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JP3692559B2 - 異形リングの加工方法 - Google Patents

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JP3692559B2
JP3692559B2 JP12096195A JP12096195A JP3692559B2 JP 3692559 B2 JP3692559 B2 JP 3692559B2 JP 12096195 A JP12096195 A JP 12096195A JP 12096195 A JP12096195 A JP 12096195A JP 3692559 B2 JP3692559 B2 JP 3692559B2
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Daido Steel Co Ltd
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、外面に凹凸のある異形リングの加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外面に凹凸のある異形リングを加工する方法として、従来から後方スピニング加工法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記の後方スピニング加工法では、スピニングロールをマンドレル上に装着されて回転するリング状素材の外面に押し付けて圧下しながら、該素材の固定端部側近くまで寄せるので、マンドレルのフランジ部と該フランジ部に当接される素材の固定端部側の端面との間に拘束力が働き、素材の幅方向の固定端部側の内径Aと自由端部側の内径Bとの間にA>Bとなる内径寸法差が発生する。そのため、素材が自由端部側から飛出してマンドレルから外れてしまい、疵がついて製品価値を落とすという問題点があった。また、素材の固定端部側に側圧がかかり、マンドレルのフランジ部と当接する素材の固定端部側の端面に疵がつき易いという問題点もあった。
【0004】
そこでこの発明は、前記のような従来の問題点を解決することができ、素材の固定端部側の内径と自由端部側の内径との間に内径寸法差が発生することがなく、しかも素材の固定端部側の端面に疵がつかない異形リングの加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、この発明の異形リングの加工方法は、外面に凹凸のある異形リングを後方スピニング加工法により成形するに際し、マンドレル上に装着されて回転するリング状素材の外面に対して間歇的にスピニングロールを押し付けて圧下し、かつ素材の自由端部側へ所定量横送りすることにより、外周側の溝山部が尖端状となった環状溝を軸方向に複数個形成する溝入れ加工工程と、環状溝の溝山部をフラット化ロールで圧下することによりフラットな面に形成するフラット加工工程とからなることを特徴とする。
【0006】
【作用】
前記のようにスピニングロールの圧下に際し、素材の自由端部側へ所定量横送りするので、マンドレルのフランジ部と該フランジ部に当接される素材の固定端部側の端面との間に拘束力が働くようなことがなく、素材の固定端部側の内径と自由端部側の内径との間に内径寸法差が発生するようなことがない。しかも素材の固定端部側に側圧がかかることがなく、マンドレルのフランジ部と当接する素材の固定端部側の端面に疵がつくこともない。
【0007】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例を示す正面図、図2はスピニングロールの部分拡大正面図、図3はフラット化ロールの部分拡大正面図である。1は後方スピニング加工法で用いられるマンドレルで、リング状素材Wの固定端部側の端面が当接するフランジ部2を有している。後方スピニング加工法ではマンドレル1のほかにも、1対のセンタリングローラ等が用いられるが、これらは図示省略している。図2に示すスピニングロール5は溝形成が容易なようにその外周面のロール角度θ1が45°に形成されている。図3に示すフラット化ロール6は外周面が全くのフラットな面ではなく、スピニングロール5で形成される後記環状溝7の溝山部8に対する平滑化が容易なようにその外周面のロール角度θ2が5°〜6°に形成されている。また、フラット化ロール6の外周面は溝山部8の底面とほぼ対応する横幅からなっている。
【0008】
図1のようにマンドレル1上に装着されるリング状素材Wは後方スピニング加工法による成形に際し、高周波誘導加熱により800℃程度の温度に加熱されている。そしてマンドレル1が所定の周速で回転されて、その上に装着された素材Wも回転するようになった後、素材Wの外面に対して図4(A)に示すようにその自由端部近くにまずスピニングロール5を押し付けて圧下し、環状溝7を形成する。このスピニングロール5の圧下に際し、図5に示すように圧下量が大きくなるにしたがい素材Wの自由端部側へ所定量(δ)横送りする。すなわち、この横送り量は、例えばステップ1で加工量(圧下量)1mmに対して0mm、ステップ2で加工量2mmに対して0.2mm、ステップ3で加工量3mmに対して0.4mm、ステップ4で加工量4mmに対して0.7mmのように設定されており、横送りは各ステップ毎に圧下後に所定の停止時間(例えば5秒)をおいて間歇的に行われる。
【0009】
前記の横送りによりマンドレル1のフランジ部2と該フランジ部に当接される素材Wの固定端部側の端面との間には従来のような拘束力が働くようなことがない。そのために素材Wの内径変化は固定端部側と自由端部側ともほぼ同じであり、固定端部側の内径と自由端部側の内径との間に内径寸法差が発生するようなことがなくなる。また、素材Wの固定端部側にも側圧がかかることがない。そのためにマンドレル1のフランジ部2と当接する素材Wの固定端部側の端面に疵がつくこともない。このようにしてスピニングロール5を環状溝7を1つ形成する毎に押し付けを▲1▼→▲2▼→▲3▼というように自由端部側から中間部側へ間歇的に繰り返すことにより、図4(B)に示すように外周側の溝山部8が尖端状となった環状溝7を軸方向に複数個形成する。
【0010】
次に、前記のようにスピニング加工により素材Wの外面に形成された複数個の環状溝7の溝山部8をフラット化ロール6の外周面で叩くように圧下する。このフラット化ロール6による圧下を▲4▼→▲5▼というように自由端部側から順に行うことにより、素材Wの外面は図4(C)に示すように尖端状の溝山部8がつぶされて外周側に凹凸のないフラットな面に形成される。この溝山部8がつぶされてなくなるぶん、素材Wの幅はいくぶん延びるが、溝山部8の底面とほぼ対応する横幅の外周面を有し、局部加工が可能なフラット化ロール6で圧下するため、素材Wの径変化は極力抑えられる。そのためこの段階においても素材Wの内径変化は固定端部側と自由端部側ともほぼ同じである。前記加工に際し、センタリングローラ等による素材Wに対するセンタリング圧力は常に一定である。
【0011】
尚、前記実施例において環状溝7の個数は任意であり、成形する異形リングにより適宜変更される。また、横送り量(δ)も素材Wの性状等により適宜最適なものに設定されることは言うまでもない。
【0012】
【発明の効果】
この発明は前記のようであって、外面に凹凸のある異形リングを後方スピニング加工法により成形するに際し、マンドレル上に装着されて回転するリング状素材の外面に対して間歇的にスピニングロールを押し付けて圧下し、かつ素材の自由端部側へ所定量横送りすることにより、外周側の溝山部が尖端状となった環状溝を軸方向に複数個形成する溝入れ加工工程と、環状溝の溝山部をフラット化ロールで圧下することによりフラットな面に形成するフラット加工工程とからなるので、マンドレルのフランジ部と該フランジ部に当接される素材の固定端部側の端面との間に拘束力が働くようなことがなく、素材の固定端部側の内径と自由端部側の内径との間に内径寸法差が発生するようなことがない。したがって、従来のように素材が自由端部側から飛出してマンドレルから外れるという事態が防止され、疵のない製品を提供することができる。また、素材の固定端部側に側圧がかかることがないので、マンドレルのフランジ部と当接する素材の固定端部側の端面に疵がつくこともなく、製品価値をより高めることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】スピニングロールの部分拡大正面図である。
【図3】フラット化ロールの部分拡大正面図である。
【図4】 (A)ないし(C)はその加工工程順を示す作用図である。
【図5】スピニングロールの横送りを該ロール軌跡により説明する図面である。
【符号の説明】
1 マンドレル
2 フランジ部
5 スピニングロール
6 フラット化ロール
7 環状溝
8 溝山部
W リング状素材

Claims (1)

  1. 外面に凹凸のある異形リングを後方スピニング加工法により成形するに際し、マンドレル上に装着されて回転するリング状素材の外面に対して間歇的にスピニングロールを押し付けて圧下し、かつ素材の自由端部側へ所定量横送りすることにより、外周側の溝山部が尖端状となった環状溝を軸方向に複数個形成する溝入れ加工工程と、前記環状溝の溝山部をフラット化ロールで圧下することによりフラットな面に形成するフラット加工工程とからなることを特徴とする異形リングの加工方法。
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