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JP3630179B2 - ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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JP3630179B2
JP3630179B2 JP25808994A JP25808994A JP3630179B2 JP 3630179 B2 JP3630179 B2 JP 3630179B2 JP 25808994 A JP25808994 A JP 25808994A JP 25808994 A JP25808994 A JP 25808994A JP 3630179 B2 JP3630179 B2 JP 3630179B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電気光学的表示材料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の代表的なものにTN−LCD(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、時計、電卓、電子手帳、ポケットコンピュータ、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどに使用されている。一方、OA機器の処理情報の増加に伴い、一画面に表示される情報量が増大しており、シェファー(Scheffer)等[SID ’85 Digest, 120頁(1985年)]、あるいは衣川等[SID ’86 Digest, 122頁(1986年)]によって、STN−LCD(スーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)が開発され、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータなどの高情報処理用の表示に広く普及しはじめている。
【0003】
更に、その表示品質が優れていることから、アクティブ・マトリクス形液晶表示装置が液晶テレビ、プロジェクター表示、コンピューター等のディスプレイの応用分野に有力なものとして市場に出されている。アクティブ・マトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等のスイッチング素子が使われており、この方式には漏れ電流の小さいこと、即ち高電圧保持率であることが重要視されている。(以下、これらアクティブ・マトリクス表示方式の液晶表示素子を総称してTFT−LCDと呼称する)従って、この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
TN−LCDやSTN−LCDには、液晶材料の化学的安定性、液晶表示装置の低電圧駆動性及び応答特性等の課題がある。
【0005】
例えば、高時分割数で良好な駆動特性が要求されているワードプロセッサ、パーソナルコンピューター等の情報量の多いSTN−LCDには駆動電圧を低減させる必要から、CN基を有する誘電異方性の大きな液晶材料が用いられている。しかしながら、このような液晶材料は粘性の増加により、良好な応答特性を得ることを困難にさせる、あるいは各画素毎のキャパシタンス成分の増加により表示可能な駆動周波数範囲を狭め、クロストーク現象を発生させる等の問題を有している。
【0006】
また、低電圧で駆動可能な従来の液晶材料の場合、調製された初期あるいは促進テスト後の抵抗値が低いことが多く、時分割数の増大に伴う表示のちらつきやコントラストの低下等を引き起こす原因となったり、暗い画質を補う目的でバックライトを利用したSTN−LCDに用いられる場合、耐熱性及び耐光性等の化学的安定性が新たに要求されている。
【0007】
これらの要求特性に加えて、特にアクティブ・マトリクス方式においては、均一で高いコントラストを得るために、漏れ電流が小さく、高い電圧保持率を有することが重要である。この様な特性を得るために、例えば、下記のような化合物(a)が用いられてきた。
【0008】
【化12】
Figure 0003630179
【0009】
(式中、R71は直鎖状アルキル基を表わし、式(b)はシクロヘキサン環を表わし、該シクロヘキサン環に存在する重水素原子は、天然に存在する質量数1の水素原子に対する存在比に相当した確率で含有することを表わす。以下、式(b)をこの意味で用いる。)
しかしながらこれらの化合物を用いても、広い温度範囲においてネマチック液晶性を保持することと、アクティブ・マトリクス方式に要求されるしきい値電圧及び飽和電圧を充分に低減させることとを両立させるには問題があった。特に、飽和電圧はコントラストを向上させる目的で、従来行われてきた透過率が10%となる電圧より更に厳しい評価方法として、透過率が1%となる電圧が重視されている。以下、飽和電圧Vsatをこの意味で用いる。
【0010】
更に加えて、均一で高いコントラストの液晶表示特性を得るために、液晶パネルの液晶層の厚みdと液晶材料の複屈折率△nとの積△n・dを0.35〜0.55(以下このことをファーストミニマムと呼称する)とするのが好ましいとされている。現在の液晶パネルの作製工程で行われている厚みdは約4.5μm以上であることから、液晶材料の複屈折率△nを0.07〜0.10とすることが要求されている。しかし、より小さい複屈折率とより低い駆動電圧の特性は、相反する傾向のため両者を満足させることが困難であった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題に応えることにあり、広い温度範囲で液晶性を示し、駆動電圧特に飽和電圧Vsatが低くしかも充分に高い電圧保持率を有し、装置に設定条件に適した複屈折率Δnを有する液晶組成物を提供し、更にこの液晶組成物を用い、フリッカが発生せずコントラストに優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、以下に示すネマチック液晶組成物を提供する。
【0013】
即ち、本発明の第一の液晶組成物として、一般式(I−1)〜(I−4)、
【0014】
【化13】
Figure 0003630179
【0015】
(式中、R11〜R14はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y11はフッ素原子又は塩素原子を表わし、Y12及びY13はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表わされる第1の化合物群から選ばれる化合物を、少なくとも1つ以上含有することを特徴とするネマチック液晶組成物を提供する。
【0016】
また、前記記載の一般式(I−1)〜(I−4)で表わされる化合物群は、1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子に置換されたシクロヘキサン環を1個又は2個有していてもよい。
【0017】
更に上記液晶組成物に一般式(II)〜(IV)
【0018】
【化14】
Figure 0003630179
【0019】
(式中、R21及びR22はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基を表わし、R23は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる第2の化合物群および一般式(V)〜(VIII)
【0020】
【化15】
Figure 0003630179
【0021】
(式中、R31〜R34はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる第3の化合物群から選ばれる1種又はそれ以上の化合物を含有することを特徴とするネマチック液晶組成物を提供する。
【0022】
上記の一般式(I−1)〜(VIII)で表わされる化合物において水素原子を重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有する化合物には以下のものを使用することができる。一般式(I−1)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(Iー1−1)
【0023】
【化16】
Figure 0003630179
【0024】
(式中、R11、Y11、は前記と同じ意味であり、X〜Xはそれぞれ独立して水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)で表わされる化合物であり、一般式(I−2)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(Iー2−1)
【0025】
【化17】
Figure 0003630179
【0026】
(式中、R12、及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(I−3)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(Iー3−1)
【0027】
【化18】
Figure 0003630179
【0028】
(式中、R13、Y12、及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(I−4)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(Iー4−1)
【0029】
【化19】
Figure 0003630179
【0030】
(式中、R14、Y13、及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(II)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(II−1)
【0031】
【化20】
Figure 0003630179
【0032】
(式中、R21及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(III)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(IIIー1)
【0033】
【化21】
Figure 0003630179
【0034】
(式中、R22及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(IV)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(IVー1)、(IVー2)
【0035】
【化22】
Figure 0003630179
【0036】
(式中、R23及びX〜X、X〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(V)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(Vー1)
【0037】
【化23】
Figure 0003630179
【0038】
(式中、R31及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(VI)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(VIー1)
【0039】
【化24】
Figure 0003630179
【0040】
(式中、R32及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(VII)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(VIIー1)
【0041】
【化25】
Figure 0003630179
【0042】
(式中、R33及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、一般式(VIII)において1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子で置換されたシクロヘキサン環を有する化合物が、一般式(VIIIー1)
【0043】
【化26】
Figure 0003630179
【0044】
(式中、R34及びX〜Xは前記と同じ意味である。)で表わされる化合物であり、これらのいずれかを用いたネマチック液晶組成物を提供する。
本発明は、上記の液晶組成物に一般式(IX)〜(XI)
【0045】
【化27】
Figure 0003630179
【0046】
(式中、R41〜R43はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y41〜Y43は水素原子又はフッ素原子を表わし、2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物群から選ばれる1種またはそれ以上の化合物、およびまたは一般式(XII)〜(XIV)
【0047】
【化28】
Figure 0003630179
【0048】
(式中、R51〜R53はそれぞれ独立的に炭素原子数3〜7の直鎖状アルキル基を表わし、Y51〜Y54はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、1個又はそれ以上の水素原子が重水素原子に置換されたシクロヘキサン環を有していてもよい。)で表わされる化合物群から選ばれる1種またはそれ以上の化合物、およびまたは一般式(XV)〜(XIX)
【0049】
【化29】
Figure 0003630179
【0050】
(式中、R61〜R64はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基またはアルケニル基を表わし、R67〜R69はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基、アルコキシ基または炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基を表わし、R65は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、rはそれぞれ独立的に0または1を表わし、Y61及びY62はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、一般式(XV)、(XVI)における少なくとも1個の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物群から選ばれる1種またはそれ以上の化合物を含有することができる。
【0051】
更に本発明は上記のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス液晶表示装置、ツイスティッド・ネマチックまたはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置を提供する。
【0052】
以下、本発明を詳述するにあたり、一般式(I−1)〜(I−4)、(II)〜(XIV)、、(XVIII)及び(XIX)の化合物が有する全てのシクロヘキサン環が前述した式(b)で表わされたシクロヘキサン環である化合物を下記に示した一般式(I−1ー0)〜(I−4−0)、(II−0)〜(XIII−0)、(XVIIー0)及び(XVIIIー0)で表わす。(式中、R011〜R053、R064及びR065、Y011〜Y062は、それぞれ独立的に前記したR11〜R53、R64及びR65、Y11〜Y62と同じ意味である。)
【0053】
【化30】
Figure 0003630179
【0054】
【化31】
Figure 0003630179
【0055】
本発明に係わる一般式(I−1)〜(VIII)で表わされる代表的な化合物例(1−1−1)〜(1−1−4)および(1−2)〜(1−8)とその相転移温度を下記第1表に示す。下記表中、m.p.は結晶相から液晶相又は等方性液体相に相転移する温度を、c.p.は液晶相から等方性液体相に相転移する温度をそれぞれ表わす。また、各液晶化合物は、蒸留、カラム精製、再結晶等の方法を用いて不純物を除去し、充分精製したものを使用した。
【0056】
【表1】
Figure 0003630179
【0057】
本発明の液晶組成物の特徴は、必須成分として前述の一般式(I−1)〜(I−4)で表わされる第1の化合物群から選ばれる化合物を含有し、更に一般式(II)〜(IV)で表わされる第2の化合物群から選ばれた化合物及び又は、一般式(V)〜(VIII)で表わされる第3の化合物群から選ばれた化合物と組み合わせて得られる液晶組成物を見い出したことにある。この様にして得られた液晶組成物は、駆動電圧特に飽和電圧Vsatを低減する効果があり、また複屈折率Δnが小さい特性をもつ。
【0058】
一般式(I−1)、(I−2)で表わされる化合物は、2,6−ジフルオロフェニル基と、3,4,5−トリフルオロフェニル基あるいは3,4−ジフルオロ−5−クロロフェニル基を−C−で連結した構造を有している。この化合物は、しきい値電圧および飽和電圧が低いので、本発明に係わる他の化合物と組合わせることにより、電圧保持率を低下することなく駆動電圧の低い液晶材料を得ることができる。
【0059】
一般式(I−3)、(I−4)で表わされる化合物は、5−置換2,3−ジフルオロフェニル基と、3,4−ジフルオロフェニル基または3,4,5−トリフルオロフェニル基を、−O−CH−基で連結した構造を有している。この化合物は駆動電圧特に飽和電圧が低く、本発明に係わる他の化合物と組み合わせることにより、電圧保持率を低下させることなく駆動電圧の低い液晶量を得ることができる。また、この材料は複屈折率Δnを低減する効果が大きいので、用途に応じた複屈折率のネマチック液晶組成物を調製することができる。
一般式(II)で表わされる化合物は、直鎖状のアルケニル基と3,4,5−トリフルオロフェニル基を有しているものである。この化合物は、本発明に係わる他の化合物と組み合わせた時、長期の低温保存において結晶の析出がみられる問題があるが、低温側においてネマチック相を誘起拡大させる相溶性を示し、電圧保持率を低下させることなく駆動電圧を維持あるいは低減させる効果がある。
【0060】
一般式(III)、(IV)で表わされる化合物は、3,4−ジフルオロフェニル基を有し、上述した相溶性に特徴を有している。また、一般式(III)の化合物は複屈折率△nが一般式(II)、(IV)〜(VIII)の化合物に比べ大きいので、用途に応じた複屈折率のネマチック液晶組成物を調整するのに有用あり、一般式(IV)で表わされる化合物はしきい値電圧が比較的低く、この調整に有用である。
【0061】
一般式(II)、(III)で表わされる化合物は、表示特性に重要な役割を果たす弾性定数比(K33/K11)が一般式(IV)〜(V)に比べて大きいあるいは小さい。従って、用途に応じた弾性定数比を示すネマチック液晶組成物を調製することができるものである。更に、一般式(II)、(III)の化合物は、ネマチック液晶組成物の粘性を低下させることもできるので、一般式(IV)〜(XV)の化合物と組み合わせることによって広い温度範囲で高速応答性を有する液晶材料を容易に得ることができる。一般式(II)、(III)で表わされる化合物のR21及びR22は特に下記のものが優れている。
【0062】
【化32】
Figure 0003630179
【0063】
一般式(V)〜(VIII)で表わされる化合物は、−C−、−C−の連結基を有しており、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基を有しているものである。これらの化合物は、複屈折率△nが一般式(II)〜(IV)の化合物に比べ小さいので、用途に応じた複屈折率のネマチック液晶組成物を調整することができ、また電圧保持率を低下させることなく駆動電圧を維持あるいは低減させる効果を有していることを見いだした。
【0064】
しかしながら、一般式(V)(VI)及び(VIII)の化合物はスメクチック相を示し易く、これらの化合物のみからなる組成物では、スメクチック相の存在に依ってネマチック相が非常に狭く、特に室温から低温で駆動可能なネマチック液晶組成物を調製することは困難であった。
【0065】
本発明者等は、上述した一般式(II)〜(VIII)で表わされる化合物について、R21をアルキル基とした化合物との詳細な比較も含め、種々の組み合わせを検討した。その技術を特願平6−202036号で明らかにしており、一般式(II)〜(IV)で表わされる化合物群から選ばれる化合物と、一般式(V−1)〜(VIII)で表わされる化合物群から選ばれる化合物を組み合わせて用いることにより、それぞれの化合物が有している優れた特性を損なうことなく、広い温度範囲で使用できるネマチック液晶組成物を調製できることを見出している。また一般式(II)及び(VI)〜(VIII)で表わされる化合物は3,4,5−トリフルオロフェニル基を有しているが低温での相溶性に優れ、3,4−ジフルオロフェニル基を有する一般式(III)(IV)(V)で表わされる化合物との混合比を1:1以上にさせても、あるいは総含有量で50%以上含有させても、特段の第三の手段を用いず広温度範囲で使用可能な液晶組成物を調製できるので、しきい値電圧の低減手段としての優位性は大きい。
【0066】
今回本発明者らは、上述した一般式(I−1)〜(I−4)で表わされる化合物群から選ばれる化合物を、一般式(II)〜(IV)で表わされる化合物群から選ばれた化合物及び又は、一般式(V)〜(VIII)で表わされる化合物群から選ばれた化合物を含有する液晶組成物に組み合わせて用いることにより、更に駆動電圧を、特に飽和電圧を低減し、加えてΔnが小さく、広い温度範囲で駆動可能な液晶組成物が調製できることを見いだした。
【0067】
これについて以下詳述する。一般式(II)〜(IV)で表わされる化合物と、一般式(V)〜(VIII)で表わされる化合物からなる液晶材料において、しきい値電圧Vth、飽和電圧Vsat、及び複屈折率Δnが小さい混合液晶(c−1)を得た。この混合液晶(c−1)に一般式(I−1)、(I−3)で表わされる代表的な化合物(d)、(e)を添加し、本発明液晶組成物(cー2)、(c−3)を作製した。
【0068】
【化33】
Figure 0003630179
【0069】
これらの混合物について、ネマチック相−等方性液体相転移温度TN−I、セル厚5μmのしきい値電圧Vth、飽和電圧Vsat、複屈折率Δnの測定を行った。この結果を下記第2表に示す。
【0070】
【表2】
Figure 0003630179
【0071】
この結果より、一般式(I−1)及び(I−3)で表わされる化合物(d)及び(e)を含有するネマチック液晶組成物(cー2)及び(cー3)は、混合液晶(cー1)と比較すると、ともにしきい値電圧(Vth)、飽和電圧(Vsat)の低減が認められ、更に加えて複屈折率(Δn)の低減が見られた。このことより、一般式(I−1)〜(I−4)で表わされる化合物は、駆動電圧の低減および複屈折率(Δn)の低減に有用であることが認められた。
【0072】
本発明の液晶組成物の第2の特徴は、一般式(I−1)〜(VIII)で表わされる化合物から選ばれた1種又はそれ以上の化合物において、1個又はそれ以上の水素原子を重水素原子に置換したシクロヘキサン環を1個又は2個有する化合物を用いる点にある。この様にして得られた液晶組成物は、低温でのネマチック相を安定化させる性質があり、特に低温に保存してもネマチック液晶性をより長期に保持できるものである。本発明者らは、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有する化合物を用いたこの様な効果を特願平5ー104144、182734等で明らかにしたが、本発明は更にこの効果を優れたものとしている。即ち、本発明の第2の特徴により、例えば、本発明の液晶組成物は、後述の実施例で詳述するが、ー25℃あるいはー40℃に保存してもネマチック性を長時間有することができるものである。
【0073】
また、第3の特徴は、重水素原子に置換したシクロヘキサン環を有した一般式(I−1)〜(VIII)で表わされる化合物は、重水素原子に置換されていないシクロヘキサン環を有した一般式(Iー1−0)〜(VIIIー0)で表わされる化合物と比較して、有為さのある弾性定数及びそれらの比、あるいは有利なしきい値電圧を示しており、用途に応じた電気光学特性に調製できるものである。
【0074】
本発明のネマチック液晶組成物に用いる一般式(IX)〜(XIX)で表わされる化合物は上述の特性及びTN−LCD、STN−LCD、TFT−LCD等に要求される特性を維持向上する効果を有する。
【0075】
詳しくは、一般式(IX)、(XIII)で表わされる化合物は、液晶組成物の複屈折率(△n)を0.08〜0.10に最適化して、液晶表示装置の視角特性の向上、コントラスト比の増加等を行うことができる。また、組成物のネマチック相温度範囲を高温側及び低温側に拡大させる効果を有し、液晶表示装置の駆動可能な温度範囲を拡大することができる。
【0076】
一般式(XII)(XIII)における−(CH−あるいは−(CH−の連結基を有する各化合物は、一般式(I−1)〜(VIII)の化合物からなる液晶組成物との相溶性にも優れている。更に、これらの化合物は蒸気圧温度特性にも優れており、本発明の液晶組成物に多用しても、液晶表示パネルの作製工程における液晶注入条件を緩和することができ、大型液晶パネルの作製工程における注入ムラを低減させるという特徴も有する。一般式(XIII)の化合物は、しきい値電圧の低減に有用であり、低い駆動電圧を必要とする携帯用途に適した液晶組成物を提供することができる。
【0077】
一般式(XV)(XVI)の化合物は、一般式(I−1)〜(VIII)の化合物からなる液晶組成物に添加して用いることにより、複屈折率(△n)の低減あるいは粘性の低減に有用である。
【0078】
本発明のネマチック液晶組成物は、一般式(XVII)〜(XIX)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有させることができる。この一般式(XVII)〜(XIX)で表わされる化合物は、上記液晶組成物のネマチック相の温度範囲を高温域及び又は低温域に拡大し得るものである。一般式(XVII)の化合物は、ネマチック液晶組成物の粘性を低下させることができるので、広い温度範囲で高速応答性を有する液晶材料を得ることができる。一般式(XVIII)、(XIX)で表わされる化合物は、液晶組成物の複屈折率(△n)を0.07〜0.09に最適化して、液晶表示装置の視角特性の向上、コントラスト比の増加等を行うことができる。一般式(XIX)は、しきい値電圧及び飽和電圧の低減に有用であり、低い駆動電圧を必要とする携帯用途や駆動回路の省力化に適した液晶組成物を提供することができる。
【0079】
更に、本発明の液晶組成物は、一般式(I−1)〜(XIX)の化合物に加えて、液晶組成物の他の特性を改善するために、液晶化合物として認識される通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶などを含有してもよい。
【0080】
本発明の液晶組成物における各化合物の含有量は、一般式(I−1)で表わされる化合物を0〜10重量%、一般式(I−2)で表わされる化合物を0〜10重量%、一般式(I−3)で表わされる化合物を0〜10重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(I−4)で表わされる化合物を0〜15重量%の範囲で含有することが好ましい。また、一般式(II)で表わされる化合物を0〜25重量%、一般式(III)で表わされる化合物を0〜25重量%、一般式(IV)で表わされる化合物を0〜20重量%の範囲で含有することが好ましい。一般式(V)で表わされる化合物を0〜20重量%、一般式(VI)で表わされる化合物を0〜30重量%、一般式(VII)で表わされる化合物を0〜30重量%、一般式(VIII)で表わされる化合物を0〜30重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0081】
また、液晶組成物における各化合物の総含有量は、一般式(I−1)で表わされる化合物を0〜20重量%、一般式(I−2)で表わされる化合物を0〜15重量%、一般式(I−3)で表わされる化合物を0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(I−4)で表わされる化合物を0〜15重量%の範囲で含有することが好ましい。また、一般式(II)で表わされる化合物を0〜50重量%、一般式(III)で表わされる化合物を0〜50重量%、一般式(IV)の化合物群を0〜40重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(V)の化合物群を0〜35重量%、一般式(VI)の化合物群を0〜40重量%、一般式(VII)の化合物群を0〜40重量%、一般式(VIII)の化合物群を0〜40重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0082】
更に、各化合物群の総含有量は、一般式(II)〜(IV)の第2の化合物群を10〜80重量%範囲で含有することが好ましく、一般式(V)〜(VIII)の第3の化合物群を5〜50重量%範囲で含有することが好ましい。
【0083】
一般式(IX)〜(XIV)で表わされる化合物はそれぞれ0〜25重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(XV)〜(XVII)で表わされる化合物はそれぞれ0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(XVIII)で表わされる化合物はそれぞれ0〜20重量%の範囲で含有することが好ましく、一般式(XIX)で表わされる化合物はそれぞれ0〜10重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0084】
本発明に係わる各化合物は、液晶組成物あるいは液晶表示特性に要求される目的に応じて以下のように組み合わせることができる。液晶組成物の結晶相またはスメクチック相ーネマチック相転移温度T→を低くする目的には、(I−1)〜(I−4)+(II)+(III)+(VI)+(VII)+(VIII)の組み合わせが好ましく、更に(IX)〜(XI)を組み合わせることが好ましく、または(XIX)を組み合わせることが特に好ましい。液晶組成物のネマチック相−等方性液体相転移温度TN−Iを高くし、結晶相またはスメクチック相ーネマチック相転移温度T→を低くする目的には、(I−1)〜(I−4)+(II)+(III)+(VI)〜(VIII)の組み合わせが好ましく、更に(IX)〜(XII)または(XVII)と組み合わせることが好ましい。液晶表示のしきい値電圧Vthおよび飽和電圧Vsatを低くする目的には、(I−1)〜(I−4)+(II)+(VI)〜(VIII)の組み合わせが好ましく、更に(IX)〜(XII)、(XVI)、(XVII)を組み合わせることが好ましい。液晶表示の応答特性を速くする目的には、(I−1)〜(I−4)+(II)+(III)+(VIII)の組み合わせが好ましく、更に(VI)(VII)、(XII)〜(XVI)を組み合わせることが好ましい。液晶組成物の複屈折率△nを0.07〜0.08とする目的には、(I−1)〜(I−4)+(IV)+(V)〜(VIII)の組み合わせが好ましく、液晶組成物の複屈折率△nを0.08〜0.10とする目的には、(I−1)〜(I−4)+(II)+(III)+(V)の組み合わせが好ましく、更に(IX)、(X)、(XVIII)を組み合わせることが好ましい。
【0085】
この様にして得られた本発明の液晶組成物は、後述の実施例に示したように、80〜90℃のネマチック相−等方性液体相転移温度(TN−I)のものでは1.1〜1.3Vのしきい値電圧(Vth)、2.2〜3.1Vの飽和電圧(Vsat)、0.071〜0.088の複屈折率△nの特性で、90〜100℃のネマチック相−等方性液体相転移温度(TN−I)のものでは1.2〜1.4Vのしきい値電圧(Vth)、2.5〜3.0Vの飽和電圧(Vsat)、0.075〜0.088の複屈折率△nの特性、ー30℃以下の結晶相またはスメクチック相ーネマチック相転移温度(T→)、9〜11の誘電異方性(△ε)の特性を得ることができた。
【0086】
また、本発明のネマチック液晶組成物は、後述の実施例に示した加熱促進テスト、紫外線照射促進テストを行ったところ、各促進テスト後も98%以上の高い電圧保持率を有することや化学的にも非常に安定で高い抵抗値を有することが確認された。
【0087】
このように、本発明のネマチック液晶組成物は、広い温度範囲で液晶性を示し、しきい値電圧および飽和電圧が低く、複屈折率が小さくしかも充分に高い電圧保持率を有する液晶組成物であり、フリッカが発生せず、コントラストに優れた液晶表示装置を提供することが可能となった。また、アクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、フリッカが発生せずコントラストに優れた液晶表示装置を作製することができた。更に、TN−LCDやSTN−LCD液晶表示パネルを作製したところ、広範な駆動周波数で表示可能であることが確認された。
【0088】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、測定した特性の各記号の意味は以下の通りである。
【0089】
N−I : ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
th : パネル液晶層の厚みをdとしファーストミニマム△n・d=0.5のTN−LCDを構成した時のしきい値電圧(V)
sat : パネル液晶層の厚みをdとしファーストミニマム△n・d=0.5のTN−LCDを構成し、光透過率1%となる飽和電圧(V)
△ε : 誘電異方性
△n : 複屈折率
又、組成物の促進テストは、液晶組成物2gをアンプル管に入れ、真空脱気後、窒素置換の処理をして封入し、180℃、1時間の加熱促進テスト、及び10時間の紫外線照射促進テスト「SUNTEST」(オリジナルハナウ社製)で行った。液晶組成物の比抵抗と電圧保持率は促進テスト前後で測定した。
【0090】
(実施例1)
【0091】
【化34】
Figure 0003630179
【0092】
からなるネマチック液晶組成物(3ー1)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 82.3 ℃
th : 1.23 V
sat : 2.99 V
△ε : 8.7
△n : 0.071
テスト前の比抵抗 : 6.7×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 5.9×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 3.0×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 99.3%(測定温度80℃)
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.2%(測定温度80℃)
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.0%(測定温度80℃)
このネマチック液晶組成物(3ー1)を構成材料とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0093】
またこのネマチック液晶組成物(3ー1)にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角220度のSTN−LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善されたSTN−LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0094】
(実施例2)
【0095】
【化35】
Figure 0003630179
【0096】
からなるネマチック液晶組成物(3ー2)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 89.8 ℃
th : 1.18 V
sat : 2.90 V
△ε : 9.9
△n : 0.076
【0097】
このネマチック液晶組成物(3ー2)にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角220度のSTN−LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善されたSTN−LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0098】
(実施例3)
【0099】
【化36】
Figure 0003630179
【0100】
からなるネマチック液晶組成物(3ー3)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 83.5 ℃
th : 1.19 V
sat : 2.53 V
△ε : 9.6
△n : 0.079
【0101】
【0102】
(実施例4)
【0103】
【化37】
Figure 0003630179
【0104】
【化38】
Figure 0003630179
【0105】
からなるネマチック液晶組成物(3ー4)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 91.6 ℃
th : 1.16 V
sat : 2.55 V
△ε : 11.1
△n : 0.087
【0106】
(実施例5)
【0107】
【化39】
Figure 0003630179
【0108】
【化40】
Figure 0003630179
【0109】
からなるネマチック液晶組成物(3ー5)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 80.0 ℃
th : 1.08 V
sat : 2.20 V
△ε : 11.6
△n : 0.088
【0110】
(実施例6)
【0111】
【化41】
Figure 0003630179
【0112】
からなるネマチック液晶組成物(3ー6)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 100.3 ℃
th : 1.39 V
sat : 2.90 V
△ε : 8.5
△n : 0.075
【0113】
このネマチック液晶組成物(3ー6)にカイラル物質「S−811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調製した。一方、対向する平面透明電極上に「サンエバー150」(日産化学社製)の有機膜をラビングして配向膜を形成し、ツイスト角220度のSTN−LCD表示用セルを作製した。上記の混合液晶をこのセルに注入して液晶表示装置を構成し、表示特性を測定した。その結果、しきい値電圧が低く、高時分割特性に優れ、表示画面のちらつきやクロストーク現象が改善されたSTN−LCD表示特性を示す液晶表示装置が得られた。
【0114】
(実施例7)
【0115】
【化42】
Figure 0003630179
【0116】
からなるネマチック液晶組成物(3ー7)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 96.3 ℃
th : 1.30 V
sat : 2.72 V
△ε : 9.6
△n : 0.088
テスト前の比抵抗 : 7.4×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 5.8×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 2.5×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 99.5%
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.4%
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.1%
このネマチック液晶組成物(3ー7)を構成材料とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0117】
(実施例8)
【0118】
【化43】
Figure 0003630179
【0119】
からなるネマチック液晶組成物(3ー8)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 83.5 ℃
th : 1.38 V
sat : 2.75 V
△ε : 7.7
△n : 0.075
【0120】
(実施例9)
【0121】
【化44】
Figure 0003630179
【0122】
からなるネマチック液晶組成物(3ー9)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 96.3 ℃
th : 1.36 V
sat : 2.99 V
△ε : 9.3
△n : 0.079
テスト前の比抵抗 : 8.2×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 5.8×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 2.7×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 99.4%
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.6%
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.2%
このネマチック液晶組成物(3ー9)を構成材料 とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0123】
(比較例1)
比較例として、
【0124】
【化45】
Figure 0003630179
【0125】
からなるネマチック液晶組成物(a)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 59.1 ℃
th : 1.07 V
sat : 2.55 V
△ε : 8.1
△n : 0.067
(実施例10)
比較例(1)に一般式(I)で表わされる化合物を組み合わせた液晶組成物
【0126】
【化46】
Figure 0003630179
【0127】
からなるネマチック液晶組成物(3ー10)を調製し、この組成物の諸特性を測定した。結果は以下の通りであった。
N−I : 50.7 ℃
th : 0.97 V
sat : 2.15 V
△ε : 8.7
△n : 0.065
テスト前の比抵抗 : 8.2×1013Ω cm
加熱促進テスト後比抵抗 : 5.8×1013Ω cm
紫外線照射促進テスト後比抵抗: 2.7×1013Ω cm
テスト前の電圧保持率 : 99.4%
加熱促進テスト後電圧保持率 : 98.6%
紫外線照射促進テスト後電圧保持率: 98.2%
このネマチック液晶組成物(3ー10)を構成材料 とするアクティブ・マトリクス液晶表示装置を作製したところ、漏れ電流が小さくフリッカの発生しない優れたものであることが確認できた。
【0128】
上記の結果より、本発明の組み合わせにより、更にしきい値電圧及び飽和電圧を低減させ、低い複屈折率を持つ液晶組成物が得られることが明らかとなった。
【0129】
【発明の効果】
本発明のネマチック液晶組成物は、広い温度範囲でネマチック相を示し、しきい値電圧および飽和電圧が低く、更に複屈折率が小さく、高い電圧保持率を有す。しかも化学的安定性が高い。従って、これを用いた本発明の液晶表示装置は、均一で高いコントラストが得られ、表示画面のちらつき、クロストーク現象を改善することができ、情報量の多いTN−LCD、STN−LCDあるいはアクティブ・マトリクス方式において良好な駆動特性及び表示特性が得られる。

Claims (23)

  1. (1)一般式(I-1)〜(I-4)
    Figure 0003630179
    (式中、R11〜R14はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y11はフッ素原子又は塩素原子を表わし、Y12及びY13はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わす。)で表わされる化合物群からなる第1群から選ばれる化合物を、少なくとも1種含有し、(2)一般式( II )〜( IV
    Figure 0003630179
    (式中、R 21 及びR 22 はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基を表わし、R 23 は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物群からなる第2群から選ばれる化合物及び(3)一般式( V )〜( VIII
    Figure 0003630179
    (式中、R 31 〜R 34 はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物群からなる第3群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするネマチック液晶組成物。
  2. 一般式(I-1)〜(I-4)で表わされる第1群において、各化合物における少なくとも1つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換された化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶組成物。
  3. 一般式(I-1-1)〜(I-4-1)
    Figure 0003630179
    (式中、R11〜R14はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y11はフッ素原子又は塩素原子を表わし、Y12及びY13はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、X1〜X3はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わす。)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のネマチック液晶組成物。
  4. 一般式(1-4)、(I-1-1)、(I-3-1)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のネマチック液晶組成物。
  5. 一般式(II−1)〜(VIII−1)
    Figure 0003630179
    (式中、R21及びR22はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基を表わし、R23は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、R31〜R34はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表わし、X1〜X3はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わし、X4〜X7はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子(D)を表わす。)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項記載のネマチック液晶組成物。
  6. 一般式(II)、(II-1)、(IV-1)、(IV-2)、(V-1)、(VI-1)、(VII-1)、(VIII)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項5記載のネマチック液晶組成物。
  7. 第1群から選ばれる化合物が、一般式(I-3-1)であることを特徴とする請求項4、5又は6記載のネマチック液晶組成物。
  8. 第1群から選ばれる化合物が、一般式(I-1-1)及び(I-3-1)であることを特徴とする請求項4、5又は6記載のネマチック液晶組成物。
  9. 第1群から選ばれる化合物が、一般式(I-1-1)、(I-3-1)及び(I-4)であることを特徴とする請求項4、5又は6記載のネマチック液晶組成物。
  10. 第2群から選ばれる化合物が、一般式(II)であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  11. 第2群から選ばれる化合物が、一般式(II)及び(IV)であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  12. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(V)、(VI)及び(VIII)であることを特徴とする請求項4、5、6、7、8又は12記載のネマチック液晶組成物。
  13. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(VI)であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  14. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(VI)及び(VIII)であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  15. 第3群から選ばれる化合物が、一般式(VI)(VII)及び(VIII)であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  16. (4)一般式(IX)〜(XI)
    Figure 0003630179
    (式中、R41〜R43はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y41〜Y43はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、各化合物における2つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第4群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
  17. 一般式(XI-1)
    Figure 0003630179
    (式中、R43は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y43は水素原子又はフッ素原子を表わし、X4〜X7はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わす。)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項16記載のネマチック液晶組成物。
  18. (5)一般式(XII)〜(XIV)
    Figure 0003630179
    (式中、R51〜R53はそれぞれ独立的に炭素原子数3〜7の直鎖状アルキル基を表わし、Y51〜Y54はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、各化合物における1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第5群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項16又は17記載のネマチック液晶組成物。
  19. 一般式(XIV-1)
    Figure 0003630179
    (式中、R53は炭素原子数3〜7の直鎖状アルキル基を表わし、Y54は水素原子又はフッ素原子を表わし、X1〜X3はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わす。)で表わされる化合物を含有することを特徴とする請求項18記載のネマチック液晶組成物。
  20. (6)一般式(XV)〜(XIX)
    Figure 0003630179
    (式中、R61〜R64はそれぞれ独立的に炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基またはアルケニル基を表わし、R67〜R69はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基、アルコキシ基または炭素原子数2〜5の直鎖状アルケニル基を表わし、R65は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、rはそれぞれ独立的に0または1を表わし、Y61及びY62はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、一般式(XVIII)、(XIX)における少なくとも1つの1,4−シクロヘキシレン基の少なくとも1個の水素原子(H)は重水素原子(D)で置換されていてもよい。)で表わされる化合物からなる第6群から選ばれる化合物を1種またはそれ以上含有することを特徴とする請求項18又は19記載のネマチック液晶組成物。
  21. 一般式(XVIII-1)、(XIX-1)、(XIX-2)
    Figure 0003630179
    (式中、R64は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表わし、R65は炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表わし、Y61及びY62はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、X1〜X3はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わし、X4〜X7はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子を表わす。)で表わされる化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項20記載のネマチック液晶組成物。
  22. 請求項1乃至21記載のネマチック液晶組成物を用いたアクティブ・マトリクス形液晶表示装置。
  23. 請求項1乃至21記載のネマチック液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置。
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