JP3673683B2 - 旋回作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばバックホー等の旋回作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平11−1939号公報に開示されている旋回作業機は、旋回台の後部にエンジンを配置し、このエンジンの右側にラジエータを、前側に運転席をそれぞれ配置し、運転席の右側にオイルタンクと燃料タンクとバッテリとを配置している。
また、燃料タンク、バッテリ及びオイルタンク等は、横軸心回りに開閉自在に備えられた側ボンネットで覆われ、前記エンジン及びラジエータは、側ボンネットの後側に隣接して配置され、且つ前上部が横軸心回りに枢支されて開閉自在とされた後ボンネットで覆われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記側ボンネット及び後ボンネットは、鋼板または樹脂材等によって型成型されるものであって、特に、側ボンネットは、前後に長く形成されていることから、前後方向の寸法誤差が生じやすい構造となっている。
そして、側ボンネットを、旋回台に対して前部を支点として開閉自在に取り付けた場合、側ボンネットの後部側の位置は、前側の取付位置によって一義的に決定されるため、前記ような寸法誤差が生じると後ボンネットとの突き合わせ部における隙間に広狭が生じ、側ボンネットの収まりが悪くなるとともに見栄えの悪化、シール性の悪化等を招来するものとなっていた。また、長期間の使用で側ボンネットの開閉を繰り返すことによっても、ガタ、歪み等により後ボンネットとの間の隙間が変動しやすくなる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る旋回作業機は、旋回台上に、長手方向一端部側を支点として開閉自在に設けられた第1ボンネットと、この第1ボンネットの他端部側に長手方向に隣接して配設された第2ボンネットとが備えられ、前記第1ボンネットが、第2ボンネットに対する長手方向の位置を調整自在として備えられていることを特徴としている。
【0006】
この場合、第1ボンネットの長手方向の位置を調整することにより、第2ボンネットとの隙間を所定に設定でき、第1ボンネットの収まりが良くなるとともに、見栄えの悪化等を防止できる。
なお、第2ボンネットとしては、旋回台に対して開閉自在に備えられるものであってもよいし、固定であってもよい。
また、本発明は、前記第1ボンネットの内面に、同第1ボンネットの補強をなす補強フレームが固定され、該補強フレームに、第1ボンネットの開閉支点部と、旋回台に対する第1ボンネットの取付位置を長手方向に調整可能とする調整部とを有した取付具が備えられていることを特徴としている。これによれば、第1ボンネットが補強フレームによって補強され、該補強フレームに取付具が設けられていることから、第1ボンネットの開閉時における歪み等が防止できるとともに、回動支持構造の強度を向上でき、第2ボンネットとの間の隙間の変動も防止される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図8は、バックホーで例示する本発明にかかる旋回作業機1を示しており、この旋回作業機1はクローラ走行装置2と、旋回台3と、掘削装置4とから主構成されている。
クローラ走行装置2のトラックフレーム6上には、旋回ベアリング7を介して旋回台3が上下方向の旋回軸心X回りに旋回自在に搭載されており、同トラックフレーム6の前部にはドーザ8が昇降自在に装着されている。
【0008】
旋回台3の底面を構成するベースフレーム3aの前端部には、ブラケット3bを介して掘削装置4が設けられ、同後端部には、掘削装置4との重量バランスを図るカウンタウエイト9が設けられている。また、旋回台3上の左前側には運転席10、操縦装置11及びステップ部12を有する操縦フロア13が設けられ、操縦フロア13の後方及び右側方には、エンジン15、タンク16等の各種機器を覆うボンネット21,22,23が搭載されている。また、運転席10の前方で旋回台3の左側部には、運転席10への乗降口18が形成されている。
【0009】
掘削装置4は、前記ブラケット3bに縦軸を介して支持された揺動ブラケット25にブーム26とブームシリンダ27の各基端部を枢支し、ブーム26の先端にアーム28を枢支してアームシリンダ29で揺動可能にし、アーム28の先端にバケット30を枢支してバケットシリンダ31で掬い及びダンプ動作可能にしている。
旋回台3の後部は、旋回軸心Xを中心とした円弧壁面に形成されており、この旋回台3の後部が描く旋回軌跡が、クローラ走行装置2の左右及び前後幅内に納められている。また、旋回台3の左右側部は前後方向の直壁面に形成されており、旋回台3の左右幅が前記旋回軌跡の直径よりも幅狭に形成されている。
【0010】
しかして、本実施形態の旋回作業機1は、旋回台3が走行装置2の車幅からはみ出ることなく旋回できる後方小旋回型に属するものであり、これによって狭路での走行や掘削作業が容易に行えるようになっている。
ベースフレーム3aの後部にはエンジン15が横向きに配置され、このエンジン15の左側に油圧ポンプ33が直結され、同エンジン15の右側方にラジエータ34、バッテリ35等が配設されている。また、ラジエータ34の前側には、作動油タンク16が配設され、該作動油タンク16の前側にコントロールバルブ36が配設され、運転席10の下方側で旋回台3の左前側には燃料タンク37が配設されている。
【0011】
前記ボンネット21,22,23は、板金製又は硬質樹脂製よりなり、旋回台3の右側(操縦フロア13の右方)で前後方向に長く形成された側ボンネット(第1ボンネット)21と、旋回台3の後部側で、側ボンネット21の後側に隣接して配置された後ボンネット(第2ボンネット)22と、該後ボンネット22と運転席10との間で側ボンネット21の左側に配設された固定ボンネット23とを有する。
そして、側ボンネット21は、前記作動油タンク16、コントロールバルブ36、バッテリ35、ラジエータ34等の上方、前方及び左右側方を覆い、後ボンネット22は、エンジン15、油圧ポンプ33の上方及び後方を覆い、固定ボンネット23は、エンジン15及び油圧ポンプ33等の上方及び左側方を覆うように構成されている。
【0012】
また、側ボンネット21は後方開放形状とされ、後ボンネット22は前方開放状とされており、側ボンネット21のの後側縁は、後ボンネット22の右前側縁と突き合わせ状に隣接するようになっている。
固定ボンネット23は、図1及び図2に示すように、ベースフレーム3上に前記エンジン15、油圧ポンプ33を跨ぐように立設された支持フレーム39によって下側から支持され、旋回台3に対して固定とされている。
この支持フレーム39は、エンジン10等の上方に左右方向に設けられた上フレーム39aと、該上フレーム39aの左右両端部及び中途部から前下方又は後下方に延びる脚部39bとを有して側面視門型を呈し、これらは板材又はパイプ材等により形成されている。
【0013】
後ボンネット22は、その前上部が前記上フレーム39aに対してヒンジ部材40を介して左右方向の軸心P2回りに回動、開閉自在に取り付けられており、上方(図1の矢示A方向)へ開くことでエンジンルーム内を後方から開放可能としている。また、後ボンネット22の後下部には、カウンタウエイト9との間で閉鎖状態を施錠する施錠具41が設けられている。
側ボンネット21は、その前下部が旋回台3に対して左右方向の軸心P1回りに回動、開閉自在に備えられており、前上方(矢示B方向)へ開くことによって作動油タンク16、コントロールバルブ34等の外方を開放可能としている。なお、側ボンネット21の上壁には、開閉操作するための取っ手44が取付固定されている。
【0014】
側ボンネット21の内面には、補強フレーム46が設けられており、該補強フレーム46は、側ボンネット21の前壁内側にボルト等の締結具47(図3参照)によって連結された前連結板46aと、上壁後部内側にボルト等の締結具48(図5、図6参照)によって連結された後連結板46bと、この前後連結板46a,46bを互いに連結する左右一対の補強部材46cと、によって構成されている。
補強部材46cは、パイプ材等の棒状部材により、側ボンネット21の上壁及び前壁内面に沿うように前後に長く形成されており、したがって、側ボンネット21を内面側から支持して補強の役割をなし、作動油タンク16及びコントロールバルブ36の上方を覆ってガードとしての機能を有するものとなっている。
【0015】
なお、図例では、補強部材46cを左右2本としているが、1本又は3本以上としてもよい。また、補強部材46cを中実棒材又は板材により構成してもよい。
前記前連結板46aには、側ボンネット21を旋回台3に対して取り付けるための取付具(取付手段)51が備えられている。
この取付具51は、図3及び図4に示すように、前連結板46aから下方に突出する左右一対の突片52と、この突片52の下端に左右方向の支軸(開閉支点部)53を介して回動自在に連結された左右一対のアーム54と、このアーム54の下端部を互いに連結する左右方向に長い平面矩形板材よりなる連結板55とを有している。
【0016】
そして、この連結板55が、側ボンネット21の前側に形成された旋回台3上の補助ステップ部12aに対してボルト、ナット等の締結具56によって連結されるようになっている。
したがって、側ボンネット21は、旋回台3に対して支軸53回り(軸心P1回り)に回動自在に取り付けられた補強フレーム46に固定されていることから、側ボンネット21を開放すると補強フレーム46も同時に開放され、開閉時における側ボンネット21の歪みを有効に防止できるものとなり、また、内部機器の点検の際に補強フレーム46が邪魔にならないようになっている。
【0017】
また、取付具51を第1ボンネットではなく補強フレーム46に設けていることから、第1ボンネットの回動支持構造の強度を向上できるものとなる。
なお、補助ステップ部12aは、前記操縦ステップ部12と連通して旋回台3の前右側からの乗降をも可能とするものであり、側ボンネット21を開いたときに、その前壁を補助ステップ部12a側に預けることで、開いた状態を支持できるようにしている。
取付具51と旋回台3との連結構造について詳細に説明すると、前記補助ステップ12aの裏面側には、左右方向に長い台板58が下方突出状に設けられており、その左右両端部の下面には、L字状を呈する一対の係合具59が下方に突出して設けられている。
【0018】
また、台板58には、左右一対のボルト孔60が形成され、連結板55には、前記ボルト孔60に対応する左右一対の調整孔61が形成されており、連結板55の左右両端を一対の係合具59に対して前後方向に挿脱自在に挿入するとともに、ボルト孔60と調整孔61とを合致して締結具56のボルトを挿入し、ナットで締結することによって、連結板55が補助ステップ部12aに取付けられる。なお、補助ステップ部12aには、上方からのボルトの挿入、締結を可能とするように上下に貫通する開口62が形成されている。
【0019】
前記取付具51は、旋回台3に対する前後方向の取付位置を調整可能とする調整部64を有しており、本実施形態における調整部64は、前記調整孔61を前後方向の長孔に形成することによって構成されている。
したがって、この長孔61の範囲で連結板55の前後取付位置、すなわち、側ボンネット21の前後取付位置を調整できるようになっており、この調整によって、後ボンネット22との間の隙間t(図1参照)を所定に設定でき、側ボンネット21に長手方向の寸法誤差等が生じていたとしても、側ボンネット21を収まり良く配設することができ、見栄えの悪化、シール性の悪化を防止できるようになっている。
【0020】
また、長期間の使用で側ボンネット21の開閉を繰り返したとしても、補強フレーム46によって側ボンネット21が補強されていることから、歪み等に起因する後ボンネットとの隙間の変動が防止でき、また、隙間に変動があったとしても、調整部64によって側ボンネット21の前後位置を再度調整することで、所定隙間tに設定し直すことができる。
また、締結具56の締結を解いて連結板55を係合具59から離脱することによって、又は、突片52とアーム54とから支軸53を抜くことによって、側ボンネット21全体を旋回台3から取り外し可能である。
【0021】
なお、前記調整部64は、ボルト孔60を前後方向の長孔とすることによっても構成できるが、この場合、連結板55の前後位置調整によって締結具56も前後に移動することから、締結具56が開口62から位置ズレしてボルトの挿入、締結が困難になる可能性があるため、取付具51側に調整部64を備えるのが好ましい。
前記側ボンネット21の後側の内部には、同側ボンネット21の閉鎖状態をロックするロック手段66が設けられている。
【0022】
このロック手段66は、図5及び図6に示すように、補強フレーム46の後連結板46bから後方突出状に設けられたフック状の掛止め具67と、支持フレーム39の右側部から右方に突出するブラケット68を介して取り付けられた止め金具69とを有し、この止め金具69を掛止め具67に対して係脱自在に係合することによって側ボンネット21の閉鎖状態をロックできるようにしている。
なお、前記止め金具69は、掛止め具67に対して係合する輪部69aと、該輪部69aを係脱操作する回動レバー69bとを有した所謂えび金具とされている。
【0023】
ロック手段66は、側ボンネット21の後内部に設けられていることから、後ボンネット22を開放したときに後方に露出し、エンジンルーム内から係脱操作が行えるようになっている。逆に言えば、後ボンネット22を開放しなければ側ボンネット21を開くことができないため、施錠具41は後ボンネット22のみに設けておけばよいこととなる。
また、側ボンネット及び後ボンネット21,22を共に開放することによって、旋回台3上の各種機器を一連に(全体的に)露出することができるようになり、点検作業等を容易に行えるものとしている。
【0024】
本発明は、前記実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。
例えば、旋回台3上の側ボンネット21、固定ボンネット23,操縦フロア13の配置を左右逆に構成してもよく、固定ボンネット23を右方に延伸して側ボンネット21と前後に隣接させることで、この固定ボンネット23を第2ボンネットとして構成することもできる。後ボンネットは、後下部を支点として開閉自在に構成してもよい。
旋回作業機としては、旋回台3の後端が描く旋回軌跡が走行装置2の幅から突出する標準的な型式、または、旋回軌跡を走行装置2の幅内に納め且つ掘削装置4の上下揺動支点を運転席10の側方に設けた超小旋回型等とすることができ、旋回台3上に操縦フロア13を包囲するキャビンを備えたものであっても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、第1ボンネットの長手方向の位置を調整することにより、第2ボンネットとの隙間を所定に設定でき、第1ボンネットの収まりを良くして見栄えの悪化等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる旋回作業機の旋回台を示す右側面図である。
【図2】各ボンネットの配置及び支持フレーム、補強フレームの配置を示す平面図である。
【図3】側ボンネットの取付具を示す拡大側面図である。
【図4】同拡大平面図である。
【図5】側ボンネットのロック手段を示す拡大側面図である。
【図6】同背面図である。
【図7】旋回作業機の平面図である。
【図8】同全体側面図である。
【符号の説明】
1 バックホー(旋回作業機)
3 旋回台
21 側ボンネット(第1ボンネット)
22 後ボンネット(第2ボンネット)
51 取付具
64 調整部
Claims (2)
- 旋回台上に、長手方向一端部側を支点として開閉自在に設けられた第1ボンネットと、この第1ボンネットの他端部側に長手方向に隣接して配設された第2ボンネットとが備えられ、前記第1ボンネットが、第2ボンネットに対する長手方向の位置を調整自在として備えられており、
前記第1ボンネットの内面に、同第1ボンネットの補強をなす補強フレームが固定され、該補強フレームに、第1ボンネットの開閉支点部と、旋回台に対する第1ボンネットの取付位置を長手方向に調整可能とする調整部とを有する取付具が備えられており、
該取付具には、前記開閉支点部を有して第1ボンネットを回転自在に支持するアームと、前記調整部を有して前記アームの下端部に連結された連結板とが備えられ、
前記旋回台には、前記連結板の上面と対向すべき台板が下方突出状に設けられており、該台板の下面には、連結板の上面を台板に当接させた状態で該連結板の両端を前後方向に調整自在に支持する左右一対の係合具が下方に突出して設けられていることを特徴とする旋回作業機。 - 前記台板は、旋回台上の補助ステップの裏面に配備されており、該補助ステップには、台板に前記連結板を締結すべき締結具の上方からの挿入、締結を可能とするように上下に貫通する開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機。
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