JP3618400B2 - ビニルアルコール系重合体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、熱安定性が良好なビニルアルコール系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内にビニルアルコール単位を有するビニルアルコール系重合体の代表的なものとしては、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する)が知られている。PVAは造膜性、透明性および強度に優れていることから、紙用コーティング剤および紙用内添剤などの紙用改質剤;紙、木材および無機物等の接着剤;経糸糊剤、フィルムおよびシート等に幅広く使用されている。従来のPVAとしては、けん化度が98モル%程度の「完全けん化PVA」とけん化度が88モル%程度の「部分けん化PVA」が知られている。
【0003】
従来のPVAは、熱安定性に問題があるために、水溶液の形態で使用されていた。すなわち、「完全けん化PVA」の場合には、融点と熱分解温度が非常に近く、熱溶融成形が不可能であった。一方、「完全けん化PVA」よりも融点の低い「部分けん化PVA」の場合には、熱安定性が悪いために、熱溶融成形時に酢酸臭が発生するという問題があった。次に、可塑剤や他の重合体をPVAにブレンドすることにより、PVAの溶融粘度を低下させて、PVAを熱溶融成形する方法が提案されている。しかしながら、可塑剤を添加する方法は、成形物を長期間に渡って使用すると、成形物中の可塑剤含有量が経時的に減少し、冬場のような低温低湿度下では、成形物の柔軟性が不足して、成形物に割れやひびが発生するという問題があった。一方、PVAに他の重合体をブレンドする方法は、両者の相溶性が不良のために、成形物の機械的特性が著しく低下したり、透明性が大きく低下するという問題があった。
【0004】
次に、PVAを変性することにより、PVAの融点を低下させる方法が提案されている。
しかしながら、ω−ヒドロキシアルキルビニルエーテル単位とアルキルビニルエーテル単位を有するPVA(特公平4−10885号)およびポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位を有するPVA(特公平5−49683号報)は、エーテル結合を有するために、熱安定性が低いという問題があった。また、アリルアルコール単位を有するPVA(特開昭62−229135号)は、熱安定性は幾分向上しているが、実用的には依然として不十分であり、かつPVA中に残存するアリルアルコールの安全性に問題があった。また、α−オレフィン単位を有するPVA(特開昭63−289581号)は、疎水基の会合により溶融粘度が著しく上昇したり、水に不溶性であるという問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱安定性に優れた新規なビニルアルコール系重合体を提供することにある。さらに、本発明の目的は、ビニルアルコール系重合体が水溶性の場合には、高い界面活性を有しているにもかかわらず、水溶液の泡立ちが少ない新規なビニルアルコール系重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビニルエステルと3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1−オール、7−オクテン−1−アセテート、9−デセン−1−オール、11−ドデセン−1−オール、および3−メチル−3−ブテン−1−オールからなる群より選ばれる少なくとも1種のヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合して得られるビニルエステル共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系重合体を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明のビニルアルコール系重合体は、分子内にビニルアルコール単位を有していることが必要である。本発明のビニルアルコール系重合体のけん化度については特に制限はなく、完全けん化でも部分けん化でもよいが、熱安定性および熱溶融成形性の点から、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。本発明のビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下「重合度」と略記する)は、100〜20000が好ましく、200〜8000がより好ましく、300〜5000が特に好ましい。重合度が100未満の場合には、ビニルアルコール系重合体としての特徴が低下し、重合度が20000より大の場合には、ビニルアルコール系重合体の工業的な製造が難しい。
【0008】
本発明のビニルアルコール系重合体は、ビニルエステルと、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1−オール、7−オクテン−1−アセテート、9−デセン−1−オール、11−ドデセン−1−オール、および3−メチル−3−ブテン−1−オールからなる群より選ばれる少なくとも1種のヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合して得られるビニルエステル共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系重合体である。ビニルエステルと、前記ヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合することにより、ヒドロキシアルキル基でなる側鎖がビニルアルコール系重合体の主鎖に直接結合しているビニルアルコール系重合体を得ることができる。
【0009】
本発明のビニルアルコール系重合体における前記ヒドロキシアルキル基の含有量については特に制限はないが、その好適な含有量は以下のとおりである。本発明のビニルアルコール系重合体を熱溶融成形性樹脂として使用する場合には、ヒドロキシアルキル基の含有量は0.1〜50モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。本発明のビニルアルコール系重合体を熱溶融成形性樹脂かつ水溶性の用途に使用する場合には、ヒドロキシアルキル基の含有量は0.3〜30モル%が好ましく、0.5〜20モル%がより好ましい。本発明のビニルアルコール系重合体をビニルエステル系単量体などの乳化重合用分散安定剤として使用する場合には、ヒドロキシアルキル基の含有量は0.1〜25モル%が好ましく、0.3〜15モル%がより好ましい。ヒドロキシアルキル基の含有量が0.1モル%未満の場合には、熱安定性、熱溶融成形性あるいは界面活性の向上の程度が低い。ヒドロキシアルキル基の含有量が30モル%より大の場合には、水溶性が低下し、50モル%より大の場合には、ビニルアルコール系重合体としての特徴が低下する。
【0010】
本発明のビニルアルコール系重合体の製法としては、ビニルエステルと前記ヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0011】
本発明のビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
また、本発明のビニルアルコール系重合体は、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
【0012】
ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オレフィンとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度はについては特に制限はないが、室温〜150℃の範囲が適当である。
【0013】
ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オレフィンとの共重合体は、アルコール、場合によっては含水アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明のビニルアルコール系重合体が得られる。
【0014】
本発明のビニルアルコール系重合体は、従来のPVAに比較して、熱安定性が顕著に優れている。すなわち、本発明のビニルアルコール系重合体は、熱安定性の指標である重合体の重量が5%減少する温度(以下「5%重量減少温度」と略記する;実施例の欄参照)が300℃よりも高い。ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂の工業的な熱溶融成形は、250℃以下の温度で行われることが多いが、長期運転性(ロングラン性)を考慮すると、実際の熱溶融成形温度は、5%重量減少温度よりも50℃以上低く設定する必要がある。したがって、5%重量減少温度が300℃よりも高い本発明のビニルアルコール系重合体は、工業的な熱溶融成形性が顕著に優れているといえる。本発明のビニルアルコール系重合体は、けん化度が低い場合および部分けん化PVAの場合にも熱安定性が良好であり、特に高温での溶融成形が可能となる。本発明のビニルアルコール系重合体が高い熱安定性を示す理由については、明らかでないが、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直結した側鎖(特定の構造のヒドロキシアルキル基)に起因するものと推定される。
【0015】
本発明のビニルアルコール系重合体には、熱溶融成形性をさらに向上させるために、可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパン、ジグリセリン、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、少量(20%以下)の水などの公知のものを使用することができるが、これらに限定されない。可塑剤の添加量としては、ビニルアルコール系重合体100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらにより好ましい。
【0016】
本発明のビニルアルコール系重合体には、粘土鉱物、無機塩、ガラスなどのビニルアルコール系重合体との反応性が低い無機材料を混合して使用することもできる。無機材料としては、カオリン、クレー、タルク、酸性白土、シリカ、アルミナ、珪藻土、ベントナイト、モンモリロナイト、木節粘土、蛙目粘土、ロウ石、ミョウバン石、陶土、長石、石綿、パーライト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、酸化チタン、マイカ、シラス、ガラス、ガラス繊維などの公知のものが使用できる。本発明で使用できる無機材料の平均粒子径としては特に制限はないが、0.1〜100μmが好ましい。
無機材料の添加量としては、ビニルアルコール系重合体100重量部に対して2000重量部以下が好ましく、1000重量部以下がより好ましい。
【0017】
本発明のビニルアルコール系重合体の成形方法としては、本発明のビニルアルコール系重合体の溶媒である水あるいはジメチルスルホキシドなどの溶液の形態から成形する方法、加熱によりビニルアルコール系重合体を可塑化して成形する方法(例えば、押出成形法、射出成形法、インフレ成形法、プレス成形法、ブロー成形法)が挙げられる。これらの方法により、フィルム、シート、チューブ、ボトルなどの任意形状の成形品が得られる。
【0018】
本発明のビニルアルコール系重合体が水溶性である場合には、極めて高い界面活性を有しているにもかかわらず、水溶液の泡立ちが少ない。この理由は、明らかではないが、主鎖に直結した側鎖(炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基)に起因するものと推定される。本発明のビニルアルコール系重合体は、界面活性が極めて優れていると共に、水溶液の泡立ちが少ないことから、分散安定剤、コーティング剤、サイジング剤およびバインダーなどに有用である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明する。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0020】
ビニルアルコール系重合体中の側鎖のヒドロキシアルキル基、ビニルエステル単位、ビニルアルコール単位および他のコモノマー単位の含有量は、270MHz1H−NMRにより定量した。1H−NMR測定時のPVA系重合体中の溶媒には重水素化DMSOを用いた。ビニルアルコール系重合体の重合度、水溶性、熱安定性、表面張力、4%水溶液粘度および水溶液の発泡性は、下記の方法で測定した。
【0021】
(1)粘度平均重合度
けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](g/dl)から次式により求めた粘度平均重合度(P)で表す。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
【0022】
(2)水溶性
濃度10%の水溶液を調製して、目視により評価した。その結果を下記の記号で示す。
○:水に溶解する。
×:水に溶解しない。
【0023】
(3)熱安定性
105℃で5時間以上、減圧乾燥させた精製PVAについて、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で、700℃まで昇温する条件で、TG−DTA(示差熱分析)を測定し、5%重量減少温度を求めた。
【0024】
(4)表面張力
PVAの20℃,0.3%水溶液を調製して60分間静置した後、ウィルヘルミー法(プレート法)により、表面張力を測定した。
【0025】
(5)4%水溶液粘度
PVAの20℃,4%水溶液を調製して、B型粘度(ブルックフィールド粘度)を測定した。
【0026】
(6)水溶液の発泡性
PVAの20℃,4%水溶液を調製し、垂直に立てたガラス管(内径4.5cm,高さ150cm)に深さ20cmになるように仕込み、1.5リットル/分の速度で、15分間のポンプ循環(ガラス管の下部から水溶液を抜き取りガラス管の最上部へ返液)を行った後、泡の発生した高さを測定した。その結果を下記の記号で示す。
◎:発生した泡の高さ49cm以下
○:発生した泡の高さ50〜74cm
△:発生した泡の高さ75〜99cm
×:発生した泡の高さ100cm以上
【0027】
実施例1
還流冷却器、撹拌機、温度計、窒素導入管および後添加液用の仕込み口とポンプを備えた3リットルの重合槽に酢酸ビニルを1680g、7−オクテン−1−オールを350g、メタノールを420g仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の恒温になった時点で、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と略記する)を26g添加して重合を開始した。重合開始時点より系内の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、4時間後に重合槽を冷却することにより重合を停止した。重合停止前の重合率は59%であった。得られた重合ペーストをn−ヘキサン中に滴下して重合物を析出させた。次に、重合物をアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した後、再度アセトンに溶解し、蒸留水に滴下させ、煮沸精製した後、60℃で乾燥して精製ポリ酢酸ビニル(以下「PVAc」と略記する)を得た。次に、精製PVAcの濃度30%のメタノール溶液を調製し、40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAcに対してモル比0.10)を添加し、60分間のけん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールに浸漬し、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAcに対するモル比0.02)を添加し、さらに5時間の再けん化を行った。得られたPVAをメタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して白色粉末のPVAを得た。得られたPVA中の7−オクテン−1−オール単位の含量は4.5モル%であった。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0028】
実施例2
5リットルの重合槽を使用して、実施例1と同様にして、以下の重合を行った。酢酸ビニルを2800g、7−オクテン−1−オールを300g、メタノールを700g仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の恒温になった時点で、AIBNを33g添加して重合を開始し、4.5時間後に重合率が63%になった時点で重合を停止した。実施例1と同様にして、精製PVAcを得、続いて、けん化および精製を行うことにより、精製PVAを得た。得られたPVA中の7−オクテン−1−オール単位の含量は8.4モル%であった。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0029】
実施例3〜8
表1に示す重合条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして重合、けん化および精製を行い、精製PVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0030】
実施例9
5リットルの重合槽を使用して、実施例2と同様にして、以下の重合を行った。酢酸ビニルを2800g、7−オクテン−1−オールを800g、アリルスルホン酸ソーダを30g仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の恒温になった時点で、AIBNを30g添加して重合を開始し、5時間後に重合率が38%になった時点で重合を停止した。実施例1と同様にして、精製PVAcを得、続いて、けん化および精製を行うことにより、精製PVAを得た。得られたPVA中の7−オクテン−1−オール単位の含量は11.0モル%、アリルスルホン酸ソーダ単位の含量は0.5モル%であった。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0031】
実施例10
実施例4で得られた5−ヘキセン−1−オールを10.2モル%含有するPVAcを、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAcに対するモル比0.009)を添加してけん化した。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して、白色粉末のPVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0032】
実施例11
実施例1で得られた7−オクテン−1−オールを4.5モル%含有するPVAcを、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液(PVAcに対するモル比0.009)を添加してけん化した。得られたゲル状物を粉砕後、メタノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して、白色粉末のPVAを得た。PVAの基本構造および物性を表2および表3に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
比較例1〜10
実施例1と同様の方法により、表4に示すPVAの物性を評価した。その結果を表5に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【発明の効果】
本発明のビニルアルコール系重合体は、5%重量減少温度が300℃よりも高く、熱安定性に優れている。従来の水溶性のビニルアルコール系重合体の場合には、界面活性が高い場合には水溶液の泡立ちが多いことから、工業的な使用に問題があったが、本発明のビニルアルコール系重合体が水溶性の場合には、高い界面活性を示すにもかかわらず、水溶液の泡立ちが少ないことから、工業的な有用性が高い。本発明のビニルアルコール系重合体は、熱可塑性樹脂や分散安定剤として有用である。さらに、本発明のビニルアルコール系重合体は、各種用途の界面活性剤、紙用コーティング剤、紙用内添剤および顔料バインダーなどの紙用改質剤、木材、紙、アルミ箔および無機物などの接着剤、不織布バインダー、塗料、経糸糊剤、繊維加工剤、ポリエステルなどの疎水性繊維の糊剤、各種フィルム、シート、ボトルおよび繊維などの各種用途に使用できる。
Claims (6)
- ビニルエステルと、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1−オール、7−オクテン−1−アセテート、9−デセン−1−オール、11−ドデセン−1−オール、および3−メチル−3−ブテン−1−オールからなる群より選ばれる少なくとも1種のヒドロキシアルキル基含有オレフィンとを共重合して得られるビニルエステル共重合体をけん化して得られるビニルアルコール系重合体。
- 請求項1記載のビニルアルコール系重合体を含む熱溶融成形品。
- 請求項1記載のビニルアルコール系重合体を含む分散安定剤。
- 請求項1記載のビニルアルコール系重合体を含むコーティング剤。
- 請求項1記載のビニルアルコール系重合体を含むサイジング剤。
- 請求項1記載のビニルアルコール系重合体を含むバインダー。
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