにより、一般式(Ica)のカルボン酸誘導体を得て、これから前述と同様の方法により、一般式(I)において、Y=CNの化合物を得ることができる。
【0048】
ここで中間体として用いられた一般式(II)のアルデヒド誘導体は新規な化合物であり、前述の一般式(II’)のアセチルシクロヘキサン誘導体に一般式(IV)
【0049】
【化19】
Figure 0003632778
【0050】
のウィッティヒ反応剤を反応させ、次いで加水分解することにより得ることができ、本発明はこの化合物をも提供するものである。
斯くして製造された一般式(I)で表わされる化合物の代表的なものの例を第1表に掲げる。
【0051】
【表1】
Figure 0003632778
【0052】
(表中、Cは結晶相を、Sはスメクチック相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
第1表中の(No.1)の化合物と、対応するCCEP骨格を有し(No.1)の化合物と類似構造を有する式(R−1)
【0053】
【化20】
Figure 0003632778
【0054】
の化合物の相転移温度は以下の通りである。
C 24.0℃ S 49.5℃ N 115.0℃ I
(Cは結晶相を、Sはスメクチック相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相を表わす。)
上記の式(R−1)の化合物及び本発明の(No.1)の化合物を比較すると、(No.1)の化合物は連結基のエチレン基にメチル分岐基を導入したにもかかわらず、そのネマチック相上限温度(TN−I)はわずか約14℃しか低下していなかった。
【0055】
また、液晶化合物の連結基中にメチル分岐基を導入して、その転移温度を比較した例を以下に示す。
式(A−1)及び式(A−2)
【0056】
【化21】
Figure 0003632778
【0057】
で表わされるスチルベン誘導体の相転移温度は以下の通りである。
式(A−1) C 80.0℃ S 80.5℃ N 126.0℃ I
式(A−2) C 209.0℃ (N 189.0℃) I
(C、S、N及びIは上記におけると同じ意味を表わし、()はモノトロピックな相であることを表わす。)
一方、式(A−1)及び式(A−2)にメチル基を導入した式(B−1)及び式(B−2)
【0058】
【化22】
Figure 0003632778
【0059】
の化合物の相転移温度は以下の通りである。
式(B−1) C 40.0℃ C 72.0℃ N 82.0℃ I
式(B−2) C 106.0℃ N 121.0℃ I
(C、N、及びIは上記におけると同じ意味を表わし、C及びCはそれぞれ異なる結晶相を表わす。)
これらの化合物を比較すると、メチル分岐基の導入された式(B−1)及び式(B−2)のTN−Iは30℃以上も低下している。
【0060】
従って、本発明の第1表中の(No.1)の化合物が高いTN−Iを保っていることは驚くべきことであるといえる。
また、この(No.1)の化合物におけるメチル分岐基が、式(R−1)の化合物のエチレン結合のどちらの炭素原子に結合しているかは非常に重要であって、例えば(No.1)の化合物と類似構造を有するが、そのメチル分岐基の位置が逆である式(R−2)
【0061】
【化23】
Figure 0003632778
【0062】
の化合物は室温で油状であって、全く液晶性を示さない。(外挿によるTN−Iは約−60℃であった。)これらの事実は本発明者らがはじめて明らかにしたことであって、これまでは予想がつかなかったことである。
【0063】
第1表中の(No.1)の化合物の融点は47℃と、式(R−1)の24℃と比較してかなり高くなっている。このことは、他の液晶化合物との相溶性や液晶組成物における析出や相分離のうえで決して有利ではないように考えられるが、実際には(No.1)の化合物の相溶性は式(R−1)よりかなり優れており、析出や相分離の生じにくい組成物をより容易に調製することが可能である。
【0064】
一般式(I)の化合物の効果は、例えば以下の例からも明らかである。
アクティブマトリックス駆動用として好適な低粘性ホスト液晶(H)
【0065】
【化24】
Figure 0003632778
【0066】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)のネマチック相上限温度(TN−I)は116.7℃であり、これを用いて作製したセル厚6μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は2.14Vであった。
【0067】
このホスト液晶(H)70重量%及び第1表中の(No.1)の化合物30重量%からなる液晶組成物(M−1)を調製したところ、TN−Iは111℃であり、ホスト液晶(H)と比較して、その低下はわずかであった。
【0068】
また、この(M−1)を0℃で保存したところ1カ月以上経過しても結晶の析出や相分離は観察できなかった。
更に−50℃に冷却放置して固化させた後、昇温させてその融解する温度を測定したところ、−12℃であった。
【0069】
更に(M−1)を用いて同様にしてセルを作製し、Vthを測定したところ、2.15Vであり、ホスト液晶(H)と比較して、ほとんど変化していない。
これに対し、ホスト液晶(H)70重量%及び(No.1)の化合物と類似構造を有する式(R−1)の化合物30重量%からなる比較用の液晶組成物(MR−1)を調製した。(MR−1)のTN−Iは116.0℃であり、(M−1)と比較してわずかではあるが高くなった。しかしながら、この(MR−1)を0℃で放置したところ、4日目で結晶の一部析出が観察された。
【0070】
更に−50℃で放置して固化させた後、その融解する温度を測定したところ−6℃であり、(M−1)より高くなった。しかも、完全には融けずに結晶が残った。更に同様にして(MR−1)のVthを測定したところ、2.14Vであり、(M−1)と比較してほとんど変化がなかった。
【0071】
以上から、本発明の化合物が従来の液晶化合物との相溶性に優れ、液晶組成物とした場合に結晶の析出や相分離を生じ難くし、融点を低くして低温域への温度拡大に有用であることが理解できる。
【0072】
従って、一般式(I)の化合物は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、特にTN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、好適に使用することができる。
【0073】
特に、一般式(I)におけるYの選択によっては、分子内に強い極性基を持たないことが可能であり、この場合には大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易である。
【0074】
従って、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として使用が可能であり、特にアクティブマトリックス駆動用液晶材料においては、その融点を低下させ低温に放置しても結晶の析出を生じ難くすることが比較的困難であるため、本発明の一般式(I)の化合物は特に有用である。本発明はこのように一般式(I)で表わされる化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物をも提供するものである。
【0075】
この組成物中において、一般式(I)で表わされる化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0076】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0077】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
なお、化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)及び赤外吸収スペクトル(IR)等により確認した。また、相転移温度の測定はホットステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。組成物における「%」は「重量%」を表わす。
(参考例1) トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒドの合成
【0079】
【化25】
Figure 0003632778
【0080】
塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム288gをTHF700mlに懸濁させた。これを氷冷し、t−ブトキシカリウム110gをゆっくり添加し、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサノン155gをテトラヒドロフラン(THF)700mlに溶解し、同温度で4時間で滴下した。更に30分間攪拌した後、水30mlを加えた。水層を分液除去し、有機層を濃縮し、ヘキサン1500mlを加え、不溶物を濾別した。沈澱はヘキサンで洗滌した。濾液を集め、メタノール/水の混合溶媒で洗滌した後、濃縮した。得られた油状の粗生成物をTHF500mlに溶解し、10%塩酸500mlを加え、1時間加熱攪拌した。反応終了後、放冷した後、酢酸エチル500mlで抽出し、水で洗滌した後、溶媒を溜去した。得られた油状物をエタノール800mlに溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液80mlを加え、1時間攪拌した。反応終了後、水800mlを加え、析出した沈澱を濾過した。沈澱は水1600ml、次いでメタノール800mlで洗浄し、さら減圧下に乾燥してトランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒドの白色結晶157gを得た。
(参考例2) トランス−4−アセチル−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
【0081】
【化26】
Figure 0003632778
【0082】
(2−a) トランス−4−(1−ヒドロキシエチル)−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
参考例1で得たトランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒド18.0gをTHF80mlに溶解し、5℃に冷却した。
【0083】
これに臭化メチルマグネシウム(0.95molTHF溶液)100mlを30分間で滴下した。5℃で1時間攪拌した後、室温に戻し水を加え、更に希塩酸で中和した。酢酸エチルで抽出し、有機層を併せて、水、次いで飽和食塩水で洗滌した。無水硫酸ナトリウムで脱水後、溶媒を溜去してトランス−4−(1−ヒドロキシエチル)−4’−プロピルビシクロヘキサン19.1gを得た。
(2−b) トランス−4−アセチル−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)25gをジクロロメタン100ml中に懸濁させ、これに上記(2−a)で得たトランス−4−(1−ヒドロキシエチル)−4’−プロピルビシクロヘキサン19.1gのジクロロメタン80ml溶液を室温で滴下した。更に3時間攪拌した後、デカンテーションにより不溶物を除去した。溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を用いて精製して、トランス−4−アセチル−4’−プロピルビシクロヘキサン19.2gを得た。
(実施例1) 2−(トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−イル)プロパナール(一般式(II)の化合物)の合成
【0084】
【化27】
Figure 0003632778
【0085】
参考例2で得たトランス−4−アセチル−4’−プロピルビシクロヘキサン17.2gを、参考例1と同様にして塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムから調製したウィッティヒ反応剤と反応させて、次いで加水分解して、2−(トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−イル)プロパナール21.9gを得た。
(実施例2) トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン(第1表中の(No.1)の化合物)の合成
【0086】
【化28】
Figure 0003632778
【0087】
(2−A) トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エテニル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
マグネシウム1.3gをTHF5mlに懸濁させた。これに1−ブロモ−3,4−ジフルオロベンゼン9.5gのTHF40ml溶液を穏やかな還流が持続する速度で滴下し、更に室温で1時間攪拌してグリニヤール反応剤を調製した。これを0℃に冷却し、実施例1で得た2−(トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−イル)プロパナール10gのTHF10ml溶液を30分間で滴下した。0℃で1時間攪拌した後、水を加え、室温に戻し、希塩酸を加えて中和した。トルエンで抽出し、有機層を併せて水次いで飽和食塩水で脱水した。溶媒を溜去して得られた粗生成物を再度トルエン100mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸2水塩2.2gを加え、3時間還流下に加熱攪拌させた。反応終了後、室温まで放冷した後、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて精製して、トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エテニル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン8.6gを得た。
(2−B) トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
(2−A)で得たトランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エテニル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン8.6gを酢酸エチル100mlに溶解し、パラジウム炭素1.0gを加え、水素雰囲気下で6時間攪拌した。反応終了後、触媒を濾別し、溶媒を溜去し、更にエタノールから再結晶してトランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの白色結晶4.2gを得た。この化合物の融点は48℃であり、73℃までスメクチック(S)相を示し、101℃までネマチック(N)相を示し、それ以上の温度で等方性液体(I)相となった。
【0088】
同様にして以下の化合物を得た。
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン(第1表中(No.3)の化合物)相転移温度は第1表に示した。
【0089】
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン(第1表中(No.2)の化合物)相転移温度は第1表に示した。
【0090】
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン(第1表中(No.4)の化合物)相転移温度は第1表に示した。
【0091】
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−クロロ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メチル)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メチル)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン(第1表中(No.5)の化合物)相転移温度は第1表に示した。
【0092】
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エチル)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エチル)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−プロピル)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−プロピル)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−プロピル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−プロピル)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−プロピル)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ブチル)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ブチル)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ブチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ブチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ブチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ペンチル)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ペンチル)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ペンチル)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ペンチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−ペンチル)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−メトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−メチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−エチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ブチルビシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(2,3−ジフルオロ−4−エトキシ)フェニル]エチル−トランス−4’−ペンチルビシクロヘキサン
3,4−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−フルオロ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−フルオロ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−フルオロ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−フルオロ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4,5−トリフルオロ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4,5−トリフルオロ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4,5−トリフルオロ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,4,5−トリフルオロ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,5−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,5−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,5−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3,5−ジフルオロ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメチル−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメチル−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメチル−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−トリフルオロメチル−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−メトキシ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−メトキシ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−メトキシ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−メトキシ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−エトキシ−1−[2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−エトキシ−1−[2−(トランス−4−ブチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−エトキシ−1−[2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
4−エトキシ−1−[2−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)プロピル]ベンゼン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4−ジフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,4,5−トリフルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−フルオロ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−エチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−プロピルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ブチルターシクロヘキサン
トランス−4−[1−メチル−2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル−トランス−4”−ペンチルターシクロヘキサン
(実施例3) 液晶組成物の調製
特にアクティブマトリックス駆動用として好適なホスト液晶(H)
【0093】
【化29】
Figure 0003632778
【0094】
(式中、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)を調製した。このホスト液晶(H)は116.7℃以下でネマチック相を示し、その融点は11℃であった。その物性値及びこれを用いて作製したセル厚6μmのTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0095】
誘電率異方性(Δε) 4.8
屈折率異方性(Δn) 0.090
しきい値電圧(Vth) 2.14V
このホスト液晶(H)70重量%及び第1表中の(No.1)の化合物30重量%とからなる液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)のN相の上限温度(TN−I)及びその物性値は以下の通りとなった。
【0096】
N相の上限温度(TN−I) 111.0℃
誘電率異方性(Δε) 4.7
屈折率異方性(Δn) 0.084
しきい値電圧(Vth) 2.15V
従って、TN−Iは若干低下しているものの、しきい値電圧(Vth)や他の物性にはほとんど変化がないことが明らかである。
【0097】
更に、この(M−1)を0℃で保存したところ、1カ月以上経過しても結晶の析出や相分離は観察できなかった。
また、−50℃に冷却放置したところ固化したが、昇温時、−12℃で完全に融解した。
(比較例1)
ホスト液晶(H)70重量%及び(No.1)の化合物と類似構造を有し、CCEP骨格を有する式(R−1)
【0098】
【化30】
Figure 0003632778
【0099】
の化合物30重量%からなる比較用の液晶組成物(MR−1)を調製した。この(MR−1)のN相の上限温度(TN−I)及び同様にして測定した物性値は以下の通りであった。
【0100】
N相の上限温度(TN−I) 116.0℃
誘電率異方性(Δε) 5.1
屈折率異方性(Δn) 0.086
しきい値電圧(Vth) 2.14V
従って、TN−Iは(M−1)と比較してわずかに高くなっているものの、しきい値電圧等の特性はやはりほとんど変化していない。
【0101】
しかしながら、この(MR−1)を0℃で放置したところ、4日目に結晶が析出してしまった。
更に、上記と同様に−50℃で冷却放置して固化させた後、その融解する温度を測定したところ−6℃であり、本発明の化合物を含有する(M−1)より高くなってしまった。しかも、完全には融けずに結晶が残った。
【0102】
以上のように、本発明の一般式(I)の化合物は対応するCCEP骨格を有する化合物と比較して、他の液晶化合物あるいは組成物との相溶性に優れ、組成物の電気光学的特性をほとんど変えることなく、特に低温でも結晶の析出や相分離の生じにくい液晶組成物を得ることが可能であることが理解できる。
(比較例2) トランス−4−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)プロピル]−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
実施例2で得た、第1表中の(No.1)の化合物と類似構造を有するが、(No.1)の化合物におけるメチル分岐基の位置が逆である式(R−2)
【0103】
【化31】
Figure 0003632778
【0104】
の化合物を以下のようにして合成した。
(2−i) トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−エタナールの合成
参考例1で得たトランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−カルバルデヒドに塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウムから調製したウィッティヒ反応剤を再度反応させて、トランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−エタナールを得た。
(2−ii) トランス−4−(2−オキソプロピル)−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
上記(2−i)で得たトランス−4’−プロピルビシクロヘキサン−トランス−4−エタナールに、参考例2と同様にして臭化メチルマグネシウムを反応させ、ついでPCC酸化することにより、トランス−4−(2−オキソプロピル)−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンを得た。
(2−iii) トランス−4−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)プロピル]−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンの合成
上記(2−ii)で得たトランス−4−(2−オキソプロピル)−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンに、実施例2と同様にして1−ブロモ−3,4−ジフルオロベンゼンから調製したグリニヤール反応剤を反応させ、次いで脱水、接触還元することにより、式(R−2)のトランス−4−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)プロピル]−トランス−4’−プロピルビシクロヘキサンを得た。
【0105】
上記で得た(R−2)の化合物は室温で油状であり、液晶性は示さなかった。
次に、(R−2)の化合物85重量%及びホスト液晶(H)15%からなる液晶組成物(M−3)を調製したところ、そのTN−Iは90℃に低下してしまった。また、これから外挿すると式(R−2)の化合物のTN−Iは約−60℃と非常に低いものであることが考えられる。
【0106】
以上のことから、連結基へのメチル分岐基の導入は、その位置の選択が非常に重要であって、本発明の一般式(I)の化合物のように、メチル分岐基は、エチレン基のシクロヘキシレン基に近い側の炭素原子に導入する必要があることが明らかである。
【0107】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、実施例に示したように、市販の入手容易な化合物から工業的にも容易に製造することができる。しかも、本発明一般式(I)の化合物を含有する液晶組成物は、本発明と類似構造を有する(2−シクロヘキシル)エチルベンゼン骨格を有する化合物を含有する液晶組成物と比較すると、電気光学的特性はほぼ等しいにもかかわらず、低温でも結晶が析出し難いという特徴を有するため、電気光学的液晶表示用、特にネマチック液晶表示用材料として非常に有用である。

Claims (10)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003632778
    (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、nは0、1又は2の整数を表わし、X1、X2及びX3はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Yは水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−R2、−OR2、−OCN、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は−OCH2CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表わされる化合物。
  2. 3が水素原子であることを特徴とする請求項1記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  3. Yはフッ素原子、塩素原子、−R2、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は−OCH2CF3を表わすことを特徴とする請求項2記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  4. Yはフッ素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は−OCF3を表わすことを特徴とする請求項3記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  5. 1及びX2が共に水素原子であることを特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  6. 1、X2及びYのうち、少なくとも2個がフッ素原子であることを特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  7. nが1であることを特徴とする請求項5又は6記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  8. 1が炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基であることを特徴とする請求項7記載の一般式(I)で表わされる化合物。
  9. 一般式(II)
    Figure 0003632778
    (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、nは1を表わす。)で表わされる
    化合物。
  10. 請求項1から8の何れかに記載の一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とする液晶組成物。
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