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JP3690546B2 - 空燃比検出方法 - Google Patents

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JP3690546B2
JP3690546B2 JP20997496A JP20997496A JP3690546B2 JP 3690546 B2 JP3690546 B2 JP 3690546B2 JP 20997496 A JP20997496 A JP 20997496A JP 20997496 A JP20997496 A JP 20997496A JP 3690546 B2 JP3690546 B2 JP 3690546B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比を検出するための装置に関し、特に、陶磁器焼成用の焼結炉等の炉内で燃焼されるガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法としては、特願平6−57244号公報に開示されたようなものがある。
【0003】
図7は、従来の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧、同図(b)は限界電流式酸素センサーが検出した酸素濃度信号、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力信号(則ち、空燃比信号)を示すグラフである。
【0004】
すなわち、従来の空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法は、雰囲気内の酸素濃度を検出する限界電流式酸素センサーと、限界電流式酸素センサーに交流電圧を印加するための電源手段と、限界電流式酸素センサーが検出した酸素濃度に係る出力波形に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比を求める空燃比演算手段とを有していた。
【0005】
電源手段が印加する交流電圧の振幅は、図7(a)に示すように、プラス側とマイナス側で均等に設定されていた。この様な交流電圧が印加された状態で、前述の空燃比演算手段は、図7(b)に示すように、所定の演算として、限界電流式酸素センサーからの出力波形全体を積分し、プラス側の積分値(図7(b)に示す斜線部の正の部分)とマイナス側の積分値(図7(b)に示す斜線部の負の部分)との差を算出することに依って、図7(c)に示すような空燃比を求めていた。
【0006】
このようにプラス側とマイナス側で均等に設定されている交流電圧が印加されている場合、限界電流式酸素センサーは、雰囲気内に置かれた初期には高い出力安定性を有するため、酸化雰囲気下での出力波形と還元雰囲気下での出力波形とでは極性を明確に反転させることができた。
【0007】
これにより、従来の空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法は、焼結炉内で燃焼されるガス雰囲気の空燃比を求めることと同時に、雰囲気内に置かれた初期には、このガス雰囲気が酸化雰囲気なのか還元雰囲気なのかも判定することができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法では、限界電流式酸素センサーの電流電圧特性における立ち上がり領域(所謂、抵抗支配領域)を含む出力全域を用いて前述の出力波形を生成して空燃比を演算しているため、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面に発生する界面電気抵抗に変動が発生してこの抵抗支配領域における出力波形が変化した場合、出力全域における出力波形にもこの変化の影響が発生してしまうという技術的課題があった。
【0009】
更にこの界面電気抵抗の変動に起因して、算出された空燃比に十分な再現性を得ることが難しいという技術的課題もあった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題としており、特に、雰囲気信号に所定の演算を実行して、酸化雰囲気信号と還元雰囲気信号との比率に基づいて、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段と、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段とを設けることに依り、限界電流式酸素センサーの界面電気抵抗の変動に左右されずに、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できる空燃比検出装置、及びこれに用いられる空燃比検出方法を提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素濃度検出手段12と、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加するための電源手段14と、前記雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する空燃比演算手段16とを有し、前記酸素濃度検出手段12は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサー13であって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号14aを印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12bを生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12cを生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法であって、前記雰囲気信号12aを積分して前記空燃比データ16aを生成する際に、当該雰囲気信号12aを構成する前記酸化雰囲気信号12b及び前記還元雰囲気信号12cを各々の所定の限界電流領域で積分すると共に、当該酸化雰囲気信号12bの当該積分領域での積分値と当該還元雰囲気信号12cの当該積分領域での積分値との差に基づいて前記空燃比データ16aを算出する、ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0022】
請求項1に記載の発明に依れば、電源手段14が所定の交流電圧信号14aを印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いて、酸化雰囲気信号12b及び前記還元雰囲気信号12cが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するように、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bの積分値と還元雰囲気信号12cの積分値との差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0023】
請求項2に記載の発明は雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素濃度検出手段12と、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加するための電源手段14と、前記雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する空燃比演算手段16とを有し、前記酸素濃度検出手段12は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサー13であって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号14aを印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12bを生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12cを生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法であって、
前記電源手段14が生成する前記交流電圧信号14aとして正弦波電圧信号を用いて前記雰囲気信号12aから前記空燃比データ16aを生成する際に、当該正弦波電圧信号に依って生成される前記酸化雰囲気信号12bを所定の第1タイミングでサンプリングし、当該第1タイミングから1/2周期遅れた位相関係を有する第2タイミングで前記還元雰囲気信号12cをサンプリングすると共に、当該前記酸化雰囲気信号12bのサンプリング値と還元雰囲気信号12cのサンプリング値との差に基づいて前記空燃比データ16aを算出する、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0024】
請求項2に記載の発明に依れば、電源手段14が正弦波電圧信号を印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の領域を用いた雰囲気信号12aが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するように、第1タイミングでサンプリングした酸化雰囲気信号12bのサンプリング値と第2タイミングでサンプリングした還元雰囲気信号12cのサンプリング値との差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空燃比検出方法において、
前記第1サンプリング及び前記第2サンプリングは、所定の限界電流領域内の前記雰囲気信号12aに対して実行される、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0026】
請求項3に記載の発明に依れば、電源手段14が所定の交流電圧信号14aを印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いた雰囲気信号12aが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するように、第1タイミングでサンプリングした所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bのサンプリング値と第2タイミングでサンプリングした所定の限界電流領域内の還元雰囲気信号12cのサンプリング値との差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素濃度検出手段12と、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加するための電源手段14と、前記雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する空燃比演算手段16とを有し、前記酸素濃度検出手段12は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサー13であって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号14aを印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12bを生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12cを生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法であって、
前記電源手段14が生成する前記交流電圧信号14aとして交流電圧信号14aを用いて前記雰囲気信号12aから前記空燃比データ16aを生成する場合であって、長時間の還元雰囲気下での前記空燃比データ16aの測定に続いて酸化雰囲気下で前記空燃比データ16aの測定を行う際に、前記酸化雰囲気信号12bを生成するために印加される当該交流電圧信号14aの最大電圧値に比べて、前記還元雰囲気信号12cを生成するために印加される当該交流電圧信号14aの最大電圧値を小さくする、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0028】
請求項4に記載の発明に依れば、還元雰囲気下での長時間測定の影響によって界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0029】
請求項5に記載の発明は、雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素濃度検出手段12と、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加するための電源手段14と、前記雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する空燃比演算手段16とを有し、前記酸素濃度検出手段12は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサー13であって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号14aを印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12bを生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12cを生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法であって、
前記雰囲気信号12aを積分して前記空燃比データ16aを生成する際に、酸化雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の前記酸化雰囲気信号12bを前記空燃比データ16aとして出力し、還元雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の前記還元雰囲気信号12cを前記空燃比データ16aとして出力する、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0030】
請求項5に記載の発明に依れば、逆極性の信号成分を含まないように、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bと還元雰囲気信号12cとを各々分離して別個に出力することに依り、信号の直線性が向上し、更に、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16a(則ち、空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0031】
請求項6に記載の発明は、雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素濃度検出手段12と、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加するための電源手段14と、前記雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する空燃比演算手段16とを有し、前記酸素濃度検出手段12は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサー13であって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号14aを印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12bを生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12cを生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求めるための空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法であって、
前記雰囲気信号12aの限界電流領域に基づく方形波電圧信号を前記電源手段14が生成する前記交流電圧信号14aとして用いて前記空燃比データ16aを生成する、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0032】
請求項6に記載の発明に依れば、電源手段が方形波電圧信号を印加することに依り、所定の限界電流領域外の(具体的には、抵抗支配領域)における酸化雰囲気信号又は還元雰囲気信号も一定時間保持することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空燃比データの安定性を向上できるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の空燃比検出方法において、
前記方形波電圧信号を用いて前記雰囲気信号12aから前記空燃比データ16aを生成する場合であって、前記酸化雰囲気信号12bを生成するために印加される当該方形波電圧信号の最大電圧値に比べて、前記還元雰囲気信号12cを生成するために印加される当該方形波電圧信号の最大電圧値を小さくする、
ことを特徴とする空燃比検出方法である。
【0033】
請求項7に記載の発明に依れば、請求項6記載の発明の効果に加えて、電源手段14が方形波電圧信号を印加することに依り、所定の限界電流領域外の(具体的には、領域抵抗支配領域)における酸化雰囲気信号12b又は還元雰囲気信号12cも一定時間保持することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空燃比データ16aの安定性を向上でき、更に、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の各種実施形態を説明する。
【0035】
図1は、本発明の空燃比検出装置10の実施形態を説明するための機能ブロック図である。
【0036】
本空燃比検出装置10は、陶磁器焼成用の焼結炉内で燃焼される酸素ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気下における酸素ガスと水素ガスとの空燃比を求める機能を有し、図1に示すように、酸素濃度検出手段12と電源手段14と空燃比演算手段16とを有する。
【0037】
酸素濃度検出手段12は、混合ガス雰囲気内の酸素濃度(具体的には、空気中の酸素の濃度、単位は[%])を検出して雰囲気信号12aを生成する酸素センサーであって、固体電解質薄膜の両面にガス透過性電極を設け、この電極間に電圧を印加してそのときの混合ガス雰囲気中の酸素濃度に比例した電流が雰囲気信号12aとして出力されるように構成されている。
【0038】
また、ヒータ加熱電圧信号14bに応じて、限界電流式酸素センサー13を所定の動作温度(具体的には、700℃程度が望ましい)に保持するための内蔵ヒータ122が、限界電流式酸素センサー13に設けられている。
【0039】
雰囲気ガス中に置かれた状態で、酸素濃度検出手段12に交流電圧を印加すると、混合ガス雰囲気中の酸素ガス濃度(則ち、空気中の酸素の濃度)及び水素ガス濃度(則ち、燃料としての水素の濃度、単位は[%])の各々に対応して、極性の異なる直流成分(単位は[mV])を発生する。
【0040】
具体的には、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては雰囲気信号12aとして酸化雰囲気信号12b(直流成分)を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては雰囲気信号12aとして還元雰囲気信号12c(直流成分)を生成する。
【0041】
この直流成分の極性が正(則ち、プラス側)の場合は酸化雰囲気信号12bが検出され、極性が負(則ち、マイナス側)の場合は還元雰囲気信号12cが検出されるので、この極性によって、混合ガス雰囲気の酸化状態又は還元状態を検知することができる。
【0042】
また限界電流式酸素センサー13は、空気中の酸素の濃度と燃料としての水素の濃度との比率に基づいて、酸化雰囲気信号12b又は還元雰囲気信号12cを生成するように構成されている。
【0043】
これにより、空燃比データ16a(則ち、空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0044】
このような酸素濃度検出手段12は、焼成路の内部に先端部を挿入したガス導入管を通って導入された混合ガス雰囲気と接触するように構成されている。
【0045】
電源手段14は、酸素濃度検出手段12に交流電圧信号14aを印加する機能を有し、酸素濃度検出手段12に接続されている。
【0046】
交流電圧信号14aの具体的な周波数は、限界電流式酸素センサー13の応答速度によって決定されるが、1[Hz]〜10[Hz]程度が望ましい。またこのときの交流電圧信号14aの具体的な大きさは、±0.6程度が望ましい。なお、交流電圧信号14aの周波数や電圧値は、酸素濃度検出手段12の構造や応答速度等を考慮して最適化することが望ましい。
【0047】
また電源手段14は、限界電流式酸素センサー13を所定の動作温度(具体的には、700℃)に保持するためのヒータ加熱電圧信号14bを、限界電流式酸素センサー13に設けられた内蔵ヒータ122に印加するための内蔵ヒータ電源部144を有している。
【0048】
これにより、内蔵ヒータ電源部144がヒータ加熱電圧信号14bを印加することに依り、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0049】
空燃比演算手段16は、雰囲気信号12aに所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データ16aを生成する機能を有し、酸素濃度検出手段12に接続されている。
【0050】
雰囲気信号12aを増幅するための増幅回路、雰囲気信号12aに所定の演算(具体的には、積分演算や差演算)を実行するための積分回路や差動増幅回路、雰囲気信号12aから酸化雰囲気信号12bや還元雰囲気信号12cを検出するための分離回路(具体的には、逆平行に接続された2本のダイオード素子から構成されている整流回路)、等を中心にして構成されている。
【0051】
なお、空燃比演算手段16は、雰囲気信号12aをA/D変換回路によってディジタル信号に変換して、このディジタル変換された雰囲気信号12aに対して前述の演算をディジタル的に実行して、空燃比データ16aを生成することの可能である。このようなディジタル演算を実行する場合の空燃比演算手段16は、CPU,RAM、ペリフェラルインタフェース等をを中心にして構成されているマイクロコンピュータを用いることが望ましい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に依れば、電源手段14が所定の交流電圧信号14aを印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く出力領域を用いた雰囲気信号12aが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するような所定の演算を実行して酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12cを算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0053】
以下、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の各種実施形態を説明する。
【0054】
図2は、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の第1実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサー13に印加される交流電圧信号14a、同図(b)は限界電流式酸素センサー13が出力する雰囲気信号12a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)、同図(c)は空燃比演算手段16が出力する演算出力(則ち、空燃比データ16a)を示すグラフである。なお、空燃比検出装置10の実施形態において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0055】
本空燃比検出方法は、雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際の信号処理方法であって、第1工程と、この第1工程に続く第2工程とを有する。
【0056】
電源手段14が印加する交流電圧信号14aの振幅は、図2(a)に示すように、プラス側とマイナス側で均等(則ち、±0.5V)に設定されている。
【0057】
この様な交流電圧信号14aが印加された状態で生成される雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際に、空燃比演算手段16が、第1工程と、この第1工程に続く第2工程とを有する演算(具体的には、積分演算と差演算)を実行する。
【0058】
第1工程は、図2(b)に示すように、雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際に、雰囲気信号12aを構成する酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12cを各々の所定の限界電流領域で積分する工程である。
【0059】
具体的には、酸化雰囲気信号12b(則ち、プラス側)の所定の限界電流領域を0.3V〜0.8Vに設定し、還元雰囲気信号12c(則ち、マイナス側)の所定の限界電流領域を0.1V〜0.7Vに設定して、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いて、積分演算を実行している。
【0060】
但し、図2(b)では、酸化雰囲気信号12b(プラス側)の所定の限界電流領域を0.3Vに設定し、還元雰囲気信号12c(マイナス側)の所定の限界電流領域を0.7Vに設定した例を示している。
【0061】
この第1工程に続く第2工程は、雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際に、酸化雰囲気信号12b(単位は[mV])の積分領域(0.3V〜0.8V)での積分値Aと還元雰囲気信号12c(単位は[mV])の積分領域(0.1V〜0.7V)での積分値Bとの差(則ち、A−B)に基づいて、図2(c)に示すような空燃比データ16a(単位は[mVDC])を算出する工程である。
【0062】
以上説明したように、空燃比検出方法の第1実施形態に依れば、電源手段14が所定の交流電圧信号14aを印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いて、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12cが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するように、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bの積分値と還元雰囲気信号12cの積分値との差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0063】
次に、空燃比検出方法の第2実施形態を説明する。
【0064】
図3は、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の第2実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサー13に印加される交流電圧信号14a、同図(b)は限界電流式酸素センサー13が出力する雰囲気信号12a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)、同図(c)は空燃比演算手段16が出力する演算出力(則ち、空燃比データ16a)を示すグラフである。なお、空燃比検出方法の第1実施形態において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0065】
本空燃比検出方法は、雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際の信号処理方法であって、第1工程と、この第1工程に続く第2工程とを有する。
【0066】
電源手段14が印加する交流電圧信号14a(正弦波電圧信号)の振幅は、図3(a)に示すように、プラス側とマイナス側で均等(則ち、±0.5V)に設定されている。
【0067】
この様な正弦波電圧信号が印加された状態で生成される雰囲気信号12aから空燃比データ16aを生成する際に、空燃比演算手段16が、第1工程と、この第1工程に続く第2工程とを有する演算(具体的には、サンプリング演算と差演算)を実行する。
【0068】
第1工程は、図3(b)に示すように、電源手段14が生成する交流電圧信号14aとして正弦波電圧信号を用いて雰囲気信号12aから空燃比データ16aを生成する際に、正弦波電圧信号に依って生成される酸化雰囲気信号12b(単位は[mV])を所定の第1タイミング(具体的には、90度の位相)でサンプリングし、第1タイミングから1/2周期(則ち、180度)遅れた位相関係を有する第2タイミング(具体的には、270度)で還元雰囲気信号12c(単位は[mV])をサンプリングする工程である。
【0069】
第1サンプリング及び第2サンプリングは、所定の限界電流領域内の雰囲気信号12aに対して実行される。
【0070】
具体的には、交流電圧信号14a±0.6Vの限界電流領域(酸化状態でプラス側、還元状態でマイナス側)の出力値のみを演算の対象としている。
【0071】
この第1工程に続く第2工程は、酸化雰囲気信号12bのサンプリング値Aと還元雰囲気信号12cのサンプリング値Bとの差(則ち、A−B)に基づいて、図3(c)に示すような空燃比データ16a(単位は[mVDC])を算出する工程である。
【0072】
以上説明したように、空燃比検出方法の第2実施形態に依れば、電源手段14が正弦波電圧信号を印加することに依り、限界電流式酸素センサー13の電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の領域を用いた雰囲気信号12aが生成され、空燃比演算手段16が、抵抗支配領域の影響を回避するように、第1タイミングでサンプリングした酸化雰囲気信号12bのサンプリング値と第2タイミングでサンプリングした還元雰囲気信号12cと差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0073】
更に、積分回路が不要となるため、限界電流式酸素センサー13の持つ固有の応答速度で高速に空燃比データ16aを算出できるようになる。
【0074】
次に、空燃比検出方法の第3実施形態を説明する。
【0075】
図4は、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の第3実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサー13に印加される交流電圧信号14a、同図(b)は限界電流式酸素センサー13が出力する雰囲気信号12a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)、同図(c)は空燃比演算手段16が出力する演算出力(則ち、空燃比データ16a)を示すグラフである。なお、空燃比検出方法の第1実施形態又は第2実施形態において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0076】
本空燃比検出方法は、電源手段14が生成する交流電圧信号14aとして交流電圧信号14aを用いて雰囲気信号12aから空燃比データ16aを生成する場合であって、長時間の還元雰囲気下での空燃比データ16aの測定に続いて酸化雰囲気下で空燃比データ16aの測定を行う際の信号処理方法である。
【0077】
第1工程は、図4(a)に示すように、電源手段14が生成する交流電圧信号14aとして交流電圧信号14aを用いて雰囲気信号12aから空燃比データ16aを生成する場合であって、長時間の還元雰囲気下での空燃比データ16aの測定に続いて酸化雰囲気下で空燃比データ16aの測定を行う際に、酸化雰囲気信号12bを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値に比べて、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を小さくする工程である。
【0078】
具体的には、酸化雰囲気信号12b(プラス側)を生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を0.6V、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を0.3Vに設定している。
【0079】
また本実施形態では、図4(b)に示すように、交流電圧信号14aに依って生成される酸化雰囲気信号12b(単位は[mV])を所定の第1タイミング(具体的には、90度の位相)でサンプリングし、第1タイミングから1/2周期(則ち、180度)遅れた位相関係を有する第2タイミング(具体的には、270度)で還元雰囲気信号12c(単位は[mV])をサンプリングする第2工程を有する。
【0080】
更に、第2工程に続いて、酸化雰囲気信号12bのサンプリング値Aと還元雰囲気信号12cのサンプリング値Bとの差(則ち、A−B)に基づいて、図4(c)に示すような空燃比データ16a(単位は[mVDC])を算出する第3工程を有する。
【0081】
以上説明したように、空燃比検出方法の第3実施形態に依れば、還元雰囲気下での長時間測定の影響によって界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0082】
次に、空燃比検出方法の第4実施形態を説明する。
【0083】
図5は、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の第4実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサー13に印加される交流電圧信号14a、同図(b)は限界電流式酸素センサー13が出力する雰囲気信号12a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)、同図(c)は空燃比演算手段16が出力する演算出力(則ち、空燃比データ16a)を示すグラフである。なお、空燃比検出方法の第1実施形態乃至第3実施形態において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0084】
第1工程は、図5(a)に示すように、電源手段14が生成する交流電圧信号14aとして交流電圧信号14aを用いて雰囲気信号12aから空燃比データ16aを生成する場合であって、長時間の還元雰囲気下での空燃比データ16aの測定に続いて酸化雰囲気下で空燃比データ16aの測定を行う際に、酸化雰囲気信号12bを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値に比べて、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を小さくする工程である。
【0085】
具体的には、酸化雰囲気信号12b(プラス側)を生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を0.6V、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される交流電圧信号14aの最大電圧値を0.3Vに設定している。また本実施形態では、図5(b)に示すように、雰囲気信号12aを積分して空燃比データ16aを生成する際に、酸化雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bを空燃比データ16aとして出力し、還元雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の還元雰囲気信号12cを空燃比データ16aとして出力する第2工程を有する。
【0086】
酸化雰囲気信号12bと還元雰囲気信号12cとを分離して検出することは、限界電流領域と逆極性の出力とを基準として、一定値以上の出力が出力されていれば、逆極性が限界電流極性であると判断するようなコンパレータ回路を付加することによって実現できる。
【0087】
第2工程においては、図5(b)に示すように、交流電圧信号14aに依って生成される酸化雰囲気信号12b(単位は[mV])を所定の第1タイミング(具体的には、90度の位相)で酸化雰囲気信号12bをサンプリングし、第1タイミングから1/2周期(則ち、180度)遅れた位相関係を有する第2タイミング(具体的には、270度)で還元雰囲気信号12c(単位は[mV])をサンプリングしているる。
【0088】
この第2工程に続く第3工程は、酸化雰囲気信号12bのサンプリング値Aと還元雰囲気信号12cのサンプリング値Bとに基づいて、図5(c)に示すような空燃比データ16a(単位は[mVDC])を算出する工程である。
【0089】
以上説明したように、空燃比検出方法の第4実施形態に依れば、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号12bと還元雰囲気信号12cとを各々分離して別個に出力することに依り、安定な限界電流領域内における酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12cを検出でき、その結果、信号の直線性が向上する。
【0090】
更に、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16a(則ち、空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0091】
次に、空燃比検出方法の第5実施形態を説明する。
【0092】
図6は、図1の空燃比検出装置10に用いられる空燃比検出方法の第5実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサー13に印加される交流電圧信号14a、同図(b)は限界電流式酸素センサー13が出力する雰囲気信号12a(則ち、酸化雰囲気信号12b及び還元雰囲気信号12c)、同図(c)は空燃比演算手段16が出力する演算出力(則ち、空燃比データ16a)を示すグラフである。なお、空燃比検出方法の第1実施形態乃至第4実施形態において既に記述したものと同一の部分については、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0093】
本空燃比検出方法の第1工程は、雰囲気信号12aの限界電流領域に基づく方形波電圧信号(具体的には、図6(a)に示すように、周波数1[Hz]、電圧値±0.5[V])を電源手段14が生成する交流電圧信号14aとして用いて空燃比データ16aを生成する工程である。
【0094】
本実施形態では、酸化雰囲気信号12bを生成するために印加される方形波電圧信号の最大電圧値に比べて、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される方形波電圧信号の最大電圧値を小さくしている。
【0095】
具体的には、図6(a)に示すように、酸化雰囲気信号12b(プラス側)を生成するために印加される方形波電圧信号の最大電圧値を0.6V、還元雰囲気信号12cを生成するために印加される方形波電圧信号の最大電圧値を0.3Vに設定している。
【0096】
この第1工程に続く第2工程は、図6(b)に示すように、酸化雰囲気信号12b(単位は[mV])を所定の第1タイミング(具体的には、方形波電圧信号の立ち下がりのタイミング)でサンプリングし、第1タイミングから1/2周期遅れた位相関係を有する第2タイミング(具体的には、方形波電圧信号の立ち下がりのタイミングから180度遅れた方形波電圧信号の立ち上がりのタイミング)で還元雰囲気信号12c(単位は[mV])をサンプリングする工程である。
【0097】
更に、この第2工程に続く第3工程は、酸化雰囲気信号12bのサンプリング値Aと還元雰囲気信号12cのサンプリング値Bとに基づいて、図6(c)に示すような空燃比データ16a(単位は[mVDC])を算出する工程である。
【0098】
請求項12に記載の発明に依れば、請求項11に記載の効果に加えて、電源手段14が方形波電圧信号を印加することに依り、所定の限界電流領域外の(具体的には、領域抵抗支配領域)における酸化雰囲気信号12b又は還元雰囲気信号12cも一定時間保持することに依り、限界電流式酸素センサー13内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることのなく、空燃比データ16aの安定性を向上でき、更に、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ16aを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0104】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明に依れば、電源手段が所定の交流電圧信号を印加することに依り、限界電流式酸素センサーの電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いて、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号が生成され、空燃比演算手段が、抵抗支配領域の影響を回避するように、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号の積分値と還元雰囲気信号の積分値との差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0105】
請求項2に記載の発明に依れば、電源手段が正弦波電圧信号を印加することに依り、限界電流式酸素センサーの電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の領域を用いた雰囲気信号が生成され、空燃比演算手段が、抵抗支配領域の影響を回避するように、第1タイミングでサンプリングした酸化雰囲気信号のサンプリング値と第2タイミングでサンプリングした還元雰囲気信号と差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0106】
請求項3に記載の発明に依れば、請求項2に記載の効果に加えて、電源手段が所定の交流電圧信号を印加することに依り、限界電流式酸素センサーの電流電圧特性における立ち上がり領域(抵抗支配領域)を除く所定の限界電流領域を用いた雰囲気信号が生成され、空燃比演算手段が、抵抗支配領域の影響を回避するように、第1タイミングでサンプリングした所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号のサンプリング値と第2タイミングでサンプリングした所定の限界電流領域内の還元雰囲気信号と差演算を実行して空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度を算出することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0107】
請求項4に記載の発明に依れば、還元雰囲気下での長時間測定の影響によって界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0108】
請求項5に記載の発明に依れば、逆極性の信号成分を含まないように、所定の限界電流領域内の酸化雰囲気信号と還元雰囲気信号とを各々分離して別個に出力することに依り、信号の直線性が向上し、更に、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データ(則ち、空気中の酸素の濃度及び燃料としての水素の濃度)を再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【0109】
請求項6に記載の発明に依れば、電源手段が方形波電圧信号を印加することに依り、所定の限界電流領域外の(具体的には、領域抵抗支配領域)における酸化雰囲気信号又は還元雰囲気信号も一定時間保持することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空燃比データの安定性を向上できるようになる。
【0110】
請求項7に記載の発明に依れば、請求項6に記載の効果に加えて、電源手段が方形波電圧信号を印加することに依り、所定の限界電流領域外の(具体的には、領域抵抗支配領域)における酸化雰囲気信号又は還元雰囲気信号も一定時間保持することに依り、限界電流式酸素センサー内の電極と固体電解質との界面において界面電気抵抗に変動が発生しても、この変動に左右されることなく、空燃比データの安定性を向上でき、更に、空気過剰雰囲気から燃料過剰雰囲気にわたる広範囲の雰囲気下における空燃比データを再現性良く、高精度で且つ安定性良く計測できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空燃比検出装置の実施形態を説明するための機能ブロック図である。
【図2】図1の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第1実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【図3】図1の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第2実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【図4】図1の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第3実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【図5】図1の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第4実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【図6】図1の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第5実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【図7】従来の空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法の第5実施形態を説明するためのグラフであって、同図(a)は限界電流式酸素センサーに印加される交流電圧信号、同図(b)は限界電流式酸素センサーが出力する雰囲気信号(則ち、酸化雰囲気信号及び還元雰囲気信号)、同図(c)は空燃比演算手段が出力する演算出力(則ち、空燃比データ)を示すグラフである。
【符号の説明】
10 空燃比検出装置
12 酸素濃度検出手段
12a 雰囲気信号
12b 酸化雰囲気信号
12c 還元雰囲気信号
122 内蔵ヒータ
13 限界電流式酸素センサー
14 電源手段
14a 交流電圧信号
14b ヒータ加熱電圧信号
144 内蔵ヒータ電源部
16 空燃比演算手段
16a 空燃比データ

Claims (7)

  1. 雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段と、前記雰囲気信号に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段とを有し、前記酸素濃度検出手段は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求める空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法であって、
    前記雰囲気信号を積分して前記空燃比データを生成する際に、当該雰囲気信号を構成する前記酸化雰囲気信号及び前記還元雰囲気信号を各々の所定の限界電流領域で積分すると共に、当該酸化雰囲気信号の当該積分領域での積分値と当該還元雰囲気信号の当該積分領域での積分値との差に基づいて前記空燃比データを算出する、
    ことを特徴とする空燃比検出方法。
  2. 雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段と、前記雰囲気信号に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段とを有し、前記酸素濃度検出手段は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求める空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法であって、
    前記電源手段が生成する前記交流電圧信号として正弦波電圧信号を用いて前記雰囲気信号から前記空燃比データを生成する際に、当該正弦波電圧信号に依って生成される前記酸化雰囲気信号を所定の第1タイミングでサンプリングし、当該第1タイミングから1/2周期遅れた位相関係を有する第2タイミングで前記還元雰囲気信号をサンプリングすると共に、当該前記酸化雰囲気信号のサンプリング値と還元雰囲気信号のサンプリング値との差に基づいて前記空燃比データを算出する、
    ことを特徴とする空燃比検出方法。
  3. 前記第1サンプリング及び前記第2サンプリングは、所定の限界電流領域内の前記雰囲気信号に対して実行される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の空燃比検出方法。
  4. 雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段と、前記雰囲気信号に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段とを有し、前記酸素濃度検出手段は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求める空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法であって、
    前記電源手段が生成する前記交流電圧信号として交流電圧信号を用いて前記雰囲気信号から前記空燃比データを生成する場合であって、長時間の還元雰囲気下での前記空燃比データの測定に続いて酸化雰囲気下で前記空燃比データの測定を行う際に、前記酸化雰囲気信号を生成するために印加される当該交流電圧信号の最大電圧値に比べて、前記還元雰囲気信号を生成するために印加される当該交流電圧信号の最大電圧値を小さくする、
    ことを特徴とする空燃比検出方法。
  5. 雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段と、前記雰囲気信号に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段とを有し、前記酸素濃度検出手段は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求める空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法であって、
    前記雰囲気信号を積分して前記空燃比データを生成する際に、酸化雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の前記酸化雰囲気信号を前記空燃比データとして出力し、還元雰囲気状態では、所定の限界電流領域内の前記還元雰囲気信号を前記空燃比データとして出力する、
    ことを特徴とする空燃比検出方法。
  6. 雰囲気内の酸素濃度を検出して雰囲気信号を生成する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段に交流電圧信号を印加するための電源手段と、前記雰囲気信号に所定の演算を実行して、ガス雰囲気中の空気と燃料との混合比率である空燃比データを生成する空燃比演算手段とを有し、前記酸素濃度検出手段は、雰囲気ガスの酸化状態又は還元状態を検知する限界電流式酸素センサーであって、雰囲気ガス中に置かれた状態で前記交流電圧信号を印加された際に、酸化状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として酸化雰囲気信号を生成し、還元状態下の雰囲気ガスにあっては前記雰囲気信号として還元雰囲気信号を生成するように構成され、焼結炉内のガス雰囲気下における空燃比を求める空燃比検出装置に用いられる空燃比検出方法であって、
    前記雰囲気信号の限界電流領域に基づく方形波電圧信号を前記電源手段が生成する前記交流電圧信号として用いて前記空燃比データを生成する、
    ことを特徴とする空燃比検出方法。
  7. 前記方形波電圧信号を用いて前記雰囲気信号から前記空燃比データを生成する場合であって、前記酸化雰囲気信号を生成するために印加される当該方形波電圧信号の最大電圧値に比べて、前記還元雰囲気信号を生成するために印加される当該方形波電圧信号の最大電圧値を小さくする、
    ことを特徴とする請求項6記載の空燃比検出方法。
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