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JP3626382B2 - 圧入フランジ部材の流路構造 - Google Patents

圧入フランジ部材の流路構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フランジ部材に軸方向一端側に開口して形成された圧入孔にシャフト部材を圧入するとともに、フランジ部材に形成された流路とシャフト部材に形成された流路とを連通させる流路構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような流路構造は、例えば、特公平2−40904号公報に開示されているように、流体継手の支持フランジ部材に用いられたり、トルクコンバータのステータ部材の支持フランジに用いられたりする。このような従来における圧入フランジ部材の流路構造の例を図5に示している。この構造は、フランジ部材200の圧入孔201内にシャフト部材210を圧入し、フランジ部材200内に形成されたフランジ側ラジアル孔202とフランジ側アキシャル孔203とからなるフランジ側流路を介して、フランジ部材200が取り付けられたハウジング220の油路221とシャフト部材210に形成されたシャフト側ラジアル孔212とを連通させるように構成される。なお、シャフト側ラジアル孔212は軸方向に延びたシャフト側アキシャル孔211と繋がっており、このシャフト側アキシャル孔211は例えば、トルクコンバータ内部に繋がる。これによりハウジング220の油路221からトルクコンバータ内への油の給排が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように流路構造を構成する場合、フランジ部材200に形成されたフランジ側流路は、外周面から圧入孔201に貫通するフランジ側ラジアル孔202を形成し、側面からフランジ側ラジアル孔202に連通するフランジ側アキシャル孔203を形成し、フランジ側ラジアル孔202をフランジ部材200の外周面側においてプラグ205により閉塞したり、ボール206を圧入して閉塞したりして形成される。このことから分かるように、図5に示す流路構造の場合には、ラジアル孔202が外周側から形成されるため、外周端部側においてプラグ205や圧入ボール206により閉塞する必要があり、それだけ加工コスト、追加部品コストが高くなるという問題がある。また、プラグ205の場合にはネジ部にシール部材を用いる必要があり、圧入ボール206の場合には圧入に耐えるだけの強度がフランジ部材200に要求されるという問題もある。さらに、ボール圧入およびプラグ取り付けのためのスペースが必要であり、複数のラジアル孔202を並べて形成する場合に各ラジアル孔202の間隔を大きくする必要があるという問題がある。
【0004】
このような問題に鑑みて、図6に示すような流路構造も従来から考えられている。なお、図6の左側に第2の流路構造を示し、右側に第3の流路構造を示している。まず、図6の左側に示す第2の流路構造の場合には、フランジ部材230に側面から圧入孔233に斜めに延びて貫通するフランジ側連通孔231を形成し、このフランジ側連通孔231を介してハウジング220の油路221とシャフト部材210に形成されたシャフト側ラジアル孔212とを連通させている。この流路構造の場合には、フランジ側連通孔231はフランジ部材230の側面から形成されるため、図5の構造のように外周端部にプラグ、圧入ボール等を用いて孔を閉塞するという必要はないが、斜めの連通孔を形成するためにフランジ部材230の軸方向寸法Aが大きくなるという問題がある。
【0005】
一方、図6の右側に示す第3の流路構造の場合には、フランジ部材240の圧入孔241内から径方向外方に斜めにフランジ側ラジアル孔242を形成し、フランジ部材240の側面からフランジ側ラジアル孔242に連通するフランジ側アキシャル孔243を形成してフランジ側流路を構成している。この流路構造の場合も図5の構造のように外周端部にプラグ、圧入ボール等を用いて孔を閉塞するという必要はないが、フランジ部材240の圧入孔241内からフランジ側ラジアル孔242を形成するため、圧入孔241の大きさによりフランジ側ラジアル孔242の角度に制限があり、加工が難しく、且つコンパクト化が難しいという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、フランジ部材への流路形成のための加工が容易であり、且つフランジ部材をコンパクトに構成することができるような流路構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明は、フランジ部材(例えば、実施形態におけるフランジ部材42)の圧入孔(例えば、実施形態におけるフランジ部材42に形成された圧入孔141)内にシャフト部材(例えば、実施形態におけるシャフト部材41)を圧入して構成される圧入フランジ部材(例えば、実施形態におけるステータシャフト40)において、シャフト部材の外周面に開口(例えば、実施形態における油路102の右端部106)を有する第1流路(例えば、実施形態における油路102)をシャフト部材に形成し、フランジ部材の外周面(例えば、実施形態における外周面43b,43c)から圧入孔を貫通して軸直角方向に直線に延びるとともに先端部がフランジ部材内に留まる止まり孔(例えば、実施形態における油路101および油路105)と、フランジ部材の側面から軸方向に延びて止まり孔における圧入孔から先端部に至る部分に連通する連通孔(例えば、実施形態における油路103)とをフランジ部材に形成し、止まり孔における圧入孔から先端部に至る部分(例えば、実施形態における油路101)と連通孔とにより第2流路を形成し、第2流路における止まり孔が圧入孔に開口する部分と第1流路とが連通するように位置決めしてシャフト部材を圧入孔内に圧入し、第1流路と第2流路とを連通させて流路構造が構成される。
【0008】
このような構成の流路構造の場合には、フランジ部材の圧入孔内にシャフト部材を圧入すると、止まり孔における奥側部分と入口部分とが圧入孔に圧入されたシャフト部材により遮断され、且つ奥側部分がシャフト部材に形成された第1流路の開口と連通する。このことから分かるように、本発明の流路構造の場合には、フランジ部材に外周面から軸直角方向(径方向およびこれに平行する方向)にまっすぐ延びる止まり孔と、フランジ部材の側面から軸方向にまっすぐ延びる連通孔とを形成するだけであり、その加工が容易であり、且つ、斜め穴が不要であるためフランジ部材の軸方向寸法を小さくしてコンパクトな構成とすることができる。このように止まり孔は直線状の孔であり、その形成をドリル加工で行うことができるので、流路形成が容易且つシンプルである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る圧入フランジ部材の流路構造の好ましい実施形態について説明する。以下の実施例においては、トルクコンバータのステータを支持するステータシャフトとして本発明に係る圧入フランジ部材が用いられており、まず、このトルクコンバータを用いた車両用無段変速機を図1に基づいて簡単に説明する。
【0010】
この変速機はトランスミッションケース10内に収められており、インプットシャフト20と、プライマリシャフトS1と、セカンダリシャフトS2と、カウンターシャフトS3と、左右のアクスルシャフトS4,S5とがそれぞれトランスミッションケース10に取り付けられたベアリングにより回転自在に支承されている。ここで、インプットシャフト20とプライマリシャフトS1とは同一軸上に配設されており、セカンダリシャフトS2はインプットシャフト20(若しくはプライマリシャフトS1)と平行に所定距離離れて位置している。カウンターシャフトS3はセカンダリシャフトS2と平行に所定距離離れて位置しており、左右のアクスルシャフトS4,S5は同一軸上に配設されてカウンターシャフトS3と平行に所定距離離れて位置している。
【0011】
インプットシャフト20にはトルクコンバータ30を介して図示しないエンジンからの動力が入力される。トルクコンバータ30はポンプインペラ31、タービンランナ32及びステータ33を有して構成されており、ポンプインペラ31はその外周を覆うコンバータカバー34と一体になり、スタータギヤが取り付けられたドライブプレート36を介してエンジンのクランクシャフトEsに取り付けられている。タービンランナ32はタービンランナハブ32aを介してインプットシャフト20に結合されており、ステータ33はワンウェイクラッチ37を介してシャフト部材41(特許請求の範囲のシャフト部材に該当)に取り付けられている。
【0012】
図2および図3に詳しく示すように、インプットシャフト20の外周面側に位置してステータ33(およびワンウェイクラッチ37)が取り付けられるシャフト部材41と、このシャフト部材41が圧入されて一体に構成されるフランジ部材42(特許請求の範囲のフランジ部材に該当)とからステータシャフト40(特許請求の範囲の圧入フランジ部材に該当)が構成されている。なお、フランジ部材42は、シャフト部材41を圧入させる圧入孔141とフランジ部43とを有し、フランジ部43においてトランスミッションケース10の隔壁11にボルトBにより固定されてステータシャフト40が取り付けられている。
【0013】
ポンプインペラ31はフランジ部材42の外周面に位置するボス部材31aの左端部側に結合されており、このボス部材31aの外周面は上記隔壁11に設けられたベアリング12により回転自在に支承されている。このためインプットシャフト20,ステータシャフト40及びボス部材31aは同軸上に位置した状態となっている。
【0014】
ボス部材31aの右端部側にはポンプドライブギヤ92が取り付けられており、オイルポンプ(ベーンポンプ)のロータシャフトに取り付けられたポンプドリブンギヤとチェーンを介して連結されている。
【0015】
また、トルクコンバータ30にはロックアップ機構50が備えられており、タービンランナハブ32aに取り付けられたロックアップクラッチピストンピストン51をコンバータカバー34の内面に押し付けて両部材51,34を係合させ、エンジンからの動力を直接インプットシャフト20に伝達させることができるようになっている。このようなロックアップクラッチピストン51の作動は、トルクコンバータ30内の空間がロックアップクラッチ51により仕切られて形成される2つの油室、すなわちロックアップクラッチ51よりもタービンランナ32側に形成された油室52(タービン側油室52とする)及びロックアップクラッチピストン51よりもコンバータカバー34側に形成された油室(カバー側油室53とする)にオイルを給排させることにより行われる。このように構成された両油室52,53にオイルを給排するための油路構造が本発明の流路構造の一例を示すものであり、その詳細は後述する。
【0016】
インプットシャフト20の動力は前後進切換機構60を介してプライマリシャフトS1に伝達される。前後進切換機構60は図1に示すようにプライマリシャフトS1に固定されたサンギヤ61と、このサンギヤ61に外接する複数のピニオンギヤ62と、プライマリシャフトS1に対して回転自在であり、上記複数のピニオンギヤ62を回転自在に支承するキャリヤ63と、インプットシャフト20に固定され、上記複数のピニオンギヤ62と内接するリングギヤ64とを有して構成されている。プライマリシャフトS1とリングギヤ64とは前進用クラッチ65を油圧作動させることにより係合可能であり、キャリヤ63とトランスミッションケース10とは後進用ブレーキ66を油圧作動させることにより係合可能である。
【0017】
ここで、前進用クラッチ65を係合させるとともに後進用ブレーキ66を解放させた場合には、インプットシャフト20、リングギヤ64、ピニオンギヤ62、サンギヤ61及びキャリヤ63は一体となって回転するのでプライマリシャフトS1はインプットシャフト20と同方向に回転し、前進用クラッチ65を解放させるとともに後進用ブレーキ66を係合させた場合には、インプットシャフト20の回転はキャリヤ63により回転軸が固定されたピニオンギヤ62を介してサンギヤ61に伝達されるので、プライマリシャフトS1はインプットシャフト20と逆方向に回転する。
【0018】
プライマリシャフトS1の動力は、プライマリシャフトS1上に設けたドライブ側プーリ71と、セカンダリシャフトS2上に設けたドリブン側プーリ75と、これら両プーリ71,75間に掛け渡した金属Vベルト79とから構成されるベルト式無段変速機構70を介してセカンダリシャフトS2に伝達される。
【0019】
ドライブ側プーリ71はプライマリシャフトS1に固定された固定プーリ半体72と、この固定プーリ半体72と対向してプライマリシャフトS1上を軸方向スライド移動自在に設けられた可動プーリ半体73とから構成されており、油圧シリンダ74内にオイルを給排することにより可動プーリ半体73を移動させて固定プーリ半体72と可動プーリ半体73との間の間隔(プーリ幅)を変えることが可能である。また、ドリブン側プーリ75はセカンダリシャフトS2に固定された固定プーリ半体76と、この固定プーリ半体76と対向してセカンダリシャフトS2上を軸方向スライド移動自在に設けられた可動プーリ半体77とから構成されており、油圧シリンダ78内にオイルを給排することにより可動プーリ半体77を移動させて固定プーリ半体76と可動プーリ半体77との間の間隔(プーリ幅)を変えることが可能である。そして、これら両プーリ71,75のプーリ幅を調整することにより金属Vベルト79の巻き掛け半径を変化させることができ、これにより両シャフトS1,S2間の変速比を無段階に変化させることが可能である。
【0020】
セカンダリシャフトS2に入力された動力はギヤG1及びギヤG2を介してカウンターシャフトS3に伝達され、更にファイナルドライブギヤG3及びファイナルドリブンギヤG4を介してディファレンシャル機構80に伝達される。ディファレンシャル機構80では入力された動力を左右のフロントアクスルシャフトS4,S5に分割して伝達し、これら両シャフトS4,S5それぞれの端部に設けられた図示しない左右の車輪(前輪)を駆動する。
【0021】
このように上記変速機においては、トルクコンバータ30を介してインプットシャフト20に入力されたエンジンの動力が前後進切換機構60及びベルト式無段変速機構70を介して左右の前輪に伝達され、これにより車両走行を行うことができるのであるが、上述のようにベルト式無段変速機構70を作動させることにより、任意の変速比を無段階で得ることが可能である。なお、車両の走行方向の切り換えは前後進切換機構70の作動により行われる。
【0022】
次に、本発明に係る流路構造を用いたステータシャフト40の詳細構造について以下に説明する。まず、図2に示すように、インプットシャフト20内にはオイルの給排路である第1〜第3油路21,22,23が設けられている。第1油路21はトルクコンバータ30のカバー側油室53へオイルを給排するための油路であり、左右端部に開放油路21a,21bが設けられている。第2及び第3油路22,23は前後進切換機構60やベルト式無段変速機構70等へオイルを給排するための油路である。このため、第2油路22には油路22aが、第3油路23には油路23aがそれぞれ連通しており、これら油路22a,23aから前後進切換機構60やベルト式無段変速機構70等へオイルが給排される。
【0023】
図3および図4からも分かるように、ステータシャフト40のフランジ部材42内(フランジ部43内)には軸直角方向に延びる5つの油路101a,101b,101c,101d,101eが形成されており(図2および図3においては油路101で代表して示す)、シャフト部材41の外周面とフランジ部材42の内周面との間にはこれら油路101a〜101eの各々に連通する5つの油路102a,102b,102c,102d,102e(図2および図3においては油路102で代表して示す)が形成されている。さらに、フランジ部材42のフランジ部43の側面43aから軸方向に延びて上記5つの油路101(101a,101b,101c,101d,101e)にそれぞれ連通する5つの油路103a,103b,103c,103d,103e(図2および図3においては油路103で代表して示す)が形成されている。なお、この構成において、油路102が特許請求の範囲に規定する第1流路に該当し、フランジ部材42内に形成された油路101および103が特許請求の範囲に規定する第2流路を形成する。但し、この例では、第1および第2流路がともに5つずつ形成され、対応する第1および第2流路同士が連通して5つの独立した流路を形成している。
【0024】
シャフト部材41には油路102a,102b,102d,102eの出口開口である油路開口40a,40b,40d,40eが形成されており、フランジ部材42には油路102cの出口開口である油路開口40cが形成されている。ここで、油路開口40aは油路102aと第1油路21の連通油路21bとを連通させる。油路開口40bは、油路102bと、インプットシャフト20とステータシャフト40のシャフト部材41との間に形成された油路空間111とを連通させる。油路開口40cは油路102cと、ステータシャフト40とボス部材31aとの間に形成された空間112とを連通させ、油路開口40dは油路102dと第2油路22の連通油路22aとを連通させる。また、油路開口40eは油路102eと第3油路23の連通油路23aとを連通させる。
【0025】
また、フランジ部材42のフランジ部43に形成された上記5つの油路103(103a,103b,103c,103d,103e)は、それぞれトランスミッションケース10に形成された5つのオイル供給口100a,100b,100c,100d,100e(図2においてはオイル供給口100で代表して示す)に連通し、それぞれ対応する油の供給がなされる。これにより、所定の場所にそれぞれ所定の油の供給がなされ、トルクコンバータ内の油の潤滑、ロックアップクラッチの作動制御、前後進切換機構60の作動制御、無段変速機構70の作動制御が行われる。
【0026】
上記のような5つの異なる油の供給を行わせるための油路が上述のようにステータシャフト40に形成されているのであるが、この構造について、図3および図4を参照して以下に詳しく説明する。
【0027】
両図から分かるように、油路101はフランジ部43の外周面43b,43cから軸直角方向に延びて加工されたドリル孔から形成される。このドリル孔は、外周面43bから軸直角方向に平行に並んで延び、シャフト部材41を圧入させるための圧入孔141を貫通し、圧入孔141を挟んで反対側まで延びるがフランジ部43内に留まる3つの止まり孔と、外周面43cから軸直角方向に平行に並んで延び、シャフト部材41を圧入させるための圧入孔141を貫通し、圧入孔141を挟んで反対側まで延びるがフランジ部43内に留まる2つの止まり孔とを有する。ここで、図示のように、外周面43bから形成される3つのドリル孔において、外周面43bから圧入孔141に至る入口部分を番号105a,105b,105cで表すが、圧入孔141を貫通して反対側に延びる奥側の部分が上記油路101a,101b,101cを形成する。同様に、外周面43cから形成される2つのドリル孔において、外周面43cから圧入孔141に至る入口部分を番号105,105eで表すが、圧入孔141を貫通して反対側に延びる奥側の部分が上記油路101d,101eを形成する。
【0028】
このようにして5つの止まり孔を形成したのち、圧入孔141内にシャフト部材41を図示のように圧入する。このとき、シャフト部材41の外周面には5本の軸方向に延びる溝が形成されており、圧入孔141に圧入された状態でフランジ部材42により覆われて上記油路102(102a,102b,102c,102d,102e)が形成される。なお、このようにシャフト部材41が圧入された状態で各油路の右端部106が上記ドリル孔における奥側の部分により形成される上記油路101(101a,101b,101c,101d,101e)と連通する。また、各油路の左端部107が、上述したようにシャフト部材41もしくはフランジ部材42に形成された油路開口40a,40b,40c,40d,40eとそれぞれ連通する。
【0029】
この結果、シャフト部材41に形成された油路102からなる第1流路が、フランジ部材42に形成された油路101および油路103からなる第2流路とそれぞれ連通し、5つの独立した油路が形成される。この場合、フランジ部43の外周面から形成されたドリル孔のうちの奥側の部分が圧入され内側円筒部材41の油路と直接連通し、入口部分105a〜105eについては特に閉塞する必要がないため、加工が容易である。なお、本実施例において第1流路102はシャフト部材41の外周に形成されているが、第1流路102をシャフト部材41内に形成し、加えてこの流路とシャフト部材41の外周面を連通する油路を形成し、この油路と第2流路が連通するようにフランジ部材にシャフト部材を圧入しても良い。前者の場合、流路形成が簡単であり、後者の場合、軸内を通すことで簡単に長い油路を形成することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フランジ部材の圧入孔内にシャフト部材を圧入すると、止まり孔における奥側部分と入口部分とが圧入孔に圧入されたシャフト部材により遮断され、且つ奥側部分がシャフト部材に形成された第1流路の開口と連通するように構成されており、フランジ部材に外周面から軸直角方向(径方向およびこれに平行する方向)にまっすぐ延びる止まり孔と、フランジ部材の側面から軸方向にまっすぐ延びる連通孔とを形成するだけであり、その加工が容易であり、且つ従来におけるように孔の開口部をプラグ、ボールなどにより閉塞する必要がなく、構造が簡単で必要部品点数も少なくすることができる。また、斜め穴が不要であり、フランジ部材の軸方向寸法を小さくしてコンパクトな構成とすることができる。さらに、従来のようなボール圧入およびプラグ取り付けが不要でそのためのスペースが不要であり、複数のラジアル孔を並べて形成する場合に各ラジアル孔の間隔を狭くすることができる。特に、止まり孔は直線状の孔であり、その形成をドリル加工で行うことができるので、流路形成が容易且つシンプルである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧入フランジ部材をステータシャフトに用いて構成された車両用無段変速機の構成を示す概略図である。
【図2】上記車両用無段変速機におけるトルクコンバータの回りを拡大して示す断面図である。
【図3】上記トルクコンバータのステータシャフトを示す断面図である。
【図4】上記トルクコンバータのステータシャフトを示す側面図である。
【図5】従来の圧入フランジ部材の流路構造を示す断面図である。
【図6】従来の圧入フランジ部材の流路構造を示す断面図である。
【符号の説明】
40 ステータシャフト(圧入フランジ部材)
41 シャフト部材
42 フランジ部材
43 フランジ部
43b,43c 外周面
101,105 油路(止まり孔)
102 油路(第1流路)
103 油路(連通孔)

Claims (2)

  1. 少なくとも軸方向一端側に開口する圧入孔が形成されたフランジ部材と、
    前記圧入孔内に圧入されるシャフト部材と、
    前記シャフト部材の外周に形成された第1流路と、
    前記フランジ部材の外周面から前記圧入孔を貫通して軸直角方向に直線に延びて形成され、前記外周面から前記圧入孔に至る入口部分および圧入孔を貫通して反対側に延びて先端部が前記フランジ部材内に留まる奥側部分からなる止まり孔と、
    前記フランジ部材の側面から軸方向に延びて前記止まり孔における前記奥側部分に連通して形成された連通孔とを有し、
    前記止まり孔における前記奥側部分と前記連通孔により第2流路が形成され、
    前記第2流路における前記奥側部分が前記圧入孔に開口する部分と前記第1流路とが連通するように前記シャフト部材を前記圧入孔内に圧入し、前記第1流路と前記第2流路とを連通させたことを特徴とする圧入フランジ部材の流路構造。
  2. 前記止まり孔が、前記フランジ部材の外周面から前記圧入孔を貫通して軸直角方向に延びて加工形成されたドリル孔からなり、
    前記止まり孔における前記入口部分の前記圧入孔に開口する部分が、前記圧入孔に圧入された前記シャフト部材の外周面により閉塞されることを特徴とする請求項1に記載の圧入フランジ部材の流路構造。
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